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買取保証とは?仲介との仕組みの違いと注意点|空き家・実家の売却

最終更新日:2026年9月23日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 買取保証(買取保証付き仲介)とは、まず一定期間(多くの場合3〜6か月)仲介で売り出し、期限までに買い手が見つからなければ、あらかじめ決めた価格で不動産会社が買い取る仕組みです。「仲介の高値」と「買取の確実性」を両方狙える売り方といえます。
  • 一番大事な判断は、「片付けてから仲介で売るか、そのまま買取に出すか」を、片付け費用と売却額の差し引き=手取り額で比べることです。買取保証はこの中間にある選択肢で、判断に迷ったら 空き家買取(片付け不要・複数社査定) で概算額を確認してから比較すると判断しやすくなります。
  • 買取に切り替わった場合の価格は、仲介の想定価格のおおむね7〜8割程度になるのが一般的です(不動産会社各社の公表情報による目安であり、公的統計ではありません)。
  • 相続した空き家を売る場合、買取に切り替わっても要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります(国税庁タックスアンサーNo.3306)。期限は相続開始から3年目の年末、かつ制度自体の期限である令和9年(2027年)12月31日までです。

「実家を売りに出したいが、いつまでも売れ残ったらどうしよう」「かといって最初から買取だと安すぎる気がする」——安心実家じまい事務局には、このような相談が数多く寄せられます。買取保証(買取保証付き仲介)は、こうした不安に対応するために不動産業界で広く使われてきた売却方式です。ただし、仕組みを正しく理解しないまま契約すると、「思ったより早く買取に切り替わってしまった」「売り出し価格を自由に決められなかった」といった後悔につながることもあります。本記事では、買取保証の仕組み・流れ・価格の目安・注意点を、一次情報に基づいて整理しました。

目次

買取保証とは?仲介と買取の「いいとこ取り」の仕組み

買取保証とは、正式には「買取保証付き仲介」と呼ばれる売却方式です。まず不動産会社の仲介によって、市場価格に近い金額での売却を一定期間目指します。この期間内に個人の買い手が見つかれば、通常の仲介と同じように売買契約を結びます。一方、期限までに買い手が見つからなかった場合は、あらかじめ契約時に取り決めておいた価格で、その不動産会社(またはグループの買取会社)が物件を買い取ります。つまり「仲介で高く売れる可能性」を残しながら、「最終的には期限内に必ず売却できる」という確実性を組み合わせた仕組みです。

まず仲介で売り出し、期限までに売れなければ買取に切り替わる

買取保証の流れを一言で表すと、「仲介として売り出し、売れなければ買取に自動的に切り替わる」という二段階構造です。売り出し当初は、通常の仲介物件と同じように不動産ポータルサイトへの掲載や内覧対応が行われ、市場相場に近い価格での成約を目指します。設定する保証期間(後述)を過ぎても成約に至らない場合は、契約時に合意していた買取価格で、不動産会社が直接物件を引き取ります。売主にとっては、「仲介で粘ってみたが売れなかったらどうしよう」という不安を抱えずに、強気の売り出し価格に挑戦できる点が最大の特徴です。

買取保証と「即時買取」の違い

混同されやすいのが、最初から不動産会社が直接買い取る「即時買取」との違いです。即時買取は、査定後すぐに不動産会社と売買契約を結び、最短で数週間〜1か月程度での現金化が可能です。一方、買取保証は仲介期間をはさむため、成約までの期間は即時買取より長くなりますが、仲介による高値での売却にチャレンジできる点が異なります。「早さ」を最優先するなら即時買取、「価格と確実性のバランス」を取りたいなら買取保証、という向き不向きの違いがあります。

買取保証を提供している不動産会社の探し方

買取保証は、すべての不動産会社が扱っているサービスではありません。大手の仲介会社や、自社グループに買取専門会社を持つ会社が提供していることが多く、対応の可否や条件(保証価格の算定方法・保証期間・売り出し価格の上限)は会社ごとに差があります。査定を依頼する際は、「仲介の想定価格」だけでなく、「買取保証を利用する場合の保証価格と保証期間」を必ず併せて尋ねるようにしてください。一括査定サイトなどで複数社に問い合わせる場合も、買取保証の対応可否を条件として伝えておくと、比較がしやすくなります。なお、同じ会社でも支店やエリアによって取り扱いの有無が異なることがあるため、電話やメールで事前に確認しておくと二度手間を防げます。

買取保証・仲介・買取(即時)・有料引き取りの手取り比較【比較表】

空き家・実家の手放し方は、大きく分けて4つの選択肢があります。なお、当事務局は宅地建物取引業者ではないため、査定・売買契約は提携する宅地建物取引業者が直接担当し、当事務局は窓口の取次と家財の片付けを担当する形になります。「当社が買い取ります」というご案内はしておらず、あくまで提携業者への橋渡しである点をご理解ください。

方法 価格の目安 期間の目安 向いているケース 注意点
①仲介 相場に近い(最も高くなりやすい) 3〜6か月以上、売れ残ることもある 時間をかけられる、少しでも高く売りたい 売れ残るリスク・仲介手数料(価格×3%+6万円+税)が必要
②買取保証付き仲介 仲介成約なら相場並み、買取移行なら相場の7〜8割程度 保証期間(多くは3〜6か月)+成約までの実務日数 期限までに確実に手放したいが、仲介の高値も狙いたい 保証期間中は他社への切り替えがしにくい、売り出し価格に上限を設けられる場合がある
③買取(即時) 相場の7〜8割程度 2週間〜1か月程度 とにかく早く現金化したい、家財が残っている、訳ありで仲介が難しい 仲介手数料は不要。契約不適合責任が免責される契約が一般的
④有料引き取り(解体前提の譲渡) 売却額がゼロ〜マイナス(引き取り料が発生することも) 1〜2か月程度 倒壊寸前・再建築不可・境界紛争ありで買い手がつかない物件 悪質業者による高額請求トラブルに注意。複数社比較が必須

この4つのうち、①〜③はいずれも売主に売却代金が入る点で共通しますが、価格と確実性のバランスが異なります。判断のポイントは、「片付けてから高値を狙うか」「片付けを最小限にして早く確実に終わらせるか」を、片付け費用・仲介手数料・保証期間の長さまで含めた手取り額で比較することです。「とにかく高く」を優先するなら①仲介、「期限は決めたいが高値も諦めたくない」なら②買取保証、「早さと確実性」を優先するなら③買取、他の方法では動かない物件は④有料引き取りが選択肢になります。判断材料をそろえる第一歩として、空き家買取や実家の売却の概算額を確認しておくと、保証価格が妥当かどうかを見極めやすくなります。

手取り額シミュレーション|同じ物件を3パターンで売った場合

言葉だけでは違いがイメージしにくいため、査定額(仲介での想定成約価格)が1,200万円の実家を例に、3パターンの手取り額を比較します。譲渡費用(測量費・清掃費等)は含めず、売却時にかかる仲介手数料の有無のみで比較した簡易シミュレーションです。

①仲介で成約 ②買取保証→買取に移行(相場の75%と仮定) ③最初から買取(相場の75%と仮定)
売却額 1,200万円 900万円 900万円
仲介手数料(税込目安) 約45.4万円(1,200万円×3%+6万円+消費税) 0円(買取のため不要) 0円(買取のため不要)
手取り額の目安 約1,154.6万円 約900万円 約900万円
成約までの期間の目安 3〜6か月以上(売れ残りリスクあり) 保証期間内に仲介で売れなければ買取(合計で数か月〜半年程度) 2週間〜1か月程度

この例では、仲介で成約できれば手取り額は買取よりも250万円以上多くなります。一方、買取保証は「仲介で成約すれば①と同じ手取り」「成約しなければ③相当の手取り」という、いわば①と③の“両取り”を狙える仕組みです。ただし、保証期間中は他社への切り替えがしにくい、売り出し価格に上限が設けられる場合があるといった制約もあるため、単純に「得な選択肢」とは言い切れません。自分の物件が仲介で成約しやすい条件(立地・状態・価格設定)を満たしているかどうかも、あわせて判断材料にしてください。なお、上記の試算はあくまで一例であり、実際の仲介手数料は消費税率や地域の慣行によって多少前後することがあります。また、測量費・解体費・残置物撤去費などが別途必要になる場合は、それぞれの見積もりを合算したうえで、最終的な手取り額を比較することをおすすめします。

買取保証付き仲介の流れ|申込みから引き渡しまで

買取保証付き仲介は、おおむね次のようなステップで進みます。不動産会社によって細部の呼び方は異なりますが、基本構造は共通しています。

ステップ 内容
①査定 仲介した場合の想定売却価格と、買取に切り替わった場合の買取保証価格の両方を提示してもらう
②媒介契約・買取保証契約 仲介の媒介契約と合わせて、買取保証の条件(保証価格・保証期間)を書面で取り交わす
③仲介での売り出し 保証期間中、通常の仲介と同様に広告掲載・内覧対応を行い、市場価格に近い成約を目指す
④期限内に成約した場合 個人の買い手と通常の仲介と同じ条件で売買契約・引き渡し
⑤期限までに成約しなかった場合 あらかじめ合意していた保証価格で不動産会社が買い取り、契約・引き渡し

保証期間は不動産会社や物件の条件によって幅がありますが、業界内では「おおむね3か月〜6か月程度」を目安とするケースが多く見られます(不動産会社各社の公表情報による目安であり、公的な統計値ではありません)。期間が短いほど「早く確実に終わる」安心感がある一方、仲介での高値成約を狙う時間は短くなります。反対に期間が長いほど高値を狙いやすくなりますが、その分「結局買取に切り替わるまで時間がかかった」という結果になる可能性もあります。査定を受ける際は、保証価格だけでなく保証期間の長さも必ず確認し、自分の売却スケジュールに合っているかを照らし合わせてください。保証期間の途中で「このまま仲介を続けるか、早めに買取に切り替えるか」を選べる契約もあるため、契約前にこうした柔軟性の有無も確認しておくと安心です。

ここまでで「うちの場合はいくらになる?」と思ったら

提携の宅地建物取引業者が、仲介での想定価格と買取保証価格の両方を査定します。家財が残っている場合は、片付けの見積もりとあわせて窓口で承ります。

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買取保証のメリット・デメリット

メリット

内容
メリット① 「売れ残ったらどうしよう」という不安を抱えずに、仲介で強気の売り出し価格に挑戦できる
メリット② 保証期間を過ぎれば必ず売却できるため、引き渡し時期の見通しが立てやすい
メリット③ 買取に切り替わった場合、仲介手数料がかからない
メリット④ 買取に切り替わった場合、契約不適合責任が免責される契約が一般的で、引き渡し後のトラブルリスクが小さい
メリット⑤ 住み替え・老人ホーム入居などスケジュールが決まっている場合でも計画を立てやすい

デメリット・注意点

内容
デメリット① 買取に切り替わった場合の価格は、仲介成約に比べて低くなりやすい(相場の7〜8割程度が目安)
デメリット② 保証期間中は他の不動産会社への切り替え(媒介替え)がしにくいことが多い
デメリット③ 売り出し価格に上限(査定額の1〜1.5割増し程度まで、など)が設けられる場合がある
デメリット④ 「どうせ最後は買取になる」という前提で、積極的な販売活動をしてもらえない可能性がある
デメリット⑤ 保証価格の根拠や保証期間の長さが不動産会社によって差があり、比較を怠ると損をする可能性がある

デメリット④のように、仲介活動が形だけになってしまう懸念は、買取保証を検討する際によく指摘される点です。契約前に「保証期間中はどのような販売活動を行うか(ポータル掲載の有無・内覧対応の頻度など)」を書面や重要事項説明で具体的に確認し、口頭の説明だけで済ませないことが、後悔を防ぐポイントになります。仲介活動の状況は、契約後も定期的な販売活動報告(レインズの登録状況・問い合わせ件数・内覧件数など)を求めることで、途中経過を把握しやすくなります。

買取保証を使う際に確認しておきたいこと

買取保証は仕組みが分かりやすい一方、契約内容によって条件に差が出やすい売却方法でもあります。契約前に、次の点を書面で確認しておくことをおすすめします。

確認項目 チェックのポイント
保証価格の算定根拠 近隣の成約事例・土地値・解体費控除の内訳を説明してもらえるか
保証期間 何か月に設定されるか。自分の住み替え・老人ホーム入居等のスケジュールと合っているか
売り出し価格の上限 査定額に対して何割増しまでの価格設定が認められるか
仲介期間中の販売活動 ポータルサイト掲載・内覧対応の頻度・レインズ登録の有無
媒介契約の種類 専任媒介・専属専任媒介など、他社への切り替えがしにくい契約になっていないか
買取移行時の契約条件 契約不適合責任の範囲、引き渡し時期、残置物の扱い
宅地建物取引業者の免許番号 都道府県知事免許・国土交通大臣免許のいずれか、更新回数(信頼性の参考情報)
途中解約・違約金の有無 保証期間中に事情が変わり契約を取りやめる場合、違約金や費用負担が発生しないか

特につまずきやすいのが「保証価格の算定根拠」と「売り出し価格の上限」の2点です。この2つを確認しないまま契約すると、後になって「思ったより安い価格で買取になった」「そもそも高値で売り出せなかった」という不満につながりやすくなります。複数の不動産会社から査定を取り、保証価格・保証期間・上限価格を並べて比較したうえで契約先を選ぶことをおすすめします。1社だけの説明を鵜呑みにせず、少なくとも2〜3社の条件を並べて比較することが、納得できる契約につながります。

家財の片付けと買取保証を同時に進める方法

実家・空き家を売却する場合、多くのケースで問題になるのが「家財が残ったままでは売却できるのか」という点です。買取に切り替わった場合、残置物ありのまま買い取ってもらえる業者もありますが、撤去費用が査定額(保証価格)から差し引かれるのが一般的です。仲介での成約を狙う保証期間中も、内覧の印象を良くするために、生活感の強い家財だけでも先に片付けておくと、成約の可能性が高まりやすくなります。片付けの進め方や費用の相場は、実家じまい代行や遺品整理サービスで相談できます。仕分けの段階で「形見として残す物」「売却前に処分する物」「そのまま買取業者に引き渡す物」を分けておくと、査定・契約の段階でスムーズに進みます。買取金額から片付け費用を差し引ける場合もあるため、費用面の負担を抑えたい場合は、査定時にあわせて相談してみてください。遠方にお住まいで立ち会いが難しい場合も、鍵をお預かりして仕分け・搬出を進める対応が可能です。

空き家の税金の特例と買取保証の関係

譲渡所得税の基本

不動産を売って利益(譲渡所得)が出ると、所得税・住民税がかかります。所有期間5年超の長期譲渡所得の場合、税率は合計約20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)です(国税庁タックスアンサーNo.3208)。相続した不動産の所有期間は被相続人の取得時から通算されるため、親が長年住んでいた実家はほとんどの場合この長期譲渡に該当します。買取保証の場合も、仲介成約・買取移行のいずれであっても、譲渡所得税の計算方法自体は変わりません。

取得費が分からない場合の「概算取得費」

親がいつ・いくらで購入したか分からない場合、取得費は売却代金の5%(概算取得費)としてしか計上できません(国税庁タックスアンサーNo.3258「取得費が分からないとき」)。取得費が小さいほど譲渡所得は大きく計算され、税負担も増えるため、古い実家ほどこの点が手取り額に大きく影響します。

空き家の3,000万円特別控除(相続空き家特例)

相続または遺贈により取得した被相続人の居住用家屋(空き家)やその敷地を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円(相続人が3人以上の場合は一人あたり最高2,000万円)を控除できます(国税庁タックスアンサーNo.3306)。主な要件は次のとおりです。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(区分所有建物は対象外)
  • 相続開始の直前まで被相続人が一人で住んでいたこと(一定の要件を満たす老人ホーム入居は例外あり)
  • 相続から譲渡まで事業用・貸付用・居住用に使っていないこと
  • 耐震基準に適合させて売る、または家屋を取り壊して更地で売ること
  • 譲渡対価が1億円以下であること
  • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ制度の適用期限である令和9年(2027年)12月31日までの譲渡であること

この特例は、仲介で成約した場合はもちろん、買取保証で不動産会社に買い取ってもらった場合でも要件を満たせば適用できます。買取は仲介より価格が下がりやすい分、この特例が使えるかどうかが手取り額に直結します。

特例を使った場合と使わない場合の税額シミュレーション

取得費が不明で概算取得費(売却代金の5%)を使うケースを例に、買取保証で1,000万円で売却したときの税額の違いを比較します。譲渡費用(仲介手数料・印紙代等)を50万円とすると、譲渡所得は「1,000万円-取得費50万円(概算取得費5%)-譲渡費用50万円=900万円」です。

特例なし 3,000万円特別控除あり
譲渡所得 900万円 900万円-3,000万円=0円(控除しきれない分は切り捨て)
税額(約20.315%) 約183万円 0円
手取りへの影響 売却額からさらに約183万円が減る 売却額がそのまま手取りに近づく

買取保証で価格が下がりやすい分、特例が使えるかどうかは手取り額に直結します。特につまずきやすいのは「昭和56年5月31日以前の建築」と「区分所有建物でないこと」の2点です。要件の詳細や、相続人が複数いる場合の按分計算、老人ホーム入居中のケースなどは、当サイトの空き家の3,000万円特別控除の解説記事で個別のシミュレーションつきで解説しています。

売らずに放置するとどうなるか|管理不全空き家・特定空き家のリスク

「保証期間の設定に迷うから」「片付けが大変だから」と売却の判断を先送りにすると、かえって費用負担が増えることがあります。空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)に基づき、放置された空き家は市区町村から「管理不全空き家」「特定空き家」に指定される場合があります(国土交通省)。指定されると、次のような影響が生じ得ます。

  • 固定資産税・都市計画税の住宅用地特例(最大1/6の軽減)が解除され、税額が実質的に最大6倍程度に上がる可能性がある
  • 市区町村から助言・指導、勧告、命令の対象になる
  • 命令に従わない場合、行政代執行により解体され、費用を所有者に請求されることがある

総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」では、全国の空き家数は900万戸を超え、空き家率は13.8%と過去最高を更新しています。相続をきっかけに空き家を抱える家庭は年々増えており、「保証期間や価格に納得できるまで様子を見る」という判断自体は間違いではありませんが、判断を先送りにしたまま放置期間が延びると、税負担の増加や資産価値の低下につながりやすくなる点には注意が必要です。売却の方法を決めきれない場合も、まず査定だけを受けて手元に判断材料をそろえておくと、実際に動くタイミングを逃しにくくなります。特に、雑草の繁茂・不法投棄・外壁の劣化などが目立つ空き家は「管理不全空き家」に指定されやすい傾向があるため、売却の判断と並行して、最低限の見回りや簡易的な管理だけでも続けておくことをおすすめします。

相続登記が済んでいない場合の注意

親名義のままでは、仲介・買取いずれの場合も売買契約を結べません。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得ます(法務局「相続登記の申請義務化について」)。買取保証の査定・媒介契約自体は名義変更前でも受けられますが、保証期間中に相続登記が完了していないと、期限までに成約・買取移行の手続きが進められないおそれがあります。査定を依頼するタイミングで、司法書士への相談や相続登記の手続きを並行して進めておくことをおすすめします。相続人が複数いる場合は、遺産分割協議がまとまっていることも売買契約の前提条件になるため、名義の確認と合わせて、誰がどの持分を相続するかの話し合いも早めに済ませておくと、保証期間内の成約・買取移行がスムーズになります。

ケース別に見る、買取保証を選ぶべきかの判断

買取保証が向いているかどうかは、家族の状況やスケジュールによって変わります。よくあるパターンを四つ挙げて、それぞれの考え方を整理します。

ケースA:老人ホーム入居や住み替えの時期が決まっている

入居金の支払い時期など、資金が必要になる期限が明確な場合は、保証期間を「その期限より少し前」に設定できるかを確認したうえで、買取保証を検討する価値があります。期限までは仲介で高値を狙い、間に合わなければ確実に現金化できる安心感があります。保証期間の終了日から、実際に買取契約・引き渡しまでにかかる実務日数(1〜2週間程度)も見込んで、資金が必要な日から逆算してスケジュールを組むことをおすすめします。

ケースB:とにかく高く売りたいが、期限も決めておきたい

純粋な仲介だと「いつ売れるか分からない」不安がある一方、最初から買取だと価格面で妥協することになります。買取保証は、この両者の間を取る選択肢です。保証価格に納得できるなら、仲介での高値成約にまず挑戦し、ダメなら買取という進め方が合理的です。保証期間をやや長め(例えば6か月程度)に設定できる会社であれば、仲介での成約チャンスを広げやすくなります。

ケースC:家財が大量に残っていて片付けの時間が取れない

片付けが進まないまま仲介での内覧を受け入れるのは負担が大きくなりがちです。先に貴重品・思い出の品だけを取り分けて保管し、それ以外の家財の片付けを進めながら、並行して買取保証の査定を受ける方法もあります。片付けの見積もりと売却の見積もりを同じ窓口でまとめて相談すると、スケジュールを組みやすくなります。

ケースD:再建築不可・境界未確定などの訳あり物件

接道義務を満たさない再建築不可物件や、境界が確定していない物件は、そもそも仲介市場で買い手がつきにくく、買取保証の保証期間中も成約に至らないまま買取に移行するケースが多くなります。この場合は、最初から訳あり物件を専門に扱う買取業者への相談や、有料引き取りも含めた比較を検討したほうが、時間の無駄が少なくなることもあります。

「自己発見取引」と専任媒介契約の関係

買取保証を利用する場合、多くの不動産会社は「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」を前提とします。専任媒介契約では、自分で買い手を見つけてくる「自己発見取引」が認められていますが、専属専任媒介契約では自己発見取引ができず、必ず契約した不動産会社を経由する必要があります。たとえば「近所の知人が買いたいと言っている」「親族に売りたい」といった話が出てきそうな場合は、専属専任媒介ではなく専任媒介を選べるか、契約前に確認しておくと選択肢を狭めずに済みます。買取保証を提供する不動産会社の中には、専属専任媒介のみを条件とする会社もあるため、自己発見取引の可能性が少しでもある場合は、契約前に明確に伝えておくことをおすすめします。

保証価格に納得できないときの交渉のポイント

提示された保証価格や保証期間に納得できない場合、そのまま契約せず、次のような点を確認・交渉してみることをおすすめします。

  • 査定額の根拠を数字で説明してもらう——近隣の類似物件の成約事例、土地値、解体費控除の内訳など、具体的な数字での説明を求めます。根拠が曖昧なまま「相場的にこのくらい」と言われる場合は、他社にも相談してください。
  • 保証期間を延ばせないか相談する——保証期間が短いと感じる場合、期間を延長できるか(例えば3か月から6か月へ)交渉の余地があるか確認します。期間が延びれば、仲介での高値成約のチャンスも広がります。
  • 他社の査定額と比較材料として提示する——複数社から査定を取っている場合、他社の保証価格や条件を伝えることで、条件の見直しに応じてもらえることがあります。
  • 片付け・解体費用込みでの提案を求める——家財が残っている、老朽化が進んでいるなどの事情がある場合、片付けや解体を含めた総合的な提案を依頼すると、実質的な手取り額が改善することがあります。

いずれの交渉も、複数社の査定額という「比較材料」があって初めて成立します。1社だけの提示額を基準に判断せず、必ず2〜3社以上から話を聞いたうえで、条件を比較検討することが、納得できる契約につながります。

神奈川県で実家の買取保証を検討する場合の例

保証価格・保証期間の相場感は、エリアの不動産市況によっても変わります。たとえば神奈川県内の実家を対象にする場合、エリアごとの成約事例や解体費相場を踏まえた査定が必要になるため、地域事情に詳しい提携業者への相談が判断材料になります。神奈川県の空き家買取のページでは、地域の目安をあわせて確認できます。他の都道府県の実家を検討している場合も、まずはエリア別のページで大まかな相場感をつかんでから、個別の査定に進むことをおすすめします。

買取保証によくある誤解

買取保証は仕組みがシンプルに見える分、思い込みによる誤解も少なくありません。契約前に整理しておきたい点をまとめました。

誤解①「買取保証を付ければ必ず高く売れる」

買取保証はあくまで「期限内に必ず売却できる」ことを保証する仕組みであり、「高値で売れること」を保証するものではありません。保証期間中に仲介で成約できなければ、結局は保証価格(相場の7〜8割程度)での売却になります。高値での成約を実現するには、適切な売り出し価格の設定や、内覧対応・物件の見せ方の工夫が引き続き必要です。

誤解②「保証価格は途中で変更できない」

契約内容によっては、保証期間の途中で市況の変化などを理由に保証価格の見直しが行われる場合があります。ただし、これは会社ごとの契約条件次第であり、一律に変更できる・できないと言い切れるものではありません。保証価格の見直しの有無やタイミングについても、契約前に確認しておくと安心です。

誤解③「買取保証は大手不動産会社しか扱っていない」

買取保証は大手仲介会社での取り扱いが目立ちますが、地域に根ざした中小の不動産会社でも、グループ内に買取部門を持つ、あるいは提携する買取業者と組んで買取保証に近いサービスを提供している場合があります。地元の物件事情に詳しい会社のほうが、地域特有の需要(用途地域・再建築の可否など)を踏まえた保証価格を提示してくれることもあるため、大手だけでなく地域の会社にも査定を依頼してみる価値があります。

誤解④「保証期間中は何もしなくてよい」

保証期間があるからといって、売主側が何もしなくてよいわけではありません。内覧の受け入れ、物件の清掃・整理、必要書類の準備などは、仲介での成約可能性を高めるために売主自身が関わる部分です。特に家財が残っている場合は、片付けを並行して進めておくことで、内覧時の印象が良くなり、仲介での成約につながりやすくなります。

よくある質問

買取保証と普通の仲介の違いは何ですか?
普通の仲介には売却期限の保証がなく、売れ残る可能性があります。買取保証は、一定期間(多くは3〜6か月程度)仲介で売り出し、期限までに売れなければあらかじめ決めた価格で不動産会社が買い取る仕組みです。「仲介の高値」を狙いつつ、「期限内に必ず売却できる」確実性を得られる点が違いです。
買取保証の価格は、仲介と比べてどのくらい安くなりますか?
買取に切り替わった場合の価格は、不動産会社各社の公表情報による目安として、仲介の想定価格のおおむね7〜8割程度とされています。あくまで目安であり、正式な保証価格は物件の立地・状態・査定を行う会社によって変わります。
買取保証の期間はどのくらいですか?
不動産会社や物件条件によって幅がありますが、業界内では3か月〜6か月程度を目安とするケースが多く見られます。契約前に、自分の住み替えや資金が必要な時期と保証期間が合っているかを確認することをおすすめします。
買取保証の保証期間中に、他の不動産会社に切り替えることはできますか?
専任媒介・専属専任媒介などの契約形態が前提になっていることが多く、保証期間中は他社への切り替え(媒介替え)がしにくいのが一般的です。契約前に媒介契約の種類と、途中解約の条件を確認しておくことをおすすめします。
買取保証で買取に切り替わった場合、仲介手数料はかかりますか?
買取は不動産会社が売買当事者になるため、一般的に仲介手数料はかかりません。一方、保証期間中に個人の買い手と成約した場合は、通常の仲介と同様に仲介手数料(価格×3%+6万円+税が上限の目安)が発生します。
家財が残ったままでも買取保証を利用できますか?
利用できる場合が多いですが、残置物の撤去費用が保証価格から差し引かれるのが一般的です。仲介期間中の内覧の印象を良くするためにも、生活感の強い家財だけでも先に片付けておくことをおすすめします。片付けは実家じまい代行や遺品整理サービスで相談できます。
相続登記が済んでいなくても買取保証の査定は受けられますか?
査定自体は名義変更前でも受けられますが、実際の売買契約には相続登記(名義変更)が完了している必要があります。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得ます(法務局)。保証期間中に間に合うよう、早めに手続きを進めることをおすすめします。
空き家の3,000万円特別控除は、買取保証で買取になった場合も使えますか?
要件を満たせば使えます。仲介・買取のいずれで売却したかにかかわらず、被相続人の居住用家屋であることなど国税庁の定める要件(タックスアンサーNo.3306)を満たしていれば、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます。該当するかどうかは早めに確認することをおすすめします。
買取保証の保証価格に納得できない場合はどうすればいいですか?
1社の提示額だけで判断せず、必ず2〜3社以上に査定を依頼して比較することをおすすめします。保証価格の内訳(土地値・解体費控除・リフォーム費控除など)を説明してもらい、根拠が曖昧な場合は他社にも相談してください。契約を急かす業者には特に注意が必要です。
当事務局は買取保証の契約に関わってもらえますか?
安心実家じまい事務局は宅地建物取引業者ではないため、査定・媒介契約・買取契約そのものは提携する宅地建物取引業者が担当します。当事務局は、片付け・遺品整理と査定・契約の窓口を一本化し、段取りの整理や進捗のご案内を担当します。家財が残っている場合は、片付けの見積もりと査定を並行して進められるようサポートします。
自分で買い手を見つけた場合、買取保証は使えなくなりますか?
契約が専任媒介であれば、自分で買い手を見つける「自己発見取引」が可能です。一方、専属専任媒介契約の場合は自己発見取引ができず、必ず契約した不動産会社を経由する必要があります。知人や親族への売却の可能性が少しでもある場合は、契約前にどちらの媒介契約になるかを確認しておくことをおすすめします。
再建築不可物件でも買取保証は使えますか?
契約自体は可能な場合がありますが、再建築不可物件は仲介市場で買い手がつきにくいため、保証期間中に成約に至らず、結果的に保証価格(買取)での売却になりやすい傾向があります。このような物件は、買取保証よりも先に、訳あり物件を専門に扱う買取業者へ相談したほうが、時間を無駄にしにくい場合があります。

買取保証に向いている人・向いていない人

ここまでの内容を踏まえ、買取保証が向いている人・向いていない人の傾向を整理すると、次のようになります。

向いている人 向いていない人
住み替え・老人ホーム入居などで資金が必要な期限が決まっている 売却時期にまったく制約がなく、時間をかけてでも最高値を狙いたい
「売れ残るかもしれない」という不安をなくして計画を立てたい 複数の不動産会社に同時並行で相談し、こまめに窓口を変えたい
立地・築年数から見て、仲介でも十分に成約が見込める物件を持っている 再建築不可・境界未確定など、仲介市場でそもそも売れにくい物件を持っている(買取や有料引き取りの検討が先)
片付け・査定・契約の窓口をできるだけ一本化したい 売り出し価格や販売活動の細部まで自分でコントロールしたい

特に、再建築不可物件や境界未確定の物件など、仲介市場でそもそも成約が難しい物件は、買取保証の保証期間中も成約に至らないケースが多く、実質的に「最初から買取と同じ結果」になりやすい点に注意が必要です。こうした物件は、買取保証よりも先に、訳あり物件を専門に扱う買取業者への相談を優先したほうが、時間を無駄にしにくくなります。逆に、駅から近い・築浅・接道良好といった条件がそろっている物件は、仲介での成約可能性が高く、買取保証を付けても実際には買取に移行しないまま仲介で売却できるケースが多く見られます。自分の物件がどちらの傾向に近いか、査定を依頼する不動産会社に率直に尋ねてみることも、判断の助けになります。

まとめ

買取保証は、仲介の「高値を狙える可能性」と、買取の「確実に売却できる安心感」を組み合わせた売却方法です。保証価格は仲介の7〜8割程度になりやすい一方、保証期間内に成約すれば仲介と同じ条件で売却できます。判断のポイントを振り返ります。

  • 買取保証は「仲介期間+期限内に売れなければ買取」の二段階構造。保証価格と保証期間を契約前に必ず確認する
  • 「片付けてから高く売るか、そのまま買取に出すか」を、片付け費用まで含めた手取り額で比較することが判断の軸
  • 買取に切り替わっても、要件を満たせば空き家の3,000万円特別控除は使える(国税庁タックスアンサーNo.3306)
  • 相続登記が済んでいないと売買契約に進めない。査定と並行して早めに手続きを進める
  • 放置期間が延びると、管理不全空き家・特定空き家に指定され固定資産税が上がるリスクがある
  • 当事務局は宅建業者ではなく、提携の宅地建物取引業者への窓口と、片付け・遺品整理を担当する

買取保証に正解の形はありません。売却の期限、片付けにかけられる時間、家族の事情に合わせて、無理のない選択肢を選んでいただければ十分です。判断に迷う場合は、まず仲介と買取保証の両方の査定額を比較するところから始めてみてください。片付けが必要な場合も、査定と同時に相談すれば、家財の仕分けから売却の窓口までを一つの流れで進められます。

参考にした主な一次情報

  • 国税庁タックスアンサーNo.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
  • 国税庁タックスアンサーNo.3258「取得費が分からないとき」
  • 国税庁タックスアンサーNo.3208「長期譲渡所得の税額の計算」
  • 法務局「相続登記の申請義務化について」
  • 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法」
  • 総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計」
読むより、聞いたほうが
早いこともあります

提携の宅地建物取引業者による仲介・買取保証・買取の査定と、家財の片付けまでを窓口ひとつでご相談いただけます。

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

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