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相続した不動産を売却する流れ|名義変更から税金・分け方まで全手順【期限表】

最終更新日:2026年9月29日|法務監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生|執筆・編集:安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

監修範囲:久留慎一郎先生(司法書士・行政書士)の監修は、相続・登記・法務に関する記述です。税額の計算や税の特例に関する記述は、国税庁の公表資料と法令をもとに事務局が作成しており、監修の対象外です。監修者プロフィール

この記事の結論

  • 相続した不動産は、相続人の確定 → 遺言の確認 → 遺産分割 → 相続登記 → 査定 → 売却 → 翌年の確定申告の順で進みます。決済・引き渡し(買主への名義変更)までに、相続人の名義への相続登記を済ませておく必要があります。
  • 期限は「相続放棄3か月」「相続税10か月」「相続登記3年」「取得費加算の特例3年10か月」「空き家の特例=相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(例:2024年4月に相続→2027年12月31日まで。かつ2027年12月31日までの譲渡)」。一番早く切れる期限から逆算して動き出すのが基本です。
  • 売却益の税金は、親が買った日から数えて5年を超えていれば約20.315%。取得費が分からなくても売値の5%で計算でき、空き家の特例(最高3,000万円。家と敷地を相続した相続人が3人以上なら1人あたり2,000万円まで)を使えると税額0円になることもあります。
  • 兄弟で分けるなら、売ってから現金で分ける換価分割がもっとも揉めにくい方法です。共有名義のまま置いておくと、1人の反対で売れなくなります。
  • 売り方は、きれいな家なら仲介、古い・遠い・荷物が多い家は買取、期限があるなら買取保証付きの仲介、と状態と期限で選ぶのが近道です。

親が亡くなり、実家や土地を相続したものの「誰の名義にすればいいのか」「兄弟でどう分けるのか」「税金はいくらかかるのか」が分からず、手が止まっている方は少なくありません。相続した不動産の売却には、ふつうの不動産売却にはない手続き(相続人の確定・遺産分割・相続登記)と、相続ならではの税金の特例が加わります。

この記事は、相続が始まってから売り終えて確定申告を出すまでの流れを、期限・所要期間・必要書類を一枚にまとめた逆算スケジュール表、分け方と売り方の判断表、税金の特例の早見表、具体的な計算例で整理した全体ガイドです。登記や遺産分割の細かな手順、空き家の特例の要件などは、それぞれ詳しく解説した記事へリンクしています。まず全体像をつかみ、自分のケースで「次に何をするか」を決めるために使ってください。

なお、制度の説明は法務省・国税庁・e-Gov法令検索の公開情報(2026年9月時点で確認)にもとづいています。税額は個別の事情で変わるため、実際の申告は税務署か税理士に確認してください。

目次

相続した不動産を売る流れ|8ステップと逆算スケジュール表

相続不動産の売却は、大きく「相続の手続き(1〜4)」と「売却の手続き(5〜8)」に分かれます。相続の手続きが終わらないと売買契約・引き渡しができないため、順番を入れ替えることはできません。ただし、査定や片付けのように前倒しできる作業もあります(次の章で解説します)。

ステップ やること 期限(法律・税制上) 所要期間の目安 主な必要書類
1 相続人の確定 亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの戸籍をたどり、相続人を確定する —(相続放棄・限定承認の判断は3か月以内) 2〜4週間(本籍地が複数だと延びる) 被相続人の出生〜死亡の戸籍謄本・除籍謄本、相続人全員の戸籍、法定相続情報一覧図(任意)
2 遺言・財産の確認 遺言書の有無を確認し、不動産を含む財産と借金をリスト化する 相続放棄は相続の開始を知った時から3か月以内 1〜4週間 遺言書(自筆証書は検認)、登記事項証明書、固定資産税の納税通知書、名寄帳
3 遺産分割 誰が相続するか、売って分けるかを相続人全員で話し合い、遺産分割協議書を作る 期限はなし(相続開始から10年経過後は特別受益・寄与分の主張が原則できなくなる) 1〜3か月(揉めると年単位) 遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書・実印
4 相続登記 法務局で、不動産の名義を相続人に変える 取得を知った日から3年以内(遺産分割で取得した場合は分割の日から3年以内) 書類がそろってから申請、完了まで1〜2週間程度が多い 登記申請書、戸籍一式、住民票、遺産分割協議書、固定資産評価証明書
5 査定・売り方の決定 複数社に査定を依頼し、仲介・買取・買取保証から選ぶ —(相続税を売却代金で払うなら10か月から逆算) 1〜3週間 登記事項証明書、固定資産税の納税通知書、間取り図・購入時の資料(あれば)
6 売却活動・契約 媒介契約→販売活動→売買契約(仲介)/買取価格の合意→契約(買取) 空き家の特例を使うなら、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(かつ2027年12月31日まで)に譲渡 仲介3〜6か月程度、買取は数週間〜1か月程度 本人確認書類、実印・印鑑証明書、登記識別情報(登記完了時に発行)、境界の資料
7 決済・引き渡し 代金を受け取り、買主へ所有権移転登記。残置物を片付けて鍵を渡す — 契約から1〜2か月程度 登記識別情報、印鑑証明書、固定資産税の精算書類
8 確定申告 売却益(譲渡所得)を申告し、特例を適用する 売った年の翌年2月16日〜3月15日 書類集めに2〜4週間 譲渡所得の内訳書、売買契約書の写し、取得費・譲渡費用の領収書、特例ごとの添付書類

所要期間は、戸籍が少なく相続人がすぐ合意できる場合の目安です。相続人が多い・行方の分からない相続人がいる・遺言書がない、といった事情があると、ステップ1〜3だけで半年以上かかることもあります。遺産分割から登記までの手続きの詳細は不動産相続の流れ|遺産分割から相続登記までの全手順、相続全体の期限一覧は相続手続きの全体スケジュールで確認できます。

具体的な日付で見る逆算スケジュール(2026年4月10日に亡くなった場合)

期限は「いつから数えるか」がそれぞれ違うため、日付に置き換えると見落としが減ります。亡くなった日に相続の開始と不動産の取得を知ったものとして計算した例です。

期限 数え方 この例の期限日 根拠
相続放棄・限定承認 相続の開始を知った時から3か月以内 2026年7月10日 民法915条
準確定申告(亡くなった方の所得税) 相続の開始を知った日の翌日から4か月以内 2026年8月10日 国税庁 No.2022
相続税の申告・納付(必要な人のみ) 死亡を知った日の翌日から10か月以内 2027年2月10日 国税庁 No.4205
空き家の特例の売却期限 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。ただし特例自体が2027年12月31日までの譲渡が対象 2027年12月31日(現行法のままの場合) 国税庁 No.3306
相続登記の申請義務 取得を知った日から3年以内 2029年4月10日 法務省
取得費加算の特例の売却期限 相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(=相続から約3年10か月) 2030年2月10日 国税庁 No.3267

この例でもっとも早く来る「売る側の期限」は空き家の特例です。本来の数え方なら2029年末まで使えますが、特例の適用期間が現行法で2027年12月31日までの譲渡とされているため、延長がなければ2026年の相続でも残り1年ほどしかありません。空き家の特例を使える可能性がある家は、遺産分割と相続登記を急ぐ価値があります。

相続登記の前に売れる?売れない理由と、その間に進められる準備

結論から言うと、亡くなった方の名義のままでは、売買契約の決済・引き渡し(所有権移転登記)はできません。不動産の売却は、登記簿上の所有者から買主へ名義を移す手続きなので、先に相続人へ名義を移す「相続登記」が前提になります。

2024年4月にできた「相続人申告登記」(相続人であることを法務局に申し出るだけの簡易な手続き)でも相続登記の義務は果たせますが、法務省は、この申告登記は権利関係を公示するものではなく、相続した不動産を売却する場合には相続登記をする必要があると明記しています。売る予定があるなら、申告登記で済ませず、遺産分割の結果にもとづく相続登記まで進めましょう。

名義が変わる前でも進められる準備

  • 査定の依頼:査定は名義変更前でも受けられます。相場がわかると、遺産分割の話し合い(誰が取得するか・売るか)が具体的になります。
  • 片付け・残置物の整理:家財の処分は、相続人全員の了解を取ったうえで始められます。ただし相続放棄を検討している人は、処分が「単純承認」とみなされるおそれがあるため手を付けないでください(後述)。
  • 境界・測量の確認:土地の売却では、隣地との境界が確定しているかが価格と売れやすさに直結します。境界確定測量は数か月かかることもあるため、早めの確認が有効です。詳しくは土地の測量・境界確定の費用と流れへ。
  • 購入時の資料探し:親が不動産を買ったときの売買契約書や領収書は、税金の計算で使う「取得費」の証拠になります。実家の片付けの際に、捨てずに探しておきましょう。
  • 不動産の洗い出し:2026年2月2日から、特定の人が所有権の登記名義人になっている不動産を全国から一覧で証明してもらえる「所有不動産記録証明制度」が法務局で始まりました。名寄帳と合わせて使うと、山林や私道の持分など見落としやすい不動産を拾えます。手数料は検索条件1件・1通あたり1,600円(書面請求。オンライン請求は1,500円、窓口受取なら1,470円)です。検索条件(氏名・住所)と異なる氏名・住所のまま登記されている不動産はリストに載らないため、亡くなった方の過去の住所も検索条件に加えると漏れを減らせます。

相続登記を司法書士に依頼する場合の流れと費用は相続登記・名義変更の相談窓口、自分で申請する方法は相続登記の費用と自分でやる方法で解説しています。登録免許税は固定資産税評価額の0.4%(評価額1,500万円なら6万円)が基本で、登録免許税の課税標準となる土地の価額が100万円以下なら、2027年3月31日までの登記は免税になる措置があります。

相続した実家の空き家特例(3,000万円控除)がいつまで使えるかは、相続空き家の3,000万円控除 期限チェックで、相続開始日から期限と残り日数を確認できます。

ここまで読んで「うちの場合はどうなる?」と思ったら

相続した家・土地の売却を、片付けから名義変更・売却まで窓口ひとつでご相談いただけます。買取・仲介は提携の宅建業者、登記は提携司法書士が担当します。

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分け方で手取りと税金が変わる|換価分割・代償分割・共有・現物分割

相続人が複数いる場合、売却の前に「どう分けるか」を遺産分割協議で決めます。分け方によって、登記の名義・売却の進めやすさ・税金を払う人が変わります。

分け方 中身 登記の名義 売却のしやすさ 売却益の税金を申告する人 向いているケース
換価分割 不動産を売り、代金を分ける 売却のために相続人(全員または代表者)へ登記。協議書に「売却代金を○分の1ずつ分ける」と明記 高い(最初から売る前提で合意) 代金を受け取った相続人それぞれが持分に応じて申告 誰も住まない実家、兄弟で公平に分けたい
代償分割 1人が不動産を取得し、ほかの相続人にお金(代償金)を払う 取得した1人 高い(1人の判断で売れる) 取得した1人 取得者に代償金を払う資金がある、1人が住み続ける
共有分割 法定相続分などで共有名義にする 相続人全員の共有 低い(売るには共有者全員の同意が必要) 共有者それぞれ 一時的な措置としてのみ。長期の共有はおすすめしません
現物分割 実家は長男、預金は長女のように財産ごとに分ける 取得した人 高い 取得した人 不動産以外にも同程度の財産がある

売ることが決まっているなら、換価分割がもっとも揉めにくい方法です。実務では、相続人の1人を代表にしてその人の単独名義で登記し、売却後に代金を分けることもあります。この場合は、遺産分割協議書に「換価のために代表者名義で登記すること」「売却代金から諸費用を引いた残りを各自に分けること」を書いておかないと、代金を分けた部分が贈与と見られるおそれがあるため、書き方は司法書士・税理士に確認してから作ってください。

共有名義は、民法251条により「共有物の変更」(売却を含む)に共有者全員の同意が必要です。相続人の1人が反対したり、連絡が取れなくなったり、さらに相続が起きて共有者が増えたりすると、売れないまま固定資産税だけを払い続けることになります。兄弟で意見が分かれやすいポイントは相続で兄弟が揉める典型パターン7つと予防策、すでに共有になっている場合の解消方法は実家売却は兄弟の共有名義でも進められる?にまとめています。

仲介・買取・買取保証の選び方|状態別の判断表

相続した不動産の売り方は、主に3つです。価格だけで選ぶと「売れないまま期限を過ぎる」「片付けに想定以上の費用がかかる」ことがあるため、物件の状態と期限で判断します。

比較項目 仲介 買取 買取保証付き仲介
しくみ 不動産会社が一般の買主を探す 不動産会社が直接買い取る 一定期間は仲介で売り、売れなければ事前に決めた価格で買い取る
価格 相場に近い価格を狙える 仲介より低くなるのが一般的 仲介期間中は相場、期限後は買取価格
現金化までの期間 数か月〜(売れ残ると長期化) 数週間〜1か月程度 最長でも保証期限まで
仲介手数料 かかる(上限あり) かからないことが多い 仲介で売れた場合はかかる
片付け・修繕 原則として売主が行う そのまま引き取ってもらえることが多い 会社ごとに異なる
契約不適合責任(引き渡し後に見つかった不具合の責任) 負うのが原則(期間や範囲は特約で調整) 免責にできることが多い 売れた相手により異なる

状態別の判断表

あなたの状況 おすすめの売り方 理由
築浅〜築20年程度、駅や生活施設が近い、室内がきれい 仲介 一般の買主がつきやすく、価格差が手取りに直結する
築40年以上、雨漏り・傾きなどの不具合がある 買取(または古家付き土地として仲介) 契約不適合責任のリスクを避けやすい
家財が大量に残っている、遠方で片付けに通えない 買取、または片付けを外注してから仲介 片付け費用と手間を比べ、手取りで判断する
相続税を売却代金で払いたい/空き家の特例の期限が近い 買取保証付き仲介、または買取 期限までに現金化できることを優先する
再建築不可・市街化調整区域・私道の接道問題がある 買取(専門業者) 一般の買主は住宅ローンが組みにくく、仲介では売れ残りやすい
兄弟の意見がまとまらず、早く現金で分けたい 買取の査定額を「最低ライン」として共有し、仲介と比較 数字の比較で合意しやすくなる

仲介と買取の違いの詳細は空き家の仲介と買取の違い、買取保証の仕組みは買取保証とは?をご覧ください。安心実家じまい事務局の実家売却の相談では、提携の宅地建物取引業者による仲介・買取の両方の査定をそろえ、手取りで比較できる形でお伝えしています(当事務局は宅建業者ではなく、契約の実務は提携の宅建業者が担当します)。

反対に、立地がよく状態も良い家で、相続人が近くに住んで対応できるなら、地元の不動産会社に直接仲介を頼むだけで十分なケースも多いです。査定を2〜3社から取り、媒介契約の種類(一般・専任・専属専任)を理解したうえで選べば、窓口サービスを通す必要はありません。なお専任媒介契約の有効期間は法律で3か月以内、業務の報告は2週間に1回以上(専属専任は1週間に1回以上)と決まっています。

売却にかかる費用の一覧|仲介手数料・印紙税・登記・測量・片付け

相続不動産の売却では、ふつうの売却の費用に加えて、相続手続きの費用がかかります。どれが税金の計算で差し引ける「譲渡費用」や「取得費」になるかも合わせて整理しました。

費用 目安・計算方法 税金の計算での扱い
仲介手数料 上限(税込)=売買価格×3.3%+6.6万円(価格400万円超の場合)。800万円以下の空き家等は、事前の合意で最大33万円(税込)まで 譲渡費用
売買契約書の印紙税 1,000万円超5,000万円以下なら1万円(2027年3月31日までの軽減税率) 譲渡費用(売主が負担した分)
測量費(売るために行ったもの) 土地の状況で大きく変わる 譲渡費用
建物の取壊し費用 構造・広さで変わる 土地を売るために取り壊した場合は譲渡費用
相続登記の登録免許税 固定資産税評価額×0.4% 取得費に含められる(取得費を5%で計算する場合は不可)
司法書士報酬 事務所・物件数で変わる 相続登記の登記費用として取得費に含められる(取得費を5%で計算する場合は不可)
抵当権抹消の登記(親のローンが残っていた場合) 登録免許税+司法書士報酬 —
片付け・遺品整理 間取りと物量で変わる 原則として譲渡費用にならない
固定資産税・管理費・修繕費 保有している間は毎年かかる 維持管理の費用なので譲渡費用にならない
譲渡所得税・住民税 次章で解説 —

国税庁は、修繕費や固定資産税など「資産の維持や管理のためにかかった費用」は譲渡費用にならないと明記しています。片付け費用も同じ考え方で、原則として差し引けません。費用の内訳と手取りの考え方は空き家売却の費用・手数料はいくら?、固定資産税の日割り精算は実家売却時の固定資産税の精算とはで詳しく解説しています。片付けまでまとめて任せたい場合は、当事務局の実家じまい代行パック(3LDKまで49.8万円・税別、見積もり確定後の契約)で、家財の整理から売却の段取りまで窓口をひとつにできます。

税金の仕組みと使える特例の早見表

相続した不動産を売って利益が出ると、売った人に所得税・住民税(譲渡所得の税金)がかかります。相続税とは別の税金で、相続税がかからなかった人でも対象になります。

譲渡所得の計算式

譲渡所得=売った金額−(取得費+譲渡費用)−特別控除

  • 取得費:亡くなった方がその不動産を買ったときの代金や手数料(建物は減価償却分を差し引く)。相続人が払った相続登記の費用なども含められます。
  • 譲渡費用:仲介手数料・印紙税・売るための測量費や取壊し費用など、売るために直接かかった費用。
  • 特別控除:空き家の特例やマイホームの特例などを使える場合に差し引ける金額。

税率は「5年ルール」で決まる。所有期間は親の取得日から数える

税率は、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかで変わります。相続で取得した不動産は、亡くなった方が取得した日をそのまま引き継ぐため、相続した日から5年待つ必要はありません。親が長く住んでいた実家なら、相続直後に売っても長期譲渡所得になるのがふつうです。

区分 所有期間(売った年の1月1日時点) 所得税 復興特別所得税 住民税 合計
長期譲渡所得 5年超 15% 所得税額×2.1% 5% 20.315%
短期譲渡所得 5年以下 30% 所得税額×2.1% 9% 39.63%

2026年3月31日に成立した税制改正により、2027年分以降は復興特別所得税が所得税額×1.1%に下がり、新たに防衛特別所得税(所得税額×1%)がかかります。上乗せ分の合計は2.1%のままなので、長期20.315%・短期39.63%という合計税率は変わりません(確定申告書では2つの税を分けて計算します)。

取得費が分からないときは「売った金額の5%」

親が何十年も前に買った実家では、売買契約書が見つからないことがよくあります。取得費が分からない場合や、実際の取得費が売った金額の5%より少ない場合は、売った金額の5%を取得費にできます(3,000万円で売れば150万円)。ただし5%で計算するときは、相続登記の費用などを取得費に上乗せすることはできません。通帳の振込記録やローンの資料、建築会社の請負契約書などから実際の金額を証明できれば、税額が大きく下がる場合があるので、片付けの前に探しておきましょう。

使える特例の早見表

特例 効果 主な要件 売却の期限
被相続人の居住用財産(空き家)の特例 譲渡所得から最高3,000万円控除(2024年1月1日以後の譲渡で、家と敷地を相続した相続人が3人以上なら1人あたり2,000万円まで) 売る人が家と敷地の両方を相続(遺贈)で取得した相続人であること/1981年5月31日以前に建築/マンションなど区分所有登記の建物でない/亡くなる直前に亡くなった方だけが住んでいた(老人ホーム入所の特例あり)/相続後に貸したり住んだりしていない/耐震リフォームするか取り壊す(売った翌年2月15日までに買主が行う場合も可)/売却代金1億円以下/親族などへの売却でない 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。特例の対象は2027年12月31日までの譲渡
相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例 支払った相続税のうち、売った不動産に対応する部分を取得費に加算できる 相続税が課税されていること 相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日まで(相続から約3年10か月)
居住用財産(マイホーム)の3,000万円特別控除 譲渡所得から最高3,000万円控除 売った相続人自身が住んでいた家であること(親と同居していた子など) 住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
小規模宅地等の特例(相続税の特例) 相続税の計算で、自宅の土地の評価額を330㎡まで80%減額 配偶者以外の同居親族や「家なき子」が取得する場合は、相続税の申告期限まで保有することなどが要件 申告期限前に売ると使えなくなる場合がある

空き家の特例と取得費加算の特例は、同じ不動産について併用できません。相続税を多く払った人は取得費加算のほうが有利なこともあるので、両方で試算して比べます。取得費加算で加算できる金額は、国税庁のタックスアンサーによると「その人の相続税額×売った財産の相続税評価額÷その人の取得財産の価額など」で計算し、特例を使わない場合の譲渡益が上限です。

空き家の特例の要件・必要書類(市区町村が発行する「被相続人居住用家屋等確認書」など)は空き家の3,000万円特別控除(相続空き家特例)とは?、小規模宅地等の特例は小規模宅地等の特例とはで詳しく解説しています。

相続税の申告期限(10か月)との関係

  • 相続税の評価は「亡くなった日の評価額」で決まります。申告期限前に売っても、相続税は路線価などによる評価額で計算するのが原則です。ただし、売却価格が評価額を大きく下回るなど個別の事情によっては扱いが問題になることもあるため、申告前の売却は税理士に相談してから進めてください。
  • 小規模宅地等の特例を使いたい土地は、取得者によっては申告期限まで持っていることが要件です。同居していた子などが取得して特例を使う予定なら、申告期限前の売却は避けます(配偶者が取得する場合はこの要件はありません)。
  • 相続税を売却代金で払う場合は、仲介で数か月かかることを見込み、遅くとも相続から半年以内には売却活動を始めるのが安全です。間に合わないときは延納・物納の制度もあります。

相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を下回れば、相続税の申告自体が不要です。判定方法は相続税の基礎控除で確認できます。

計算シミュレーションと確定申告|3人きょうだいで実家を2,400万円で売った場合

特例を使えるかどうかで、税額がどれだけ変わるかを試算します。数字は説明のための仮定です。

  • 1978年に父が建てた木造の実家。父が1人で住んでいた(母は先に死亡)
  • 相続人は子3人。換価分割で、3人が家と敷地の両方を3分の1ずつの共有で相続登記してから売却(2027年3月に売買契約・引き渡し)
  • 売却価格2,400万円(買主が翌年2月15日までに取り壊す条件)。購入時の資料はなく、取得費は5%で計算
  • 譲渡費用:仲介手数料85.8万円(2,400万円×3.3%+6.6万円)、印紙税1万円(2027年3月31日までに作成する契約書の軽減税率)、測量費40万円(仮定)=合計126.8万円
1人あたり(持分3分の1) 特例なし 空き家の特例あり(相続人3人以上なので各2,000万円)
売った金額 800万円 800万円
取得費(5%) 40万円 40万円
譲渡費用 約42.27万円 約42.27万円
特別控除 0円 717.73万円(上限2,000万円の範囲で全額)
課税される譲渡所得 約717.73万円 0円
所得税15%+復興特別所得税・防衛特別所得税(上乗せ合計2.1%) 約109.9万円 0円
住民税5% 約35.9万円 0円
税金の合計(1人あたり) 約145.8万円 0円
3人の合計 約437万円 0円

課税される譲渡所得は1,000円未満を切り捨てて計算しています(717万7,000円×15.315%≒109.9万円、×5%≒35.9万円)。2027年分の譲渡所得なので所得税への上乗せは復興特別所得税1.1%+防衛特別所得税1%ですが、合計は2.1%で2026年以前と同じ税額になります。この例では、特例が使えるかどうかで3人合計約437万円の差が出ます。ただし、特例の控除を使って税額が0円になる場合でも、確定申告をしなければ特例は受けられません。また、父が亡くなる前に子の1人が同居していた、相続後に一時的に貸した、といった事情があると空き家の特例は使えなくなります。

3人それぞれが空き家の特例を使えるのは、3人とも家と敷地の両方を相続で取得した相続人であり、各自が被相続人居住用家屋等確認書などを添えて確定申告する場合です。この例のように3人の共有で相続登記しておくと、この要件を満たしていることが登記事項証明書で示せます。一方、換価のために代表者1人の名義で登記した場合に、ほかの相続人が特例を使えるかどうかは協議書の内容などで判断が分かれうるため、登記の前に税理士に確認してください。また、1人あたり2,000万円になるかどうかは「家と敷地を相続した相続人の数」で決まり、相続人全体の人数ではありません。

もし相続人が2人なら、1人あたり最高3,000万円まで控除できます。相続税を払っている場合は取得費加算の特例と比べて、有利なほうを選びます。実家売却の税金を場面ごとに整理した実家売却の税金まとめや、計算方法を詳しく解説した実家売却の譲渡所得税の計算方法もあわせてご覧ください。個別の税額や特例の選び方は、税理士に確認するのが確実です。

売却後の確定申告|いつ・誰が・何を出すか

不動産を売った年の翌年2月16日から3月15日までに、売った人が確定申告をします。換価分割で共有名義にしていた場合は、持分を持つ相続人それぞれが自分の分を申告します。代表者1人の名義で売った場合でも、代金を分けた相続人それぞれが申告の対象になるのが一般的なので、協議書の内容と合わせて税理士や税務署に確認しましょう。

確定申告の必要書類チェックリスト

  • 確定申告書(第三表:分離課税用)
  • 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]
  • 売却時の売買契約書の写し、仲介手数料などの領収書
  • 亡くなった方が購入したときの売買契約書・領収書(なければ5%で計算)
  • 相続登記の登録免許税・司法書士報酬の領収書(実際の取得費で計算する場合)
  • 空き家の特例:被相続人居住用家屋等確認書(市区町村が発行)、耐震基準適合証明書または取壊しを証明する書類、登記事項証明書など
  • 取得費加算の特例:相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書

申告書の書き方や、年をまたいだ売却の扱いは実家売却の確定申告|必要書類・期限で詳しく解説しています。売却益は翌年の住民税や、国民健康保険料・後期高齢者医療保険料の計算にも影響することがあるため、納付資金は売却代金から取り分けておくと安心です。

不動産の種類別の注意点|戸建て・土地・マンション・賃貸中・共有・未登記

種類 売る前に確認すること 税金の特例の注意点
戸建ての空き家 残置物の量、雨漏り・シロアリなどの不具合、解体するか古家付きで売るか 空き家の特例は1981年5月31日以前の建物が対象。耐震改修か取壊しが必要
土地(更地・古家付き) 境界確定の有無、接道状況、農地なら農地法の許可や届出 更地にしてから売ると、翌年の固定資産税の住宅用地特例が外れる場合がある。家屋を取り壊して空き家の特例を使う場合は、取壊し後に貸駐車場などに使わない
マンション 管理費・修繕積立金の滞納がないか、管理規約、相続人が管理組合へ届け出ているか 区分所有登記の建物は空き家の特例の対象外。住んでいた相続人ならマイホームの3,000万円特例を検討
賃貸中の家・アパート 賃貸借契約は相続人に引き継がれる。入居者付きで投資家に売るか、立ち退きを交渉するか 貸していた家は空き家の特例の対象外。立退料は売るためなら譲渡費用になる
共有名義(親と子、兄弟など) 売却には共有者全員の同意が必要。持分だけの売却も法律上は可能だが、価格はかなり下がる 空き家の特例は相続人ごとに判定。売却代金1億円以下の判定は他の相続人の売却分も合算
未登記の建物 表題登記(建物の登記)がないと、買主の住宅ローンが組みにくい。登記するか、解体・現況のまま買取かを判断 空き家の特例では、1981年5月31日以前の建築を示す書類が必要になるため、登記がない場合は別の資料で証明することになる

それぞれの詳しい進め方は、空き家売却の流れと注意点(相続空き家を売る8ステップ)、古家付き土地の売却、マンションの実家じまい、空き家の共有名義売却、未登記建物の売却は可能?、農地・山林の相続でやるべき処分手続きで解説しています。古い戸建てや遠方の空き家で、仲介では買い手がつきにくそうな場合は、空き家買取の相談窓口で提携の買取業者の査定を取り、仲介の見込み額と比べてみてください。

相続した不動産が売れないときの選択肢

地方の古い家や山林・農地は、仲介に出しても半年以上反響がないことがあります。売れない期間も固定資産税や草刈り・修繕の費用はかかり続けるため、「いつまで仲介で待つか」を最初に決めておくのが大切です。売れないときに検討できる方法を、手取りが残りやすい順に並べました。

方法 内容 向いているケース 注意点
価格の見直し・売り方の変更 査定の根拠を確認し、価格や「古家付き土地」などの売り出し方を変える 3か月以上反響が少ない 専任媒介なら3か月の契約期間の区切りで見直しやすい
買取 不動産会社がそのまま買い取る 古家・残置物が多い・遠方 価格は仲介より低くなるのが一般的。複数社で比べる
隣地の所有者への売却 土地を広げたい隣の人に買ってもらう 狭い土地・旗竿地・接道が弱い土地 境界と価格の根拠を書面で示す
空き家バンク 自治体のサイトに登録し、移住希望者などに紹介してもらう 地方の戸建て 成約までの期間は読みにくい
相続土地国庫帰属制度 一定の要件を満たす土地を、負担金を払って国に引き取ってもらう 売れる見込みがほぼない土地 建物がある土地は対象外。審査があり、解体費と負担金がかかる
有料引き取り 費用を払って業者に引き取ってもらう ほかの方法で手放せない 契約内容と引き取り後の管理を確認する

建物を解体して更地にすれば売れやすくなるとは限りません。解体費がかかるうえ、翌年から固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が上がる場合もあります。解体と売却のどちらが得かは空き家は解体してから売却すべき?、売れない理由の見極め方は空き家を売りたいのに売れない理由と対処法、国庫帰属制度は相続土地国庫帰属制度とはで詳しく解説しています。

よくある失敗と注意点

1. 特例の期限を過ぎてしまった

遺産分割がまとまらないまま2〜3年が過ぎ、空き家の特例や取得費加算の特例の期限を過ぎてしまうのが、もっとも金額の大きい失敗です。特に空き家の特例は「相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日(例:2024年4月に相続→2027年12月31日)」と「特例そのものの期限(2027年12月31日)」の早いほうで区切られます。売買契約をいつ結び、引き渡しをいつにするかで譲渡の日の扱いが変わることもあるため、期限が近いときは売却の日程を税理士と確認しながら決めてください。

2. 兄弟の合意がないまま査定・販売を進めた

相続人の1人が先走って不動産会社と話を進めると、ほかの相続人の反発を招き、協議が長引きます。査定結果は全員に共有し、「仲介ならいくら・買取ならいくら・手取りはいくら」を並べて比べると合意しやすくなります。遠方に住む相続人がいる場合も、協議書への署名と印鑑証明書の提出は郵送でできます。

3. 残置物の扱いを決めずに契約した

仲介では、家財を撤去して空の状態で引き渡すのが一般的です。引き渡し直前に片付けが間に合わず、急いで業者を探して費用が膨らむこともあります。家財が残ったまま売りたい場合は、買取や「現況渡し」の条件で契約し、契約書に残置物の扱いを明記しておきます。判断のポイントは残置物はそのまま売却できる?にまとめています。

4. 相続放棄を考えているのに、家財を処分・売却してしまった

民法921条では、相続人が相続財産を処分したときは相続を承認したもの(単純承認)とみなされます。親に借金がありそうで相続放棄を検討している人が、実家の家財を売ったり不動産の売却を進めたりすると、放棄できなくなるおそれがあります。放棄の期限は相続の開始を知った時から3か月以内です。判断に迷う場合は親の借金と実家の相続や相続放棄するなら遺品整理はどこまでできる?を先に確認してください。

5. 相続登記を後回しにした

2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の相続登記が義務になりました。正当な理由なく申請しない場合は10万円以下の過料の対象です。2024年4月より前の相続で登記されていない不動産も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です。また、2026年4月1日からは住所や氏名が変わった日から2年以内の変更登記も義務になっています。売る予定があるならどのみち登記が必要なので、先に済ませておくのが近道です。制度の詳細は相続登記の義務化とはをご覧ください。

6. 何代も前の名義のままになっていた

登記簿を見たら祖父の名義のままだった、というケースでは、祖父の相続人全員(すでに亡くなった人がいればその相続人も)が関わる「数次相続」になり、協議に参加する人数が一気に増えます。早めに司法書士に相続関係を整理してもらうのが現実的です。進め方は数次相続とはで解説しています。

自分でできること・専門家に頼むことの線引き

作業 自分でできる目安 専門家に頼んだほうがよいケース 相談先
戸籍集め・相続人の確定 本籍地の移動が少ない、相続人が配偶者と子だけ 兄弟姉妹・甥姪が相続人、数次相続、行方不明の相続人がいる 司法書士・行政書士
遺産分割協議書の作成 相続人が合意済みで、財産が実家と預金程度 換価分割で代表者名義にする、代償分割で代償金が大きい 司法書士・税理士(贈与にならない書き方の確認)
相続登記 不動産が1〜2件、平日に法務局へ行ける 不動産が複数の地域にある、未登記建物・私道持分がある 司法書士
査定・売却 立地がよく、地元の不動産会社に相談できる 遠方、古家、残置物が多い、再建築不可など 宅地建物取引業者(仲介・買取)
確定申告 特例を使わず、取得費も5%で計算する 空き家の特例・取得費加算を比べたい、相続税の申告もある 税理士・税務署の相談窓口

相続人の確定から売却・申告までを1人で抱えると、平日の役所・法務局通いと実家の片付けで数か月かかります。一方で、条件がそろっていれば専門家に頼む範囲を最小限にして費用を抑えることもできます。どこまで自分でやるか迷ったら、実家まるごと診断(無料)で状況を整理してから決めるのも一つの方法です。

よくある質問

相続した不動産は、相続登記をしないと売れませんか?
亡くなった方の名義のままでは、決済・引き渡しができません。売買の決済では登記名義人から買主へ所有権を移すため、先に亡くなった方から相続人へ名義を移す相続登記が必要です。法務省も、相続人申告登記だけでは足りず、売却する場合は相続登記が必要としています。ただし査定や片付け、測量の確認は名義変更の前から進められます。
相続不動産を3年以内に売却するとどうなりますか?
条件を満たせば税金の特例が使えます。空き家の特例は相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却(特例自体は2027年12月31日までの譲渡が対象)で最高3,000万円控除、取得費加算の特例は相続税の申告期限の翌日以後3年以内(相続から約3年10か月)の売却で、払った相続税の一部を取得費に加算できます。2つは同じ不動産で併用できません。
相続した土地を3年以内に売却すると3,000万円控除を受けられますか?
土地だけでは原則として受けられません。空き家の特例は、亡くなった方が1人で住んでいた1981年5月31日以前建築の家とその敷地が対象で、家を取り壊してから敷地を売る場合や、売った翌年2月15日までに買主が取り壊す場合は対象になります。もともと更地や貸していた土地は対象外です。相続税を払っていれば取得費加算の特例を検討します。
相続した不動産を売ったときの税金はいくらですか?
売却益(売った金額から取得費と譲渡費用を引いた額)に税率をかけます。亡くなった方が取得した日から数えて、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば所得税・復興特別所得税(2027年分以降は防衛特別所得税を含む)・住民税の合計で20.315%、5年以下なら39.63%です。取得費が分からない場合は売った金額の5%で計算できます。個別の税額は税理士に確認してください。
相続した不動産を売るタイミングはいつがベストですか?
使いたい特例の期限と、相続税の納付期限から逆算して決めます。空き家の特例を使える家なら、現行法では2027年12月31日までの売却が必要です。相続税を売却代金で払うなら、10か月の期限に間に合うよう早めに売却活動を始めます。一方、小規模宅地等の特例を同居親族などが使う場合は、相続税の申告期限まで保有する必要があります。
換価分割で売ったとき、確定申告は誰がしますか?
売却代金を受け取った相続人が、それぞれ自分の持分に応じて確定申告をします。売った年の翌年2月16日から3月15日までが申告期間です。空き家の特例は、家と敷地の両方を相続で取得した相続人ごとに判定され、そうした相続人が3人以上なら1人あたり2,000万円までの控除になります。代表者名義で売った場合の扱いは、協議書の内容とあわせて税理士に確認してください。
兄弟の1人が売却に反対していても売れますか?
共有名義のままでは売れません。民法251条により、共有物の売却には共有者全員の同意が必要です。自分の持分だけを売ることは法律上できますが、買い手は限られ価格も大きく下がります。遺産分割の段階で換価分割や代償分割を選び、話し合いがまとまらなければ家庭裁判所の遺産分割調停を利用する方法があります。
親の売買契約書がなく取得費が分かりません。どうすればいいですか?
売った金額の5%を取得費として計算できます。ただ5%だと売却益が大きくなり税額も増えるため、通帳の振込記録、ローンの返済予定表、建築会社との請負契約書などで実際の購入額を証明できないか探す価値があります。5%で計算する場合は、相続登記の費用を取得費に加えることはできません。
相続放棄を考えていますが、実家を先に売ってもいいですか?
売ってはいけません。民法921条で、相続財産を処分すると相続を承認したものとみなされ、相続放棄ができなくなるおそれがあります。相続放棄は相続の開始を知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てます。放棄するかどうかを決めるまでは、家財の処分や売却の契約は控えてください。

まとめ

  • 相続した不動産は、相続人の確定・遺産分割・相続登記を終えてから売却します。名義が亡くなった方のままでは決済・引き渡しができません。
  • 期限は「相続放棄3か月・相続税10か月・空き家の特例は相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(例:2024年4月に相続→2027年12月31日まで。かつ2027年12月31日までの譲渡)・相続登記3年・取得費加算3年10か月」。一番早い期限から逆算して動きます。
  • 兄弟で分けるなら換価分割が揉めにくい方法です。共有名義のまま置くと、1人の反対で売れなくなります。
  • 売り方は、状態がよければ仲介、古い・遠い・荷物が多いなら買取、期限優先なら買取保証。価格ではなく手取りと期限で比べましょう。
  • 税率は親の取得日から数えて5年超なら約20%。取得費不明なら5%で計算し、空き家の特例(最高3,000万円。家と敷地を相続した相続人が3人以上なら1人あたり2,000万円まで)で税額が0円になることもあります。特例は確定申告をして初めて使えます。

相続した実家をどう売るか決めかねている場合は、実家売却の相談から、仲介と買取それぞれの査定額と手取りの比較を取り寄せてください。名義変更がまだの方は相続登記の相談窓口で提携司法書士に依頼でき、古い空き家なら空き家買取の相談も使えます。

税金についてのご注意
本記事の税金に関する記述は、2026年9月29日時点の国税庁の公表資料と法令にもとづく一般的な説明です。特例が使えるかどうかや個別の税額は、所得や相続の状況によって変わります。個別の税額は税理士にご確認ください(所轄の税務署でも相談できます)。

出典・参考資料(2026年9月29日確認)

読むより、聞いたほうが
早いこともあります

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

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