
久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士
東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。
監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール
税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。
■経歴
- 1966年鹿児島県生まれ
- 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
- 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
- 2013年司法書士試験合格
- 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
- 2017年司法書士法人コスモ退職
- 2018年事務所開設
- 2021年司法書士法人設立
■得意領域
- 相続登記・相続手続き
- 不動産の名義変更
- 相続放棄
- 簡易裁判所の訴訟代理
この記事の結論
- 相続した底地(貸している土地)の売却相場は、売却先によって「更地価格の10%〜50%」と大きく変わります。借地人への売却が最も高く、買取業者への売却が最も早く確実です。
- 底地には家屋がないか、家屋は借地人の所有であることが多く、空き家特例(3,000万円特別控除)は原則として使えません。相続した財産の種類によって使える制度が異なるため、まず「底地だけ」か「家屋付きの実家」かを区別してください。
- 判断に迷う場合は、「借地人に買ってもらう」「専門業者に買取してもらう」「そのまま持ち続けて地代を受け取る」の3択を、手取り額と手間で比べるのが最短の近道です。片付けが絡む実家の処分は、空き家買取(片付け不要・複数社査定)に相談すると比較がスムーズです。
- 相続登記が未了のままでは底地を売却できません。2024年4月からの相続登記義務化(期限内に登記しないと10万円以下の過料)にも関わるため、早めに司法書士へ相談してください。
底地とは何か?借地権・借地人との関係を整理する
底地(そこち)とは、地主が他人に貸している土地のうち、その「土地の所有権」部分を指す言葉です。土地を借りて建物を建てている人(借地人)は「借地権」という権利を持ち、地主は「底地」という権利を持つという形で、1つの土地の権利が借地人と地主の間で分かれているのが底地の最大の特徴です。
相続で底地を引き継ぐケースでよくあるのは、次のような状況です。
- 親が先代から受け継いだ土地を、何十年も前から近隣の方に貸していた
- 借地人が建てた家が今もそこに建っている(地主の家屋ではない)
- 地代(じだい)は毎月・毎年わずかな金額しか入ってこない
- 相続人は底地がどこにあるか、借地契約がどうなっているかをよく把握していない
底地は「自分の土地なのに自由に使えない」「売ろうとしても買い手が限られる」という特殊な資産です。まず、底地と借地権の関係、そして相続における注意点を理解した上で、売却の判断に進みましょう。
借地権には3つの種類があり、売却のしやすさが変わる
| 借地権の種類 | 特徴 | 底地売却への影響 |
|---|---|---|
| 旧法借地権 | 1992年の借地借家法施行前に設定。借地人の権利が非常に強く、更新を地主が拒むのは難しい | 借地人の権利が強いため、底地だけの売却では買い手が限られやすい |
| 普通借地権(新法) | 1992年以降に設定。存続期間や更新のルールが法定されているが、正当な理由がないと地主から更新拒絶しにくい | 旧法と同様、半永久的に借地人が住み続ける前提で評価される |
| 定期借地権 | 契約で定めた期間(一般的に50年以上)で確定的に終了し、更新がない | 契約終了時期が明確なため、投資家からの評価が比較的つきやすい |
相続した底地がどの借地権にあたるかは、借地契約書で確認します。契約書が見当たらない場合でも、契約が古い(1992年8月1日より前に設定された)ものであれば旧法借地権として扱われるのが一般的です。契約内容が不明な場合は、司法書士や底地取引に詳しい不動産会社に相談し、権利関係を整理してから売却を進めてください。
底地の買取相場は売却先によって大きく変わる【比較表】
底地の売却価格(買取相場)は、「同じ土地が更地だったときの価格(更地価格)」の何パーセントか、という形で示されるのが一般的です。売却先ごとの相場の目安は次のとおりです。
| 売却先 | 買取相場の目安(更地価格比) | 特徴 |
|---|---|---|
| 借地人への売却 | 約50%程度 | 借地人が底地を買えば、自分の借地権と合わせて土地の完全な所有権になるため、他の売却先より高く買ってもらえる可能性が高い。ただし借地人に買う意思・資金力がないと成立しない |
| 専門の底地買取業者への売却 | 約10〜20%程度 | 借地人との交渉・地代回収・将来のトラブル対応まで含めて業者が引き取る。価格は低めだが、現金化が早く、権利関係の整理を自分でしなくてよい |
| 仲介を通じた投資家への売却 | 約10〜30%程度(専門仲介では40〜50%程度まで伸びる例もある) | 買い手が見つかるまで時間がかかる。投資家は地代収入の利回りで判断するため、地代が低いと価格も伸びにくい |
この相場の差が生まれる理由は、底地を買った人が得られる権利の範囲が違うためです。借地人が買えば「完全な所有権」になりますが、業者や投資家が買っても「借地人付きの土地」のままで、自由に建物を建てたり転売したりできません。そのため、同じ土地でも買い手によって評価が大きく変わります。
なお、これらの数値はあくまで一般的な目安であり、借地権の種類・地代の水準・借地人との関係性・土地の立地や形状によって個別に変動します。具体的な金額は、底地取引の実績がある不動産会社に査定を依頼して確認してください。
底地価格のおおまかな計算方法
底地の価格は、次のような考え方で計算されるのが一般的です。
- 更地価格を調べる:周辺の取引事例や、国税庁が公開する路線価(相続税路線価)を使って、その土地が更地だった場合の価格を把握する
- 底地割合(または借地権割合)を掛ける:相続税路線価図には、地域ごとに借地権割合(A〜Gの記号で表示。おおむね30〜90%)が示されており、底地割合はその残り(10〜70%)として簡易的に把握できる
- 地代の水準・利回りで補正する:投資家や業者に売る場合は、地代収入をもとにした利回りでさらに価格が調整される。地代が相場より低い底地は、計算上の底地割合よりも低い価格になりやすい
相続税路線価と借地権割合は、国税庁の路線価図・評価倍率表のページで地域を指定して確認できます。正確な評価や売却価格の算定は、底地専門の不動産会社・税理士に相談することをおすすめします。
底地の相続と空き家特例・取得費の関係【一次情報で確認】
底地を相続した場合に気をつけたいのが、「空き家の売却に使える税金の特例が、底地にはそのまま使えないことが多い」という点です。制度ごとに対象が異なるため、一次情報で確認した内容を整理します。
空き家の3,000万円特別控除(空き家特例)は、原則として底地のみの売却には使えない
国税庁タックスアンサー No.3306「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」によれば、この特例は「相続又は遺贈により取得した被相続人居住用家屋又は被相続人居住用家屋の敷地等を、相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売った場合」に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。適用には、被相続人が亡くなる直前にその家屋に一人で住んでいたことなど、複数の要件があります(国税庁タックスアンサー No.3306)。
この特例の対象は「被相続人が住んでいた家屋」とその敷地です。底地(地主として人に貸していた土地)には、通常、被相続人自身が住んでいた家屋がありません。借地人が自分の建物を建てて住んでいるケースがほとんどのため、底地だけを売却する場合は、空き家特例の対象にならないのが原則です。「実家が空き家になったので特例で売ろう」という考え方と、「貸していた底地を売る」という考え方は、税制上まったく別の話として整理する必要があります。
一方で、相続財産の中に「被相続人自身が住んでいた家屋とその土地(自己所有地)」と「別の場所にある底地」の両方が含まれる場合は、家屋とその土地の部分についてのみ空き家特例の対象になり得ます。該当するかどうかは、国税庁の該当ページ、または税務署・税理士に確認してください。
取得費が分からない底地は「概算取得費5%ルール」で計算する
底地を売却したときの譲渡所得(売却益)は、「売却額 −(取得費 + 譲渡費用)」で計算します。先代から長年借地人に貸していた底地は、いつ・いくらで取得したかの記録が残っていないことが非常に多く、この場合は国税庁タックスアンサー No.3302「取得費が分からないとき」にある概算取得費のルールを使います。具体的には、取得費が不明な場合、売却価格の5%を取得費として計上できるという考え方です(国税庁タックスアンサー No.3302)。
取得費が実際より低く見積もられると、譲渡所得(課税対象額)が大きくなり、納める税金が増えてしまいます。古い売買契約書・購入時の領収書・先代が作成した資料などが残っていないか、相続した家の中を確認し、見つかった資料は売却前に税理士へ見せて取得費として使えるか確認することをおすすめします。
相続登記の義務化(法務局)と底地売却の関係
底地を売却するには、まず相続人の名義に相続登記を済ませておく必要があります。法務局の案内によれば、2024年4月1日から相続登記の申請が義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から原則3年以内に登記申請をしないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象となる可能性があります(法務局「相続登記が義務化されました」)。底地は家屋よりも「後回しにされやすい」資産であるため、相続発生後は早めに名義を確認し、未登記のまま放置しないようにしましょう。相続人が複数いる場合は、誰が底地を引き継ぐかを話し合ってから登記する必要があるため、司法書士への相談を早い段階で行うとスムーズです。
管理されていない底地・借地は「管理不全空家等」の対象になることもある
借地人が建物を解体して更地のまま放置している、あるいは借地人が亡くなって建物が空き家化しているなど、底地の上の建物の管理状態が悪化しているケースもあります。国土交通省の空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)の改正により、放置すれば「特定空家等」になるおそれのある空き家は「管理不全空家等」として市区町村から指導・勧告の対象になり、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなる場合があります(国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法」関連資料)。底地の上の建物が借地人所有であっても、地主として状況を把握しておくことは、将来のトラブル予防とリスク管理の両面で重要です。
底地をどうするか:3つの選択肢を手取りで比較する
相続した底地の扱いには、大きく3つの選択肢があります。「売る」「そのまま貸し続ける」「手放す(無償・低額での引き取りも含む)」のそれぞれについて、手取り額とかかる手間を比較しました。
| 選択肢 | 手取りの目安 | かかる手間・期間 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 買取(底地買取業者・空き家買取業者) | 更地価格の10〜20%程度(借地人が買う場合は50%程度) | 短い(早ければ数週間〜1〜2ヶ月)。査定・契約・引渡しのみ | 早く現金化したい、借地人との交渉を自分でしたくない、相続税の納税期限が迫っている |
| 仲介(不動産会社を通じた売却) | 買取より高くなる可能性があるが、買い手が見つかるまで不確定 | 長い(数ヶ月〜1年以上かかることもある)。買い手探し・交渉が必要 | 時間に余裕があり、少しでも高く売りたい。借地人との関係が良好 |
| そのまま持ち続ける(地代を受け取る)/無償での引き取り先を探す | 地代収入は得られるが固定資産税・管理の手間が継続。無償引き取りは手取りゼロ〜持ち出しもある | 継続的(毎年)。相続人が複数いる場合は管理者を誰にするかで調整が必要 | 地代と税負担のバランスが取れている、借地人との関係が安定していて急いで売る理由がない |
当事務局は宅建業者ではないため、底地そのものの買取や仲介は提携の宅建業者が担当し、当事務局は相続人からのご相談の窓口と、底地上の建物に残された家財・遺品の片付けを担当する形でサポートしています。「片付けてから売るか、そのまま買取してもらうか、手取りで比べてから決める」という判断軸で進めるのが、後悔のない選び方です。片付けを含めた進め方は空き家買取(片付け不要・複数社査定)から、まずは概算の比較をご相談いただけます。
「借地人に買ってもらう」交渉のすすめ方
底地を最も高く売れる可能性があるのは、借地人への売却です。借地人にとっても、底地を買えば地代の支払いがなくなり、土地を自由に使える・担保に入れられるというメリットがあるため、交渉がまとまりやすいケースがあります。進め方の基本は次のとおりです。
- 借地人に「底地を売りたい」という意向を、相続登記が済んだ段階で早めに伝える
- 一方的に高い価格を提示せず、不動産会社や司法書士など第三者を交えて適正な価格の目安を示す
- 借地人に資金力がない場合は、分割払いや、借地人側での金融機関の借入れも含めて相談する
- 話がまとまらない場合は、無理に押し進めず、買取業者・仲介という他の選択肢に切り替える
借地人との関係が良好でない、あるいは地代の滞納が続いているなど、直接交渉が難しい事情がある場合は、最初から専門の底地買取業者に相談し、交渉を代行してもらう方法も有効です。
片付けが必要な底地付き不動産のケース
相続した底地に古い建物が残っている、あるいは借地人が退去した後の空き家が残っているなど、売却前に片付けが必要になるケースもあります。片付けの要否によって進め方が変わります。
| ケース | 片付けの必要性 | 進め方の目安 |
|---|---|---|
| 借地人が今も住んでいる(建物は借地人所有) | 地主側の片付けは基本的に不要 | 底地部分のみを借地人・業者・投資家に売却する交渉を進める |
| 借地人が退去し、建物(借地人所有)が残っている | 建物の解体・片付けは原則借地人側の責任。契約内容を確認する | 借地契約書で原状回復義務の範囲を確認し、必要なら借地人・相続人双方で話し合う |
| 地主自身が所有する家屋が建っていた土地を含めて相続した(底地と自己所有地が混在) | 自己所有部分の家財・遺品の片付けが必要 | 片付けと売却を同時に進める。片付け後に空き家買取・実家の売却の相談に移る |
地主として相続した不動産の中に、家財や遺品の片付けが必要な建物が含まれている場合は、実家じまい代行や遺品整理のサービスで、仕分け・搬出・ご供養までまとめて依頼できます。底地部分の売却交渉と、建物内の片付けは別の専門家が担当することが多いため、当事務局では両方の進め方を整理したうえで、適切な専門業者におつなぎします。
売却の判断:底地だけでなく「実家全体」での比較も検討する
相続した不動産が、底地だけでなく、被相続人が住んでいた実家(自己所有の家屋とその土地)もセットになっている場合は、底地部分とは別に、実家の売却方法も検討する必要があります。実家の売却は空き家特例などの税制優遇が使える可能性があるため、底地と分けて考えることが大切です。買取と仲介、どちらが向いているかを比較検討する際は、実家の売却のページで、手取り額の違いや進め方を確認してください。
特に、相続人が複数いて「底地は売って現金で分けたいが、実家の建物は誰か一人が住み続けたい」というようなケースでは、底地・実家をそれぞれ個別に判断し、分割の方法を遺産分割協議で決めておく必要があります。
ケース別に見る底地売却の進め方
ケース1:相続税の納税期限が迫っていて、早く現金化したい
相続税は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に申告・納税する必要があります。底地は仲介で買い手を探すと時間がかかりやすいため、納税資金を確保する必要がある場合は、専門の底地買取業者への売却を優先的に検討してください。借地人への交渉と並行して買取業者にも査定を依頼し、どちらが早く・確実に現金化できるかを比較するとよいでしょう。
ケース2:借地人との関係が良好で、時間をかけてでも高く売りたい
借地人との関係が良好であれば、まず借地人に直接「底地を買う意向があるか」を確認するのが最初の一手です。借地人に資金力があれば、更地価格の50%程度という、他の売却先より高い水準での成約が期待できます。借地人が買わない場合でも、専門の仲介業者を通じて投資家に売却する方法が次の選択肢になります。
ケース3:借地人が高齢・相続人が不明で、今後の見通しが立たない
借地人自身が高齢で、借地人が亡くなった後に借地権がどう扱われるか不透明な場合は、底地の価値がさらに読みにくくなります。このようなケースでは、底地取引に詳しい専門業者に早めに相談し、将来のリスク(借地人の相続発生、建物の老朽化、地代の未払いなど)を含めて現状を整理してもらうことをおすすめします。
ケース4:地代が低く、持ち続けても収支が合わない
地代の水準が固定資産税・都市計画税の負担に対して低い場合、底地を持ち続けるメリットが薄れます。地代の見直し(増額交渉)を検討する方法もありますが、借地人との関係悪化やトラブルのリスクもあるため、増額交渉と売却のどちらが現実的か、専門家を交えて比較検討するのが安全です。
底地売却でよくあるトラブルと防ぎ方
- 借地人に無断で底地を売却してトラブルになる:底地の所有者が変わっても借地契約はそのまま新しい地主に引き継がれるのが原則ですが、借地人への事前連絡を怠ると不信感を招きやすくなります。売却前に借地人へ説明しておくことが望ましいとされています。
- 地代の未払い・滞納が続いている底地を売ろうとして買い手がつかない:買取業者や投資家は、地代の回収リスクも価格に反映させます。滞納がある場合は、売却前に状況を専門家に伝え、価格への影響を確認しておきましょう。
- 相続人が複数いて、底地を売る・持ち続けるで意見が分かれる:底地は共有のまま放置すると将来さらに権利関係が複雑になりやすい資産です。早い段階で遺産分割協議を行い、単独所有にするか、売却して現金で分けるかを決めておくことをおすすめします。
- 相続登記をせずに売却しようとして進められない:売却には相続人名義への登記が前提となります。相続登記義務化(法務局)の期限も踏まえ、早めに司法書士へ相談してください。
底地売却前の実務チェックリスト
印刷してチェックしながら進められるよう、売却前に確認すべき項目をまとめました。
- □ 借地契約書の有無を確認した(なければ借地人・先代の記録・固定資産税の通知などから契約内容を推測する)
- □ 借地権の種類(旧法・普通借地権・定期借地権)を確認した
- □ 地代の支払い状況(滞納の有無)を確認した
- □ 相続登記が完了している、または司法書士に依頼済みである
- □ 相続税路線価・借地権割合を国税庁の路線価図で確認した
- □ 取得費が分かる資料(購入時の契約書・領収書)を探した。見つからない場合は概算取得費5%ルールを税理士に確認した
- □ 借地人に売却の意向を伝えるタイミングを検討した
- □ 底地買取業者・仲介業者、両方から査定を取り、手取り額を比較した
- □ 建物(自己所有部分)に片付けが必要な家財・遺品がある場合、片付けの依頼先を決めた
- □ 相続人が複数いる場合、分割方法(売却して現金で分ける/単独所有にする)を話し合った
借地人への売却・買取業者・仲介、それぞれの手取り額の目安を、状況をお伺いしながらご案内します。片付けが必要な建物がある場合も、まとめてご相談いただけます。
底地売却にかかる費用・税金の目安
| 費用・税金 | 内容 |
|---|---|
| 仲介手数料 | 仲介で売却した場合、売買価格に応じた仲介手数料が発生する(売買価格が400万円を超える場合、法律で定められた上限の範囲内で契約時に取り決める) |
| 登録免許税・相続登記費用 | 相続登記そのものにかかる登録免許税(固定資産税評価額の0.4%が原則)と、司法書士に依頼した場合の報酬 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼付する印紙税。売買価格に応じて金額が変わる |
| 譲渡所得税・住民税 | 売却額から取得費・譲渡費用を引いた譲渡所得にかかる税金。相続から3年10ヶ月以内の売却は取得費加算の特例が使える場合がある |
相続した土地を相続開始から3年以内に売却した場合、相続税額の一部を取得費に加算できる「取得費加算の特例」が使える可能性があります。底地についても対象になり得るため、相続税を申告している場合は、売却前に税理士へ適用可否を確認してください。
借地権割合は地域によって異なる|路線価図での確認手順
底地の価格を考えるうえで欠かせないのが「借地権割合」です。借地権割合は、国税庁が公開している路線価図・評価倍率表に、地域ごとにA〜Gのアルファベットで示されています。おおよその対応は次のとおりです。
| 記号 | 借地権割合 | 底地割合(目安) |
|---|---|---|
| A | 90% | 10% |
| B | 80% | 20% |
| C | 70% | 30% |
| D | 60% | 40% |
| E | 50% | 50% |
| F | 40% | 60% |
| G | 30% | 70% |
都市部の商業地・住宅地は借地権割合が高く(A・Bなど)設定されていることが多く、地方や郊外ではC〜Eあたりが多く見られます。この割合は相続税評価のためのものであり、実際の売買価格(取引相場)とは必ずしも一致しませんが、「底地がどのくらいの価値を持つか」の最初の目安として役立ちます。路線価図は国税庁のホームページで、対象の年度・都道府県・地域を指定すると無料で確認できます。該当地域に路線価が設定されていない場合は、固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて評価する「評価倍率方式」が使われます。
相続税の申告が必要な場合、底地の相続税評価額は「自用地としての評価額 × 底地割合(1−借地権割合)」を基本に、貸宅地としての補正が加わります。具体的な評価額の算定は、相続税に詳しい税理士に依頼することをおすすめします。
具体例:更地価格3,000万円・借地権割合C(70%)の底地の場合
イメージをつかむための計算例です(実際の金額は個々の土地の状況で変わります)。
| 項目 | 計算 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 更地価格 | 前提 | 3,000万円 |
| 相続税評価上の底地(貸宅地)評価額 | 3,000万円 ×(100%−70%) | 約900万円 |
| 借地人への売却想定額 | 更地価格 × 50%程度 | 約1,500万円 |
| 買取業者への売却想定額 | 更地価格 × 10〜20%程度 | 約300万〜600万円 |
相続税評価額(約900万円)と、実際の売却想定額(借地人なら約1,500万円、買取業者なら約300万〜600万円)は、算定の目的が異なるため一致しません。相続税の申告では評価額を使いますが、「いくらで売れるか」を考える際は、実際の売却先ごとの相場で考える必要があります。この違いを理解していないと、「相続税評価額より高く売れたのに損した気分になる」「評価額より大幅に安い提示額に驚く」といった混乱が生じやすいため、両者は別の数字だと整理しておきましょう。
底地を「負動産」にしないための判断基準
地代収入が固定資産税・都市計画税を下回り、管理の手間だけが続く底地は、いわゆる「負動産」になりやすい資産です。次の基準に当てはまる項目が多いほど、早期の売却を検討する優先度が高いと考えられます。
- 地代の年間合計が、固定資産税・都市計画税の年間合計を下回っている
- 借地人との連絡が取りづらい、または借地人の後継者が不明である
- 相続人が複数いるが、誰も底地の管理を担いたくないと感じている
- 借地契約の内容(更新料・地代の見直し条項など)が不明確、または著しく古い
- 遠方に住んでいて、現地の状況を確認する機会がほとんどない
これらに当てはまる場合、将来的に相続人がさらに増えて権利関係が複雑化する前に、売却または整理の方針を決めておくことが望ましいとされています。一方で、地代が安定しており、相続人の誰かが近隣に住んでいて管理に支障がない場合は、すぐに売却を急ぐ必要はなく、地代の見直し交渉や長期保有も選択肢になります。
よくある質問
底地を借地人に買ってもらう場合、相場より高く売ることはできますか?
底地だけを相続した場合、空き家の3,000万円特別控除は使えますか?
借地契約書が見つからない場合、底地は売却できませんか?
底地の相続登記をしないまま放置すると、どうなりますか?
底地の片付けや実家じまいも、安心実家じまいに相談できますか?
底地の相続税評価額と、実際に売れる価格はなぜ違うのですか?
地代が固定資産税より低く、持ち続けると赤字になりそうです。どうすればいいですか?
まとめ
相続した底地の売却は、「誰に売るか」で価格が大きく変わる、やや特殊な不動産取引です。振り返ります。
- 底地の買取相場は、借地人への売却で更地価格の50%程度、買取業者で10〜20%程度、投資家で10〜30%程度(専門仲介で40〜50%程度まで伸びる例もある)が目安
- 空き家の3,000万円特別控除は、原則として底地のみの売却には使えない(国税庁タックスアンサーNo.3306)
- 取得費が分からない場合は、概算取得費5%ルール(国税庁タックスアンサーNo.3302)で計算できる
- 相続登記は2024年4月から義務化されており、未登記のままでは底地の売却自体ができない(法務局)
- 「借地人に買ってもらう」「買取業者に売る」「そのまま持ち続ける」の3択を、手取り額と手間で比較してから決めるのが安全
- 建物の片付けが必要な場合は、底地の売却交渉と並行して進める
底地は、相続人だけで価格を見極めるのが難しい資産です。借地人との関係や借地権の種類によって最適な売却先が変わるため、一人で判断を抱え込まず、底地取引に詳しい不動産会社や、相続登記を担う司法書士に早めに相談してください。実家全体の売却やその他の相続手続きについては、実家の売却や空き家買取(片付け不要・複数社査定)もあわせてご覧ください。
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