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実家の片付けが遠方で進まない人へ|帰省できないときの進め方と年末までにやることチェックリスト

最終更新日:2026年9月29日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

「今年こそ実家を片付けたい」と思いながら、遠方に住んでいるために帰省のたびに先送りしてしまう――そんな相談が、年末が近づくと増えます。年に1〜2回しか帰れない、有給を何日もまとめて取れない、そもそも実家にどれくらいの荷物が残っているか把握できていない。理由は家庭ごとに違っても、抱えている悩みの構造はよく似ています。この記事では、遠方で帰省できない状況を前提に、限られた帰省日数を無駄にしない進め方と、帰省しなくても片付けを進める具体的な選択肢を、実務チェックリストとスケジュール表つきで解説します。

この記事の結論

  • 遠方で帰省できない場合は、「帰省前の電話・LINEでの仕分けルール共有」と「訪問1回あたりの目標を1つに絞る」の2つだけで進み方が大きく変わります。
  • 年に1〜2回しか帰れない、荷物が軽トラック1台分を超える、親の同意が取りづらい――このいずれかに当てはまれば、立ち会い不要で依頼できる片付け業者の利用が現実的です。
  • 実家が空き家のまま放置されると、「特定空家」に指定され固定資産税の住宅用地特例が外れて負担が増えるリスクがあります。年末年始の帰省は着手の好機です。
  • 相続放棄を考えている場合、形見以外の家財を処分すると法定単純承認とみなされることがあるため、着手前に司法書士へ相談してください。
目次

「遠方」「帰省できない」とはどんな状況を指すか

ひとくちに「遠方」といっても、新幹線で2〜3時間の距離から、飛行機を使わないと帰れない距離まで幅があります。ここでは、次のいずれかに当てはまる状態を「遠方で帰省できない」状況として想定しています。

  • 実家までの移動に半日以上かかり、日帰りでの作業がほぼ不可能
  • 仕事や育児・介護などの事情で、まとまった休みが年に数回しか取れない
  • 交通費・宿泊費の負担が大きく、頻繁に往復することが現実的でない

距離そのものよりも、「実質的に何度も足を運べるかどうか」が、進め方を選ぶうえでの本質的な判断基準になります。近距離でも忙しくて帰れない場合は、この記事で紹介する考え方がそのまま当てはまります。

実家の片付けが遠方だと進まない3つの理由

「実家を片付けなければ」とわかっていても、遠方に住んでいると具体的な作業に着手できないまま時間が過ぎていく家庭は少なくありません。主な理由は次の3つです。

  • 帰省の回数が限られる――年に1〜2回、正月やお盆にまとめて帰省する家庭が多く、1回の滞在時間も2〜3日程度と短いため、片付けに割ける時間自体が少ない。
  • 交通費・宿泊費が積み重なる――遠方の場合、1回の帰省で交通費・宿泊費が数万円単位になることも珍しくなく、頻繁に通うこと自体が金銭的な負担になる。
  • 親と判断をすり合わせる時間が足りない――「これは捨てていい」「これは残したい」という仕分けの判断は、対面でないと進みにくく、短い帰省では話し合いだけで時間切れになりやすい。仕分けの方針が決まらないまま滞在期間が終わってしまうと、次に帰省するまでの数ヶ月〜半年、家がそのまま放置されることになります。

この3つは裏を返せば、「事前準備」「1回あたりの目標設定」「対面に頼らない仕分けの仕組み」を整えることで解消できる課題でもあります。特に多いのが、「せっかく帰省したのに、話し合いだけで1日が終わってしまった」というケースです。仕分けの判断基準を電話やLINEで先に共有しておくだけで、実際に手を動かせる時間が大きく増えます。次の章で具体的な進め方を整理します。

遠方でも片付けを進める5つの方法【比較表】

遠方から実家の片付けを進める方法は、大きく分けて5つあります。自分の状況に近いものを確認してください。

方法 費用目安 自分の労力 向いているケース
帰省のたびに自分で片付ける 交通費・宿泊費のみ 大 荷物が少ない/帰省回数を確保できる
親に電話・LINEで仕分けを依頼し、自分は搬出のみ担当 交通費・宿泊費のみ 中 親が元気で自力で仕分けできる
近隣に住む親族・きょうだいに一次仕分けを依頼 基本無料(謝礼など任意) 小〜中 近隣に頼れる親族がいる
部分的に片付け業者に依頼(大物・不用品のみ) 数万円〜 小 大物家具・家電だけを処分したい
立ち会いなしで片付け業者に一括依頼 作業内容・量による ごく小 帰省が年1〜2回以下/荷物が多い/親の同意が得られている

安心実家じまいでは、鍵をお預かりして立ち会いなしで作業を進め、仕分け途中の写真をご報告する対応が可能です。「何度も帰れない」「有給が取れない」という方からのご相談が特に多い方法です。

実際には、5つの方法を単独で選ぶのではなく、組み合わせて使う家庭が多く見られます。たとえば「親に電話で日用品の仕分けだけ進めてもらい、大型家具・家電の搬出だけ業者に依頼する」といった形です。すべてを一度に片付けようとせず、自分たちの労力で対応できる範囲と、業者に任せる範囲を切り分けることが、遠方からの片付けを無理なく進めるコツです。

遠方の片付けにかかる費用の目安

費用は家財の量・建物の広さ・自治体の処分ルールによって大きく変わるため、正確な金額は見積もりを取らないとわかりません。ただし、選ぶ方法によってコストの構造が変わる点は事前に把握しておくと判断しやすくなります。

方法 主な費用構成 金額の傾向
自分で帰省して片付ける 交通費・宿泊費・レンタカー代・自治体の粗大ごみ処理手数料 帰省回数が増えるほど交通費が積み上がる
部分的に業者へ依頼(大物のみ) 大型家具・家電の回収費用(要見積もり) 点数・階数(エレベーターの有無)で変動
片付け業者へ一括依頼 仕分け・搬出・処分・清掃をまとめた作業費(要見積もり) 家財の総量(間取り・部屋数)に応じて変動

自治体の粗大ごみ収集は、品目ごとに手数料が公式に定められていることが多く、比較的安価に処分できる一方、申込から収集まで日数がかかる、自分で指定場所まで運び出す必要があるといった制約があります。遠方からは立ち会いが難しいため、自治体ルールでの処分は「帰省中に自分たちで動ける分だけ」「量が少ない場合」に向いています。荷物量が多い実家では、自治体ルールと業者依頼を組み合わせ、日用品は自治体の制度で、大型家具・家電は業者にまとめて依頼するといった使い分けも有効です。

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年末までにやることスケジュール表【逆算チェック】

年末年始の帰省は、まとまった日数を確保できる数少ない機会です。当日を迎えてから慌てないよう、逆算のスケジュール表を用意しました。印刷してお使いください。

時期 やること ポイント
帰省の1〜2ヶ月前 親と電話・LINEで「何を残すか」の方針をすり合わせる 貴重品・思い出の品・処分してよい物の3分類を事前に共有
帰省の2〜3週間前 今回の帰省でやる範囲を1部屋・1エリアに絞って決める 「今回は全部」ではなく「今回は台所だけ」と区切ると達成感を得やすい
帰省の1週間前 大物処分が必要か見極め、必要なら片付け業者に見積もりを依頼 年末年始は業者の予約が埋まりやすいため早めの相談が安全
帰省当日〜滞在中 貴重品・権利書・通帳など重要書類の所在を確認 相続発生後に慌てて探すケースが多いため、場所だけでも把握しておく
帰省最終日 次回までの「保留ボックス」を確定し、次に何をするか決めて帰る 次回の目標を紙に書いて実家に残しておくと再開がスムーズ
年明け〜次の帰省まで 処分方針が固まった物があれば、遠隔でも業者手配を進める 立ち会い不要の業者なら次の帰省を待たずに進められる

このスケジュール表の狙いは、「帰省中にすべてを終わらせる」という発想から抜け出すことにあります。帰省前後の期間も含めて片付けの工程として捉え直すことで、実際に手を動かせる帰省日数を、判断や準備ではなく作業そのものに使えるようになります。

遠方でも片付けを効率化する6つの工夫

帰省の回数を増やせなくても、進め方を工夫することで片付けのスピードは大きく変わります。実際に多くの家庭が取り入れている工夫を6つ紹介します。

1. 帰省前に「今回やること」を1つだけ決める

「台所の食器棚だけ」「寝室のクローゼットだけ」というように、対象を1つに絞って帰省すると、限られた滞在時間でも完了できる範囲で成果を出せます。「全部やろう」とすると、結局どこも中途半端なまま次回に持ち越すことになりがちです。

2. 親と電話・LINEで仕分けルールを事前共有する

「1年以上使っていない物は処分候補」「思い出の品は写真に残してから判断」など、あらかじめ基準を決めて共有しておくと、対面での話し合いにかかる時間を大幅に短縮できます。

3. 判断に迷う物は「保留ボックス」へ

その場で結論を出せない物は、無理に判断せず専用の箱にまとめておきます。保留ボックスの中身は次回の帰省時、または電話で改めて相談すればよく、判断疲れによる作業停滞を防げます。

4. 大物の処分は業者に任せて時間を節約する

タンス・ベッド・大型家電などの搬出は、自分たちで行うと体力的にも時間的にも負担が大きくなります。大物だけを業者に任せ、自分たちは仕分けに集中するという分業も有効です。

5. 1回の帰省で「1部屋完了」を目標にする

部屋単位で完了させていくと、進捗が目に見えてわかり、次に帰省したときも迷わず取り掛かれます。逆に部屋をまたいで少しずつ手をつけると、どこまで終わったか把握しにくくなります。

6. 写真報告で進捗を家族と共有する

片付け中の様子を写真に撮り、きょうだいや親族にLINEなどで共有しておくと、「勝手に処分した」という誤解を防げるだけでなく、遠方にいる家族も進捗を実感でき、次に何をすべきかの相談もしやすくなります。

自分でやる?業者に頼む?判断基準はこの3つ

「まだ自分たちでやれるはず」と抱え込んでしまう家庭は多いですが、次のいずれかに当てはまる場合は、業者の利用を検討したほうが結果的に時間・費用ともに抑えられるケースが目立ちます。

  • 帰省できる回数が年2回以下――自力での片付けは、1回あたりの作業量が限られるため、完了まで数年単位になりがちです。
  • 荷物の量が軽トラック1台分を超える――家財が多い実家では、搬出だけでも複数人・複数日の作業になり、個人での対応が現実的でなくなります。
  • 親の同意・立ち会いが難しい――施設入居中や体調面の理由で親の立ち会いが難しい場合、子ども側だけで判断・作業を進められる業者の仕組みが役立ちます。

逆に、荷物が少なく帰省の機会も確保できるなら、自力での片付けでも十分に完了できます。無理に業者に頼む必要はありません。判断に迷う場合は、まず見積もりだけ取ってみて、自力で進めた場合の交通費・時間コストと比較してから決める家庭も多く見られます。見積もりの依頼自体は無料で対応する業者が一般的なので、「頼むかどうか」を決める前の情報収集として利用するのも一つの方法です。

着手を先延ばしにするとどうなるか

「時間ができたら」「もう少し落ち着いたら」と先延ばしにしているうちに、実家が空き家のまま数年経ってしまう家庭は珍しくありません。着手が遅れることで生じやすいリスクを整理しました。

先延ばしの期間 起こりやすいこと
半年〜1年 家の劣化が進み始める(湿気・カビ・害虫の発生など)
1〜2年 自治体から空き家の適正管理を求める通知が届くことがある
それ以上放置 「特定空家等」に指定され、固定資産税の住宅用地特例が解除されるおそれがある(国土交通省・空家等対策の推進に関する特別措置法)

すべての空き家がすぐに特定空家に指定されるわけではありませんが、管理が行き届かない状態が続くほどリスクは高まります。「片付けだけでも先に進めておく」ことが、将来の選択肢(売却・活用・解体など)を狭めないための備えになります。

遠方から片付け業者に依頼するときの注意点

遠方から依頼する場合、対面での確認ができない分、契約前に確認すべき点が増えます。特に次の3点は必ずチェックしてください。

  • 一般廃棄物処理業の許可を持っているか――家庭から出る不用品の収集運搬は、廃棄物処理法上、市区町村の許可を受けた一般廃棄物処理業者(または許可業者の委託先)が扱うことが原則です。無許可の回収業者によるトラブルも報告されているため、業者の許可状況は見積もり時に確認しましょう(出典:環境省「廃棄物処理法の概要」)。
  • 立ち会いなしでの対応実績があるか――鍵の受け渡し方法、作業中・作業後の写真報告の有無を事前に確認します。
  • 貴重品・重要書類の取り扱いルールが明確か――現金や通帳、権利証などが見つかった場合の報告・保管ルールが契約書や見積書に明記されているかを確認してください。
  • 見積もりの内訳が明確か――「作業費」「処分費」「運搬費」がひとまとめに記載されていると、当日追加費用が発生した際に何が加算されたのか判断しづらくなります。内訳が分かれている見積書のほうが、後から金額に納得しやすい傾向があります。

複数の業者から見積もりを取り、対応の丁寧さや説明のわかりやすさも含めて比較することをおすすめします。特に遠方からの依頼では、電話やメールでのやり取りの質が、そのまま作業当日の安心感につながります。

また、実家を空き家のまま長期間放置すると、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき自治体から「特定空家等」に指定される可能性があります。指定されると、固定資産税の住宅用地特例(更地に比べて税額が軽減される仕組み)が解除され、税負担が増えるおそれがあります(出典:国土交通省・空家等対策の推進に関する特別措置法)。年末年始の帰省を「片付けに着手する機会」として活用する価値は、この点からも大きいといえます。片付けが完了していなくても、定期的に人の出入りがある状態を保つこと自体が、管理不全とみなされるリスクを下げる一助になります。

自治体ごとに異なる粗大ごみ・不用品回収のルール

粗大ごみや不用品の処分ルールは自治体ごとに異なり、遠方に住んでいると実家がある自治体のルールを把握していないケースが少なくありません。着手前に、次の点を実家のある自治体のウェブサイトで確認しておくと、帰省当日の手戻りを防げます。

  • 申込方法――電話予約制か、インターネット申込に対応しているか。遠方からでも事前に予約できるかがポイントです。
  • 収集までの日数――申込から収集日まで1〜2週間程度かかる自治体もあり、帰省日程に合わせて逆算した申込が必要です。
  • 搬出場所――自宅前までの搬出が必要か、収集所や処理施設への持ち込みが必要かで、必要な労力が変わります。
  • 品目ごとの手数料――自治体の公式サイトで品目別の料金表が公開されていることが一般的です。処分予定の家財がある場合は、事前に対象品目と料金を確認しておきましょう。

自治体の制度は変更されることがあるため、実際に申し込む前に、実家がある市区町村の公式サイトで最新の情報を確認することをおすすめします。

実務チェックリスト【印刷して使える】

帰省前・帰省中・帰省後に分けて、確認すべき項目をチェックリストにまとめました。印刷して実家への持参、または冷蔵庫などに貼って使ってください。すべての項目を1回で終わらせる必要はありません。次回の帰省時にどこまで進んでいるかを確認する目安として、繰り返し活用してください。

タイミング チェック項目
帰省前 □ 親と「残す・迷う・処分」の3分類を電話・LINEで共有した
□ 今回の帰省でやる範囲を1つに決めた
□ 大物処分が必要な場合、業者の見積もりを取った
帰省中 □ 通帳・権利証・保険証券など重要書類の場所を確認した
□ 形見分け候補の品を先に分けて保管した
□ 「保留ボックス」に迷った物をまとめた
□ 次回帰省時にやることを紙に書いて残した
帰省後(遠隔) □ 処分方針が固まった家財の業者手配を進めた
□ 自治体の粗大ごみ・不用品回収ルールを確認した
□ 空き家として放置する期間の管理方法(防犯・通気)を決めた

ケース別シミュレーション

ケース1:年1回、正月しか帰れない

片付けの完了まで数年かかることを前提に、正月の帰省では「重要書類の場所確認」と「仕分けルールの共有」に絞るのが現実的です。大物の搬出や不用品回収は、立ち会いなしで対応できる業者に依頼し、年末年始以外の時期に遠隔で進めることで、限られた帰省日数を消耗せずに済みます。「正月は方針を決める場」「実際の作業は業者と年間を通じて進める」と役割を分けて考えると、1回の帰省に対する焦りが軽減されます。

ケース2:親が高齢で同意を得るのが難しい

親自身に片付けの必要性を伝えづらい場合、いきなり「捨てる」話をせず、「安全のために動線だけ整理したい」といった生活面の提案から入る家庭が多く見られます。判断が難しい品は無理に処分せず、保留のまま次回に持ち越す選択も現実的です。転倒防止や避難経路の確保など、防災・安全面から片付けの必要性を伝えると、親自身も納得しやすくなる傾向があります。

ケース3:実家が空き家になって数年経っている

すでに空き家となっている場合は、固定資産税の負担や特定空家指定のリスクを踏まえ、片付けと合わせて今後の活用・売却・解体の方針を早めに検討する家庭が多い傾向にあります。片付けだけを先行させると、家財の量によっては方針決定後に二度手間になることもあるため、大まかな方向性を決めてから着手すると効率的です。

ケース4:きょうだいで負担を分担したい

きょうだいが複数いる場合、「片付けの計画・業者手配は近隣に住む兄弟が担当し、費用は遠方のきょうだいも分担する」といった役割分担が現実的です。作業当日に立ち会えなくても、写真報告があれば遠方からでも進捗を共有でき、費用や判断の負担を偏らせずに進められます。分担方法は、着手前に一度きょうだい間で言葉にして合意しておくと、後々のトラブルを防ぎやすくなります。

よくあるトラブルとその防ぎ方

  • 「勝手に処分した」と親族間でトラブルになる――処分前に写真を撮り、きょうだい・親族に共有しておくと防ぎやすくなります。
  • 相続放棄を考えていたのに処分してしまった――相続財産の一部でも処分・売却すると、民法上の法定単純承認とみなされ、後から相続放棄ができなくなることがあります(民法第921条)。相続放棄を検討している場合は、着手前に司法書士や弁護士へ相談してください。
  • 次に帰省したとき、前回どこまで進めたか分からなくなる――「保留ボックス」の中身と、次回やることを紙に書いて実家に残しておくと、次回の帰省がスムーズに始められます。
  • 見積もりが想定より高くなり、依頼を迷ってしまう――遠方からの依頼では、現地を見ずに写真や電話だけで見積もりを取ることが多く、実際の作業量とのズレが生じることがあります。複数社から見積もりを取り、内訳(作業費・処分費・運搬費など)を比較すると、納得感を持って依頼先を選びやすくなります。
  • 思い出の品まで一緒に処分してしまい、後悔する――「時間がないから全部まとめて処分」としてしまうと、後から取り戻せません。先に貴重品・思い出の品だけを分けておく工程を挟むことで、この後悔を防げます。
  • 片付けを進めたら、近隣住民から苦情が来た――搬出作業中のトラックの駐車や物音は、近隣とのトラブルにつながることがあります。作業日程が決まったら、可能であれば近隣へ一声かけておく、業者にも近隣配慮のある対応を依頼しておくと安心です。

遠方からの依頼で片付けと遺品整理をまとめて進める方法

「片付け」と「遺品整理」は、進め方が似ている場面が多いため、まとめて依頼できると帰省の回数自体を減らせます。安心実家じまいでは、仕分け・搬出・ご供養・買取までを一括で承っており、貴重品や思い出の品を先に分けてから、それ以外の家財を処分する流れで進めます。遠方にお住まいで立ち会いが難しい場合も、鍵をお預かりして指定日に作業を完了させ、写真でご報告する対応が可能です。

特に「親がまだ存命で生前整理として進めたい」「相続が発生していて遺品整理として進めたい」のどちらのケースでも、仕分けの考え方自体は大きく変わりません。「誰が」「いつまでに」「何を基準に」進めるかを決めてから着手する点は共通しています。状況に応じて、生前整理と遺品整理のどちらの視点で進めるべきか迷う場合も、早めにご相談いただくことで、二度手間のない進め方をご提案できます。遠方在住で状況の説明が難しい場合も、電話やLINEでのヒアリングだけで概算のお見積もりまで進められますので、まずは現状をお聞かせください。

片付けが終わった後に考えておきたいこと

家財の片付けが一段落したら、実家そのものを今後どうするかという方針の検討が次の課題になります。主な選択肢は、売却、賃貸としての活用、解体して更地にする、相続土地国庫帰属制度の利用などです。それぞれ費用・税金・手続きの流れが異なるため、片付けと並行して情報収集を始めておくと、方針が固まったときにスムーズに動けます。特に、相続が発生する前後で税制上の扱いが変わる場合があるため、売却などを検討している場合は早めに司法書士や税理士へ相談することをおすすめします。

よくある質問

実家の片付けを遠方から進める場合、まず何から始めればいいですか?
まずは親と電話・LINEで「残す・迷う・処分」の3分類を共有することから始めるのがおすすめです。対面での作業を待たずに、方針だけでも先に固めておくと、限られた帰省日数を仕分けの判断ではなく実際の作業に使えるようになります。
帰省できないまま片付けを業者に任せることはできますか?
可能です。立ち会いなしでの対応に実績がある業者であれば、鍵を預ける形で作業日を指定し、作業中・作業後の様子を写真で報告してもらうことができます。契約前に、立ち会いなしの対応実績と貴重品の取り扱いルールを確認することをおすすめします。
実家を空き家のまま放置するとどんなリスクがありますか?
「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、自治体から「特定空家等」に指定される可能性があります。指定されると、固定資産税の住宅用地特例が解除され、税負担が増えるおそれがあります。片付けと合わせて、今後の管理方針を早めに検討することをおすすめします。
相続放棄を考えている場合、実家の片付けをしても大丈夫ですか?
注意が必要です。相続財産の一部でも処分や売却をすると、法定単純承認とみなされ、後から相続放棄ができなくなることがあります。相続放棄を検討している段階では、家財を含めて何も処分せず、着手前に司法書士や弁護士へ相談することをおすすめします。
年末年始の帰省で片付けをするときの注意点はありますか?
年末年始は自治体の粗大ごみ収集や不用品回収業者の予約が埋まりやすい時期です。帰省が決まった段階で、収集日や業者の空き状況を早めに確認しておくと、滞在中に作業が進まないという事態を避けられます。また、短い滞在日数の中では「今回やる範囲」を1つに絞り、欲張らないことも大切です。
きょうだいで実家の片付けを分担する場合、何を先に決めておくべきですか?
「誰が現地の作業・業者手配を担当するか」「費用をどう分担するか」「貴重品や思い出の品をどう分けるか」の3点を、着手前に言葉にして合意しておくことをおすすめします。作業が始まってから認識のずれが表面化すると、感情的な対立に発展しやすいため、事前のすり合わせがトラブル防止の鍵になります。
片付けと遺品整理は何が違いますか?
「片付け」は主に生活空間を整理・整頓する作業を指し、親が存命であるかどうかを問わず使われる言葉です。一方「遺品整理」は、故人が亡くなった後に遺品を仕分け・処分する作業を指します。作業の進め方自体は似ている部分が多く、貴重品や思い出の品を先に分け、それ以外の家財を処分するという流れは共通しています。ご相談の際は、現在の状況(親が存命かどうか)をお伝えいただければ、状況に合わせた進め方をご案内します。

まとめ

  • 遠方で帰省できない場合は、事前の方針共有と1回あたりの目標設定で進み方が大きく変わります。
  • 帰省回数が年2回以下、荷物が多い、親の同意が得づらい場合は、立ち会い不要の業者利用が現実的な選択肢です。
  • 空き家を放置すると特定空家指定や固定資産税負担のリスクがあるため、年末年始の帰省は着手の好機です。
  • 相続放棄を検討している場合は、家財の処分前に必ず司法書士へ相談してください。
  • すべてを一度に終わらせようとせず、「今回やること」を1つに絞る姿勢が、遠方からの片付けを継続させる最大のコツです。

実家の片付けは、一度に完璧に終わらせるものではなく、帰省のたびに少しずつ、あるいは業者の力を借りながら進めていくものです。「今できる範囲で、着実に進める」という考え方に切り替えるだけで、気持ちの負担も軽くなります。まずは次の帰省で、どこか1箇所からで構いません。動き始めてみてください。

読むより、聞いたほうが
早いこともあります

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

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