
久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士
東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。
■経歴
- 1966年鹿児島県生まれ
- 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
- 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
- 2013年司法書士試験合格
- 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
- 2017年司法書士法人コスモ退職
- 2018年事務所開設
- 2021年司法書士法人設立
■得意領域
- 相続登記・相続手続き
- 不動産の名義変更
- 相続放棄
- 簡易裁判所の訴訟代理
この記事の結論
- 空き家売却の判断は「片付けてから売るか、そのまま買取に出すか、手取りで比べる」のが一番シンプルです。片付け費用・仲介手数料・税金を引いた後の手取り額で並べて考えると、遠回りに見える方が結果的に得なケースも珍しくありません。判断に迷う場合は空き家買取(片付け不要・複数社査定)を使えば、家財が残ったままの状態で概算額を確認できます。
- 相続した空き家は、要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円(相続人3人以上は2,000万円)を控除できます(国税庁 No.3306)。ただし相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ制度自体の期限である令和9年(2027年)12月31日までという二重の期限があり、家財が残ったままでは要件を満たす売却ができないため、遺品整理と登記から逆算した段取りが必要です。
- 相続登記は相続を知った日から3年以内の申請が法律上の義務で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります(法務省)。売却の前提として、まず名義を確認してください。
- 放置すると「特定空家等」「管理不全空家等」に指定され、固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が実質的に増えるおそれがあります(国土交通省)。売るかどうか迷っている間も、管理不全と判断されない状態を保つことが重要です。
空き家売却の全体の流れ【8ステップ】
実家を相続したものの、誰も住む予定がなく空き家のまま放置されている——このようなご相談は年々増えています。「何から手をつければいいか分からない」という声が多いため、まずは全体の流れを一つずつ確認していきます。相続した実家などの空き家を売却するまでの流れは、大きく分けて8つの工程で進みます。全体像を先に把握しておくと、どこで時間がかかりやすいか、どの段階で専門家に相談すべきかが見えてきます。空き家の売却は、通常の不動産売却と異なり「相続登記」「家財の片付け」という2つの工程が前段階に加わる点が特徴です。この2つを後回しにしたまま不動産会社に相談すると、査定や契約の段階で手続きが止まってしまうことがあるため、まずは全体の流れを押さえたうえで、自分の実家がどの段階にあるかを確認することから始めてください。
| ステップ | 内容 | 目安の期間 |
|---|---|---|
| ①名義・権利関係の確認 | 登記簿謄本を取得し、名義人・抵当権の有無を確認する | 1〜2週間 |
| ②相続登記 | 名義が被相続人のままの場合、相続登記を申請する(義務化対象) | 1〜3か月 |
| ③家財の片付け・遺品整理 | 残置物を仕分け・搬出し、内覧・査定ができる状態にする | 1日〜数週間 |
| ④売却方法の選定 | そのまま売却/解体して更地/買取に出すかを比較する | 数日〜1週間 |
| ⑤査定・媒介契約または買取査定 | 不動産会社に査定を依頼し、仲介か買取かを決めて契約する | 2〜4週間 |
| ⑥売却活動・内覧対応(仲介の場合) | 広告・内覧を経て買主を探す。買取の場合はこの工程が不要 | 仲介は平均3か月前後 |
| ⑦売買契約・決済 | 契約書を取り交わし、代金決済と同時に引き渡す | 契約から1〜2か月 |
| ⑧確定申告(特例を使う場合) | 3,000万円特別控除などを使う場合、翌年の確定申告が必須 | 売却翌年の2〜3月 |
このうち、実務上もっとも時間が読みにくいのが③の片付けと⑥の売却活動です。片付けが終わらないと内覧も査定の精度も上がらないため、「まず片付けを済ませてから不動産会社に相談する」か「家財が残った状態のまま買取査定を取る」かを早い段階で決めておくと、全体の期間を短縮できます。片付けを含めた実家じまい代行については実家じまい代行で、部屋単位の遺品整理については遺品整理で承っています。
それぞれの工程をもう少し具体的に見ていきます。①の名義・権利関係の確認は、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得すれば数百円と数日〜1週間程度で確認できます。ここで名義が被相続人のままだった場合、②の相続登記に進みますが、遺産分割協議が済んでいない、必要書類(戸籍謄本一式・住民票・固定資産評価証明書など)が揃っていないといった事情があると、1〜3か月程度かかることもあります。③の片付けは、家財の量や仕分けの丁寧さによって数日で終わる場合もあれば、遠方で頻繁に通えず数週間〜数か月かかる場合もあります。④〜⑤の売却方法の選定と査定は、複数社に相見積もりを取ることで比較検討がしやすくなります。⑥の売却活動は仲介の場合に発生する工程で、内覧対応・価格交渉を経て買主が決まるまで平均で3か月前後、立地や築年数によってはそれ以上かかることも珍しくありません。⑦の契約・決済は、契約から1〜2か月後に設定されるのが一般的です。⑧の確定申告は、3,000万円特別控除など税制上の特例を使う場合に必須の手続きで、売却した年の翌年2月16日〜3月15日頃(年により変動)の申告期間に行います。これらの工程全体を通して、もっとも遅れの原因になりやすいのは「相続人間の合意形成」と「家財の片付け」であるため、この2点を早めに着手しておくことが、全体の期間短縮につながります。
空き家を売る3つの方法と、判断の分かれ目
空き家の売り方は大きく分けて「そのまま売却」「解体して更地で売却」「買取に出す」の3パターンがあります。それぞれメリット・デメリットが異なるため、家の状態や急ぎ度合いによって向き不向きが変わります。どの方法が向いているかは、建物の築年数・傷み具合、立地(駅からの距離、周辺の開発状況)、そして売主側がどれだけ時間と手間をかけられるかによって変わってきます。まずは3つの方法の特徴を押さえたうえで、次章の比較表で手取り額のイメージをつかんでいただくと、判断がしやすくなります。
そのまま(現状有姿)で売却する
建物を解体せず、そのままの状態で売りに出す方法です。解体費用がかからない一方、建物の傷み具合によっては買い手が見つかりにくく、売却までの期間が長引く傾向があります。旧耐震基準(昭和56年5月31日以前)の建物は、買主側で住宅ローンが組みにくい場合もあり、価格交渉の材料にされやすい点も踏まえておく必要があります。
解体して更地として売却する
建物を取り壊し、土地として売却する方法です。買主が新築を検討しやすくなるため、地域によっては売却しやすくなる一方、解体費用を売主が先に負担する必要があります。解体費用は建物の構造によって大きく異なり、一般的には木造が最も安く、鉄骨造・鉄筋コンクリート造になるほど高くなる傾向があります。立地条件(前面道路の幅・重機が入れるかどうか)やアスベストの有無・調査要否によっても金額は変動するため、複数の解体業者から見積もりを取ることをおすすめします。また、更地にすると固定資産税の住宅用地特例が外れ、翌年から土地の固定資産税が上がる点も考慮が必要です。「先に解体してから売る」か「古家付きのまま売り、買主に解体してもらう」かの判断基準は実家は売却と解体どちらが得かで詳しく解説しています。
有料での引き取りを検討する(訳あり物件の場合)
再建築不可物件、極端に老朽化が進んだ物件、事故物件など、通常の売却が難しい「訳あり物件」の場合、買取業者に費用(解体費用相当額など)を支払って引き取ってもらう「有料引き取り」という選択肢もあります。売却益は出ませんが、固定資産税の負担や管理の手間から解放されるメリットがあります。事故物件や訳あり物件特有の告知義務・売却方法については訳あり物件の売却方法で解説しています。
買取に出す(不動産会社の買取)
不動産会社が直接買い取る方法で、内覧対応や売却活動をほとんど行わずに現金化できるのが特徴です。一般的に、買取価格は仲介による市場売却価格より低くなる傾向がありますが、片付けをせず家財が残ったまま査定を受けられる、契約から決済までが早い(数週間程度で完了することもある)という利点があります。急いで現金化したい、遠方で内覧対応ができない、片付けに手間をかけたくないという場合に選ばれやすい方法です。片付け不要で複数社の査定を比較したい場合は空き家買取から相談できます。なお、当事務局自体は宅建業者ではないため、買取・仲介の実務は提携する宅建業者が担当し、当事務局は窓口の取次と片付けの手配を行う形になります。
空き家バンクに登録するという選択肢
すぐに買い手・借り手がつきにくい地方の空き家の場合、自治体が運営する「空き家バンク」に登録する方法もあります。空き家バンクは、売りたい・貸したい空き家の情報を自治体のウェブサイト等に掲載し、移住希望者や地域おこし関連の利用希望者とマッチングする制度です。仲介手数料が発生しない、または通常より低く設定されている自治体もあり、自治体によっては掲載時の改修費用に補助金が用意されている場合もあります。一方で、登録すればすぐに売れるわけではなく、閲覧されても内覧・交渉まで進まないケースもあるため、通常の仲介・買取と並行して検討する位置づけで考えるのが現実的です。制度の詳しい仕組みと売れやすさの目安は空き家バンクとはで解説しています。移住需要が見込めるエリアかどうか、自治体の担当窓口がどの程度積極的に運用しているかによって成果は大きく変わるため、登録前に自治体の担当課へ実績を問い合わせておくと、期待値のずれを防げます。
片付け不要のまま概算額を確認できます。写真を送るだけで、買取・仲介それぞれの見立てをお伝えします。
買取・仲介・有料引き取りを手取りで比較する
「売却の判断」で迷ったときに役立つのが、片付け費用や仲介手数料まで含めた手取り額での比較です。多くの方が最初に見るのは提示された売却価格の高低ですが、そこに片付け費用・仲介手数料・かかる期間・固定資産税の負担期間まで加味すると、印象が変わることも少なくありません。以下は一般的な傾向を整理した比較表です。実際の金額は物件の状態・立地・面積によって大きく変わるため、目安としてご覧ください。
| 方法 | 価格水準 | 片付けの要否 | 期間の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| 仲介(そのまま) | 相場に近い(比較的高い) | 必要(内覧対応のため) | 3か月前後〜 | 時間に余裕があり、少しでも高く売りたい |
| 買取(不動産会社) | 相場よりやや低くなる傾向 | 不要な場合が多い | 数週間〜1か月程度 | 急いで現金化したい、遠方で対応が難しい |
| 有料引き取り(再建築不可・老朽化物件等) | 売却益はほぼ出ず、費用がかかる場合もある | 物件によって必要 | 個別交渉 | 売却が難しい訳あり物件を手放したい |
ここで大切なのは、表面の売却価格だけを比較しないことです。仲介であれば片付け費用や仲介手数料・広告期間中の固定資産税負担がかかり、買取であれば価格は下がるものの片付け費用や期間の負担が軽くなります。「片付けてから売るか、そのまま買取に出すか、手取りで比べる」という視点を持つと、どちらが自分の状況に合っているかが判断しやすくなります。たとえば、片付け費用に30万円かけて仲介で相場通りに売れた場合と、片付けをせず買取で相場よりやや低い価格で早期に現金化した場合とでは、時間的な余裕や精神的な負担まで含めて考えると、後者の方が総合的に満足度が高いという家庭も少なくありません。逆に、時間に余裕があり、少しでも高く売りたいという場合は、片付けを済ませたうえで仲介に出す方が向いています。どちらが正解ということではなく、自分たちの状況に照らして選ぶことが重要です。実家の売却全体の進め方は実家の売却でも解説しています。
売却前に必ず確認する3つのこと
空き家を売りに出す前に、必ず確認しておくべき権利関係の項目があります。ここを飛ばして進めると、契約直前になって手続きが止まってしまうことが少なくありません。
①名義(相続登記)が済んでいるか
売却するには、登記簿上の名義人が売主本人である必要があります。相続した実家の名義が亡くなった親のままになっている場合は、先に相続登記を行わなければ売却できません。相続登記は2024年4月1日から申請が法律上の義務となり、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります(法務省「相続登記の申請義務化特設ページ」)。2024年4月1日より前に発生した相続についても対象となり、その場合は2027年3月31日までに登記する経過措置が設けられています。相続登記の費用や自分で行う方法は相続登記の費用と自分でやる方法で詳しく解説しています。
②抵当権が残っていないか
住宅ローンを利用していた実家の場合、完済していても抵当権抹消登記が済んでいないケースがあります。抵当権が残ったままでは買主に引き渡せないため、売却の決済までに抹消登記を行う必要があります。ローンをすでに完済している場合は、当時の金融機関から交付された書類(抵当権解除証書等)を確認し、司法書士に抹消登記を依頼するのが一般的な流れです。
③相続人全員の同意が取れているか
相続人が複数いる場合、遺産分割協議によって不動産を取得する人を確定させ、相続人全員の同意(実印での押印・印鑑証明書)がなければ、原則として売却を進めることはできません。共有名義のまま売却する場合も、共有者全員の同意と署名が必要です。相続人間の話し合いが難航している場合は、売却活動を始める前に司法書士へ相談することをおすすめします。
この3点は、いずれも「売却活動を始めてから」気づくと手戻りが大きくなる項目です。特に相続登記は、義務化以降は放置すること自体にリスクがあるため、売却の予定がまだ固まっていない段階でも先に済ませておくという考え方もあります。名義・抵当権・相続人の同意という3つの土台が整って初めて、査定や売却活動を安心して進められる状態になります。
空き家売却でかかる費用と税金
空き家を売却する際は、売却代金がそのまま手元に残るわけではなく、いくつかの費用と税金がかかります。あらかじめ目安を把握しておくと、手取り額のシミュレーションがしやすくなります。特に相続した空き家の場合、通常の不動産売却では発生しない相続登記費用が加わる点、そして取得費が不明なために譲渡所得が大きく計算されやすい点の2つが、事前に見落とされがちなポイントです。
| 費用・税金 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 仲介手数料(仲介の場合) | 売却価格×3%+6万円+消費税が上限(400万円超の場合) | 宅地建物取引業法で上限が定められている |
| 印紙税 | 契約金額に応じて数千円〜数万円 | 売買契約書に貼付 |
| 相続登記費用 | 登録免許税(固定資産税評価額の0.4%)+司法書士報酬 | 司法書士報酬は事務所により幅がある |
| 抵当権抹消登記費用 | 登録免許税(不動産1個につき1,000円)+司法書士報酬 | ローン完済済みでも登記が残っている場合に必要 |
| 解体費用(更地にする場合) | 建物の構造・延床面積・立地により大きく変動 | アスベスト調査・除去が必要な場合は別途費用 |
| 譲渡所得税・住民税 | 譲渡益に応じて課税(下記参照) | 特例適用で軽減・非課税になる場合がある |
費用の内訳を金額でイメージする(売却価格2,000万円の例)
費用の一覧表だけではイメージしにくいという場合に向けて、仮に売却価格2,000万円(仲介)というケースで、諸費用がどの程度になるかを試算した例を示します。実際の金額は物件の状態・地域・依頼先によって変動するため、あくまで目安として参考にしてください。
| 費目 | 金額の目安 | 算出根拠 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 約72.6万円(税込) | 2,000万円×3%+6万円+消費税(宅建業法の上限額) |
| 印紙税 | 1万円 | 契約金額1,000万円超5,000万円以下の軽減税率区分 |
| 相続登記の登録免許税 | 固定資産税評価額×0.4% | 評価額1,000万円なら4万円が目安 |
| 相続登記の司法書士報酬 | 5万円〜15万円程度 | 事務所・案件の複雑さにより幅がある |
| 抵当権抹消登記費用 | 数千円〜2万円程度 | 登録免許税は不動産1個につき1,000円+司法書士報酬 |
| 片付け・遺品整理費用 | 数万円〜数十万円 | 間取り・家財量により大きく変動 |
この例では、仲介手数料だけでも70万円を超える計算になります。ここに片付け費用や登記費用が加わるため、「売却価格=手取り額」ではない点に注意が必要です。買取の場合は仲介手数料がかからない一方、売却価格自体が市場価格より低く設定される傾向があるため、最終的な手取り額は個々の見積もりを比較して判断することをおすすめします。売却価格が変われば仲介手数料の金額も変わるため、査定を受けた段階で、不動産会社に「仲介手数料を含めた手取り見込み額」を確認しておくと、後になって想定より手取りが少なかったという事態を防げます。
譲渡所得税の考え方
空き家を売って利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して譲渡所得税・住民税がかかります。譲渡所得は「売却価格 −(取得費+譲渡費用)」で計算します。相続した実家のように取得費が分からない場合は、売却価格の5%を取得費(概算取得費)として計算できます(国税庁 No.3258)。税率は所有期間が5年を超えるか(長期譲渡所得)5年以下か(短期譲渡所得)で異なり、詳細な税率は国税庁の「長期譲渡所得の税額の計算(No.3208)」「短期譲渡所得の税額の計算(No.3211)」で確認できます。相続の場合、被相続人が所有していた期間を引き継いで判定するため、実家のように長期間所有されていた不動産は長期譲渡所得に区分されるのが一般的です。譲渡所得税の具体的な計算例は実家売却の譲渡所得税の計算方法で解説しています。
譲渡所得税の手取りシミュレーション【3ケース】
特例の要件を理解していても、実際に「いくら手元に残るか」がイメージしにくいという声をよく聞きます。ここでは、国税庁の計算式(譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用)、取得費不明の場合は売却価格の5%を概算取得費とする)にもとづき、仮の売却価格で試算した例を紹介します。あくまで理解を深めるための概算例であり、実際の税額は個々の状況(取得費が判明している場合、譲渡費用の内訳、居住用財産の他の特例との重複可否など)によって変わるため、正確な金額は税理士に確認してください。
| ケース | 売却価格 | 概算取得費(5%) | 譲渡費用(仲介手数料等の目安) | 譲渡所得(特例適用前) | 3,000万円特別控除適用後 |
|---|---|---|---|---|---|
| ケース1:地方の戸建て | 800万円 | 40万円 | 約30万円 | 約730万円 | 0円(控除内に収まる) |
| ケース2:郊外の戸建て | 2,000万円 | 100万円 | 約72万円 | 約1,828万円 | 0円(控除内に収まる) |
| ケース3:都市部の戸建て | 4,500万円 | 225万円 | 約151万円 | 約4,124万円 | 約1,124万円が課税対象 |
ケース1・2のように、譲渡所得が3,000万円の控除額に収まる場合、特例が適用できれば譲渡所得税・住民税は実質ゼロになります。地方や郊外の実家であれば、この特例だけで税負担が発生しないケースも多く見られます。一方、ケース3のように譲渡所得が控除額を上回る都市部の物件では、超過分(この例では約1,124万円)に対して長期譲渡所得の税率(所有期間5年超の場合)が課税されます。所有期間や税率の詳細な計算方法は、国税庁の「長期譲渡所得の税額の計算」「短期譲渡所得の税額の計算」のページ、および実家売却の譲渡所得税の計算方法で解説していますので、あわせてご確認ください。なお、特例の適用には確定申告と「被相続人居住用家屋等確認書」など市区町村発行の書類の取得が必須で、これらを省略すると特例が使えなくなる点にも注意が必要です。
空き家の3,000万円特別控除の要件と期限
相続した空き家を売却する際、もっとも影響が大きいのが「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」です(国税庁 No.3306)。要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円(令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除できます。
| 主な要件 | 内容 |
|---|---|
| 建築時期 | 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(区分所有建物を除く) |
| 居住状況 | 相続の開始の直前において被相続人が一人で居住していたこと(一定の要件を満たせば老人ホーム等入居者も対象) |
| 売却方法 | ①耐震基準に適合させたうえで家屋と敷地を売却、②家屋を取り壊して敷地のみ売却、③令和6年1月1日以後の譲渡で、譲渡後翌年2月15日までに耐震改修または取り壊しを行う、のいずれか |
| 売却代金 | 1億円以下であること |
| 用途制限 | 相続から譲渡まで、事業用・貸付用・居住用として使用していないこと |
| 売却期限(個別) | 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで |
| 制度自体の期限 | 令和9年(2027年)12月31日までの譲渡が対象 |
ここで注意したいのは、期限が「相続から3年」と「制度自体が2027年12月末まで」の二重構造になっている点です。相続が発生してから時間が経っている場合、この特例が使える期間はすでに残りわずかという可能性もあります。また、家財が残ったままでは要件を満たす形での売却・取り壊しが進められないため、遺品整理と相続登記を先に済ませておく必要があります。制度の詳細や必要書類(「被相続人居住用家屋等確認書」の取得など)については空き家の3,000万円特別控除とはで解説しています。
確定申告の進め方
特例を利用する場合、売却しただけでは適用されず、売却した年の翌年に確定申告を行う必要があります。主な必要書類は、譲渡所得の内訳書、売買契約書の写し、登記事項証明書、そして市区町村から交付を受ける「被相続人居住用家屋等確認書」です。この確認書の交付には、家屋が要件(昭和56年5月31日以前建築、相続直前に被相続人が一人で居住していたことなど)を満たしていることを示す資料の提出が必要になるため、申告直前に慌てて準備するのではなく、売却活動と並行して市区町村の窓口に相談しておくとスムーズです。確定申告は税務署の窓口のほか、国税庁の確定申告書等作成コーナーでも作成できますが、特例の適用可否や他の控除との重複関係が絡む場合は、税理士に相談することをおすすめします。
放置するとどうなるか|特定空家・管理不全空家のリスク
「売るかどうかまだ決めていない」という理由で空き家を放置し続けると、自治体から「特定空家等」または「管理不全空家等」に指定されるおそれがあります。空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)に基づく制度で、国土交通省が指針を示しています。この指定は自治体からの通知で突然決まるものではなく、周辺住民からの通報や自治体の巡回調査をきっかけに、助言・指導という初期段階から始まるのが一般的です。「気づいたら勧告を受けていた」という事態を避けるためにも、次にどのような基準で判断されるのか、あらかじめ把握しておくことが大切です。
| 区分 | おおまかな考え方 |
|---|---|
| 管理不全空家等 | そのまま放置すれば「特定空家等」になるおそれがある状態(空家法の改正で新設された区分) |
| 特定空家等 | 倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある、著しく衛生上有害となるおそれがある、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている、周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である、のいずれかに該当する状態 |
これらに指定され、市区町村長から勧告を受けると、その敷地は固定資産税の住宅用地特例(小規模住宅用地は課税標準が1/6、一般住宅用地は1/3に軽減される特例)の対象から外れます。特例が外れると、翌年度から土地の固定資産税額が実質的に増加することになります(国土交通省)。さらに改善が見られない場合、命令・行政代執行(自治体が費用を立て替えて解体等を行い、後日所有者に費用を請求する措置)に発展する可能性もあります。「特定空家等」に指定された場合の具体的な流れは特定空家に指定されるとどうなるかで解説しています。
総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査によれば、全国の空き家率は13.8%と過去最高を更新しました。空き家の増加は全国的な課題であり、放置するほど選択肢が狭まっていく傾向があります。「まだ決めていない」状態を長引かせるほど、管理の手間と税負担のリスクが積み上がっていく点は押さえておく必要があります。
勧告から行政代執行までの流れ
特定空家等・管理不全空家等に対する措置は、段階を踏んで進みます。まず自治体による助言・指導が行われ、改善が見られない場合に勧告(この時点で固定資産税の住宅用地特例が外れます)、さらに改善がなければ命令、それでも従わない場合は行政代執行(自治体が費用を立て替えて解体等を実施し、後日所有者に費用を請求する)へと進みます。命令に違反した場合は過料の対象になることもあります。行政代執行に至るまでには一定の期間がありますが、一度勧告を受けると税負担がすぐに増加するため、「まだ猶予がある」と考えず、早めに売却や管理の方針を決めることが実務上の対策になります。管理が難しく、かつ売却も進めにくい物件については、自治体の空き家バンクに登録する方法もあります。空き家バンクの仕組みや売れやすさについては空き家バンクとはで解説しています。
売れるまでの間、空き家にかかり続ける維持費
「まだ売却先が決まっていないから」と空き家をそのままにしている間も、維持費用は発生し続けます。判断を先延ばしにすることのコストを把握しておくと、早めに動く動機づけになります。
| 費目 | 目安(年額・エリアにより変動) | 備考 |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 評価額や住宅用地特例の有無により変動 | 特定空家等・管理不全空家等に指定され勧告を受けると特例が外れ、実質増額になる |
| 火災保険料(空き家用) | 居住用より割高になる傾向 | 空き家専用の契約に切り替えが必要な場合がある |
| 水道・電気の基本料金 | 使用量ゼロでも基本料金は発生することが多い | 解約する場合は清掃・確認のための通水・通電ができなくなる点に注意 |
| 庭木の剪定・除草 | 敷地の広さにより変動 | 放置すると近隣トラブルや管理不全空家等指定の要因になり得る |
| 定期的な見回り・巡回サービス | 依頼する場合は月額費用が発生 | 遠方に住んでいて自分で見回れない場合に利用されることが多い |
これらの費用は、売却が決まるまでの間、毎年・毎月積み重なっていきます。「いつか売ろう」と先延ばしにする期間が長くなるほど、その間の維持費用の総額も増えていく点は、売却時期を判断するうえで見落とされがちなポイントです。片付けが終わっていない状態でも査定だけ先に受けておくと、維持費用と売却額を比較したうえで判断しやすくなります。
片付けはどこまで必要か|家財が残ったまま売れるケース
空き家の売却でつまずきやすいのが、家財(残置物)の片付けです。結論から言うと、仲介で売却する場合は内覧・引き渡しのために原則すべて片付ける必要がありますが、買取であれば家財が残ったまま査定・売却できる会社もあります。「片付けが終わらないと相談すら始められない」と思い込んで先延ばしにしてしまう方も多いのですが、実際には片付け前の状態でも査定や相談自体は可能なケースがほとんどです。まずは現状のまま相談してみて、片付けの要不要や進め方を確認するところから始めることをおすすめします。
片付けを自分たちで行う場合、部屋数や家財の量にもよりますが、数日から数週間かかることも珍しくありません。遠方に住んでいて頻繁に通えない場合や、仕分けに時間をかけられない場合は、遺品整理・実家じまいの専門業者に依頼する方法もあります。安心実家じまいでは、形見分けの品を先に取り分けたうえで、それ以外の家財を仕分け・搬出する対応を行っており、貴金属や骨董品など価値のある品は査定・買取の手配とあわせて進めることも可能です。買取金額を作業費用から差し引ける場合もあるため、費用負担を抑えたい場合は見積もり時に相談することをおすすめします。片付けが残ったまま売却の相談をしたい場合は実家じまい代行、部屋の遺品だけを整理したい場合は遺品整理からご相談ください。家財が残ったまま買取査定を進めたい場合は空き家買取もあわせてご検討ください。
なお、残置物が残ったままの状態を「そのまま売却できるか」という論点については残置物はそのまま売却できる?で詳しく整理しています。古い家屋が建ったまま土地として売る場合の判断は古家付き土地として売る方法もあわせてご覧ください。
ケース別に見る空き家売却の進め方
実際の判断は家の状態や相続人の状況によって変わります。よくあるパターンを5つ挙げて、それぞれの考え方を整理します。自分の状況に近いケースがあれば、そこで挙げた考え方を出発点にしてみてください。どのケースにも共通しているのは、「まず名義と家財の状況を確認したうえで、複数の選択肢を比較する」という進め方です。
ケースA:相続してすぐ、家財も残っている場合
相続登記がまだで、家財もそのまま残っているケースです。この場合はまず名義(相続登記)を確認し、並行して家財の片付け方針を決めます。急いでいないのであれば片付けを済ませてから仲介で売却する方が高値を狙いやすく、逆に早く現金化したい・遠方で片付けの時間が取れない場合は、家財が残った状態のまま買取査定を受ける方法が現実的です。空き家の3,000万円特別控除を使う予定がある場合は、相続から3年という期限を意識して逆算のスケジュールを組む必要があります。この段階でもっとも時間を無駄にしやすいのは「片付けを先に全部終わらせてから相談しよう」と考えて着手が遅れることです。片付けと並行して査定だけ先に取っておくと、全体のスケジュールを短縮できます。
ケースB:すでに空き家になって数年経っている場合
相続からある程度時間が経ち、3,000万円特別控除の期限(相続から3年を経過する日の属する年の12月31日)が迫っている、またはすでに過ぎているケースです。特例が使えるかどうかを早めに確認し、使えるのであれば期限内に売却・必要な取り壊し等を完了させる必要があります。すでに特定空家等・管理不全空家等の勧告を受けている、または受けそうな状態であれば、固定資産税の負担が増える前に売却を急いだ方がよい場合もあります。時間の経過とともに建物の傷みも進むため、特例が使えるかどうかにかかわらず、査定だけでも早めに受けておき、価格の推移を把握しておくことをおすすめします。
ケースC:相続人が複数いて意見が分かれている場合
「売りたい人」と「残したい人」で意見が分かれるケースです。共有名義のまま放置すると、将来的にさらに相続が発生して権利関係が複雑化するリスクがあります。まずは遺産分割協議で不動産を取得する人を確定させ、売却するかどうかを含めて早い段階で合意形成を図ることが重要です。合意が難しい場合は、司法書士や弁護士など第三者を交えて話し合う方法も検討してください。「残したい」という意見が出る場合は、賃貸に出す・空き家バンクに登録するなど売却以外の選択肢も含めて比較すると、合意形成が進みやすくなることもあります。
ケースD:再建築不可・老朽化が進んでいて売れるか不安な場合
接道条件を満たさない再建築不可物件や、老朽化が著しく買い手が見つかりにくい物件のケースです。この場合、通常の仲介での売却は難しいことが多く、専門に扱う買取業者への相談や、有料での引き取り(解体費用相当を負担する形での譲渡)が選択肢になることもあります。再建築不可物件の売却相場や活用法は再建築不可物件とはで解説しています。こうした物件は、通常の不動産会社では取り扱いを断られることもあるため、訳あり物件・再建築不可物件を専門に扱う買取業者に早めに相談し、選択肢の幅を把握しておくことをおすすめします。
ケースE:遠方に住んでいて現地に行けない場合
実家が遠方にあり、頻繁に現地へ行けないケースです。この場合、片付け・査定・内覧対応をすべて現地に行かずに進められる体制が整っているかどうかが選択の分かれ目になります。鍵を預けて片付けを依頼し、作業前後の写真で状況を確認する、オンラインで査定結果の説明を受ける、といった方法を取れば、現地に行く回数を最小限に抑えることも可能です。売却方法についても、内覧対応の負担が少ない買取が選ばれやすい傾向があります。遠方からの実家じまいについては、都道府県別の記事(例:神奈川県の実家じまい、千葉県の実家じまい)でも進め方を紹介しています。
片付け・査定・相続登記の相談まで、実家じまいの段取りを丸ごと整理できます。写真を送るだけで概算のお見積もりをお出しします。
都道府県別の空き家買取窓口
空き家買取は、地域の相場・自治体の空き家対策制度・解体業者の相場によって進め方が変わることがあります。都市部であれば買主が見つかりやすく仲介での売却も選択肢に入りやすい一方、地方では買取や空き家バンクの活用が現実的な選択肢になることもあります。以下は主要な都道府県の窓口ページです。お住まいの地域がない場合も、まずはLINEでの無料相談からお問い合わせください。
| 地域 | 窓口 |
|---|---|
| 神奈川県 | 神奈川県の空き家買取 |
| 千葉県 | 千葉県の空き家買取 |
| 埼玉県 | 埼玉県の空き家買取 |
| 大阪府 | 大阪府の空き家買取 |
| 愛知県 | 愛知県の空き家買取 |
| 兵庫県 | 兵庫県の空き家買取 |
| 福岡県 | 福岡県の空き家買取 |
| 北海道 | 北海道の空き家買取 |
買取会社・仲介会社を選ぶときの比較ポイント
買取・仲介いずれの方法を選ぶ場合も、依頼先選びで結果が大きく変わります。同じ物件であっても、依頼する会社によって査定額に大きな差が出ることは珍しくありません。以下のポイントを、複数社を比較する際の目安として活用してください。
| 比較ポイント | 確認の視点 |
|---|---|
| 宅地建物取引業の免許 | 都道府県知事免許・国土交通大臣免許のいずれかを保有しているか、免許番号の更新回数((1)〜)が極端に少なくないか |
| 査定根拠の説明 | 周辺の取引事例・路線価など、価格の根拠を具体的に説明できるか |
| 家財が残った状態での査定可否 | 片付け前でも査定・買取が可能か(買取を検討する場合) |
| 契約前の重要事項説明 | 契約内容・手数料・違約金の条件を書面でわかりやすく説明してくれるか |
| 相見積もりへの対応 | 他社と比較検討していることを伝えても、無理な即決を迫らないか |
| 相続登記・税務相談への連携 | 司法書士・税理士など専門家と連携し、必要な手続きを案内してくれるか |
特に、家財が残った状態での査定可否と、契約を急かされないかどうかは、実際に問い合わせてみないと分かりにくいポイントです。1社だけで決めず、複数社に同じ条件で問い合わせて比較することをおすすめします。安心実家じまいでは、片付けの相談と合わせて、提携する宅建業者による買取・仲介の窓口をご案内しています。
空き家売却前の実務チェックリスト
売却をスムーズに進めるために、着手前に確認しておきたい項目を一覧にしました。印刷して、着手前の確認用にご活用ください。
| 確認項目 | チェックのポイント |
|---|---|
| 登記簿謄本の取得 | 名義人・抵当権の有無を最新の登記情報で確認する |
| 相続登記の要否 | 名義が被相続人のままなら、義務化の期限(3年以内)を確認して申請する |
| 相続人全員の同意 | 遺産分割協議・共有者の同意(実印・印鑑証明書)を確認する |
| 抵当権抹消の要否 | ローン完済済みでも登記が残っていないか確認する |
| 建築時期の確認 | 昭和56年5月31日以前かどうかで3,000万円特別控除の対象可否が変わる |
| 家財・残置物の状況 | 片付けてから売るか、そのまま買取に出すかを早めに決める |
| 特定空家等の指定有無 | すでに勧告を受けていないか、自治体に確認する |
| 売却方法の比較 | 仲介・買取・有料引き取りを手取り額で比較する |
| 特例の期限確認 | 3,000万円特別控除を使う場合、相続から3年・制度期限(2027年12月末)を確認する |
| 確定申告の準備 | 特例を使う場合、売却翌年の確定申告が必須であることを覚えておく |
このチェックリストのうち、特に見落とされやすいのが「相続登記の要否」と「特例の期限確認」です。名義が変わっていないまま売却活動を進めてしまい、契約直前になって相続登記が必要だと分かるケースや、特例の期限をぎりぎりで逃してしまうケースは少なくありません。着手前の段階で確認しておくと、後々の負担を減らせます。このチェックリストはA4用紙1枚を目安にまとめていますので、実際に相続人間で話し合う際や、不動産会社・司法書士に相談する際の持参資料としてもご活用ください。項目ごとにチェックが付けられない箇所があれば、そこが次に着手すべきポイントということになります。
空き家売却でよくある失敗とその防ぎ方
空き家の売却は工程が多く、一つの見落としが後々の負担につながることがあります。事務局として実家じまいのご相談を受ける中でよく耳にするパターンと、その防ぎ方を紹介します。いずれも珍しいケースではなく、多くの家庭が一度は直面するポイントですので、事前に知っておくだけでも防げることが少なくありません。
- 相続登記をしないまま売却活動を始めてしまう——名義が被相続人のままでは売却契約を結べません。買主が決まってから慌てて相続登記を始めると、決済のスケジュールに間に合わなくなることがあります。売却を検討し始めた段階で、まず登記簿謄本を取得して名義を確認しておくと防げます。
- 特例の期限をぎりぎりで逃してしまう——3,000万円特別控除には「相続から3年」という期限があります。片付けや相続人間の話し合いに時間をかけすぎて、気づいたときには期限を過ぎていたというケースは少なくありません。相続が発生した時点で、期限を逆算したスケジュールを立てておくことが防止策になります。
- 片付けを先延ばしにして査定の機会を逃す——「片付けてから相談しよう」と先延ばしにしている間に、特定空家等に指定されたり、劣化が進んで買取価格が下がったりすることがあります。家財が残ったままでも査定を受けられる方法があることを知っておくと、先延ばしを防げます。
- 相続人の一人だけで話を進めてしまう——不動産の売却には相続人全員の同意が必要です。一人で話を進めて契約直前に他の相続人から反対が出ると、これまでの手続きが振り出しに戻ることもあります。早い段階で相続人全員に方針を共有しておくことが重要です。
- 1社の査定だけで契約を決めてしまう——最初に相談した1社の提示額だけで判断すると、後から他社の方が高い査定を出していたと分かることがあります。買取・仲介いずれの場合も、複数社の査定を比較してから契約先を決めることをおすすめします。
こうした失敗の多くは、「早めに専門家へ相談する」「複数の選択肢を比較してから決める」という2点を意識するだけで防げます。特に相続登記と特例の期限は、後から取り返しがつかないケースもあるため、売却を思い立った段階で確認しておくことが安心につながります。急いで一人で全てを抱え込もうとせず、司法書士・税理士・不動産会社・片付けの専門業者など、それぞれの専門家に役割を分担して相談することが、結果的にもっとも早く、後悔の少ない売却につながります。
よくある質問
空き家は家財が残ったままでも売却できますか?
相続登記がまだでも空き家を売却できますか?
空き家の3,000万円特別控除はいつまでに売却すれば使えますか?
空き家を放置しているとどうなりますか?
買取と仲介、どちらで売るべきか判断に迷っています
取得費が分からない場合はどうすればよいですか?
遠方に住んでいて現地に行けなくても売却を進められますか?
まとめ
空き家の売却は、名義の確認・片付け・売却方法の選定・税金の手続きと、確認すべき項目が多岐にわたります。一つひとつは難しい手続きではなくても、複数が重なることで「何から手をつければいいか分からない」という状態になりやすいのが、空き家売却の特徴です。ここまで解説してきた要点を振り返ります。
- 売却の判断は「片付けてから売るか、そのまま買取に出すか、手取りで比べる」のが基本
- 売却前に、名義(相続登記)・抵当権・相続人全員の同意の3点を必ず確認する
- 相続登記は3年以内の申請が義務。怠ると10万円以下の過料の対象になり得る
- 空き家の3,000万円特別控除には「相続から3年」「制度期限(2027年12月末)」の二重の期限がある
- 放置すると特定空家等・管理不全空家等に指定され、固定資産税の負担が増えるおそれがある
- 買取・仲介・有料引き取りの3択を、片付け費用や期間まで含めて比較することが後悔を防ぐ近道
- 売却先が決まるまでの間も固定資産税・保険料・管理の手間といった維持費用がかかり続ける
- 特例を使う場合は、売却翌年の確定申告と市区町村発行の確認書の取得が必須
空き家の売却に「唯一の正解」はありません。物件の状態、相続人の人数と関係性、時間的な余裕、そして特例が使えるかどうかによって、最適な進め方は家庭ごとに異なります。だからこそ、最初の一歩として「片付けてから売るか、そのまま買取に出すか」を手取りベースで比較し、そのうえで名義・抵当権・相続人の同意という土台を整えていくことが、遠回りに見えて結果的に一番早い道になります。制度や税金の詳細は国税庁・法務省・国土交通省の一次情報で必ず確認し、個別の金額や適用可否については税理士・司法書士など専門家に相談してください。片付けから売却の窓口探しまで一括で相談したい場合は、まずは写真を送るだけの無料見積もりからご相談ください。
早いこともあります
片付け・査定・相続登記の相談・買取と仲介の比較まで。写真を送るだけで概算のお見積もりをお出しします。ご相談・お見積もりは無料です。


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