MENU

検査済証がない実家の売却|建築確認との違いと売却への影響・対処法【2026年版】

最終更新日:2026年10月15日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 検査済証がなくても実家の売却自体は可能です。ただし違法建築物の可能性を疑われ、住宅ローンが使われにくくなる・価格交渉で下げられやすくなるという2つの実害があります。
  • 検査済証を失くしただけ(紛失)であれば、役所で「台帳記載事項証明書」(1通300円程度)を取得すれば、多くの金融機関で検査済証の代わりとして扱ってもらえます。そもそも完了検査を受けていない(未取得)場合は、この証明書も発行されず対応がより難しくなります。
  • 判断の軸はシンプルです。「台帳を確認し、必要なら建築基準法適合調査(10万〜30万円程度、資料不足だと100万円超のケースも)をかけて仲介で高く売る」か、「現況のまま契約不適合責任ごと引き受けてもらえる空き家買取に出す」か、調査費用と時間を差し引いた手取り額で比べてください。
  • 相続した実家は相続登記が済んでいないと売却できません(2024年4月義務化)。検査済証の調査と並行して、登記名義も早めに確認しておきましょう。
目次

検査済証とは?建築確認(確認済証)との違い

検査済証と確認済証は、名前が似ているため混同されがちですが、発行されるタイミングも役割も異なります。確認済証は「これから建てる建物の設計が建築基準法に適合しているか」を着工前に確認し、特定行政庁または指定確認検査機関が交付する書類です。一方の検査済証は、建物が完成したあとに実際に現地で完了検査を受け、「設計図どおりに、建築基準法に適合する形で建てられたこと」を確認して初めて交付される書類です(建築基準法第7条)。つまり、確認済証があっても検査済証がない場合、「設計上は適法だったはずだが、完成した建物が本当に設計図どおりに建てられたかは証明されていない」という状態になります。実家を相続した際、確認済証(または建築確認通知書)は残っているのに検査済証が見当たらないというケースは少なくありません。

検査済証は再発行できない

検査済証は、完了検査に合格した時点で一度だけ交付される書類で、紛失しても再発行は受けられません。「もう一度役所に申請すれば出してもらえる」という書類ではないため、紛失した場合は後述する台帳記載事項証明書など、代わりとなる書類を取得する流れになります。

実家に検査済証がない理由|古い家ほど多い

検査済証がないのは、実家の管理が悪かったからとは限りません。国土交通省の資料によれば、完了検査を受けて検査済証が交付された割合(完了検査率)は、平成10年度の時点で全国平均約4割にとどまっていました。平成10年の建築基準法改正で建築確認・検査業務が民間の指定確認検査機関にも開放されたことで検査率は改善し、平成28年には約9割まで上昇しています。逆に言えば、平成10年前後より古い木造住宅では、完了検査自体を受けていない(=そもそも検査済証が存在しない)物件が、交付を受けていても紛失した物件と同じくらい多く存在するということです。親や祖父母が建てた実家が昭和〜平成初期築であれば、検査済証がないのは珍しいことではないと、まず知っておいてください。

「紛失」と「未取得」は対応がまったく違う

検査済証がない場合の対応は、「完了検査を受けたが証書を紛失した」のか、「そもそも完了検査を受けていない」のかによって大きく分かれます。紛失であれば、役所の台帳に完了検査を受けた記録が残っているため、次に説明する台帳記載事項証明書で代替できます。未取得の場合は台帳そのものに記録がなく、証明書も発行されません。まずどちらに該当するかを、次の章の手順で確認することが最初のステップです。

検査済証がないと実家の売却でどうなるか

検査済証がないことによる実害は、大きく3つに整理できます。買取・仲介いずれの方法を選ぶ場合も、売却を具体的に進める前に押さえておいてください。

影響 内容
住宅ローンが使われにくい 買主が住宅ローンを申し込む際、金融機関は違反建築物の可能性を懸念し、担保価値を低く見るか、融資自体を見送ることがある
増改築・リフォームができない 購入後に増築・用途変更をしようとしても、既存建物の適法性を証明できず、建築確認申請自体が受け付けてもらえないことがある
価格交渉で下げられやすい 違法建築の可能性を理由に、相場より値引きを求められる、あるいは契約不適合責任の免責特約を強く求められる

特に大きいのが、住宅ローンへの影響です。新築時に検査済証がない建物は、建築当初から金融機関の住宅ローンを受けられなかったケースが多いとされています。中古として売却する場合も、買主が個人でローンを利用する前提であれば、融資の審査に時間がかかったり、希望額まで借りられなかったりするリスクが残ります。一方、買主が現金で購入する場合や、不動産会社が買取を行う場合は、住宅ローンの審査自体が発生しないため、この問題を実質的に回避できます。

必ずしも「売却できない」わけではない

ここまでの内容から「検査済証がない実家は売れない」と受け取ってしまいがちですが、それは誤解です。検査済証がない物件でも、現況のまま買取に応じる不動産会社は多く存在し、仲介でも、買主がリフォーム目的ではなく居住目的で、かつ現金購入や住宅ローンの事前審査を通過できる場合は、通常に近い条件で売買が成立します。問題になりやすいのは「買主が住宅ローンを必要とする仲介」と「購入後に増改築を予定している買主」のケースに限られる、という点を押さえておくと、過度に不安になる必要はありません。

ここまでで「うちの実家はどうすればいい?」と思ったら

検査済証の有無にかかわらず、片付け不要・現況のまま、複数の提携宅建業者から買取査定をお出しします。写真を送るだけで概算がわかります。

LINEで無料査定 実家まるごと診断(無料) 空き家買取を見る

検査済証がない場合の対処法|台帳記載事項証明書の取得

検査済証がないと分かった時点でまずすべきことは、役所への台帳確認です。手順は次のとおりです。

  • ①登記簿・固定資産税の課税明細で建築年・地番を確認する——台帳記載事項証明書の申請には、建築当時の地名地番や建築年がわかっている方がスムーズです。
  • ②実家がある自治体の建築指導課(建築確認を扱う部署)に連絡する——市役所・区役所、または都道府県の土木事務所が窓口になります。
  • ③「台帳記載事項証明書」の交付を申請する——建築基準法第12条第8項に基づき特定行政庁が保存している建築確認台帳の記載事項(確認番号・確認年月日・建築主名・敷地の位置・構造・階数など)を証明するもので、1通300円程度で取得できます。
  • ④台帳に記録がなければ「未取得」と判断する——記録自体が見つからない場合、完了検査を受けていない可能性が高く、証明書は発行されません。

台帳記載事項証明書が取得できれば、多くの金融機関で検査済証に準じる資料として扱ってもらえ、買主の住宅ローン審査が格段にスムーズになります。一方、台帳に記録がなく未取得と判明した場合は、指定確認検査機関による「建築基準法適合状況調査」(国土交通省が平成26年にガイドラインを公表した仕組み)を利用し、現況の建物が建築基準関係規定に適合していることを個別に調査・証明してもらう方法があります。調査費用は一般的に10万〜30万円程度ですが、設計図書や構造計算書など必要な資料が手元にない場合は、調査範囲が広がり100万円を超えることもあります。費用をかけて調査するかどうかは、調査費用を差し引いても仲介で売る方が買取より手取りが多くなるかどうかで判断するのが実務的です。

台帳記載事項証明書は検査済証の「代わり」であって「同じ」ではない

台帳記載事項証明書は、あくまで「確認申請を受け、台帳に記録が残っている」ことを証明する書類であり、「完了検査に合格した」こと自体を証明するものではありません。紛失の場合は完了検査合格の記録も台帳に残っているため実質的に検査済証の代替として機能しますが、金融機関や買主によっては、別途建築基準法適合状況調査を求められることもあります。売却を具体的に進める前に、仲介を依頼する不動産会社に「この証明書で融資は通りそうか」を確認しておくと、契約直前での足止めを避けられます。

売却の判断|買取・仲介・有料引き取りを検査済証の有無で比較する

検査済証がない実家を手放す方法は、大きく「仲介で売る」「買取(不動産会社が直接買う)」「有料での引き取りを依頼する」の3つに分けられます。検査済証の有無による影響の大きさが方法ごとに異なるため、片付けてから仲介で売るか、そのまま買取に出すかは、調査費用・値引き額・時間のすべてを含めた手取りで比較することが重要です。

仲介(個人が買主) 買取(宅建業者が買主) 有料引き取り
検査済証がない場合の影響 買主の住宅ローン審査に影響しやすく、台帳調査や建築基準法適合状況調査を求められることがある 業者が現況のまま査定し、買主側の融資審査が発生しないため影響が小さい 売買ではないため検査済証の有無自体が問われにくい
売却価格の目安 相場に近い(高め)だが交渉で下がりやすい 相場の5〜8割程度 マイナス(費用がかかる)
片付け・調査の負担 原則、売主が調査資料を揃え現況を整える必要がある 家財が残ったまま(現況)でも買取可能な業者が多い 家財の処分費用も込みで交渉することが多い
売却までの期間 調査や交渉が加わり数ヶ月〜1年以上かかることもある 数週間〜1ヶ月程度で現金化しやすい 引き取り先が見つかり次第
向いているケース 台帳記載事項証明書が取得でき、時間をかけられる場合 検査済証の調査・交渉の手間を避けたい、早く現金化したい場合 未取得で調査費用が高額になりすぎる、再建築不可の場合

表のとおり、仲介は「台帳調査や適合状況調査の手間をかければ高く売れる可能性がある一方、調査結果次第で価格交渉や契約不適合責任の免責範囲が重くなる」方法です。対して買取は「価格は下がるものの、検査済証の有無を理由にした値引き交渉や融資トラブルごと手放せる」方法にあたります。当事務局は宅地建物取引業者ではないため、当事務局自身が実家を買い取ることはできません。売却をご希望の場合は、提携している宅建業者が買取・仲介の実務を担当し、当事務局は窓口としてのご相談対応と、売却前の片付け・家財の搬出を担当する、という役割分担になります。実家の売却を仲介で検討する場合と、空き家買取で調査や交渉の手間ごと手放す場合の両方を、まずは概算の金額で比較してみることをおすすめします。

「調査してから仲介で売る」か「そのまま買取か」の判断軸

迷ったときに軸になるのは、「台帳記載事項証明書の取得費用(数百円)または建築基準法適合状況調査費用(10万〜30万円、資料不足時は100万円超)+時間をかけて仲介で売った場合の手取り」と、「現況のまま買取に出した場合の手取り」を、実際に見積もりを取って比べることです。台帳に記録が残っており紛失だけと分かれば、調査コストはごくわずかで仲介のハンデはほぼ解消します。逆に未取得で、設計図書も見つからず調査費用が高額になりそうな場合は、調査費用と時間をかけてもその分を売却価格に跳ね返せないことが多く、現況のまま買取に出す方が総合的な手取りで有利になりやすい傾向があります。

片付けは検査済証の調査にも関わってくる

検査済証の有無を調べる前段階として、建物の現況確認が欠かせません。床下や天井裏の状態、増築・改築した跡の有無などは、家財が残ったままだと目視で確認しづらく、建築基準法適合状況調査を依頼した場合も調査範囲が広がって費用がかさみやすくなります。逆に、事前に家財を片付けて建物の構造や増改築の跡を確認しやすくしておくことは、調査費用を抑えることにもつながります。押し入れの奥や物置の下など、増築部分の継ぎ目が隠れていることもあるため、片付けの過程そのものが簡易的な建物チェックの機会にもなります。片付けから相続の各種手続きまでを一括で進めたい場合は実家じまい代行、家財のうち遺品の仕分け・供養・処分を中心に依頼したい場合は遺品整理サービスをご利用いただけます。買取を選ぶ場合でも、家財を先に整理しておくと査定額が上がるケースがあるため、売却方針が決まる前の早い段階でご相談いただくと選択肢が広がります。

2025年4月の建築基準法改正|増改築への影響がさらに大きくなった

2025年4月1日に施行された建築基準法の改正により、確認申請を一部省略できる「4号特例」の対象が大きく縮小されました。従来「4号建築物」として審査が簡略化されていた木造2階建て住宅の多くが「新2号建築物」に区分され、増改築や大規模リフォームの際に、構造計算を含めた確認申請が新たに必要になっています(国土交通省・改正建築基準法関連資料)。この改正は新築だけでなく、既存住宅の増改築にも及ぶため、検査済証(または台帳記載事項証明書)がない実家を買主が購入後にリフォームしようとした場合、以前よりさらに確認申請のハードルが上がったことになります。結果として、「検査済証がない=将来のリフォームで困る可能性が高い」という懸念は、2025年4月以降、買主側にとって以前より重みを持つようになったと考えられます。実家の売却を検討しているなら、この点は早めに仲介会社や買取業者に伝え、影響の有無を確認しておくことをおすすめします。

実家の税金の特例|3,000万円控除と取得費(国税庁)

検査済証の問題と並行して、譲渡所得税の特例も確認しておくと、手取り額の比較がより正確になります。金額や要件は個々の状況によって変わるため、以下は国税庁タックスアンサーに基づく一般的な要件の紹介であり、実際の適用可否は税理士または税務署への確認をおすすめします。

被相続人の居住用財産(空き家)を売った場合の3,000万円特別控除

相続または遺贈で取得した実家とその敷地を売却する場合、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円(令和6年1月1日以後の譲渡で相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除できる特例です(国税庁タックスアンサー No.3306)。主な要件は次のとおりです。

主な要件 内容
建築時期 昭和56年5月31日以前に建築されたこと
耐震基準 譲渡時に耐震基準を満たしているか、譲渡の翌年2月15日までに耐震改修を行うこと(更地にして売る場合は建物を取り壊せば可)
売却期限 相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
売却価格 1億円以下であること
利用状況 相続時から譲渡時まで、事業用・貸付用・居住用として使われていないこと

この特例の対象になりやすい「昭和56年5月31日以前」に建築された実家は、まさに完了検査率が低かった時代の建物と重なります。検査済証がない実家ほど、この特例の対象でもあるケースが多いということは、覚えておいて損はありません。更地にして売却すれば耐震基準の要件を外しつつ、検査済証や建築基準法適合状況調査そのものが不要になる(建物がなくなるため)という副次的なメリットもあります。

取得費が分からない場合の考え方

相続した古い実家では、被相続人が取得した際の売買契約書が見つからず、取得費(購入時の価格)が分からないケースが多くあります。取得費が不明な場合、譲渡価額の5%を取得費とみなす「概算取得費」を使う方法がありますが、実際の取得費より低くなり、譲渡所得税の負担が重くなりやすい点に注意が必要です(国税庁タックスアンサー No.3302関連)。購入時の契約書・領収書・住宅ローンの契約書などが見つかる場合は、売却前に必ず保管場所を確認してください。

相続登記が済んでいるかも必ず確認する

相続した不動産の名義変更(相続登記)は、2024年4月1日から義務化されています。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます(法務局案内)。相続登記が済んでいない実家は、そもそも売買契約を締結できません。遺産分割協議がまとまらず3年以内の登記が難しい場合は、「相続人申告登記」という簡易な制度で義務を一旦果たす方法もあるため、司法書士に早めに相談してください。検査済証の調査と相続登記の確認は、どちらも売却の前提条件にあたるため、同じタイミングで並行して進めると手続きの手戻りを減らせます。

「管理不全空家」に指定されていないかも確認する

2023年12月13日に施行された改正空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)により、「特定空家」に至る前段階の「管理不全空家」という区分が新設されました(国土交通省)。管理不全空家に指定され、自治体から必要な措置を勧告されると、翌年1月1日を基準日として、住宅用地の固定資産税の軽減特例(1/6または1/3への減額)が解除され、更地と同水準の税額(最大で従来の6倍程度)になる可能性があります。検査済証がない古い実家は、管理が行き届きにくく指定対象にもなりやすいため、放置期間が長いほど税負担のリスクも重なる点に注意してください。総務省の令和5年住宅・土地統計調査によれば、全国の空き家数は900万2千戸(空き家率13.8%)と過去最多を記録しており、賃貸・売却用および二次的住宅を除く「その他の空き家」も385万6千戸にのぼります。検査済証の有無を確認せず放置される実家が、この数字の一部を占めているとも言えます。

検査済証がない実家の売却でよくある失敗パターン

事務局として売却のご相談を受ける中でよく耳にする、検査済証にまつわる失敗パターンと、その防ぎ方を紹介します。

  • 検査済証がないことを買主や仲介会社に伝えずに契約を進めてしまった——後から判明すると、違法建築を隠蔽したとみなされ、契約解除や損害賠償を求められる可能性があります。わかっている事実は必ず早い段階で開示してください。
  • 紛失か未取得かを確認せず、台帳記載事項証明書の申請だけ試して終わってしまった——未取得の場合は証明書が発行されず、「手続きができない=売れない」と誤解して放置してしまうケースがあります。未取得でも建築基準法適合状況調査という選択肢が残っています。
  • 増改築・リフォーム済みの実家で、増築部分の確認申請をしていなかった——検査済証があっても、後から行った増築や用途変更が未申請だと、増築部分だけ「違反建築物」として扱われることがあります。増改築歴も含めて洗い出しておく必要があります。
  • 調査費用をかけすぎて、売却価格との差が逆転してしまった——資料が少ないまま建築基準法適合状況調査を依頼し、100万円超の費用がかかったのに、売却価格への上乗せ効果がそれに見合わなかったというケースです。調査を依頼する前に、仲介会社に想定売却価格の目安を聞いておくことをおすすめします。

ケース別シミュレーション

ケースA:昭和50年代築、検査済証もなく台帳にも記録がない(未取得)

完了検査率が低かった時代の典型例です。台帳記載事項証明書は発行されないため、仲介で高く売ろうとすると建築基準法適合状況調査(10万〜30万円、資料が少ないとさらに高額)が必要になります。調査費用と時間を考えると、現況のまま買取に出し、調査や交渉の手間自体を回避する方が、トータルの手取りで有利になりやすいケースです。

ケースB:検査済証は紛失したが、台帳に記録が残っている(紛失)

台帳記載事項証明書(1通300円程度)を取得するだけで、多くの金融機関に検査済証に準じる資料として扱ってもらえます。費用も時間もほとんどかからないため、仲介で売却する場合のハンデはごく小さく、まずは証明書の取得を優先する価値があります。

ケースC:神奈川県内の実家で、増築部分だけ確認申請をしていなかった

増築部分のみ未申請の違反建築物として扱われる可能性があるケースです。増築部分を解体して原状に戻すか、現況のまま買取に出すかの二択になりやすく、増築の規模や目的によって対応が変わります。神奈川県の空き家買取のように、エリアの実情に詳しい提携業者へ早めに相談すると、現況のまま買い取ってもらえるかどうかの目安がつかみやすくなります。

ケースD:昭和56年5月31日以前築で、空き家特例(3,000万円控除)の対象になりそう

検査済証の有無を調べる前に、更地にして売却する選択肢も含めて検討する価値があるケースです。建物を解体すれば検査済証や建築基準法適合状況調査そのものが不要になり、耐震基準の要件も外れます。ただし解体費用がかかるため、解体費用・調査費用・想定売却価格を解体の有無で比較してから判断してください。

検査済証の有無を確認する実務チェックリスト

印刷してそのまま使えるチェックリストです。相続した実家の売却を検討し始めたら、順番に確認してください。

チェック項目 確認先・備考
□ 検査済証・確認済証の現物が自宅や実家に残っていないか 相続関連の書類と一緒に保管されていることが多い
□ 建築当時の地名地番・建築年を登記簿や固定資産税の課税明細で確認したか 法務局・市区町村の資産税課
□ 自治体の建築指導課に台帳の有無を確認したか 市役所・区役所・都道府県の土木事務所
□ 台帳記載事項証明書を取得したか(記録がある場合) 1通300円程度
□ 台帳に記録がない場合、建築基準法適合状況調査の見積もりを取ったか 指定確認検査機関。10万〜30万円が目安
□ 増築・改築した履歴がないか確認したか 増築部分だけ未申請ということもある
□ 相続登記が済んでいるか確認したか 2024年4月義務化・法務局
□ 管理不全空家・特定空家に指定されていないか確認したか 自治体の空き家対策担当窓口
□ 空き家特例(3,000万円控除)の要件に当てはまりそうか確認したか 国税庁タックスアンサー No.3306・税理士
□ 買取・仲介・有料引き取りの見積もりを複数社から取ったか 調査費用を含めた手取りで比較する

相談先の分担|どの専門家に何を聞けばよいか

相談先 聞くべきこと
自治体の建築指導課 台帳記載事項証明書の有無・取得方法
指定確認検査機関 建築基準法適合状況調査の見積もり・期間
司法書士 相続登記の進め方・相続人申告登記の要否
税理士・税務署 空き家特例(3,000万円控除)・取得費加算の特例の適用可否
提携の宅建業者(仲介・買取) 検査済証がない状態での売却価格の目安・融資への影響
安心実家じまい事務局 片付け・家財の整理、各専門家への橋渡し

よくある質問

検査済証がないと実家は絶対に売れませんか?
いいえ、売れないわけではありません。検査済証がなくても、現況のまま買取に応じる不動産会社は多く存在し、買主が現金購入の場合や住宅ローンの事前審査を通過できる場合は、仲介でも通常に近い条件で売買が成立します。影響が大きいのは「買主が住宅ローンを必要とする仲介」と「購入後に増改築を予定している買主」のケースに限られます。
検査済証を紛失した場合、再発行してもらえますか?
検査済証そのものの再発行はできません。代わりに、自治体の建築指導課で「台帳記載事項証明書」を取得することで、多くの金融機関に検査済証に準じる資料として扱ってもらえます。取得費用は1通300円程度です。
台帳に記録がない(未取得)場合はどうすればよいですか?
指定確認検査機関による「建築基準法適合状況調査」を利用し、現況の建物が建築基準関係規定に適合していることを個別に調査・証明してもらう方法があります。調査費用は一般的に10万〜30万円程度ですが、設計図書などの資料が少ない場合は100万円を超えることもあります。費用に見合うかどうかは、仲介での想定売却価格と買取価格を比較して判断してください。
検査済証がないと住宅ローンは絶対に使えませんか?
絶対に使えないわけではありませんが、審査が厳しくなる傾向があります。台帳記載事項証明書が取得できれば、多くの金融機関で検査済証に準じる扱いを受けられます。買主が現金で購入する場合や、不動産会社が買取を行う場合は、住宅ローンの審査自体が発生しないため、この問題を回避できます。
検査済証の調査と相続登記は、どちらを先に進めるべきですか?
どちらも売却の前提条件にあたるため、並行して進めることをおすすめします。相続登記が済んでいなければそもそも売買契約を締結できず、検査済証(または台帳記載事項証明書)の有無が分からなければ、仲介で売る場合の価格や融資の見通しが立ちません。司法書士への相続登記の相談と、自治体への台帳確認は、同じタイミングで着手すると手続きの手戻りを減らせます。

まとめ

検査済証がない実家は、違法建築物の可能性を疑われ、住宅ローンが使われにくくなる・価格交渉で下げられやすくなるという実害はありますが、それ自体で売却できなくなるわけではありません。まずは紛失なのか未取得なのかを自治体の台帳で確認し、紛失であれば台帳記載事項証明書(1通300円程度)を取得する、未取得であれば建築基準法適合状況調査(10万〜30万円程度、資料不足時は100万円超)の見積もりを取る、というのが最初のステップです。調査費用と時間をかけても仲介での売却価格が十分に上がるなら仲介を、調査や交渉の手間自体を避けたいなら現況のまま空き家買取に出すのが合理的です。相続登記や空き家特例の確認と合わせて、片付けから進めたい場合は実家じまい代行もご利用いただけます。まずは現状を整理するところから、お気軽にご相談ください。

読むより、聞いたほうが
早いこともあります

検査済証の有無にかかわらず、片付け不要・現況のまま、複数の提携宅建業者から買取査定をお出しします。ご相談・お見積もりは無料です。

LINEで無料相談 実家まるごと診断(無料) 空き家買取を見る フォームで相談

運営:実家じまい代行の相談窓口「安心実家じまい」(片付けから家の処分まで窓口ひとつ) 全体の流れは実家じまいとは?費用・手順・タイミング(完全ガイド)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次