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空き家を売りたいのに売れない理由と対処法|買取と仲介の比較・相続登記の注意点

最終更新日:2026年9月15日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 空き家が売れない主な原因は「立地」「老朽化」「境界未確定」「相続登記未了」「価格が相場と合っていない」の5つに集約されます。まず自分の空き家がどれに当てはまるか整理することが第一歩です。
  • 判断軸はシンプルです。「片付けてから売るか、そのまま買取に出すか、手取り額で比べる」——片付け・解体費用をかけて仲介で高く売るか、そのままの状態で買取業者に引き取ってもらうか、どちらが最終的な手取りで得かを試算してから決めましょう。
  • 片付け不要で複数社の査定を比べたい場合は空き家買取(片付け不要・複数社査定)から相談できます。
  • 相続登記が済んでいない空き家は、2024年4月から申請が義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます(法務省)。売却の前提として先に済ませる必要があります。

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目次

なぜ「空き家が売れない」のか?5つの原因を整理する

「空き家を売りたいのに、なかなか売れない」という相談は、安心実家じまいの窓口にも数多く寄せられます。まず押さえておきたいのは、空き家が売れない理由は一つではなく、複数の要因が重なっているケースがほとんどだという点です。ご自身の空き家がどの要因に当てはまるかを整理するところから始めましょう。

原因 具体的な状態 対処の方向性
①立地の需要が低い 人口減少エリア、駅から遠い、生活インフラが乏しい 価格を相場に合わせる、買取や活用への切り替えを検討
②老朽化・傷みが激しい 雨漏り、シロアリ被害、外壁の劣化、長期間の空室 現況のまま買取に出す、または解体して更地で売る
③境界が未確定 隣地との境界線が曖昧、境界標がない 土地家屋調査士に確定測量を依頼してから売却
④相続登記が未了 名義が亡くなった親のまま、共有名義で意見がまとまらない 相続登記を先に完了させる(2024年4月から義務化)
⑤価格が相場と合っていない 思い入れから高値をつけている、査定を1社しか取っていない 複数社の査定を比較し、相場観を客観的に把握する

この5つのうち、①と②は建物や立地そのものの条件であり、短期間で変えることは難しい要因です。一方で③④⑤は、手続きや情報収集によって解決できる要因です。実務上は、まず③④の「売る前提を整える」作業を済ませたうえで、①②の条件を踏まえた現実的な価格や売却方法(仲介か買取か)を選ぶ、という順番が遠回りに見えて一番早い進め方になります。

総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家数は900万2千戸と過去最多を更新し、総住宅数に占める割合も13.8%と過去最高になっています(総務省統計局)。「売れない空き家」で悩んでいるのは、あなただけではありません。制度面の対応も進んでいるため、正しい情報をもとに一つずつ条件を整えていくことが解決への近道です。

結論:片付けてから売るか、そのまま買取か、手取りで比較する

空き家の売却で最初に決めるべきは「片付け・解体をしてから仲介で売るか」「そのままの状態で買取に出すか」という選択です。どちらが得かは物件によって異なるため、感覚ではなく手取り額のシミュレーションで判断することをおすすめします。

買取・仲介・有料引き取りの3択比較表

方法 売却までの期間 価格水準 片付け・解体 向いているケース
仲介(一般的な不動産売買) 数か月〜1年以上 相場に近い価格が期待できる 自分で片付け・解体を済ませる必要があることが多い 立地がよく、時間に余裕がある場合
買取(不動産買取業者・提携宅建業者) 数週間〜1〜2か月程度 仲介より低めになりやすい 家財・残置物が残ったままでも対応可能な場合が多い 早く現金化したい、片付けの手間をかけたくない場合
有料での引き取り・解体後の更地譲渡 物件による 売却額がマイナス(費用負担)になることもある 解体・整地が前提 再建築不可・過疎地など買い手がつきにくい物件

ここで重要なのは、「片付け・解体の費用」と「売却額の差」を天秤にかけることです。例えば片付けと解体で150万円かけて更地にし、仲介で500万円の売却が見込めるケースと、そのままの状態で買取業者に350万円で引き取ってもらうケースでは、後者のほうが手取りは200万円多くなります(500万円-150万円=350万円 vs 350万円)。実際の金額は物件ごとに大きく異なるため、片付け前の状態で複数社から査定を取り、仲介と買取の両方の見積もりを比較してから判断することが、後悔しない一番の方法です。片付け不要で複数社に一括で査定を依頼したい場合は空き家買取(片付け不要・複数社査定)から相談できます。

なお、安心実家じまいは宅地建物取引業者ではないため、当事務局自身が空き家を買い取ることはありません。売却・買取のご相談は提携の宅地建物取引業者におつなぎし、当事務局は窓口としての調整と、片付け・残置物の整理を担当する役割分担になっています。

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売却の判断:仲介と買取、どちらを選ぶべきか

売却の判断で悩んだときに整理すべきポイントは「時間」「手間」「金額」の3つです。仲介は時間をかけられるなら価格面で有利ですが、買い手がつくまでの期間が読めず、その間も固定資産税や管理の手間は発生し続けます。一方、買取は価格が下がる代わりに、期間が短く、家財が残ったままでも交渉できる業者が多いという特徴があります。

特に「遠方に住んでいて頻繁に通えない」「建物の老朽化が進んでいて仲介では買い手がつきにくい」「相続人が複数いて早く現金化して分けたい」といった事情がある場合は、買取を軸に検討したほうが現実的です。反対に「立地がよく、多少時間がかかっても高く売りたい」という場合は、仲介を軸にしつつ、並行して買取の見積もりも取っておくと安心です。判断に迷う場合は、実家の売却の基本的な流れや費用の考え方もあわせて確認しておくと、全体像が見えやすくなります。

空き家が売れない理由①:立地・需要が低いエリア

人口が減少しているエリアや、公共交通機関・生活インフラが乏しいエリアでは、そもそも住宅需要そのものが少なく、条件を整えても売却まで時間がかかることがあります。総務省の調査でも、賃貸・売却用及び二次的住宅を除く「その他の空き家」(いわゆる放置空き家)は385万6千戸で、2018年からさらに36万9千戸増加しており、地方を中心に増加傾向が続いています(総務省統計局)。

立地の条件を短期間で変えることはできませんが、対応策はいくつかあります。一つは、地域の空き家バンク(自治体が運営する空き家情報のマッチング制度)への登録です。移住希望者やDIY志向の買い手など、通常の不動産流通ルートとは異なる層にアプローチできる可能性があります。もう一つは、賃貸や駐車場・資材置き場などの土地活用への切り替えです。「売る」以外の選択肢を持っておくことで、無理な安売りを避けられる場合があります。

地方の空き家は特に「買取」との相性がよい

地方や過疎地域にある空き家は、仲介での買い手探しに時間がかかりやすい一方、空き家専門の買取業者であれば、再販や解体後の土地活用を前提に買い取ってくれるケースがあります。例えば新潟県のような積雪地域では、老朽化した空き家の管理・除雪の負担が大きく、早期の現金化を希望される方も多く見られます。地域ごとの相場や進め方は新潟県の空き家買取のページでも紹介していますので、お住まいの地域に応じてご確認ください。

空き家が売れない理由②:老朽化・建物の状態

長期間空き家の状態が続くと、雨漏り、シロアリ被害、給排水設備の劣化などが進み、購入希望者から敬遠されやすくなります。特に、外から見て分かる傷み(外壁の剥がれ、庭木の繁茂、郵便物の放置など)は、内見前の第一印象を大きく左右します。

老朽化が進んだ空き家を放置し続けると、自治体から「管理不全空家」または「特定空家」として指導・勧告の対象になる可能性があります。国土交通省の資料によれば、管理不全空家に対して市区町村長が勧告を行った場合、固定資産税の住宅用地特例(更地に比べて税額が軽減される措置)が解除され、土地の固定資産税が増額されることがあります(国土交通省)。「売れないから」と放置を続けることは、税負担の面でもリスクが大きくなる点に注意が必要です。

解体してから売る?そのまま売る?の判断

老朽化が激しい建物は、解体して更地にしたほうが買い手がつきやすくなる場合がありますが、解体費用は建物の構造や広さによって数十万円から百数十万円以上かかることもあります。解体費用をかけても売却額がそれ以上に上がる見込みがあるか、事前に複数の不動産会社・買取業者に査定を依頼して比較することが大切です。解体せずに「古家付き土地」としてそのまま売る、あるいは現況のまま買取に出す方法も選択肢になります。

空き家が売れない理由③:境界が未確定

隣地との境界線が明確になっていない土地は、買主にとって将来のトラブルリスクとなるため、売却が難しくなる大きな要因の一つです。特に古くからある実家では、境界標が設置されていない、あるいは境界について隣家と口頭でしか確認していないケースが少なくありません。

境界を確定させるには、土地家屋調査士に依頼して確定測量を行う必要があります。隣地所有者の立ち会いと同意が必要になるため、時間がかかることもありますが、境界が確定していないと契約自体が進められない、または大幅な減額交渉の材料にされてしまうことがあるため、早めに着手しておくことをおすすめします。

空き家が売れない理由④:相続登記が済んでいない

相続した空き家の名義が亡くなった親のままになっている、あるいは相続人が複数いて誰の名義にするか決まっていない場合、そのままでは売却することができません。不動産の売買契約を結ぶには、現在の所有者(相続人)の名義に登記を変更しておく必要があるためです。

2024年4月1日から相続登記の申請が法律上義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記をしないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になり得ます。この義務化は施行日より前に発生した相続にも適用され、経過措置として2027年3月31日までに登記を済ませる必要があります(法務省)。「まだ売る予定がないから」と後回しにしていると、期限を過ぎてしまう可能性があるため、売却の予定がなくても早めの相続登記をおすすめします。

相続人が複数いる場合は遺産分割協議が先

相続人が複数いる場合、空き家を含む相続財産の分け方について、相続人全員で遺産分割協議を行い、合意した内容を遺産分割協議書にまとめる必要があります。この協議がまとまらないまま放置されると、相続登記も進められず、結果として売却の話も進まなくなります。話し合いが難航している場合は、早めに司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。相続登記の手続き自体について詳しく知りたい場合は、法務局や司法書士への相談も検討してください。

空き家が売れない理由⑤:価格が相場と合っていない

思い入れのある実家や、購入時の価格を基準にすると、どうしても売り出し価格が相場より高くなりがちです。しかし、買い手は周辺の類似物件と比較して購入を検討するため、相場から離れた価格設定は、内見の申し込み自体が入らない原因になります。

相場観を客観的に把握するためには、1社だけでなく複数の不動産会社・買取業者から査定を取ることが欠かせません。査定額に大きな差がある場合は、それぞれの根拠(周辺の成約事例、建物の評価方法など)を確認し、納得できる価格帯を見極めることが重要です。査定を依頼する段階では費用はかからないことが一般的なので、面倒がらずに複数社を比較することをおすすめします。

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空き家を持ち続けた場合の年間コストを試算する

「売れないなら、しばらく様子を見よう」と考える前に、空き家を保有し続けた場合に毎年どれくらいの費用がかかるのかを把握しておくことをおすすめします。金額は自治体・物件の評価額によって変わるため断定はできませんが、一般的に発生しやすい費用項目を整理すると次のとおりです。

費用項目 発生の目安 備考
固定資産税・都市計画税 毎年 住宅用地特例が解除されると土地の税額が増える可能性がある
火災保険・地震保険 毎年 空き家であっても加入を続けるケースが多い
庭木の剪定・除草 年1〜数回 近隣トラブル防止のため放置しにくい
見回り・管理費用 頻度による 自分で通う場合の交通費、または管理代行サービスの利用料
簡易な修繕費 不定期 雨漏り・破損箇所の応急対応など

これらの費用は、空き家を保有している限り毎年積み重なっていきます。「今は動かず様子を見る」という判断も一つの選択肢ではありますが、その間にかかり続けるコストと、将来売却したときに見込める金額を比べたうえで判断することをおすすめします。特に老朽化が進行中の建物は、時間が経つほど修繕費や解体費用がかさみ、売却額がさらに下がっていく傾向がある点にも注意が必要です。

空き家の売却相談から成約までの一般的な流れ

初めて空き家の売却を検討する場合、どこから手をつければよいか分かりにくいものです。一般的な流れを大まかに整理すると、次のようなステップになります。

ステップ 内容 目安の期間
①現状の整理 名義・境界・家財の状況を確認し、必要書類を洗い出す 1〜2週間
②査定依頼 仲介・買取それぞれ複数社に査定を依頼し、金額と条件を比較する 1〜2週間
③相続登記・境界確定(必要な場合) 司法書士・土地家屋調査士に依頼して手続きを進める 1〜3か月
④片付け・残置物の整理 売却方法に応じて、必要な範囲の片付けを実施する 数日〜数週間
⑤売買契約・引き渡し 買取なら短期間、仲介なら買い手が見つかり次第契約 買取:数週間/仲介:数か月〜1年以上

このうち、時間がかかりやすいのは③の相続登記・境界確定と、⑤の仲介での買い手探しです。逆にいえば、①〜④を先に済ませておけば、いざ買い手が見つかったときにスムーズに契約まで進められます。「売れてから準備すればよい」ではなく、「準備を済ませてから売り出す」という順序を意識することが、結果的に早い売却につながります。

買取業者・不動産会社を選ぶときに確認したいポイント

空き家の売却先を選ぶ際、価格の高さだけで判断すると、後になって「対応が悪かった」「話が違った」というトラブルにつながることがあります。以下の観点を確認しておくと、業者選びで失敗しにくくなります。

  • 宅地建物取引業の免許を持っているか——不動産の売買を仲介・買取するには宅地建物取引業の免許が必要です。免許番号は会社のウェブサイトや重要事項説明書で確認できます。
  • 対応エリアの実績があるか——地方や過疎地域の物件は、その地域での取引実績が豊富な業者のほうが、相場感や買い手のニーズを把握していることが多くあります。
  • 査定額の根拠を説明してくれるか——査定額だけを提示して根拠を説明しない業者より、周辺の成約事例や物件の評価方法を具体的に説明してくれる業者のほうが、信頼して任せやすくなります。
  • 残置物・老朽化への対応可否——家財が残ったまま、あるいは老朽化が進んだ状態でも査定・買取に対応できるかどうかは、業者によって差があります。
  • 契約内容・手数料の確認——仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められています。契約前に、手数料や諸費用の内訳を書面で確認しておくことをおすすめします。

1社だけの説明で決めてしまうと、条件のよい他の選択肢を見逃してしまう可能性があります。少なくとも2〜3社に相談し、対応の丁寧さや説明の分かりやすさも含めて比較することをおすすめします。

片付け・残置物の扱いが売却を止めていることも多い

「家財が残ったままで売れるのか分からない」「片付けが終わらないと不動産会社に相談できないと思っていた」という声も多く聞かれます。実際には、家財が残ったままでも査定や相談自体は可能で、買取業者の中には残置物込みで買い取ってくれるところもあります。ただし、仲介で高く売りたい場合は、内見時の印象をよくするためにも、ある程度の片付けをしておいたほうが有利になる傾向があります。

片付けを自分たちだけで進めるのが難しい場合は、実家じまい代行や遺品整理のサービスを利用する方法もあります。仕分け・搬出・供養・買取までを一つの窓口でまとめて相談できると、売却までの手間を大きく減らせます。安心実家じまいでは、片付けから提携の宅建業者への売却相談まで、窓口を分けずにご案内できる体制を整えています。片付けのご相談は実家じまい代行または遺品整理のページからご確認ください。

売る前に済ませておきたい実務チェックリスト

空き家の売却をスムーズに進めるために、着手前に確認しておきたい項目を一覧にしました。印刷して、チェックしながら進めてください。

確認項目 チェックのポイント
相続登記の状況 名義が現在の所有者になっているか。未了なら早めに司法書士へ相談する
境界の確定状況 隣地との境界標・境界確認書があるか。ない場合は測量を検討する
権利証・登記識別情報の所在 売買契約に必要な書類がすぐ出せる状態か確認する
固定資産税の納税状況 滞納がないか、直近の納税通知書を確認する
家財・残置物の量 片付けが必要な範囲を把握し、業者に依頼するか自分で行うか決める
建物の傷み具合 雨漏り・シロアリなど、事前に把握しておくべき不具合がないか確認する
共有名義の場合の合意 共有者全員が売却に同意しているか、事前にすり合わせておく
複数社への査定依頼 仲介・買取それぞれで最低2〜3社の見積もりを比較する
空き家特例の適用可否 譲渡所得の3,000万円特別控除(空き家特例)の要件に当てはまるか確認する

このチェックリストのうち、特につまずきやすいのが「相続登記の状況」と「共有名義の場合の合意」です。この二つが整っていないと、査定や内見の段階までは進めても、実際の契約に進めないことがあります。売却を急ぐ場合ほど、まずこの二つを優先的に確認しておくことをおすすめします。

空き家を売ったときの税金の考え方

空き家を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所得税・住民税の対象になります。ただし、一定の要件を満たす相続空き家については、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例(被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)が用意されています。主な要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、区分所有建物登記がされている建物でないこと、相続開始の直前に被相続人以外に居住者がいなかったこと、売却代金の合計額が1億円以下であることなどです(国税庁 No.3306)。要件は細かく定められているため、該当するかどうかは税理士または税務署に確認することをおすすめします。

また、譲渡所得を計算する際には「取得費」の考え方も重要です。購入時の契約書などが残っておらず取得費が分からない場合は、売却代金の5%を取得費とみなす「概算取得費」を使うことができます(国税庁 No.3252)。実際の取得費が分かる場合との差で税額が大きく変わることもあるため、古い契約書や領収書が見つかった場合は、処分せずに保管しておくことをおすすめします。具体的な税額の計算や申告の要否は、個々の状況によって異なるため、この記事で断定的な金額をお伝えすることは避けます。税理士または税務署への確認をおすすめします。

ケース別に見る「売れない空き家」への向き合い方

空き家の状況は家庭によってさまざまです。よくある4つのパターンを挙げて、それぞれの考え方を整理します。

ケースA:老朽化が進み、仲介では買い手がつかない

建物の傷みが激しく、内見での印象が悪い場合、仲介での売却は時間がかかりやすい状況です。このケースでは、現況のまま買取業者に引き取ってもらう、または解体して更地にしてから売る、という2つの選択肢を比較することになります。解体費用と、更地にした場合に見込める売却額の差を試算したうえで、費用をかけずに現況のまま買取に出す方が結果的に手取りが多くなるケースも少なくありません。

ケースB:相続人が複数いて、名義がまだ整理できていない

相続人が複数いる場合は、まず遺産分割協議を行い、誰の名義にするかを決めてから相続登記を進める必要があります。話し合いが難航している場合、売却自体を目的として合意形成を急ぐより、まずは相続登記の期限(相続を知った日から3年以内)を意識しながら、専門家を交えて整理を進めることをおすすめします。売却後の代金の分配方法についても、事前に決めておくとトラブルを避けられます。

ケースC:遠方に住んでいて、頻繁に通えない

遠方在住の場合、内見の立ち会いや片付けのために何度も通うのは大きな負担になります。このケースでは、片付けから査定・売却相談までを一つの窓口でまとめて任せられる業者を選ぶことで、現地に何度も足を運ばずに進められる場合があります。鍵を預けて片付けや作業を進め、写真で報告を受けながら判断する方法も選択肢です。

ケースD:立地はよいが、境界や書類の不備で止まっている

立地条件はよいのに、境界未確定や書類不備で売却が進まないケースもあります。この場合、建物や立地の条件を変える必要はなく、境界確定や必要書類の準備という「手続き面」を一つずつ片付ければ、売却自体はスムーズに進む可能性が高い状況です。土地家屋調査士や司法書士に早めに相談し、必要な手続きの全体像を把握しておくことをおすすめします。

空き家を放置し続けた場合のリスク

「売れないなら、とりあえず放置しておく」という判断は、一見コストがかからないように見えますが、実際にはいくつかのリスクを伴います。

  • 固定資産税の負担が続く——空き家であっても固定資産税は毎年発生します。管理不全空家として勧告を受けると、住宅用地特例が解除され、土地の税額が上がる可能性があります(国土交通省)。
  • 建物の劣化がさらに進む——空き家のまま放置すると、雨漏りやシロアリ被害が進行し、売却額がさらに下がってしまうことがあります。
  • 近隣トラブルの原因になる——庭木の繁茂、害虫の発生、景観の悪化などにより、近隣住民との関係が悪化することがあります。
  • 相続登記の過料リスク——名義変更をしないまま放置すると、正当な理由なく相続登記を怠ったとみなされ、過料の対象になり得ます。
  • 次の世代への先送りになる——今の世代で対応しないと、次の相続が発生した際に相続人がさらに増え、手続きが複雑になってしまいます。

放置を続けることで解決する問題はほとんどなく、多くの場合、時間の経過とともに状況が悪化していきます。「売れない」と感じた時点で放置するのではなく、片付け・査定・専門家への相談という具体的な一歩を早めに踏み出すことが、結果的に負担を小さくする方法です。

安心実家じまいでできること

安心実家じまいは、空き家・実家の売却そのものを行う宅地建物取引業者ではありません。片付け・残置物の整理・供養の手配などの実務と、提携の宅地建物取引業者による売却(買取・仲介)相談への橋渡しを、一つの窓口でまとめて対応しています。片付けの段階で貴重品や思い出の品を分けながら、そのまま売却に向けた査定の相談へつなげられるため、「片付け業者」と「不動産会社」を別々に探す手間を減らせます。

遠方にお住まいで立ち会いが難しい場合も、鍵をお預かりして片付けを進め、作業前後の写真をご報告する対応が可能です。相続登記や境界確定など法律面の手続きが必要な場合は、提携の司法書士・土地家屋調査士におつなぎすることもできます。まずは片付けと合わせて、写真を送るだけの無料見積もりからご相談ください。

よくある質問

空き家が売れない場合、最初に何をすればよいですか?
まず「相続登記が済んでいるか」「境界が確定しているか」を確認してください。この2点が未整備だと、仲介・買取どちらでも売却の手続きが進められません。整っている場合は、複数の不動産会社・買取業者から査定を取り、相場観を把握することから始めるとよいでしょう。
家財が残ったままでも空き家を売ることはできますか?
買取業者の中には、残置物が残ったままの状態でも買い取り可能な業者があります。仲介で高く売りたい場合は、内見時の印象をよくするためある程度の片付けをしておくと有利になる傾向がありますが、片付けが完了していなくても、まずは相談・査定を受けることは可能です。
相続登記が済んでいないと売却できませんか?
相続登記が済んでいないと、現在の所有者(相続人)名義になっていないため、そのままでは売買契約を結ぶことができません。2024年4月からは相続登記の申請が義務化されており、相続を知った日から3年以内に登記をしないと過料の対象になり得ます。売却を検討している場合は、早めに司法書士へ相談し、相続登記を済ませておくことをおすすめします。
空き家を売ったときにかかる税金の特例はありますか?
一定の要件を満たす相続空き家については、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。主な要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、区分所有建物登記がされていないこと、売却代金が1億円以下であることなどです。要件は細かいため、該当するかどうかは税理士または税務署に確認することをおすすめします。
買取と仲介、どちらで売るべきか判断できません。相談だけでもできますか?
相談だけでも可能です。安心実家じまいでは、片付けの相談とあわせて、提携の宅地建物取引業者による買取・仲介それぞれの概算をご案内できます。写真を送っていただくだけで、片付けが終わっていない状態でも概算の見積もりをお伝えできますので、まずはお気軽にご相談ください。

まとめ

「空き家を売りたいのに売れない」という状況は、立地や建物の老朽化といった変えにくい要因だけでなく、相続登記や境界確定といった手続き面の未整備が原因になっていることも少なくありません。要点を振り返ります。

  • 売れない原因は「立地」「老朽化」「境界未確定」「相続登記未了」「価格のミスマッチ」の5つに整理できる
  • 判断軸は「片付けてから仲介で売るか、そのまま買取か」を手取り額で比較すること
  • 相続登記は2024年4月から義務化。未了の場合は早めに司法書士へ相談する
  • 境界未確定・共有名義の合意不足は、売却が止まる代表的な原因
  • 放置を続けると税負担・建物の劣化・近隣トラブルなどのリスクが積み重なる
  • 安心実家じまいは宅建業者ではなく、片付けの実務と提携宅建業者への橋渡しを担当する窓口

空き家の売却に唯一の正解はありません。物件の状態や家族の事情に合わせて、無理のない範囲で一つずつ条件を整えていくことが、結果的に一番早い解決につながります。判断に迷う場合は、一人で抱え込まず、片付けの相談とあわせて専門家や窓口に相談してください。実家の売却全体の流れについては実家の売却もあわせてご覧ください。

読むより、聞いたほうが
早いこともあります

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

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