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雨漏り・傾きがある家は売却できる?告知義務と買取・仲介の比較【2026年版】

最終更新日:2026年9月23日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 雨漏りや傾きがある実家でも売却は可能です。ただし民法上の契約不適合責任と告知義務があるため、症状を隠したまま売ることはできません。
  • 判断の軸はシンプルで、「片付けて修繕してから売るか」「そのまま買取に出すか」を手取り額で比べることです。傾きが国の技術基準(6/1000以上)を超えるような老朽物件ほど、修繕コストが手取りを圧迫しやすくなります。
  • 片付け不要・現状のまま複数社査定を受けたい場合は空き家買取(片付け不要・複数社査定)から相談すると、修繕せずに売却できるかどうかが早く分かります。
  • 安心実家じまい事務局は宅建業者ではないため、当社が直接買い取ることはありません。提携の宅建業者が買取・仲介を担当し、当事務局は窓口の調整と家財の片付けを担当する分業体制です。
目次

雨漏り・傾きがある家は売却できるのか

結論からお伝えすると、雨漏りや傾きがある実家でも売却そのものは可能です。不動産会社が「事故物件」や「訳あり物件」として扱うジャンルの一つに、雨漏り・傾き・シロアリ被害などの「物理的瑕疵(かし)」があり、こうした物件を専門に扱う買取業者や、現状のまま個人に売却する仲介ルートも存在します。問題は「売れるかどうか」ではなく、「症状をどう扱い、どう伝えて売るか」です。

雨漏りや傾きを放置したまま黙って売却してしまうと、後から買主とのトラブルに発展するリスクがあります。民法では、売買契約の目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないものであった場合、買主は売主に対して修補・代金減額・損害賠償・契約解除を請求できる「契約不適合責任」が定められています。雨漏りや構造上の傾きは、この「品質に関する不適合」に該当しやすい典型例です。売却後に発覚すれば、引き渡し後であっても責任を問われる可能性があるため、事前に症状を正確に把握し、買主に伝えたうえで売買契約を結ぶことが、トラブルを避ける唯一の方法といえます。

「隠して売る」が最もリスクの高い選択肢

親から相続した実家について、雨漏りや傾きに気づいていながら「言わなくても分からないだろう」と黙って売却するのは、選択肢の中で最もリスクが高い方法です。引き渡し後に買主が症状に気づけば、契約不適合責任に基づいて修補費用や損害賠償を請求される可能性があり、金額によっては売却額を上回る負担になることもあります。逆に、症状を正直に伝えたうえで「現状渡し」として売却額を調整する、あるいは専門の買取業者に現状のまま買い取ってもらう方が、結果的にトラブルなく早く手放せるケースが多く見られます。

傾きの判断基準|国交省の技術基準(3/1000・6/1000)

「うちの実家、傾いている気がするけれど、どの程度なら問題なのか分からない」という相談は少なくありません。傾きの程度を客観的に判断する基準として、国土交通省が定める「住宅紛争処理の参考となるべき技術的基準」(平成12年建設省告示第1653号)があります。この基準は、住宅性能表示制度に基づく紛争処理の際に、床の傾斜がどの程度であれば構造上の瑕疵とみなされるかを示したものです(国土交通省)。

床の勾配(傾き) 瑕疵の可能性 目安となる状態
3/1000未満 瑕疵が存する可能性は低い 体感でほとんど気づかないレベル
3/1000〜6/1000 一定程度存する可能性がある ビー玉が転がる、家具の設置に違和感が出ることがある
6/1000以上 瑕疵が存する可能性が高い 目視でも傾きが分かる、扉の開閉不良が起きやすい

この勾配は、床面の中で凹凸の少ない場所を選び、3メートル程度以上離れた2点を結ぶ直線が水平面に対してどれだけ傾いているかで測定します。新築住宅の場合は3/1000未満、中古住宅の場合は6/1000未満がおおむね許容範囲の目安とされています。実家の傾きが気になる場合は、水平器や専門のホームインスペクション(住宅診断)で数値を測定してもらうと、感覚ではなく客観的な数字で状態を把握できます。数値が分かれば、修繕すべきか、現状のまま買取に出すべきかの判断材料になります。

傾きの主な原因は「不同沈下」

建物の傾きの多くは、地盤の一部だけが沈み込む「不同沈下(ふどうちんか)」が原因です。地盤調査が不十分なまま建てられた古い住宅や、盛土・軟弱地盤の上に建つ住宅で起きやすく、築年数が古い実家ほどリスクが高まります。不同沈下による傾きは、放置すると雨漏りや外壁のひび割れ、建具の開閉不良など二次的な不具合を招きやすく、雨漏りと傾きが同時に見られる実家では、両方とも建物の老朽化・構造的な問題が根本にあるケースが少なくありません。

自分でできる雨漏り・傾きのセルフチェック方法

専門業者に依頼する前に、自宅でも雨漏りや傾きの兆候をある程度確認できます。正確な数値や原因の特定は専門業者の点検が必要ですが、まず現状を把握しておくと、業者への説明や見積もり依頼がスムーズになります。

雨漏りのセルフチェック

  • 天井や壁に、輪じみのようなシミや変色がないか確認する
  • 雨天時に室内に水滴が落ちてくる箇所がないか確認する
  • 屋根裏に入れる場合は、雨天後に木材が濡れていないか、カビ臭がしないか確認する
  • 外壁のひび割れ、コーキングの隙間、雨樋の詰まり・破損を目視で確認する
  • 過去の修理の記録(見積書・領収書・写真)が残っていないか確認する

傾きのセルフチェック

専門的な測定にはレーザーレベルや水平器を使いますが、家庭でも簡易的に確認する方法があります。床にビー玉や丸いボールペンを置き、転がるかどうかを見る「ビー玉テスト」は昔からよく知られた簡易チェック方法です。転がる場合は傾きがある可能性が高く、転がる速さや方向によって、おおよその傾斜の程度を体感的に把握できます。ただし、これはあくまで簡易的な目安であり、国交省の基準(3/1000・6/1000)に基づく正確な判断には、専門業者による測定が必要です。ドアや窓の開閉に違和感がある、壁と天井の間にすき間ができている、といった兆候も、傾きのサインとして参考になります。

セルフチェックで気になる兆候が見つかった場合は、そのまま放置せず、早めにホームインスペクションや雨漏り調査の専門業者に相談することをおすすめします。症状を正確に把握しておくことは、修繕するにしても、現状のまま売却するにしても、判断の土台になります。

雨漏りの原因と修理費用の目安

雨漏りの原因は建物のどの部分から水が入っているかによって大きく異なり、修理費用も部位ごとに幅があります。実家の雨漏りが見つかった場合、まずどこから水が入っているかを特定することが、修繕費用の見積もりと告知内容の整理の両方に役立ちます。以下は一般的な原因箇所と、修理費用の目安です(金額は劣化の範囲・使用材料・足場の有無等により変動するため、必ず複数の業者から見積もりを取ってください)。

原因箇所 典型的な症状 修理費用の目安
屋根材の劣化・ひび割れ 瓦のずれ・割れ、スレートの色あせと反り 部分補修:数万円〜/葺き替え:80万〜150万円
外壁のひび割れ・シーリング劣化 壁のクラック、コーキングの隙間からの浸水 シーリング打ち直し:10万〜30万円
ベランダ・バルコニーの防水劣化 床面のひび割れ、排水口周りからの浸水 防水工事:15万〜40万円
雨樋の破損・詰まり 雨水があふれて外壁を伝う 部分交換:数万円〜10万円程度
屋根と外壁の取り合い部分(谷部・棟板金) 板金の浮き・錆、谷部の詰まり 板金補修:10万〜30万円

老朽化した実家では、複数の箇所が同時に劣化していることも多く、原因の特定だけで数万円の調査費用がかかる場合もあります。応急処置で表面上の症状が止まっていても、内部の木材や断熱材が長期間の浸水で腐食していることもあるため、雨漏りの履歴が長い実家ほど、屋根裏や壁内部まで確認できる専門業者の点検を受けておくと、売却時に伝えるべき内容を正確に把握できます。

傾きの修理方法と費用|工法別の目安

傾き(不同沈下)を修繕する場合、地盤や基礎の状態に応じていくつかの工法があります。工法によって費用と工期が大きく異なるため、まずは地盤調査の結果をもとに、どの工法が適用できるかを業者に確認する必要があります。

工法 概要 費用目安 工期目安
薬液注入工法 地盤に薬液を注入して沈下を抑制・補修する 50万〜150万円程度 数日〜1週間程度
耐圧盤工法 建物の下に鋼製の耐圧盤を設置して支持する 100万〜200万円程度 1〜2週間程度
アンダーピニング工法 基礎の下に新たな杭を打ち込み支持地盤まで到達させる 150万〜300万円程度 数週間程度
ジャッキアップ工法 油圧ジャッキで建物を持ち上げ水平に戻す 80万〜200万円程度 1〜2週間程度

いずれの工法も、傾きの程度(3/1000〜6/1000の区分)や原因、建物の構造・重量によって適用の可否と費用が変わります。傾きが6/1000を大きく超えているような重度のケースでは、複数の工法を組み合わせる必要があり、費用が300万円を超えることもあります。修繕費が高額になりやすい実家ほど、修繕して売るより、現状のまま買取に出した方が手取り額で有利になる傾向があるため、修繕見積もりと買取査定の両方を先に取ってから判断することをおすすめします。

雨漏りの告知義務と契約不適合責任

雨漏りがある実家を売却する際は、宅地建物取引業法および民法上、把握している不具合を買主に伝える「告知義務」があります。雨漏りは、天井のシミや壁紙の変色といった目に見える症状だけでなく、過去に修理歴がある場合や、現在は乾いていても雨天時にのみ発生する場合も、把握している範囲で伝える必要があります。「今は雨漏りしていないから言わなくてよい」という判断は誤りで、修理済みであっても、雨漏りがあった事実自体を告知するのが原則です。

告知を怠り、引き渡し後に買主が雨漏りに気づいた場合、売主は契約不適合責任を問われ、修補費用の負担や損害賠償、契約の解除を求められる可能性があります。仲介で個人の買主に売却する場合は特に、重要事項説明書や物件状況等報告書に、把握している不具合を漏れなく記載することが欠かせません。不動産会社に仲介を依頼する場合は、担当者と一緒に告知内容を整理し、記載漏れがないか確認する作業を必ず行ってください。

告知すべき内容の目安

  • 現在発生している雨漏り(発生箇所・頻度・症状)
  • 過去に雨漏りがあった事実(修理済みであっても告知が必要)
  • 建物の傾き(体感の有無・測定結果があれば数値)
  • シロアリ被害、雨漏りによる木部の腐食
  • 過去の修繕・リフォームの履歴
  • 雨漏りや傾きの原因が特定できている場合はその内容

買取業者に現状のまま売却する場合も、告知義務そのものがなくなるわけではありません。ただし買取業者は物件のリスクを織り込んだうえで査定するため、個人の買主に比べて「言った言わない」のトラブルが起きにくいという実務上のメリットがあります。修繕せずに早く手放したい場合、まず買取査定を受けてみるのも現実的な選択です。

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売却の判断|修繕して売る・そのまま買取・仲介を手取りで比較

雨漏りや傾きがある実家をどう扱うべきか迷ったときの判断軸はシンプルです。片付けてから修繕して売るか、そのまま買取に出すか、この2つの手取り額を比べることに尽きます。修繕には数十万円から百万円単位の費用がかかることもあり、修繕後に高く売れたとしても、費用を差し引いた手取りが現状買取を下回ることも珍しくありません。逆に、軽微な雨漏りであれば数万円の応急補修で告知内容を減らせる場合もあります。

仲介と買取では性質が異なります。仲介は個人の買主を探すため、修繕や告知内容の整理に時間がかかり、成約まで半年以上かかることも珍しくありません。買取は不動産会社が直接購入するため、現状のまま(雨漏り・傾きがあっても)短期間で現金化できますが、価格は仲介相場の7〜8割程度になるのが一般的です。老朽化が進み、雨漏りや傾きといった物理的瑕疵がある実家は、個人の買主から敬遠されやすく仲介が長期化しがちなため、空き家買取や実家の売却の相談から始める方が、結果的に早く負担を減らせるケースが多く見られます。なお、安心実家じまい事務局は宅建業者ではないため、当社が直接買い取ることはありません。売買契約や重要事項説明は提携の宅建業者が担当し、当事務局は複数社への窓口取次と、売却前の家財片付けを担当します。

買取・仲介・有料引き取りの3択比較表

方法 売却までの期間目安 価格水準 雨漏り・傾きの扱い 向いているケース
仲介(一般の買主を探す) 半年〜1年以上 相場どおり〜やや高値 告知義務あり。修繕してからの方が売れやすい 修繕費を払っても高値売却を狙いたい
不動産会社の買取 最短2〜4週間 相場の7〜8割程度 現状のまま(未修繕)でも査定可能な場合が多い 早く現金化したい・修繕費を払いたくない
有料での引き取り・寄付(再建築不可等) 数か月〜 逆に費用がかかる場合あり 老朽化が著しく資産価値がほぼない場合 手放すこと自体が目的、価格を問わない

「有料での引き取り」は、再建築不可物件や、傾きが著しく倒壊の危険がある老朽物件など、通常の売買が難しいケースで使われる方法です。雨漏りや傾きがある実家でも、立地条件によっては買取業者が値をつけられる場合が多いため、まずは修繕前の状態で買取査定を受けてみるのが現実的です。

【シミュレーション】修繕して仲介 vs 現状のまま買取

築45年・木造・雨漏りと6/1000程度の傾きがある実家(相場評価1,200万円程度を想定)を例に、2つの選択肢を比較しました。金額はあくまで一般的な相場をもとにした概算です。

項目 修繕してから仲介で売却 現状のまま買取で売却
雨漏り修繕費 約30万〜80万円 0円(現状のまま)
傾き(不同沈下)の補修費 約50万〜150万円(工法・範囲により変動) 0円(現状のまま)
売却までの期間 半年〜1年以上 最短2〜4週間
売却価格の目安 相場どおり(修繕済みとして) 相場の7〜8割程度
売却までの管理費・固定資産税 期間が長い分、追加で発生しやすい 短期間のため最小限

この例では、修繕費だけで80万〜230万円かかる可能性があり、さらに売却までの期間が長引けば固定資産税や管理費用が積み重なります。修繕後の売却価格が修繕費を十分に上回る見込みがあれば仲介も選択肢になりますが、老朽化が進んでいて修繕費が高額になりやすい実家ほど、現状のまま買取に出した方が手取り額で有利になるケースが多く見られます。正確な判断のためには、修繕費の見積もりと買取査定の両方を先に取り、実額で比較することをおすすめします。

雨漏り・傾きは「特定空家等」の指定リスクにもなる

実家が空き家のまま放置されている場合、雨漏りや傾きは単に売却価格を下げるだけでなく、空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)上の「特定空家等」に指定されるリスクにもつながります。国土交通省のガイドラインでは、特定空家等の判断基準として「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態」「そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態」などが挙げられており、傾きが進んだ状態や、雨漏りによる構造材の腐食が進んだ状態は、この基準に該当しやすい典型例です(国土交通省 空家等対策特別措置法関連情報)。

特定空家等に指定され、市区町村から「勧告」を受けると、固定資産税・都市計画税の住宅用地特例が解除され、土地の固定資産税が最大約6倍になる可能性があります。雨漏りや傾きを放置している実家は、税負担の面でもリスクが積み重なっていくため、早めに修繕か売却かの方針を決めておくことが、結果的に負担を軽くする近道になります。特定空家等・管理不全空家等の制度全体については管理不全空き家は固定資産税が6倍に?勧告の仕組みと今からできる対策で詳しく解説しています。

火災保険・地震保険で修理費用がまかなえる場合がある

雨漏りや傾きの原因が、台風・強風・雪害・地震など自然災害による損傷である場合、加入している火災保険や地震保険の補償対象になることがあります。特に、経年劣化ではなく「突発的な事故」や「自然災害」が原因と認められれば、保険金で修理費用の一部または全額がまかなえる可能性があります。ただし、経年劣化による雨漏りや、老朽化が原因の傾きは、多くの火災保険で補償対象外とされているため、原因の特定が重要になります。

親が契約していた火災保険が実家にそのままかかっている場合、契約内容や保険金請求の期限(多くの場合、事故発生から3年以内)を確認しておくと、修理費用の負担を軽減できる可能性があります。保険証券が見当たらない場合は、契約している保険会社や代理店に問い合わせれば契約内容を確認できます。売却を検討している場合でも、保険金請求と並行して査定を進めることは可能です。保険金請求の手続きや、原因が経年劣化か災害かの判断に迷う場合は、雨漏り修理業者による調査報告書をもとに、保険会社へ相談することをおすすめします。

査定・相談時に確認しておきたいポイント

雨漏りや傾きがある実家の査定を依頼する際、事前に次の点を整理しておくと、査定額の根拠が分かりやすくなり、複数社の見積もりを比較しやすくなります。

  • 症状の発生時期と頻度——「台風のときだけ」「常時」など、把握している範囲を伝える
  • 過去の修理歴の有無——修理業者の見積書や報告書が残っていれば提示する
  • 傾きの測定結果——ホームインスペクションを受けていれば数値(3/1000・6/1000のどちらに該当するか)を伝える
  • 保険適用の可能性——火災保険・地震保険の対象になり得るか確認しておく
  • 残置物・家財の有無——片付け前でも査定は可能な場合が多いが、事前に伝えておくとスムーズ
  • 複数社への同時見積もり——買取価格は業者によって差が出やすいため、1社だけで決めない

これらの情報が整理されていると、査定担当者も的確な金額を提示しやすくなり、後から「聞いていなかった」というトラブルも防げます。安心実家じまいでは、こうした情報の整理から、提携の宅建業者への取次までを窓口としてサポートしています。

売却時にかかる税金と3,000万円特別控除

相続した実家を売却する際は、譲渡所得(売却益)に対して所得税・住民税がかかります。一定の要件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」により、譲渡所得から最高3,000万円(相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除できます(国税庁タックスアンサーNo.3306)。主な要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、区分所有登記がされた建物でないこと、相続開始の直前に被相続人以外が居住していなかったことです。雨漏りや傾きがあるような老朽実家は、この要件に当てはまるケースが多く見られます。

雨漏り・傾きが著しく、そのまま売却するより解体して更地で売却した方がよい場合も、この特例は要件を満たせば引き続き利用できます(更地での売却も対象に含まれます)。また、売却額から差し引ける「取得費」が分からない古い実家については、国税庁タックスアンサーNo.3302(概算取得費)が参考になります。取得費が不明な実家を売却するケースは多いため、確定申告の際は税理士または最寄りの税務署に確認することをおすすめします。

相続登記がまだ完了していない場合、そもそも売却ができません。相続登記の義務化(2024年4月開始)により、相続を知ってから3年以内の登記が義務付けられているため、登記状況が不明な場合は法務局または司法書士に確認してください(法務局「相続登記の申請義務化」)。雨漏りや傾きの修繕・売却を急ぐあまり、相続登記の確認を後回しにすると、いざ売買契約という段階で手続きが止まってしまうことがあるため、早い段階で登記名義を確認しておくと安心です。

解体して更地にするという選択肢

雨漏り・傾きが著しく、修繕費が数百万円規模になる、あるいは複数の工法を組み合わせないと直らないような老朽実家については、「解体して更地にする」という選択肢もあります。木造住宅の解体費用は延床面積30坪程度でおおむね100万〜150万円が相場とされており、鉄骨造・鉄筋コンクリート造はさらに高額になる傾向があります(金額は立地・構造・搬出経路・アスベストの有無等で変動するため、必ず複数の解体業者から見積もりを取ってください)。

更地にすれば雨漏り・傾きの告知義務そのものはなくなりますが、住宅用地特例が適用されなくなるため、更地の固定資産税は住宅が建っている状態より高くなる点に注意が必要です。また、解体費用をかけても、更地での売却価格が解体費を上回らなければ手取りはマイナスになりかねません。修繕費・解体費・現状のままの買取価格・更地での売却見込み額を、それぞれ見積もりで数字にしたうえで比較するのが確実です。老朽化が激しく、買い手がまったくつかないような立地・状態であれば、解体して更地にする方がトータルで有利になることもあります。

ケース別シミュレーション

ケース1:天井にシミがあるが、実際に雨漏りしているか分からない

天井にシミはあるものの、現在も雨漏りしているかどうか判断がつかないケースです。このような状態で「雨漏りはしていません」と断定して売却すると、後から実際に雨漏りが発覚した際に告知義務違反を問われるリスクがあります。専門業者による雨漏り点検(散水調査等)を受け、事実関係を確認したうえで、判明した内容をそのまま買主に伝えるのが安全です。点検費用を惜しんで曖昧なまま売却するより、数万円の調査費用をかけて実態を把握する方が、結果的にトラブルを防げます。

ケース2:傾きが6/1000を超えている(神奈川県の実家)

ホームインスペクションで傾きを測定した結果、国交省の基準で「瑕疵が存する可能性が高い」とされる6/1000を超えていたケース。この水準になると、個人の買主向けの仲介では住宅ローンの審査に影響することもあり、成約までの期間が長引きやすくなります。修繕(不同沈下の補修工事)には数十万円〜150万円程度かかることが多く、修繕費と売却見込み額を比較したうえで、現状のまま神奈川県の空き家買取の査定を受け、買取と仲介の手取り額を並べて検討する方法があります。

ケース3:雨漏りを自分で応急処置していた

屋根にブルーシートをかける、コーキングで応急的に塞ぐなど、自分で対処していたケースです。応急処置をしていても、雨漏りがあった事実、応急処置の内容と時期は告知が必要です。「直したから大丈夫」と考えず、修理業者による本格補修の見積もりを取ってから、修繕して売るか、現状のまま伝えて売るかを判断することをおすすめします。

ケース4:家財が残っていて片付けの見通しが立たない

雨漏りや傾きに加えて、実家に家財や仏壇が多く残っている場合、「まず片付けないと査定も受けられない」と考えて先送りしてしまいがちです。実際には、買取査定は残置物があっても受けられることが多く、片付けと並行して進める方が無駄がありません。片付け自体を自分で行う時間や体力がない、遠方に住んでいて頻繁に通えないという場合は、実家じまい代行や遺品整理のサービスを利用すれば、仕分け・搬出・供養までを一括して依頼できます。

ケース5:兄弟姉妹で修繕するか売るかの意見が分かれている

相続人が複数いて、一人は「直して住めるようにしたい」、もう一人は「早く手放したい」と意見が割れているケースです。この場合、修繕費と、現状のまま買取に出した場合の手取り額を、それぞれ見積もりで数字にして共有すると、感情的な議論から実額での比較に切り替えやすくなります。傾きが国の基準(6/1000以上)を超えているかどうかの測定結果も、判断材料として全員で共有しておくと合意形成がしやすくなります。

片付けと売却、どちらを先にすべきか

実家に家財や仏壇、故人の遺品が残ったままだと、「まず片付けてから売却すべきか」で悩む方も多くいます。結論としては、買取査定は残置物があっても受けられることが多いため、先に査定を取ってから、必要な範囲だけ片付けるという順番が無駄がありません。仲介で売却する場合は、内覧のしやすさや印象を考えると、事前の片付けが成約スピードに影響します。

片付け自体を自分で行う時間や体力がない、遠方に住んでいて頻繁に通えないという場合は、実家じまい代行や遺品整理のサービスを使うことで、仕分け・搬出・供養までを一括して依頼できます。片付けと並行して雨漏り・傾きの点検、売却の相談を進めることで、症状を正確に把握したうえで、修繕か買取かの判断を早く固められます。

実務チェックリスト|印刷して使える確認項目

  • □ 雨漏りの発生箇所・頻度・現在の状況を確認した
  • □ 過去の雨漏り修理歴(修理済みでも)を確認した
  • □ 傾きの有無を水平器やホームインスペクションで測定した(3/1000・6/1000の基準と照合)
  • □ 傾きの原因(不同沈下等)が分かる資料がないか確認した
  • □ 雨漏り・傾きによる木部の腐食、シロアリ被害の有無を確認した
  • □ 修繕費用の見積もりを複数業者から取った
  • □ 現状のままの買取査定を受けた
  • □ 修繕して仲介した場合の手取り額と、現状買取の手取り額を比較した
  • □ 相続登記が完了しているか確認した(未登記だと売却できない)
  • □ 被相続人居住用財産の3,000万円特別控除の要件に該当するか確認した
  • □ 特定空家等・管理不全空家等の通知が届いていないか確認した
  • □ 家財・遺品の片付けが必要な範囲を確認した
  • □ 火災保険・地震保険で補償対象になる原因かどうか確認した

相談先の役割分担|誰に何を相談すればよいか

雨漏りや傾きがある実家の対応には複数の専門家・窓口が関わります。どこに何を相談すればよいか迷わないよう、役割を整理しました。

相談先 担当する内容
雨漏り修理業者・ホームインスペクター 雨漏りの原因調査、傾きの測定、修繕費用の見積もり
司法書士・行政書士 相続登記、名義変更、相続放棄の相談
税理士・税務署 譲渡所得税、3,000万円特別控除の適用可否、確定申告
宅地建物取引業者(提携の不動産会社) 買取・仲介の査定、告知内容の整理、売買契約、重要事項説明
解体業者 解体費用の見積もり、アスベスト調査
実家じまい代行・遺品整理業者 家財の仕分け・搬出・供養、片付け全般

安心実家じまい事務局は、これらの専門家・業者への窓口取次と、片付け・遺品整理の実務を担当しています。宅建業者ではないため売買契約自体は提携の宅建業者が行いますが、「まずどこに相談すればいいか分からない」という段階から、複数の専門家に個別に連絡する手間を省くための入口としてご利用いただけます。

全国の空き家は900万戸超|老朽化した実家は他人事ではない

総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によれば、全国の空き家数は900万2千戸(2023年10月1日時点)で、2018年の849万戸から51万3千戸増加し、過去最多を更新しています(総務省統計局)。空き家の中でも、人が住まなくなってから年数が経つほど、雨漏りや傾きなどの物理的な劣化が進みやすくなります。相続した実家が空き家のまま放置される件数は今後も増える見込みで、「気づいたときには修繕費がかさんでいた」というケースを避けるためにも、早めに現状を点検し、方針を決めておくことが安心につながります。

よくある質問

雨漏りしている家でも売却できますか?
可能です。雨漏りがある家でも、告知義務を果たしたうえで現状のまま売却する、あるいは修繕してから売却するなど、いくつかの方法があります。ただし雨漏りの事実を隠したまま売却すると、契約不適合責任を問われるリスクがあるため、必ず把握している症状を買主に伝えてください。
家の傾きはどのくらいから問題になりますか?
国土交通省の技術的基準では、床の勾配が3/1000未満であれば瑕疵の可能性は低く、3/1000〜6/1000で一定程度存する可能性があり、6/1000以上になると瑕疵が存する可能性が高いとされています。中古住宅ではおおむね6/1000未満が許容範囲の目安です。気になる場合は水平器やホームインスペクションで測定することをおすすめします。
雨漏りを修理してから売った方が高く売れますか?
修理済みの方が個人の買主には売りやすく、仲介での成約価格も相場どおりを狙いやすくなります。ただし修繕費用がかかるため、修繕費と修繕後の売却見込み額を比較し、現状のまま買取に出した場合の手取り額とも比べたうえで判断することをおすすめします。
修理済みなら雨漏りがあったことを言わなくてもよいですか?
いいえ、修理済みであっても、過去に雨漏りがあった事実は告知が必要とされています。告知を怠ると、引き渡し後に契約不適合責任を問われる可能性があるため、修理歴も含めて買主に伝えることをおすすめします。
片付けをせずに買取してもらうことはできますか?
可能な場合が多いです。不動産会社の買取査定は残置物や雨漏り・傾きがある状態でも受けられることが一般的で、現状のまま金額を提示されるケースもあります。まずは片付け前・修繕前の状態で査定を取り、必要な範囲だけ片付けるかどうかを判断する順番がおすすめです。
安心実家じまいが直接買い取ってくれるのですか?
当事務局は宅建業者ではないため、当社が直接買い取ることはありません。売買契約や重要事項説明を含む買取・仲介は提携の宅建業者が担当し、当事務局は複数社への窓口取次と、売却前の家財片付け・遺品整理のご相談を担当しています。
解体して更地にすれば雨漏り・傾きの問題は解決しますか?
建物自体がなくなるため、雨漏り・傾きの告知義務はなくなります。ただし解体費用が発生するうえ、更地は住宅用地特例の対象外となり固定資産税が上がる点に注意が必要です。修繕費・解体費・現状のままの買取価格・更地での売却見込み額を比較したうえで判断することをおすすめします。
雨漏りや傾きの修理に火災保険は使えますか?
台風・強風・雪害・地震など自然災害が原因と認められる場合は、火災保険や地震保険の補償対象になることがあります。一方で経年劣化が原因の場合は対象外となることが一般的です。原因の特定が重要になるため、雨漏り修理業者の調査報告書をもとに、契約している保険会社に確認することをおすすめします。

まとめ

雨漏りや傾きがある実家でも、告知義務を果たし、契約不適合責任を理解したうえで進めれば売却は可能です。傾きは国交省の技術的基準(3/1000・6/1000)を目安に客観的な数値で把握し、修繕して仲介するか、現状のまま買取に出すかは、修繕費と売却見込み額を実額で比較して判断してください。放置すれば特定空家等の指定リスクや固定資産税の増額にもつながるため、症状に気づいた時点で早めに点検・査定を進めることが、結果的に一番の近道になります。振り返ります。

  • 雨漏り・傾きがあっても売却は可能。ただし告知義務・契約不適合責任があるため症状を隠さない
  • 傾きは国交省の基準で3/1000未満は問題なし、6/1000以上は瑕疵の可能性が高いとされる
  • 判断軸は「修繕して仲介」と「現状のまま買取」の手取り額を実額で比較すること
  • 雨漏り・傾きの放置は特定空家等の指定・固定資産税6倍のリスクにもつながる
  • 片付け不要で現状のまま査定を受けたい場合は空き家買取の相談から始めるのが早道
  • 相続登記・3,000万円特別控除など税務・登記の確認も並行して進める

判断に迷う場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談してください。無料の見積もりから気軽にご相談いただけます。

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雨漏り・傾きの状態を写真で送るだけで、修繕・現状のままの買取・仲介のどれが向いているか概算のお見積もりをお出しします。ご相談・お見積もりは無料です。

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

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