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実家の処分方法5つを比較|売却・買取・解体・国庫帰属・活用の費用と税金【2026年版】

最終更新日:2026年9月13日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 実家の処分方法は①仲介で売却 ②買取業者に売却 ③解体して更地にする ④国や自治体に手放す ⑤貸す・活用するの5つ。ほとんどの家は①か②で決まります。
  • どの方法でも、最初にやるのは相続登記(名義変更)。親名義のままでは契約が進みません。
  • 解体は最後の手段。古家付きで売れれば90〜150万円の解体費が不要になり、更地にすると固定資産税が上がることもあります。
  • 売却益には20.315%の税金がかかりますが、空き家の3,000万円特別控除が使えれば多くのケースで税額はゼロになります。期限は相続開始から3年目の年末です。
目次

実家の処分方法5つ|早見表

「実家を処分したい」と思ったとき、選択肢は大きく5つです。向いている家の条件、かかる費用、終わるまでの期間を一覧にしました。

方法向いている家費用の目安期間
① 仲介で売却立地がよく、買い手が付く家仲介手数料(価格×3%+6万円+税)+片付け費3〜6か月
② 買取業者に売却早く終えたい、家財が残っている、訳あり手数料なし。価格は仲介の7〜8割2〜4週間
③ 解体して更地に建物が古く土地に価値がある木造30坪で90〜150万円(補助金あり)1〜2か月+売却期間
④ 国・自治体に手放す売れない土地(建物は解体が条件)国庫帰属の負担金20万円〜+審査手数料1.4万円審査に半年〜1年
⑤ 貸す・活用する手放したくない、収益が見込めるリフォーム費や整地費(内容次第)準備に1〜3か月

迷ったら「①の査定を取ってから②③を考える」順番が費用面で最も無駄がありません。査定は無料で、売れる家かどうかが分かれば解体の要否も自然に決まります。

処分の前に必ずやる2つのこと

1. 名義を確認し、相続登記を済ませる

法務局で登記事項証明書(登記簿謄本)を取り、いま誰の名義かを確認します。親や祖父母の名義のままなら、売却・解体・寄付のどれをするにも先に相続登記が必要です。相続登記は2024年4月から義務化されていて、相続を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得ます。費用は司法書士報酬6〜15万円と登録免許税(評価額の0.4%)が目安です。手続きの詳細は相続登記の費用と自分でやる方法、名義変更全体の流れは実家の名義変更手続きで解説しています。

2. 相続人全員の合意を取る

相続人が複数いる場合、遺産分割協議書で「誰が実家を相続するか」「売却代金をどう分けるか」を決めておかないと、売却の契約に全員の実印が必要になり、途中で止まる原因になります。兄弟の一人が反対している状態で業者に依頼しても、契約はできません。

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方法①:仲介で売却する

不動産会社に買い手を探してもらう、最も一般的な方法です。市場価格に近い金額で売れる反面、買い手が見つかるまで3〜6か月かかり、原則として家財を空にして引き渡します。費用は仲介手数料(売却価格×3%+6万円+消費税が上限)と印紙税、境界が不明確な土地なら測量費30〜80万円です。

古い家でも「古家付き土地」として売れることは多く、買主が解体する前提で取引されます。自分で解体してから売ると、解体費を負担したうえに更地にした年から固定資産税の住宅用地特例が外れるため、解体は査定を見てから判断してください。売却と解体の損得は実家は売却と解体どちらが得かで試算しています。

方法②:買取業者に売却する

不動産会社や買取専門業者が直接買い取る方法です。価格は仲介の7〜8割が目安ですが、仲介手数料が不要で、2〜4週間で現金化できます。家財が残ったまま、雨漏りや傾きがある、事故物件である、といった仲介では売りにくい家でも引き取る業者があります。

「片付け費用+仲介手数料+売れるまでの維持費」を足した額と、買取の値下がり幅を比べると、買取の方が手取りが多くなるケースは珍しくありません。遠方に住んでいて何度も通えない方に向いています。業者の見極め方は空き家買取業者の選び方、事故物件や再建築不可の場合は訳あり物件の売却方法をご覧ください。

方法③:解体して更地にする

建物が老朽化していて買い手が付かない、あるいは土地として売った方が高い場合の方法です。解体費は木造30坪で90〜150万円、鉄骨造やRC造はさらに高くなります。多くの自治体に老朽家屋の解体補助金があり、数十万円規模の補助が出ることもありますが、着工前の申請が原則です。

注意点は税金です。更地にすると住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税が最大6倍になります。壊してから売れるまでの期間が長いほど負担が増えるため、売却の目処が立ってから解体するのが順番です。構造別・地域別の相場は家の解体費用相場、補助金は自治体別の補助金一覧にまとめています。

方法④:国や自治体に手放す(相続土地国庫帰属・寄付)

売れない土地を手放す制度として、2023年4月に始まった相続土地国庫帰属制度があります。相続した土地を国に引き取ってもらう制度で、審査手数料が土地1筆あたり1万4,000円、承認されると10年分の管理費相当額として原則20万円(土地の種類によって増える)の負担金を納めます。対象は土地のみで、建物がある場合は解体して更地にすることが条件です。境界が不明確な土地や、崖・工作物・埋設物がある土地は引き取ってもらえません。審査には半年から1年程度かかります。

自治体への寄付は、公園や道路など利用計画がある土地以外は断られるのが実情です。隣地の所有者への譲渡や、空き家バンクへの登録の方が現実的な場合が多く、農地や山林は別の制約があるため農地・山林の処分方法を先にご確認ください。

方法⑤:貸す・活用する

手放したくない、あるいは立地がよく収益が見込める場合は、賃貸や駐車場、トランクルームなどの活用があります。ただし住宅として貸すには修繕やリフォームに数十万〜数百万円かかることが多く、遠方からの管理も必要です。「思い出があるから残す」だけで決めると、年間20〜50万円の維持費が何年も続きます。収益と初期費用の目安は実家の土地活用、放置した場合の費用は実家じまいの費用相場で比較できます。

処分にかかる税金|3,000万円特別控除を逃さない

実家を売って利益(譲渡所得)が出ると、所得税と住民税がかかります。税率は所有期間で決まり、5年超なら20.315%、5年以下なら39.63%です。相続した家は親の所有期間を引き継ぐため、多くの実家は長期の税率になります。

相続した空き家の売却では、要件を満たすと譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例があります。主な要件は「1981年5月31日以前に建てられた家」「相続開始から3年目の年末までに売却」「売却価格1億円以下」などです。この期限を過ぎると数百万円規模の税額差になることがあるため、処分の時期を決める最大の目安にしてください。要件と計算例は空き家の3,000万円特別控除とはで解説しています。

処分までの流れ|6ステップ

  1. 名義と相続人を確認する──登記事項証明書と戸籍で確認。
  2. 相続登記をする──司法書士に依頼するか自分で申請。期限は3年。
  3. 査定を取る──仲介と買取の両方から。ここで解体の要否がほぼ決まる。
  4. 片付けをする──買取で家財ごと引き取る場合は省略できる。貴重品と書類の確認だけは家族で。
  5. 売却・解体・活用を実行する──解体する場合は補助金を着工前に申請。
  6. 確定申告をする──売却した翌年の2〜3月。3,000万円特別控除は申告しないと使えない。

全体の段取りと期限の一覧は実家じまいの完全チェックリストにまとめています。

よくある質問

実家の処分で一番早い方法はどれですか?
買取業者への直接売却です。査定から決済まで2〜4週間で終わることが多く、家財が残ったままでも引き取る業者があります。ただし価格は仲介で売る場合より2〜3割低くなるのが一般的なので、急ぐ理由がなければ仲介の査定も並行して取り、差額を見てから決めるのが安全です。
親名義のままの実家は処分できますか?
できません。売却・解体・寄付のいずれも、先に相続登記で名義を相続人に移す必要があります。相続登記は2024年4月から義務化され、相続を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得ます。
売れない実家はどうすればいいですか?
順番に、①買取業者(訳あり物件専門を含む)に打診する、②自治体の空き家バンクに登録する、③土地だけなら相続土地国庫帰属制度を検討する(建物は解体が必要で、負担金は原則20万円から)、④隣地の所有者に相談する、の4つを試してください。農地や山林、再建築不可の土地はそれぞれ別のルールがあります。
実家を処分すると税金はいくらかかりますか?
売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所有期間5年超なら20.315%、5年以下なら39.63%の税率です。相続した実家は親の所有期間を引き継ぐため、多くは長期の税率になります。要件を満たせば、空き家の3,000万円特別控除で税額をゼロにできる場合があります。
処分の前に片付けは必要ですか?
仲介で売る場合は原則として空にして引き渡すため必要です。買取の場合は家財ごと引き取る業者を選べば不要です。解体の場合も残置物を解体業者に任せると割高になるため、片付けと解体は分けて見積もるのが定石です。

まとめ──「売れるかどうか」を最初に確かめる

  • 5つの方法のうち、多くの実家は仲介か買取で決まる。解体と国庫帰属は、売れないと分かってからの手段。
  • 相続登記が全ての入口。名義が親のままでは、どの方法も契約に進めない。
  • 3,000万円特別控除の期限(相続開始から3年目の年末)が、処分の時期を決める最大の目安。
読むより、聞いたほうが
早いこともあります

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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