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空き家バンクとは|登録方法・売れやすさ・自治体の支援

最終更新日:2026年8月6日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

「実家を空き家バンクに登録すれば売れるらしい」と聞いて調べ始めたものの、無料で使えるのか、本当に買い手がつくのか、税金はどうなるのか、判断材料が足りないまま止まっている方は少なくありません。空き家バンクは自治体が窓口になっている分、安心感がある一方で、仕組みを知らずに登録だけして数年放置されている物件も現実には多くあります。この記事では、空き家バンクの仕組みと登録方法、売れやすさの実際、自治体の支援制度、売却時の税金までを、実務の視点から整理します。

この記事の結論

  • 空き家バンクは市区町村が運営する無料の物件マッチング制度です。登録・閲覧は無料ですが、実際の売買契約には民間の宅地建物取引業者が仲介に入り、通常どおり仲介手数料がかかります。
  • 2026年8月時点、全国版の空き家バンクポータルにはLIFULL HOME’Sで786自治体・8,376件、アットホームで908自治体・11,547件が掲載されており、自治体は複数ポータルに重複登録していることが多いです。
  • 空き家バンクは移住検討者が中心の限られた市場で、掲載しただけでは売れないケースが珍しくありません。家財の撤去・清掃・適正価格への見直しと、通常の仲介・買取の併用が現実的な選択肢です。
  • 相続した空き家を売る場合、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。適用の有無で税額が数十万円〜百万円単位で変わることがあります。
目次

空き家バンクとは|自治体が運営する物件マッチング制度

空き家バンクとは、空き家や空き地を「売りたい・貸したい」所有者と、「買いたい・借りたい」利用希望者を、市区町村がマッチングする制度です。所有者から自治体の窓口に物件情報を登録してもらい、自治体のウェブサイトや広報誌、あるいは全国版のポータルサイトで公開します。移住・定住の促進を目的に、2000年代後半から地方自治体を中心に広がり、現在では都市部の自治体にも導入が進んでいます。

制度の位置づけとして押さえておきたいのは、空き家バンクは「情報を無料で掲載する場」であって、自治体が売買契約そのものを仲介するわけではないという点です。登録や物件の閲覧に費用はかかりませんが、実際に売買や賃貸借の契約を結ぶ段階では、多くの自治体で民間の宅地建物取引業者(協力不動産業者)が仲介に入り、通常の不動産取引と同じく仲介手数料が発生します。自治体によっては、あらかじめ登録された協力業者の中から担当を割り振る仕組みを取っており、所有者が業者を自由に選べない場合もあります。

全国版空き家・空き地バンクの仕組み

個々の自治体のサイトに加えて、全国の空き家バンク物件を横断的に検索できる「全国版空き家・空き地バンク」という仕組みがあります。国土交通省の後押しで整備が進み、現在は民間の不動産情報サイトが運営を担っています。代表的なのが、LIFULL HOME’Sが運営する「空き家バンク」と、アットホームが運営する「空き家バンク」の2つのポータルです。自治体はどちらか一方、または両方に物件情報を提供しており、利用者はどちらのサイトからでも参画自治体・物件を検索できます。

独自データ:2つの全国版ポータルの掲載件数を実測比較

この記事の執筆にあたり、2つの全国版ポータルのトップページを実際に確認したところ、次のような掲載規模でした。数字は日々変動するため目安として参照してください。

ポータル 掲載物件数 参画自治体数
LIFULL HOME’S 空き家バンク 8,376件 786自治体
アットホーム 空き家バンク 11,547件 908自治体

(2026年8月6日時点・各社公式サイトの掲載件数表示より安心実家じまい事務局が実測)両サイトを比べると、参画自治体数にも掲載物件数にも差があることが分かります。これは同じ自治体でも、片方のポータルにしか物件情報を提供していなかったり、更新のタイミングがずれていたりするためです。実家がある自治体の空き家バンクを探す場合、自治体の公式サイトだけでなく、この2つの全国版ポータルの両方を確認しておくと、見落としを減らせます。逆に自分の実家を登録する側であっても、自治体がどちらのポータルに情報を出しているか(あるいは両方か)を確認しておくと、想定される露出範囲がつかめます。

空き家バンクでできないこと

制度の性質上、空き家バンクには次のような限界があります。登録すればあとは自治体に任せておけるという制度ではない点は、最初に理解しておく必要があります。

  • 自治体は仲介責任を負わない——物件情報の紹介はしますが、価格交渉や契約手続き、契約不適合責任などの当事者間トラブルには自治体は関与しません。
  • 集客力は自治体の広報力に左右される——民間ポータルサイトのような広告出稿や検索最適化を自治体自身が行っているわけではなく、露出は限られます。
  • 買主・借主が移住検討者に偏りやすい——制度の目的が移住・定住促進にあるため、投資目的や近隣住民からの問い合わせは想定されていない自治体もあります。
  • 登録できる物件に条件がある——耐震基準、権利関係の整理状況、居住の有無などで登録自体を断られることがあります(詳しくは次章)。

空き家バンクの登録方法|売る人・貸す人の手順

登録の詳しい手順は自治体ごとに異なりますが、大まかな流れは共通しています。ここでは一般的な5ステップを紹介します。

  1. 自治体の空き家バンク担当窓口へ相談——多くは建設課・住宅政策課・移住定住推進課などが窓口です。電話や自治体サイトの申込フォームから相談を始めます。
  2. 登録要件の確認・申込書の提出——空き家であること、所有者(共有者がいる場合は全員)の同意があること、権利関係が整理されていることなどの要件を確認し、申込書と登記事項証明書などの必要書類を提出します。
  3. 現地調査——自治体の職員、または委託を受けた業者が現地を確認し、建物の状態や登録の可否を判断します。老朽化が著しい場合は、登録前に修繕や耐震診断を求められることもあります。
  4. 登録決定・情報公開——審査を経て登録が決まると、自治体サイトや全国版ポータルに物件情報が掲載されます。写真・間取り・価格・立地条件などを所有者側で用意する必要があります。
  5. 問い合わせ対応・内覧・契約——利用希望者からの問い合わせに応じて内覧を調整し、条件が合えば自治体が指定または紹介する不動産業者を通じて契約に進みます。

登録できない・却下されやすい物件の条件

登録を希望しても、次のような場合は要件を満たさず断られることがあります。事前に確認しておくと、書類を揃えてから登録できずに時間を無駄にすることを防げます。

  • 共有者・相続人全員の同意が得られていない(相続登記が未了で名義人が確定していない場合を含む)
  • 耐震基準を満たしておらず、自治体が耐震診断・改修を登録の前提条件にしている
  • 抵当権など担保権が設定されたままになっている
  • 倒壊のおそれがあるなど、自治体が定める「特定空家等」に該当する状態まで老朽化している
  • 店舗・事務所専用で居住用としての需要が想定されない(自治体によっては事業用も対象内)
  • 家財や仏壇・遺品が残ったままで、内覧・引き渡しができる状態にない

実務チェックリスト:登録前に確認しておきたい8項目

自治体への相談前に、次の項目を一つずつ確認しておくと、初回の相談がスムーズに進みます。印刷してチェックする用途にお使いください。

確認項目 確認できたら
相続登記は完了しているか(名義人は確定しているか)
共有者・相続人全員の登録同意が得られるか
登記事項証明書・固定資産税課税明細書は手元にあるか
家財・遺品の撤去のめどは立っているか
耐震診断が必要な築年数か(おおむね昭和56年5月以前着工)
雨漏り・シロアリなど致命的な劣化がないか
抵当権など担保権が残っていないか
希望する価格帯・条件を自分の中で整理できているか

とくに相続登記の完了は見落とされがちです。名義が故人や先代のままでは、空き家バンクへの登録自体を断る自治体が多く、登録できたとしても契約段階で名義変更が間に合わず、話が止まってしまうことがあります。相続登記は2024年4月から義務化されており、正当な理由なく放置すると過料の対象になり得ます。空き家バンクへの登録を検討する段階で、登記の状況を確認しておくことをおすすめします。

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空き家バンクの物件は本当に売れやすいのか

ここが最も知りたい部分だと思います。結論から言うと、空き家バンクに登録しただけで自動的に売れるわけではなく、他の売却方法と比べて優れている場面と、そうでない場面があります。囲い込まずに正直にお伝えします。

空き家バンクのメリット

  • 登録・掲載が無料で、通常の不動産広告のような掲載費用がかからない
  • 「自治体のお墨付き」という安心感から、遠方の移住検討者に届きやすい
  • 自治体によっては、成約時に売主・買主どちらか、あるいは双方に奨励金や補助金が用意されている場合がある
  • 移住・定住需要があるエリアでは、通常の仲介では出会えない買主層(都市部からの移住希望者)にリーチできる

空き家バンクのデメリット・売れにくい理由

  • 閲覧者数が民間ポータルより少ない——SUUMOやアットホームの通常物件情報サイトに比べ、空き家バンク単体の閲覧者数は限定的です。全国版ポータルへの掲載でカバーされる部分もありますが、大手不動産ポータルほどの露出は見込みにくいのが実情です。
  • 買主が移住検討者に偏る——投資目的の買主や、近隣で買い増しを考えている人など、通常の不動産市場であれば興味を持つ層に届きにくい場合があります。
  • 価格の相場観が需要とずれやすい——空き家バンクに出す物件は、所有者が「安くてもいいから手放したい」と考えるケースと、「思い出があるので相場並みで」と考えるケースが混在し、価格設定が需要と噛み合わないことがあります。
  • 内覧対応や交渉を所有者自身が担う自治体もある——仲介業者が間に入らない自治体では、内覧の日程調整や価格交渉を所有者が直接行う必要があり、遠方在住者には負担になります。
  • 家財が残ったままでは内覧すらできない——遺品や生活用品が残った状態では、買主側の印象が悪くなりやすく、片付けが済むまで実質的に商談が進まないことがあります。

独自比較表:空き家バンク・仲介・買取をどう使い分けるか

実家の処分方法には、空き家バンク以外にも「通常の不動産仲介」「不動産会社への買取」という選択肢があります。それぞれの特徴を整理すると、次のようになります。

空き家バンク 通常の仲介 不動産会社への買取
掲載・登録費用 無料 無料(成約時に仲介手数料) 無料
売却までの期間 読めない(数か月〜数年) 数か月〜半年程度が目安 数日〜1か月程度
想定される買主 移住検討者が中心 幅広い一般個人・投資家 不動産会社(再販・活用目的)
売却価格の傾向 相場並み〜割安になりやすい 相場に近い価格を狙える 相場の6〜8割程度が目安
向いているケース 移住需要のあるエリアで時間に余裕がある場合 相場どおりの価格で売りたい場合 スピード重視・現況のまま手放したい場合

この3つは排他的ではなく、併用が現実的です。たとえば「まず空き家バンクに登録しつつ、並行して仲介業者にも査定を依頼し、半年たっても動きがなければ買取に切り替える」といった進め方であれば、機会損失を避けながら選択肢を残せます。査定の受け方は実家売却の査定の進め方で詳しく解説しています。

売却を早めるためにできること

空き家バンクに出すかどうかにかかわらず、次の準備をしておくと成約までの期間を短縮しやすくなります。

  • 家財・遺品を撤去し、内覧できる状態にしておく
  • 簡易清掃を行い、写真映りと第一印象を整える
  • 耐震診断を受け、必要な改修を先に済ませておく(自治体の登録要件にもなり得る)
  • 相場から乖離した価格設定を避け、近隣の取引事例や査定額を参考に見直す
  • 老朽化が激しく再生が難しい場合は、解体して更地として登録・売却する選択肢も検討する。解体の進め方は実家の解体費用と進め方を参照してください

家財が残ったままの実家は、空き家バンクへの登録段階でつまずくことが多い部分です。片付けから進める場合は実家じまい代行サービスで、仕分け・搬出から売却・解体の手配までを一つの窓口で相談できます。

空き家を売ったときの税金|譲渡所得税と3,000万円特別控除

空き家バンクを通じて、あるいは仲介・買取を通じて実家を売却した場合、利益(譲渡所得)が出れば譲渡所得税がかかります。仕組みを知らずに売却を進めると、想定より手取りが減ってしまうことがあるため、事前に押さえておきたい部分です。

譲渡所得税の基本

譲渡所得税は「課税譲渡所得金額×税率」で計算します。課税譲渡所得金額は、次の式で求めます。

課税譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

取得費は購入時の代金や仲介手数料などの合計額(建物は減価償却費相当額を差し引く)で、取得費が分からない場合は譲渡価額の5%を概算取得費として使うこともできます。譲渡費用は売却時にかかった仲介手数料や測量費、建物を取り壊して土地を売る場合の解体費用などです。税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間によって次のように異なります(国税庁タックスアンサーNo.3208・No.3211より)。

所有期間 区分 所得税 住民税 復興特別所得税
5年超 長期譲渡所得 15% 5% 所得税額の2.1%
5年以下 短期譲渡所得 30% 9% 所得税額の2.1%

相続した実家の場合、所有期間は被相続人(亡くなった親など)が取得した日から通算されるため、長年住んでいた実家であれば長期譲渡所得(税率が低いほう)になるケースがほとんどです。

被相続人の居住用財産(空き家)の3,000万円特別控除

相続または遺贈によって取得した被相続人の居住用家屋・敷地を、平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間に売った場合で、一定の要件を満たせば、譲渡所得の金額から最高3,000万円を控除できる特例があります(対象期間は今後変更・延長される可能性があるため、最新の情報は国税庁サイトでご確認ください)。主な要件は次のとおりです(国税庁タックスアンサーNo.3306より)。

  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(区分所有建物登記がされた建物は対象外)
  • 相続開始の直前に被相続人以外が住んでいなかったこと
  • 相続の時から譲渡の時まで、事業・貸付け・居住の用に供されていないこと
  • 家屋を売る場合は譲渡時点で耐震基準を満たしていること、または家屋を取り壊して土地のみを売ること(令和6年1月1日以後の譲渡については、譲渡の翌年2月15日までに買主側で耐震改修または取り壊しを完了させる形でも要件を満たせる場合があります)
  • 相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 売却代金が1億円以下であること
  • 親子や夫婦など特別の関係がある人に売ったものでないこと

控除を受けるには、確定申告の際に「被相続人居住用家屋等確認書」など複数の書類を市区町村から取得して添付する必要があります。なお、令和6年1月1日以後の譲渡で、対象の家屋・敷地を相続した相続人が3人以上いる場合、控除の上限は2,000万円になります。適用できるかどうかで納税額が大きく変わるため、売却前に要件を満たせるか、税理士・司法書士など専門家にも確認しておく価値があります。

ケース別計算例:特別控除の適用有無で税額はどう変わるか

実家の評価や状況によって金額は変わりますが、目安をつかむための計算例を示します。いずれも所有期間5年超(長期譲渡所得、税率20.315%)で、取得費と譲渡費用の合計を500万円と仮定した場合です。

譲渡価額 特別控除の適用 課税譲渡所得金額 譲渡所得税等(20.315%)
2,000万円 適用あり(3,000万円控除) 0円 0円
2,000万円 適用なし 1,500万円 約304万円
3,500万円 適用あり(3,000万円控除) 0円 0円
3,500万円 適用なし 3,000万円 約609万円
5,000万円 適用あり(3,000万円控除) 1,500万円 約304万円
5,000万円 適用なし 4,500万円 約914万円

(課税譲渡所得金額=譲渡価額-500万円-控除額として試算。税率は所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%=20.315%で計算。実際の税額は取得費・譲渡費用・控除の適用条件によって変わるため、目安としてご覧ください)表からも分かるとおり、特別控除が適用できるかどうかで、数百万円単位の差が生じ得ます。老朽化した実家を「昭和56年以前築だから対象になるはず」と自己判断で進めず、耐震基準の充足状況や必要書類の有無を、税理士や司法書士に事前確認しておくことをおすすめします。

自治体の支援制度|奨励金・改修補助・解体補助

空き家バンクを運営する自治体の多くは、登録や成約を後押しするための独自の支援制度を用意しています。ただし制度の有無・金額・要件は自治体ごとにまったく異なり、全国共通の一律の金額は存在しません。ここでは代表的な制度の類型と、確認の仕方を整理します。

支援制度の主な5類型

  • 登録・成約奨励金——空き家バンクへの登録時や、成約が決まった際に、売主・買主のいずれか、あるいは双方に一定額を交付する制度です。
  • 改修工事費補助——買主・借主が入居前にリフォームを行う場合、工事費の一部を補助する制度です。空き家バンク経由での成約を条件にしている自治体が多く見られます。
  • 家財処分・清掃費補助——登録前の家財撤去や室内清掃にかかる費用の一部を補助する制度です。遺品整理や生前整理と関わりが深い支援です。
  • 老朽危険家屋の解体費補助——倒壊のおそれがある「特定空家等」に該当する物件の解体費用を補助する制度です。空き家バンクとは別枠で、老朽化対策として設けられていることが多い制度です。
  • 移住者向けの引越し費用助成——空き家バンクを通じて移住してきた買主・借主向けに、引越し費用の一部を助成する制度です。

制度の規模感をつかむための実例として、奈良市には老朽危険な空き家の解体費用を補助する「特定空家等除却費用補助金」があり、補助額は除却費用の2分の1以内・上限30万円という条件です(2026年8月時点・奈良市公式サイトより)。このように、地域によっては数十万円単位の実質的な支援が受けられる場合があります。実家がある市区町村の空き家バンク担当窓口、または建設課・住宅政策課に問い合わせ、現行の制度と予算枠の有無を確認してください。予算に達し次第、年度途中でも受付を終了する制度が多い点にも注意が必要です。

補助金を使うときの注意点

多くの自治体で共通する注意点があります。申請前に工事を契約・着工してしまうと、補助の対象外になる制度がほとんどです。改修や解体を検討している場合は、契約前に自治体へ相談し、申請の順番を確認してください。また、他の補助金制度と併用できない、市税を滞納していると申請できない、施工業者が建設業の許可を持つ事業者に限られるといった条件が付くことも一般的です。空き家バンクとは別に、地域の実情に応じた解体費補助を実施している自治体もあるため、実家の状態によっては解体を含めた検討が必要になります。

空き家バンクに向かない実家はどうするか

登録要件を満たせない、あるいは登録しても長期間問い合わせがない実家も現実には多くあります。そうした場合の選択肢を紹介します。

相続土地国庫帰属制度という選択肢

土地の活用のめどが立たず、売却も難しい場合、一定の要件を満たせば土地を国に引き渡せる「相続土地国庫帰属制度」があります。相続などで土地を取得した個人が対象で、法務局の承認を得たうえで、審査手数料と、10年分の土地管理費に相当する負担金を納める必要があります。建物が建ったままの土地は対象外のため、利用する場合は解体してから申請する流れになります。担保権が設定された土地や、境界が明らかでない土地なども対象外となるため、検討する場合はまず法務局に相談してください。

解体して更地で売る、または賃貸に出す

建物の老朽化が進み、空き家バンクでの需要も見込みにくい場合は、解体して更地として売却・活用する方法もあります。ただし更地にすると、固定資産税の「住宅用地の特例」が外れて税額が上がる場合があるため、解体のタイミングは税負担も含めて検討する必要があります。解体費用の目安や進め方は実家の解体費用と進め方で解説しています。

当面は空き家のまま管理する

すぐに売却・解体を決めきれない場合、専門業者による定期的な巡回管理を利用する方法もあります。空き家を放置すると、老朽化の進行だけでなく、自治体から「特定空家等」や「管理不全空家等」に指定され、固定資産税の住宅用地特例が外れるリスクもあります。管理の具体的な方法は空き家管理の方法と費用で紹介しています。

よくある質問

空き家バンクに登録すればすぐに売れますか?
すぐに売れるとは限りません。空き家バンクの利用者は移住検討者が中心で、対象が限られるうえ、掲載だけで問い合わせが来ない物件も多くあります。家財の撤去・清掃・適正価格への見直しをしたうえで、通常の不動産仲介や買取も並行して検討したほうが、結果的に早く手放せることがあります。
空き家バンクの登録や利用にお金はかかりますか?
自治体への登録や物件の閲覧は無料です。ただし実際に売買・賃貸の契約に進む場合は、多くの自治体で民間の宅地建物取引業者が仲介に入るため、通常の不動産取引と同じく仲介手数料がかかります。空き家バンクは「無料の情報掲載の場」であって、契約そのものを無料で仲介する制度ではありません。
空き家を売ったときの税金はどれくらいかかりますか?
所有期間が5年を超える場合の税率は、譲渡所得に対して所得税15%・住民税5%(別途復興特別所得税)が目安です。相続した空き家を一定の要件で売った場合は、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特例があり、要件を満たせば税負担を大きく抑えられます(国税庁タックスアンサーNo.3208・No.3306より)。
空き家バンクに登録できない物件もありますか?
あります。名義人全員の同意が取れていない物件、権利関係が未整理の物件(相続登記が未了など)、耐震基準を満たさない物件を制度上除外している自治体、事業用や店舗のみで居住実態のない建物などは、登録要件を満たさず断られることがあります。登録前に自治体の要件を確認しておくと二度手間になりません。

まとめ

空き家バンクは、費用をかけずに実家の情報を移住検討者へ届けられる有効な仕組みですが、万能ではありません。要点を振り返ります。

  • 空き家バンクは市区町村が運営する無料のマッチング制度。契約自体は民間の宅建業者が仲介し、通常どおり仲介手数料がかかる
  • 全国版ポータルはLIFULL HOME’S(786自治体・8,376件)とアットホーム(908自治体・11,547件)の2つがあり、自治体によって掲載先が異なる(2026年8月時点)
  • 登録には相続登記の完了、共有者の同意、耐震基準の充足などの要件があり、満たせず断られることもある
  • 空き家バンクの買主は移住検討者が中心で、通常の仲介や買取より成約までの時間が読みにくい。併用が現実的
  • 相続した空き家の売却では、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例がある。適用有無で税額が大きく変わる
  • 自治体の支援制度(奨励金・改修補助・解体補助など)は市区町村ごとに異なる。窓口での個別確認が必須
  • 登録が難しい、または長期間動きがない実家は、解体・国庫帰属制度・専門業者の管理など他の選択肢もあわせて検討する

空き家バンクに出すかどうかを判断する前に、まず実家の現状(名義・家財・建物の状態)を整理することが最初の一歩です。片付けから売却・解体までまとめて相談したい場合は、実家じまい代行サービスで、仕分け・搬出から次の選択肢の整理まで一つの窓口でご案内します。売却時の査定については実家売却の査定の進め方もあわせてご覧ください。

読むより、聞いたほうが
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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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