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実家の片付け費用の相場|間取り別の料金と業者に頼む範囲の決め方

最終更新日:2026年9月29日|法務監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生|執筆・編集:安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

監修範囲:久留慎一郎先生(司法書士・行政書士)の監修は、相続・登記・法務に関する記述です。税額の計算や税の特例に関する記述は、国税庁の公表資料と法令をもとに事務局が作成しており、監修の対象外です。監修者プロフィール

この記事の結論

  • 業者に頼む実家の片付け費用は、公表されている相場で1R・1Kが3〜8万円、3LDKが17〜50万円、4LDK以上が22〜60万円。総務省の調査でも、実際の見積書は10万〜40万円に集中しています。
  • 金額を決めるのは間取りより「物量(トラック何台分か)」と「搬出条件(階段・駐車・距離)」です。買い取れる品があれば費用から差し引けます。
  • 自分でやれば処分手数料だけで済みますが、粗大ごみの申込個数に上限を設けている自治体もあり(札幌市は1回10個まで)、一軒家まるごとだと数か月がかりになりやすいのが現実です。
  • 見積もりでは一般廃棄物収集運搬の許可(または許可業者への委託)と、追加料金が発生する条件の書面化を確認します。国民生活センターには見積額の2倍を請求された相談事例もあります。
  • 売却予定なら、片付け費用を払って仲介で売るか、残置物ごと買い取ってもらうかを手取りで比べてから決めると損をしにくくなります。相続放棄を考えている場合は、片付けの前に単純承認のリスクを確認してください。

親が亡くなった、あるいは施設に入った。誰も住まなくなった実家を片付けることになり、まず気になるのが「いくらかかるのか」ではないでしょうか。ところが業者のサイトを見比べると、同じ3LDKでも十数万円から50万円以上まで幅があり、何を基準に判断すればよいのか分かりにくいのが実情です。

この記事では、実家の「片付け」にかかる費用に絞って、間取り別の相場(出典つき)、金額が上下する理由、自分でやる場合との比較、見積もりの確認ポイント、売却予定の場合の手取り比較、そして費用を誰が負担するかまでを整理しました。お墓・解体・売却を含めた実家じまい全体の費用は実家じまいの費用相場、遺品整理サービスの料金表の読み方は遺品整理の料金相場で詳しく解説しています。

数字は、公的機関の調査・公表資料と、出典を明示できる公表相場だけを使っています。自治体の手数料は例示した自治体の公式ページで確認した2026年9月時点の内容です。

目次

実家の片付け費用の相場|間取り別の目安

最初に全体像です。業者に「仕分け・搬出・処分」までをまとめて頼んだ場合の間取り別相場は、遺品整理業者の比較サイト「みんなの遺品整理」が公表している次の価格帯です(民間サイトの公表相場で、公的な統計ではありません)。

間取り 料金相場(業者依頼) 実家の片付けでよくある状況
1R・1K 3万〜8万円 施設入居後の賃貸・単身用の部屋
1DK 5万〜12万円 親の一人暮らしのアパート
1LDK 7万〜20万円 マンション住まいの親世帯
2DK 9万〜25万円 団地・公営住宅に多い間取り
2LDK 12万〜30万円 夫婦二人暮らしのマンション
3DK 15万〜40万円 昭和の戸建て・団地
3LDK 17万〜50万円 一般的な戸建ての実家
4LDK以上 22万〜60万円 二世帯・大きな戸建て、物置や離れつき

出典:みんなの遺品整理「実家の片付け業者の費用」の料金相場(2026年9月確認)。

公的調査で見た「実際の見積額」

業者の公表相場とは別に、国の調査もあります。総務省行政評価局が2020年3月に公表した「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」では、協力事業者から提供された実際の見積書75例の金額を集計しています。

見積額の区分 見積書の例数(75例中)
10万円以下 7
10万円超〜20万円以下 19
20万円超〜30万円以下 23
30万円超〜40万円以下 12
40万円超〜50万円以下 5
50万円超〜60万円以下 3
60万円超〜100万円以下 4
100万円超 2

報告書は「10万円から40万円の間の取引が多くなっていた」とまとめています(ただし統計的なサンプリングではなく、実績値ではない点も明記されています)。また、国民生活センターの相談分析では、遺品整理サービスの契約金額の平均は約42万円、実際に支払った金額の平均は約30万円でした。相談に至ったケースの数字なので高めに出やすい点は割り引いて見てください。

一軒家まるごとの場合と、当事務局の定額パック

戸建ての実家を丸ごと片付ける場合、公表相場では3LDKで17万〜50万円、4LDK以上で22万〜60万円です。ただし物置・庭・車庫の中身や、2階からの搬出がある家は上限寄りになり、100万円を超える例も総務省の集計に2例含まれています。屋外の片付けについては庭・物置・車庫がある家の片付け、戸建ての遺品整理費用の内訳は一軒家の遺品整理費用にまとめています。

当事務局の実家じまい代行パックは、間取りと基準物量で決まる定額です(2026年9月時点、料金表で確認)。

プラン 対象 基準物量 料金(税別)
ライト マンション・アパート(2DKまで) 2tトラック2台まで 29.8万円
スタンダード 戸建て(3LDKまで) 2tトラック3台まで 49.8万円
まるごと 4LDK以上の大きなお家 現地確認で確定 69.8万円〜

パックには家財の仕分け・搬出・処分、貴重品捜索、簡易清掃、仏壇のご供養(1基)、家の処分のご案内、お手続きガイドが含まれます(プランごとの内容はパックのページでご確認ください)。解体費用・売却の諸費用・ゴミ屋敷状態や特殊清掃は含まれず、個別見積もりです。相場表の上限側と同水準かやや上の価格帯になるのは、仏壇供養や貴重品捜索、売却・解体の段取りまでを窓口ひとつで引き受けるためです。片付けだけを最安で済ませたい方には、地元の許可業者に直接相見積もりを取るほうが安くなる場合があります。

片付け費用の内訳|見積書に並ぶ項目

金額の妥当性を判断するには、何にお金がかかっているかを知っておくと役立ちます。総務省の報告書によると、事業者の見積書にはおおむね「整理・搬出作業」「廃棄物の処理」「買取り代金」「車両費」を計上する欄があり、家電4品目のリサイクル費用や清掃などのオプション費用を計上する事業者も多いとされています。

項目 中身 金額を左右するもの
作業費(人件費) 仕分け・梱包・搬出のスタッフ代 人数×時間。物量と搬出経路で決まる
車両費 2tトラックなどの台数分 物量(トラック何台分か)
廃棄物処理費 処分場・処理施設への搬入費用 処分する量と種類
家電リサイクル料金 エアコン・テレビ・冷蔵庫(冷凍庫)・洗濯機(衣類乾燥機)の4品目 台数とメーカー
オプション ハウスクリーニング、仏壇・位牌の供養、エアコン取り外しなど 依頼する範囲
買取(マイナス) 貴金属・骨董・新しめの家電などの買取額 残っている品の状態と需要

家電4品目は家電リサイクル法の対象で、引き渡す際に「リサイクル料金」と「収集運搬料金」がかかります。料金は品目とメーカーで異なるため、家電リサイクル券センター(一般財団法人家電製品協会)のリサイクル料金一覧で確認できます。見積書を細かく読むコツは遺品整理の見積書の読み方で項目別に解説しています。

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費用が上下する要因|同じ間取りで倍以上違う理由

同じ3LDKでも17万円と50万円では3倍近い開きがあります。差を生む要因を、見積もり前に自分で確認できる形にまとめました。訪問見積もりの前にこの表を埋めておくと、業者ごとの金額差の理由が読み取りやすくなります。

要因 費用が上がる状態 費用が下がる状態 事前に確認すること
物量 押入れ・天袋・納戸がいっぱい、使っていない部屋が物置化 親が生前整理を進めていた 各部屋の収納を開けて写真を撮る
搬出経路 エレベーターなしの上層階、狭く急な階段、2階に大型家具 1階のみ・玄関前まで平坦 階数、階段の幅、大型家具の位置
駐車条件 前面道路が狭くトラックが入れない、有料駐車場が必要 敷地内・家の前に2tトラックが停められる 前面道路の幅と駐車スペース
買取できる品 ほとんどが処分品 貴金属、着物、骨董、年式の新しい家電、ブランド品 価値がありそうな品のリスト
家の状態 ゴミ屋敷状態、害虫・悪臭、孤独死後の特殊清掃が必要 生活ごみが少ない 腐敗物・汚損の有無
屋外・付帯設備 物置、庭木、車庫、ブロック・植木鉢 屋外の物がない 屋外の物の量
遠方・立会い 何度も帰省して立ち会う必要がある、鍵の受け渡しに往復がかかる 鍵の郵送・写真報告で立会い不要にできる 立会い可能な日、鍵の渡し方
日程 退去期限・売却の引き渡し期限が迫っている 日程に余裕がある 期限の有無

ゴミ屋敷状態の家は通常の相場表が当てはまらず、別見積もりになるのが一般的です。進め方はゴミ屋敷になった実家の片付け方、孤独死があった場合は特殊清掃の費用と流れを参考にしてください。買取で費用を相殺する方法は遺品整理の買取ガイドで扱っています。

自分でやる場合と業者に頼む場合の費用・日数の比較

費用だけを見れば、自分でやるのが最も安く済みます。処分にかかるのは自治体の粗大ごみ手数料や処理施設への持込手数料、車を借りるならレンタカー代とガソリン代程度です。一方で、実家の片付けで見落とされがちなのが「自治体の受け入れルールが、1回に出せる量を制限している」点です。

自治体の手数料とルールの例(札幌市・横浜市)

例として、2つの政令指定都市の公式ページで確認した内容を示します(2026年9月時点)。

自治体 粗大ごみ(戸別収集) 処理施設への持込(自己搬入)
札幌市(「大型ごみ」) 収集希望日の2週間前から受付。一度に申し込めるのは1回につき10個まで。手数料はシールか電子決済 清掃工場・破砕工場・埋立処理場は10kgあたり210円、ごみ資源化工場は10kgあたり140円。排出者本人が自宅の家庭ごみを持ち込む場合に限る
横浜市 粗大ごみ受付センターへ事前申込。手数料は品目ごとに市の品目一覧で確認 自己搬入も事前申込が必要で、1日20個まで。手数料は収集と同額。原則申込者本人が持ち込み、本人以外は委任状が必要

出典:札幌市「大型ごみ」、札幌市「家庭ごみの自己搬入」、横浜市「持込みをしたい(自己搬入)」。主要都市の品目別の手数料は粗大ごみ手数料の自治体別比較にまとめています。

注意したいのは、持込が「排出者本人」や「申込者本人」に限られている点です。実家のある自治体に住んでいない子どもが持ち込めるかどうかは自治体ごとに扱いが違うため、事前に実家の自治体へ確認が必要です。

計算例:一軒家を自分で片付けるといくら・何回かかるか

札幌市のルールを当てはめて、処分量を仮定した計算例です(手数料以外の数字はすべて仮定です)。

  • 可燃・不燃の家財を合計1トン、処理施設(清掃工場)へ持ち込むと仮定:1,000kg÷10kg×210円=21,000円
  • タンス・ベッド・ソファなど大型の家具が40個あると仮定:戸別収集なら1回10個までなので最低4回分の申込が必要
  • 持込に軽トラックを借りる場合は、往復回数分のレンタカー代・ガソリン代が別にかかります(料金はレンタカー会社の料金表で確認してください)

処分手数料だけなら数万円に収まることも多い一方、仕分けにかかる時間は物量に比例します。週末しか帰省できない場合、一軒家まるごとは数か月がかりになる例が珍しくありません。遠方から通う交通費がかさむと、業者に頼む場合との差は思ったほど開かないこともあります。

3つの進め方の比較

すべて自分で 仕分けは自分、搬出・処分は業者 すべて業者に依頼
費用 処分手数料+車両・交通費(物量と自治体の手数料で変動) 業者費用は物量に応じて下がる 公表相場どおり(3LDKで17万〜50万円)
日数 週末作業なら数か月かかることも 仕分けの期間+搬出は1〜2日程度 作業自体は半日〜2日程度(当事務局の目安)
体力・手間 大型家具の搬出が最大の難所 重い物は任せられる 立会いと貴重品の指示が中心
向いている人 実家が近い、物量が少ない、人手がある 思い出の品を自分で選びたい、費用も抑えたい 遠方・仕事が忙しい・期限がある

業者に頼まなくてよいケースもあります。実家が車で通える距離にあり、親が生前整理を進めていて物が少なく、兄弟など人手が確保できるなら、自分たちで進めるのが最も合理的です。手順と境界線は遺品整理を自分でやる手順、一人で抱えている方は実家の片付けを一人でやるのがきついときも参考になります。

見積もりで確認すること|許可と追加料金

費用トラブルの多くは、見積もりと契約の段階で防げます。国民生活センターは2018年7月、遺品整理サービスの契約トラブルについて注意喚起を出しました。紹介された事例の一つでは、スタッフ4人の人件費76,000円・2tトラック1台25,000円・廃棄物処理代4万円の見積もり(合計141,000円)で契約したのに、作業当日にトラックの往復ごとに4万円ずつ支払いを求められ、最終的に32万円を請求されています(国民生活センター「こんなはずじゃなかった!遺品整理サービスでの契約トラブル」)。見積書に追加費用の説明がなく、契約書もなかったケースです。

許可の確認:家庭の不用品を「処分料をもらって」回収できるのは誰か

環境省は、家庭から出る廃棄物を回収するには市区町村の「一般廃棄物処理業の許可」か市区町村からの委託が必要で、「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」では回収できないと注意を呼びかけています(環境省「廃棄物の処分に『無許可』の回収業者を利用しないでください!」)。札幌市も、一般廃棄物処理業の許可を持たない事業者に処理料金を払って家庭の不用品を回収してもらうことは法律で禁止されていると案内しています。

一方、片付け業者のすべてが自社で一般廃棄物の許可を持っているわけではありません。総務省の調査では、協力69事業者のうち一般廃棄物収集運搬業と古物商の両方の許可を持つのは27、一般廃棄物のみが7、古物商のみが32でした。許可を持たない事業者は、作業場所の市町村の許可業者に収集運搬を依頼するなどの方法を取っています。つまり確認すべきは「この業者が許可を持っているか」だけでなく、「処分する家財を、誰が、どの許可で運ぶのか」です。

  • 一般廃棄物収集運搬業の許可:実家のある市町村の許可か。自社で持たない場合、委託する許可業者の名前を答えられるか
  • 古物商許可:買取をするなら必要。都道府県公安委員会の許可番号が表示されているか
  • 家電4品目:リサイクル料金と収集運搬料金が見積書に分けて書かれているか

許可番号の調べ方は遺品整理業者に必要な許可・資格、業者の比較ポイント全体は実家片付け業者の選び方で解説しています。

追加料金が出やすい項目と、防ぐための書き方

追加になりやすい項目 起きる理由 見積書・契約書に書いてもらうこと
トラックの追加 見積もり時に収納の中を確認していない 基準の台数と、超えた場合の1台あたり単価
搬出作業の追加人員 階段・長い搬出距離が見積もりに反映されていない 作業人数と、増員時の単価
家電リサイクル料金 台数の数え漏れ 品目ごとの台数と料金
屋外・物置の中身 見積もり範囲外として扱われる 作業範囲(屋外・物置・車庫を含むか)
清掃・特殊清掃 搬出後に汚れが判明 清掃の範囲(簡易清掃かハウスクリーニングか)
キャンセル料 契約後の日程変更・解約 キャンセル料の発生時期と金額

見積もり時チェックリスト(印刷用)

  1. 訪問見積もりで、押入れ・天袋・物置の中まで見てもらったか
  2. 見積書が書面(またはデータ)で出ているか。「一式」だけでなく内訳があるか
  3. 追加料金が発生する条件と単価が書かれているか
  4. 処分品を運ぶ一般廃棄物の許可業者(自社または委託先)が確認できたか
  5. 買取品がある場合、買取額が作業費と分けて書かれているか
  6. 残す物・探してほしい物(通帳・印鑑・権利証・保険証券など)を伝え、処分しない約束をしたか
  7. キャンセル料の規定を確認したか
  8. 支払い時期と方法(作業完了確認後か、当日現金か)を確認したか
  9. 同じ条件で2〜3社の見積もりを比べたか

国民生活センターも、複数社から見積もりを取ること、作業内容や費用を明確に出してもらうこと、料金やキャンセル料を事前に確認すること、残す遺品と処分する遺品を明確に分けておくことをアドバイスしています。悪質業者の手口は遺品整理の悪徳業者の手口と見分け方にまとめています。

売却を予定しているなら|残置物ごと買取と、片付けてから仲介の手取り比較

実家を売るつもりなら、片付け費用は「売却の手取り」とセットで考えるほうが判断を誤りにくくなります。選択肢は大きく2つです。

  • A:片付けてから仲介で売る…片付け費用を先に払い、空の状態で一般の買主を探す。売れるまでの期間と費用がかかるが、価格は高めになりやすい
  • B:残置物ごと買い取ってもらう…家財が残ったまま不動産買取業者に売る。片付け費用がかからず早いが、買取価格は仲介の売却価格より低くなるのが一般的

手取りシミュレーション(数字はすべて仮定)

次の数字は比較の考え方を示すための仮定です。実際の価格は査定で確認してください。

ケース1:A 片付け+仲介 ケース1:B 残置物ごと買取 ケース2:A 片付け+仲介 ケース2:B 残置物ごと買取
売却価格(仮定) 1,500万円 1,200万円 400万円 250万円
片付け費用(仮定) −50万円 0円 −50万円 0円
仲介手数料など諸費用(仮定) −60万円 0円 −30万円 0円
売れるまでの維持費(仮定:月1万円) 6か月で−6万円 1か月で−1万円 12か月で−12万円 1か月で−1万円
手取り(税金は別) 1,384万円 1,199万円 308万円 249万円

ケース1のように価格帯が高い家では、片付け費用を払っても仲介のほうが手取りが大きくなりやすい傾向があります。一方ケース2のように価格が低い家では、片付け費用の重みが相対的に大きくなり、差が縮まります。さらに地方の古い家では「12か月で売れる」という前提自体が成り立たないこともあり、売れ残りの間の固定資産税・管理の手間・建物の傷みまで考えると、Bを選ぶ合理性が出てきます。

判断の目安は「片付け費用+仲介の諸費用+売れるまでの維持費」を仲介の想定価格から引いた金額と、買取価格とを比べることです。詳しい比較は残置物はそのまま売却できる?片付けと買取の手取り比較で扱っています。当事務局は宅建業者ではないため、買取・仲介の契約実務は提携の宅建業者が担当します。空き家買取の相談窓口では残置物がある状態での買取相談を、実家売却の相談では仲介と買取の比較をお受けしています。

売却前の片付けと税金の関係

相続した実家を売る場合、要件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」(空き家の3,000万円特例)が使えます。国税庁によると、対象は令和9年(2027年)12月31日までの売却で、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどが要件です。令和6年1月1日以後の売却で、その家と敷地を相続(遺贈)で取得した相続人が3人以上の場合は控除の上限が2,000万円になります。また令和6年1月1日以後の売却では、売った年の翌年2月15日までに耐震改修や取壊しが行われた場合(売却後に買主側で行うケース)も対象になりました(国税庁 No.3306)。片付けに時間をかけすぎて売却期限を過ぎないよう、スケジュールは逆算しておきましょう。特例の詳細は空き家の3,000万円特別控除をご覧ください。

なお、売却時の譲渡所得の計算で差し引ける「譲渡費用」について、国税庁は仲介手数料や、土地を売るために建物を取り壊した費用などを例に挙げ、「売るために直接かかった費用」としています。一方、資産の維持・管理のための費用は譲渡費用にならないとされ(国税庁 No.3255)、家財の片付け費用は例示に含まれていません。個別の扱いは税理士にご確認ください。

片付け費用は誰が払う?兄弟の分担と相続財産からの支払い

実家の片付け費用を誰が負担するかは、法律で「この人」と決まっているわけではありません。民法は「相続財産に関する費用は、その財産の中から支弁する」(民法885条)と定めており、相続人が複数いる場合、遺産は分割されるまで相続人全員の共有です(民法898条)。実務では次の3つの分け方がよく使われます。

分担の方法 やり方 向いているケース 注意点
相続財産から払う 親の預貯金から支払い、遺産分割で精算 預貯金がある、兄弟の合意がある 相続放棄を検討中の人は、支払いの前に下記を確認
立て替えて遺産分割で精算 代表者が立て替え、領収書を残して分割時に差し引く 口座がすぐに動かせない 見積書・領収書・作業報告を全員に共有
実家を取得・売却する人が負担 実家を相続する人、または売却代金から支払う 売却予定で、代金から精算できる 売却が遅れたときの立替期間を決めておく

揉めないコツは、見積もりの段階から全員に金額と内容を共有し、「誰が・いくら・どの財布から」を先に決めることです。役割分担の進め方は実家の片付けを兄弟で分担する方法、支払い方の詳細は遺品整理費用は相続財産から出せる?で解説しています。

相続放棄を考えているなら、片付けの前に確認

親に借金があるなどの理由で相続放棄を検討している場合は、片付けに手をつける前に注意が必要です。民法921条は、相続人が相続財産の全部または一部を「処分」したときは単純承認(すべての財産と借金を引き継ぐことを認めたこと)をしたとみなすと定めています。ただし「保存行為」(財産の価値を保つための行為)は除かれています。

  • 価値のある家財を売る・捨てる、市場価値のある品(貴金属・着物・骨董など)を形見として持ち帰る、親の預金から業者代金を払う、といった行為は「処分」と判断されるおそれがあります。経済的価値がほとんどない写真や手紙を持ち帰る程度なら処分に当たらないと考えられることが多い一方、線引きは品物の価値や量によって個別に判断されます
  • 相続放棄は、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述します(民法915条)。費用は申述人1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です(裁判所「相続の放棄の申述」)
  • 放棄をしても、放棄の時に相続財産を現に占有している人は、次の相続人などに引き渡すまで、自分の財産と同じ注意をもって保存する義務があります(民法940条)

どこまでなら触ってよいかは状況で変わるため、判断に迷う場合は司法書士・弁護士に確認してから進めてください。詳しくは相続放棄するなら遺品整理はどこまでできる?で整理しています。

相続税の計算で差し引けるか

国税庁の説明では、相続税の計算で遺産総額から差し引けるのは、被相続人が死亡したときに現に存在した債務(借入金・未払金など)で確実と認められるものと、葬式費用です(国税庁 No.4126)。亡くなった後に発注する片付け費用はこの例示に含まれていないため、控除できる前提で計画を立てないほうが安全です。個別の扱いは税理士にご確認ください。

片付け費用を抑える6つの方法

  1. 買取できる品を先に分ける:貴金属・着物・骨董・カメラ・新しめの家電は、処分費がかからないうえに作業費と相殺できます。買取を兼ねる業者に頼むか、事前に専門店の査定を受けます
  2. 自治体の粗大ごみ・持込を一部だけ使う:帰省のたびに小型家具や衣類を少しずつ出すと、業者に頼む物量(トラック台数)を減らせます
  3. 残す物・探す物を先に決める:作業当日の判断待ちが減ると、作業時間と人員が抑えられます
  4. 同じ条件で2〜3社を比較する:物量・作業範囲・追加条件をそろえて比べないと、安く見える見積もりが実は範囲が狭いだけ、ということが起きます
  5. 日程に余裕を持たせる:退去期限や売却の引き渡し期限が迫ると、選べる業者が減りがちです
  6. 売却予定なら残置物ごとの買取も査定する:片付け費用そのものをゼロにできる選択肢です

費用の工面が難しい場合の方法は遺品整理のお金がないときの7つの方法にまとめています。

業者に頼む範囲の決め方|判定フロー

「全部自分で」か「全部業者に」かの二択ではなく、範囲を切り分けると費用と負担のバランスが取りやすくなります。次の質問に順に答えてください。

  1. 実家が片道2時間以内で、月に2回以上通えますか?
    いいえ → 搬出・処分は業者に。仕分けも写真報告で任せる方向で検討(遠方の進め方は実家の片付けが遠方で進まない人へ)
    はい → 2へ
  2. 通路がふさがるほどの物量、腐敗物、害虫・悪臭はありますか?
    はい → 最初から専門業者に見積もりを依頼(特殊清掃を含む)
    いいえ → 3へ
  3. 2階からの大型家具の搬出、家電4品目が多数ありますか?
    はい → 仕分けは自分、大型家具・家電の搬出と処分だけ業者に
    いいえ → 4へ
  4. 売却・退去などの期限が3か月以内にありますか?
    はい → 業者に一括で依頼。売却予定なら残置物ごとの買取も同時に査定
    いいえ → 自分で進め、残った分だけ業者へ(自治体の粗大ごみ・持込を活用)

仏壇がある場合は、処分の前に閉眼供養(魂抜き)をどうするかを家族で決めておくと当日の判断がスムーズです。手順は仏壇の処分方法5つをご覧ください。どこから手をつけるか迷う段階なら実家の片付けは何から始める?が入口になります。

当事務局では、写真を送っていただければ概算をお返ししています。片付けから仏壇供養、家の処分の段取りまで窓口をひとつにしたい方は実家じまい代行パックの内容をご確認ください。

よくある質問

実家の片付けを業者に頼むといくらかかりますか?
公表されている相場では、1R・1Kで3万〜8万円、2LDKで12万〜30万円、3LDKで17万〜50万円、4LDK以上で22万〜60万円です。総務省が2020年に集計した実際の見積書75例では、10万〜40万円の価格帯が多くなっていました。同じ間取りでも物量と搬出条件で金額が大きく変わるため、訪問見積もりで確定させてから契約するのが基本です。
家まるごと片付けるといくらかかりますか?
戸建てをまるごと片付ける場合、公表相場では3LDKで17万〜50万円、4LDK以上で22万〜60万円が目安です。物置・庭・車庫の中身、2階からの大型家具の搬出、ゴミ屋敷状態や特殊清掃があると上限を超えることもあり、総務省の集計でも100万円超の見積もりが2例ありました。屋外も含めた作業範囲を見積書に明記してもらいましょう。
実家の片付けは誰がやる(費用を払う)のですか?
法律で負担者が1人に決まっているわけではありません。民法885条は相続財産に関する費用はその財産から支弁すると定めており、実務では親の預貯金から払って遺産分割で精算する、代表者が立て替えて精算する、実家を取得・売却する人が負担する、といった方法が使われます。見積もりの段階で兄弟全員に金額と内容を共有し、誰がどの財布から払うかを先に決めると揉めにくくなります。
亡くなった人の家の片付け費用は相続財産から払えますか?
相続人全員が合意していれば、親の預貯金から払い遺産分割で精算する方法が一般的です。ただし相続放棄を考えている人は注意が必要です。民法921条では相続財産を処分すると単純承認とみなされるため、親の預金から業者代金を払ったり、価値のある家財を売ったり持ち帰ったりする前に、司法書士や弁護士に確認してください。相続放棄の申述期限は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。
自分で片付けるといくら安くなりますか?
自分でやる場合は、自治体の粗大ごみ手数料や処理施設への持込手数料、車両や交通費が中心になります。例えば札幌市の清掃工場への自己搬入は10kgあたり210円なので、1トンなら21,000円です。ただし札幌市の大型ごみは1回10個まで、横浜市の自己搬入は1日20個までといった上限があり、持込は本人に限る自治体もあります。遠方から通う交通費と日数も含めて比べるのがおすすめです。
見積もりのあとに追加料金を請求されることはありますか?
あります。国民生活センターの注意喚起では、14万1,000円の見積もりで契約したのに、作業当日にトラックの往復ごとに4万円を求められ、最終的に32万円を請求された事例が紹介されています。防ぐには、押入れや物置の中まで見てもらったうえで、トラック台数や人数の基準と超過時の単価、キャンセル料を見積書・契約書に書いてもらうことが大切です。
片付け業者にはどんな許可が必要ですか?
家庭から出る廃棄物を処分料をもらって回収するには、市区町村の一般廃棄物処理業の許可か委託が必要です。環境省は、産業廃棄物処理業の許可や古物商の許可では家庭の廃棄物は回収できないと注意を呼びかけています。自社で許可を持たない片付け業者は、地元の許可業者に収集運搬を委託していることがあるため、処分品を誰がどの許可で運ぶのかを確認してください。買取をするなら古物商許可も必要です。
実家を売る予定なら、片付けてから売るべきですか?
売却価格が高めの家では、片付け費用を払って仲介で売るほうが手取りが大きくなりやすい傾向があります。一方、価格が低い家や売れるまで時間がかかりそうな家では、残置物ごと買い取ってもらうほうが有利になることもあります。仲介の想定価格から片付け費用・仲介手数料などの諸費用・売れるまでの維持費を引いた金額と、買取価格を比べて判断しましょう。
片付け費用は相続税や譲渡所得の計算で差し引けますか?
国税庁の説明では、相続税で差し引けるのは被相続人が亡くなった時点で存在した債務と葬式費用で、亡くなった後の片付け費用は例示に含まれていません。売却時の譲渡費用も、仲介手数料や売るための建物の取壊し費用など、売るために直接かかった費用とされ、家財の片付け費用は例示にありません。個別の扱いは税理士に確認してください。

まとめ

  • 業者に頼む実家の片付け費用の公表相場は、3LDKで17万〜50万円、4LDK以上で22万〜60万円。総務省が集めた実際の見積書では10万〜40万円が多い
  • 金額を決めるのは物量と搬出条件。買取できる品があれば費用を下げられる
  • 自分でやれば処分手数料中心で安いが、自治体の個数制限や本人持込のルールがあり、一軒家まるごとは時間がかかる
  • 見積もりでは、処分品を運ぶ一般廃棄物の許可業者と、追加料金の条件・単価を書面で確認する
  • 売却予定なら「片付け+仲介」と「残置物ごと買取」を手取りで比べる。空き家の3,000万円特例の期限も逆算する
  • 費用負担は兄弟で先に合意し、記録を共有する。相続放棄を考えているなら、片付けの前に単純承認のリスクを確認する

料金の全体は料金表で公開しています。売却を前提に検討している方は、実家売却の相談から片付けと売却をまとめてご相談いただけます。

税金についてのご注意
本記事の税金に関する記述は、2026年9月29日時点の国税庁の公表資料と法令にもとづく一般的な説明です。特例が使えるかどうかや個別の税額は、所得や相続の状況によって変わります。個別の税額は税理士にご確認ください(所轄の税務署でも相談できます)。

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

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