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服・思い出の品の生前整理|手放し方と残し方の基準

最終更新日:2026年8月6日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 服は「今の体に合うか」「この先1年で袖を通すか」の二つの基準で考えると、残す・手放すの判断がしやすくなります。
  • 思い出の品は点数を数えるより、収納する場所の容量を先に決める方法のほうが現実的に進みます。
  • アルバムや手紙は、原本をすべて残せなくても写真やスキャンで残せば内容は手元に残ります
  • 着物・宝飾品・骨董は普段着と分けて考え、手放す前に査定と記録を残すことをおすすめします。相続財産の評価に関わる場合があります。
目次

なぜ服と思い出の品の整理は他の物より時間がかかるのか

生前整理を始めると、多くの人が最初につまずくのが服と思い出の品です。食器や本、電化製品は「使うか使わないか」という基準で比較的すぐに判断できますが、服と思い出の品はそうはいきません。服には体型が変わる前の記憶や、特別な日に着た思い出が結び付いていることが多く、思い出の品はそもそも実用性で判断する対象ではないためです。

遺品整理との違いもここにあります。遺品整理は故人がいない状態で遺族が判断しますが、生前整理は本人が「これを残すかどうか」を自分で決めます。判断する本人がその場にいる分、一つひとつに気持ちが動きやすく、時間がかかるのは自然なことです。焦って一気に終わらせようとすると、後で「あれを手放さなければよかった」という後悔につながりやすい分野でもあります。

一方で、量が多いまま先延ばしにすると、収納スペースを圧迫し続けるだけでなく、将来的に家族が判断を迫られる場面を先送りにすることにもなります。本人が元気なうちに、自分の基準で少しずつ進めておくことが、結果的に自分にとっても家族にとっても負担の少ない選択になります。

「全部やる」と決めない

服と思い出の品の整理は、一度にすべて終わらせようとすると挫折しやすい作業です。クローゼット一段、引き出し一つ、アルバム一冊というように区切りを決めて、区切りごとに完了させる進め方のほうが続けやすくなります。1回の作業を30分から1時間程度に区切り、疲れる前にやめる習慣をつけると、翌日以降も取り組みやすくなります。

生前整理と遺品整理では、服と思い出の品の扱われ方が変わる

同じ服や思い出の品でも、生前整理として本人が仕分ける場合と、遺品整理として遺族が仕分ける場合とでは、判断の主体も進め方も異なります。違いを整理すると、次のようになります。

生前整理(本人が進める) 遺品整理(遺族が進める)
判断の主体 本人。思い入れの背景を自分で説明できる 遺族。本人の思い入れを推測するしかない場面がある
進めるペース 体調や気分に合わせて自分で調整できる 相続手続きや退去期限に合わせて進める必要がある場合が多い
迷ったときの対応 「今すぐ決めない」という選択肢を取りやすい 本人に確認できないため、迷いが解消されないまま判断することが多い
形見分けの伝え方 本人が誰に何を渡したいかを直接伝えられる 遺言や生前のメモがなければ、遺族間の話し合いで決めることになる

この違いから分かるのは、生前整理で服や思い出の品を整理しておくことが、将来の遺品整理の負担を減らす最も確実な方法だという点です。本人が「これは残したい」「これはもう手放していい」と決めておくだけで、遺族が判断に迷う場面を大きく減らせます。

服の生前整理|残す・手放すの判断基準

服は量が多く、種類も普段着・礼服・季節物・思い出の一着と幅広いため、最初に基準を決めておくと迷いが大きく減ります。ここでは、判断に時間がかかりやすい服を三つに分ける考え方と、手放し方の選択肢を紹介します。

まず全部出して「見える化」する

クローゼットや箪笥にしまわれたままの服は、量を正確に把握できていないことがほとんどです。整理を始める前に、対象の服をすべて一度に出し、目に見える状態にします。ベッドの上や床にシートを敷いて広げるだけでも構いません。しまったままでは「多分これくらい」という感覚でしか判断できませんが、目の前に並べると、想像より多いことに気づく人がほとんどです。量の実感が、その後の判断の基準になります。

三分類ルール:残す・迷う・手放す

全部出したら、次の三つの箱やスペースに分けていきます。この三分類は、二択で悩んで手が止まる状態を避けるための工夫です。「迷う」を用意しておくことで、その場で無理に白黒つけずに作業を前に進められます。

分類 判断の目安 次の行動
残す 今の体型に合い、今シーズンか来シーズンに着る予定が具体的にある そのまま収納。数量の上限を決めておく
迷う 体型は合うが1年以上着ていない/特別な思い出があり今すぐ決められない 写真を撮って一時保管。3〜6か月後に見直す期限を決める
手放す サイズが合わない/傷みが目立つ/同じ用途の服が他に複数ある 買取・寄付・リメイク・処分のいずれかに振り分ける

「迷う」に分類した服は、そのまま放置すると結局そのタンスに戻ってしまいます。一時保管する箱を一つ決めて、そこに入る分だけを保管の上限とし、期限が来たら中身を見直す習慣にすると、迷いの棚上げが永続しません。

手放し方の選択肢を比較する

「手放す」と決めた服も、すべてを同じ方法で処分する必要はありません。状態や種類によって、次のような選択肢があります。

手放し方 向いている服 メリット 注意点
買取 ブランド品、着物、状態の良いコート・スーツ 現金化できる。査定額が処分費用の足しになる 季節外れやシミがあると値が付きにくい
寄付 子供服、清潔な普段着、未使用のタオル類 誰かの役に立つ形で手放せる 団体によって受け付ける品目・状態の条件が異なる
リメイク・裁縫活用 思い出のある一着、着物、小さな端切れが残る服 形を変えて手元に残せる。クッションやポーチへの仕立て直しも可能 依頼先探しと費用がかかる。時間もかかる
資源回収・処分 傷みが目立つ服、下着、状態が悪いもの 手間が少なく、まとめて片付けられる 自治体により古着の分別区分(燃えるごみ・資源ごみ)が異なる

買取と寄付は、事前に対象品目を確認しておくとスムーズです。買取業者によっては着物や訪問着に強い専門店と、普段着中心の総合リユース店とで査定額に差が出ることがあります。複数の窓口に問い合わせて、条件を比べてから依頼先を決めることをおすすめします。

礼服・喪服・着物は特別枠で考える

礼服や喪服は「着る機会が少ない」という理由だけで手放すと、いざという時に困る種類の服です。冠婚葬祭で必要になる頻度は年齢とともに変わるため、体型に合う一着を最低限残しておく判断も選択肢に入れてください。すべてを手放すのではなく、体に合った一着だけ残し、残りを手放すという考え方が現実的です。

着物は普段着と分けて考える価値があります。正絹の着物や帯は買取相場が付きやすく、証紬や訪問着など種類によって価値が大きく異なります。着る予定がなくても、査定を受けてから手放す先を決めるほうが、結果的に納得しやすい判断になります。実家に複数世代分の着物が残っている場合は、まとめて査定に出すと一点ずつ持ち込むより効率的です。

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思い出の品(アルバム・手紙・贈り物)の整理術

服よりもさらに判断が難しいのが、アルバム、手紙、子や孫からの贈り物、旅行の記念品といった思い出の品です。実用性で測れないものだからこそ、量から入る発想の転換が役に立ちます。

「量を先に決める」方法

思い出の品は、一点ずつ「残すか手放すか」を判断していると、時間がいくらあっても終わりません。効果的なのは、先に収納する場所の容量を決めてしまうことです。例えば「衣装ケース1箱分まで」「アルバムは3冊まで」というように上限を決めておくと、新しく一つ残したくなったときに、既存の何かと入れ替えるかどうかを考える判断に変わります。量の上限があることで、一つひとつの選択に基準ができます。

上限の目安は、生活スペースや今後の住まいの見通しによって変わります。実家にそのまま住み続ける予定なら余裕を持たせても構いませんが、将来的に住み替えや施設入居を視野に入れているなら、持ち運べる量を意識した上限にしておくと、後の負担が軽くなります。

デジタル化で原本を手放す

アルバムの写真や子供の頃の作文、年賀状などは、スキャンやスマートフォンでの撮影によってデータとして残すことができます。原本をすべて保管しなくても、内容そのものは手元に残せるという考え方です。大量の写真をまとめてデジタル化してくれる専門業者もあり、アルバムごと預けて一括で処理してもらう方法もあります。データ化した後は、クラウドサービスやDVD、USBメモリなど複数の場所に保存しておくと、万が一の破損や紛失にも備えられます。

手紙や日記など文字が中心のものは、写真として撮影しておくだけでも読み返すことができます。全部をデータ化する時間がなければ、特に思い入れの強いものから優先して進める方法も現実的です。

子や孫に残したい物は「先渡し」も検討する

形見分けは本人が亡くなった後に行われるのが一般的ですが、生前整理では、渡したい相手が決まっている品を、元気なうちに直接渡すという選択肢もあります。着物や指輪、思い出の写真などを本人の言葉とともに渡せば、受け取る側にとっても意味合いが変わります。まとめて相続の場面で渡すよりも、一つひとつに込めた気持ちが伝わりやすい面があります。

ただし、高価な品を生前に贈る場合は、贈与にあたる可能性がある点に注意が必要です。金銭的価値の高い宝飾品や美術品などをまとめて贈与すると、贈与税の対象になる場合があります。着物や思い出の品のほとんどは日常的な贈答の範囲で扱われますが、資産価値の高いものをまとめて渡す予定がある場合は、事前に税理士や司法書士に相談しておくと安心です。

高価な着物・宝飾品・骨董は税務・相続の視点も

普段着や日用品としての思い出の品は、相続の場面で問題になることはほとんどありません。一方で、宝石、貴金属、高価な着物、骨董品、美術品などは、相続が発生した際に相続財産として評価の対象に含まれる場合があります。生前のうちに手放してしまうと、後から「あれはどれくらいの価値だったのか」を確認できなくなることもあります。

そのため、高価な品を手放す前には、査定を受けて金額の記録を残しておくことをおすすめします。買取店の査定書や、鑑定士による鑑定書は、後日の相続手続きにおいても価値を示す資料として役立ちます。処分してしまってから評価が必要になると、記録が残らず困る場面が出てくることがあります。判断に迷う高価な品がある場合は、処分を急がず、まず専門家に相談する順序を取ってください。

写真・アルバムのデジタル化、具体的な進め方

デジタル化と一口に言っても、進め方には自分で行う方法と業者に依頼する方法があります。量や求める仕上がりによって向き不向きがあるため、比較してから決めることをおすすめします。

方法 向いている量 特徴
スマートフォンで撮影 数十枚程度、急いで内容だけ残したい場合 手軽で費用がかからない。画質や色味は原本に劣る
家庭用スキャナーで自分でスキャン 数百枚程度、時間をかけられる場合 画質は比較的良好。アルバムから剥がす手間がかかる
専門業者へ一括依頼 数千枚規模、アルバムごと大量にある場合 高画質で仕上がる。アルバムを預ける期間と費用がかかる

自分で進める場合は、まず特に思い入れの強いアルバムから着手し、優先順位の低いものは後回しにする方法が現実的です。スキャンしたデータは、パソコンやクラウドストレージに加えて、DVDやUSBメモリなど別の媒体にも複製しておくと、一つの保存先が壊れても内容が失われずに済みます。専門業者に依頼する場合は、アルバムを預ける期間、データの納品形式(クラウド・DVD・USBなど)、原本の返却方法を事前に確認しておくと安心です。

服・思い出の品を保管する際の注意点

「今はまだ手放さない」と決めた服や思い出の品も、保管の仕方によって傷み方が大きく変わります。せっかく残すと決めた物を良い状態で保てるよう、基本的な保管のコツを押さえておきましょう。

衣類は湿気と直射日光を避ける

着物や礼服など、長期間しまっておく衣類は、湿気と直射日光が大敵です。桐箪笥や和紙で仕立てた着物用の畳紙(たとうし)に包んで保管すると、湿気を吸い、型崩れも防ぎやすくなります。洋服はビニールのカバーをかけたままにすると、内部に湿気がこもりやすいため、通気性のある不織布カバーに替えるほうが傷みにくくなります。年に一度、湿度の低い晴れた日に虫干しをする習慣も、長期保管する衣類には効果的です。防虫剤は種類を混ぜて使うとガス反応で変色の原因になることがあるため、同じ種類のものをまとめて使用してください。

写真・手紙は酸化と直射日光を避ける

紙製の思い出の品は、酸化による変色と直射日光による退色が主な劣化の原因です。市販のアルバムには粘着シートを使ったタイプがあり、経年で写真が黄ばんだり貼り付いたりすることがあります。長期保存を考えるなら、中性紙・弱酸性紙を使った保存用アルバムやフォルダーへの入れ替えを検討する価値があります。直射日光の当たる場所や、温度差の大きい屋根裏・物置での保管は避け、できるだけ室温が安定した場所に置くようにしてください。

季節をまたいで少しずつ進める発想も

一年を通してすべての服を一度に見直そうとすると、季節外れの衣類ほど判断が難しくなります。衣替えのタイミングに合わせて、その季節の服だけを見直す方法にすると、実際に着る頻度を思い出しながら判断できるため、精度の高い仕分けがしやすくなります。夏に冬物をまとめて処分するより、冬の終わりに冬物を、夏の終わりに夏物を見直すほうが、着る機会があったかどうかを実感を伴って判断できます。

年代・状況別の進め方とチェックリスト

服と思い出の品の生前整理は、年齢や体力、置かれている状況によって進め方の現実的なペースが変わります。ここでは代表的な四つのケースに分けて、それぞれに合った進め方を紹介します。

状況 進め方の目安 優先すること
60代・体力に余裕がある 週末ごとに引き出し1つ、クローゼット1段ずつ進める 三分類ルールを使い、量の上限を決める習慣をつける
70代以降・体力が落ちてきた 1回30分以内、椅子に座ってできる範囲から始める 重い物の移動や高所の作業は家族や業者に任せる
判断力に不安が出てきた・出てきそうな場合 本人の意思がはっきりしているうちに、優先順位の高い物から進める 「誰に何を残したいか」を先に言葉や簡単なメモにしておく
子世代がサポートする場合 本人の判断を最優先にし、子は搬出・査定の申込みなど手を動かす役割に回る 子の基準で勝手に「もう着ないでしょう」と決めつけない

どの年代であっても共通するのは、判断そのものは本人が行うほうが後悔が少ないという点です。体力面で難しい作業だけを家族や業者に任せる分担にすると、本人の意向を尊重しながら負担を減らせます。判断力に不安が出てきた場合は、先延ばしにするほど本人の意思を確認しにくくなるため、気になった時点で早めに着手することをおすすめします。

判断力に不安がある場合に優先したいこと

物忘れが増えてきた、判断に時間がかかるようになってきたといった変化がある場合は、思い出の品すべてを一度に整理しようとせず、優先順位の高い物から着手する方法が現実的です。誰に何を渡したいかという意向は、本人の言葉ではっきりしているうちに、簡単なメモや家族との会話の中で残しておくことをおすすめします。作業自体は数回に分けて短時間で行い、本人が疲れて混乱する前に切り上げるようにしてください。家族だけで進めるのが難しいと感じたら、この段階で専門業者や司法書士に相談し、今後の進め方を一緒に整理してもらう方法もあります。

印刷して使えるチェックリスト

実際の作業前に確認しておきたい項目をまとめました。着手前にコピーして、進捗の記録用にお使いください。

チェック項目 確認のポイント
収納の容量を決めたか 衣装ケース・アルバムの冊数など、残す量の上限を先に決める
三分類の置き場所を用意したか 残す・迷う・手放すの3か所を作業前に確保する
礼服・喪服を別枠にしたか 体に合う一着を残す前提で、他の礼服と分けて判断する
高価な品を選り分けたか 着物・宝飾品・骨董は普段着と分け、処分前に査定を検討する
デジタル化する物を決めたか アルバム・手紙・年賀状など、優先度の高い物から着手する
渡したい相手を決めた品があるか 先渡しするか、相続まで保留するかを整理しておく
作業時間を区切ったか 1回30分〜1時間を目安に、疲れる前に切り上げる
手放す物の行き先を決めたか 買取・寄付・リメイク・資源回収のいずれかを品目ごとに割り振る

チェックリストの項目は、一度にすべて満たそうとしなくても構いません。着手前に目を通しておくだけでも、作業中の迷いが減ります。実家全体の片付けまで見据えている場合は、実家じまいの完全ガイドもあわせて確認しておくと、家全体の流れの中で服と思い出の品の位置づけが見えやすくなります。

家族とのやり取りで気をつけたいこと

生前整理は本人が主体で進めるものですが、家族との関わり方次第で進めやすさが大きく変わります。ここでは、実際の相談でよく聞かれる場面を踏まえた注意点を紹介します。

形見分けの意向は早めに言葉にしておく

「これは誰々に」という思いがある品は、思っているだけでなく、口頭でもメモでも構わないので言葉にしておくことをおすすめします。本人にしか分からない思い入れは、遺された家族には伝わりません。形見分けの希望を事前に共有しておけば、後になって「本当はどうしてほしかったのか」を家族が悩む場面を減らせます。

子世代は本人の判断を尊重する

子世代が手伝う場合、良かれと思って「もうこれは要らないでしょう」と先回りして判断してしまうことがあります。しかし、服や思い出の品にどんな価値を感じるかは本人にしか分かりません。子世代の役割は、判断を代行することではなく、本人が判断しやすい環境を整えることです。重い物を運ぶ、査定に持ち込む、デジタル化を手配するといった作業面のサポートに徹すると、本人の意向を尊重しながら進められます。

意見が分かれたときの進め方

複数の子供がいる家庭では、「残してほしい」「もう手放してもいいのでは」といった意見の違いが出ることもあります。こうした場合、まず本人の意向を最優先にし、家族間の意見はその後で調整するという順序を決めておくと、話し合いがこじれにくくなります。判断に迷う高価な品や、家族間で意見が割れやすい品は、無理にその場で結論を出さず、査定額や専門家の意見という客観的な材料を挟んでから話し合う方法も有効です。

きょうだいの希望が重なったときの調整

同じ着物や思い出の品を複数の子供が「欲しい」と言うケースも珍しくありません。この場合、まず本人に「誰に渡したいか」を決めてもらうのが基本です。本人が決めきれない場合は、写真やレプリカで気持ちの部分を分け合い、実物は一人が引き継ぐ、あるいは価値の高い品であれば売却して代金を分けるといった方法もあります。あらかじめ起こり得る重複を想定し、本人が元気なうちに希望を確認しておくと、後になってからの調整がしやすくなります。

自分で進めるか、業者に頼むか

服と思い出の品の生前整理は、本人と家族だけで進められる部分と、専門的な知識や体力が必要な部分とに分かれます。すべてを自分たちで抱え込む必要はありません。

自分たちで進めやすい部分

三分類での仕分けや、思い出の品の量を決める判断そのものは、本人にしかできない部分です。ここは時間をかけてでも、本人の主体で進めることをおすすめします。急かされて判断すると、後から「やっぱり残しておけばよかった」という後悔につながりやすいためです。

業者に任せたほうがよい部分

次のような場面では、専門業者への相談が現実的です。

  • 着物や宝飾品、骨董品の適正な査定額を知りたい場合
  • 大量のアルバムや写真を効率よくデジタル化したい場合
  • 体力的に重い家具や大量の衣類の搬出が難しい場合
  • 仏壇や人形など、供養してから手放したい品がある場合
  • 家全体の片付けまで含めて、まとめて相談したい場合

業者を選ぶ際は、買取なら古物商許可の有無、供養が必要な品があるなら対応可否、搬出を伴うなら損害保険への加入状況を確認してください。見積もりは内訳が明示された書面で受け取り、「一式◯◯円」だけの見積書は避けたほうが、後の追加費用のトラブルを防ぎやすくなります。生前整理全体の進め方や業者選びの基準は生前整理の進め方ガイドで詳しく紹介しています。

安心実家じまいのサービス案内

安心実家じまいは、生前整理から実家じまい、遺品整理までを一つの窓口でお受けする全国対応のサービスです。服や思い出の品の仕分けだけを手伝ってほしいという相談にも、家全体の片付けまで含めた相談にも対応します。

着物や貴金属、骨董品などは提携の買取先で査定を行い、買取額を作業費用から差し引くことも可能です。仏壇や人形など供養が必要な品は、閉眼供養やお焚き上げの手配まで承ります。アルバムや写真のデジタル化についても、量に応じたご案内が可能です。生前整理のみのご相談は生前整理サービスをご覧ください。実家全体の売却・解体まで見据えている場合は、実家じまい代行パックもあわせてご検討いただけます。

お見積もりは、写真を送っていただくだけで概算をご案内できます。訪問が必要な場合も、まずは無料でご相談いただけます。ご本人だけで進めるのが難しいと感じたら、一部の作業だけでもお気軽にお声がけください。

よくある質問

服の生前整理で迷ったときの判断基準は何ですか?
「今の体に合うか」と「この先1年で袖を通す場面があるか」の二つで考えると迷いが減ります。どちらも当てはまらない服は、着る機会よりも保管の負担のほうが大きくなっている状態です。それでも手放せない服は無理に判断せず、写真に撮ってから一時保管に回し、期限を決めて見直すという方法もあります。
アルバムや手紙などの思い出の品はどこまで残せばいいですか?
枚数や点数から考えるのではなく、収納する場所の容量を先に決める方法が実践的です。例えば「衣装ケース1箱分まで」「アルバム3冊まで」のように上限を先に決めておくと、一つ増やすたびに一つ選び直す判断がしやすくなります。原本をすべて残せなくても、写真やスキャンでデータ化すれば内容は手元に残せます。
着物や礼服も一般の服と同じように手放していいですか?
着物や礼服、宝飾品は普段着と分けて考えることをおすすめします。買取相場が付きやすいものが多く、着用予定がなくても資産としての価値が残っている場合があるためです。高価な着物や宝飾品、骨董品は相続財産の評価に関わることもあるため、処分の前に査定を受け、記録を残しておくと後の手続きがスムーズになります。
生前整理は自分ひとりで進めるべきですか、家族に手伝ってもらうべきですか?
どちらでも進められますが、思い出の品は本人の判断が最も的確なため、可能な範囲で本人が主体になって進めるほうが後悔が少なくなります。体力的な負担が大きい搬出や運搬の部分だけを家族や業者に任せる、という分担も現実的です。判断力に不安がある場合は、早めに家族と方針を話し合っておくことをおすすめします。

まとめ

服と思い出の品の生前整理は、量の多さよりも「判断の難しさ」が作業を止めてしまう原因になりがちな分野です。要点を振り返ります。

  • 服は「今の体に合うか」「この先1年で着るか」の二つの基準で考え、迷う物は一時保管して期限を決めて見直す
  • 三分類(残す・迷う・手放す)を使うと、その場で無理に白黒つけずに作業を前に進められる
  • 手放し方は買取・寄付・リメイク・処分から品目に応じて選ぶ。礼服・喪服・着物は普段着と分けて考える
  • 思い出の品は点数ではなく収納容量を先に決める。アルバムや手紙はデジタル化で原本を手放せる
  • 高価な着物・宝飾品・骨董は処分前に査定を受け、記録を残す。相続財産の評価に関わる場合がある
  • 年代や体力、判断力の状況によって進め方のペースを変える。判断は本人、作業のサポートは家族や業者と分担する
  • 家族間で意見が分かれたら、本人の意向を最優先にし、客観的な材料を挟んで話し合う

一度にすべてを終わらせようとせず、区切りを決めて少しずつ進めることが、結果的に納得のいく整理につながります。実家全体の片付けまで見据えている場合は実家じまいの完全ガイドを、生前整理全体の流れは生前整理の進め方ガイドをあわせてご覧ください。

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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