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健康保険・介護保険の資格喪失手続き|期限・必要書類・埋葬料と葬祭費の請求

最終更新日:2026年9月15日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 会社員・公務員の健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)は死亡日の翌日から5日以内に事業主が資格喪失届を提出します。遺族がすべきことは勤務先への連絡と保険証の返却です。
  • 国民健康保険・後期高齢者医療制度・介護保険は、いずれも遺族が死亡日から14日以内に市区町村窓口へ資格喪失届を提出します。窓口は同じでも申請書は制度ごとに別なので、まとめて確認してから行くと二度手間になりません。
  • 資格喪失手続きとあわせて、埋葬料・家族埋葬料(各5万円、請求期限は死亡日の翌日から2年)や葬祭費(自治体ごとに金額が異なる)を請求できます。手続きを別々に進めると請求漏れが起きやすいため、同時進行が基本です。
  • 亡くなった方に扶養されていた家族がいる場合、その家族も健康保険の資格を失うため、国民健康保険への切り替えなど別の手続きが必要になります。放置すると無保険の空白期間ができるので注意してください。
目次

健康保険・介護保険の資格喪失手続きとは|まず全体像を掴む

家族が亡くなると、年金や相続登記だけでなく、健康保険・介護保険の「資格喪失手続き」も必要になります。資格喪失手続きとは、亡くなった方がそれまで加入していた医療保険・介護保険の被保険者資格を失ったことを保険者(協会けんぽ、健康保険組合、市区町村、後期高齢者医療広域連合)に届け出て、保険証や資格確認書を返却する手続きです。単なる事務処理に見えますが、期限内に行わないと保険料の過払い・未納が発生したり、埋葬料・葬祭費の請求のタイミングを逃したりすることがあります。

厄介なのは、加入していた制度によって「誰が届け出るか」「期限は何日か」「窓口はどこか」がすべて異なる点です。会社員が加入する健康保険は事業主が届け出ますが、国民健康保険・後期高齢者医療制度・介護保険は遺族が自分で市区町村へ届け出る必要があります。この記事では、制度ごとの違いを整理したうえで、実務で使えるチェックリストと比較表、ケース別のシミュレーションをまとめました。

加入していた制度を確認する(保険証の見方)

手続きを始める前に、亡くなった方がどの医療保険制度に加入していたかを確認します。手元にある保険証、またはマイナンバーカードと一体化した「資格情報のお知らせ」に記載されている保険者名を見れば判別できます。

  • 「全国健康保険協会」「〇〇健康保険組合」と書かれている場合 → 会社員・公務員などが加入する健康保険(被用者保険)
  • 「〇〇市国民健康保険」と書かれている場合 → 自営業者・年金生活者などが加入する国民健康保険
  • 「〇〇後期高齢者医療広域連合」と書かれている場合 → 75歳以上(一定の障害がある場合は65歳以上)が加入する後期高齢者医療制度

保険証が見当たらない、記載を見ても判断できないという場合は、亡くなった方が住んでいた市区町村の窓口に相談すれば、加入状況を確認できます。介護保険は40歳以上であれば健康保険の種類にかかわらず全員が対象になるため、健康保険の資格喪失手続きとは別に、介護保険の資格喪失手続きが必要かどうかもあわせて確認してください。

マイナ保険証・資格確認書だった場合の返却の考え方

2024年12月2日以降、従来の紙・カード形式の健康保険証は新規発行が停止され、マイナンバーカードを健康保険証として使う「マイナ保険証」への移行が進んでいます。マイナ保険証を利用していた方が亡くなった場合、マイナンバーカード自体は健康保険の資格情報とは別の公的な身分証であるため、健康保険の資格喪失手続きにおいてマイナンバーカードそのものを保険者へ返却する必要はありません。マイナンバーカードの取り扱いについては、死亡届の提出にあわせて市区町村で失効の手続きが行われます。一方、マイナンバーカードを持っていない方などに交付される「資格確認書」は、健康保険証に相当する紙の書類のため、通常の保険証と同様に事業主または市区町村の窓口へ返却してください。どちらを持っていたか分からない場合は、手元の書類やカードを確認したうえで、勤務先または市区町村の窓口に相談すれば案内してもらえます。

会社員・公務員(健康保険)の資格喪失手続き|期限は死亡日の翌日から5日以内

協会けんぽや健康保険組合に加入していた会社員・公務員が亡くなった場合、資格喪失届そのものは事業主(勤務先)が日本年金機構または健康保険組合へ提出します。届出の期限は死亡日の翌日から5日以内と短いため、遺族はできるだけ早く勤務先の総務・人事担当へ連絡することが最初の一歩になります。

遺族が実際に行うこと

遺族が直接行う手続きは、主に次の2つです。1つは勤務先への死亡の連絡、もう1つは保険証(または資格確認書)の返却です。被保険者本人だけでなく、被扶養者として保険証を使っていた家族がいる場合は、その保険証もあわせて返却します。被扶養者の異動については「被扶養者異動届」を事業主経由で提出する必要がありますが、この届出も事業主が行うのが一般的です。遺族の側で用意しておくとよいのは、保険証一式(本人分・扶養家族分)、死亡が確認できる書類(死亡診断書のコピーなど、勤務先から求められた場合)です。

資格喪失後に発行される「資格喪失証明書」

被扶養者が国民健康保険や別の家族の扶養に切り替える際は、「健康保険の資格を失った」ことを証明する書類(資格喪失証明書)が必要になることがあります。これは勤務先または協会けんぽ・健康保険組合に発行を依頼できます。切り替え先の市区町村窓口で必要書類として求められることが多いため、資格喪失届の提出が完了したタイミングで、あわせて発行を依頼しておくと後の手続きがスムーズです。

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自営業・年金生活者(国民健康保険)の資格喪失手続き|期限は死亡日から14日以内

自営業者や年金生活者などが加入する国民健康保険は、遺族が死亡日から14日以内に、亡くなった方が住んでいた市区町村の窓口で資格喪失の届出を行います。届出には「国民健康保険資格喪失届(死亡)」の提出と、保険証(または資格確認書)の返却が必要です。マイナンバーカードと保険証が一体化している場合の扱いは自治体ごとに案内が異なるため、持参する書類は事前に市区町村のホームページで確認するか、窓口に電話で問い合わせておくと二度手間になりません。

世帯主が亡くなった場合は、世帯全体の国民健康保険証を作り直す必要があります。残された家族が引き続き国民健康保険に加入するケースでは、資格喪失届と同時に、新しい世帯主としての加入手続き(保険証の再発行)も進めておくと、窓口に何度も足を運ばずに済みます。

75歳以上(後期高齢者医療制度)の資格喪失手続き

75歳以上(一定の障害がある方は65歳以上から)が加入する後期高齢者医療制度も、国民健康保険と同様に、遺族が死亡日から14日以内に市区町村の窓口で資格喪失届を提出します。保険証(または資格確認書)と、高齢受給者証・限度額適用認定証など、あわせて交付されていた証書もすべて返却します。国民健康保険と後期高齢者医療制度は別の制度であり、75歳の誕生日前後で加入先が切り替わっているケースもあるため、保険証の記載を確認したうえで、該当する窓口へ届け出てください。

後期高齢者医療制度に加入していた方には、亡くなった年の医療費が一定額を超えている場合、高額療養費の還付が発生していることがあります。資格喪失の届出と同時に、還付金の有無を窓口で確認しておくと、後日あらためて通知を待つより早く把握できます。

介護保険の資格喪失手続き|65歳以上・第2号被保険者

65歳以上(介護保険第1号被保険者)の方が亡くなった場合、遺族は死亡日から14日以内に「介護保険資格喪失届」を市区町村へ提出し、介護保険被保険者証を返却します。40歳から64歳まで(第2号被保険者)で要介護・要支援の認定を受けていた方が亡くなった場合も、同様の届出が必要です。反対に、40歳以上65歳未満で要介護・要支援認定を受けていなかった方が亡くなった場合は、介護保険の資格喪失届出そのものが不要なケースが多いため、認定の有無を確認してから窓口へ向かうと無駄がありません。

介護保険の資格は死亡日の翌日に喪失し、介護保険料は資格喪失日の前月分までで再計算されます。すでに納めすぎている場合は還付、逆に未納があれば請求という形で精算されるため、資格喪失届の提出時に、保険料の精算がどうなるかをあわせて確認しておいてください。介護サービスを利用していた場合は、担当のケアマネジャーや福祉用具のレンタル業者への連絡も必要です。福祉用具受給者証、負担割合証、限度額適用・標準負担額減額認定証などを交付されていた場合は、これらの証書も資格喪失届と同時に返却します。

【比較表】制度別の届出先・期限・必要書類・届出人一覧

ここまでの内容を制度別に一覧表へまとめました。印刷して、どの制度に該当するかをチェックしながら手続きを進める用途にご活用ください。

制度 届出人 期限 届出先 主な必要書類
健康保険(協会けんぽ・健康保険組合) 事業主(遺族は連絡と返却が中心) 死亡日の翌日から5日以内 日本年金機構または健康保険組合(勤務先経由) 健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届、保険証・資格確認書
国民健康保険 遺族(世帯主・同居親族など) 死亡日から14日以内 市区町村窓口 国民健康保険資格喪失届、保険証・資格確認書、届出人の本人確認書類
後期高齢者医療制度 遺族 死亡日から14日以内 市区町村窓口 資格喪失届、保険証・資格確認書、高齢受給者証等
介護保険 遺族 死亡日から14日以内 市区町村窓口(介護保険担当課) 介護保険資格喪失届、介護保険被保険者証、福祉用具受給者証等(該当者)

国民健康保険・後期高齢者医療制度・介護保険は、いずれも同じ市区町村の窓口(多くは「保険年金課」「国保年金課」など)で手続きできる自治体がほとんどです。訪問前に電話で「死亡に伴う資格喪失の手続きをまとめて行いたい」と伝えておくと、必要書類を一度に案内してもらえ、来庁回数を減らせます。

【実務チェックリスト】資格喪失手続きを進める順番

制度をまたいで複数の手続きが発生するため、着手前に全体の順番を把握しておくと迷いません。印刷してチェックしながら進めてください。

順番 やること 目安の時期
1 保険証を確認し、加入していた制度(健康保険/国保/後期高齢者医療)を特定する 死亡後すぐ
2 会社員だった場合は勤務先へ連絡し、保険証一式を返却する 死亡後5日以内が目安
3 国保・後期高齢者医療・介護保険に該当する場合は市区町村窓口へ資格喪失届を提出する 死亡後14日以内
4 介護保険料・国保保険料の精算(還付または追納)を確認する 資格喪失届の提出時
5 埋葬料・家族埋葬料または葬祭費を申請する 資格喪失手続きと同時期〜2年以内
6 扶養に入っていた家族がいれば、国民健康保険等への切り替えを行う 資格喪失後、空白期間ができないよう速やかに
7 高額療養費・高額介護サービス費の還付の有無を窓口で確認する 資格喪失届の提出時

埋葬料・葬祭費など資格喪失手続きとあわせて請求できるお金

資格喪失手続きと合わせて忘れずに進めたいのが、埋葬料・葬祭費の請求です。制度によって名称も金額も異なるため、整理しておきます。

埋葬料・家族埋葬料・埋葬費(健康保険)

協会けんぽ・健康保険組合の被保険者が業務外の事由で亡くなった場合、生計を維持されていた遺族が申請すると「埋葬料」として5万円が支給されます。生計維持関係にない方が実際に埋葬を行った場合は、実費(上限5万円)が「埋葬費」として支給されます。被扶養者が亡くなった場合は、被保険者本人が申請することで「家族埋葬料」として5万円が支給されます。申請書は「健康保険埋葬料(費)支給申請書」で、提出先は加入していた協会けんぽの支部または健康保険組合です(全国健康保険協会「埋葬料・埋葬費」)。請求権の消滅時効は死亡日の翌日から2年のため、資格喪失届の提出と同じタイミングで申請しておくと請求漏れを防げます。

葬祭費(国民健康保険・後期高齢者医療制度)

国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた方が亡くなった場合は、葬儀を行った方(喪主)が「葬祭費」を申請できます。金額は自治体によって差があり、1万円台から7万円程度まで幅があるのが実情です。正確な金額と申請期限(多くの自治体で葬儀を行った日の翌日から2年以内)は、亡くなった方が住んでいた市区町村の窓口で確認してください。申請には葬儀の領収書や会葬礼状の提示を求められる場合があります。

健康保険組合独自の付加給付

大企業などが運営する健康保険組合の中には、法定の埋葬料5万円に加えて、組合独自の付加給付(弔慰金・埋葬料付加金など)を上乗せしている組合もあります。有無や金額は組合ごとの規約次第で全国一律ではないため、亡くなった方の勤務先が健康保険組合に加入していた場合は、法定給付の申請とあわせて確認してみてください。

保険料の還付・追納が発生するケース

資格喪失の手続きをすると、保険料の精算が発生することがあります。国民健康保険・介護保険は月単位で保険料を計算しているため、資格喪失日(死亡日の翌日)の前月分までで再計算され、すでに納めた分に過払いがあれば還付、未納があれば相続財産から支払う請求という形になります。還付金がある場合、多くの自治体では後日「還付通知書」が送付され、指定の口座への振込手続きが必要です。通知が届く前に口座を解約してしまうと再手続きが必要になるため、資格喪失届を提出する段階で、還付金の受取口座について窓口に確認しておくとスムーズです。

なお、保険料の還付金や葬祭費・埋葬料は、相続財産(プラスの財産)としてではなく、遺族固有の請求権として扱われることが多い一方、未納保険料は相続債務として遺産分割協議の対象になり得ます。相続放棄を検討している場合は、還付金の受け取りが「相続財産の処分」とみなされる可能性もあるため、判断に迷う場合は着手前に司法書士や弁護士へ相談してください。

被扶養者・家族が保険を失うときの手続き(扶養から外れる場合の再加入)

亡くなった方の健康保険の被扶養者になっていた配偶者や子どもがいる場合、被保険者本人の死亡によって、その家族全員が健康保険の資格を失います。放置すると保険証が使えない「無保険」の空白期間が生じるため、資格喪失後は速やかに次のいずれかの手続きを行う必要があります。

  • 他の家族(子どもなど)の健康保険の扶養に入る
  • 就労している場合は勤務先の健康保険に加入する
  • いずれにも該当しない場合は、居住地の市区町村で国民健康保険に加入する

国民健康保険への切り替えには、前の健康保険の資格喪失日が分かる証明書(資格喪失証明書)が必要になることが多く、勤務先や協会けんぽ・健康保険組合に発行を依頼しておく必要があります。切り替えの届出が遅れても、資格自体は資格喪失日にさかのぼって国民健康保険加入となるのが一般的ですが、その間に病院を受診すると一時的に医療費を全額自己負担し、後日申請して差額を精算する手間が生じます。空白期間を作らないよう、資格喪失の手続きと同時に進めておくことをおすすめします。

ケース別シミュレーション

典型的な4つのケースについて、実際にどう動けばよいかを整理しました。

ケースA:会社員だった夫が亡くなり、妻・子が被扶養者だった場合

妻がまず行うのは、夫の勤務先への連絡と保険証(夫・妻・子の3枚)の返却です。勤務先が資格喪失届を提出したら、家族埋葬料(5万円)の申請と、資格喪失証明書の発行を依頼します。妻・子は資格喪失後、妻が働いていればその勤務先の健康保険に、働いていなければ市区町村の国民健康保険に、資格喪失証明書を添えて加入手続きを行います。

ケースB:自営業の父が国民健康保険・介護保険に加入していた場合(65歳以上)

子どもなど遺族が、死亡日から14日以内に市区町村窓口へ、国民健康保険と介護保険の資格喪失届をまとめて提出します。同じ窓口で葬祭費の申請、介護保険料の還付有無の確認もあわせて行うと、来庁が1回で済みます。世帯主が父だった場合は、世帯を継続する家族の保険証も同時に作り直します。

ケースC:75歳以上で後期高齢者医療制度・介護保険に加入していた母が亡くなった場合

市区町村窓口で後期高齢者医療と介護保険の資格喪失届を同時に提出し、高齢受給者証・介護保険被保険者証・限度額適用認定証などをまとめて返却します。葬祭費の申請、高額療養費・高額介護サービス費の還付の有無も、この機会に確認しておきます。

ケースD:一人暮らしで身寄りが少なく、遺族が遠方に住んでいる場合

市区町村によっては郵送での資格喪失届の提出に対応しているところもあります。事前に電話で郵送対応の可否と必要書類を確認したうえで進めると、何度も現地へ足を運ばずに済みます。実家の片付けと同時進行になることが多いため、遺品整理の作業日程とあわせて、窓口へ行く日をまとめて計画すると効率的です。

資格喪失手続きでよくあるトラブルと防ぎ方

事務局として実家じまいのご相談を受ける中でよく耳にするパターンと、その防ぎ方を紹介します。

  • 期限を過ぎてから気づく——健康保険の5日、国保・介護保険の14日という期限は、葬儀や初七日の対応に追われている間に過ぎてしまいがちです。多少期限を過ぎても届出自体は受理されることが多いですが、保険料の精算や埋葬料の申請が遅れる原因になるため、葬儀の手配と並行してスケジュールに組み込んでおくと安心です。
  • 扶養家族の切り替えを忘れる——本人の資格喪失だけを済ませ、被扶養者だった家族の保険の切り替えを後回しにしてしまうケースです。その間に病院を受診すると、いったん全額自己負担になります。資格喪失届の提出時に、家族の切り替え先まで決めておくと防げます。
  • 埋葬料・葬祭費の申請を忘れる——資格喪失の届出だけで手続きが終わったと思い込み、埋葬料や葬祭費の請求を忘れてしまうケースです。時効は2年ありますが、資格喪失届と同じ窓口・同じタイミングで申請すれば手間が二重になりません。
  • 保険証を紛失していて返却できない——保険証が見つからない場合は、窓口で「紛失している」と申し出れば、滅失届などの書類で対応できます。無理に探し続けて手続き自体を止めないようにしてください。
  • 還付金の受取口座が凍結されている——亡くなった方名義の口座は死亡が金融機関に伝わると凍結されるため、還付金の振込先には遺族の口座を指定する必要があります。窓口で還付先の口座を確認する際に、あわせて相談しておくとスムーズです。

オンラインでできる手続き・窓口に行く必要がある手続き

近年はマイナンバーカードを使ったオンライン申請に対応する自治体も増えていますが、資格喪失手続きに関しては、原則として窓口での届出が必要な自治体が大半です。保険証の返却が必須になっているためで、郵送での返却・届出に対応している自治体もありますが、対応の可否や必要書類は自治体ごとに異なります。埋葬料・葬祭費の申請は、協会けんぽの電子申請システムを使える健康保険のケースを除くと、多くの場合は窓口または郵送での申請になります。遠方に住んでいて頻繁に窓口へ行けない場合は、事前に電話で「郵送対応の可否」「必要書類一式」「返信用封筒の要否」を確認してから、まとめて書類を送ると往復の手間を減らせます。

用語をやさしく言い換えると

制度名や書類名が似ていて混乱しやすいため、ここで簡単に整理しておきます。

用語 やさしい言い換え
資格喪失 その保険に入っている権利がなくなること(死亡・退職・扶養から外れるなど)
被保険者 保険に加入している本人
被扶養者 被保険者の家族として、保険料を払わずに同じ保険を使っている人
埋葬料・埋葬費 健康保険(会社員向け)から支給される、葬儀にかかる費用の一部補助
葬祭費 国民健康保険・後期高齢者医療制度から支給される、葬儀にかかる費用の一部補助
資格喪失証明書 「この人はいつこの保険をやめたか」を証明する書類。次の保険への切り替えに使う

実家の片付け・相続手続きとの関係

健康保険・介護保険の資格喪失手続きで市区町村に提出する戸籍謄本や住民票の除票、届出人の本人確認書類は、相続登記や相続放棄など、他の相続手続きでもそのまま使えることが多い書類です。手続きのたびに何度も戸籍を取り直すより、必要になりそうな部数をまとめて取得しておくと、時間と費用の両方を節約できます。相続手続き全体の流れは年金・保険の死後手続き一覧|期限と窓口を時系列で整理で、相続に必要な戸籍の集め方は相続に必要な戸籍の集め方|広域交付・法定相続情報一覧図もで詳しく解説しています。

資格喪失手続きと並行して、実家の片付けや遺品整理を進める家庭も少なくありません。保険証や介護保険関連の証書は、実家の書類整理の過程で見つかることも多いため、片付けを始める前に一度、保険関係の書類をひとまとめにしておくと、資格喪失手続きの際に慌てずに済みます。安心実家じまいでは、実家の片付けから処分までを窓口ひとつでご相談いただけます。

よくある質問

健康保険の資格喪失届は遺族が提出するのですか?
会社員・公務員が加入する健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)の場合、資格喪失届そのものは事業主(勤務先)が日本年金機構または健康保険組合へ提出します。遺族が行うのは、勤務先への死亡の連絡と、保険証(本人分・扶養家族分)の返却です。一方、国民健康保険・後期高齢者医療制度・介護保険は、遺族が死亡日から14日以内に市区町村の窓口へ資格喪失届を提出します。
資格喪失の届出が期限を過ぎてしまったらどうなりますか?
多少期限を過ぎても届出自体は受理されることがほとんどです。ただし、保険料の精算や埋葬料・葬祭費の申請が遅れる原因になるほか、被扶養者だった家族の保険切り替えが遅れると、その間に受診した医療費が一時的に全額自己負担になることがあります。気づいた時点で早めに窓口へ連絡してください。
介護保険の資格喪失手続きは全員に必要ですか?
65歳以上(第1号被保険者)の方が亡くなった場合は、遺族による資格喪失届の提出が必要です。40歳から64歳(第2号被保険者)の方は、要介護・要支援の認定を受けていた場合に手続きが必要になりますが、認定を受けていなかった場合は届出が不要なケースが多くなっています。判断に迷う場合は、市区町村の介護保険担当窓口に確認してください。
埋葬料・葬祭費はどこで、いつまでに申請すればよいですか?
健康保険(協会けんぽ・健康保険組合)に加入していた方は、加入先の協会けんぽ支部または健康保険組合へ「健康保険埋葬料(費)支給申請書」を提出します。国民健康保険・後期高齢者医療制度に加入していた方は、市区町村の窓口で葬祭費を申請します。いずれも請求権の時効は原則として死亡日または葬儀を行った日の翌日から2年です。資格喪失届の提出と同じタイミングで申請すると、請求漏れを防げます。
扶養に入っていた家族の保険切り替えが遅れると、医療費はどうなりますか?
切り替えの届出が遅れても、資格自体は前の保険の資格喪失日にさかのぼって国民健康保険等の加入となるのが一般的です。ただし、切り替えが完了するまでの間に病院を受診すると、いったん医療費を全額自己負担し、後日保険者へ申請して差額の払い戻しを受ける手間が生じます。空白期間を作らないよう、本人の資格喪失手続きと同時に、家族の切り替え先を決めておくことをおすすめします。

まとめ

健康保険・介護保険の資格喪失手続きは、加入していた制度によって届出人・期限・窓口がすべて異なります。振り返ります。

  • 会社員・公務員の健康保険は、事業主が死亡日の翌日から5日以内に資格喪失届を提出。遺族は勤務先への連絡と保険証の返却を行う
  • 国民健康保険・後期高齢者医療制度・介護保険は、遺族が死亡日から14日以内に市区町村窓口へ資格喪失届を提出する
  • 資格喪失手続きとあわせて、埋葬料・家族埋葬料(各5万円)や葬祭費(自治体により異なる)を請求できる。時効は原則2年
  • 被扶養者だった家族は保険の資格を失うため、国民健康保険への切り替えなど、空白期間を作らない対応が必要
  • 保険料の還付・追納が発生することがあるため、資格喪失届の提出時に窓口で精算内容を確認しておく
  • 相続放棄を検討している場合は、還付金の受け取りを含め、着手前に司法書士や弁護士へ相談する

手続きは期限が短いものもありますが、一つずつ順番に進めれば決して難しいものではありません。判断に迷う点や、相続・実家の片付けと合わせて進めたい場合は、一人で抱え込まず、司法書士や市区町村の窓口、専門の相談先を頼ってください。

読むより、聞いたほうが
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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

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