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現状渡しとは|空き家売却の契約不適合責任と残置物の扱い【司法書士監修】

最終更新日:2026年10月19日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 「現状渡し」とは、不具合も残置物もそのままの状態で引き渡す売却方法です。ただし残置物を残せるかどうかは契約内容次第で、何も決めずに「現状渡し」と口約束するのはトラブルの元になります。
  • 現状渡しでも契約不適合責任は自動的には免除されません。免責するには契約書に明確な特約が必要で、特約があっても「知っていて黒く隠した欠陥」は責任を免れません。
  • 判断軸はシンプルです。①片付けてから仲介で売る、②残置物ごとそのまま買取に出す、③有料で引き取ってもらう——この3つを「手取り額」で比べることです。片付け費用・解体費用・時間的制約を含めて比較すると、見た目の売却価格だけでは分からない損得が見えてきます。片付け不要・複数社査定で比較したい場合は空き家買取(片付け不要・複数社査定)から相談できます。
  • 当事務局は宅地建物取引業者ではありません。売却・買取のお手続きは提携の宅地建物取引業者が担当し、当事務局は窓口の整理と残置物の片付け・仕分けを担当する体制です。
目次

「現状渡し」とは何か?空き家売却での意味

「現状渡し(現況渡し・現状有姿)」とは、売却する不動産を補修・改修せず、売買契約を結んだ時点の状態のまま買主に引き渡す売却方法を指します。雨漏りやシロアリ被害、設備の故障などがあっても、売主が直す義務を負わないという意味で使われることが多く、空き家や実家の売却では「古い家をそのまま売りたい」というニーズから選ばれる方式です。

ここで注意したいのは、「現状渡し=残置物(家具・家電・衣類・仏壇などの動産)を残したまま引き渡せる」という意味ではないという点です。残置物の扱いは別の話で、契約書に「本物件は売主の責任と負担において残置物を撤去のうえ引き渡す」という条文が入るのが一般的です。残置物を残したまま引き渡したい場合は、その旨を契約書に明記し、買主の合意を得ておく必要があります。「現状渡しだから片付けなくていい」という思い込みで進めると、引き渡し後に「残置物の処分費用を請求された」というトラブルにつながります。

「現状渡し」と「現状有姿」の違い

不動産業界では「現状渡し」「現状有姿」はほぼ同じ意味で使われます。契約書では「現状有姿のまま」という表現が使われることが多く、建物の構造・設備・外観だけでなく、敷地の状態(庭木・ブロック塀・井戸・浄化槽など)を含めて「今のまま」引き渡すことを意味します。地中埋設物や土壌汚染の有無など、見えない部分の扱いまで含むかどうかは契約書の記載次第で変わるため、「現状渡し」という言葉だけに頼らず、契約書の条文で範囲を確認することが重要です。井戸・浄化槽がある家を売却する場合の告知義務や買取との比較は井戸・浄化槽がある家の売却|埋め戻し費用と告知義務、買取と仲介の比較も参考になります。

現状渡しでも契約不適合責任は免除されない

「現状渡しなら売主は一切責任を負わない」と誤解されがちですが、これは正確ではありません。民法では、引き渡された物件が契約内容に適合しない場合、買主は売主に対して契約不適合責任を追及できます。現状渡しという取引方法そのものが、この責任を自動的に免除するわけではありません。

契約不適合責任を免除・限定するには、契約書に「売主は契約不適合責任を負わない」といった免責特約を明記する必要があります。ただし免責特約があっても、売主が引き渡し時に知っていながら買主に告げなかった欠陥については、免責が認められないのが一般的な考え方です。つまり「知っている不具合は、現状渡しでも伝える義務がある」という点は変わりません。契約不適合責任で買主が請求できる内容や、空き家売却における回避策の詳細は契約不適合責任と空き家売却|買主の請求4種類・回避策・買取との比較で整理しています。

買取業者に売る場合は契約不適合責任を免責できることが多い

個人の買主に対しては免責特約があっても「知っていた欠陥」は免責されませんが、不動産会社(買取業者)が買主になる場合は、契約不適合責任を全面的に免責する契約条件を提示されることがあります。買取業者は転売や再生を前提に価格を決めているため、「古い家をそのまま、責任の心配なく売りたい」というニーズには空き家買取が選択肢になります。

残置物はどう扱う?「片付けてから売る」か「残したまま売る」か

残置物(家具・家電・衣類・仏壇・庭木・倉庫の中身など)の扱いは、売却方法によって大きく変わります。残置物の扱いだけに絞った判断基準やチェックリストは残置物はそのまま売却できる?片付けと買取どちらが得か手取りで比較で詳しく解説していますが、ここでは「現状渡し」との関係に絞って整理します。

売却方法 残置物の扱い 契約不適合責任 向いているケース
仲介(片付けてから売却) 売主が事前に撤去するのが原則 個人の買主には基本的に負う(特約で限定可) 時間をかけられる/高めの価格を狙いたい
買取(残置物そのままで買取) 残したまま引き渡せることが多い 免責されることが多い 片付けの時間・体力がない/早く現金化したい
有料引き取り(不要物として引き渡す) 家そのものを「処分扱い」で引き渡す 実質的に問わない運用が多い 老朽化が進み資産価値がほぼない

この3つのうち、どれが「得」かは物件の状態と片付けにかかる費用・時間で変わります。片付けを先に済ませる場合、仕分け・搬出・ご供養・不要品回収までを一つの窓口で進めたい場合は実家じまい代行、仏壇・位牌など供養が絡む遺品の整理を含めたい場合は遺品整理サービスでの相談が窓口になります。

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片付けてから売る場合と、そのまま買取に出す場合の手取りを、写真を送るだけで概算比較できます。

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売却の判断:片付けて売る・そのまま買取・手取りで比較する

「現状渡し」を選ぶかどうかの本質的な判断は、「片付けてから高く売る」か「そのまま早く売る」かという手取り額の比較です。以下は一般的な傾向を示す簡易シミュレーションです(実際の金額は物件の状態・地域・時期で変わるため、必ず複数社の査定・見積もりで確認してください)。

比較項目 片付けて仲介で売却 残置物ごと買取
売却価格の傾向 相場に近い価格を狙いやすい 相場より低めになりやすい
片付け・解体費用 売主が事前に負担(数万円〜百万円超) 原則不要(買取価格に含まれることが多い)
成約までの期間 数カ月〜1年以上かかることもある 数週間〜1カ月程度で現金化しやすい
契約不適合責任のリスク 引き渡し後も請求されるリスクが残る 免責されることが多く安心感がある

片付け費用が高額になりそうな物件(残置物が多い・庭木の処理が必要・倉庫がある等)では、片付け費用を差し引いた「手取り」で比較すると、見た目の売却価格差が縮まる、あるいは逆転することがあります。判断に迷う場合は、片付け不要で複数社の査定を比較できる空き家買取と、仲介を前提とした実家の売却の両方で見積もりを取り、手取り額で比較するのが確実です。

空き家の売却にかかる税金と特例【国税庁】

空き家・実家を売却した際の譲渡所得(売却益)には、所得税・住民税がかかります。国税庁の一次情報に基づく主な制度は次の2つです。

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例【最大3,000万円控除】

相続または遺贈により取得した家屋・敷地等を一定期間内に売却し、要件を満たす場合、譲渡所得から最高3,000万円を控除できる特例があります(令和6年1月1日以後の譲渡で、取得した相続人が3人以上の場合は2,000万円が上限)。主な要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、被相続人が譲渡直前まで一人で居住していたこと、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること、売却代金が1億円以下であることなどです。詳細な要件・期限は国税庁タックスアンサー「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」で必ず確認してください。

取得費が分からない場合の「概算取得費5%ルール」

譲渡所得は「売却価格-(取得費+譲渡費用)」で計算します。実家を古い時期に購入していて購入時の契約書が見つからない場合、取得費が分からず譲渡所得が実際より大きく算出されてしまうことがあります。この場合、実際の取得費が売却価格の5%に満たないときは、売却価格の5%を取得費として計算できるという取り扱いがあります。この取り扱いは国税庁タックスアンサー「No.3258 取得費が分からないとき」で示されています。取得費が不明な実家売却における税金面の詳しい計算は取得費が不明な実家売却|概算取得費5%ルールの仕組みと税金で損しない調べ方で解説しています。

税額の判断は個々の家庭の事情によって大きく変わります。この記事で断定的な控除額・税額を計算することは避け、具体的な適用の可否や計算は税務署または税理士に確認することをおすすめします。

相続登記は済んでいますか?【法務局】

売却の前提として、不動産の名義(登記)が亡くなった方のまま(未登記)になっていないかの確認が必要です。令和6年4月1日から相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請をしないと、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。相続登記をしないままでは不動産を売却することができないため、残置物の片付けや現状渡しの検討と並行して、早めに名義の確認を進めておくことが重要です。制度の詳細は法務局の案内ページで確認できます(参照:法務局「相続登記が義務化されました」)。相続した不動産の名義変更から売却・税金・分け方までの全体の流れは相続した不動産を売却する流れ|名義変更から税金・分け方まで全手順で確認できます。

「管理不全空き家」に指定されるとどうなるか【国土交通省】

「とりあえず現状渡しで売ればいい」と後回しにしている間に、空き家を放置していると行政上の不利益を受けることがあります。令和5年の空家法改正により、そのまま放置すれば「特定空家等」に該当するおそれがある空き家は「管理不全空家等」として市区町村から指導・勧告の対象になります。

市町村はまず指導を行い、改善されない場合は勧告を行うことができます。勧告を受けると、住宅用地としての固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)が受けられなくなり、結果として固定資産税の負担が大きく増える可能性があります。制度の詳細は国土交通省の特設サイトで確認できます(参照:国土交通省「空き家対策特設サイト」)。売却の判断を先延ばしにするほど、こうした行政上のリスクが積み重なっていく点は押さえておく必要があります。

「管理不全空家等」と「特定空家等」の違い

空家法上、「管理不全空家等」は「このまま放置すれば特定空家等に該当するおそれがある状態」の空き家を指し、「特定空家等」はさらに進んで倒壊の危険性や衛生上の問題が著しい状態にある空き家を指します。管理不全空家等の段階で指導・勧告を受けることで固定資産税の軽減措置が外れるため、「まだ特定空家ではないから大丈夫」と考えるのではなく、管理不全空家等の段階で対応を検討することが望ましいとされています。現状渡しでの売却を含め、空き家をどう処分するかの判断は、この行政上の段階が進む前に動くほど選択肢が広く残ります。

全国の空き家はどれだけ増えているか【総務省】

総務省の「住宅・土地統計調査」は5年ごとに実施される一次統計で、全国の空き家数・空き家率の推移を把握できる調査です。調査結果は総務省統計局のサイトで公開されており、都道府県別の空き家率の違いも確認できます(参照:総務省統計局「住宅・土地統計調査」)。地域によって空き家率や売却のしやすさには差があるため、自分の実家がある地域の空き家買取・売却事情を踏まえて判断することが大切です。例えば神奈川県のように人口集中地域と郊外が混在する地域では、同じ県内でも立地によって買取・仲介の選びやすさが変わります。地域ごとの買取事情は神奈川県の空き家買取のようなエリア別の案内も参考にしてください。

手取りで比較する:簡易シミュレーションの考え方

片付け費用・解体費用を含めた「手取り」で比較する考え方を、仮の数字を使って確認します。以下はあくまで考え方を示す簡易的な例であり、実際の金額は物件の広さ・残置物の量・地域の相場によって大きく変わります。必ず複数社の見積もりで実際の金額を確認してください。

項目 片付けて仲介で売却(例) 残置物ごと買取(例)
想定売却価格 相場に近い価格 相場より低めの価格
片付け・残置物処分費用 売主負担で発生 原則0円(買取価格に含まれる想定)
仲介手数料・諸費用 売却価格に応じて発生 買取では仲介手数料が発生しない契約が多い
成約までの期間 長くなりやすい 短くなりやすい
最終的な「手取り」の考え方 売却価格-片付け費用-仲介手数料等 買取価格(片付け費用・仲介手数料を含めず計算できることが多い)

この表が示すのは「買取のほうが常に得」という結論ではなく、片付け費用・仲介手数料・期間というコストを含めて初めて正しい比較ができるという考え方です。残置物が少なく建物の状態が良い実家であれば、手間をかけて仲介で売却したほうが手取りが大きくなるケースもあります。逆に、残置物が多く老朽化が進んでいる実家では、片付け費用を考慮すると買取のほうが手取りで有利になることが少なくありません。どちらが自分の実家に当てはまるかは、片付け不要で査定できる空き家買取と、仲介を前提とした実家の売却の両方で見積もりを取り、実際の数字で比較するのが確実です。

ケース別シミュレーション:自分の場合はどう判断するか

残置物の量や物件の状態によって、最適な選択は変わります。3つの典型的なケースで考え方を整理します。

ケースA:残置物が多く、片付けの時間が取れない実家

遠方に住んでいて片付けの時間を確保できない場合や、残置物の量が多く片付け費用が高額になりそうな場合は、残置物ごと引き渡せる買取を優先的に検討する価値があります。片付け費用を差し引いた手取りで比較すると、買取のほうが結果的に有利になることが少なくありません。

ケースB:すでに片付けが済んでいて、建物の状態も悪くない実家

残置物がほとんどなく、建物の傷みも軽微な場合は、インスペクション(住宅診断)を受けたうえで仲介による売却を目指す余地があります。契約不適合責任のリスクを抑えるため、分かっている不具合は契約書の告知事項にすべて記載しておくことが重要です。

ケースC:老朽化が進み、解体を検討するレベルの実家

建物の資産価値がほとんどなく、解体を前提に検討している場合は、建物付きのまま買取に出す、更地にしてから売却する、有料での引き取りを検討するなど複数の選択肢を比較する必要があります。解体費用の相場や管理不全空き家に指定されるリスクも踏まえて、早めに方針を決めることをおすすめします。

現状渡しで売却する前の実務チェックリスト

現状渡しでの売却を検討する際、着手前に確認しておきたい項目を一覧にしました。印刷して、不動産会社との打ち合わせ前の確認用にご活用ください。

確認項目 チェックのポイント
相続登記の状況 名義が亡くなった方のままになっていないか、法務局で確認する
残置物の扱いの方針 片付けてから売るか、残したまま買取に出すかを先に決める
把握している不具合のリストアップ 雨漏り・シロアリ・設備故障など分かっている欠陥を書き出す
契約書への告知事項の記載 把握している不具合を告知書・契約書に明記する
契約不適合責任の免責特約の確認 免責特約の有無と、免責されない「知っていた欠陥」の範囲を確認する
空き家特例の適用可否 3,000万円控除の要件(築年・居住実績・期限)を税務署・税理士に確認する
取得費が分かる資料の有無 購入時の契約書が見つからない場合は概算取得費5%ルールの対象になる
管理不全空き家の指定リスク 自治体から指導・勧告を受けていないか確認する
買取・仲介・有料引き取りの手取り比較 片付け費用・解体費用を含めた手取り額で複数の方法を比較する

このチェックリストのうち、特につまずきやすいのが「残置物の扱いの方針」と「把握している不具合のリストアップ」です。この二つを曖昧にしたまま契約を進めると、引き渡し後に「現状渡しのはずなのに」というトラブルに発展しやすくなります。着手前の段階で方針を固めておくと、後々の負担を減らせます。

現状渡しでよくあるトラブルとその防ぎ方

「現状渡し」は、言葉のイメージだけで進めると誤解が生まれやすい取引方法です。事務局として実家じまいのご相談を受ける中でよく耳にするパターンと、その防ぎ方を紹介します。

  • 「現状渡しだから片付けなくていい」という思い込み——残置物の撤去義務は現状渡しとは別の契約条件です。残すものがあるなら、契約書に明記して買主の合意を取っておく必要があります。
  • 「現状渡しだから責任を負わない」という思い込み——契約不適合責任は自動的には免除されません。免責特約を結び、かつ知っている欠陥はすべて告知することが、後のトラブルを防ぐ最も確実な方法です。
  • 不具合を黒く隠したまま売却してしまう——免責特約があっても、知っていて告げなかった欠陥については責任を免れないとされています。小さな不具合でも、把握している範囲は契約書に書き残してください。
  • 相続登記をせずに売却の話を進めてしまう——名義が変わっていないと売却できません。相続登記は義務化され、期限内に行わないと過料の対象になることもあるため、早めに司法書士へ相談してください。
  • 片付け費用を見積もらずに「買取は安い」と決めつけてしまう——片付け費用・解体費用を含めた手取りで比較しないと、本当に得な方法を見誤ります。複数の方法で見積もりを取り、手取り額で比較することが重要です。

こうしたトラブルの多くは、「現状渡し」という言葉の範囲を契約書で明確にし、分かっている情報をすべて開示することで防げます。急いで一つの方法に決めようとせず、片付け・買取・仲介の手取りを比較してから進めることが、結果的に一番の近道になります。

片付けと売却をまとめて進める方法

実際には、残置物の片付けと売却の判断を別々に進めるより、並行して進める家庭がほとんどです。安心実家じまいでは、仕分け・搬出・ご供養までの片付けと、提携の宅地建物取引業者による買取・仲介の窓口整理を、一つの窓口でご相談いただけます。当事務局自身が不動産の買主・仲介業者になるわけではなく、提携の宅地建物取引業者が買取・仲介を担当し、当事務局は窓口の整理と残置物の片付け・仕分けを担当する体制です。遠方にお住まいで立ち会いが難しい場合も、鍵をお預かりして進める方法があります。

片付けを先に進めたい場合は実家じまい代行、仏壇や遺品の整理を中心に進めたい場合は遺品整理サービスからご相談ください。売却・買取の窓口を先に相談したい場合は、片付け不要で複数社の査定を比較できる空き家買取、仲介を前提とした売却は実家の売却をご覧ください。

よくある質問

現状渡しなら残置物を残したまま売却できますか?
現状渡しという言葉自体は、建物の状態をそのまま引き渡すという意味であり、残置物を残せるかどうかは別の話です。多くの契約では売主が残置物を撤去して引き渡すことが前提となっており、残したまま引き渡したい場合は契約書にその旨を明記し、買主の合意を得る必要があります。「現状渡しだから片付けなくていい」という思い込みは、引き渡し後のトラブルの原因になります。
現状渡しで売却すれば、契約不適合責任を負わなくて済みますか?
現状渡しという取引方法そのものが契約不適合責任を免除するわけではありません。責任を免除・限定するには契約書に免責特約を明記する必要があり、特約があっても売主が知っていて買主に告げなかった欠陥については免責が認められないのが一般的な考え方です。分かっている不具合は、必ず契約前に告知してください。
片付けてから売るのと、そのまま買取に出すのはどちらが得ですか?
一概にはいえません。片付け費用や解体費用を差し引いた「手取り額」で比較することが重要です。残置物が多く片付け費用が高額になりそうな場合は、残したまま買取に出すほうが手取りで有利になることがあります。建物の状態が良く片付けも少ない場合は、仲介での売却を目指す余地もあります。複数の方法で見積もりを取り、手取りで比較することをおすすめします。
相続した空き家を売ると税金はどのくらいかかりますか?
譲渡所得(売却益)に応じて所得税・住民税がかかりますが、具体的な税額は取得費の分かり方や特例の適用可否によって大きく変わります。被相続人の居住用財産を売ったときの特例(最大3,000万円控除)が使える場合もあるため、断定的な金額をこの記事でお伝えすることは避け、国税庁のタックスアンサーを確認したうえで、税務署または税理士に相談することをおすすめします。
「現状渡し」と「瑕疵担保責任」はどう違いますか?
瑕疵担保責任は改正前の民法上の用語で、現在は「契約不適合責任」に名称・内容が整理されています。現状渡しという取引方法自体は、どちらの制度のもとでも契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)を自動的に免除するものではありません。免除するには契約書に免責特約を明記する必要があるという考え方は、名称が変わっても共通しています。
「現状渡しで売ります」と言われたら、買主としては何を確認すべきですか?
買主の立場では、残置物が残るかどうか、分かっている不具合が告知書に記載されているか、契約不適合責任の免責特約があるかどうかの3点を必ず確認してください。特に免責特約がある場合でも、売主が知っていて告げなかった欠陥については責任を追及できる可能性があるため、気になる点は契約前に売主・不動産会社へ質問しておくことをおすすめします。

まとめ

「現状渡し」は、不具合も残置物もそのままの状態で引き渡す売却方法を指しますが、残置物の扱いと契約不適合責任は、現状渡しという言葉だけでは解決しない別の論点です。要点を振り返ります。

  • 現状渡しは「補修せず今の状態で引き渡す」という意味。残置物を残せるかどうかは契約書の記載次第
  • 契約不適合責任は現状渡しでも自動的には免除されない。免責するには特約が必要で、知っていた欠陥は免責されない
  • 残置物は「片付けて仲介」「残したまま買取」「有料引き取り」の3択。片付け費用を含めた手取りで比較する
  • 空き家特例(最大3,000万円控除)と概算取得費5%ルールは国税庁タックスアンサーで要件を確認する
  • 相続登記は義務化されており、名義が変わっていないと売却できない
  • 管理不全空き家に指定されると固定資産税の軽減措置が外れる可能性があるため、放置せず早めに判断する

現状渡しに正解の形はありません。物件の状態や片付けにかけられる時間、税金面の条件を踏まえて、無理のない範囲で判断していただければ十分です。判断に迷う場合や、相続登記・税金に関わる手続きが絡む場合は、一人で抱え込まず、司法書士や税理士など専門家に相談してください。

読むより、聞いたほうが
早いこともあります

片付けてから売る場合と、そのまま買取に出す場合の手取りを、写真を送るだけで概算比較できます。ご相談・お見積もりは無料です。

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

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