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空き家の仲介と買取の違い|価格・スピード・手数料を比較【2026年版】

最終更新日:2026年9月23日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 「仲介」は宅建業者が買主を探して仲立ちする売却方法、「買取」は宅建業者が自ら買主になる売却方法です。違いを一言でいえば「時間をかけて高く売るか、早く確実に手放すか」。迷ったら片付けてから仲介で売るか、そのまま買取に出すか、手取り額で比べるのが判断の近道です。
  • 金額感をつかみたい場合は、片付け不要のまま複数社の査定を比較できる空き家買取(片付け不要・複数社査定)から概算を取り、仲介想定額との差額を確認してください。
  • 相続した空き家を売る場合は、国税庁の空き家の3,000万円特別控除(要件を満たす場合)の対象になり得ます。適用の可否は必ず一次情報で確認してください。
  • 相続登記が済んでいないと、仲介・買取のどちらでも売却できません(2024年4月義務化)。査定の前に名義を確認しておくことが遠回りを避けるコツです。
目次

仲介と買取の違いを先に一覧で確認|結論

「仲介」と「買取」は、どちらも空き家・実家を手放す方法ですが、売却の相手が違います。仲介は不動産会社(宅建業者)が買主を探して間に立つ方法、買取は不動産会社自身が買主になる方法です。この根本的な違いから、価格・スピード・費用・手間のすべてに差が生まれます。まず全体像を一覧で確認してください。

比較項目 仲介 買取
買主 不動産会社が探した個人・法人 不動産会社(宅建業者)自身
売却価格 市場価格に近い水準(売れればの話) 市場価格のおおむね5〜8割目安
売却までの期間 数か月〜1年以上かかることもある 早ければ1〜4週間程度
仲介手数料 必要(売買価格×3%+6万円+消費税が目安) 原則不要
片付け・清掃 内覧のため必要になりやすい 残置物ありで買い取ってもらえる場合が多い
契約不適合責任 個人間売買では負う場合がある 業者買取のため免責されやすい
近隣・知人に知られるか 広告・内覧で知られやすい 広告を出さないため知られにくい
向いている空き家 立地が良く需要が見込める物件 老朽化・再建築不可・境界未確定など

この表からも分かるとおり、仲介と買取のどちらが「得」かは一律には決まりません。売却価格だけを見れば仲介が有利に見えますが、片付け費用・仲介手数料・保有期間中の固定資産税を差し引いた手取り額で比べると、結論が変わるケースも珍しくありません。この記事では、仲介と買取の仕組みの違いから、税金・登記などの制度、ケース別のシミュレーションまでを整理します。なお当事務局は宅建業者ではないため、実際の物件査定・買取・仲介契約は提携の宅建業者が担当し、当事務局は相談窓口と片付けの手配を行う立場です。

仲介とは何か|宅建業者が買主を探して仲立ちする売却方法

仲介とは、不動産会社(宅建業者)と媒介契約を結び、買主探しから契約・引き渡しまでのサポートを受けて売却する一般的な方法です。不動産会社はレインズ(指定流通機構)への登録やポータルサイトへの掲載、現地での内覧対応などを行い、買主が見つかると売買契約を仲立ちします。売主と不動産会社の間で結ぶ媒介契約には、主に次の3種類があります。

媒介契約の種類 他社への依頼 自分で買主を見つけること レインズへの登録義務
一般媒介契約 可能(複数社に依頼できる) 可能 任意
専任媒介契約 不可(1社のみ) 可能 契約から7日以内
専属専任媒介契約 不可(1社のみ) 不可 契約から5日以内

空き家のように需要が限られやすい物件では、複数の不動産会社に売却活動をしてもらえる一般媒介契約が選ばれることもありますが、担当者の販売活動への熱意が分散しやすい面もあります。逆に専任・専属専任媒介契約は、不動産会社が販売活動に力を入れやすい一方、1社の力量に売却結果が左右される点に注意が必要です。契約期間は3か月以内と宅地建物取引業法で定められており、更新を重ねながら販売活動を続けるのが一般的です。

仲介のメリット・デメリット

仲介の最大のメリットは、市場価格に近い水準での売却を狙える点です。買主候補が広く募られるため、立地や条件が良い物件ほど高値での成約が期待できます。一方で、買主が見つかるまでの期間が読めない、内覧のための片付け・清掃の手間がかかる、売買契約後に契約不適合責任(引き渡し後に見つかった不具合への責任)を負う可能性があるといったデメリットもあります。

仲介の流れ|媒介契約から引き渡しまでの8ステップ

仲介での売却は、おおむね次のような流れで進みます。地域や物件の状態によって期間は前後しますが、全体像を把握しておくとスケジュールを立てやすくなります。

  1. 不動産会社への相談・査定依頼:複数社に査定を依頼し、価格の根拠と販売戦略を比較する。
  2. 媒介契約の締結:一般・専任・専属専任のいずれかを選び契約する。
  3. 片付け・ハウスクリーニング:内覧に向けて残置物を整理し、必要に応じて清掃・簡易補修を行う。
  4. 販売活動の開始:レインズ登録・ポータルサイト掲載・現地案内看板などで買主を募る。
  5. 内覧対応:購入希望者の内覧に立ち会う、または不動産会社に鍵を預けて対応してもらう。
  6. 売買契約の締結:買主が決まったら、価格・引き渡し時期・契約不適合責任の範囲などを取り決めて契約書を交わす。
  7. 決済・引き渡し:残代金の受領と同時に、鍵の引き渡しと所有権移転登記を行う。
  8. 確定申告:譲渡所得が発生する場合は、翌年の確定申告で申告・納税する。

このうち特に期間が読みにくいのが④〜⑥の「買主が見つかるまで」の工程です。空き家のように需要が限られる物件では、この期間が数か月〜1年以上に及ぶこともあります。

買取とは何か|宅建業者が自ら買主になる売却方法

買取とは、不動産会社(宅建業者)が仲介を挟まず、自ら買主として空き家・実家を直接購入する売却方法です。買主探しの工程がないため、査定から契約・決済までが短期間で完結しやすく、早ければ1〜2週間、長くても1か月程度で現金化できるケースが多く見られます。買い取った不動産会社は、リフォームや解体を行ったうえで再販売したり、賃貸・駐車場などに活用したりして利益を得るビジネスモデルです。

買取価格が仲介より安くなる仕組み

買取価格が仲介想定額より低くなるのは、買取業者が次のコストをあらかじめ査定額に織り込むためです。

  • 再販までのリフォーム費用・解体費用
  • 再販が完了するまでの期間の金利・保有コスト(固定資産税など)
  • 再販時に発生する仲介手数料・広告費
  • 買取業者自身の利益

これらを差し引いた結果、買取価格は市場価格(仲介想定額)のおおむね5〜8割程度に収まる傾向があるとされています。築年数が古く解体前提となる空き家ほどこの割合は低くなりやすく、逆にリフォームせずそのまま貸せる立地の物件は8割に近い水準で買い取られることもあります。

買取のメリット・デメリット

買取の最大のメリットは、スピードと確実性です。買主を探す期間がなく、内覧対応や広告掲載の手間も基本的にかかりません。残置物(家財)が残ったままでも買い取ってもらえる会社が多く、片付けの手間や費用を省ける場合もあります。契約不適合責任も免責されるケースが一般的で、引き渡し後のトラブルリスクを抑えられます。一方で、売却価格が仲介より低くなること、対応できる不動産会社が仲介より限られること、物件によっては買取自体を断られる場合があることがデメリットです。

買取の流れ|査定から決済までのスピード感

買取は仲介に比べて工程が少なく、次のような流れで進みます。

  1. 査定依頼:写真や物件情報を送り、概算の買取価格を確認する。
  2. 現地調査:建物の状態・境界・接道状況などを確認し、正式な査定額を提示してもらう。
  3. 買取価格の提示・条件確認:残置物の扱い、契約不適合責任の範囲、引き渡し時期などを確認する。
  4. 売買契約の締結:条件に合意したら契約書を交わす。
  5. 決済・引き渡し:早ければ契約から数日〜数週間で決済し、現金化が完了する。

買主を探す工程がまるごと省かれるため、①〜⑤までを最短1〜2週間、通常でも1か月程度で終えられるケースが多く見られます。遠方に住んでいて頻繁に現地へ行けない場合も、写真と郵送でのやり取りだけで完結することが多く、時間的な負担を大きく減らせます。

築年数別に見る買取価格の目安

買取価格は個別の立地・状態によって大きく変わりますが、仲介想定額に対する割合には築年数によるおおまかな傾向があります。あくまで目安として参考にしてください。

築年数の目安 買取価格/仲介想定額の目安 傾向
築20年以内 7〜8割程度 リフォームで再販しやすく、買取価格が下がりにくい
築20〜40年 6〜7割程度 設備更新やリフォーム費用が査定額に反映される
築40年超・解体前提 5〜6割程度 解体費用が見込まれるため、価格が下がりやすい

この目安はあくまで一般的な傾向であり、立地・接道状況・再建築の可否によって上下します。正確な金額は、必ず複数の不動産会社から実際の査定を取って確認してください。同じ築年数でも、駅からの距離や接道状況、周辺の再開発計画の有無によって査定額は大きく変わるため、この表の数値だけで判断せず、あくまで会話の出発点として活用することをおすすめします。

ここまでで「うちの場合、結局どっちが得?」と思ったら

片付け不要のまま複数社の買取査定を取り、仲介との差額を確認できます。写真を送るだけで概算が分かります。

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買取・仲介・有料引き取りの3択比較【表で判断】

空き家の手放し方には、「買取」「仲介」に加えて、市場での売却が難しい訳あり物件向けの「有料引き取り(引取業者による引き取りサービス)」という第三の選択肢もあります。3つを並べて比較すると、判断の軸が明確になります。

買取 仲介 有料引き取り
売却スピード 速い(1〜4週間程度) 遅い(数か月〜1年以上) 速い(引き取り先が決まれば早い)
価格水準 市場価格の5〜8割目安 市場価格に近い(売れればの話) マイナス(費用を払って手放す)
片付け・解体 不要な場合が多い 必要(内覧のため) 物件による
仲介手数料 原則不要 必要 不要(別途引取費用)
契約不適合責任 免責されやすい 負う場合がある 物件・契約による
向いている物件 老朽化・再建築不可・境界未確定など 立地が良く需要が見込める物件 買取先すら見つからない訳あり物件

「立地が良く、片付けや解体の手間をかけても高く売れる見込みがある」なら仲介、「早く・手間なく現金化したい、または老朽化していて需要が薄い」なら買取が現実的な選択です。買取査定でも大幅に安い金額しか提示されない、あるいは断られた場合は、有料での引き取りサービスも視野に入れて比較検討してください。

仲介にかかる費用と期間の内訳

「売却価格」だけを比べると仲介が有利に見えますが、仲介には次のような費用と時間がかかります。買取と比較する際は、これらを差し引いた「手取り額」で考えることが重要です。

項目 仲介で発生しやすい費用・負担
片付け・残置物処分 家財一式の処分費用(間取りにより数万円〜数十万円)
ハウスクリーニング・簡易リフォーム 内覧時の印象を上げるための費用
仲介手数料 売買価格×3%+6万円+消費税(400万円超の一般的な上限額の目安)
売却までの保有コスト 固定資産税・都市計画税・空き家の管理費(数か月〜1年以上かかる場合あり)
契約不適合責任 引き渡し後に不具合が見つかった場合の補修・賠償リスク

買取ではこれらの多くが不要になります。つまり、売却の判断は「売却価格」ではなく「手取り額(売却価格−諸費用−保有コスト)」で比較するのが正解です。仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で「売買価格×3%+6万円(税別)」という速算式が定められており、例えば売却価格が2,000万円なら仲介手数料の上限は税抜66万円(税込72万6,000円)が目安になります。次の章で、この判断の前提となる公的な制度を確認します。

手取り額シミュレーション【具体例で計算】

ここまでの内容をもとに、仲介と買取の「手取り額」を具体的な数字でイメージしてみます。以下はあくまで説明のための一例であり、実際の金額は物件ごとの査定・見積もりで確認してください。

仲介(例) 買取(例)
想定売却価格 2,000万円 1,300万円(市場価格の6.5割目安)
片付け・残置物処分費 −30万円 0円(残置物ありで買取可の場合)
ハウスクリーニング・簡易補修 −15万円 0円
仲介手数料(税込目安) −72.6万円 0円
売却までの保有コスト(半年〜1年分の固定資産税・管理費目安) −15万円 0円(早期決済のため)
手取り額の目安 約1,867万円 約1,300万円

この例では仲介のほうが手取り額は多くなっていますが、これは「立地が良く、比較的短期間で売れた」ケースを想定したものです。売却までに1年以上かかった、あるいは片付け・解体費用がさらに高額になった場合は、保有コストが積み増しされ、買取との差が大きく縮まる、あるいは逆転することもあります。重要なのは、片付け費用・仲介手数料・保有コストの3つを、必ず見積もりの段階で具体的な金額として確認しておくことです。

空き家を売る前に確認すべき制度|一次情報つき

仲介・買取どちらを選ぶ場合でも、価格の比較だけでなく、次の公的な制度・義務を事前に確認しておく必要があります。金額や要件は年ごとに見直される場合があるため、必ず最新の一次情報で確認してください。

空き家の3,000万円特別控除(国税庁)

相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋(空き家)またはその敷地を、令和9年12月31日までの間に売却し、一定の要件を満たす場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円(相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除できる特例があります。相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があり、売却代金が1億円を超えると適用できないなど要件が細かく定められています。適用の可否は必ず国税庁の公式情報(タックスアンサー No.3306)で最新の要件を確認するか、税理士に相談してください。

取得費の考え方(国税庁)

譲渡所得税は「売却価格−取得費−譲渡費用」に対して課税されます。相続で取得した不動産の取得費は、被相続人が取得した際の購入代金や購入手数料などを引き継ぐのが原則です。取得費が分からない場合は概算取得費(売却価格の5%)で計算せざるを得ず、税額が大きくなることがあります。取得費として認められるものの考え方は国税庁のタックスアンサー No.3252、建物の取得費の計算方法(減価償却)はタックスアンサー No.3261で確認できます。古い購入時の契約書や領収書が見つからない場合も、あきらめずに専門家へ相談することをおすすめします。なお、仲介手数料や測量費、解体費用の一部など、売却のために直接かかった費用は「譲渡費用」として譲渡所得から控除できる場合があります。片付け費用や引っ越し費用など対象にならない費用もあるため、確定申告の際にどの費用が譲渡費用に該当するかは税理士に確認してください。

相続登記の義務化(法務局)

2024年4月1日から相続登記が義務化されており、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。正当な理由なく期限内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得ます。制度開始前に相続した未登記の空き家も、2027年3月31日までに登記が必要です。相続登記が済んでいない空き家は、仲介・買取どちらの方法でも売却できないため、査定を依頼する前に名義を確認しておいてください。

管理不全空家・特定空家に指定されるリスク(国土交通省)

2023年12月13日施行の改正空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)により、これまでの「特定空家」に加えて「管理不全空家」という区分が新設されました。適切に管理されず、放置すれば特定空家になるおそれがある空き家が対象です。管理不全空家・特定空家に指定され、市区町村からの勧告に従わない場合、固定資産税の住宅用地特例(税額が1/6または1/3に軽減される制度)の対象から外れ、固定資産税が最大6倍、都市計画税が最大3倍になる可能性があります。売るかどうかを迷っている段階でも、早めに自治体の空き家対策窓口や専門家に相談しておくと安心です。

なお、総務省の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家数は約900万戸(空き家率13.8%、過去最高)、賃貸・売却用等を除く「その他の空き家」は約385万戸にのぼり、いずれも調査開始以来最多を更新しています。空き家の増加は全国的な課題であり、放置せず早期に方針を決めることが、税負担や管理の手間を抑える最も確実な方法です。

譲渡所得税の税率|所有期間で約2倍変わる

仲介・買取いずれの方法でも、売却によって利益(譲渡所得)が出た場合は譲渡所得税がかかります。税率は、売却した年の1月1日時点での所有期間によって次のように区分されます。

区分 所有期間 税率(所得税+復興特別所得税+住民税)
短期譲渡所得 5年以下 39.63%
長期譲渡所得 5年超 20.315%

相続した実家の場合、所有期間は被相続人(亡くなった方)が取得した時期から通算されるため、長期譲渡所得(20.315%)に該当するケースが多くなります。ただし、取得時期の判定や特例の併用可否は個別の事情によって変わるため、売却前に税理士へ確認しておくと安心です。

相続放棄を検討している場合は先に売却・処分しない

相続放棄を考えている、あるいは家族の誰かが相続放棄を検討している場合は、仲介・買取どちらの方法であっても、査定依頼の前に注意が必要です。相続財産の一部でも売却・処分してしまうと、「法定単純承認」とみなされ、その後は相続放棄ができなくなる可能性があります。空き家の売却は財産の処分そのものにあたるため、相続放棄の可能性が少しでもある場合は、必ず着手前に司法書士や弁護士に相談してください。

片付けと売却、どちらを先に進めるべきか

「売却の前に家財を片付けるべきか」は、多くの方が最初に迷うポイントです。判断の目安は次の通りです。

  • 仲介で高値を狙う場合:内覧のためにある程度の片付け・清掃が必要になります。家財が残ったままだと購入希望者に物件の状態が伝わりにくく、成約までの期間が延びやすくなります。
  • 買取で早期売却する場合:残置物(家財)が残ったままでも買い取ってもらえる会社が多く、片付けの手間や費用を省ける場合があります。ただし、仏壇・位牌・貴重品・思い出の品は先に取り出しておく必要があります。

片付けの手間を先に済ませておきたい場合は実家じまい代行で家財の仕分け・搬出をまとめて依頼する方法や、家財の量が多い場合は遺品整理として専門業者に一括で任せる方法もあります。片付けと並行して買取査定を進めれば、「片付けにいくらかかるか」と「買取でいくらになるか」を同時に把握でき、空き家買取と実家の売却(仲介)のどちらを選ぶかの判断がしやすくなります。

遠方に住んでいる相続人が進める場合

実家から離れた場所に住んでいると、片付けの立ち会いや内覧対応のために何度も現地へ足を運ぶ負担が大きくなります。仲介では内覧のたびに立ち会いが必要になる場合もありますが、鍵を不動産会社に預けて対応してもらう方法もあります。買取であれば現地調査と契約時の1〜2回程度の訪問で済むことが多く、片付けも鍵を預けて進められる業者を選べば、現地に一度も行かずに完結するケースもあります。遠方在住で立ち会いの時間が取りにくい場合は、査定依頼の時点で「立ち会いなしで進められるか」を確認しておくと、スケジュールを組みやすくなります。

仲介が向いている空き家・買取が向いている空き家

仲介と買取のどちらが向いているかは、物件の状態によっておおむね傾向があります。次の一覧を目安にしてください。

物件の状態 向いている方法 理由
駅近・築浅・人気エリア 仲介 需要が見込め、市場価格に近い金額での成約が期待できる
築40年超・老朽化が進んでいる 買取 仲介では需要が薄く、解体前提での早期売却が現実的
再建築不可(接道義務を満たさない) 買取 建て替えができず、仲介では買い手が見つかりにくい
境界が未確定 買取(要相談) 測量・境界確定費用を見込んだ査定になるが対応可能な会社もある
共有名義で相続人の同意が揃わない まず登記・協議を優先 同意が整わないと仲介・買取いずれも売却できない
遠方に住んでいて頻繁に立ち会えない 買取(片付け込みで相談) 内覧対応の手間が少なく、片付けと同時進行しやすい

ここで注意したいのは、「買取に向いている=損」ではないという点です。仲介では長期間売れ残るリスクが高い物件ほど、保有中の固定資産税・管理費が積み重なり、結果的に買取のほうが手取りで有利になることも多くあります。

空き家を保有し続けた場合の年間コスト目安

「まだ決められないから、しばらく置いておく」という判断にも、実はコストがかかっています。仲介・買取のどちらを選ぶにせよ、保有し続けるだけで発生する費用を把握しておくと、先延ばしのコストが具体的に見えてきます。

費目 年間の目安 備考
固定資産税・都市計画税 物件により数万円〜十数万円程度 管理不全空家・特定空家に指定されると住宅用地特例が外れ最大6倍になり得る
火災保険料 数万円程度 空き家用のプランは補償内容・保険料が異なる場合がある
管理費(草刈り・見回りなど) 依頼先により変動 自分で通う場合は交通費・時間的コストもかかる
水道光熱費の基本料金 物件により変動 通水・通電を維持する場合に発生

これらを1年、2年と積み重ねていくと、決して小さくない金額になります。「いつか決めよう」と先延ばしにするほど、手取り額から差し引かれる保有コストが増えていくという点は、仲介・買取どちらを選ぶ場合でも意識しておく価値があります。

仲介と買取、両方に査定を出す「併用」という進め方

仲介か買取かを最初から一つに決めきれない場合は、両方に同時に査定を依頼する「併用」の進め方もあります。仲介での想定売却額と、買取での即時買取額を同じタイミングで比較できるため、「時間をかければどれくらい高く売れる可能性があるか」と「今すぐ確定させるといくらになるか」を具体的な数字で見比べられます。一定期間(例えば3か月〜半年)は仲介での売却活動を試し、反響がなければ買取に切り替えるという「併用型」の進め方を提案する不動産会社もあります。判断を先延ばしにするのではなく、期限を決めたうえで両方の選択肢を並行して検討することが、後悔の少ない売却につながります。

買取業者を選ぶときの注意点

買取は仲介に比べて対応できる不動産会社の数自体が限られます。買取を行うには、不動産会社自身が物件を購入する資金力と、リフォーム・解体・再販までを見込んだ事業計画が必要だからです。対応会社が限られる分、1社だけの査定で決めてしまうと相場より大きく安い金額で成約してしまうリスクがあります。特に次のような会社には注意してください。

  • 買取実績・事例を公開していない会社
  • 査定額の根拠(解体費・リフォーム費の内訳)を説明しない会社
  • 物件のあるエリアでの取引実績がない会社
  • 契約を急がせる、その場で即決を迫る会社

複数社に査定を依頼し、金額だけでなく説明の丁寧さや契約条件も比較することが、買取のデメリットを最小化する実務上のポイントです。

空き家バンクという選択肢も検討する

仲介・買取のほかに、自治体が運営する「空き家バンク」に登録して買い手・借り手を探す方法もあります。空き家バンクは自治体が空き家情報を集約し、移住希望者などとマッチングする仕組みで、登録・利用に費用がかからない自治体が多い一方、成約までの期間が読みにくく、必ず売れる保証はありません。地方の空き家や、仲介では需要が見込みにくい物件では、選択肢の一つとして検討する価値があります。空き家バンクの登録方法や仲介・買取との比較は空き家バンクの登録方法と売れる条件で詳しく解説しています。

契約前に確認したい重要事項説明のポイント

仲介・買取いずれの場合も、契約前には宅地建物取引士による重要事項説明が行われます。空き家の売却では、特に次の項目を重点的に確認してください。

確認項目 なぜ重要か
接道状況・再建築の可否 再建築不可物件は将来の活用方法が大きく制限される
境界の確定状況 未確定の場合、後日の紛争や測量費用の負担が発生し得る
越境物の有無 隣地の樹木・塀・建物の一部が越境していると引き渡し後のトラブルになりやすい
契約不適合責任の範囲 仲介では個人間売買で責任を負う場合があり、範囲を事前に確認しておく必要がある
心理的瑕疵の告知義務 事故物件に該当する場合は買主に告知する法的義務がある

これらは専門的な内容が多いため、説明を受けてもその場で判断しきれないこともあります。疑問点はその場で質問し、必要であれば司法書士や弁護士に契約書の事前確認を依頼することも検討してください。

ケース別シミュレーション|あなたの場合はどちらが得か

実際の判断材料として、よくある4つのケースを想定し、仲介と買取のどちらが現実的かを整理しました。金額は個別の物件・地域によって変動するため、あくまで判断の考え方として参照してください。

ケースA:築40年超・老朽化が進んだ実家(駅から遠い郊外)

仲介では買い手がつきにくく、売却まで長期化しやすいタイプです。売却期間中の固定資産税・管理費(草刈り・見回りなど)が積み重なるうえ、管理不全空家に指定されるリスクも高まります。解体前提での買取を検討し、片付け・解体費用を差し引いた手取りで判断するのが現実的です。

ケースB:立地が良く、建物の状態もそこまで悪くない実家

仲介での需要が見込めるタイプです。片付け・簡易リフォームの費用と、仲介で売れるまでの期間(保有コスト)を天秤にかけたうえで、時間をかけてでも高値を狙うか、早期に買取で確定させるかを選びます。複数の不動産会社に「買取査定」と「仲介での想定売却額」の両方を出してもらい、差額を具体的な数字で比較するとよい判断ができます。

ケースC:相続人が複数いて、まだ遺産分割協議がまとまっていない

相続登記が済んでいない状態では、仲介・買取いずれの方法でも売却手続きを進められません。まずは遺産分割協議書の作成と相続登記を優先し、名義が整った段階で査定を取る順序になります。相続人の意見が割れている場合は、司法書士や弁護士を交えて早めに方向性を固めておくと、売却のタイミングを逃しにくくなります。

ケースD:再建築不可・境界未確定などの訳あり物件

仲介での買い手探しが特に難しいタイプで、買取の中でも訳あり物件に対応できる会社が限られます。査定を断られた場合や大幅に安い金額しか提示されなかった場合は、有料での引き取りサービスも選択肢に入れて比較検討してください。境界確定や測量を先に済ませておくと、査定額が改善するケースもあります。

ケースE:地方の実家で空き家バンクにも登録したが売れない

地方の物件で、空き家バンクへの登録だけでは反響がない場合、需要の母数自体が少ないことが原因になっているケースが多く見られます。仲介での売却活動と並行して買取査定も取り、期限を決めて(例えば半年〜1年)反響がなければ買取に切り替える、というように「時間で見切りをつける」判断軸を先に決めておくと、いたずらに保有コストだけがかさむ事態を避けられます。

ケースF:都市部の狭小地・変形地

建物の状態は悪くなくても、土地の形状が特殊で建て替えにくい狭小地・変形地は、一般の個人向け仲介では買い手がつきにくい傾向があります。一方、狭小地の活用ノウハウを持つ買取業者であれば、隣地との一体活用や再建築の工夫を前提に査定を出せる場合があります。仲介と買取の両方に、狭小地・変形地の取り扱い実績があるかを確認したうえで査定を依頼するとよい結果につながりやすくなります。

複数社に査定を依頼するときの進め方

仲介・買取いずれの場合も、1社だけの査定で判断するのはおすすめできません。複数社に査定を依頼する際は、次の点を意識すると比較がしやすくなります。

  • 同じ条件で依頼する:残置物の有無、解体の要否など、各社に伝える物件情報をそろえておくと、査定額の差が比較しやすくなります。
  • 査定額だけでなく根拠を聞く:なぜその金額になるのか(近隣の取引事例、解体費の見込みなど)を説明してもらい、納得できるかを確認します。
  • 担当者の対応も比較材料にする:連絡の速さ、質問への答え方は、契約後のやり取りの質を推測する材料になります。
  • 依頼する社数の目安:買取は2〜3社、仲介は一般媒介であれば2〜3社、専任媒介であれば1社に絞って比較検討するのが一般的です。

複数社の査定を並べて比較することで、相場観がつかめるだけでなく、極端に安い金額や、逆に根拠のない高い金額を提示する会社を見分けやすくなります。

都市部と地方で異なる仲介・買取の実態

仲介と買取のどちらが現実的かは、物件が都市部にあるか地方にあるかによっても傾向が変わります。

都市部・駅近エリア 地方・郊外エリア
仲介での需要 比較的見込みやすい 需要が薄く、長期化しやすい
買取対応会社の数 比較的多い 対応可能な会社が限られる場合がある
買取価格の水準 市場価格の7〜8割程度になりやすい 再販の見込みが立ちにくく、5〜6割程度になることもある
空き家バンクの活用余地 登録物件自体が少なく効果は限定的 移住希望者とのマッチングが機能しやすい地域もある

地方の空き家では、仲介での売却が長期化しやすい分、早めに買取査定や空き家バンクへの登録を並行して進めておくと、選択肢を絞り込みやすくなります。都市部の物件では、仲介と買取の両方に査定を依頼し、差額を具体的な数字で比較したうえで判断することをおすすめします。

解体してから売るか、そのまま売るかの判断基準

老朽化が進んだ空き家では、「解体して更地にしてから売るべきか」も判断が分かれるポイントです。更地にすると買い手の選択肢が広がる一方、解体費用がかかるうえ、更地になった時点で固定資産税の住宅用地特例が外れ、翌年から税額が上がる可能性があります。空き家の3,000万円特別控除は、原則として家屋を取り壊して更地として売る場合にも適用され得ますが、要件(耐震基準を満たさない場合の取り壊しなど)が細かく定められているため、解体前に必ず要件を確認してください。買取であれば、解体せずそのままの状態で査定を受けられることが多く、「解体すべきか迷っている」段階でも相談しやすい選択肢です。

仲介・買取を選ぶ前の実務チェックリスト

仲介・買取どちらを選ぶ場合でも、着手前に確認しておきたい項目を一覧にしました。印刷して、査定依頼前の確認用にご活用ください。

確認項目 チェックのポイント
相続登記の完了状況 名義が被相続人のままになっていないか確認する(未了なら先に手続きが必要)
相続人全員の合意 共有名義の場合、売却について相続人全員の同意が取れているか
複数社への査定依頼 買取査定と仲介想定額の両方を、最低2〜3社から取り比較する
査定額の内訳確認 解体費・リフォーム費・仲介手数料がどの程度差し引かれているか説明を求める
残置物・貴重品の取り出し 仏壇・位牌・写真・重要書類など先に取り出す物をリストアップする
3,000万円特別控除の該当有無 相続から3年以内かどうかなど、国税庁の要件を確認する
固定資産税の課税状況 管理不全空家・特定空家に指定されていないか自治体窓口で確認する
契約不適合責任の範囲 仲介・買取それぞれで、どこまで責任を負うか契約書の記載を確認する
相場観の把握 不動産情報ライブラリ・レインズ・マーケット・インフォメーションで近隣の取引事例を確認しておく
解体するかどうかの方針 解体費用・固定資産税の変化・3,000万円特別控除の要件を踏まえて事前に方針を決めておく

特に見落としやすいのが「相続登記の完了状況」と「相続人全員の合意」です。この2点が未整理のまま査定だけを進めても、いざ契約という段階で手続きが止まってしまうことがあります。査定依頼と並行して、早い段階で司法書士に名義の状況を確認しておくと、スムーズに売却まで進められます。

自分でも相場を調べる方法

不動産会社の査定額が適正かどうかを判断するには、自分自身でもおおよその相場を調べておくと安心です。公的なデータを使えば、無料で近隣の取引事例を確認できます。

  • 国土交通省 不動産情報ライブラリ:実際に成約した不動産取引の価格情報を、エリア・時期別に検索できる。
  • レインズ・マーケット・インフォメーション:指定流通機構(レインズ)に登録された過去の成約価格を検索できる。
  • 固定資産税の課税明細書:毎年届く課税明細書に記載の評価額も、大まかな価格水準を把握する参考になる。

これらのデータはあくまで参考値であり、個別の物件の状態(築年数・接道状況・再建築の可否など)によって実際の査定額は変わります。相場観を持ったうえで複数社に査定を依頼すると、極端に低い金額を提示された場合にも気づきやすくなります。

仲介と買取の選択でよくあるトラブルとその防ぎ方

仲介と買取のどちらを選ぶかは、進め方次第では後悔につながることもあります。事務局として相談を受ける中でよく耳にするパターンと、その防ぎ方を紹介します。

  • 売却価格だけを見て仲介を選び、手取りで損をする——片付け費用・仲介手数料・保有期間中の固定資産税を計算せずに仲介を選び、結果的に買取より手取りが少なくなるケースです。契約前に必ず手取り額で比較してください。
  • 1社だけの査定額で即決してしまう——買取対応会社は仲介対応の会社より数が限られるため、最初に提示された金額で決めてしまいがちです。最低でも2〜3社の査定を比較し、金額差の理由を確認してから判断してください。
  • 貴重品を片付け前に取り出し忘れる——残置物ありで買い取ってもらえる安心感から、仏壇や位牌、重要書類まで一緒に処分されてしまうケースがあります。着手前に貴重品リストを作っておくと防げます。
  • 相続登記を後回しにして売却が止まる——査定額に合意した後で名義未了が発覚し、手続きが数か月止まることがあります。査定依頼の時点で相続登記の状況を確認しておくことが防止策です。
  • 特別控除の期限を過ぎてから気づく——3,000万円特別控除には「相続開始から3年」という期限があります。制度を知らないまま売却時期を先延ばしにし、適用できなくなるケースもあるため、早めに要件を確認してください。
  • 近隣に知られたくないのに広告・内覧で知られてしまう——仲介では、ポータルサイトへの掲載や現地の案内看板、内覧対応によって、近隣住民に売却の事実が伝わりやすくなります。周囲に知られずに進めたい場合は、広告を出さずに買主を探す「囲い込み」に対応できる仲介会社を選ぶか、そもそも広告を必要としない買取を選ぶ方法があります。
  • 相続税の申告期限(10か月)を意識せずに手続きが遅れる——相続税の申告・納税期限は相続開始を知った日の翌日から10か月以内です。売却の判断に時間をかけすぎて、相続税の納税資金が準備できないケースもあるため、売却を検討する段階で税理士に相談し、全体のスケジュールを確認しておくことをおすすめします。

仲介手数料は交渉できるか

仲介手数料の「売買価格×3%+6万円+消費税」という金額は、宅地建物取引業法で定められた上限であり、この金額を超えて請求することはできません。逆に言えば、上限までであれば不動産会社が自由に設定できるため、値引き交渉ができる場合もあります。ただし、空き家のように販売活動に手間がかかる物件では、上限額のまま契約するのが一般的です。手数料の交渉よりも、販売活動の質(広告の出し方、内覧対応の丁寧さ、価格交渉力)で不動産会社を選ぶほうが、結果的に手取り額を大きくできる場合が多いといえます。

買取後、空き家はどうなるか

買い取られた空き家のその後が気になる方も少なくありません。買取業者は、購入した物件をリフォームして再販売する、解体して更地として売却する、駐車場や賃貸物件として活用するなど、事業として収益化する前提で買い取っています。思い出のある実家がどう扱われるか気になる場合は、契約前に「買取後の活用予定」を担当者に確認しておくと、納得したうえで手放しの判断がしやすくなります。

仲介と買取に関するよくある勘違い

仲介・買取の情報を調べる中で、実態とずれた思い込みをしてしまうケースがあります。判断を誤らないよう、代表的な勘違いを整理しておきます。

  • 「買取は必ず安い」という思い込み——買取価格は市場価格より低くなる傾向がありますが、仲介の諸費用や保有コストを差し引いた手取り額で比べると、必ずしも買取が損とは限りません。
  • 「仲介なら必ず高く、早く売れる」という思い込み——仲介は需要のある物件でこそ真価を発揮します。老朽化した空き家や再建築不可物件では、仲介でも長期間売れ残るリスクがあります。
  • 「片付けないと売れない」という思い込み——買取では残置物ありのまま買い取ってもらえる会社が多くあります。片付けを先に終わらせなければ査定すら受けられない、というわけではありません。
  • 「相続登記をしなくても査定だけは受けられる」という思い込み——査定自体は可能な場合もありますが、実際の売買契約・決済には相続登記が完了している必要があります。

賃貸に出すという選択肢との比較

売却以外に、空き家を「貸す」という選択肢もあります。仲介・買取が「手放して現金化する」方法であるのに対し、賃貸は「所有を続けながら収入を得る」方法です。ただし、リフォーム費用や空室リスク、管理の手間がかかり続ける点で、売却とは負担の性質が異なります。相続人が複数いて将来の活用方針が定まっていない場合や、将来的に自分や家族が住む可能性がある場合は、賃貸も比較の選択肢に入れる価値があります。賃貸に出す場合の具体的な手順や収支の考え方は実家を貸すという選択肢で詳しく解説しています。

相談先の使い分け|誰に何を聞けばよいか

仲介・買取を検討する過程では、複数の専門家・窓口が関わってきます。何をどこに相談すればよいか迷わないよう、役割を整理しておきます。

相談内容 相談先
物件の査定・売却手続き 提携の宅建業者(仲介・買取会社)
相続登記・名義変更 司法書士
相続放棄・遺産分割の紛争 弁護士
譲渡所得税・3,000万円特別控除の適用可否 税理士・税務署
固定資産税・管理不全空家の指定状況 市区町村の税務課・空き家対策窓口
片付け・残置物の処分 実家じまい代行・遺品整理業者

安心実家じまいでは、片付けの相談窓口として、提携の司法書士・税理士・宅建業者と連携しながら、どこに何を相談すればよいかも含めてご案内しています。何から始めればよいか分からない段階でも、まずは現状を伺うところから対応しています。

片付けと仲介・買取をまとめて進める方法

実際には、空き家の売却を片付けと切り離して単独で進めるより、家財の仕分けと査定を並行して進める家庭がほとんどです。安心実家じまいでは、片付け(残置物の仕分け・搬出・供養)と、提携の宅建業者による買取・仲介の査定を、同じ窓口でまとめてご相談いただけます。「まず片付けを終わらせてから売却を考える」のではなく、「片付けと査定を同時に進めて、手取り額が見えた段階で判断する」ほうが、結果的にスケジュールも費用も無駄が少なくなります。当事務局自体は宅建業者ではないため、実際の物件査定・買取・仲介契約は提携の宅建業者が担当し、当事務局は片付けの手配と窓口としての調整を行います。遠方にお住まいで立ち会いが難しい場合も、鍵をお預かりして進める方法があります。

神奈川県内の実家を対象にする場合は神奈川県の空き家買取のように、地域別の窓口から相談することもできます。他県の実家の場合も、エリアごとの提携宅建業者をご案内できますので、まずは物件の所在地とおおまかな状態をお知らせください。実家全体の処分方法を売却以外の選択肢も含めて比較したい場合は実家の処分方法5つを比較を、相続した空き家の3,000万円特別控除の詳しい要件は空き家の3,000万円特別控除をあわせてご覧ください。

片付けと査定をまとめて相談したい場合は空き家買取サービスから、まずは写真を送るだけの無料見積もりをご利用ください。

よくある質問

仲介と買取の一番の違いは何ですか?
買主が誰かという点が最も大きな違いです。仲介は不動産会社が買主を探して仲立ちする方法、買取は不動産会社自身が買主になる方法です。この違いから、売却価格(仲介のほうが高くなりやすい)と売却スピード(買取のほうが速い)に差が生まれます。
仲介と買取、結局どちらを選べばよいですか?
立地が良く需要が見込める物件で、時間をかけてでも高値を狙いたい場合は仲介が向いています。老朽化が進んでいる、早期に現金化したい、片付け・解体の手間を省きたい場合は買取が現実的です。判断に迷う場合は、複数社から買取査定と仲介想定額の両方を取り、片付け費用や仲介手数料を差し引いた手取り額で比較することをおすすめします。
買取は仲介よりどのくらい価格が下がりますか?
目安として、市場価格(仲介想定額)のおおむね5〜8割程度になる傾向があります。ただし仲介にも片付け費用・仲介手数料・売却までの保有期間中の固定資産税などがかかるため、これらを差し引いた手取り額で比較すると、差が縮まる、あるいは買取のほうが有利になる場合もあります。
相続した空き家を売る場合、税金の控除はありますか?
一定の要件を満たす場合、国税庁の「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」により、譲渡所得から最高3,000万円(相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除できます。相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があるなど要件が細かいため、必ず国税庁の公式情報で確認するか税理士に相談してください。
相続登記が済んでいなくても空き家を売却できますか?
売却できません。仲介・買取いずれの方法でも、名義が被相続人のままでは売買契約を結べないため、先に相続登記を完了させる必要があります。2024年4月1日から相続登記は義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得ます。査定を依頼する前に名義の状況を確認しておくと手続きがスムーズです。
片付けをしないまま仲介や買取に出すことはできますか?
買取では残置物ありのまま買い取ってもらえる会社が多くあります。一方、仲介では内覧のためにある程度の片付け・清掃が必要になるのが一般的です。いずれの場合も、仏壇・位牌・貴重品・思い出の品は事前に取り出しておくことをおすすめします。
空き家バンクと買取・仲介はどう違いますか?
空き家バンクは自治体が空き家情報を集約し、移住希望者などとマッチングする仕組みで、登録費用がかからない自治体が多い一方、成約までの期間が読みにくく必ず売れる保証はありません。仲介・買取と並行して登録し、反響を見ながら判断する方法もあります。
買取業者を選ぶときに注意すべき点はありますか?
買取実績や査定根拠を説明しない会社、契約を急がせる会社は注意が必要です。複数社に査定を依頼し、金額だけでなく解体費・リフォーム費の内訳説明や契約条件も比較したうえで選ぶことをおすすめします。
仲介と買取、両方に査定を依頼することはできますか?
できます。同じタイミングで仲介の想定売却額と買取の買取額を比較すると、時間をかければどれくらい高く売れる可能性があるかと、今すぐ確定させるといくらになるかを具体的な数字で見比べられます。一定期間は仲介で試し、反響がなければ買取に切り替えるという進め方もあります。

まとめ

仲介と買取の違いは、買主が誰かという点にあります。仲介は不動産会社が買主を探して仲立ちし、市場価格に近い水準を狙えますが時間と手間がかかります。買取は不動産会社自身が買主になり、早く確実に現金化できますが価格は5〜8割程度に下がりやすくなります。振り返ります。

  • 仲介=買主を探して仲立ちする方法、買取=不動産会社が自ら買う方法
  • 買取価格は市場価格の5〜8割目安。ただし仲介にも片付け・手数料・保有コストがかかる
  • 判断は「売却価格」ではなく「手取り額」で比較する
  • 相続した空き家は3,000万円特別控除の対象になり得る(相続開始から3年以内が目安)
  • 相続登記が済んでいないと仲介・買取いずれも売却できない(2024年義務化)
  • 片付けと査定を並行して進めると、判断材料がそろい決断しやすくなる

仲介と買取のどちらが正解かは、物件の状態や相続の状況によって変わります。「売却価格の高さ」だけで選ぶのではなく、片付け費用・仲介手数料・保有コストを含めた手取り額、そして売却までにかけられる時間の両方から、無理のない方法を選んでいただければ十分です。判断に迷う場合や、相続登記・税金の手続きが絡む場合は、一人で抱え込まず司法書士や税理士など専門家に相談してください。実家全体の処分方法を比較したい場合は実家の処分方法5つを比較もあわせてご覧ください。

読むより、聞いたほうが
早いこともあります

片付け不要のまま、複数社の買取査定を比較できます。仲介との差額も含めてご相談ください。ご相談・お見積もりは無料です。

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

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