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買取再販業者とは?空き家の仕組み・価格の決まり方を解説

最終更新日:2026年10月16日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 買取再販業者とは、空き家や実家を所有者から直接買い取り、リフォームや解体を行ったうえで自社のリスクで再販する事業者のことです。仲介のように「買い手を探す」のではなく、業者自身が買い手になる点が最大の違いです。
  • 買取価格は、再販想定価格からリフォーム・解体・販売コストと利益を差し引く「逆算方式」で決まるため、仲介想定額の5〜8割程度になるのが一般的です。
  • 判断の軸はシンプルです。片付けてから仲介で売るか、そのまま買取再販業者に出すか、手取り額で比べること。価格だけでなく、片付け費用・仲介手数料・保有中の固定資産税まで含めた「残るお金」で比較してください。金額感をつかみたい場合は、片付け不要のまま複数社の査定を比較できる空き家買取(片付け不要・複数社査定)から概算を取るのが近道です。
  • 当事務局は宅建業者ではないため、自ら物件を買い取ることはありません。提携している宅建業者が買取・仲介の実務を担当し、当事務局は窓口対応と片付けの手配を行う役割分担です。
目次

買取再販業者とは?仲介・買取専門業者との違い

買取再販業者とは、空き家や中古住宅を所有者から直接買い取り、リフォームや解体・造成などを行って価値を高めたうえで、新たな買い手に再販売する不動産会社のことです。「買取業者」という言葉には、買い取った物件をそのまま貸したり保有したりする業者も含まれますが、買取再販業者は「買って、手を入れて、売る」ところまでを事業モデルにしている点が特徴です。

これに対して仲介業者は、売主と買主の間に立って契約を成立させる役割に留まり、物件そのものを買い取ることはありません。収益源も、買取再販業者が「仕入れ価格と再販価格の差額」であるのに対し、仲介業者は「仲介手数料(成約価格の3%+6万円が上限、税別)」という違いがあります。この構造の違いが、価格・スピード・売主側の負担のすべてに影響します。

項目 買取再販業者 仲介業者
買主 業者自身 第三者(買主を探す)
収益源 仕入れ値と再販値の差額 仲介手数料
売却までの期間 最短1〜2週間 平均3〜6か月以上
価格の傾向 仲介想定額の5〜8割程度 市場価格に近い
契約不適合責任 免責の特約が一般的 個人間売買では責任が残りやすい
残置物・片付け そのままでも買取可能な場合が多い 内覧前に片付けが必要になりやすい

買取再販業者のビジネスモデル|仕入れから再販までの仕組み

買取再販業者の仕組みは、大きく4つの工程に分けられます。

  1. 仕入れ(買取):所有者から空き家・実家を直接買い取る。相続した家、空き家バンクに登録しても売れなかった家、相場より安い物件などが主な仕入れ対象。
  2. デューデリジェンス:境界確定の有無、再建築可否、権利関係、インフラ状況などを調査し、再販にかかるコストを見積もる。
  3. リフォーム・解体:建物の状態に応じて、内外装のリノベーション、または解体して土地として整地する。
  4. 再販:一般の買主(自己居住用・投資用)や、さらに別の不動産会社へ販売する。

この4工程すべてに時間とコストがかかるため、買取再販業者は「再販できる見込みの価格」から逆算して仕入れ価格(売主への提示額)を決めます。つまり買取価格が仲介想定額より低くなるのは、業者が儲けすぎているからではなく、再販までのリスクとコストを業者自身が引き受ける対価だということです。

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買取再販業者の査定価格はどう決まるか【計算式で解説】

買取再販業者の査定は、仲介の「取引事例比較法」とは逆算の発想で行われます。基本の考え方は次の式です。

項目 内容
買取提示額 = 再販予定価格 − リフォーム・解体費 − 販売経費 − 想定利益(一般に再販価格の20〜35%程度)

この結果、買取再販業者の提示額は、仲介で売れた場合の想定価格(仲介想定額)のおおむね5〜8割になるのが一般的な目安です。老朽化が進んでいて解体が前提になる物件や、再建築不可・接道義務を満たさないなど対応難易度が高い物件では、5割前後まで下がることもあります。逆に、立地が良く再販需要が見込める、またはリフォームコストが小さい物件では、7〜8割程度に近づきやすくなります。

価格に影響する主な要素は次のとおりです。

  • 土地の形状・接道状況(再建築のしやすさ)
  • 建物の老朽化度・修繕コスト(雨漏り・傾き・設備の劣化など)
  • 残置物の量(片付け費用を業者側で負担する場合は提示額に反映される)
  • エリアの再販需要(人口動態・最寄駅からの距離など)
  • 登記・境界・権利関係の整理状況

査定額に納得できない場合は、「どの費用をどれくらい見込んで、この金額になったか」を業者に説明してもらうことをおすすめします。説明が曖昧な業者は、他社との比較材料として慎重に扱ってください。

買取・仲介・有料引き取り|3択を手取りで比較する

空き家・実家を手放す方法は、大きく「買取再販業者への買取」「仲介」「有料引き取り」の3つに分けられます。価格の高さだけでなく、片付け費用・仲介手数料・保有期間中の固定資産税まで含めた「手取り額」と「かかる時間」で比べることが、後悔しない判断につながります。

方法 価格の傾向 期間 片付け 向いているケース
買取再販業者への買取 仲介想定額の5〜8割 最短1〜2週間〜1か月程度 残置物ありでも可の業者が多い 早く確実に現金化したい/老朽化が進んでいる/遠方で管理できない
仲介 市場価格に近い(最も高くなりやすい) 平均3〜6か月以上 内覧前の片付けが必要になりやすい 立地が良く需要が見込める/時間をかけてでも高く売りたい
有料引き取り 売却ではなく「引き取り料」を払って手放す(マイナス) 比較的短期 そのままで可の場合が多い 買取でも引き手がつかない/管理負担から早期に解放されたい

判断の目安として、実家の売却を検討する際は、まず仲介想定額と買取再販業者の提示額の両方を取り、そこから片付け費用・仲介手数料・保有中の固定資産税を差し引いた「実際に残る金額」で比較するのが現実的です。仲介で時間をかければ高く売れる可能性がある一方、売却までの固定資産税や管理コストが積み重なる点も忘れずに計算に入れてください。

買取再販業者に売るメリット・デメリット

メリット

  • 最短1〜2週間程度で現金化できる
  • 仲介手数料がかからない(業者が直接買主になるため)
  • 残置物があっても買い取ってもらえるケースが多い
  • 契約不適合責任を免責とする特約が一般的で、売却後のトラブルリスクが小さい
  • 内覧対応や近隣への配慮(空き家であることを知られる期間)が短くて済む

デメリット

  • 仲介想定額に比べて価格が低くなる(5〜8割程度が目安)
  • 再販価値が見込めない物件(接道義務を満たさない、再建築不可など)は、買取自体を断られる場合がある
  • 業者によって査定の根拠説明や対応に差があり、比較せずに1社だけで決めると損をしやすい

買取再販業者を選ぶときの注意点

買取再販業者を選ぶ際は、価格だけでなく次の点を確認してください。

  • 宅地建物取引業の免許番号を確認する(都道府県知事免許・国土交通大臣免許のいずれか)
  • 査定額の根拠(解体費・リフォーム費・想定利益の内訳)を説明してくれるか
  • 契約を急がせない、他社との比較を嫌がらないか
  • 残置物の扱い(そのままでよいか、何を事前に取り出す必要があるか)が明確か
  • 決済・引き渡しのスケジュールが具体的に示されているか

複数社から査定を取り、金額の根拠と対応の丁寧さを比較することが、結果的に最も手取りを大きくする近道です。

片付けは必要?片付けずに売れるケース

買取再販業者の多くは、残置物がある状態(現状有姿)での買取に対応しています。業者側でリフォーム・解体の工程に残置物の処分も組み込めるためです。ただし、仏壇・位牌・貴重品・思い出の品・個人情報が記載された書類などは、売却前に必ず取り出しておく必要があります。これらの選別や、量が多くて自分たちでは進められない場合は、実家じまい代行や遺品整理のサービスを使って、必要なものだけ先に取り出してから売却に進める方法もあります。「片付けてから仲介で高く売るか」「片付けを最小限にして買取に出すか」も、手取り額で比較する価値のある選択です。

売却前に確認すべき制度

空き家の3,000万円特別控除(国税庁)

相続または遺贈により取得した被相続人居住用家屋(空き家)やその敷地を、一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得から最高3,000万円(相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除できる特例があります。相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売る必要があるなど要件が細かいため、必ず国税庁の公式情報(タックスアンサー No.3306)で確認するか、税理士に相談してください。

取得費が分からないときの「概算取得費5%」(国税庁)

譲渡所得の計算には取得費(購入時の価格など)が必要ですが、古い相続不動産では購入時の契約書が残っていないことも少なくありません。その場合、譲渡価額の5%を取得費(概算取得費)として計算できる制度があります。取得費が分かるかどうかで税額が大きく変わるため、契約書・領収書が残っていないか、売却前に確認しておくことをおすすめします(国税庁タックスアンサー No.3261)。

相続登記の義務化(法務局)

2024年4月1日から相続登記が義務化されており、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請を行う必要があります。正当な理由なく期限内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得ます。制度開始前に相続した未登記の空き家も、2027年3月31日までに登記が必要です。相続登記が済んでいない空き家は、買取再販業者への売却でも仲介でも売買契約を結べないため、査定を依頼する前に名義を確認しておいてください。

管理不全空家・特定空家に指定されるリスク(国土交通省)

2023年12月13日施行の改正空家法により、従来の「特定空家」に加えて「管理不全空家」の区分が新設されました。適切に管理されず、放置すれば特定空家になるおそれがある空き家が対象です。指定後に市区町村の勧告に従わない場合、固定資産税の住宅用地特例が外れ、固定資産税が最大6倍、都市計画税が最大3倍になる可能性があります。

空き家は全国で900万戸超(総務省)

総務省の令和5年(2023年)住宅・土地統計調査によると、全国の空き家数は900万2千戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最多を記録しました。賃貸・売却用などを除いた「その他の空き家」も385万6千戸にのぼり、前回調査からさらに増加しています。空き家の数が増えるほど再販市場での競争も激しくなるため、「いつか売る」ではなく、早めに具体的な査定を取っておくことが有利に働きます。

ケース別シミュレーション

ケース1:築35年の木造戸建て(首都圏近郊・残置物あり)

仲介想定額が1,500万円の場合、買取再販業者の提示額は目安として750万〜1,200万円程度(仲介想定額の5〜8割)になります。片付け費用(数十万円程度)と仲介手数料(上限約55万円程度)、保有中の固定資産税を差し引いた手取りで比較すると、差が縮まることがあります。

ケース2:相続したマンション(駅近・管理状態良好)

需要が見込みやすい物件のため、買取再販業者の提示額も仲介想定額に対して比較的高め(7〜8割程度)になりやすい傾向があります。早期の現金化と、時間をかけた高値売却のどちらを優先するかで判断します。

ケース3:2年以上放置した空き家(残置物多数・老朽化)

解体前提での買取になりやすく、提示額は土地価格から解体費を差し引いた水準に近づきます。例えば、たとえば神奈川県内の案件では、提携宅建業者による買取査定と並行して片付け範囲を絞ることで、手取りの改善余地を確認できる場合があります(参考:神奈川県の空き家買取)。管理不全空家に指定される前に動くことで、固定資産税6倍のリスクを避けられます。

実務チェックリスト

確認項目 確認先・方法
相続登記は完了しているか 法務局・司法書士
取得費が分かる契約書・領収書はあるか 自宅の書類・税理士
空き家の3,000万円特別控除の要件を満たすか 国税庁・税理士
管理不全空家・特定空家に指定されていないか 市区町村の空き家対策窓口
仲介想定額と買取提示額の両方を取ったか 複数の不動産会社・買取再販業者
仏壇・位牌・貴重品・思い出の品を取り出したか 自分・家族/必要なら遺品整理サービス
買取業者の宅建業免許番号を確認したか 業者の説明・都道府県の免許業者一覧

よくある質問

買取再販業者と、いわゆる「空き家買取業者」は同じですか?
重なる部分が多いですが、厳密には「買取再販業者」は買い取った物件にリフォームやリノベーションを施して再販する事業モデルを指し、「空き家買取業者」はそのまま保有・賃貸に回す業者も含む、より広い呼び方です。実務上は、買い取ったあとにリフォームして再販するか、解体して土地として売るかのいずれかに進むケースが大半です。
買取再販業者に売ると、仲介に比べてどのくらい価格が下がりますか?
目安として、仲介で売れた場合の想定価格の5〜8割程度になる傾向があります。老朽化が進み解体が前提になる物件では5割前後、立地が良く再販需要が見込める物件では7〜8割程度に近づきやすいとされています。ただし仲介にも仲介手数料や片付け費用、保有期間中の固定資産税がかかるため、これらを差し引いた手取り額で比較すると差が縮まる場合があります。
残置物があっても買取再販業者に売れますか?
多くの買取再販業者は、残置物がある状態(現状有姿)のままでの買取に対応しています。買取価格に片付け・処分費用相当分が反映される場合がありますが、仏壇・位牌・貴重品・思い出の品は必ず事前に取り出しておくことをおすすめします。
相続登記が済んでいなくても買取再販業者に査定を依頼できますか?
査定の相談自体は可能な場合もありますが、実際の売買契約・決済には相続登記が完了している必要があります。2024年4月1日から相続登記は義務化されており、相続を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得ます。査定を依頼する前に名義の状況を確認しておくと手続きがスムーズです。
買取再販業者を選ぶときに注意すべき点はありますか?
宅地建物取引業の免許番号を確認したうえで、査定額の根拠(解体費・リフォーム費・想定利益の内訳)を説明してくれるか、契約を急がせないかを比較してください。複数社に査定を依頼し、金額だけでなく対応の丁寧さや残置物の扱いも含めて選ぶことをおすすめします。
買取と仲介、両方に査定を依頼することはできますか?
できます。同じタイミングで仲介の想定売却額と買取再販業者の買取提示額の両方を取ると、時間をかければどれくらい高く売れる可能性があるかと、今すぐ確定させるといくらになるかを具体的な数字で見比べられます。一定期間は仲介で試し、反響がなければ買取に切り替えるという進め方もあります。

まとめ

買取再販業者とは、空き家や実家を所有者から直接買い取り、リフォームや解体を経て再販する事業者のことです。仲介より価格は下がりやすいものの、最短1〜2週間での現金化、残置物ありでの買取、契約後のトラブルリスクの小さい免責特約など、スピードと確実性を重視する人には合理的な選択肢になります。価格の高さだけで判断せず、片付け費用・仲介手数料・保有中の固定資産税まで含めた手取り額で、仲介・買取・有料引き取りの3択を比較してください。当事務局は宅建業者ではないため、提携の宅建業者が買取・仲介の実務を担当し、当事務局は窓口対応と片付けの手配を行います。制度面の判断に迷う場合は、一人で抱え込まず司法書士や税理士など専門家に相談してください。

読むより、聞いたほうが
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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

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