MENU

実家じまいの完全チェックリスト|時系列でやることを全整理

最終更新日:2026年8月6日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 実家じまいには「今すぐ着手すること」「〇日・〇ヶ月以内に判断すること」「1年前後かけて終えること」が混在しています。順番を間違えると、片付けをやり直したり、使えたはずの控除を逃したりします。
  • とくに相続放棄は3ヶ月、準確定申告は4ヶ月、相続税の申告・納付は10ヶ月、相続登記は原則3年という法律上の期限があり、片付けよりも先に日程を押さえておくべき項目です。
  • 本記事の時系列チェックリストは生前準備から相続後1年以上までの全フェーズを30項目で網羅し、印刷してそのまま使える粒度でまとめています。
  • 実家を空き家のまま放置すると、固定資産税の特例が外れて税額が数倍になることがあります。片付けと並行して、不動産をどうするかの方針を早めに決めることが結果的に負担を抑えます。
目次

実家じまいにチェックリストが必要な理由

実家じまいは「片付け」というひとつの作業ではありません。役所への届け出、相続人同士の話し合い、相続放棄をするかどうかの判断、税務署への申告、法務局への登記申請、不動産の売却や解体——性質の異なる手続きが、それぞれ違う期限を持ちながら同時並行で進んでいきます。全体像を持たないまま思いつきで動き始めると、同じ場所を何度も確認し直すことになり、遠方から通う場合はとくに交通費と時間だけがかさんでいきます。

チェックリストが役に立つのは、次の3つを一度に整理できるからです。ひとつ目は「今日やるべきこと」と「まだ先でよいこと」を切り分けられること。ふたつ目は、法律で期限が決まっている手続きを見落とさずに済むこと。みっつ目は、遠方に住むきょうだいや親族と「誰が何をいつまでにやるか」を共有しやすくなることです。実家じまい全体の流れをまず把握したい場合は、実家じまいの完全ガイドもあわせてご覧ください。

相続人が複数いる家庭では、この3つのうちとくに「共有のしやすさ」が重要になります。誰か一人が全体像を把握していても、ほかの相続人が状況を知らなければ、連絡の行き違いや二重対応が起こりやすくなります。チェックリストを紙やスプレッドシートで可視化しておくことは、家族間の認識をそろえる意味でも役立ちます。

とくにチェックリストが役立つ場面は、状況によって少しずつ違います。親が施設に入所して実家が空き家になった場合は「いつまでに何を決めるか」の期限管理が中心になり、突然の相続で片付けが待ったなしの場合は「今日やるべきこと」の絞り込みが優先になります。遠方に住みながら進める場合は、家族間の役割分担を可視化する用途が大きくなります。自分の状況がどれに近いかを意識しながら、以下のチェックリストを読み進めてください。

以下では、生前の準備から相続開始後1年以上先まで、実際の時系列に沿ってチェックリストをまとめています。すべての項目がすべての家庭に当てはまるわけではありませんが、迷ったときに見返せる「全体地図」として使ってください。

【時系列】実家じまい 完全チェックリスト(生前〜相続後1年以上)

下の表は、実家じまいで発生しやすい手続きをフェーズ別に整理したものです。期限がある項目には根拠となる法律・制度名を添えています。印刷してチェックを入れながら使ってください。制度の内容は変わることがあるため、期限が迫っている項目は事前に役所・法務局・税務署・家庭裁判所など各窓口で最新情報をご確認ください。

フェーズ やること ポイント・根拠
生前(判断能力があるうち) 実家の名義人を登記簿謄本で確認する 名義が先代のままだと、その後の手続きがすべて止まる
親に売却・賃貸・解体・そのまま残すの意向を聞く 本人の意向を反映できるのは生前だけ
通帳・印鑑・保険証券・権利証の保管場所を共有してもらう 死後に探す時間と手間を大きく減らせる
各部屋・収納・庭・納屋の写真を撮っておく 遠方の相続人との情報共有や見積もり依頼に使える
サブスク・ネット銀行・SNSなど「デジタル遺品」のID情報を整理してもらう パスワードが分からないと解約や資産確認に時間がかかる
死亡直後〜14日以内 死亡届を提出する 死亡を知った日から7日以内(国外での死亡は3ヶ月以内)。死亡地・本籍地・届出人の所在地いずれかの市区町村役場へ(戸籍法86条)
火葬許可申請を行う 死亡届と同時に手続きするのが一般的
世帯主変更届を提出する 死亡から14日以内。残る世帯員が2人以上の場合に必要
健康保険・介護保険の資格喪失手続きを行う 国民健康保険・後期高齢者医療制度は原則14日以内
年金受給権者死亡届を提出する 厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内が目安
〜49日程度 四十九日法要・納骨の日程を決める 遺品整理・実家じまいの本格着手はこの前後から始める家庭が多い
遺品整理・形見分けの日程を親族間で調整する 誰がいつ立ち会えるかを先に決めておくと二度手間を防げる
電気・ガス・水道の名義変更または停止を行う 解約時期は片付け作業の完了予定に合わせて調整する
郵便物の転送届を郵便局に提出する 空き家宛ての郵便物を親族の住所へまとめて転送できる
固定電話・携帯電話・インターネット回線を解約または名義変更する 契約者本人の死亡を証明する書類が必要な場合がある
サブスク・ネット銀行・証券口座などデジタル遺品を洗い出す 明細やメールから契約サービスを特定し、順次解約する
3ヶ月以内 相続人を確定する 被相続人の出生から死亡までの戸籍を取り寄せて調べる
相続放棄・限定承認をするか判断する 自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述(民法915条)。期間内に判断できない場合は伸長の申立ても可能
4ヶ月以内 準確定申告を行う 故人の所得税の確定申告。相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内(所得税法124条・125条、国税庁)
10ヶ月以内 遺産分割協議を行い、協議書を作成する 不動産の相続登記や預貯金の解約に協議書が必要になる
相続税の申告・納付を行う 基礎控除額を超える場合、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内(相続税法27条・33条、国税庁)
1年以内〜(不動産・登記関連) 相続登記を申請する 不動産の取得を知った日から3年以内(2024年4月1日施行。施行前の相続は2027年3月31日までが期限。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象、法務省)
不動産の活用方針(売却・賃貸・解体・そのまま残す)を最終決定する 相続登記が済んでいないと売却・解体の契約自体が進められない
空き家の3,000万円特別控除の要件を確認する 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡が対象の一つ(租税特別措置法35条、国税庁タックスアンサーNo.3306)
遺留分侵害額請求の要否を確認する 相続開始と侵害を知った時から1年、相続開始から10年で消滅(民法1048条)
随時・忘れがちな項目 空き家の固定資産税・都市計画税の納税管理を継続する 名義変更が済むまで、納税通知書は旧名義宛てに届く場合がある
火災保険・地震保険の名義変更または解約を行う 空き家は保険の適用条件が変わる場合があるため保険会社に要確認
車・バイクの名義変更または廃車手続きを行う 陸運局・軽自動車検査協会などが窓口
仏壇・位牌の閉眼供養・お焚き上げを手配する 菩提寺や専門業者に依頼する。片付けの中でも後回しにされがちな項目
近隣・自治会へ管理状況を伝えておく 空き家期間が長引く場合、庭木の管理や郵便受けの状態を定期的に確認する

実務上は、上の表すべてを順番どおりにこなす必要はありません。とくに「3ヶ月以内」「4ヶ月以内」「10ヶ月以内」の3つは法律上の期限があるため最優先で確認し、それ以外の片付けや供養の手配は家族の都合に合わせて前後させても問題ありません。全体の進め方をより詳しく知りたい場合は実家じまいの進め方・手順ガイドもご参照ください。

デジタル遺品の具体的な洗い出し方法

表の中でもとくに見落とされやすいのが「デジタル遺品」です。通帳や郵便物のように目に見える形で残らないため、存在自体に気づかないまま放置されるケースが少なくありません。以下の手順で洗い出すと漏れを減らせます。

  • スマートフォンのアプリ一覧を確認する——銀行・証券・電子マネー・サブスクリプション系のアプリがインストールされていないかを確認します。ロック解除ができない場合は、契約しているキャリアや端末メーカーのサポート窓口に相談する方法があります。
  • メールの受信履歴を「引き落とし」「請求」「ご利用明細」などのキーワードで検索する——契約中のサービスからは、定期的に利用明細や請求メールが届いていることが多く、検索することで契約中のサービスを洗い出せます。
  • クレジットカード・銀行口座の明細を確認する——数ヶ月分の引き落とし履歴を確認すると、本人が忘れていた自動更新のサービスが見つかることがあります。
  • 各サービスの解約窓口を確認してから手続きする——サービスによって、電話のみ・書面のみなど解約方法が異なります。契約者本人の死亡を証明する戸籍謄本のコピー提出を求められることもあるため、まとめて手続きする前に各社の案内を確認しておくと二度手間になりません。
ここまでで
「うちの場合はいくら?」
と思ったら

家財の片付けから家の処分のご案内まで。2DKまで29.8万円(税別)〜の定額パックです。

LINEで無料見積もり 実家まるごと診断(無料) 実家じまい代行パックを見る

提出書類・手続きの期限一覧(法的根拠つき)

実家じまいの中でもっとも見落とされやすいのが、法律で期限が定められている手続きです。片付けや業者選びに気を取られているうちに期限が過ぎてしまうと、控除や特例が使えなくなったり、過料の対象になったりすることがあります。主なものを一覧にまとめました。

手続き 期限 提出先 根拠
死亡届 死亡を知った日から7日以内(国外での死亡は3ヶ月以内) 死亡地・本籍地・届出人所在地いずれかの市区町村役場 戸籍法86条
相続放棄・限定承認の申述 自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 民法915条・938条
準確定申告 相続の開始を知った日の翌日から4ヶ月以内 故人の納税地の税務署 所得税法124条・125条
相続税の申告・納付 相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内 被相続人の住所地を管轄する税務署 相続税法27条・33条
相続登記 不動産の取得を知った日から3年以内(施行前相続は2027年3月31日まで) 不動産所在地を管轄する法務局 不動産登記法76条の2(2024年4月1日施行)
遺留分侵害額請求 相続開始と侵害を知った時から1年(相続開始から10年で消滅) 内容証明郵便等で相手方へ通知 民法1048条
空き家の3,000万円特別控除の適用 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで(要件・期限は改正されることがある) 譲渡所得の確定申告時 租税特別措置法35条(国税庁タックスアンサーNo.3306)

期限を過ぎるとどうなるかも押さえておくと、優先順位を判断しやすくなります。相続放棄の期限を過ぎると、借金を含めてすべての財産を相続する「単純承認」をしたとみなされます。相続登記は、正当な理由なく期限内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得ます(法務省)。相続税の申告が遅れると、無申告加算税や延滞税が発生するだけでなく、配偶者の税額軽減など一部の特例が使えなくなる場合もあります。空き家の3,000万円特別控除も期限を過ぎると数百万円規模の控除を逃すことになりかねません。いずれも「知らなかった」では取り戻せない項目のため、片付けと並行して早めにカレンダーへ書き込んでおくことをおすすめします。

そもそも相続税の申告が必要かどうかは、遺産総額が基礎控除額を超えるかどうかで判断します。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します(相続税法15条)。たとえば法定相続人が2人であれば基礎控除額は4,200万円です。遺産総額がこの金額以下であれば、原則として相続税の申告自体は不要ですが、小規模宅地等の特例など一部の特例は申告を条件に適用されるため、控除内に収まりそうな場合でも判断に迷うときは税理士に確認しておくと安心です。

相続手続きに必要な書類一覧

上の表にある期限を守るには、書類の取得に時間がかかることも見込んでおく必要があります。戸籍謄本は本籍地の役所でしか取得できず、本籍地が遠方や転籍を繰り返している場合は郵送でのやり取りに数週間かかることもあります。相続登記や税務申告の直前に慌てないよう、片付けと並行して早めに準備しておきたい書類を一覧にしました。

書類 主な取得先 主な用途
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(除籍・改製原戸籍を含む) 本籍地のあった各市区町村役場 相続人の確定、相続登記、相続税申告、金融機関の解約手続き
相続人全員の現在の戸籍謄本 各相続人の本籍地の市区町村役場 相続人であることの証明
被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票) 最後の住所地の市区町村役場 相続登記での本人特定
相続人全員の印鑑証明書 各相続人の住所地の市区町村役場 遺産分割協議書への実印押印の証明
不動産の登記事項証明書(登記簿謄本) 法務局(オンライン請求も可) 名義・権利関係の確認
固定資産評価証明書 不動産所在地の市区町村役場(都税事務所など) 相続登記の登録免許税の計算、相続税評価
遺言書(自筆証書遺言の場合は検認済証明書) 自宅保管分は家庭裁判所、法務局保管制度利用分は法務局 遺産の分け方の確認。自筆証書遺言は原則、家庭裁判所での検認が必要

これらの書類は、相続放棄の申述・相続登記・相続税申告など複数の手続きで重複して使うことが多いため、まとめて複数部数取得しておくと窓口を往復する回数を減らせます。取得方法や必要部数に迷う場合は、司法書士や税理士に早めに相談すると手戻りを防げます。

ケース別シミュレーション:放置すると固定資産税はどう変わるか

実家じまいを先延ばしにするかどうかの判断材料として、固定資産税の違いを具体的な数字で見ておきましょう。住宅が建っている敷地には「住宅用地の特例」があり、200㎡以下の部分は課税標準額が6分の1に、200㎡を超える部分は3分の1に軽減されます(地方税法349条の3の2)。この特例は、建物を解体して更地にしたり、自治体から「特定空家等」や「管理不全空家等」に指定されて改善が見られなかったりすると外れることがあります。

自分の実家に近い数字で試算したい場合は、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書、または市区町村役場で取得できる固定資産評価証明書に記載の「評価額」を使うと概算できます。土地の評価額は公示地価のおおむね7割程度、建物の評価額は築年数に応じて再建築価格から減価した金額が目安とされていますが、実際の数値は自治体の算定によるため、正確な金額は評価証明書で確認してください。以下は、固定資産税評価額1,200万円・敷地150㎡(200㎡以下)の実家を例にした試算です。実際の税額は評価額・自治体・税率によって変わるため、あくまで目安としてご覧ください。

状態 固定資産税額の目安(標準税率1.4%の場合) 備考
住宅が建っており特例適用あり(1/6) 1,200万円×1/6×1.4%=約2.8万円/年 相続後、住宅をそのまま残している状態
特例が外れた場合(更地・特定空家等指定など) 1,200万円×1.4%=約16.8万円/年 年間で約14万円、5年間では約70万円の差になる

この試算からわかるのは、判断を先延ばしにするほど「損」というわけではなく、片付けと並行して不動産の方針(残す・売る・解体する)を決めていないこと自体がリスクになるという点です。三つの典型的なケースで、注意点を整理します。

  • ケース1:相続後すぐに売却の方向で動いたケース——名義変更(相続登記)を早めに済ませられれば、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までという空き家の3,000万円特別控除の期限にも余裕を持って対応できます。売却までの間は住宅用地の特例が続くため、税負担も抑えられます。
  • ケース2:方針を決めないまま数年空き家にしたケース——固定資産税の負担自体は特例が続く限り大きくは変わりませんが、空き家期間が長引くほど建物の傷みが進み、自治体から「特定空家等」や「管理不全空家等」に指定されるリスクが高まります。指定されると特例が解除され、税額が数倍になる可能性があります。
  • ケース3:実家を賃貸に出していたケース——空き家の3,000万円特別控除は「相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋」であることなどが要件の一つで、相続後に賃貸・事業の用に供していると対象外になる場合があります。賃貸を続けるか、契約終了後に空き家として売却特例を検討するかは、早い段階で税理士に相談しておくと選択肢が狭まりません。
  • ケース4:二世帯住宅で片方の世帯だけが空き家になったケース——建物の一部だけが空き家でも、敷地全体としては住宅用地の特例が適用され続けるのが一般的です。ただし将来的に建物を分割して一部だけ解体・売却する場合、残りの部分にどう特例が適用されるかは個別判断になるため、解体や売却を検討する段階で自治体の資産税担当窓口に確認しておくと安心です。

費用面の全体像(遺品整理・片付けにかかる金額の相場)は実家じまいの費用相場で詳しく解説しています。

現場で見落としがちなチェック漏れ

チェックリストを用意していても、実際に手を動かす段階でつまずくポイントには一定の傾向があります。事務局として相談を受ける中でよく見られるパターンをまとめました。自分の状況に当てはまるものがないか、確認してみてください。

  • 「保留」に分類した物が結局処分になり、二度手間になる——判断に迷う物をいったん「保留」にするのは有効な方法ですが、保留の山を作ったまま放置すると、結局は処分に回ることが多くなります。保留箱には「いつまでに判断するか」の期限を書いておくと、二度目の仕分け作業を減らせます。
  • 名義変更前に売買や解体の契約を進めようとしてしまう——不動産会社や解体業者との契約は、相続登記が完了して名義が相続人に変わっていることが前提になる場合がほとんどです。片付けを先に終えても、名義が整っていなければ次の工程に進めません。
  • デジタル遺品の見落とし——通帳や郵便物からは把握できないネット銀行・証券口座・サブスクリプションは、存在自体に気づかないまま放置されやすい項目です。スマートフォンのアプリ一覧やメールの受信履歴を確認する作業を、片付けの初期段階に組み込んでおくと漏れを防げます。
  • 相続放棄を検討中なのに遺品を売却・処分してしまう——価値のある遺品を売却したり、大部分の家財を処分したりすると、法定単純承認とみなされ、後から相続放棄ができなくなることがあります(民法921条)。放棄を迷っている段階では、形見分けの範囲や処分してよい物の判断について、着手前に専門家へ相談することをおすすめします。
  • 遠方のきょうだい間で役割分担を決めずに動き始めてしまう——誰が何をいつまでにやるかを決めないまま個別に動くと、同じ作業を重複して行ったり、逆に誰も手をつけない項目が残ったりします。着手前に一度、担当と期限をリスト化して共有しておくと、後の行き違いを防げます。
  • 空き家の管理を後回しにして近隣トラブルに発展する——庭木の伸び放題や郵便受けの満杯状態は、近隣から見て「放置されている」印象を強めます。片付けの本格着手までに時間がかかる場合でも、最低限の外観管理だけは早めに手を打っておくと安心です。
  • 仏壇・位牌の供養手配を後回しにして片付け全体が止まる——仏壇や位牌は「処分してよいか」の判断に時間がかかりやすく、そこで作業全体が止まってしまうことがあります。供養の希望があるかどうかを早い段階で親族に確認し、対応できる業者を先に決めておくと、当日の作業がスムーズに進みます。
  • 相見積もりを取らずに最初の1社と契約してしまう——急いでいるときほど、最初に問い合わせた業者とそのまま契約してしまいがちです。同じ条件でも業者によって金額に差が出ることがあるため、時間が許す範囲で2〜3社に見積もりを依頼し、内訳のある書面で比較することをおすすめします。

実家じまいと生前整理、どちらのチェックリストを使うべきか

本記事のチェックリストは、親が亡くなった後の「実家じまい」を主な対象にしています。一方で、親が元気なうちに身の回りを整理する「生前整理」は、進め方も判断基準も異なります。両者の違いを整理すると、次のようになります。

実家じまい(相続後) 生前整理(本人が健在)
判断の主体 相続人・親族が判断する 本人の意向を確認しながら進められる
時間的な制約 相続放棄3ヶ月・相続税申告10ヶ月など法律上の期限がある 期限はなく、本人のペースで進められる
形見分け・供養 相続人同士で希望をすり合わせる必要がある 本人の希望を直接確認できる
本記事の使い方 時系列チェックリストをそのまま活用 生前フェーズの5項目を先取りして進める

本記事の時系列チェックリストの「生前」フェーズ(名義確認・意向確認・保管場所の共有・写真撮影・デジタル遺品の整理)は、そのまま生前整理の準備リストとしても使えます。親がまだ元気なうちにこの5項目だけでも済ませておくと、実際に相続が発生したときの負担を大きく減らせます。

自分でやる範囲と業者に任せる範囲の判断基準

すべてを自分たちで進めることも、すべてを業者に任せることも可能です。判断基準になるのは、時間・物量・距離の3つです。時間に余裕があり、実家が近く、物量も少なければ自力対応で十分なことが多い一方、逆にどれか一つでも当てはまると、無理に自分でやろうとして日程だけが延びてしまうことがあります。

項目 自分で対応しやすいケース 業者に任せた方が現実的なケース
役所・法務局・税務署の手続き 平日に窓口へ行ける、書類の準備に時間を割ける 司法書士・税理士など専門家に依頼した方が期限管理も含めて確実
片付け・搬出 物量が少ない、時間に余裕がある、体力的な負担が少ない 物量が多い、期限が迫っている、遠方で頻繁に通えない
仏壇・位牌の供養 菩提寺に直接相談できる関係がある 菩提寺との付き合いがない、閉眼供養からまとめて任せたい
不動産の売却・解体 相続登記まで自分たちで進められる場合 相続登記・税務・売却・解体をワンストップで進めたい場合

とくに片付けと不動産処分の両方が必要な場合は、窓口を分散させるよりも、片付けから解体・売却の相談までを一つの窓口でまとめて進められるサービスを使う方が、日程調整の手間を減らせます。逆に、時間に余裕があり物量も少ない場合は、自治体の粗大ごみ収集や不用品回収を組み合わせるだけで十分なケースもあります。無理に業者へ一括発注する必要はなく、チェックリストの項目ごとに「自分でできそうか」「頼んだ方が早いか」を都度判断していく形で問題ありません。

遠方に住んでいる場合のチェックリストの使い方

実家から離れて暮らしている場合、上記のチェックリストをそのまま順番に進めようとすると、帰省のたびに交通費と時間がかさみます。遠方から進める場合は、次のように使い方を調整すると効率が上がります。

  1. 1回の訪問で「決めること」を先に絞っておく——訪問前に、時系列チェックリストの中から「今回の帰省で終わらせる項目」を3つ程度に絞ってから向かうと、行き当たりばったりの訪問を防げます。
  2. 写真とチェックリストをセットで共有する——各部屋・収納の写真を撮影し、チェックリストの進捗と合わせてきょうだいや親族と共有すると、次に誰が何をすべきかが明確になります。
  3. 期限のある手続きを先に洗い出す——相続放棄・準確定申告・相続税申告・相続登記など、期限のある項目だけを別紙に書き出し、片付けとは別のスケジュールで管理すると期限切れを防ぎやすくなります。
  4. 立ち会いなしで進められる範囲を確認する——鍵を預けて、作業前後の写真報告を受ける形で片付けを進められる業者もあります。現地に何度も足を運ばずに済む方法があるかどうかを、早い段階で確認しておくと負担を抑えられます。

新幹線や飛行機での移動が前提になる場合、日帰りでの現地確認自体が難しいことも珍しくありません。相続人が複数いる場合は、形見分けの方針や売却・解体の要否について、片付けを始める前に方向性をすり合わせておくと、後の意見の食い違いを防げます。郵便物の転送や公共料金の停止といった片付け以外の手続きも、帰省のタイミングに合わせてまとめて進めておくとスムーズです。

チェックリストを家族・親族で共有する方法

相続人が複数いる場合、チェックリストは一人で抱え込むよりも、家族全員で進捗を共有できる形にしておいた方が後のトラブルを防げます。共有方法として現実的なのは、次の3つです。

  • 共有スプレッドシートで進捗を管理する——本記事の時系列チェックリストをコピーし、担当者・期限・完了日を書き込める列を追加しておくと、誰が何をいつまでに担当しているかが一目でわかります。紙で印刷して手書きで管理する場合も、担当者欄を作っておくと同じ効果があります。
  • 写真はクラウドアルバムでまとめて共有する——各部屋・収納の写真を撮るたびにクラウドアルバムへアップロードしておくと、遠方の親族もリアルタイムで状況を確認でき、「これは処分していいか」の判断を写真ベースで仰げます。
  • 業者や役所とのやり取りの窓口を一人に絞る——相続人それぞれが個別に業者や役所へ問い合わせると、情報が食い違いやすくなります。窓口役を一人決めておき、決定事項をその都度ほかの相続人へ共有する形にすると、行き違いを防げます。

とくに期限のある法的手続きは、担当者を決めておかないと「誰かがやってくれているだろう」という思い込みで放置されがちです。チェックリストの各項目に担当者名と期限を書き込む欄を作るだけでも、抜け漏れのリスクは大きく下がります。

安心実家じまいのサービス案内

安心実家じまいは、片付けから家の売却・解体の手配までを一つの窓口でお受けする全国対応のサービスです。本記事のチェックリストのうち、片付け・遺品整理・供養・買取・不動産処分の相談窓口として利用いただけます。役所や法務局、税務署での手続きそのものは代行できませんが、提携する司法書士・税理士と連携しながら、片付けと並行して進められるよう調整します。

片付けのみのご依頼は遺品整理サービスで承ります。家の売却・解体まで見据えている場合は実家じまい代行パックが窓口をまとめられる分、割安になります。二つのサービスの違いは、次のとおりです。

遺品整理サービス 実家じまい代行パック
対象範囲 家財の片付けのみ 片付けに加え、家の売却・解体の手配まで
料金目安 間取り・物量に応じた個別見積もり 2DKまで29.8万円/3LDKまで49.8万円/4LDK以上69.8万円〜(税別)
向いているケース 賃貸の退去や、家は残して片付けだけ済ませたい場合 実家の売却・解体まで見据えている場合

まずは写真を送っていただくだけで、概算のお見積もりをご案内できます。料金の全体像や間取り別の目安は実家じまいの費用相場を、依頼から作業完了までの流れは実家じまいの進め方・手順ガイドをご覧ください。

提携業者は、一般廃棄物収集運搬の許可や損害保険の加入状況を安心実家じまい事務局が事前に確認したうえで紹介しています。相続登記など法律手続きが絡む場合は、提携司法書士と連携しながら進行します。基準の詳細は提携業者の品質基準のページでご案内しています。

よくある質問

実家じまいのチェックリストはどこで手に入りますか?
本記事の「時系列チェックリスト」の表がそのまま印刷して使える形になっています。生前準備から相続後1年以上までフェーズごとに区切っているため、今の状況に合う部分から確認してください。期限のある法的手続きについては、本記事の一覧表で漏れがないかをまず確認することをおすすめします。
実家じまいは何から始めればいいですか?
最初に確認すべきは実家の名義(登記簿謄本)と、親や相続人の意向です。名義が親や先代のままだと、売却も解体も契約を進められません。名義と意向を確認したら、死亡直後の役所手続き、片付け、相続放棄の判断、相続登記へと進めるのが基本の順番です。
相続放棄を考えている場合、遺品整理を進めても大丈夫ですか?
価値のある遺品を売却したり処分したりすると、法定単純承認とみなされ、相続放棄ができなくなることがあります(民法921条)。写真の整理や明らかに無価値なごみの処分は問題になりにくいとされますが、判断に迷う場合は着手前に司法書士や弁護士へ相談してください。
実家じまいのチェックリストで一番見落としやすい項目は何ですか?
サブスクリプションやネット銀行・証券口座などのデジタル遺品、そして相続登記の期限です。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、正当な理由なく期限内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得ます(法務省)。
実家じまいはどのくらいの期間で終わりますか?
相続税の申告が必要なケースでは、少なくとも10ヶ月程度を見込んでおくと安全です。相続登記まで含めると1年以上かかることも珍しくありません。片付けだけであれば数週間から数ヶ月で終わる場合もありますが、法的手続きの期限とは分けて考える必要があります。
実家じまいのチェックリストはアプリやテンプレートを使ってもいいですか?
アプリやテンプレートを使うこと自体は問題ありません。ただし相続放棄・準確定申告・相続税申告・相続登記など、期限が法律で決まっている項目は汎用テンプレートだと抜け落ちていることがあります。本記事の「提出書類・手続きの期限一覧」と照らし合わせて、法的な期限だけは別途確認することをおすすめします。
実家じまいの相談は誰にすればいいですか?
内容によって窓口が異なります。相続放棄や相続登記など法律手続きは司法書士や弁護士、相続税は税理士、片付けや家財の処分・供養・不動産の売却手配は実家じまい専門の業者が窓口になります。安心実家じまいでは片付けから不動産処分までを一つの窓口で受け付け、法律手続きは提携する司法書士・税理士と連携してご案内しています。

まとめ

実家じまいのチェックリストは、片付けの手順表であると同時に、法律上の期限を管理するための地図でもあります。要点を振り返ります。

  • 実家じまいは、片付け・行政手続き・相続の判断・税務申告・登記が並行して進む複合的な作業
  • 相続放棄は3ヶ月、準確定申告は4ヶ月、相続税の申告・納付は10ヶ月、相続登記は原則3年以内という法律上の期限がある
  • 時系列チェックリスト(30項目)は印刷してそのまま使える粒度でまとめている
  • 空き家のまま放置し特例が外れると、固定資産税が数倍になる可能性がある
  • 相続放棄を検討中の場合、遺品の売却・処分は法定単純承認とみなされるリスクがあるため要注意
  • 遠方在住なら「1回の訪問で決めることを絞る」「期限のある項目を別管理する」だけでも負担が大きく減る
  • 自分で対応する範囲と業者に任せる範囲は、時間・物量・距離の3つを基準に判断する
  • 相続人が複数いる場合は、担当者・期限を書き込んだ表で進捗を共有し、窓口を一人に絞ると行き違いを防げる

まずは本記事の時系列チェックリストを見ながら、自分たちが今どのフェーズにいるかを確認してみてください。名義の確認と親・相続人の意向確認さえ済んでいれば、あとは期限のある項目から順番に片付けていくだけです。片付けの手順や費用の詳細は実家じまいの進め方・手順ガイド実家じまいの費用相場を、全体像は実家じまいの完全ガイドをあわせてご覧ください。

読むより、聞いたほうが
早いこともあります

家財の片付けから家の処分のご案内まで。2DKまで29.8万円(税別)〜の定額パックです。ご相談・お見積もりは無料です。

LINEで無料相談 実家まるごと診断(無料) 実家じまい代行パックを見る フォームで相談

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

目次