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年金・保険の死後手続き一覧|期限と窓口を時系列で整理

最終更新日:2026年8月6日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 年金受給者が亡くなったときは、年金受給権者死亡届(マイナンバー登録済みなら原則省略)と、未支給年金・遺族年金の請求が必要です。届出期限は厚生年金が死亡後10日以内、国民年金が14日以内です。
  • 健康保険は死亡日の翌日から5日以内に事業主が資格喪失届を提出し、国民健康保険・後期高齢者医療制度は遺族が14日以内に市区町村へ届け出ます。あわせて埋葬料・家族埋葬料(各5万円)や葬祭費(自治体により金額が異なる)を請求できます。
  • 生命保険の死亡保険金は、保険法上請求権の消滅時効が原則3年です。契約がわからない場合は生命保険協会の契約照会制度が使えます。
  • 年金・保険の手続きで集める戸籍謄本や住民票の除票は、相続登記や実家の片付けにもそのまま使える書類です。相続放棄を検討している場合は、家財を処分する前に専門家へ相談してください。

家族が亡くなった直後は、死亡届の提出や葬儀の手配など、期限の短い手続きに気を取られがちです。しかし年金・健康保険・介護保険・生命保険は、届出をしないと止まらない、あるいは請求しないと振り込まれないという性質があり、落ち着いた頃に「そういえば」と気づいて慌てるケースが少なくありません。この記事では、死後の手続きの中でも「年金」と「保険」に絞り、誰が・いつまでに・どこへ・何を出すのかを一つずつ整理します。役所への死亡届や火葬許可申請、公共料金の解約といった一般的な死後手続き全般については、必要に応じて自治体や葬儀社の案内もあわせてご確認ください。年金・保険の手続きは、届出をしなかったからといってすぐに罰則があるわけではないものが大半ですが、放置すると受け取れるはずのお金を取りこぼしたり、逆に停止すべき年金を受け取り続けて後日の返還を求められたりする可能性があります。制度ごとに期限と窓口が異なるため、まずは全体像を把握したうえで、自分がどの制度の対象になるかを一つずつ確認していくのが遠回りに見えて確実な進め方です。

目次

年金の死後手続き一覧|届出期限・必要書類・受け取れるお金

年金を受けていた方、あるいは年金に加入していた方が亡くなったとき、遺族が行う手続きは大きく分けて「年金受給権者死亡届(年金の停止)」「未支給年金の請求」「遺族年金等の請求」の3つです。この3つは別々の手続きですが、多くの場合は同じ書類(戸籍謄本・住民票の除票など)を使い回せるため、年金事務所や年金相談センターでまとめて相談すると手間が省けます(日本年金機構「身近な方が亡くなったとき」より)。

年金受給権者死亡届(年金の停止)

年金を受けていた方が亡くなった場合、遺族は「年金受給権者死亡届(報告書)」を提出し、年金の支給を止める必要があります。日本年金機構に亡くなった方のマイナンバー(個人番号)が収録されている場合は、この届出を原則として省略できます。届出が必要なケースでは、厚生年金は死亡後10日以内、国民年金は14日以内が期限の目安です(日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」より)。マイナンバーの収録有無は自分で判断がつきにくいため、迷ったら年金事務所に問い合わせて確認してください。届出を怠って年金を受け取り続けると、後日その分の返還を求められることがあります。

未支給年金の請求

年金は偶数月に前2か月分がまとめて振り込まれる後払いの仕組みです。そのため、亡くなった月分までの年金のうち、まだ受け取っていない分がほぼ確実に生じます。これを「未支給年金」といい、亡くなった方と生計を同じくしていた遺族が請求できます。受け取れる順位は(1)配偶者(2)子(3)父母(4)孫(5)祖父母(6)兄弟姉妹(7)その他3親等内の親族の順で、先順位の方がいる場合、後順位の方は請求できません。請求期限は死亡日から5年以内です(日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」より)。必要書類は、年金受給権者死亡届(報告書)兼未支給年金・未支払給付金請求書、亡くなった方の年金証書、請求する方のマイナンバー確認書類、亡くなった方と請求する方の続柄が確認できる戸籍謄本、生計同一関係を確認できる住民票、振込先口座の確認書類などです。マイナンバーを記入することで戸籍謄本や住民票の一部を省略できる場合もあります。

事実婚の配偶者・共済年金など特殊なケース

未支給年金は、法律上の配偶者だけでなく、事実婚(内縁)関係にあった配偶者も請求できます。この場合は通常の続柄確認の書類に加えて、事実婚関係および生計同一関係に関する申立書や、それを裏付ける書類の提出が必要です(日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」より)。同居していなかった、あるいは住民票上の世帯が別だったという事情があっても、生計を一にしていた実態を示せれば対象になり得るため、該当する可能性がある場合は年金事務所に個別に相談してください。また、JR・JT・NTT・農林漁業団体職員共済組合が支給する共済年金を受け取っていた方が亡くなった場合は、通常の受給順位ではなく法定相続人が未支給年金を請求する扱いになる点も、一般の厚生年金・国民年金とは異なる注意点です。地方公務員共済組合から老齢基礎年金の代行払いを受けていた方が亡くなった場合、年金受給権者死亡届の提出先が年金事務所ではなく各共済組合になることもあります。加入履歴に共済組合が含まれる方は、届出先を事前に確認しておくと二度手間を防げます。なお、過去に離婚時の年金分割制度を利用していた場合、分割によって元配偶者に移った年金記録は、その後どちらかが亡くなっても相手側の相続や遺族年金の対象にはなりません。分割後の記録はそれぞれ独立した年金として扱われる点も、あわせて知っておくとよい制度上の特徴です。

遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)

亡くなった方の年金の加入状況に応じて、生計を維持されていた遺族は遺族年金を受け取れる場合があります。国民年金の加入者(自営業者など)が亡くなった場合は「遺族基礎年金」の対象になり、支給されるのは子のある配偶者、または子です。子は18歳到達年度末(障害のある子は20歳未満)まで対象になります。厚生年金の加入者(会社員・公務員など)が亡くなった場合は「遺族厚生年金」の対象になり、こちらは老齢厚生年金の報酬比例部分を基準とした金額に4分の3を掛けた額が目安です。妻が受給する場合は原則として生涯にわたって受給できますが、30歳未満で子のない妻は5年間の有期給付になります。夫が受給する場合は60歳から支給が始まる点も、妻とは異なる扱いです(日本年金機構の案内による)。受給額は加入期間や納付状況によって一人ひとり異なるため、正確な見込み額は「ねんきんネット」での試算や年金事務所の窓口で確認することをおすすめします。なお、遺族年金には「生計維持関係」の認定に収入要件があり、請求する遺族の前年の収入や所得が一定の基準を下回っていることが条件になります。共働きで収入が高かった配偶者などは、要件を満たすかどうかを事前に年金事務所へ確認しておくと安心です。両者の違いを整理すると、次のとおりです。

遺族基礎年金 遺族厚生年金
亡くなった方の加入制度 国民年金(第1号被保険者など) 厚生年金(会社員・公務員など)
主な受給対象 子のある配偶者、または子 配偶者、子、55歳以上の夫・父母・祖父母(支給開始は60歳から)
受給期間 子が18歳到達年度末(障害のある子は20歳未満)まで 妻は原則生涯(30歳未満で子のない妻は5年間の有期)
金額の考え方 基礎年金部分に子の人数に応じた加算 老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が目安

寡婦年金・死亡一時金(国民年金第1号被保険者が対象)

国民年金の第1号被保険者(自営業者や無職の方など)として保険料を納めていた方が、老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らないまま亡くなった場合、その遺族には「寡婦年金」または「死亡一時金」という制度があります。寡婦年金は、婚姻期間が10年以上ある妻に対して60歳から65歳になるまでの間支給されるもので、死亡一時金は保険料の納付済期間の月数に応じて金額が決まる一時金です。この2つは同時に受け取ることができず、条件を満たす場合はどちらか一方を選択します。請求期限は、寡婦年金が死亡日の翌日から5年以内、死亡一時金が死亡日の翌日から2年以内と、制度によって異なります(日本年金機構の案内による)。細かい受給要件や金額の計算は個々の納付状況によって変わるため、年金事務所での確認が欠かせません。

死亡診断書のコピーは多めに用意しておく

年金・健康保険・生命保険のいずれの手続きでも、死亡の事実を証明する書類として、住民票の除票や戸籍謄本のほか、死亡診断書(死体検案書)のコピーの提出を求められる場面があります。原本は1通しか発行されないことが多く、その後の提出先ごとにコピーが必要になるため、葬儀社から原本を受け取った時点で、多めにコピーを取っておくと、後から慌てて再発行の手続きをする手間を省けます。死亡診断書の再発行は、発行した医療機関への依頼と手数料が必要になるのが一般的です。

健康保険・介護保険の死後手続き一覧|資格喪失届と埋葬料・葬祭費

年金と並んで見落としやすいのが、健康保険・介護保険まわりの手続きです。会社員が加入する健康保険と、自営業者等が加入する国民健康保険、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度とでは、届出をする人も期限も窓口も異なります。亡くなった方がどの制度に加入していたかを最初に確認してください。手元の保険証(またはマイナンバーカードと一体化した資格情報のお知らせ)に記載されている保険者名を見れば、協会けんぽ・健康保険組合・市区町村国保・後期高齢者医療広域連合のいずれに加入していたかが分かります。判断に迷う場合は、保険証を持って市区町村の窓口に相談すれば、どの制度に該当するか確認できます。

健康保険(会社員・公務員など)の資格喪失届

会社員や公務員などが加入する健康保険(協会けんぽや健康保険組合)は、被保険者が亡くなった場合、事業主が「被保険者資格喪失届」を提出します。届出の期限は死亡日の翌日から5日以内で、保険証・資格確認書を事業主へ返却したうえで手続きが進みます。被扶養者が亡くなった場合は「被扶養者異動届」を事業主経由で提出します。遺族が直接行うのは、勤務先(事業主)への連絡と保険証の返却が中心で、資格喪失届そのものの提出は事業主の役割です。

国民健康保険・後期高齢者医療制度の資格喪失届

自営業者や年金生活者などが加入する国民健康保険、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度は、遺族が死亡日から14日以内に、亡くなった方が住んでいた市区町村の窓口へ資格喪失届を提出します。保険証や資格確認書の返却もあわせて必要です。マイナンバーカードと保険証が一体化している場合の手続き方法は、自治体によって案内が異なることがあるため、窓口で確認してください。国民健康保険と後期高齢者医療制度は別の制度なので、75歳になる前後で加入先が切り替わっている場合、どちらの制度に加入していたかを保険証で確認してから届け出る必要があります。

埋葬料・家族埋葬料・埋葬費(健康保険)

健康保険の被保険者が業務外の事由で亡くなった場合、生計を維持されていた遺族が申請すると「埋葬料」として50,000円が支給されます。生計維持関係にない方が埋葬を行った場合は、実際にかかった埋葬費用の実費(上限50,000円)が「埋葬費」として支給されます。被扶養者が亡くなった場合は、被保険者が申請することで「家族埋葬料」として50,000円が支給されます(全国健康保険協会「埋葬料・埋葬費」より)。申請書は健康保険埋葬料(費)支給申請書で、提出先は加入している協会けんぽの支部または健康保険組合です。日本年金機構での資格喪失・扶養解除の処理が完了してからの支給になるため、資格喪失届と埋葬料の申請はあわせて進めるとスムーズです。なお、被保険者が退職などで資格を喪失したあとに亡くなった場合でも、資格喪失後3か月以内に亡くなったとき、または傷病手当金・出産手当金の継続給付を受けている間(あるいはその給付が終わってから3か月以内)に亡くなったときは、埋葬料・埋葬費の対象になります。ただし、資格喪失後に新しく加入した健康保険(家族の扶養に入った場合など)ですでに埋葬料を請求している場合は、二重には支給されません(全国健康保険協会「埋葬料・埋葬費」より)。

葬祭費(国民健康保険・後期高齢者医療制度)

国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた方が亡くなった場合は、葬儀を行った方(喪主)が「葬祭費」を申請できます。金額は自治体によって異なり、1万円台から7万円程度まで幅があるのが実情です。実際の金額と申請期限(多くの自治体で葬儀を行った日の翌日から2年以内としています)は、亡くなった方が住んでいた市区町村の国保年金課などの窓口で確認してください。申請には葬儀の領収書や会葬礼状の提示を求められる場合があります。

健康保険組合独自の付加給付

大企業などが運営する健康保険組合の中には、法定の埋葬料50,000円に加えて、組合独自の付加給付(弔慰金・埋葬料付加金など)を上乗せしている組合もあります。付加給付の有無や金額は組合ごとに規約で定められており、全国一律ではありません。亡くなった方の勤務先が健康保険組合に加入していた場合は、法定給付の申請とあわせて、組合独自の給付がないかを健康保険組合または勤務先の担当部署に確認してみてください。

介護保険の資格喪失届

65歳以上(介護保険第1号被保険者)の方が亡くなった場合、遺族は死亡日から14日以内に「介護保険資格喪失届」を市区町村へ提出し、介護保険被保険者証を返却します。40歳から64歳まで(第2号被保険者)で要介護・要支援の認定を受けていた方が亡くなった場合も、同様の届出が必要になることがあります。介護保険料の精算(過払い分の還付または未納分の請求)が発生する場合もあるため、資格喪失届の際にあわせて確認しておくと安心です。介護サービスを利用していた場合は、担当のケアマネジャーや福祉用具のレンタル業者への連絡もあわせて必要になります。福祉用具受給者証や、負担割合証、限度額適用・標準負担額減額認定証などを交付されていた場合は、資格喪失届と同時にこれらの証書も返却してください。

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生命保険の死後手続き|保険金請求の流れと必要書類

年金や公的医療保険と違い、生命保険は自動的に保険会社から連絡が来る仕組みではありません。遺族の側から契約している保険会社に連絡しなければ、手続きは始まらない点に注意してください。

生命保険は契約者・被保険者・受取人の3者の関係によって手続きの主体が変わります。多くの家庭では、亡くなった方自身が被保険者で、配偶者や子が受取人に指定されているシンプルな契約ですが、事業承継や住宅ローンに絡む契約では、契約者と被保険者が異なる、あるいは法人が契約者になっているといった複雑なケースもあります。実家の整理で見つかった証券が誰の契約なのか、まず契約者・被保険者・受取人の欄を確認するところから始めてください。

請求の流れと必要書類

死亡保険金の請求は、おおむね次の流れで進みます。まず契約している保険会社(またはコールセンター)へ連絡し、死亡の事実と契約者・受取人の情報を伝えます。保険会社から請求書類一式が送られてきたら、必要事項を記入し、死亡診断書(死体検案書)のコピー、被保険者の住民票の除票、受取人の本人確認書類、受取人の印鑑証明書などを添えて返送します。書類に不備がなければ、保険会社の審査を経て保険金が振り込まれます。必要書類は保険会社や商品によって多少異なるため、契約先の案内に従ってください。

請求期限(時効)

保険法では、保険金を請求する権利の消滅時効は原則3年とされており、多くの保険会社の約款もこれに準じた期間を定めています。忙しさや悲しみで手続きが後回しになり、気づいたときには数年が経っていたというケースも実際にあります。時効が過ぎてしまった場合でも、事情によっては保険会社が個別の判断で対応することがあるため、請求を諦める前にまず保険会社へ相談することをおすすめします。

免責期間・告知内容が問題になる場合

生命保険の多くは、契約からごく短い一定期間内に自殺で亡くなった場合、保険金の対象外となる免責期間を約款で定めています。期間は保険会社や商品によって異なるため、該当する可能性がある場合は保険会社に直接確認してください。また、契約時の告知内容に事実と異なる点があった場合、契約が解除され保険金が支払われないことがあります。いずれのケースも最終的な判断は保険会社が個別の契約内容と事実関係を踏まえて行うため、請求前に自己判断で諦めず、まずは保険会社へ相談することが大切です。

受取人がすでに亡くなっている場合

古い契約では、保険証券に記載された受取人が、被保険者より先に亡くなっているケースがあります。この場合、受取人の法定相続人全員が保険金請求権を法定相続分に応じて引き継ぐのが原則的な扱いです。相続人が複数いると、全員分の戸籍謄本や印鑑証明書が必要になり、通常より書類収集に時間がかかります。実家の整理で古い保険証券が見つかった場合は、記載されている受取人が存命かどうかも確認しておくと、後の手続きがスムーズになります。

契約している保険がわからないとき

実家を片付けていて保険証券が見つかった、あるいは通帳に見覚えのない保険料の引き落としがあった、という場合は、亡くなった方が他にも生命保険に加入していた可能性があります。契約先が分からない、あるいは複数社にまたがっていそうな場合は、生命保険協会が運営する契約照会制度を利用すると、加盟する保険会社に対して契約の有無をまとめて照会できます。制度の利用方法や必要書類、照会にかかる期間は生命保険協会の案内で確認してください。実家の遺品整理を進める中で保険証券や年金手帳が出てくることは珍しくないため、片付けの初期段階で書類を一箇所にまとめておくと、後の請求手続きがスムーズになります。

税金の扱いは専門家に確認を

死亡保険金や遺族年金、未支給年金、埋葬料・葬祭費には、それぞれ異なる税務上の扱いがあります。たとえば死亡保険金は契約者・被保険者・受取人の関係によって相続税・所得税・贈与税のいずれかの対象になり得ますし、未支給年金は遺族の一時所得として扱われる場合があります。金額や課税の要否は個々の事情によって変わるため、申告が必要かどうかの判断は税理士に相談することをおすすめします。当事務局では相続登記など法律手続きの窓口はご案内できますが、税務申告そのものは税理士の領域になります。

共済(県民共済・JA共済など)やかんぽ生命の場合

民間の生命保険会社だけでなく、都道府県民共済やCO・OP共済、JA共済、かんぽ生命なども死亡共済金・死亡保険金の対象になります。窓口や請求書類の名称は会社ごとに異なりますが、基本的な流れ(連絡→書類受領→必要書類を添えて返送→審査→支払い)は共通しています。JA共済は最寄りのJA窓口、かんぽ生命は郵便局または保険窓口が相談先になります。複数の共済・保険を掛け持ちしていた方も多いため、通帳の引き落とし履歴や実家で見つかった証券・共済証書を手がかりに、契約の有無を一つずつ確認してください。

年金・保険以外に確認しておきたい関連の給付

年金・健康保険・生命保険の主要な手続き以外にも、亡くなった方の状況によっては請求できる給付が残っていることがあります。見落とすと受け取れるはずのお金を取りこぼすことになるため、該当しないか確認しておくと安心です。

  • 高額療養費の還付——亡くなる前の入院・治療で医療費が高額になっていた場合、自己負担限度額を超えた分があとから還付されることがあります。健康保険組合や市区町村から通知が届く場合もありますが、通知を待たずに問い合わせても確認できます。相続財産としての扱いにも関わるため、還付の有無は早めに確認しておくとよいでしょう。
  • 傷病手当金の継続給付——会社員で傷病手当金を受給中に亡くなった場合、亡くなった月分までの未請求分が残っていないか確認してください。埋葬料の支給要件(資格喪失後の継続給付期間中の死亡)にも関わってきます。
  • 任意継続被保険者制度の要否——被扶養者だった遺族が、被保険者の死亡によって健康保険の資格を失う場合、国民健康保険への切り替えや、家族の被扶養者になる手続きが必要です。会社員だった配偶者に扶養されていた方は、次の保険をどうするかを資格喪失届と同時に検討してください。
  • 労災保険の遺族給付——業務上の事由や通勤災害が原因で亡くなった場合は、健康保険の埋葬料ではなく労災保険の遺族(補償)給付・葬祭料(葬祭給付)の対象になります。制度が切り替わるため、死亡の原因が業務に関連する可能性がある場合は、勤務先を通じて労働基準監督署に確認してください。
  • 団体信用生命保険(住宅ローン)——亡くなった方が住宅ローンを組んでいた場合、団体信用生命保険に加入していれば、ローン残高が保険金で完済される仕組みになっていることがあります。金融機関に連絡し、団体信用生命保険の加入有無と請求方法を確認してください。実家の名義や抵当権の抹消登記にも関わる手続きです。
  • 加入していた共済・互助会の解約返戻金——冠婚葬祭互助会や勤め先の共済会に加入していた場合、解約や葬祭費用の充当ができることがあります。実家の書類の中に会員証や積立の通帳が残っていないか確認してみてください。

【一覧表】年金・保険の届出期限と窓口をまとめて確認する

ここまで紹介した手続きを、届出期限・窓口・受け取れるお金の観点で一つの表に整理しました。亡くなった方がどの制度に加入していたかによって当てはまる行が変わるため、まず該当する制度を確認してください。

手続き 期限の目安 窓口 受け取れるお金の目安
年金受給権者死亡届 厚生年金10日/国民年金14日以内(マイナンバー登録済みは原則省略) 年金事務所・年金相談センター ――
未支給年金の請求 死亡日から5年以内 年金事務所・年金相談センター 未受給分の年金額
遺族年金(基礎・厚生)の請求 死亡日から5年以内 年金事務所・市区町村(基礎年金のみの場合) 加入状況により個別試算
寡婦年金 死亡日の翌日から5年以内 年金事務所 納付月数等により個別試算
死亡一時金 死亡日の翌日から2年以内 年金事務所 納付月数に応じて個別試算
健康保険 資格喪失届 死亡日の翌日から5日以内(事業主が提出) 勤務先(事業主) ――
埋葬料・家族埋葬料 資格喪失処理後、目安2年 協会けんぽ支部・健康保険組合 各50,000円
埋葬費(生計維持関係にない方が埋葬) 同上 協会けんぽ支部・健康保険組合 実費(上限50,000円)
国民健康保険・後期高齢者医療 資格喪失届 死亡日から14日以内 市区町村(国保年金課等) ――
葬祭費 目安:葬儀翌日から2年(自治体差あり) 市区町村(国保年金課等) 自治体により1万円台〜7万円程度
介護保険 資格喪失届 死亡日から14日以内 市区町村(介護保険課等) 過払い分の還付がある場合あり
生命保険金の請求 原則3年(保険法・多くの約款) 契約している保険会社 契約内容による

(日本年金機構、全国健康保険協会の公式案内をもとに作成。市区町村の制度は自治体によって金額・期限の細部が異なるため、実際の手続きの際は窓口で最新情報をご確認ください。)

手続きごとに必要な書類を個別に集めると、同じ書類を何度も取り直すことになりがちです。どの書類がどの手続きで必要になるかを、あらかじめマトリクスで把握しておきましょう。

必要書類 未支給年金・遺族年金 健康保険の埋葬料等 国保・後期高齢者の葬祭費 生命保険金の請求
戸籍謄本(続柄確認) △(続柄確認が必要な場合) △(自治体による)
住民票の除票
死亡診断書のコピー △(マイナンバー未収録時)
請求者のマイナンバー確認書類
請求者の印鑑証明書 △(口座証明がない場合等)
振込先口座の確認書類

○は原則必要、△は状況によって必要(マイナンバーの登録状況や自治体・保険会社の運用によって省略できる場合があります)という目安です。実際に必要な書類は個々の状況で変わるため、最終的には各窓口の案内に従ってください。戸籍謄本と住民票の除票は特に多くの手続きで共通して使うため、最初にまとめて複数通取得しておくと、窓口を往復する回数を減らせます。

【チェックリスト】年金・保険の死後手続きを時系列で進める

手続きは種類が多いうえ、期限も5日以内から5年以内までばらつきがあります。優先順位を間違えないよう、期限の短いものから並べたチェックリストを用意しました。印刷して、進んだ項目にチェックを入れる使い方を想定しています。

時期の目安 やること 担当・窓口
死亡後すぐ 健康保険証・年金手帳(基礎年金番号通知書)・保険証券など関係書類を一箇所にまとめる 遺族本人
5日以内 勤務先に連絡し、健康保険(被用者保険)の資格喪失届の手配を依頼する 事業主(勤務先)
10〜14日以内 年金受給権者死亡届の要否を年金事務所に確認し、必要なら提出する 年金事務所
14日以内 国民健康保険・後期高齢者医療制度・介護保険の資格喪失届を提出する(会社員以外・65歳以上等が対象) 市区町村窓口
2年以内の目安 埋葬料・家族埋葬料・埋葬費・葬祭費を請求する 協会けんぽ・健康保険組合・市区町村
2年以内 死亡一時金を請求する(寡婦年金と選択の場合を含む) 年金事務所
3年以内の目安 生命保険会社へ連絡し、死亡保険金を請求する 契約している保険会社
3年以内 不動産を相続した場合、相続登記を申請する(義務化対応) 法務局・司法書士
5年以内 未支給年金・遺族年金・寡婦年金を請求する 年金事務所

複数の制度にまたがる場合、書類の使い回しができることがあります。たとえば年金の手続きで取得した戸籍謄本は、相続登記の申請にもそのまま使えるケースが多いため、先に多めに取得しておくと、あとから同じ書類を何度も請求する手間を省けます。相続登記の期限や必要書類の詳細は相続登記の義務化とは|期限・過料・実家を相続したらやることで解説しています。

ケースで考える|年金・保険の受け取り方はどう変わるか

制度は加入状況によって当てはまるものが変わるため、実際にどのような組み合わせになるのか、2つのケースで手続きの道筋を確認します。金額はあくまで計算の考え方を示す目安であり、実際の受給額は個々の納付状況や契約内容によって異なります。

ケースA:会社員だった夫が亡くなり、子のいる妻が手続きする場合

夫が厚生年金・健康保険に加入していた会社員だった場合、妻は勤務先を通じた健康保険の資格喪失届(事業主提出・5日以内)と、年金事務所での年金受給権者死亡届(マイナンバー登録があれば省略・厚生年金は10日以内)を確認します。そのうえで、未支給年金と遺族厚生年金を請求します。子が18歳到達年度末までの間は遺族基礎年金もあわせて受給できる場合があります。遺族厚生年金は老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が目安になるため、たとえば夫の老齢厚生年金の報酬比例部分が年120万円と試算されていた場合、遺族厚生年金の目安は年90万円(120万円×4分の3)という計算になります。あわせて健康保険から埋葬料50,000円を受け取り、生命保険に加入していれば契約内容に応じた死亡保険金を請求します。夫の勤務先が健康保険組合に加入していた場合は、法定の埋葬料に加えて組合独自の付加給付がないかも確認するとよいでしょう。妻自身が会社員として厚生年金・健康保険に加入している場合は、夫の被扶養者ではなく妻自身の保険が継続するため、資格喪失の手続きは夫の分だけで足り、妻の保険を切り替える必要はありません。一方、妻が夫の被扶養者だった場合は、妻自身の国民健康保険への切り替えなど、次の保険をどうするかもあわせて検討する必要があります。

ケースB:自営業だった父が亡くなり、配偶者が先に他界している場合

父が国民年金第1号被保険者として自営業を続けていた場合、健康保険ではなく国民健康保険の資格喪失届(遺族が14日以内に市区町村へ)が必要です。配偶者がすでに亡くなっている場合、遺族基礎年金の受給対象者がいないケースもあり、その場合は納付済期間の月数に応じた死亡一時金を、生計を同じくしていた子などの遺族が受け取れる可能性があります。寡婦年金は生存する妻本人に支給される制度のため、このケースのように配偶者が先に他界している場合は対象になりません。あわせて葬祭費を市区町村に申請し、国民健康保険から埋葬料に相当する給付が出るかどうかも窓口で確認します。65歳以上で介護保険に加入していた場合は、介護保険資格喪失届もあわせて必要です。相続財産に不動産が含まれる場合は、これらの手続きと並行して相続登記の準備も進めておくと、後の手続きがスムーズです。父が生命保険に加入していた場合は、受取人が誰に指定されているかを保険証券で確認し、受取人がすでに亡くなっている、あるいは受取人の指定自体がない古い契約であれば、相続人全員での手続きが必要になる可能性がある点にも注意してください。

ケースC:独身で年金をまだ受け取っていなかった親族が亡くなった場合

年金の受給開始年齢に達する前、あるいは受給開始直後に亡くなった場合でも、それまでに納めた保険料が無駄になるわけではありません。国民年金第1号被保険者として一定期間保険料を納めていれば、死亡一時金の対象になることがありますし、厚生年金に加入していた期間があれば遺族厚生年金の対象になる場合もあります。独身で配偶者や子がいない場合は、父母・孫・祖父母・兄弟姉妹といった順で受給者を探すことになるため、相続人にあたる親族が「自分は対象外だろう」と思い込んで請求を諦めてしまうケースが見られます。年金証書や基礎年金番号が分かる書類(ねんきん定期便など)が実家から見つかった場合は、廃棄する前に年金事務所へ相談し、請求できる給付が残っていないか確認することをおすすめします。健康保険についても、勤務先の健康保険や国民健康保険から埋葬料・葬祭費を受け取れる遺族がいないか、あわせて確認してください。

手続きが完了するまでの期間の目安

書類を提出してから実際にお金が振り込まれるまで、制度によって数週間から数か月の幅があります。急ぎで資金が必要な場合は、この期間差を踏まえて優先順位を考えると計画が立てやすくなります。

手続き 提出から支給までの目安 備考
未支給年金 請求から1〜2か月程度 書類不備があるとさらに延びる
遺族年金(新規請求) 請求から2〜3か月程度 審査内容によって前後する
健康保険の埋葬料等 申請から2〜3週間程度 資格喪失処理の完了が前提
国民健康保険・後期高齢者の葬祭費 申請から2〜4週間程度 自治体により異なる
生命保険金 書類到着から5営業日〜2週間程度 調査が必要な場合はさらに時間がかかる

いずれも目安であり、書類の不備や審査内容によって前後します。正確な処理期間は、各窓口や保険会社に直接確認してください。

用語をやさしく言い換えると

年金・保険の案内には独特の言い回しが多く、初めて読むと意味を取りづらい言葉が出てきます。よく登場する用語を、日常の言葉で言い換えておきます。

  • 生計を同じくしていた——同居していたか、別居していても仕送りなどで生活を支え合っていたことを指します。同じ財布で暮らしていた、というイメージです。
  • 報酬比例部分——厚生年金のうち、現役時代の給料や加入期間に応じて金額が変わる部分です。年金額の計算のベースになる数字だと考えてください。
  • 資格喪失——保険や年金に加入する権利がなくなること。死亡の場合は、亡くなった翌日を境に資格がなくなる制度が多くなっています。
  • 免責期間——契約してから一定期間は、特定の事由による保険金の支払いを保険会社が行わない期間のことです。
  • 法定相続情報一覧図——誰が相続人かを法務局が証明してくれる書類です。戸籍謄本の束の代わりに1枚で提出できるため、複数の手続きで戸籍を使い回したいときに便利です。

年金・保険の手続きでつまずきやすいポイント

相談を受けていると、制度の複雑さそのものよりも、次のような「見落とし」でつまずくケースが目立ちます。事前に知っておくと、当日になって慌てずに済みます。

  • マイナンバー登録の有無で必要な行動が変わる——年金受給権者死亡届が省略できるかどうかは、日本年金機構側にマイナンバーが収録されているかで決まります。省略できる場合でも、未支給年金や遺族年金の請求は別に必要という点を混同しやすく、「死亡届を出さなくていいなら何もしなくていい」と誤解して、受け取れるはずのお金を請求し忘れるケースがあります。
  • 複数の年金制度をまたぐと窓口が分かれる——会社員として厚生年金に加入していた期間と、共済組合に加入していた期間の両方がある方は、届出先が年金事務所と各共済組合とに分かれます。地方公務員共済組合から基礎年金の代行払いを受けていた場合など、窓口の判断に迷うケースでは、まず年金事務所かねんきんダイヤルに問い合わせて、どの窓口が担当かを確認するのが早道です。
  • 健康保険の埋葬料は請求しないと振り込まれない——健康保険の埋葬料・家族埋葬料・埋葬費は、資格喪失の手続きをしても自動的には支給されません。申請書を協会けんぽの支部や健康保険組合へ別途提出する必要があり、この一手間を知らずに請求し忘れる方が少なくありません。
  • 生命保険は「向こうから連絡が来ない」——公的な年金・保険と違い、生命保険会社は契約者の死亡を自動的には把握できません。遺族の側から連絡しない限り手続きは始まらないため、実家の整理で保険証券が見つかった時点で速やかに保険会社へ連絡することが大切です。
  • 葬祭費・埋葬料の申請期限は忘れられがち——葬儀直後は死亡届や火葬許可など急ぎの手続きに追われ、葬祭費や埋葬料の請求は後回しになりがちです。期限は2年程度とやや長めに設定されている自治体・制度が多いものの、時間が経つほど記憶や書類の所在が曖昧になるため、四十九日や納骨のタイミングなど、区切りのよい時期に確認する習慣をおすすめします。
  • 年金証書が見当たらなくても請求はできる——実家の整理をしていて年金証書がどうしても見つからないという相談も少なくありません。年金証書がなくても、基礎年金番号やマイナンバーが分かれば手続きを進められる場合があるため、書類が見当たらないことを理由に請求を諦める前に、年金事務所へ相談してみてください。

オンラインでできる手続き・窓口に行く必要がある手続き

手続きのために平日に何度も窓口へ足を運ぶのは、遠方に住んでいる遺族や、仕事を休みにくい方にとって大きな負担です。特に実家が遠方にあり、自分は別の都道府県で暮らしているという場合、窓口の営業時間に合わせて有給休暇を取り、日帰りや一泊で駆けつけるだけでも大きな負担になります。制度によってはオンラインでの申請にも対応しているため、状況に応じて使い分けてください。

  • 年金関係——年金受給権者死亡届や未支給年金の請求は、e-Govの電子申請サイトから、必要書類をPDFやJPEG形式で添付して申請することができます(日本年金機構の案内による)。窓口に行く時間が取りにくい場合は、電子申請の利用を検討してください。
  • 国民健康保険・介護保険関係——自治体によっては、マイナポータルの「ぴったりサービス」などを通じてオンラインで資格喪失届や葬祭費の申請を受け付けている場合があります。対応状況は自治体ごとに異なるため、まずは亡くなった方が住んでいた市区町村のホームページで確認してください。
  • 生命保険関係——近年は多くの保険会社が、死亡の連絡や請求書類の請求を電話・専用フォーム・保険会社のマイページから受け付けています。ただし、死亡診断書のコピーなど原本書類の提出そのものは、郵送や窓口持参が必要になるのが一般的です。
  • 窓口へ行ったほうが早いケース——制度をまたぐ複雑なケース(共済年金と厚生年金の両方に加入していた、事実婚関係にあった等)や、必要書類に不安がある場合は、電話や対面で相談しながら進めたほうが手戻りが少なくなります。年金事務所・年金相談センターは予約制の窓口もあるため、事前予約をしてから訪問すると待ち時間を減らせます。

実家の片付け・相続登記との関係

年金や保険の手続きは、実家じまい全体の中では最初の入り口にあたります。手続きで収集する戸籍謄本や住民票の除票は、相続登記や遺産分割協議の際にも必要になる書類と重なる部分が多く、まとめて動くことで手戻りを減らせます。実家に不動産がある場合、名義が故人のままでは売却や解体の契約を進められないため、年金・保険の手続きと並行して相続登記の見通しを立てておくことをおすすめします。相続登記の期限や過料の扱いは相続登記の義務化とは|期限・過料・実家を相続したらやることで詳しく解説しています。実務では、年金の未支給年金請求で使った戸籍謄本の原本を、そのまま相続登記の添付書類として使い回せる場合があります。窓口ごとに原本の還付を依頼できるかどうかも確認しておくと、同じ戸籍謄本を何度も取得する手間を省けます。

相続人が複数いる場合、実家をどう分けるか(誰が住むか、売却して代金を分けるか)という話し合いも並行して必要になります。遺産分割の進め方や、実家を分割する際の考え方は実家の遺産分割の進め方で紹介しています。年金・保険の手続きが一段落した後、実家の片付けや売却・解体まで見据えている場合は、実家じまい代行サービスのように片付けから処分までを一つの窓口で相談できるサービスを使うと、行政手続きと物理的な片付けを別々の窓口で進める負担を減らせます。相続放棄を検討している場合は、家財の一部でも処分すると単純承認とみなされ、後から撤回できなくなることがあります。放棄を迷っている段階では、片付けに着手する前に司法書士や弁護士へ相談してください。実家が遠方にあり、年金・保険の手続きのために何度も帰省するのが難しいという相談も少なくありません。書類の多くは郵送や電子申請で対応できるため、現地に行かなければならない場面(現地確認が必要な片付けや、対面での相談が必要な複雑な案件など)と、自宅から進められる場面とを切り分けて考えると、限られた時間を効率的に使えます。

よくある質問

年金を受けていた家族が亡くなったら、まず何をすればいいですか?
亡くなった方に日本年金機構へのマイナンバー登録があるかどうかを確認してください。登録済みであれば年金受給権者死亡届は原則不要ですが、登録の有無にかかわらず、未支給年金や遺族年金を受け取れる場合は別途の請求手続きが必要です。届出が必要なケースでは厚生年金は死亡後10日以内、国民年金は14日以内が目安になります。判断に迷う場合は年金事務所またはねんきんダイヤルに問い合わせるのが確実です。
年金受給権者死亡届はいつも提出しないといけませんか?
日本年金機構に亡くなった方のマイナンバーが収録されている場合は、原則として年金受給権者死亡届の提出を省略できます。ただし省略できるのは死亡届のみで、未支給年金や遺族年金の請求手続きは別に必要です。マイナンバーの収録状況が分からない場合は、年金事務所に確認してから手続きを進めることをおすすめします。
健康保険と国民健康保険、後期高齢者医療制度で死後の手続きは違いますか?
違います。会社員などが加入する健康保険は、死亡日の翌日から5日以内に事業主が資格喪失届を提出します。自営業者などが加入する国民健康保険と、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度は、遺族が死亡日から14日以内に市区町村へ資格喪失届を出す必要があります。埋葬料・家族埋葬料・葬祭費といった給付金の名称や金額も制度によって異なるため、亡くなった方がどの制度に加入していたかを最初に確認してください。
生命保険の死亡保険金はいつまでに請求すればいいですか?
保険法では、保険金を請求する権利の消滅時効は原則3年とされており、多くの保険会社の約款もこれに準じています。ただし時効が過ぎた場合でも、事情によっては保険会社が個別に対応するケースもあるため、請求を諦める前にまず加入している保険会社へ連絡してください。加入している保険がわからない場合は、生命保険協会の契約照会制度を使うと、複数の保険会社にまたがって契約の有無を確認できます。
年金や保険の手続きを進めながら、実家の片付けは進めていいですか?
並行して進めて差し支えありません。年金・保険の手続きで集めた戸籍謄本や住民票の除票は、相続登記や実家の売却・解体の手続きにもそのまま使える書類です。ただし相続放棄を検討している場合は、家財の処分が単純承認とみなされ撤回できなくなることがあるため、片付けに着手する前に司法書士や弁護士へ相談しておくと安心です。
年金証書や保険証券が見つからないときはどうすればいいですか?
年金証書がなくても、基礎年金番号やマイナンバーが分かれば年金事務所で手続きを進められる場合があります。保険証券が見つからない場合は、通帳の引き落とし履歴から契約している保険会社を推測するか、生命保険協会の契約照会制度を使って複数の保険会社に契約の有無をまとめて照会する方法があります。実家の整理で書類が見つかった時点でも遅くはないので、廃棄する前に一度確認してください。
労災が原因で亡くなった場合も、健康保険の埋葬料を請求すればいいですか?
業務上の事由や通勤災害が原因で亡くなった場合は、健康保険の埋葬料ではなく労災保険の遺族(補償)給付や葬祭料(葬祭給付)の対象になります。制度が異なり請求先も労働基準監督署になるため、死亡の原因が業務に関連する可能性がある場合は、勤務先を通じて労働基準監督署に確認することをおすすめします。

まとめ

年金・保険の死後手続きは、制度の数だけ窓口と期限が分かれています。要点を振り返ります。

  • 年金受給権者死亡届はマイナンバー登録済みなら原則省略。厚生年金10日・国民年金14日以内が目安
  • 未支給年金・遺族年金・寡婦年金は死亡日から5年以内、死亡一時金は死亡日の翌日から2年以内に請求する
  • 健康保険の資格喪失届は事業主が5日以内、国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険は遺族が14日以内に市区町村へ
  • 埋葬料・家族埋葬料は各50,000円、埋葬費は実費で上限50,000円(全国健康保険協会)。葬祭費は自治体ごとに金額が異なる
  • 生命保険金の請求権の時効は原則3年。契約先が不明な場合は生命保険協会の契約照会制度を使う
  • 税金の要否は死亡保険金・遺族年金・未支給年金でそれぞれ異なるため税理士へ相談する
  • 年金・保険の手続きで集めた戸籍謄本は相続登記にも使える。実家の名義変更・片付けと並行して進めると手戻りが少ない
  • 高額療養費の還付や労災保険の遺族給付など、状況によって別枠の給付が残っていないかもあわせて確認する

手続きの数が多いほど、どこから手をつければよいか分からなくなりがちですが、期限の短いものから順にこなしていけば、大きく取りこぼすことはありません。実家に不動産や家財が残っている場合は、年金・保険の手続きと並行して相続登記や片付けの見通しを立てておくと、後になって「名義が変わっていなくて売却できない」といった手戻りを防げます。手続きを進める中で判断に迷う点が出てきたら、年金は年金事務所、健康保険や介護保険は市区町村の窓口、生命保険は契約先の保険会社というように、制度ごとの窓口に早めに確認する姿勢が、結果的に一番の近道になります。実家じまい全体の進め方は実家じまい代行サービスのページもあわせてご覧ください。

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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