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市街化調整区域の家は売れる?売却方法4つと税金の特例・放置のリスクを解説

最終更新日:2026年9月23日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 市街化調整区域の家は、都市計画法により新築・建て替えが原則制限されているため、一般の仲介市場では買い手がつきにくく、成約までに半年〜1年以上かかることも珍しくありません。
  • いちばん大事な判断は「片付けてから仲介で売るか、そのまま(現況渡しで)買取に出すか」を、片付け費用と売却額の差し引き=手取り額で比べることです。急いで結論を出す前に、まずは空き家買取(片付け不要・複数社査定)で概算額を確認しておくと判断しやすくなります。
  • 「既存宅地の建物」か「線引き前からの建物」かによって再建築の可否が変わり、価格が大きく左右されます。市区町村の都市計画課で無料確認できます。
  • 相続した空き家には、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります(国税庁タックスアンサーNo.3306)。期限は相続開始から3年目の年末、かつ制度全体の期限である令和9年(2027年)12月31日までです。
  • 売らずに放置すると、「管理不全空き家」「特定空き家」に指定され、固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が最大6倍になることがあります(空家法・国土交通省)。

「相続した実家が市街化調整区域にあると分かり、そもそも売れるのか不安になった」というご相談は、安心実家じまい事務局に多く寄せられます。市街化調整区域は、無秩序な開発を防ぐために都市計画法で市街化を抑制すべきと定められた区域で、国土交通省の公表資料によれば全国の面積のおよそ1割、人口にして約1,000万人がこの区域に居住しているとされます。「建て替えができない」「住宅ローンが通りにくい」といった理由から一般の仲介市場では敬遠されがちですが、売却の方法自体は複数あり、既存宅地としての要件を満たせば仲介での成約も可能です。本記事では、市街化調整区域の家を売る具体的な方法・価格が決まる仕組み・使える税金の特例・放置するリスクまでを、一次情報に基づいて整理しました。

目次

市街化調整区域とは?なぜ家が売りにくいのか

市街化調整区域は、都市計画法に基づき「市街化を抑制すべき区域」として指定された土地区分です。都市計画区域は「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引き区域」の3つに大別され、市街化区域が積極的にインフラ整備を進めて宅地化を促す区域であるのに対し、市街化調整区域は農地や山林を保全し、無計画な乱開発を防ぐことを目的としています。この線引き(区域区分)は1968年制定の新都市計画法に基づくもので、国土交通省の資料では2022年3月時点の市街化調整区域の面積は全国でおよそ376万ヘクタール、国土の約10%にのぼるとされています。

区域内では、都道府県知事等の開発許可を受けない限り、原則として農業や公共目的以外での新たな建築物の建築・用途変更ができません(都市計画法第29条・第34条、国土交通省「開発許可制度の概要」)。これが市街化調整区域の家が売りにくい最大の理由です。買い手が「将来建て替えられない」「増改築の許可が下りにくい」と判断すれば、住宅ローンの審査でも金融機関が評価を下げやすく、現金購入者や専門の買取業者以外には買い手が限られる傾向があります。

「既存宅地」「線引き前建築」かどうかで再建築の可否が変わる

市街化調整区域内でも、区域指定(線引き)が行われる前からすでに宅地として建物が建っていた土地は、都市計画法上の例外規定(既存宅地の取扱い・都市計画法第43条の許可基準等)により、一定の条件下で建て替えや増改築が認められる場合があります。逆に、線引き後に無許可で建てられた建物や、農地から違法に転用された建物は、建て替え時に開発許可を取得できず、実質的に「今建っている建物を維持するしかない」状態になっていることもあります。この違いは物件の評価に直結するため、売却を検討する段階で、建物がいつ・どのような許可を得て建てられたかを確認しておく必要があります。

調べ方:市区町村の都市計画課・建築指導課で無料確認できる

自分の実家が市街化調整区域に該当するか、また建て替えが可能な区分かどうかは、物件所在地の市区町村役場にある都市計画課(または都市整備課)で、地番を伝えれば無料で確認できます。あわせて建築指導課で「建築計画概要書」「建築確認台帳」の閲覧・写しの交付を申請すると、建築時にどの許可(開発許可・43条許可等)を得ていたかが分かります。売却を依頼する不動産会社や買取業者にとっても、この資料の有無は査定額を左右する重要な判断材料になります。

非線引き区域・都市計画区域外との違い

都市計画区域には、市街化区域・市街化調整区域のほかに、区域区分をあえて定めていない「非線引き区域(区域区分非設定区域)」や、そもそも都市計画区域の指定を受けていない「都市計画区域外」もあります。これらの区域では市街化調整区域のような一律の建築制限がなく、用途地域の指定がなければ比較的自由に建築できる場合があります。実家が市街化調整区域だと聞いていても、実際には非線引き区域や都市計画区域外に立地しているケースもあるため、区分の名称を思い込みで判断せず、必ず都市計画課で正式な区域区分を確認してください。区分によって、後述する売却方法や価格の下がり方が大きく変わります。

住宅ローンの審査への影響

市街化調整区域の物件は、建て替えの可否や資産としての流動性の低さから、金融機関が担保評価を保守的につける傾向があります。既存宅地要件を満たし建て替え可能な物件であれば通常の住宅ローンが利用できることもありますが、再建築不可の物件では住宅ローンの利用自体が難しく、現金一括での購入者や専門の買取業者に買い手が限定されやすくなります。この点も、仲介での成約に時間がかかる理由の一つです。

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市街化調整区域の家を売る4つの方法【比較表】

市街化調整区域の家は「売れない」わけではなく、「一般の仲介市場では売りにくい」というのが実情です。実際には以下の4つの方向性があり、物件の条件と急ぎ度によって向き不向きが分かれます。

方法 価格 期間の目安 向いているケース
①現況のまま仲介で売る 市街化区域の同等物件より2〜4割程度低くなりやすい 半年〜1年以上 既存宅地要件を満たし、建て替え可能な物件
②専門の買取業者に売る 仲介想定価格の5〜7割程度 2週間〜1か月 再建築不可・買い手がつきにくい物件、早く現金化したい
③農地・山林として売る(地目が農地の場合) 宅地としての評価より大幅に低くなりやすい 1〜3か月以上(農業委員会の許可が必要) 建物がなく、地目が農地・山林のまま残っている土地
④駐車場・資材置き場等に活用しつつ保有を続ける 売却ではないが管理不全化を防げる 随時 すぐに売却先が見つからず、当面の管理負担を抑えたい

建物が建築基準法上の接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接していること)を満たし、かつ既存宅地の要件を満たしていれば、①の仲介でも一定の需要が見込めます。一方、再建築不可・老朽化が進んでいる・境界が未確定といった条件が重なる物件は、②の専門買取業者への相談が現実的な選択肢になります。なお、当事務局は宅地建物取引業者ではないため、査定・契約は提携の宅地建物取引業者が直接行い、当事務局は相談窓口の取次と、片付けが必要な場合の家財整理を担当する形になります。「当社が買い取ります」というご案内はしておりません。

④の駐車場・資材置き場・太陽光発電用地としての活用は、建物を新たに建築しない用途であれば開発許可が不要、または簡易な手続きで進められる場合があります。売却先がすぐに見つからない場合の当面の管理負担軽減策として選ばれることが多く、月額の賃料収入を得ながら、並行して買い手を探すという進め方も可能です。ただし活用にも初期費用(整地・舗装・フェンス設置等)がかかるため、収支の見通しを立ててから着手することをおすすめします。

買取・仲介・有料引き取りの3択比較表

売却の判断に迷ったときは、価格・期間・向いているケースを一覧で比べると整理しやすくなります。市街化調整区域の物件は、立地や既存宅地要件の有無によってこの3択のどれが現実的かが変わってきます。

方法 価格 期間 向いているケース 注意点
①仲介 相場に近い(最も高くなりやすいが、市街化調整区域は相場自体が低め) 半年〜1年以上 既存宅地要件を満たし、建て替え可能。時間をかけられる 売れ残るリスクが市街化区域より高い。仲介手数料(価格×3%+6万円+税)が必要
②買取 仲介想定の5〜7割程度 2週間〜1か月 再建築不可・老朽化・境界未確定など訳ありの物件、早く現金化したい 仲介手数料は不要。契約不適合責任が免責される契約が一般的
③有料引き取り(解体前提の譲渡) 売却額がゼロ〜マイナス(引き取り料が発生することも) 1〜2か月 買い手がつかない山間部・接道なし・倒壊寸前の物件 悪質業者による高額請求トラブルに注意。複数社比較が必須

「まず①の仲介査定で市場価格の目安を確認し、反響がなければ②の買取に切り替える」という段取りが、結果的に手取りを最大化しやすい進め方です。ただし市街化調整区域は仲介での反響自体が乏しいことが多いため、最初から①②を並行して査定依頼することをおすすめします。③の有料引き取りは、他の方法では現実的に売却が難しい特殊なケースの最終手段と位置づけてください。

売却前に確認すべき5つのポイント

1. 既存宅地の要件を満たしているか

区域指定(線引き)前から宅地であった証拠(登記事項証明書の地目変更履歴、旧公図、固定資産税の課税履歴等)があるかどうかで、建て替えの可否が変わります。市区町村によっては「既存宅地確認申請」の制度自体が廃止され、都市計画法第34条各号の個別審査に一本化されているケースもあるため、最新の運用は必ず物件所在地の自治体窓口で確認してください。

2. 接道義務を満たしているか

建築基準法上、建物を建てる(建て替える)ためには幅員4m以上の道路に2m以上接している必要があります。市街化調整区域の物件は、農道や里道にしか接していないケースもあり、この場合は市街化区域以上に再建築不可のリスクが高くなります。

3. 地目は宅地か農地・山林か

登記簿上の地目が農地のままになっている場合、売却には農業委員会の許可(農地法第3条・第5条)が必要になり、買い手も農業従事者や農地所有適格法人等に限定されることがあります。実家として住んでいた建物の敷地でも、一部が地目「畑」のまま残っているケースは珍しくないため、登記事項証明書で地目を確認しておくと手続きの見通しが立てやすくなります。

4. 相続登記は済んでいるか

親名義のままでは売買契約を結べません。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得ます(法務局「相続登記の申請義務化について」)。査定を受ける前、遅くとも契約前までに名義を確認・整理しておく必要があります。

5. インフラ(上下水道)の整備状況

市街化調整区域は市街化区域に比べてインフラ整備が後回しにされてきた経緯があり、上水道が未整備で井戸水を使用している、下水道が未接続で浄化槽・汲み取り式になっているといった物件も少なくありません。給排水設備の状況は査定額に直接影響するため、事前に確認しておくと、業者への説明もスムーズになります。

市街化調整区域の家を売却したときの税金と使える特例

譲渡所得税の基本

不動産を売って利益(譲渡所得)が出ると、所得税・住民税がかかります。所有期間5年超の長期譲渡所得の場合、税率は合計約20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)です(国税庁タックスアンサーNo.3208)。相続した不動産の所有期間は被相続人の取得時から通算されるため、親が長年住んでいた実家はほとんどの場合この長期譲渡に該当します。

取得費が分からない場合の「概算取得費」

親がいつ・いくらで購入したか分からない場合、取得費は売却代金の5%(概算取得費)としてしか計上できません(国税庁タックスアンサーNo.3258「取得費が分からないとき」)。取得費が小さいほど譲渡所得は大きく計算されるため、古い実家ほどこの特例の有無が手取り額に大きく影響します。

空き家の3,000万円特別控除(相続空き家特例)は市街化調整区域でも使えるか

相続または遺贈により取得した被相続人の居住用家屋(空き家)やその敷地を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円(相続人が3人以上の場合は一人あたり最高2,000万円)を控除できます(国税庁タックスアンサーNo.3306)。この特例に「市街化区域限定」という条件はなく、市街化調整区域の物件でも次の要件を満たせば適用対象になります。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(区分所有建物は対象外)
  • 相続開始の直前まで被相続人が一人で住んでいたこと(一定の要件を満たす老人ホーム入居は例外あり)
  • 相続から譲渡まで事業用・貸付用・居住用に使っていないこと
  • 耐震基準に適合させて売る、または家屋を取り壊して更地で売ること
  • 譲渡対価が1億円以下であること
  • 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ制度の適用期限である令和9年(2027年)12月31日までの譲渡であること

ただし、市街化調整区域では「家屋を取り壊して更地で売る」場合、更地にした後の土地の使い道が制限されるため、買い手がつきにくいまま特例の期限だけが過ぎてしまうリスクもあります。特例の適用を検討する場合は、更地化する前に買取業者・不動産会社へ相談し、更地での需要を確認してから進めることをおすすめします。要件の詳細は国税庁の公式ページ(No.3306)でも確認できます。

税額シミュレーション:特例あり・なしの比較

取得費が不明で概算取得費(売却代金の5%)を使うケースを例に、買取価格800万円で売却したときの税額の違いを比較します。譲渡費用(仲介手数料・印紙代等)を40万円とすると、譲渡所得は「800万円-取得費40万円(概算取得費5%)-譲渡費用40万円=720万円」です。

特例なし 3,000万円特別控除あり
譲渡所得 720万円 720万円-3,000万円=0円(控除しきれない分は切り捨て)
税額(約20.315%) 約146万円 0円
手取りへの影響 売却額からさらに約146万円が減る 売却額がそのまま手取りに近づく

市街化調整区域の物件は市街化区域よりも売却額自体が低くなりやすい分、税額約146万円の差は手取りに大きく響きます。要件のうち特につまずきやすいのは「昭和56年5月31日以前の建築」の一点で、市街化調整区域の古い実家はこの年代に該当することが多いため、対象になる可能性は決して低くありません。適用できるかどうかは、売却前に必ず確認しておいてください。

売らずに放置するとどうなるか|管理不全空き家・特定空き家のリスク

「調整区域だから売れないだろう」と考えて相談自体を諦め、そのまま放置してしまうケースも少なくありません。しかし空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)に基づき、放置された空き家は市区町村から「管理不全空き家」「特定空き家」に指定される場合があります(国土交通省)。指定されると、次のような影響が生じ得ます。

  • 固定資産税の住宅用地特例が解除され、土地の固定資産税が最大6倍程度に上がる可能性がある
  • 市区町村からの助言・指導、勧告、命令の対象になり、勧告を受けると特例解除が確定する
  • 命令に従わない場合、行政代執行により強制的に解体され、費用を所有者に請求される場合がある
  • 周辺住民とのトラブル(倒壊・害獣・景観悪化を理由とした苦情)に発展する場合がある

市街化調整区域は農地・山林に囲まれた立地が多く、隣接地への獣害・雑草の越境といった苦情が寄せられやすい傾向もあります。既存宅地要件を満たさず再建築不可と分かった時点で「もう売れないから放置するしかない」と判断してしまう方もいますが、建物を解体して更地にすれば、駐車場・資材置き場・太陽光発電用地としての活用や売却の選択肢が広がることもあります。放置と解体・活用のどちらが長期的な負担を抑えられるかは、解体費用(木造30坪で90〜150万円程度が目安)と、放置した場合に想定される固定資産税の増額分を比較して判断するとよいでしょう。また総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によれば、全国の空き家数は900万2千戸、総住宅数に占める空き家率は13.8%(いずれも過去最多・過去最高)となっており、2018年調査(848万9千戸)と比べて51万3千戸増加しています。賃貸・売却用・二次的住宅を除いた「その他の空き家」は385万戸で、総住宅数に占める割合は5.9%です。空き家全体の増加を受けて自治体の指導も強化される傾向にあるため、「調整区域だから仕方ない」と先送りせず、早い段階で売却・買取の相談窓口に相場感だけでも確認しておくことをおすすめします。

ケース別シミュレーション|市街化調整区域の家はどう売れるか

実際によくある3つのケースで、売却の進め方の考え方を比較します。数字はいずれも一般的な考え方に基づく試算例であり、実際の査定額を保証するものではありません。

ケース 物件の状況 売却の考え方 向いている進め方
A:既存宅地要件を満たし、接道良好 線引き前からの建物で建て替え可能。市街化区域の類似地は1,500万円前後 建て替え可能な点をアピールできれば仲介でも需要が見込める。市街化区域の6〜8割=900〜1,200万円程度が目安 不動産会社に既存宅地証明の資料を提示し、仲介査定と買取査定を両方取る
B:線引き後の建築で再建築不可 建て替え不可、老朽化あり。近隣の類似地の相場は500万円前後 仲介市場では買い手がつきにくく、訳あり物件専門の買取業者で相場の5割前後=250万円前後になることが多い 早い段階で市街化調整区域を専門に扱う買取業者に相談
C:地目の一部が農地のまま、残置物多数 相続登記未了、農地転用が必要な部分あり。土地の相場は300万円程度 農業委員会の許可手続きが必要な分、通常の売却より時間がかかる。手続きが進むまでは有料引き取りも視野に 司法書士に相続登記を、行政書士や不動産会社に農地転用の可否を先に確認

ケースAのように既存宅地要件を満たす物件は、市街化調整区域であっても仲介での売却が現実的です。一方でケースB・Cのように建て替え不可や地目の問題が重なる物件は、通常の仲介市場では時間がかかりすぎるため、早い段階で専門業者への相談を優先したほうが、結果的に手取りを確保しやすくなります。神奈川県や千葉県の郊外など、都市部に近い市街化調整区域では、資材置き場や太陽光発電用地としての需要が一定数あり、宅地としての売却が難しい場合の代替策になることもあります。エリア別の空き家買取の相場・窓口は神奈川県の空き家買取のページでも紹介しています。

片付けてから売るか、そのまま買取に出すか|手取りで比べる

判断に迷ったときは、感覚ではなく「片付け費用」と「売却額の差」を数字で比べることが近道です。たとえば、片付け費用が20万円かかっても、片付け後の仲介・買取で査定額が40万円以上上がるなら、片付けてから売るほうが手取りは多くなります。逆に、片付け費用のほうが査定額の上昇分を上回るなら、家財を残したまま買取に出すほうが合理的です。市街化調整区域の物件は土地自体の価値が市街化区域より低いことが多く、片付け費用をかけても査定額への影響が限定的なケースもあるため、まずは現況のままで査定を依頼し、金額を確認してから片付けの要否を判断する進め方も選択肢になります。実際には家財の量・処分方法によって片付け費用が変わるため、実家じまい代行や遺品整理の見積もりと、空き家買取・実家の売却の査定を同時に依頼し、両方の金額を並べて比較するのが確実です。

判断チェックリスト(印刷してお使いください)

  • □ 物件が市街化調整区域に該当するか、市区町村の都市計画課で確認したか
  • □ 既存宅地の要件(線引き前建築かどうか)を確認したか
  • □ 建築計画概要書・建築確認台帳で建築時の許可内容を確認したか
  • □ 登記簿上の地目(宅地・農地・山林)を確認したか
  • □ 相続登記は済んでいるか(名義が親のままでは契約不可)
  • □ 相続人全員の合意は取れているか(遺産分割協議書の有無)
  • □ 接道義務(幅員4m以上の道路に2m以上接道)を満たしているか
  • □ 家財の量はどの程度か(片付け費用の概算を確認したか)
  • □ 空き家の3,000万円特別控除の要件(築年・期限)に該当するか
  • □ 仲介査定・買取査定の両方を取ったか
  • □ 相続開始から3年目の年末までの期限を確認したか
  • □ 管理不全空き家・特定空き家に指定される懸念はないか

売却の流れと必要書類

相続した市街化調整区域の家を売却するまでの標準的な流れは次のとおりです。既存宅地の確認や農地転用の手続きが絡むと、市街化区域の物件より工程が一つ二つ増えることがあります。

ステップ 内容 目安期間
①名義・区域区分の確認 登記事項証明書で名義を確認し、都市計画課で市街化調整区域・既存宅地要件を確認する 2〜4週間
②相続登記 遺産分割協議書を作成し、法務局で相続登記を申請する 1〜2か月
③査定依頼 仲介査定・買取査定の両方を複数社に依頼し、金額と条件を比較する 1〜2週間
④(地目が農地の場合)農地転用等の手続き 農業委員会への許可申請等、必要な手続きを進める 1〜3か月
⑤売買契約・決済 媒介契約または買取業者との売買契約を締結し、決済・引き渡しを行う 契約から1〜2か月
⑥確定申告 売却の翌年2月16日〜3月15日に、譲渡所得の申告と特例の適用手続きを行う 翌年確定申告期間

買取の場合、③〜⑤が1〜2か月程度で完了することも多く、仲介に比べて全体の期間を大きく短縮できます。一方で①②の名義・区域区分の確認には想像以上に時間がかかることがあるため、売却方法を決める前に、まず登記と都市計画課での区域確認から着手することをおすすめします。

よくある質問

市街化調整区域の家は本当に売却できますか?
売却は可能です。ただし一般の仲介市場では建て替えの可否が査定・購入判断に影響するため、市街化区域の物件より買い手が限られ、成約までの期間も長くなる傾向があります。既存宅地の要件を満たす物件は仲介での成約も見込めますが、再建築不可の物件は専門の買取業者への相談が現実的な選択肢になります。
市街化調整区域でも空き家の3,000万円特別控除は使えますか?
使える場合があります。この特例に市街化区域限定という条件はなく、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であることなど、国税庁タックスアンサーNo.3306に定める要件を満たせば市街化調整区域の物件でも適用対象になります。更地で売る場合は更地化後の需要も確認してから進めることをおすすめします。
建て替えができない家でも買取業者は買ってくれますか?
再建築不可の物件を専門に扱う買取業者であれば、査定・買取の対象になることが多くあります。買取価格は建て替え可能な物件より低くなりやすいものの、資材置き場・駐車場・太陽光発電用地など建物を伴わない用途への転用を前提に価格を提示するケースもあります。複数社で査定を比較することをおすすめします。
相続登記が済んでいない場合、先に何をすればよいですか?
まず登記事項証明書で名義を確認し、相続人を戸籍で確定したうえで、遺産分割協議書を作成して法務局に相続登記を申請します。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得るため、売却の予定がなくても早めに済ませておくことをおすすめします。

まとめ

市街化調整区域の家は、都市計画法による建築制限のために一般の仲介市場では売りにくいものの、既存宅地の要件を満たせば仲介での成約も見込めますし、専門の買取業者であれば再建築不可の物件でも査定の対象になります。要点を振り返ります。

  • 市街化調整区域は都市計画法に基づき市街化を抑制すべき区域として指定されており、原則として新築・建て替えに開発許可が必要(国土交通省)
  • 「既存宅地」か「線引き後の建築」かで再建築の可否が変わり、市区町村の都市計画課で無料確認できる
  • 売却方法は仲介・買取・農地としての売却・活用しながらの保有の4つ。急ぎ度と物件条件で選ぶ
  • 相続した空き家には最高3,000万円の譲渡所得特別控除があり、市街化調整区域でも要件を満たせば使える(国税庁タックスアンサーNo.3306)
  • 相続登記は2024年4月1日から義務化。名義が親のままでは売却できない(法務局)
  • 放置すると管理不全空き家・特定空き家に指定され、固定資産税が最大6倍になり得る(空家法・国土交通省)
  • 「片付けてから売るか、そのまま買取か」は、片付け費用と売却額の差=手取り額で比較して判断する

市街化調整区域の物件に正解の売り方はありません。既存宅地の要件・地目・接道状況など、物件ごとに条件が大きく異なるため、まずは仲介査定と買取査定の両方を取り、手元に残る金額で比較することが最も確実な判断材料になります。判断に迷う場合や、相続登記・農地転用など法律面の手続きが絡む場合は、一人で抱え込まず、司法書士や税理士など専門家に相談してください。

読むより、聞いたほうが
早いこともあります

市街化調整区域の物件も含め、提携の宅地建物取引業者が複数社で査定します。写真を送るだけで概算のお見積もりをお出しします。ご相談・お見積もりは無料です。

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

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