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デジタル終活のやり方|スマホ・サブスク・ネット口座の生前整理チェックリスト

最終更新日:2026年8月6日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • デジタル終活とは、スマホ・パソコンの中身、サブスク契約、ネット銀行やネット証券の口座、SNSのアカウントを、元気なうちに本人が把握し、家族に必要な分だけ伝わる状態にしておくことです。
  • 紙の通帳や郵便物が残らないため、ネット銀行・ネット証券・サブスクは家族が「存在に気づけない」まま埋もれやすい財産です。金額の多い少ないにかかわらず、一覧化だけでも先に済ませておく価値があります。
  • パスワードそのものを書き残すのは危険です。「何を使っているか」の一覧と、パスワードの調べ方だけを家族の誰か一人に伝える方法が現実的です。
  • 年代や体力・気力の状態によって、取りかかりやすい範囲は変わります。年代・状況別のやることリストを目安に、できるところから始めれば十分です。
目次

デジタル終活(デジタル生前整理)とは

デジタル終活とは、スマートフォンやパソコンに保存された写真・連絡先などのデータ、動画配信や新聞などのサブスクリプション契約、ネット銀行やネット証券のようにお金が絡むオンライン口座、SNSやブログのアカウントを、生きているうちに本人が把握し、整理しておく取り組みです。「デジタル生前整理」もほぼ同じ意味で使われる言葉で、身の回りの持ち物を整理する生前整理のうち、目に見えないオンライン上の資産に焦点を当てたものと考えるとわかりやすくなります。

身の回りの持ち物を整理する一般的な生前整理と何が違うのかというと、対象が「目に見えない」ことに尽きます。タンスの中の着物や食器棚の食器は、開けてみれば家族にも存在がわかります。ところがスマホの中のアプリや、ログインしないと残高すら見えないネット銀行の口座は、本人が伝えない限り家族にはまったく見えません。パスコードでロックされた端末は、遺族が開こうとしても開けない前提で作られており、ここに気づいたときにはすでに手遅れというケースが少なくありません。

生前整理全体の進め方や、モノ・お金・情報・想いという4つの分類の考え方は生前整理とは?やることリスト・進め方5ステップ・費用相場・親への切り出し方で解説しています。この記事では、そのうち「情報・デジタルの整理」だけを取り出して、スマホ・サブスク・ネット口座という具体的な対象ごとに、何を・どこまで・どう整理すればよいのかを掘り下げていきます。

なぜ今、デジタル終活が必要とされているのか

キャッシュレス決済やネット銀行、動画配信のサブスクが日常に溶け込んだことで、家計や思い出の相当な部分がオンライン上にしか存在しないという世帯が増えています。紙の通帳や利用明細のはがきが届かないサービスも多く、家族が「亡くなってから初めてその存在を知る」財産や契約が生まれやすい状況です。存在を知られないまま放置されたサブスクは解約されずに引き落としが続き、存在を知られないままのネット口座は相続手続きの対象から漏れかねません。金額の大小にかかわらず、まず「何があるか」を本人が棚卸ししておくことが、家族の負担を減らす最初の一歩になります。

遺品整理・生前整理・デジタル終活の関係

三つの言葉は対象となる時期と範囲が異なります。遺品整理は亡くなった後に家財を片付ける作業、生前整理は元気なうちに本人が身の回り全体を整理する作業、デジタル終活はそのうちオンライン上の情報・契約・口座だけを対象にした取り組みです。デジタル終活は生前整理の一部ですが、パスワードという「本人しか知り得ない情報」を扱う点で、モノの整理とは進め方が根本的に異なります。家具や食器は本人が亡くなった後でも家族が判断して処分できますが、ロックされたスマホやパスワードのわからないアカウントは、本人が生きている間に本人自身の手で整理しておかない限り、後から家族が代わりに整理することが極めて難しくなります。

何を整理する?デジタル資産の全体像

デジタル終活で扱う対象は、大きく4つに分けて考えると整理しやすくなります。どれも「本人しか把握していない」という共通点があり、対象ごとに整理の優先度と注意点が異なります。

分類 具体例 整理の優先度
① 端末・データ スマホ・パソコンのロック解除方法、写真・連絡先・メモ、クラウドストレージ 高(家族が最初に困る部分)
② お金が絡むもの ネット銀行、ネット証券、電子マネー・ポイント、暗号資産、キャッシュレス決済 高(放置すると相続手続きに影響)
③ 契約・サブスク 動画配信、音楽配信、クラウドストレージ、新聞・雑誌、ジム・習い事アプリ 中(放置すると引き落としが続く)
④ SNS・思い出 SNSアカウント、ブログ、写真共有サービス、メールアカウント 低〜中(本人の意向を確認しておきたい)

優先度が高いのは、①端末・データと②お金が絡むものです。端末が開けなければそもそも他の整理にも着手できませんし、お金が絡む口座は放置すると相続手続きが滞る原因になります。③のサブスクは金額こそ小さくても、解約し忘れると年単位で引き落としが続くという厄介さがあります。④のSNSや思い出のデータは、金銭的な影響は小さい一方で、本人がどう扱ってほしいかという意向の部分が大きく、家族だけでは判断しにくい領域です。

「持ち物」ではなく「アクセス権」を整理するという発想

デジタル終活が従来のモノの整理と最も違うのは、整理する対象が「物」ではなく「アクセスするための権利」だという点です。スマホという端末そのものは残っても、パスコードがわからなければ中身には触れられません。ネット銀行の口座も、残高があること自体は金融機関側の記録として残りますが、ログインできなければ家族はその存在にすら気づけないことがあります。したがってデジタル終活の目的は、データそのものを消したり移したりすることよりも先に、「何があり、どうすればアクセスできるか」を本人が棚卸しし、必要な分だけを家族に伝わる状態にしておくことにあります。

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【年代・状況別】デジタル終活でやることリスト

デジタル終活はすべてを一度に終わらせる必要はありません。年代や体力・気力の状態によって、取りかかりやすい範囲や優先順位は変わります。ここでは3つの状況別に、まず着手したい範囲を整理します。印刷してチェックしながら進めてください。

ケース1:60代・パソコンやスマホの操作に慣れている方

  • 使っているアプリ・サービスを一覧化する(スマホのホーム画面を全ページ撮影しておくと漏れが減ります)
  • サブスクの契約状況をアプリストアの購入履歴とクレジットカード明細の両方から突き合わせる
  • ネット銀行・ネット証券の口座を金融機関名・支店名だけリスト化する(パスワードは書かない)
  • パスワード管理アプリを導入し、マスターパスワードの保管方法を決める
  • スマホ・パソコンの緊急時の解除方法(メーカーの相続窓口の連絡先など)を確認しておく

ケース2:70代以上・持病があり体力に不安がある方

  • 一度にすべてやろうとせず、まず「お金が絡むもの」だけを優先して一覧化する
  • 普段あまり使わないサブスクだけでも見直し、不要なものから解約する
  • 家族の一人に、スマホのロック解除方法(パスコードか、機種変更・相続時の手続き方法)だけを伝えておく
  • エンディングノートに「デジタル終活の一覧をどこに保管したか」だけを書いておく(中身は書かない)
  • 無理に自分だけで進めず、子世代に手伝ってもらいながら一緒に確認する

ケース3:スマホ操作に苦手意識がある方向けの簡易版

  • 使っているサービスを紙に手書きで書き出すだけでも十分な第一歩になる
  • 「毎月お金が引き落とされているもの」を通帳やカード明細から確認し、心当たりのないものがないか家族と一緒に見る
  • スマホのパスコードだけは、封筒に入れて信頼できる家族一人に預ける方法も検討する
  • 難しい操作は無理にせず、家族や信頼できる専門家に確認してもらう範囲を決めておく

いずれのケースでも共通するのは、「一覧化」を最優先にすることです。パスワードそのものを整理するのは後回しでよく、まずは「何を使っているか」を本人が把握するだけで、家族が困る場面の多くは防げます。

サブスクリプションの見直し方と具体的な進め方

サブスクは金額が小さいために見落とされがちですが、解約し忘れたまま年単位で引き落としが続く典型的な支出です。まずは加入しているサービスを洗い出すところから始めます。

洗い出しの3つの方法

  1. クレジットカード・口座の明細を過去1年分さかのぼる——毎月同じ金額が引き落とされている項目をすべて拾い出します。見覚えのない項目は、カード会社に問い合わせて内容を確認します。
  2. スマホの購入履歴・サブスク管理画面を確認する——iPhoneは「設定」からApple IDの登録情報、Androidは「Google Play」のアプリからそれぞれ加入中のサブスクを一覧で確認できます。カード明細だけでは気づきにくいアプリ内課金も、この画面でまとめて見つかります。
  3. 家族に見てもらう——本人が忘れているサービスを、一緒に画面を見ながら家族が気づくこともあります。特に「初回無料」で登録し、そのまま忘れているサービスは家族の目のほうが見つけやすい傾向があります。

サブスクの種類と月額の目安

一般的なサブスクの種類と、市場でよく見られる月額料金の目安をまとめました。実際の金額は契約プランによって変わるため、あくまで見直しの参考としてご利用ください。

サービスの種類 月額料金の目安 見落としやすいポイント
動画配信 500〜2,000円程度 複数サービスに同時加入したまま片方を見ていないケース
音楽配信 500〜1,500円程度 家族プランのつもりが個人プランのままになっている
クラウドストレージ 100〜1,500円程度 容量を使い切っていないのに上位プランのまま
新聞・雑誌の電子版 1,000〜4,000円程度 紙の新聞と電子版を両方契約している
健康・フィットネスアプリ 300〜3,000円程度 お試し期間のつもりが自動更新になっている

ケース別シミュレーション:見落としがちなサブスクの年間コスト

実際にどの程度の負担になり得るか、目安として3つのパターンで試算してみます。金額はいずれも一般的な料金帯をもとにした概算です。

パターン 加入状況の例 月額の目安 年間の目安
軽めの見落とし 動画配信1つ+クラウドストレージ1つ 1,000〜2,500円程度 1万2,000〜3万円程度
中程度の見落とし 動画配信2つ+音楽配信1つ+雑誌の電子版1つ 3,000〜6,000円程度 3万6,000〜7万2,000円程度
気づかず長期化 上記に加え健康アプリ・お試し課金などが数年放置 5,000〜8,000円程度 数年で10万円を超える場合もある

一つ一つの金額は小さくても、複数が積み重なると年間で数万円規模になり得ることがわかります。棚卸しをして使っていないサービスを解約するだけでも、家計の見直しとデジタル終活を同時に進めることができます。解約方法がわからない場合は、契約したアプリストアやサービスのサポート窓口に問い合わせれば、多くの場合手順を案内してもらえます。

ネット銀行・ネット証券・電子マネーの整理

デジタル終活の中でも、家族への影響が最も大きいのがお金が絡む口座です。紙の通帳がなく、郵便物も基本的に届かないため、本人が伝えない限り家族はその存在に気づけません。

なぜネット口座は「見つからない財産」になりやすいのか

従来型の銀行であれば、通帳や届いたはがき、キャッシュカードから家族が口座の存在に気づくことができました。ネット銀行やネット証券はこうした紙の手がかりがほとんど残らないため、相続の手続きが始まってから口座の存在に初めて気づく、あるいはまったく気づけないまま手続きが終わってしまうということが起こり得ます。相続の手続き自体は、口座が見つかりさえすれば通常の銀行と同じように進められますが、そもそも「どの金融機関に口座があるか」がわからなければ、その手続き自体が始まりません。

整理の進め方

  1. 金融機関名・支店名だけを一覧にする——残高やパスワードは書かず、「どこに口座があるか」だけをリスト化します。これだけでも、相続手続きの初動が大きく変わります。
  2. 使っていない口座は早めに解約を検討する——長く使っていないネット証券や電子マネーの口座は、思い切って解約してしまうほうが、後の管理が楽になります。
  3. 暗号資産を保有している場合は特に注意する——暗号資産は取引所のIDとパスワード、場合によっては秘密鍵がなければ家族が一切アクセスできません。存在を伝えないまま亡くなると、事実上失われてしまう財産になりかねない点は理解しておく必要があります。暗号資産などのデジタル資産も、相続が発生すれば相続税の課税対象になり得るとされています。評価方法や申告の要否については、税理士など専門家に確認することをおすすめします。
  4. 電子マネー・ポイントも一覧に加える——交通系電子マネーやショッピングサイトのポイントは、失効や相続の扱いがサービスごとに異なります。金額が大きい場合は、あわせて確認しておくと安心です。

実家の名義変更や相続登記が必要になった場合の期限や手続きの流れは相続登記の義務化とは|期限・過料・実家を相続したらやることで解説しています。不動産だけでなく、ネット口座を含めた財産全体の棚卸しを、片付けや名義変更の手続きと並行して進めておくと、後から慌てずに済みます。

対象 紙の手がかり 家族が気づけるか
店舗のある銀行 通帳・キャッシュカード・郵便物 比較的気づきやすい
ネット銀行 基本的になし(メール通知のみ) 本人が伝えない限り気づきにくい
ネット証券 基本的になし(取引報告書は電子交付が主流) 本人が伝えない限り気づきにくい
暗号資産 なし 取引所のIDを知らないと存在自体わからない

家族に何を残す?パスワードを書き残す前に知っておきたいこと

デジタル終活を進めるうえで、多くの方が悩むのが「パスワードをどこまで書き残すか」という点です。結論から言うと、パスワードそのものをそのまま書き残す方法はおすすめできません。理由は単純で、紙のノートは紛失・盗難のリスクをゼロにはできず、パスワードが書かれたノートが第三者の手に渡れば、口座からの不正な引き出しにつながりかねないためです。

安全な残し方の考え方

  • 「一覧」と「パスワード」を分けて保管する——どのサービスを使っているかという一覧はエンディングノートに書いてもよいですが、パスワードそのものは別の場所(パスワード管理アプリや、銀行の貸金庫など)に保管し、その保管場所と開け方だけをノートに書いておきます。
  • 伝える相手を一人に絞る——複数の家族に同じ情報を伝えると、管理の責任が曖昧になり、かえってリスクが高まります。信頼できる家族の中から一人を決め、その人にだけ詳しい保管場所を伝えておく方法が現実的です。
  • パスワード管理アプリを活用する——多くのパスワード管理アプリには、緊急時に指定した人がアクセスできる機能が用意されています。マスターパスワード一つを安全に伝えておけば、個別のパスワードを書き残す必要がなくなります。
  • 定期的に見直す——パスワードは変更されることが前提の情報です。一度書いたら終わりではなく、年に一度など決まったタイミングで内容を見直す習慣をつけておくと、実際に必要になったときに情報が古くて使えないという事態を防げます。

エンディングノートと遺言書は役割が違う

エンディングノートは法的な効力を持ちません。あくまで家族への申し送り事項をまとめるためのもので、「何を使っているか」「保管場所はどこか」といった情報を残すのには向いていますが、財産の分け方を法的に確定させる力はありません。ネット銀行やネット証券の口座に一定額以上の資産があり、誰にどう分けるかまで決めておきたい場合は、エンディングノートとは別に、民法所定の方式を満たした遺言書を作成する必要があります。この点に不安がある場合は、司法書士など専門家に相談することをおすすめします。

主要サービス別・もしものときの手続き早見表

本人が亡くなった後、主なオンラインサービスがどのような扱いになるかを一覧にまとめました。制度や仕様はサービス提供者側の判断で変更されることがあるため、最新の案内は各サービスの公式サポートページでご確認ください。あくまで一般的な傾向の目安としてご覧ください。

サービスの種類 もしものときの一般的な扱い 生前にしておきたいこと
スマートフォン本体(iPhone/Android) 本人しか解除できない前提。相続時はメーカーの案内に沿った手続きが必要になる場合がある 信頼できる家族一人にロック解除の方法を伝えておく
Apple ID 遺族が生前に指定された連絡先を通じてデータへアクセスできる仕組みが用意されている 設定画面から指定できる仕組みがあるか確認し、必要に応じて設定しておく
Googleアカウント 一定期間操作がない場合に指定した連絡先へ通知・データ共有ができる仕組みが用意されている アカウント設定から利用可否を確認し、通知先を設定しておく
LINE 遺族からの申請に基づき、運営側の案内に沿ってアカウントが停止される メッセージ履歴を残したい場合は生前にバックアップしておく
Facebook・Instagram 追悼アカウントに切り替える機能や、削除を申請する機能が用意されている 本人がどちらを望むか、家族に伝えておく
ネット銀行 相続手続き専用の窓口を通じて、店舗のある銀行と同様の相続手続きができる 金融機関名・支店名を一覧にしておく
ネット証券 相続専用ダイヤルなどを通じて名義変更・解約の手続きができる 口座の存在と金融機関名を家族に伝えておく
動画・音楽配信のサブスク 自動的には止まらず、支払い方法が有効な限り引き落としが続く 使っていないサービスは生前に解約しておく

表からわかるとおり、多くの主要サービスには「もしものとき」に備える仕組みがすでに用意されています。ただし、これらの仕組みの多くは本人が生前に設定して初めて機能するものです。何も設定していない状態では、家族は運営側への個別の申請から始めることになり、時間も手間もかかります。

自分でできること・専門家に相談すべきこと

デジタル終活の多くの部分は、費用をかけずに自分たちだけで進めることができます。一覧を作る、不要なサブスクを解約する、パスワード管理アプリを導入する、といった作業は、本人と家族の時間さえあれば完結します。無理に業者や専門家に頼る必要はなく、まずは自分でできる範囲から着手することをおすすめします。

自分たちで進められること

  • 使っているアプリ・サービスの棚卸しと一覧化
  • 不要なサブスクの解約
  • パスワード管理アプリの導入と設定
  • Apple ID・Googleアカウントの「もしものとき」向け設定の確認
  • エンディングノートへの「一覧の保管場所」の記載

専門家への相談を検討したいケース

  • ネット銀行・ネット証券・暗号資産などの資産額が大きく、財産の分け方まで決めておきたい場合——遺言書の作成について司法書士や弁護士に相談する
  • 相続税の申告が必要になりそうな資産規模の場合——税理士に相談する
  • 認知症などにより判断能力が低下した後の財産管理まで備えたい場合——家族信託や任意後見制度について司法書士に相談する
  • 実家全体の片付け・売却・解体まで見据えている場合——実家じまいの窓口にまとめて相談する

実家全体の片付けまで視野に入れる場合、デジタル終活は「モノの整理」の一部としても位置づけられます。実家の片付けで確認しておきたい項目全体は実家じまいチェックリストにまとめていますので、あわせてご確認ください。生前整理を専門家に相談しながら進めたい場合は生前整理サービスで、モノの整理から情報の整理まで一緒に進める体制を整えています。

事務局の相談窓口でよく見られる傾向

相談を受ける中では、次のような傾向が繰り返し見られます。当てはまる部分がないか、確認してみてください。

  • スマホのロックが解除できず、写真も連絡先も見られないまま数か月が過ぎてしまう
  • 亡くなった後に通帳のない口座があることに気づき、どの金融機関か特定するところから始めることになる
  • 解約されないままのサブスクが複数見つかり、合計すると想定より大きな金額になっていたことに驚かれる
  • パスワードをすべて紙に書いて残していたことで、かえって管理や保管に不安を感じてしまう

これらの多くは、本人が元気なうちに一覧を作っておくだけで防げる問題です。特別な知識や道具がなくても始められる作業のほうが多いため、まずは「今使っているものを書き出す」ことから着手してみてください。

デジタル終活チェックリスト

ここまでの内容を、そのまま使えるチェックリストにまとめました。印刷して、進んだ項目からチェックしてください。すべてを一度に終える必要はありません。

分類 チェック項目
端末・データ スマホ・パソコンで使っているアプリ・サービスを一覧化した
ロック解除の方法を、信頼できる家族一人に伝えた(または保管場所を伝えた)
大切な写真・データのバックアップを取った
お金が絡むもの ネット銀行・ネット証券の金融機関名と支店名を一覧化した
使っていない口座・電子マネーの解約を検討した
暗号資産を保有している場合、その存在だけでも家族に伝えた
契約・サブスク カード明細・アプリストアの購入履歴でサブスクを洗い出した
使っていないサブスクを解約した
SNS・思い出 SNSやブログを「残したいか」「消してほしいか」自分の意向を決めた
大切な写真・メッセージをバックアップまたは印刷した
家族への申し送り パスワードそのものではなく、一覧と保管場所をエンディングノートに書いた
資産額が大きい場合、遺言書の作成を検討し専門家に相談した

よくある質問

デジタル終活とは何をすることですか?
スマートフォンやパソコンの中にあるデータ、ネット銀行やネット証券などお金が絡むオンライン口座、サブスクリプションの契約、SNSのアカウントを、元気なうちに把握して整理しておくことです。処分するかどうかを決める遺品整理とは違い、本人が生きている間に「何がどこにあるか」を本人自身が確認し、必要な分だけ家族に伝わる状態にしておく作業を指します。
スマホのロックを家族が解除できないとどうなりますか?
写真や連絡先はもちろん、キャッシュレス決済アプリや認証アプリ、ネット銀行アプリの中身にも家族が触れられなくなります。パスコードや生体認証は本人しか解除できない前提で作られており、多くの場合は端末メーカーに相続の手続きで相談することになりますが、対応には時間がかかり、データの復旧ができないこともあります。定期的な支払いが続くサブスクに気づかないまま数か月が過ぎることも珍しくありません。
パスワードはエンディングノートに書いてもいいですか?
ノート自体は自宅で保管され、紛失や盗難のリスクを完全にはなくせないため、パスワードそのものを書き込むことはおすすめしません。代わりに「どのサービスを使っているか」という一覧と、パスワードの保管場所や調べ方だけを書いておく方法が安全です。パスワード管理アプリを使っている場合は、そのアプリのマスターパスワードの保管方法を家族の誰か一人にだけ伝えておく形が現実的です。
ネット銀行やネット証券の口座は、家族に伝えなくても相続できますか?
口座の存在自体が家族に伝わっていない場合、相続の手続きが始まっても口座の発見が遅れることがあります。紙の通帳がなく郵便物も届かないため、スマホの中の取引履歴や確定申告の書類、口座開設時のメールなどから探すことになり、時間と手間がかかります。金融機関名と支店名だけでも一覧にして家族に伝えておくと、相続手続きの初動が大きく変わります。
デジタル終活はいつから始めればいいですか?
判断力や気力がしっかりしている今が最も始めやすい時期です。年齢を重ねてからでは操作に不安が出たり、パスワードを忘れてしまったりすることもあります。すべてを一度に終わらせる必要はなく、まずは今使っているアプリやサービスの一覧を作るところから始め、数か月かけて少しずつ整理を進める進め方が続けやすいとされています。

まとめ

デジタル終活は、目に見えないオンライン上の情報・お金・契約を、元気なうちに本人が棚卸ししておく取り組みです。要点を振り返ります。

  • デジタル終活の対象は「端末・データ」「お金が絡むもの」「契約・サブスク」「SNS・思い出」の4分類で考えると整理しやすい
  • ネット銀行・ネット証券は紙の手がかりが残らないため、家族が存在に気づけないまま埋もれやすい
  • サブスクは金額が小さくても積み重なると年間で数万円規模になり得る。カード明細とアプリストアの購入履歴から洗い出す
  • パスワードそのものを書き残すのは危険。一覧と保管場所だけを、信頼できる家族一人に伝える
  • Apple IDやGoogleアカウントには「もしものとき」に備える設定がすでに用意されている場合がある
  • 年代や体力・気力に応じて、無理のない範囲から少しずつ着手すれば十分
  • 資産額が大きい場合や、判断能力の低下に備えたい場合は、司法書士など専門家への相談も選択肢になる

デジタル終活は一度にすべてを終える必要はありません。まずは「今使っているサービスを書き出す」ことから始めてみてください。実家全体の片付けや、モノの整理まで含めた生前整理の進め方は生前整理とは?やることリスト・進め方5ステップ・費用相場・親への切り出し方を、片付けの確認項目は実家じまいチェックリストをご覧ください。

読むより、聞いたほうが
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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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