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成年後見人は実家を売却できるか|居住用不動産の許可手続きと流れ

最終更新日:2026年8月6日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 成年後見人が実家(居住用不動産)を売却するには家庭裁判所の許可が必須です。許可を得ずに結んだ売買契約は無効になります。
  • 本人が施設や病院に入っていて実際には住んでいなくても、将来住む可能性がある、または入所前に住んでいたなら「居住用不動産」として扱われ、許可が必要です。
  • 申立てから許可が下りるまでの目安は1〜2か月。査定・売却活動の期間も含めると、動き始めてから代金を受け取るまで通算3〜4か月を見込む必要があります。
  • 実家の片付け(遺品整理・生前整理)自体は許可不要です。売却許可の審理を待つ間に片付けを進めておけば、許可が下りた後の決済・引き渡しがスムーズになります。
目次

成年後見人が実家を売却するには家庭裁判所の許可が必要

親が認知症などで判断能力が低下し、すでに成年後見制度を利用している場合、後見人がその親(本人)に代わって財産を管理します。不動産の売却も後見人の権限に含まれますが、実家のように本人の「居住用不動産」にあたる場合は、後見人の判断だけで自由に売却することはできません。民法859条の3は、成年後見人が本人の居住用不動産を処分するときは家庭裁判所の許可を得なければならないと定めています。処分には、売却のほか、抵当権の設定、賃貸借契約の締結・解除、建物の取り壊しも含まれます。

この許可を得ないまま売買契約を結んだ場合、その契約は無効です。買主が見つかり、決済の日程まで決まっていたとしても、家庭裁判所の許可がなければ法律上の効力は生じません。不動産会社や買主の側もこの点を理解していることが多く、後見人であることが分かった時点で「家裁の許可は取得済みですか」と確認されるのが通常の実務です。

あわせて押さえておきたいのが、後見人には民法858条により「身上配慮義務」が課されている点です。財産の管理は本人の利益のために行うものであり、実家をどうするかについても、できる限り本人の意思や心情を尊重しながら判断することが求められます。認知症が進んでいても、実家への思い入れや「できれば売りたくない」といった意向が確認できる場合は、その事情も申立て時の説明に加えておくと、審理での説明がしやすくなります。

許可が必要な行為・不要な行為の線引き

「処分」に何が含まれるかを最初に整理しておくと、日々の後見事務で迷いにくくなります。

行為の種類 家庭裁判所の許可 具体例
不動産の処分行為 必要 売却、抵当権の設定、賃貸借契約の締結・解除、建物の取り壊し
通常の維持管理行為 不要 固定資産税の納付、火災保険の加入・更新、修繕、庭木の手入れ
家財の片付け 不要 遺品整理・生前整理としての家財の仕分け・処分
非居住用不動産の売却(法定後見) 原則不要 投資用物件・使用実績のない土地の売却

迷いやすいのは「取り壊し」です。老朽化した実家を解体して更地にする場合も処分行為にあたるため、居住用不動産であれば売却と同様に家庭裁判所の許可が必要になります。売却ではなく解体だけを先に進めたいという場合も、この点を見落とさないようにしてください。

居住用不動産とは、現に住んでいる家だけを指すわけではない

ここで見落としやすいのが、「居住用不動産」の範囲です。裁判所の案内では、現に住居として使用している場合に限らず、本人が現在は病院や施設に入所しているために居住していないが、将来居住する可能性がある場合、または入所前に居住していた場合も含むとされています。つまり、親が特別養護老人ホームや有料老人ホームに入居し、実家が空き家になっている状態でも、その実家は居住用不動産として扱われ、売却には家庭裁判所の許可が必要になります。「もう住んでいないのだから許可はいらないだろう」という判断は誤りです。

非居住用不動産・賃貸中の物件との違い

一方、本人が一度も住んだことのない投資用マンションや、更地のまま所有している土地など、非居住用不動産の売却には、原則として家庭裁判所の許可は不要です。ただし、任意後見制度を利用している場合は、任意後見契約書に「重要な財産の処分には任意後見監督人の同意(または意見聴取)を要する」旨の条項が定められているのが一般的で、その場合は居住用・非居住用を問わず監督人への確認が必要になります。契約書にそうした条項があるかどうかは、契約書の写しで確認してください。実家のほかにも不動産を所有している場合は、それぞれの物件が居住用にあたるかどうかを最初に整理しておくと、必要な手続きを見誤りません。

法定後見と任意後見で手続きが異なる

成年後見制度には、判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人を選ぶ「法定後見」と、判断能力があるうちに本人が公正証書で後見人をあらかじめ決めておく「任意後見」の2種類があります。法定後見はさらに、本人の判断能力の程度に応じて「後見」「保佐」「補助」の3類型に分かれます。実家の売却手続きは、どの制度・類型を利用しているかによって、許可を得る相手も必要な要件も変わってきます。

類型 対象となる判断能力 居住用不動産売却の要件 申立てできる人
成年後見 判断能力を欠く常況 家庭裁判所の許可が必須 成年後見人
保佐 判断能力が著しく不十分 代理権付与時のみ家庭裁判所の許可が必要 保佐人(代理権付与時に限る)
補助 判断能力が不十分 代理権付与時のみ家庭裁判所の許可が必要 補助人(代理権付与時に限る)
任意後見 契約時は判断能力あり 家庭裁判所の許可は不要。契約書の定めにより任意後見監督人の同意が必要になる場合が多い 任意後見人

保佐人・補助人は、そもそも不動産を処分する代理権を家庭裁判所から付与されていなければ、本人に代わって売買契約を結ぶこと自体ができません。代理権の範囲は、後見開始時の審判書に記載されています。自分がどの類型の、どの範囲の権限を持っているか分からない場合は、審判書を確認するか、選任を受けた家庭裁判所に問い合わせてください。

任意後見の場合の進め方

任意後見はあらかじめ本人が契約で後見人を指定しておく制度で、判断能力が低下した後、家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時点で業務が始まります。任意後見契約に関する法律には、成年後見の民法859条の3のような「居住用不動産の処分は家庭裁判所の許可が必要」という規定はありません。ただし、実務で使われる契約書のひな型の多くは「重要な財産の処分については任意後見監督人の同意(または意見聴取)を得る」旨の条項を含んでおり、その条項がある場合は監督人の同意を得る形で売却を進めます。監督人が本人の利益にかなうかどうかを確認する点は法定後見と共通しており、査定書や売却理由を裏付ける資料の提出を求められるのが通常です。契約書に該当条項があるかを早めに確認し、あれば契約締結前に監督人へ売却の方針を説明し、同意を得るタイミングを売買契約のスケジュールに組み込んでおくと、手続きが滞りません。

成年後見人による実家売却の流れ5ステップ

実家の売却は、査定から決済まで大きく5つの段階に分かれます。順番を誤ると、契約自体が無効になったり、審理が長引いたりするため、最初に全体の流れをつかんでおくことが重要です。

  1. 不動産会社に査定を依頼する——複数社(目安3社程度)に査定を依頼し、客観的な相場を把握します。売却価格の妥当性は家庭裁判所の審査対象になるため、根拠のない価格設定では許可が得られにくくなります。査定書は申立て時の添付書類にもなります。
  2. 媒介契約を結び売却活動を始める——買主を探すこと自体は、家庭裁判所の許可前でも進められます。ただし価格は市場相場だけでなく、審査を見据えた説明できる水準にしておく必要があります。
  3. 停止条件付きの売買契約を締結する——買主が見つかったら、「家庭裁判所の許可を条件として本契約は効力を生じる」と明記した停止条件付き売買契約を結びます。許可が得られなかった場合の手付金の扱いも、この時点で定めておきます。
  4. 家庭裁判所へ許可を申し立てる——売買契約書、査定書、登記事項証明書などを添えて、後見開始の審判をした家庭裁判所に申立てを行います。審理では、売却理由の合理性、価格の妥当性、売却後の本人の生活に支障が出ないかが確認されます。
  5. 許可後に決済・引き渡しを行う——許可審判書と審判確定証明書を確認したうえで決済を行い、司法書士が登記申請をします。売却代金は本人(被後見人)名義の口座で管理し、後見人個人の口座に入金してはいけません。

売却代金が高額になる場合は後見制度支援信託・支援預金も検討される

実家の売却代金のように、日常生活で使う金額を大きく超えるまとまったお金が入る場合、家庭裁判所から「後見制度支援信託」または「後見制度支援預金」の利用を検討するよう促されることがあります。これは、日常的な支払いに必要な分だけを後見人が管理する口座に残し、それ以外の金銭を信託銀行や指定された金融機関に信託・預入れする仕組みです。信託・預入れした分を引き出すには、家庭裁判所が発行する指示書が必要になるため、後見人による使い込みや誤った支出を防ぐ安全装置として機能します。主に親族が後見人を務めているケースで案内されることが多く、専門職後見人が就いている場合は運用が異なることもあります。実家の売却を検討している段階で、代金の管理方法について家庭裁判所や後見人選任時の担当窓口に確認しておくと、決済後の手続きに戸惑わずに済みます。

複数後見人・後見監督人がいる場合の同意

後見人が複数選任されている「共同後見」の場合、原則として後見人全員の合意がなければ売却の手続きを進められません。権限を分掌している場合(財産管理は長男、身上監護は長女など)は、不動産の処分についてどちらが担当するかを審判書で確認しておく必要があります。後見監督人が選任されている場合は、申立ての前段階で監督人に売却方針を報告し、意見を聞いておくと、その後の家庭裁判所での審理がスムーズになる傾向があります。監督人は本人の利益を守る立場としてチェック機能を担っているため、早い段階で情報を共有しておくことが結果的に近道です。

なぜ「停止条件付き」で契約するのか

先に無条件の売買契約を結んでしまうと、後から家庭裁判所の許可が下りなかった場合に、契約だけが有効なまま残ってしまい、解約や違約金をめぐるトラブルに発展しかねません。そのため実務では、許可の取得を契約の効力発生条件とする「停止条件付き売買契約」を結ぶのが一般的です。契約書の文言や、許可が得られなかった場合の手付金の返還ルールは、司法書士や弁護士など専門家に事前に確認してもらうことをおすすめします。

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家庭裁判所への申立てに必要な書類とチェックリスト

申立ての準備は、書類の過不足が審理の速さを左右します。不足があると補正を求められ、そのぶん許可が下りるまでの期間が延びてしまいます。主な必要書類は次のとおりです。

書類 備考
居住用不動産処分許可の申立書 家庭裁判所所定の書式を使用
処分する不動産の登記事項証明書 法務局で取得。最新のものを用意する
処分の必要性を証する資料(契約書写し等) 売却の場合は売買契約書の写し
不動産の評価証明書 市区町村で取得する固定資産税評価証明書
不動産業者作成の査定書 売却する場合に添付。価格の妥当性を示す資料
後見登記事項証明書 後見人であることを証明する書類
本人の財産目録 売却の必要性を判断する資料として提出を求められることがある
施設入所契約書の写し・費用見積書 売却理由が施設入所費用の確保である場合に添付

(裁判所「成年被後見人(被保佐人、被補助人)の居住用不動産の処分についての許可」掲載内容をもとに作成。申立手数料は収入印紙800円分で、別途郵便切手代が必要。金額や必要書類の詳細は申立て先の家庭裁判所により異なる場合があるため、事前に管轄の家庭裁判所へご確認ください)

印刷して使える申立て準備チェックリスト

次の項目を一つずつ確認しながら準備を進めると、書類の抜け漏れを防げます。施設への支払期限が迫っている場合は、特に太字の項目を優先してください。

  • □ 後見開始の審判をした家庭裁判所(申立先)を確認したか
  • □ 不動産会社3社程度から査定書を取得したか
  • □ 査定額の根拠(周辺の成約事例・築年数・建物の状態)を説明できる状態か
  • 売却理由(施設入所費用・医療費・空き家の維持費負担など)を具体的な数字で示せるか
  • □ 施設入所契約書の写しや費用見積書を用意したか
  • □ 登記事項証明書(最新)を取得したか
  • □ 固定資産税評価証明書を取得したか
  • □ 後見登記事項証明書を取得したか
  • 停止条件付き売買契約書の文言を専門家に確認してもらったか
  • □ 売却代金を管理する本人名義口座を確認したか(後見人個人口座は不可)
  • □ 相続人になりうる親族へ事前に説明し、理解を得ているか
  • □ 買主が後見人自身や近親者でないか(利益相反にあたらないか)を確認したか
  • □ 施設への支払期限と、審理にかかる期間の見込みを突き合わせて資金繰りを確認したか
  • □ 家財が残っている場合、片付けの日程を売却スケジュールに組み込んだか

許可が下りるまでの期間と逆算スケジュール

家庭裁判所の審理期間は地域や事案によって差がありますが、目安は申立てから1〜2か月程度です。売却理由が明確で査定資料が整っていれば比較的スムーズに進みますが、価格の根拠が弱い場合や書類に不備があると補正を求められ、さらに数週間延びることがあります。査定から売却活動、契約、申立て、審理、決済までの全体を通算すると、動き始めてから代金を受け取るまで3〜4か月程度を見込んでおくのが現実的です。

ケース別シミュレーション:有料老人ホームの入居一時金を実家売却でまかなう場合

介護施設への入居は、費用の支払期限が先に決まってしまうことが少なくありません。ここでは、要介護3の母親が有料老人ホームへの入居を決め、入居一時金300万円と月額利用料18万円が必要になったケースを想定し、実家(評価額1,500万円程度)の売却でその資金を確保する場合の逆算スケジュールを示します。数字はあくまで一例で、実際の期間は事案によって前後します。

経過日数の目安 やること
0日目 施設との入居契約・一時金の支払期限が判明する。後見人(未選任なら申立て準備)が状況を整理する
0〜14日目 不動産会社3社程度に査定を依頼。並行して施設入所契約書の写しなど売却理由を裏付ける資料を準備
14〜30日目 媒介契約を締結し売却活動を開始。買主候補との交渉を進める
30〜50日目 買主が決定。停止条件付き売買契約を締結し、必要書類を整えて家庭裁判所へ許可を申立て
50〜110日目 家庭裁判所での審理(目安1〜2か月)。書類に不備があれば補正対応
110〜120日目 許可審判の確定を確認し、決済・引き渡し。売却代金を本人名義口座で受領

このシミュレーションのとおり、動き始めてから実際に売却代金を受け取るまでには4か月前後かかることが珍しくありません。入居一時金の支払期限がこれより早い場合は、実家の売却資金だけを当てにせず、本人の預貯金を先に充てる、施設に支払いの分割や後払いを相談する、親族が一時的に立て替えて後日精算するといった方法を組み合わせる必要があります。まだ後見人が選任されていない段階であれば、後見開始の審判自体にも1〜2か月程度かかるため、さらに前倒しで動き出すことが求められます。

施設の種類によって資金確保の緊急度が変わる

介護保険施設のうち、特別養護老人ホームなど公的性格の強い施設は、入居時にまとまった一時金を求められないことが一般的で、月々の利用料を年金や本人の預貯金でまかなえるケースも多く見られます。一方、民間の有料老人ホームは施設ごとに入居一時金の設定が大きく異なり、まとまった資金を短期間で用意する必要が生じやすい傾向があります。実家の売却で資金を確保する必要性が高いのは、後者のように初期費用の負担が大きい施設への入居を検討している場合です。どちらの施設を選ぶにしても、契約前に一時金・月額費用・支払期限を書面で確認し、実家の売却スケジュールと突き合わせておくことをおすすめします。

施設側に支払期限の相談をするときに伝えたいこと

入居一時金の支払期限が実家の売却スケジュールに間に合わない見込みになった場合は、早めに施設の相談員(生活相談員・ケアマネジャーなど)へ事情を伝えることをおすすめします。伝える際は、次のような具体的な情報を整理しておくと、施設側も対応を検討しやすくなります。

  • 成年後見人が選任済みであること、または申立て中であること
  • 実家の売却について家庭裁判所に許可を申立てている、または申立てを予定していること
  • 審理の目安期間(1〜2か月程度)と、売却代金が入る見込みの時期
  • 一時金の一部を分割で支払える余地があるか、後払いに対応してもらえるか

施設によっては、正式な後見手続きが進行中であることを示す資料(後見登記事項証明書や申立て受理票の写しなど)の提示を求められることもあります。あらかじめコピーを用意しておくと、やり取りがスムーズです。

審理を行う家庭裁判所によっては、成年後見制度に関する独自の案内ページを設けているところもあります。東京・横浜・さいたま・千葉・水戸・大阪・神戸・大津・和歌山・名古屋の各家庭裁判所では、居住用不動産処分許可の申立てについて個別の案内が用意されているため、該当する地域で申立てを行う場合は、事前に各裁判所のサイトで書式や運用の違いを確認しておくと手戻りを防げます。

許可が下りないケース・トラブルになりやすい事例

申立てをしたからといって、そのまま許可が下りるとは限りません。家庭裁判所は、売却が本当に本人の生活や療養に必要かどうかを慎重に判断します。次のような点で説明が不十分だと、許可が下りない、または審理が長引く原因になります。

売却理由の説明が不十分

「空き家になっているので処分したい」という理由だけでは、必要性が弱いと判断される場合があります。認められやすいのは、医療費や施設入所費の確保、空き家の固定資産税・修繕費の負担軽減、生活拠点を施設や賃貸住宅に移すための資金確保といった、本人の生活に直結する理由です。反対に、将来の相続税対策や家族の資金計画のみを理由とする場合は、本人の利益とは判断されにくい傾向があります。

売却価格が相場とかけ離れている

価格は本人の財産に直結するため、家庭裁判所も慎重に確認します。1社だけの査定をもとに大幅な値下げをした場合、客観性が不足していると見なされることがあります。3社以上から査定書を取得し、周辺の成約事例や建物の状態を踏まえて価格の根拠を整理しておくことが、審理をスムーズに進めるポイントです。

相続人になりうる親族との対立

不動産の売却は将来の相続財産に影響するため、親族間で意見が分かれることがあります。法律上は相続人の同意がなくても後見人が売却を進めることは可能ですが、十分な説明をせずに進めると不信感が残り、後の財産管理や相続手続きで対立が深まるおそれがあります。売却の目的と価格の根拠を、早い段階で親族にも共有しておくことをおすすめします。

手続きミスによる契約無効のリスク

家庭裁判所の許可を条件としていない契約、契約書で定めた任意後見監督人の同意取得漏れ、停止条件の記載があいまいな契約などは、後になって効力が否定される恐れがあります。契約書の作成段階から司法書士や弁護士に内容を確認してもらうことが、無効リスクを避ける現実的な対策です。

利益相反に注意:後見人や親族が買主になる場合

「せっかくなら実家を子どもである自分が買い取りたい」と考える方もいますが、後見人自身やその近親者が実家の買主になる場合は、通常の売却よりも一段厳しい手続きが必要です。民法は、後見人と本人との利益が相反する行為について、後見監督人がいれば後見監督人が本人を代表し、後見監督人がいない場合は家庭裁判所に特別代理人の選任を請求しなければならないと定めています。後見人自身が買主になる取引はこの利益相反行為の典型例にあたり、居住用不動産処分許可とは別に、特別代理人の選任手続きが必要になる可能性があります。

加えて、前章で触れたとおり、配偶者や子どもなど「特別の関係がある人」への売却は、税制上の3,000万円特別控除の対象外にもなります。手続きの複雑さと税負担の両面から見て、実家は第三者である不動産会社・買主へ市場価格で売却し、その代金を本人の生活費や施設費用に充てるという進め方のほうが、結果的にシンプルで説明もしやすくなります。親族が実家を引き継ぎたい意向を持っている場合は、後見が始まる前の段階で、生前整理や家族間の話し合いを通じて方針を決めておくことをおすすめします。

後見人選任前・選任後で実家に関してできること

まだ後見人が選任されていない段階と、選任されて許可を待っている段階とでは、家族が実家に関してできることの範囲が異なります。今どちらの段階にいるかを整理しておくと、無用な足踏みを避けられます。

段階 できること できないこと
後見人選任前 本人の同意を得たうえでの家財の整理、施設・自治体への相談、後見開始の申立て準備 本人に代わる不動産売買契約の締結、本人の預貯金の払い戻し
後見人選任後(許可待ち) 家財の片付け、不動産会社への査定依頼、停止条件付き売買契約の締結、通常の財産管理 家庭裁判所の許可前の決済・所有権移転登記、無条件での売買契約締結
許可取得後 決済・引き渡し、登記申請、代金の受領と管理 (許可の範囲を超える処分行為は別途許可が必要)

後見人がまだ選任されていない段階でも、家財の整理や情報収集は進められます。「後見人が決まってから何もかも動かせる」と誤解して待ってしまうと、結果的に時間だけが過ぎてしまいます。今の段階でできることから着手しておくことが、全体の期間短縮につながります。

実家を売却したときの税金:3,000万円特別控除は使えるか

家庭裁判所の許可を得て売却が実現しても、その先には税金の問題が残ります。実家を売って利益(譲渡所得)が出た場合、一定の要件を満たせば「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」を使い、譲渡所得から最高3,000万円を差し引くことができます(国税庁タックスアンサーNo.3302より)。本人がすでに施設に入居していて実家に住んでいない場合でも、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば、この特例の対象になり得ます。

見落としやすい適用除外:親族への売却は対象外

ここで注意したいのが、配偶者や親子など「特別の関係がある人」に売った場合は、この特例の対象外になるという点です。子どもが実家を買い取って親族間で名義を移すような形にすると、3,000万円特別控除は使えません。特例の適用を考えているなら、不動産会社を通じて第三者に売却する前提で進める必要があります。適用を受けるには確定申告が必要で、譲渡所得の内訳書などの添付書類も求められます。本人に代わって後見人が確定申告の手続きを進める場合も、税理士に相談しながら進めるとミスを防げます。

なお、この特例は本人(被後見人)が生きている間に本人名義で売却する場合の制度で、相続後に相続人が空き家を売る際に使う「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」とは適用要件が異なります。後見中に売るか、相続後に売るかで使える制度が変わる点も、方針を決める際の判断材料になります。

実家の片付け(遺品整理・生前整理)にも許可は必要か

ここまで見てきた家庭裁判所の許可は、あくまで不動産そのものの「処分」(売却・賃貸借・担保設定・取り壊し)に対して求められるものです。実家の中にある家財を仕分けて片付ける行為、つまり遺品整理や生前整理は、通常は財産管理の一環として後見人の裁量で進めることができ、家庭裁判所の許可は不要です。

片付けと売却で扱いが違う理由

この区別は、実際の相談の現場でも誤解されやすいポイントです。「実家を売る話が進んでいないから、まだ片付けにも着手できない」と考えて、施設入居後も実家をそのまま放置してしまうケースが見られますが、その必要はありません。売却許可の審理を家庭裁判所で待っている間に、家財の仕分けや処分を先に進めておけば、いざ許可が下りて買主への引き渡し日が決まったときに、空の状態ですぐ決済に進むことができます。逆に、許可が下りてから片付けに着手すると、引き渡しまでの期間が短い中で作業を詰め込むことになり、業者の日程確保も難しくなりがちです。

ただし、貴金属や骨董品など高額な遺品を独断で処分すると、後日の後見事務報告で家庭裁判所や後見監督人から説明を求められることがあります。処分前の写真記録や、査定・買取の明細を残しておくと、報告の際に説明がしやすくなります。仏壇や位牌の供養が必要な場合、農機具や大型家具の処分ルートを事前に決めておきたい場合も、売却許可を待つ期間を使って準備を進められます。

空き家期間中の管理リスクにも注意する

施設入居から売却完了までの数か月間、実家が空き家のままになる期間が生じます。この間、雨漏りや害虫、庭木の繁茂といった管理不全が進むと、売却時の印象や査定額に影響することもあります。定期的な換気や見回りが難しい場合は、片付けと並行して簡易な管理を依頼できる先を確保しておくと安心です。空き家の管理で気をつけたい点は空き家管理の注意点で詳しく紹介しています。

実家じまい全体をいつから始めるべきかで迷う場合は、実家じまいのタイミングガイドもあわせてご覧ください。施設入居のタイミングは、実家の片付けに着手する自然な区切りになります。

空き家のまま長期間放置した場合のリスク

売却許可の審理を待つ数か月間はやむを得ないとしても、そこからさらに実家をそのまま放置してしまうと、別のリスクが生じます。管理が行き届かない空き家が周辺の生活環境に悪影響を及ぼしていると自治体に判断されると、「特定空家等」に指定される可能性があり、指定されると固定資産税の住宅用地特例が解除されて税額が上がる場合があります。また、老朽化が進むほど売却時の査定額が下がりやすくなり、買主が見つかりにくくなることもあります。売却の許可を待つ期間を、片付けと最低限の管理(換気・見回り・郵便物の整理など)に充てておくことで、こうしたリスクを抑えながら、許可が下りた後の決済にすぐ進める状態を保てます。

成年後見制度の基礎知識と申立ての流れ

まだ後見人が選任されていない段階で、これから制度の利用を検討している場合は、実家の売却より前に、後見開始の審判そのものに一定の期間がかかる点を押さえておく必要があります。

後見・保佐・補助の違い

法定後見は、本人の判断能力の程度に応じて「後見」(判断能力を欠く常況)、「保佐」(著しく不十分)、「補助」(不十分)の3類型に分かれます。判断能力の程度が重いほど、後見人に与えられる権限は広くなります。後見人には配偶者や子どもなどの親族が選ばれることもありますが、不動産売却のように専門的な判断が必要な場面では、弁護士や司法書士といった専門職が選ばれることもあります。家族だけが選ばれる制度ではない点を理解しておいてください。

後見開始の申立てから選任まで

後見開始の申立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対し、親族などが行います。家庭裁判所による審理(本人の判断能力について医師の鑑定が必要になる場合もあります)を経て後見人が選任されます。この審理にも1〜2か月程度かかるのが一般的です。実家の売却を急いでいる場合は、後見開始の申立てと並行して、不動産会社への査定依頼や必要書類の準備を進めておくと、選任後の動き出しが早くなります。主な申立て書類は次のとおりです。

書類 備考
後見開始等申立書 家庭裁判所所定の書式を使用
本人の診断書 家庭裁判所所定の様式を主治医に依頼して作成してもらう
本人の戸籍謄本・住民票 本籍地・住所地の市区町村窓口で取得
本人の財産に関する資料 預貯金通帳の写し、不動産の登記事項証明書など
後見人候補者の住民票 親族が候補者になる場合に添付
本人の収支に関する資料 年金額、施設利用料などが分かる資料

申立て先や添付書類の詳細は家庭裁判所によって案内が異なる場合があるため、実際に申立てる際は管轄の家庭裁判所の窓口や公式サイトで最新の書式を確認してください。

後見人の報酬

成年後見人の報酬は、家庭裁判所が業務内容に応じて決定する仕組みで、目安は月額2〜6万円程度です。本人の財産額、日常の管理業務の量、不動産売却など特別な手続きの有無が考慮されます。不動産売却を予定している場合は通常より業務量が増えることもあるため、報酬の申し立て手続きについても後見人に確認しておくとよいでしょう。

判断能力が下がる前に、自分自身の将来に備えて後見制度や財産管理の方針を考えておきたい場合は、元気なうちに身の回りを整理する生前整理も選択肢の一つです。進め方の全体像は生前整理の進め方ガイドで紹介しています。

家族信託ではなく成年後見制度になるケース

実家の売却対策を調べる中で「家族信託」という言葉を目にした方もいるかもしれません。家族信託は、本人が元気なうちに、実家を含む財産の管理・処分を家族に託しておく契約です。うまく組めば、家庭裁判所の許可を都度得ることなく、家族の判断で実家を売却できる自由度の高い仕組みになります。ただし家族信託は、本人に契約を結ぶだけの判断能力があることが前提です。すでに認知症などで判断能力が低下し、契約の意味を理解できない状態になっている場合は、家族信託を新たに組むことはできません。その場合は、法定後見制度を利用し、家庭裁判所の許可を得ながら売却を進めるほかに方法がないのが実情です。

逆にいえば、本人がまだ元気なうちであれば、将来を見据えて家族信託や任意後見契約を検討する余地があります。判断能力が低下してからでは選べる制度が限られてしまうため、実家の将来的な扱いについて話し合える段階であれば、早めに専門家へ相談しておくことをおすすめします。生前の準備の進め方は生前整理の進め方ガイドでも紹介しています。

事務局の相談窓口でよく見られるパターン

相談を受ける中では、成年後見と実家売却が絡む場面で、次のようなパターンが繰り返し見られます。自分の状況が当てはまらないか確認してみてください。

  • 施設への入居が急に決まり、一時金の支払期限を先に知ってから後見開始の申立てに動き出すため、資金の準備が数か月単位で後手に回る
  • 実家が空き家になったまま数年放置され、いざ売却しようとした段階で建物の傷みが進んでおり、査定額が想定より下がってしまう
  • 相続人になりうるきょうだいの一人が実家に思い入れを持っており、売却の説明が不十分なまま進めたために後から関係がこじれる
  • 後見人である子どもが実家を買い取りたいと考えたものの、利益相反にあたることを知らずに準備を進め、途中で特別代理人の選任が必要だと分かって手続きが振り出しに戻る
  • 家財が残ったまま査定だけを進め、いざ買主が決まってから片付けに着手し、決済日までに間に合わせるため慌ただしいスケジュールになる

これらに共通するのは、後見の手続き・実家の片付け・資金計画をそれぞれ別々のタイミングで考えてしまい、後から手戻りが生じている点です。施設入居の話が出た早い段階で、売却の要否と片付けの段取りをあわせて整理しておくと、こうした手戻りを避けやすくなります。

安心実家じまいのサービス案内

安心実家じまいは、実家の片付けから売却・解体の手配までを一つの窓口でお受けする全国対応のサービスです。成年後見制度を利用しているご家族からのご相談にも対応しており、家庭裁判所への許可申立てに必要な査定書の準備や、片付けと売却準備を並行して進める段取りについてもご案内できます。

片付けのみのご依頼は遺品整理サービス、家財の片付けから家の売却・解体まで見据えている場合は実家じまい代行パックが窓口を一本化できて便利です。相続登記や成年後見人による売却許可申立てなど法律手続きが絡む場面は、提携司法書士と連携しながら進めます。

親が施設に入居し、実家をどうするか判断できないまま時間だけが過ぎている、あるいは後見人として何から手をつければよいか分からないという場合も、まずは実家の写真を送っていただければ、片付けの概算お見積もりと今後の進め方をあわせてご案内します。売却や解体を伴う場合の税金・登記の相談先についても、提携司法書士をご紹介できます。

内覧や現地立ち会いに時間を割けない場合

親の入院や施設入居への対応で慌ただしい時期は、実家の現地確認や不動産会社の内覧に立ち会う時間を確保すること自体が難しいケースが多く見られます。その場合は、鍵を預かって家財が残ったままの状態で写真をもとに概算を出す方法や、不動産会社の内覧対応を窓口に一任する方法が現実的です。家財が残っていても査定自体は進められますが、実際の売却活動や引き渡しまでには片付けが必要になるため、査定と並行して片付けの段取りを組んでおくと、許可が下りた後の決済までの期間を短縮できます。遠方に住んでいて実家に頻繁に通えない場合も、写真の送付と電話・オンラインでのやり取りだけで、片付けの見積もりから作業まで進められる体制を整えています。

よくある質問

成年後見人は家庭裁判所の許可なしで実家を売却できますか?
できません。民法859条の3により、成年後見人が本人の居住用不動産を売却・賃貸・取り壊しなどで処分する場合は、家庭裁判所の許可が必要です。許可を得ずに結んだ売買契約は無効になります。本人が現在は施設や病院にいて実際には住んでいない場合も、将来住む可能性がある、または入所前に住んでいたという事情があれば居住用不動産として扱われ、許可が必要です。
許可が下りるまでどのくらいかかりますか?
審理期間の目安は申立てから1〜2か月程度です。売却理由が明確で査定書などの資料がそろっていれば比較的早く進みますが、価格の根拠が弱い場合や書類に不備があると補正を求められ、さらに数週間延びることがあります。買主が見つかってから停止条件付き売買契約を結び、申立てを行う流れが一般的なので、査定から決済までを通算すると3〜4か月程度を見込んでおくと安心です。
施設の入居一時金の支払期限に実家の売却が間に合わない場合はどうすればいいですか?
家庭裁判所の許可には一定の日数がかかるため、入居一時金の支払期限に間に合わないことは珍しくありません。その場合は、本人の預貯金で立て替える、支払いの分割や後払いを施設に相談する、親族が一時的に立て替えて後日売却代金から精算するといった方法が現実的です。施設側にも「後見人選任済みで実家の売却許可を申立て中」であることを伝え、支払いスケジュールについて早めに相談しておくと調整しやすくなります。
実家の遺品整理や生前整理にも家庭裁判所の許可は必要ですか?
家財の片付け(遺品整理・生前整理)自体は、原則として財産管理の一環として後見人の裁量で進められ、家庭裁判所の許可は不要です。許可が必要になるのは、不動産そのものを売却・賃貸・担保設定・取り壊しといった形で処分する場合です。そのため、売却許可の審理を待っている間に、家財の仕分けや片付けを先に進めておくことができます。ただし高額な遺品や思い出の品を独断で処分すると後日の後見事務報告で説明を求められることがあるため、記録や写真を残しながら進めることをおすすめします。
保佐人や補助人でも実家を売却できますか?
保佐人・補助人は、家庭裁判所から不動産を処分する代理権を付与されている場合に限り、居住用不動産の売却について成年後見人と同じく家庭裁判所の許可が必要です。代理権が付与されていない場合は、そもそも代理人として売買契約を結ぶことができないため、本人自身が保佐人の同意を得て契約するなど別の進め方になります。代理権の範囲は選任時の審判書で確認できます。
売却許可の申立てにかかる費用はいくらですか?
申立手数料は収入印紙800円分です。このほかに、裁判所からの通知や連絡に使う郵便切手代がかかり、金額は申立て先の家庭裁判所によって異なります。書類の取得費用として、登記事項証明書(1通600円程度)や固定資産税評価証明書(1通200〜400円程度)、不動産会社の査定書(無料の場合が多い)なども別途必要です。司法書士や弁護士に手続きを依頼する場合は、別途報酬がかかります。
実家を売却したときの税金の特例は使えますか?
一定の要件を満たせば、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除」の対象になり得ます(国税庁タックスアンサーNo.3302より)。本人が施設に入居して実家に住んでいない場合でも、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売れば対象になります。ただし配偶者や子どもなど「特別の関係がある人」に売った場合は対象外になるため、親族が買い取る形にすると特例は使えません。適用には確定申告が必要で、要件の細部は税理士に確認することをおすすめします。
売却許可を待つ間、実家を空き家のまま放置しても大丈夫ですか?
審理を待つ数か月間はやむを得ませんが、その後も長期間放置すると、自治体から「特定空家等」に指定され固定資産税の住宅用地特例が解除されるリスクや、老朽化による査定額の低下につながることがあります。片付け(遺品整理・生前整理)自体は許可不要で進められるため、審理を待つ期間に片付けと最低限の管理(換気・見回りなど)を済ませておくと、許可が下りた後の決済にすぐ進められます。

まとめ

成年後見人による実家の売却は、通常の不動産売却より一段階多い手続きを踏む必要があります。要点を振り返ります。

  • 成年後見人が実家(居住用不動産)を売却するには家庭裁判所の許可が必須。無許可の売却は無効になる
  • 本人が施設や病院にいて実際には住んでいなくても、居住用不動産として扱われ許可が必要になる場合がある
  • 売却は「査定→媒介契約→停止条件付き売買契約→許可申立て→決済」の5ステップで進める
  • 審理期間の目安は1〜2か月。全体では動き始めから代金受領まで3〜4か月程度を見込む
  • 認められやすいのは医療費・施設入所費の確保など本人の生活に直結する理由。相続税対策のみでは判断が厳しい
  • 実家の片付け(遺品整理・生前整理)自体は許可不要。売却許可を待つ間に先に進めておける
  • 保佐人・補助人は代理権付与時のみ、任意後見人は家裁許可ではなく契約書の定めに応じて任意後見監督人の同意が必要
  • 売却代金は本人名義口座で管理し、支出には領収書・明細を残す
  • 要件を満たせば居住用財産の3,000万円特別控除が使える。ただし親族への売却は対象外

実家の売却を検討し始めた時点で、まず「今、後見の類型は何か」「居住用不動産にあたるか」「売却理由を数字で説明できるか」の3点を整理すると、その後の申立て準備がスムーズになります。片付けと法律手続きを同時並行で進めたい場合は、実家じまい代行パックで窓口を一本化することもご検討ください。

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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