
久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士
東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。
■経歴
- 1966年鹿児島県生まれ
- 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
- 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
- 2013年司法書士試験合格
- 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
- 2017年司法書士法人コスモ退職
- 2018年事務所開設
- 2021年司法書士法人設立
■得意領域
- 相続登記・相続手続き
- 不動産の名義変更
- 相続放棄
- 簡易裁判所の訴訟代理
この記事の結論
- 介護ベッドや車いすなどの介護用品レンタルは事業者の所有物です。相続財産には含まれず、不要になった時点でレンタル事業者へ連絡して引き取ってもらうのが基本の流れです。
- 返却に法律上の期限はありませんが、連絡が遅れるほど利用料が発生し続けます。死亡・長期入院・施設入所・住み替えなど「不要になった」と分かったタイミングで、できるだけ早く連絡してください。
- 連絡先が分からない場合は、契約書・請求書のほかケアマネジャーに確認すれば貸与事業者を特定できます。
- 介護ベッド・車いすなどレンタル対象の13種目と、腰掛便座・入浴補助用具など購入対象の特定福祉用具は扱いが異なります。返す物と処分する物を混同しないことが、実家の片付け全体をスムーズに進める鍵です。
介護用品レンタルは「返す」のが基本|まず知っておきたい3つの原則
親が亡くなったり施設に入所したりすると、自宅に残された介護ベッドや車いすをどう扱えばいいのか、多くの方が戸惑います。結論から言えば、レンタルしていた介護用品は遺品ではなく、レンタル事業者の所有物です。以下の3つの原則を押さえておくと、対応の優先順位がはっきりします。
- 原則1:レンタル品は相続財産に含まれない——介護保険を使って借りている福祉用具は、あくまで貸与契約に基づく借り物です。形見分けの対象にはならず、遺産分割協議の対象にもなりません。相続の手続きとは切り離して考えられます。
- 原則2:不要になった時点で連絡するのが基本——「退去期限までに」「◯日以内に」という法律上の返却期限は定められていません。ただし介護保険の福祉用具貸与は利用日数に応じて費用が発生する仕組みのため、使わなくなった時点で速やかに連絡したほうが、支払う利用料を抑えられます。
- 原則3:連絡先は「レンタル事業者」と「ケアマネジャー」の2か所——実際の引き取り作業を担うのはレンタル事業者ですが、介護保険の給付管理を行っているケアマネジャーにも状況を伝えておくと、他のサービスの解約手続きも含めて漏れなく整理できます。
この記事では、死亡・入院・施設入所といったケース別の連絡タイミング、実際の返却手順、精算の考え方、そして遺品整理や実家じまいと合わせて確認しておきたい点まで、順を追って解説します。
いつ返却が必要になるか|死亡・入院・施設入所・住み替えのケース別
介護用品レンタルの返却が必要になる場面は一つではありません。状況によって連絡すべきタイミングと注意点が異なるため、まずは自分のケースがどれに当てはまるかを確認してください。
| ケース | 主な連絡先 | 連絡の目安 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 死亡 | レンタル事業者+ケアマネジャー | できるだけ早く(葬儀後の落ち着いたタイミングでも構わない) | 死亡日から返却日までの利用料の数え方は事業者ごとに規定が異なる |
| 長期入院 | レンタル事業者(ケアマネジャー経由) | 入院が長引く見込みが立った時点 | 短期入院で退院見込みが立っているなら、契約を維持したまま様子を見る選択肢もある |
| 施設入所 | レンタル事業者+入所先施設 | 入所日が決まり次第、早めに | 施設が同種の用具を備えている場合、自宅の用具は不要になる |
| 住み替え・転居 | レンタル事業者 | 転居先が決まり次第 | 転居先でも継続利用したい場合は、移設できるか事前に相談する |
| 状態が改善し不要になった | レンタル事業者(ケアマネジャー経由) | 不要と分かった時点 | 放置すると使っていない期間も利用料が発生し続ける |
とくに見落とされやすいのが「長期入院」と「状態が改善して不要になった」ケースです。死亡や施設入所は家族の意識に強く残るため連絡を忘れにくい一方、入院が長引いているだけの場合や、リハビリで歩行器が要らなくなった場合は、返却の判断が先送りにされがちです。ケアマネジャーは定期的に利用状況を確認していますが、家族から状況を伝えたほうが確実です。
死亡時に特有の注意点
親が亡くなった直後は、死亡届の提出や葬儀の準備など、優先順位の高い手続きが重なるものです。介護用品の返却は生死に関わる緊急性はないため後回しにされがちですが、介護保険の資格喪失届(多くの自治体で死亡から14日以内が目安)の手続きと合わせて、レンタル事業者への連絡も早めのタイミングで済ませておくと、その後の実家の片付け作業がスムーズに進みます。ベッドや車いすが部屋の中央を占めていると、遺品整理や生前整理の作業スペースを圧迫してしまうことも実務上よくあります。喪主や相続人が同時に複数の手続きを抱える時期だからこそ、連絡だけでも先に済ませておく価値があります。
施設入所時に特有の注意点
特別養護老人ホームや介護老人保健施設など、施設サービスに移行すると、居宅サービスである福祉用具貸与は原則として利用できなくなります。施設側が入所者用のベッドや車いすを備えているため、自宅にあった用具は不要になるのが通常です。入所が決まった時点で、施設のケアマネジャーまたは相談員と、自宅の福祉用具貸与をいつ終了するかを確認しておいてください。
担当のケアマネジャーが分からない・まだ決まっていない場合
入院先の病院で急に用具を勧められた、あるいは要介護認定の申請中でケアマネジャーがまだ決まっていないという状況で、返却先の相談窓口に迷うこともあります。その場合は、実家がある市区町村の地域包括支援センターに問い合わせてください。地域包括支援センターは高齢者の総合相談窓口として、担当ケアマネジャーの有無にかかわらず、福祉用具の利用状況や事業者の照会に応じてもらえます。電話帳や自治体の公式サイトで「地域包括支援センター」と実家の住所地を組み合わせて調べれば、管轄のセンターが見つかります。
介護保険を使わない「自費レンタル」の場合の返却
ここまで説明してきたのは、介護保険の認定を受けた方が使う「福祉用具貸与」の返却です。一方で、要介護認定を受けていない方や、退院後の一時的な期間だけ用具を使いたい方は、介護保険を使わない自費レンタルを利用しているケースもあります。自費レンタルは介護保険の給付管理の枠外にあるため、返却の進め方にいくつか異なる点があります。
- ケアマネジャーを介さず、レンタル会社と直接契約している——自費レンタルは、ケアプランに基づかず利用者本人(または家族)とレンタル会社が直接契約を結ぶ形が一般的です。そのため、返却の連絡もレンタル会社へ直接行います。
- 解約の予告期間が契約書で定められていることがある——介護保険の福祉用具貸与では法令上の予告期間はありませんが、自費レンタルは契約に基づくサービスのため、「解約は1か月前までに連絡」といった予告期間が設定されている場合があります。契約書または利用規約を確認し、予告期間内に連絡できるかどうかを早めに把握しておいてください。
- 予告期間を過ぎると、返却後も一定期間分の料金が請求されることがある——予告期間の定めがある契約では、期間内に解約通知をしなかった場合、実際に用具を使っていない期間についても契約上の料金が発生することがあります。退院や施設入所が決まった時点で、できるだけ早めに連絡することが費用面でも重要です。
- 病院からの退院支援で借りた用具は、介護保険の認定結果が出るまでのつなぎであることが多い——退院直後に一時的な自費レンタルで手すりや歩行器を導入し、その後の要介護認定の結果を待って介護保険のレンタルに切り替える、という流れはよくあるパターンです。切り替えのタイミングで自費レンタルの解約手続きが漏れないよう注意してください。
自費レンタルか介護保険のレンタルか分からない場合は、毎月の請求書に「介護保険」の文字や自己負担割合の記載があるかどうかで見分けられます。全額が請求されている場合は自費レンタルの可能性が高いため、契約書の解約条項を確認してから連絡してください。
返却の手順|連絡から引き取りまでの流れ
実際の返却作業は、おおむね次の流れで進みます。用具の種類や事業者によって多少前後しますが、基本の段取りは共通しています。
- 状況をケアマネジャーへ報告する——死亡・入院・入所など、状況が変わったことをまず担当のケアマネジャーに伝えます。福祉用具貸与以外に利用しているサービス(訪問介護・デイサービスなど)があれば、それらの解約手続きも同時に進められます。
- レンタル事業者へ連絡し、返却希望日を伝える——契約書や請求書に記載された連絡先へ電話し、返却したい旨と希望日を伝えます。事業者の引き取りスケジュールによっては、希望した日にすぐ対応してもらえない場合もあるため、候補日を複数用意しておくと調整しやすくなります。
- 用具の状態を確認する(清掃は基本不要)——多くの事業者は引き取り後に自社で洗浄・消毒・点検を行う体制を持っており、家族が念入りに掃除する必要はありません。目立つ汚れや破損がある場合は、事前に一言伝えておくと当日の対応がスムーズです。
- 付属品をまとめておく——マットレス、サイドレール、リモコン、キャスターカバーなど、レンタル品に付属するパーツは一緒に引き取ってもらいます。尿とりパッドなどの消耗品は返却対象ではないため、処分して構いません。
- 引き取りに立ち会う——契約者本人が亡くなっている場合や施設に入所している場合は、家族が代理で立ち会うのが一般的です。引き取り時に用具の状態を一緒に確認し、必要であれば署名や捺印を行います。
- 精算書・領収書を受け取る——引き取り後、利用料の精算内容が記載された書類が発行されます。介護保険の自己負担分(1〜3割)の最終金額を確認し、大切に保管しておいてください。
遠方に住んでいて立ち会いが難しい場合は、近隣に住む親族に代理を依頼するか、事業者に電話で状況を説明したうえで、鍵の受け渡し方法を相談する方法もあります。実家の片付けを実家じまい代行に依頼している場合は、作業日程にあわせて引き取りの立ち会いを調整できないか、担当窓口に相談してみてください。
品目別・返却時に気をつけたいポイント
介護用品と一口に言っても、品目によって返却時の手間や注意点が異なります。実家に複数の用具が残されているケースを想定し、代表的な品目ごとのポイントをまとめました。
- 介護ベッド(特殊寝台)——本体のほか、マットレス、サイドレール、ベッド上で使うオーバーテーブルなど付属品が多く、まとめて引き取りの対象になります。分解・解体は事業者のスタッフが行うため、家族が動かす必要は基本的にありません。設置場所までの搬出経路(廊下の幅、段差の有無)を事前に伝えておくと、当日の作業がスムーズです。
- 車いす——クッションや電動補助装置など、車いす付属品も貸与対象に含まれる場合があります。折りたたみ式でそのまま引き渡せることが多く、返却の負担は比較的軽い品目です。
- 歩行器・歩行補助つえ——軽量で家族による搬出も難しくありません。複数本の杖をまとめて借りている場合、どれが貸与品でどれが購入品(T字杖など)かが分からなくなることがあるため、事業者に一覧で確認しておくと安心です。
- 手すり・スロープ——工事を伴わない設置が前提のため、取り外し自体は難しくありません。床や壁に吸盤・突っ張り式で固定されているタイプは、外す際に多少の力が必要になることがあります。
- 認知症老人徘徊感知機器・見守りセンサー——ドアや床に設置されたセンサー機器一式が対象です。配線やコンセントまわりの取り外しは事業者に任せたほうが確実です。
- 移動用リフト——設置・撤去に専門的な作業が伴うため、家族が自分で取り外すことは想定されていません。返却の連絡をした時点で、撤去作業の日程を事業者と相談してください。つり具(スリング)部分は購入品として扱われる場合があり、本体との区分を確認しておくと混乱しません。
- 床ずれ防止用具・体位変換器——エアマットや体圧分散マットレスなど、電源が必要な機器を含みます。電源コードやポンプ部分も付属品としてまとめて返却します。
複数の用具・複数事業者を利用している場合の整理方法
介護度が進むにつれて、介護ベッドはA社、車いすはB社、見守りセンサーはB社の別プランといったように、複数の事業者から用具を借りているご家庭も珍しくありません。突然対応することになった家族にとって、この「どれが誰の担当か分からない」状態が、最初の大きなつまずきになります。次の手順で整理すると、抜け漏れを防ぎやすくなります。
- 部屋ごとに用具を書き出す——寝室、リビング、廊下、浴室・トイレ周りと、部屋を回りながら介護用品らしきものをすべてリストアップします。
- 各用具に管理シールがないか確認する——多くのレンタル品には、事業者名や管理番号が記載されたシールが本体の目立たない場所に貼られています。
- 請求書・通帳の引き落とし履歴を確認する——契約書が見当たらなくても、毎月の口座引き落とし名や請求書の履歴から事業者名を逆算できる場合があります。
- ケアマネジャーに一括で確認する——ケアプランには利用しているすべての福祉用具貸与事業者が記載されているため、リストアップした用具と照合すれば、担当が不明な品を最小限に絞り込めます。
- 事業者ごとに連絡し、まとめて返却希望日を伝える——複数事業者がある場合、それぞれ引き取り日が異なるのが通常です。遺品整理や実家じまいの作業日と重ならないよう、日程を一覧で管理しておくと当日の混乱を避けられます。
返却時の精算・費用の考え方
介護用品レンタルの利用料は、介護保険が適用されていれば自己負担割合(所得に応じて1〜3割)に応じた金額のみを支払う仕組みです。返却のタイミングによって、精算方法にいくつかのルールがあります。
月の途中で解約した場合の「半月未満は半額」ルール
介護保険の福祉用具貸与では、月の途中で契約・解約が生じた場合、その月の利用期間が半月に満たなければ半額請求となる扱いが一般的です。逆に半月を超えて利用していれば、その月は満額の請求になります。死亡や入院で急に不要になった場合も、このルールに沿って精算されるのが基本です。ただし、同じ月のうちに契約と解約の両方が発生すると満額請求になる場合もあるため、月をまたぐタイミングで迷う場合は事業者に確認してください。
死亡日以降の利用料はどう扱われるか
亡くなった日から実際に用具を引き取ってもらう日までの間、利用料が発生するかどうかは事業者ごとに規定が異なります。死亡日をもって課金を停止する事業者もあれば、引き取り日まで日割りで計算する事業者もあります。連絡が早いほど、この期間を短く抑えられます。判断に迷う場合は、精算方法を最初の電話連絡の際に確認しておくと、後から金額面でのトラブルを避けられます。
破損・紛失があった場合
通常の使用による経年劣化であれば、原則として追加費用は発生しません。一方、明らかな破損や部品の紛失があった場合は、実費での弁償を求められることがあります。契約時の重要事項説明書に、損害時の対応について記載されているのが一般的です。心当たりがある場合は、引き取り前に事業者へ相談しておくと、当日のやり取りがスムーズになります。
レンタル料は確定申告の医療費控除の対象になるか
介護用品のレンタル料は、原則として医療費控除の対象には含まれません。ただし、居宅サービス計画(ケアプラン)に基づいて福祉用具貸与が組み込まれ、かつ訪問看護など医療系のサービスとあわせて利用している場合など、一定の条件を満たせば対象になることがあります。判断が分かれやすい部分のため、確定申告の際は自己判断せず、税務署またはケアマネジャーに確認しておくことをおすすめします。返却後に受け取る精算書や領収書は、こうした確認の際にも必要になるため保管しておいてください。
用具を入れ替える場合は「区分支給限度基準額」に注意
返却と同時に、状態の変化にあわせて別の用具に切り替える(例:歩行器から車いすへ変更する)場合は、要介護度ごとに定められた「区分支給限度基準額」という給付上限の範囲内で調整する必要があります。同じ月に旧用具の返却と新用具のレンタル開始が重なると、月額費用が一時的に上限へ近づくことがあります。用具の入れ替えを検討している場合は、返却のタイミングとあわせてケアマネジャーに給付枠の残りを確認しておくと、想定外の自己負担が発生するのを防げます。
電話で連絡する際に伝えるとスムーズな情報
レンタル事業者に初めて連絡する際、次の情報を手元に用意しておくと、担当者とのやり取りが一度で済みます。
- 契約者(利用者)の氏名と、契約者との続柄
- 返却したい理由(死亡・入院・施設入所・不要になったなど)
- 借りている用具の種類(分かる範囲で構いません)
- 設置場所の住所と、当日連絡が取れる電話番号
- 希望する引き取り日の候補(2〜3日分)
- 立ち会いが可能な人(本人以外が対応する場合はその旨)
レンタル対象品と購入対象品の違い(独自比較表)
介護保険で利用できる福祉用具には、「レンタル(貸与)」で借りるものと、「購入」して手元に残るものの2種類があります。この違いを理解していないと、返さなくていい物まで事業者に問い合わせてしまったり、逆に返すべき物を処分してしまったりする混乱が起きやすいところです。
| 区分 | 主な品目 | 返却の要否 | 不要になったときの扱い |
|---|---|---|---|
| 福祉用具貸与(レンタル対象・13種目) | 車いす、車いす付属品、特殊寝台(介護ベッド)、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、手すり、スロープ、歩行器、歩行補助つえ、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト、自動排泄処理装置(本体) | 返却が必要 | レンタル事業者へ連絡して引き取ってもらう |
| 特定福祉用具販売(購入対象) | 腰掛便座、自動排泄処理装置の交換可能部品、入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分、排泄予測支援機器 | 返却は不要(利用者の所有物) | 自治体のごみ分別ルールに従って処分するか、遺品整理・実家じまいの作業でまとめて処分する |
腰掛便座や入浴補助用具のように直接肌に触れる衛生用品は、介護保険を使って購入する仕組みになっており、レンタルの対象外です。介護ベッドは返却が必要でも、その横に置いてあったポータブルトイレは処分してよい、という組み合わせも珍しくありません。判断に迷う品があれば、ケアマネジャーに確認するか、レンタル事業者へ「これは貸与品かどうか」を一言尋ねてみてください。
返却前チェックリスト(印刷してそのまま使えます)
初めて対応する家族が迷わないよう、返却前に確認しておきたい項目をまとめました。当てはまる項目にチェックを入れながら進めてください。
- 契約書・お客様控え・請求書のいずれかが手元にあるか確認した
- 見当たらない場合、担当ケアマネジャーまたは地域包括支援センターに事業者名を確認した
- 用具本体に貼られた管理シールやラベルで事業者名を確認した
- 用具の種類(介護ベッド/車いす/手すり など)と付属品の有無を確認した
- マットレス・サイドレール・リモコンなど、一緒に貸与されている付属品を漏れなくまとめた
- 尿とりパッドなど消耗品は同梱せず、通常のごみとして処分してよいことを確認した
- 返却希望日の候補を2〜3日分用意した
- 死亡の場合、介護保険の資格喪失届の提出時期と合わせて連絡した
- 破損や紛失に心当たりがある場合、事前に事業者へ伝えた
- 引き取り当日の立会者(本人が難しい場合は代理の家族)を決めた
- 精算書・領収書を受け取り、保管した
- 実家の片付け(遺品整理・実家じまい)の日程と引き取り日を調整した
ケース別の精算シミュレーション(独自試算)
実際にどの程度の金額になるのか、イメージが湧きにくいという声をよく受けます。以下は自己負担割合1割の利用者を想定した試算の一例です。用具の種類や自己負担割合、事業者の規定によって実際の金額は変わるため、あくまで考え方の目安として参考にしてください。
| ケース | 状況 | 精算の考え方 |
|---|---|---|
| ケース1:死亡後すぐに連絡 | 月の前半(10日ごろ)に死亡。2日後にケアマネへ連絡し、5日後に事業者が引き取り | その月の利用期間が半月未満のため、半額請求で精算される見込み |
| ケース2:連絡が10日ほど遅れた | 月初めに施設入所が決まったが、バタバタして連絡が10日後になり、さらに引き取りまで1週間かかった | その月の利用期間が半月を超えるため、満額請求になる見込み |
| ケース3:遠方の家族が実家整理中に発見 | 遠方に住む家族が実家の片付けで訪問し、介護用品の存在に気づいたが契約書が見当たらず、事業者の特定に数日を要した | ケアマネジャーへの確認を挟むため連絡が遅れやすく、判明後は早めの返却依頼が費用を抑える鍵になる |
いずれのケースにも共通するのは、「気づいてからの初動の速さ」が精算額に直結するという点です。とくにケース3のように契約書が見つからず事業者の特定に時間がかかる場合、遺品整理や実家じまいの初日にケアマネジャーへの確認を組み込んでおくと、後の手戻りを防げます。
孤独死・発見が遅れたケースでの介護用品の扱い
発見が遅れた孤独死や、長期間放置された末に亡くなっているのが見つかったケースでは、介護用品の返却も通常とは異なる対応が必要になります。介護ベッドのマットレスや床ずれ防止用具など、体に直接触れていた品は、状況によっては通常の消毒だけでは対応できず、特殊清掃の対象になることがあります。
このような場合、まずは特殊清掃業者に室内の状況を確認してもらい、そのうえでレンタル事業者に状況を正直に伝えてください。事業者によっては、汚染の程度に応じて通常の引き取りができない、または追加の消毒・処分費用が発生する場合があります。用具を無理に自分たちで運び出そうとせず、特殊清掃業者とレンタル事業者の双方に相談しながら進めることが、感染症などのリスクを避けるうえでも重要です。
特殊清掃が必要になった実家では、介護用品の返却だけでなく、部屋全体の消臭・消毒、家財の遺品整理まで一連の作業が必要になります。対応できる業者かどうかは事前の確認が欠かせません。実家じまい代行では、特殊清掃の実績がある提携業者と連携しながら、介護用品の返却も含めた片付け全体を進めることができます。
契約者本人以外が手続きする場合の注意
福祉用具貸与の契約は、原則として利用者本人の名義で結ばれています。死亡後に家族が代理で解約・返却の連絡をすることは一般的に認められていますが、本人が存命のまま入院や施設入所で契約を変更・解約する場合は、契約者本人の意思確認を求められることがあります。
認知症の進行などで本人の判断能力に不安があり、契約手続きの意思確認が難しい場合は、成年後見制度(法定後見・任意後見)を利用している家族が、後見人としての立場で手続きを進めるケースもあります。すでに後見人が選任されている場合は、レンタル事業者に後見人であることを伝えたうえで手続きを進めてください。後見制度を利用していない場合でも、多くの事業者は家族からの連絡に応じて柔軟に対応してくれますが、契約内容の変更を伴う場合は、事前にどのような書類が必要か確認しておくと二度手間になりません。
実家じまい・遺品整理と合わせて確認したいこと
介護用品の返却は、実家の片付け全体からすると小さな作業に見えるかもしれません。しかし、返却漏れのまま遺品整理や解体を進めてしまうと、後から事業者への連絡が必要になり、すでに搬出済みの部屋への再訪問が発生することもあります。片付けに着手する前に、レンタル品の有無と連絡先を確認しておくことをおすすめします。
とくに、親の死亡や施設入所をきっかけに実家全体の片付けを検討し始める方は少なくありません。介護用品の返却は、その一連の流れの中で最初に対応しておきたい項目の一つです。実家じまい全体のタイミングや進め方は実家じまいはいつから始めるべきかで、生前のうちに整理を進めておきたい場合は生前整理の進め方ガイドで詳しく解説しています。介護用品を撤去したあと、実家が当面空き家になる見込みであれば、空き家管理の基本もあわせて確認しておくと安心です。
介護用品の返却から遺品整理、実家の売却・解体の手配まで、まとめて相談したい場合は実家じまい代行サービスの窓口でも対応できます。介護用品の返却先が分からない、複数の事業者から借りていて整理がつかないといったご相談も、遺品整理の作業と合わせてお受けしています。
よくある質問
介護用品レンタルはいつまでに返却すればいいですか?
レンタル事業者がどこか分からないとき、どうやって調べますか?
亡くなった日から返却日までの利用料はどうなりますか?
返却前に自分たちで掃除や消毒をする必要はありますか?
介護ベッドと腰掛便座はどちらも返却が必要ですか?
介護保険を使わない自費レンタルの場合も同じ手順で返却できますか?
まとめ
介護用品レンタルの返却は、親の死亡や施設入所といった慌ただしいタイミングで発生する作業です。要点を振り返ります。
- レンタル品は遺品ではなく事業者の所有物。相続手続きとは切り離して考えてよい
- 返却に法律上の期限はないが、連絡が遅れるほど利用料が発生し続ける
- 連絡先はレンタル事業者とケアマネジャーの2か所。契約書が見つからなければケアマネジャーに確認する
- 死亡・入院・施設入所・住み替え・状態改善など、ケースごとに連絡すべきタイミングが異なる
- 月の途中の解約は、半月未満なら半額請求となる扱いが一般的
- 清掃・消毒は基本的に事業者側が行う。消耗品は同梱不要
- 車いすや介護ベッドは返却対象、腰掛便座や入浴補助用具は購入品のため返却不要
- 本人以外が手続きする場合、判断能力に不安があれば成年後見制度の利用者が後見人として対応することもある
介護用品の返却は、実家じまい全体の中では最初の一歩にあたる作業です。返却先の特定さえできれば、手続き自体はそれほど複雑ではありません。まずは契約書やケアマネジャーへの確認から始め、遺品整理や実家の片付けと歩調を合わせて進めてください。実家じまい全体の進め方は実家じまいはいつから始めるべきかを、生前からの準備は生前整理の進め方ガイドをご覧ください。
早いこともあります
実家の片付けから処分まで、
窓口ひとつでご相談いただけます。
ご相談・お見積もりは無料です。

