
久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士
東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。
■経歴
- 1966年鹿児島県生まれ
- 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
- 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
- 2013年司法書士試験合格
- 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
- 2017年司法書士法人コスモ退職
- 2018年事務所開設
- 2021年司法書士法人設立
■得意領域
- 相続登記・相続手続き
- 不動産の名義変更
- 相続放棄
- 簡易裁判所の訴訟代理
この記事の結論
- 査定額は不動産会社の主観ではなく、取引事例比較法・原価法・収益還元法という決まった手法をもとに算出されます。仕組みを知っておくと、極端に高い・安い査定額の理由が読み解けます。
- まずは複数社の机上査定(簡易査定)で相場観をつかみ、絞り込んだ2〜3社に訪問査定を依頼する二段階の進め方が基本です。
- 相続した実家は、相続登記の完了(2024年4月から義務化)と空き家の3,000万円特別控除(2027年12月末までの売却が対象)という二つの制度が売却スケジュールを左右します。
- 仲介手数料には宅建業法上の上限があり、2024年7月からは価格800万円以下の空家について33万円(税込)までの特例が使えるようになりました。
実家の売却査定とは?査定額はどう決まるか
実家の売却を考え始めたとき、多くの人がまず気にするのは「うちの実家はいくらで売れるのか」という一点です。査定額は不動産会社の担当者が感覚で決めているわけではなく、国が定めた不動産鑑定評価基準に基づく手法や、それを簡略化した方法で算出されています。仕組みを知っておくと、複数社から出た査定額に差があっても、その理由を読み解けるようになります。
査定額を決める三つの評価方法
不動産の価格を求める方法は、大きく三つに分類されます。実家のような戸建て・土地の売却査定では、主に取引事例比較法が使われますが、他の二つの考え方を知っておくと査定書の内容を理解しやすくなります。
| 評価方法 | 考え方 | 主に使われる場面 |
|---|---|---|
| 取引事例比較法 | 近隣で実際に成約した類似物件の価格を基準に、築年数・立地・面積などの条件差を補正して価格を求める | 戸建て・土地・マンションの査定で最も一般的 |
| 原価法 | 今その建物を再度建てるといくらかかるか(再調達原価)を求め、経過年数分の価値の減り(減価修正)を差し引いて価格を求める | 建物価格の目安づけ、特殊な建物 |
| 収益還元法 | その不動産を賃貸に出した場合に得られる収益をもとに、投資物件としての価格を求める | 賃貸中の物件、投資用不動産 |
実家の売却では、土地は取引事例比較法、建物は原価法的な考え方で経年劣化を反映させ、両者を足し合わせて査定額とするケースが多く見られます。築年数が古く建物の価値がほぼゼロと判断される実家も珍しくなく、その場合は土地値に近い金額が査定額の中心になります。
机上査定(簡易査定)と訪問査定の違い
査定には、大きく分けて机上査定と訪問査定の二種類があります。それぞれ得意なタイミングが異なるため、目的に応じて使い分けるのが効率的です。
| 机上査定(簡易査定) | 訪問査定(詳細査定) | |
|---|---|---|
| 方法 | 住所・築年数・面積などの情報と周辺の取引データから概算を算出 | 担当者が現地を訪問し、建物の状態・接道・眺望・境界などを実際に確認 |
| 所要時間 | 数分〜1日程度 | 訪問1〜2時間+算出に数日 |
| 精度 | 相場観をつかむ目安。実物の傷み具合や個別事情は反映されない | 実勢に近い金額。売り出し価格の根拠として使える |
| 向いている段階 | 売却を検討し始めた初期段階、複数社の比較 | 売却の意思が固まり、媒介契約先を絞り込む段階 |
進め方としては、まず3〜5社程度に机上査定を依頼して価格帯のばらつきを確認し、そのうえで説明が丁寧だった2〜3社に訪問査定を依頼して媒介契約先を決める、という二段階が現実的です。実家は空き家になっている期間が長いこと、庭木や物置が敷地の評価に影響することなど、写真や住所だけでは伝わらない情報が多いため、最終的には訪問査定を受けたうえで金額を判断することをおすすめします。
一括査定サイトを使うときの注意点
複数社にまとめて査定依頼を送れる一括査定サイトは、相場観を短時間でつかむ手段として便利です。一方で、査定依頼後に複数社から一斉に営業の電話がかかってくることがあり、対応の負担を感じる人も少なくありません。連絡方法をメール中心に指定できるサイトを選ぶ、実家の電話ではなく自分の携帯番号を登録するなど、事前に工夫しておくと余計なやり取りを減らせます。また、一括査定サイトの提示額は入力情報のみをもとにした机上査定に近い性質のものが多く、最終的な金額ではないことも念頭に置いてください。
査定額の見方——高い査定額に惑わされないポイント
複数社から査定を受けると、同じ実家に対して数百万円単位の差が出ることがあります。これは算出根拠となる類似取引の選び方や、売却期間の想定が会社によって異なるためです。査定額の高さだけで会社を選ぶと、後になって「その価格では売れず、結局値下げを繰り返した」という事態になりかねません。
査定額に差が出る主な理由
- 参照した取引事例が違う——近隣の成約事例をどこまでの範囲・期間で拾うかによって、基準となる坪単価が変わります。
- 売却期間の想定が違う——「3か月で売る前提」の強気な価格と、「半年〜1年かけてじっくり売る前提」の価格とでは、提示額に差が出ます。
- 媒介契約を取りたい思惑が入っている——契約を取るために、あえて相場より高めの査定額を提示する会社が一定数あります。査定額と、実際に売り出しを開始した後の値下げ幅をあわせて確認することが重要です。
- 個別事情の反映度が違う——再建築不可、境界未確定、越境物の有無といった実家特有のマイナス要因を、訪問時にどこまで細かく確認したかで金額が変わります。
査定額は「その価格で確実に売れる金額」ではなく、「売り出し価格を決めるための参考値」だと理解しておくことが大切です。極端に高い査定額を出す会社には、その根拠(類似事例の住所・成約時期・面積)を具体的に説明してもらい、納得できない場合は他社の意見と比較してください。
査定書を受け取ったら確認したいチェックリスト
査定書の内容を比較する際に、印刷してそのまま使えるチェック項目をまとめました。
| 確認項目 | チェックのポイント |
|---|---|
| 類似取引事例の明示 | 参照した成約事例の所在地・時期・面積・価格が具体的に書かれているか |
| 査定額の内訳 | 土地評価額と建物評価額が分けて記載されているか |
| マイナス要因の記載 | 再建築不可・境界未確定・越境・傾斜地などの個別事情が反映されているか |
| 想定売却期間 | その金額で何か月程度での成約を見込んでいるか |
| 媒介契約の種類の提案 | 専属専任・専任・一般のどれを勧められたか、その理由 |
| 仲介手数料の見込み | 上限額と実際に請求される金額の目安が示されているか |
この6項目を2〜3社分並べて比較すると、査定額の数字だけでは見えない「根拠の厚み」が見えてきます。根拠が薄い会社ほど、契約後に大幅な値下げ提案をしてくる傾向があるため注意してください。
相続した実家ならではの査定・売却の注意点
実家の売却査定で見落とされがちなのが、相続不動産に特有の制度面の制約です。査定額そのものだけでなく、いつまでに何をしなければならないかという期限を把握しておかないと、せっかく良い条件で売れそうな話が進められないことがあります。
相続登記の完了が売却の前提になる
不動産の名義が亡くなった親のままでは、法律上、売買契約を結ぶことができません。売却するには、相続人への名義変更(相続登記)を済ませておく必要があります。2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記の申請をしないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になり得ます(不動産登記法第76条の2第1項、第164条第1項)。制度の施行日より前に発生した相続についても義務化の対象で、経過措置により令和9年(2027年)3月31日までに登記をすることが求められています(2026年8月時点・法務省公式サイトより)。
相続人が複数いる場合は、遺産分割協議がまとまらないと相続登記に進めません。査定を受けて売却の方向性が固まったら、登記の準備は早めに始めておくべき手続きです。相続人申告登記という簡易な制度を使えば、遺産分割が決まる前でも義務は一旦履行したとみなされますが、実際に売却するにはやはり正式な相続登記が必要になります。相続登記や名義変更の具体的な進め方は、提携司法書士にご相談いただくことも可能です。
空き家の3,000万円特別控除——期限と要件
親が住んでいた家を相続し、空き家のまま売却する場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります。正式名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」で、平成28年4月1日から令和9年(2027年)12月31日までの売却が対象です(2026年8月時点・国税庁タックスアンサーNo.3306より)。主な要件は次のとおりです。
- 売った家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたこと
- 区分所有建物登記がされている建物(分譲マンション等)でないこと
- 相続開始の直前まで被相続人以外が住んでいなかったこと
- 相続開始から売却まで、事業用・貸付用・居住用に使われていないこと
- 耐震基準を満たすように改修するか、更地にしてから売ること
- 相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 売却代金が1億円以下であること
控除額には、相続人の数による違いもあります。令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋と敷地等を相続した相続人が3人以上いる場合、控除額の上限は3,000万円ではなく2,000万円になります(同法令)。この特例は自動的には適用されず、確定申告の際に被相続人居住用家屋等確認書などの書類を添えて申告する必要があります。適用できるかどうかの判断には専門的な確認が必要なため、対象になりそうな場合は早めに税務署または税理士へ相談してください。
相続放棄・相続税申告との期限の重なりに注意
相続が発生すると、実家の売却とは別に、次の二つの期限が並行して進みます。一つは相続放棄の期限で、相続の開始を知った日から原則3か月以内に、家庭裁判所への申述が必要です(民法第915条)。実家を含む財産よりも借金のほうが多い可能性がある場合は、この期間内に判断しなければなりません。もう一つは相続税の申告・納付期限で、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です(相続税法第27条)。実家の売却査定はこれらの期限とは直接連動しませんが、相続税の納税資金を実家の売却代金でまかなう予定がある場合は、10か月以内に現金化できるかどうかを逆算してスケジュールを組む必要があります。
ケースで見る特別控除額の違い
相続人の人数によって特別控除の上限がどう変わるか、簡単な例で確認します。いずれも要件をすべて満たしていることを前提とした概算です。
| ケース | 相続人の数 | 控除上限 | 譲渡所得2,500万円の場合の課税対象額(概算) |
|---|---|---|---|
| 単独相続 | 1人 | 3,000万円 | 0円(控除額の範囲内のため課税なし) |
| きょうだい2人で相続 | 2人 | 3,000万円 | 0円(控除額の範囲内のため課税なし) |
| きょうだい3人以上で相続 | 3人以上 | 2,000万円 | 約500万円が課税対象(税率は所有期間等により別途計算) |
(本表は特例の要件をすべて満たしていることを前提にした概算の考え方であり、実際の税額は所有期間・取得費・各種控除の適用状況によって変わります。正確な金額は税理士にご確認ください。)相続人が3人以上いる家庭では、控除上限が下がることで課税対象額が生じる可能性がある点を、査定を依頼する前の段階で把握しておくと、手取り額の見通しが立てやすくなります。
媒介契約の種類と選び方
訪問査定を受けたあと、実際に売り出しを依頼する際は不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約には三つの種類があり、レインズ(指定流通機構)への登録義務や販売状況の報告頻度が異なります(宅地建物取引業法第34条の2)。
| 専属専任媒介 | 専任媒介 | 一般媒介 | |
|---|---|---|---|
| 依頼できる会社数 | 1社のみ | 1社のみ | 複数社に同時依頼可 |
| 自分で買主を見つけた場合 | 媒介会社を通す必要あり | 直接契約可 | 直接契約可 |
| レインズへの登録期限 | 契約から5日以内 | 契約から7日以内 | 登録義務なし |
| 販売状況の報告頻度 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 報告義務なし |
| 契約の有効期間 | 最長3か月 | 最長3か月 | 法律上の上限なし |
実家のように遠方に住んでいて頻繁に状況確認ができない場合は、報告義務のある専属専任媒介・専任媒介のほうが、進捗を把握しやすい傾向があります。一方、複数の窓口から幅広く買主を探したい場合や、地元の会社と全国チェーンの両方に依頼したい場合は一般媒介が向いています。どちらが良いとは一概に言えないため、査定時の説明の丁寧さや担当者との相性もあわせて判断してください。
仲介手数料の上限と計算方法
売却が成立した際に不動産会社へ支払う仲介手数料にも、宅地建物取引業法に基づく上限額が定められています(法第46条に基づく国土交通大臣告示)。上限は物件価格に応じて、200万円以下の部分が5.5%、200万円超400万円以下の部分が4.4%、400万円超の部分が3.3%(いずれも消費税込み)です。実務では、400万円を超える取引の場合、これらを合算した「価格×3%+6万円+消費税」という速算式がよく使われます。
低廉な空家等の特例(2024年7月1日施行)
実家のように評価額が低くなりがちな空き家では、令和6年6月公布・7月1日施行の告示改正により、物件価格800万円以下の低廉な空家等を対象にした特例が新設されました。原則の計算式では上限が18万円(税込)にとどまる価格帯でも、媒介に要する費用を勘案し、上限30万円の1.1倍にあたる33万円(税込)まで請求できるようになっています(2026年8月時点・国土交通省公式資料より)。この上限額は媒介契約を結ぶ前に依頼者へ説明し、合意を得ることが宅建業者に義務付けられています。
価格帯別の仲介手数料上限の目安
| 売却価格 | 原則の上限(税込) | 低廉な空家等の特例適用時(税込) |
|---|---|---|
| 200万円 | 11万円 | 最大33万円まで請求可能 |
| 400万円 | 19.8万円 | 最大33万円まで請求可能 |
| 800万円 | 33.0万円 | 特例の対象内だが、原則の上限(33.0万円)と特例の上限(33万円)が同額になるため、実質的な上乗せ効果はない |
| 2,000万円 | 72.6万円 | 対象外 |
低廉な空家等の特例は「上限が一律33万円になる」制度ではなく、「原則の上限を超えて請求してもよい」という規定です。実際にいくら請求されるかは会社ごとに異なるため、契約前に金額を書面で確認しておくことをおすすめします。物件価格が800万円を超える場合は特例の対象外となり、原則の速算式がそのまま上限になります。
実家を売却したときにかかる税金と諸費用
査定額や仲介手数料に目が行きがちですが、実際に手元に残る金額を計算するには、売却時にかかる税金もあわせて把握しておく必要があります。相続した実家の場合、通常の自宅売却とは異なる考え方が入るため、ここで整理しておきます。
譲渡所得税——所有期間で税率が大きく変わる
実家を売って利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して所得税・復興特別所得税・住民税がかかります。税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間によって次のように分かれます。
| 区分 | 所有期間 | 税率の目安 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%) |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%) |
(2026年8月時点・国税庁タックスアンサーNo.3208、No.3211の税率をもとに作成)相続によって取得した不動産は、被相続人(親)が取得した時期と取得費をそのまま引き継ぐ決まりになっているため、親が長年住んでいた実家であれば、ほとんどのケースで所有期間5年超の長期譲渡所得として扱われます。空き家の3,000万円特別控除を適用できれば、譲渡所得がこの控除額の範囲内に収まり、税額が発生しないケースも少なくありません。
特別控除の有無で手取りはどう変わるか(試算例)
空き家の3,000万円特別控除を使えるかどうかで、最終的な手取り額にどの程度の差が出るのか、簡単な前提を置いて試算します。売却価格3,000万円、取得費は購入時の契約書が残っておらず概算取得費(売却価格の5%)150万円、譲渡費用(仲介手数料など)を約106万円、所有期間は20年(長期譲渡所得)とした場合の目安です。
| 特別控除を適用できた場合 | 特別控除を適用できない場合 | |
|---|---|---|
| 譲渡所得(控除前) | 約2,744万円 | 約2,744万円 |
| 特別控除 | 最大3,000万円(所得の範囲内で控除) | 適用なし |
| 課税譲渡所得 | 0円 | 約2,744万円 |
| 譲渡所得税(20.315%)の目安 | 0円 | 約558万円 |
(あくまで一定の前提を置いた概算のシミュレーションです。実際の取得費・譲渡費用・税額は物件ごとに異なるため、詳しい金額は税理士にご確認ください。)この例のように、特別控除が使えるかどうかで手取り額に数百万円単位の差が生じることがあります。だからこそ、要件を満たすかどうかを売却の初期段階で確認しておく価値があります。
印紙税——不動産売買契約書に必要
不動産の売買契約書には印紙税がかかります。平成26年4月1日から令和9年3月31日までに作成される契約書は、軽減措置により次の税額が適用されます(2026年8月時点・国税庁タックスアンサーNo.7108より)。
| 契約書に記載された契約金額 | 軽減後の印紙税額 |
|---|---|
| 100万円超500万円以下 | 1千円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 5千円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 1万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 3万円 |
実家の売却価格の多くはこの表の範囲に収まります。印紙は売買契約書に貼付し、消印することで納付したことになります。
登録免許税・測量費用などの諸費用
相続登記を行う際は、登録免許税として原則、固定資産税評価額の0.4%を納める必要があります(登録免許税法別表第一)。売却に先立って抵当権付きの実家であれば、抵当権抹消登記の費用(不動産1件につき定額)も別途かかります。境界が未確定の土地を売る場合は、確定測量を行う実費が数十万円程度かかることがあり、隣地の数や立会いの調整状況によって期間・費用は変動します。これらの諸費用は査定額には含まれないため、手取り額を試算する際は、仲介手数料・印紙税・登録免許税・測量費用・譲渡所得税を差し引いた金額で考えることをおすすめします。
実家を高く売るための準備チェックリスト
査定額そのものを大きく変えることは難しくても、査定・売却をスムーズに進めるための事前準備はできます。訪問査定を受ける前に、次の項目を確認しておいてください。
訪問査定の当日に用意しておきたい書類
手元に次の書類があると、担当者がその場で条件を確認でき、査定の精度が上がります。実家がすぐに見つからない書類は、市区町村の窓口や法務局で再発行・取得できるものがほとんどです。
| 書類 | 入手先の目安 |
|---|---|
| 登記事項証明書(登記簿謄本) | 法務局(オンライン請求も可) |
| 固定資産税納税通知書・課税明細書 | 市区町村から毎年送付。紛失時は課税課で名寄帳を取得 |
| 建築確認済証・検査済証 | 手元になければ市区町村の建築指導課で台帳記載事項証明を取得できる場合がある |
| 測量図・境界確認書 | 過去に測量歴があれば法務局の地積測量図、なければ土地家屋調査士に依頼 |
| 管理規約・使用細則(マンションの場合) | 管理組合または管理会社 |
これらすべてがそろっていなくても査定自体は受けられますが、後日の契約手続きで必要になる書類です。査定を受けるタイミングで一度確認しておくと、契約段階で慌てずに済みます。
| 準備項目 | 内容 |
|---|---|
| 権利証・登記識別情報の所在確認 | 売買契約に必要。見当たらない場合は司法書士に相談し、本人確認情報の作成などの代替手段を検討 |
| 境界確定の状況 | 隣地との境界標や測量図の有無を確認。未確定の場合は測量に時間がかかるため早めに着手 |
| 建物の状態記録 | 雨漏り・シロアリ・傾きなど、告知すべき事項の有無を把握しておく |
| 家財・遺品の片付け方針 | 売却前に家財を撤去するか、残置物ありで売り出すかを事前に決めておく |
| 相続人全員の合意 | 共有名義になる場合、売却条件についてきょうだい間で事前にすり合わせる |
| 固定資産税の納税状況 | 滞納がないかを確認。あれば決済前に精算が必要 |
とくに境界確定と家財の片付けは、着手から完了までに数週間〜数か月かかることがあります。査定を依頼する段階で並行して進めておくと、いざ買主が見つかったときにスムーズに契約・引き渡しへ進めます。家財が残ったままの実家は、内覧時の印象を下げるだけでなく、査定額を出す担当者が建物の状態を正確に確認しづらい原因にもなります。遺品整理や生前整理を先に済ませておくと、査定の精度自体が上がるケースも少なくありません。
事務局が見てきた、実家の査定でよくあるつまずき
安心実家じまいでは、遺品整理や実家じまいのご相談を通じて、その先にある売却の相談を受けることも多くあります。現場で見てきた傾向として、査定額の高さだけで会社を選んだ結果、売り出し後に何度も値下げを繰り返すことになったケースが少なくありません。最初の査定額に近い金額で早期に成約した実家に共通するのは、査定時に境界・再建築の可否・越境物といったマイナス要因まで具体的に説明を受け、その内容に納得したうえで媒介契約を結んでいた点です。
もう一つよくあるのが、相続人の間で「とりあえず高く出してみよう」という話だけが先行し、いつまでに売却代金を確保する必要があるのか(相続税の納税資金、他の相続人への代償金の支払いなど)が共有されていないケースです。期限が明確になっていないと、値下げのタイミングを判断する基準がなく、結果として売却期間が長引く傾向があります。査定を依頼する前に、家族内で「いつまでに」「いくらで」売りたいのかを最低限すり合わせておくことを、実際のご相談ではおすすめしています。
売却前の実家じまい・遺品整理と査定の関係
実家の売却を進める場合、家財の片付けと並行して進めるほうが結果的にスムーズです。家財が残ったままでは正確な訪問査定が受けにくく、内覧の印象も下がります。仏壇や位牌、農機具など、地域や家庭によって扱いに迷う遺品がある場合は、供養や処分ルートを含めて事前に整理しておくと、売却の実務に集中できます。
安心実家じまいでは、遺品整理から家の売却・解体の手配までを一つの窓口でご案内しています。何から手をつければよいか分からない場合は、まず片付け全体の進め方をまとめた実家じまいの完全ガイドをご覧ください。費用の目安は実家じまいの費用相場、具体的な手順は実家じまいの進め方・手順で解説しています。片付けから売却までをまとめて依頼したい場合は、実家じまい代行パックもあわせてご検討ください。相続登記や遺産分割など法律手続きが絡む場合は、提携司法書士と連携してご案内します。
よくある質問
実家の売却査定は無料ですか?
机上査定と訪問査定はどちらを受けるべきですか?
相続した実家は査定の前に相続登記をしないと売れませんか?
空き家の3,000万円特別控除はいつまで使えますか?
実家を売却するときの仲介手数料はいくらですか?
相続した実家を売ると税金はどれくらいかかりますか?
まとめ
実家の売却査定は、金額の大小だけでなく「どういう根拠でその金額が出ているか」を見る視点が欠かせません。要点を振り返ります。
- 査定額は取引事例比較法・原価法・収益還元法という決まった手法で算出される。極端な高値には根拠の説明を求める
- 机上査定で相場観をつかみ、2〜3社の訪問査定で媒介契約先を絞り込む二段階の進め方が基本
- 相続した実家は、2024年4月から義務化された相続登記を済ませないと売買契約に進めない
- 空き家の3,000万円特別控除は2027年12月末までの売却が対象。相続人が3人以上だと上限が2,000万円になる
- 相続放棄は3か月以内、相続税の申告・納付は10か月以内。売却代金を納税資金に充てる予定があれば期限から逆算する
- 媒介契約は専属専任・専任・一般の3種類。報告頻度とレインズ登録義務が異なる
- 仲介手数料には上限があり、2024年7月からは800万円以下の空家に33万円(税込)までの特例がある
- 譲渡所得税は所有期間5年超で20.315%、5年以下で39.63%。相続不動産は親の取得時期を引き継ぐため長期譲渡になりやすい
- 印紙税・登録免許税・測量費用など、査定額には含まれない諸費用も見込んでおく
- 境界確定・家財の片付けを査定前から並行して進めておくと、売却までの期間を短縮できる
相続した実家の売却は、査定額の比較だけでなく、登記・税金・仲介手数料という複数の制度が同時に関わってきます。まずは複数社の査定を受けて相場観をつかみつつ、相続登記や特別控除の要件についても早めに確認しておくことが、納得のいく売却への近道です。片付けと売却をあわせて検討している場合は、実家じまい代行パックや実家じまいの完全ガイドもあわせてご覧ください。
早いこともあります
実家の片付けから処分まで、
窓口ひとつでご相談いただけます。
ご相談・お見積もりは無料です。

