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生前整理と断捨離の違い|目的・進め方・残すもの手放すものの判断基準

最終更新日:2026年8月6日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 生前整理は「家族のために将来へ備える整理」、断捨離は「今の暮らしを軽くするための整理」で、目的も判断基準も異なります。混同すると、財産や重要書類まで一緒に手放してしまう失敗が起きやすくなります。
  • 迷ったときは「今使っているか」「買い直せるか」「家族が扱えるか」の3つを自問すると、残す・手放すの判断がつきやすくなります。
  • 始める順番は、身近な物の断捨離から着手し、通帳・権利証・保険など重要書類の生前整理へ進むのが負担の少ない流れです。
  • 生前贈与や遺言など制度面は、年110万円の非課税枠と加算対象期間、自筆証書遺言書保管制度の手数料(1件3,900円)など、公的な数字を押さえておくと判断を誤りません(国税庁・法務省より)。
目次

生前整理と断捨離はどう違うのか

「生前整理」と「断捨離」は、どちらも持ち物を減らす作業という点では似ていますが、目的の置き方がまったく異なります。この違いを最初に理解しておかないと、進め方の優先順位を誤り、本来残すべき書類まで処分してしまうといった失敗につながりかねません。

生前整理とは

生前整理は、自分が元気なうちに、身の回りの物・財産・重要書類・デジタル情報などを整理しておくことです。目的は、自分が亡くなったときや判断力が低下したときに、家族が困らないようにしておくことにあります。財産目録の作成や、通帳・保険証券・不動産の権利証といった重要書類の所在の整理、エンディングノートの作成なども生前整理の範囲に含まれます。単に物を減らすだけでなく、「何が・どこに・どれだけあるか」を家族にわかる形にしておく作業だと捉えると理解しやすくなります。

断捨離とは

断捨離は、ヨガの思想をもとに提唱された考え方で、「不要な物(断)」「執着している物(捨)」を手放し、物への執着から離れる(離)ことで、今の暮らしを軽くすることを指します。対象は物だけでなく、使っていないサブスクリプションの契約、疎遠になった人間関係、惰性で続けている習慣なども含まれます。断捨離の主眼は「今の自分にとって必要かどうか」であり、将来の家族のためという視点は前提にありません。生前整理よりも対象範囲が広く、日常のどのタイミングでも始められる身軽さが特徴です。

比較表で違いを整理する

二つの違いを一覧にすると、次のようになります。同じ「片付け」でも軸が異なることが見えてきます。

比較項目 生前整理 断捨離
目的 家族が困らないよう将来に備える 今の暮らしを軽くする
視点の中心 残される家族 今の自分
対象 財産・重要書類・不動産・デジタル情報・思い出の品 日用品・衣類・情報・人間関係・習慣
始める時期 老後や終活を意識し始めた頃が目安 年齢を問わずいつでも
記録の要否 財産目録やエンディングノートで残す 特に記録は不要
専門家の関与 相続・登記・税金が絡む場合は司法書士等に相談 基本的に本人だけで完結

混同されやすい理由

この二つが混同されやすいのは、実際の作業として重なる部分が多いからです。生前整理を進める過程で、着なくなった服や読まなくなった本を処分する行為は、断捨離そのものです。逆に、断捨離のつもりで進めていた片付けが、通帳や実印の在りかを見直すきっかけになることもあります。両者は対立する概念ではなく、断捨離は生前整理を進める過程で自然に含まれる作業のひとつだと捉えると、無理なく両立できます。ただし、「今使っていないから」という断捨離の判断基準だけで重要書類や資産まで処分してしまうと、家族が後から困る事態になりかねません。この線引きを意識できるかどうかが、二つの違いを理解する実務上の意味です。

なぜ違いを知っておく必要があるのか

生前整理と断捨離を同じものとして進めてしまうと、実際の作業でいくつかのつまずきが起こりやすくなります。順番や視点を誤ったときに起きがちなパターンを紹介します。

順番を間違えると起きること

  • 「今使っていない」という基準だけで重要書類を処分してしまう——古い保険証券や退職金の関連書類は、日常的には使わない物です。断捨離の基準だけで判断すると、後から必要になったときに再発行の手間がかかります。
  • 思い出の品の判断に時間を取られ、肝心の財産整理が後回しになる——写真や手紙など感情の伴う物から手をつけると、時間がかかりすぎて、通帳や不動産の整理という本来重要な部分に着手できないまま終わってしまうことがあります。
  • 家族に何も伝えないまま物だけ減らし、肝心の情報が共有されない——断捨離で身の回りをすっきりさせても、通帳や権利証の場所、生命保険の契約内容が家族に伝わっていなければ、いざというときに家族が探し回ることになります。

これらは、断捨離の「今の自分にとって必要か」という基準だけで最後まで進めてしまうことが原因で起こります。生前整理として進める以上は、「家族が困らないか」という視点を途中で意識的に差し込む必要があります。

生前整理の中に断捨離を組み込むという考え方

実務的には、生前整理という大きな枠組みの中に、断捨離という手法を部分的に取り入れる進め方が現実的です。最初から重要書類や財産の整理に取りかかるよりも、判断しやすい日用品の断捨離から始めて「要る・要らない」を判断する感覚をつかんでから、通帳や権利証など重みのある物へ範囲を広げていくと、心理的な負担が小さくて済みます。全体の進め方や作業の流れをより詳しく知りたい場合は、生前整理の進め方の完全ガイドもあわせてご覧ください。

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年代・世帯構成別|生前整理と断捨離の始め方

生前整理と断捨離のどちらから、どの程度の分量で始めるべきかは、年代や暮らし方によって変わります。ここでは目安となる考え方をケース別に整理します。年齢や家族構成による一般的な傾向であり、体力や判断力には個人差があるため、あくまで目安として参考にしてください。

年代の目安 体力・判断力の傾向 重点を置きたいこと
50代 体力に余裕があることが多い 将来の仕組みづくり。財産の把握、エンディングノートの下書き
60代 まだ本格的な整理作業が可能 断捨離と生前整理を並行。重要書類の整理、遺言の検討
70代以降 体力・判断力に個人差が出てくる 負担の少ない範囲から着手。家族や専門家との連携

50代:将来に備えた「仕組みづくり」の時期

50代はまだ体力に余裕があり、判断力も安定している時期です。この段階では、いきなり大量の物を処分するというより、「どこに何があるか」を把握する仕組みづくりに重点を置くほうが長続きします。通帳や保険証券のありかを一覧にしておく、デジタル資産やサブスクリプションの契約状況を確認しておく、といった作業は、本格的な断捨離より先に着手しても負担が小さく済みます。

60代:体力があるうちに進める本格整理の時期

60代は、定年退職や子どもの独立といった生活の節目を迎える方が多く、時間的な余裕も生まれやすい時期です。断捨離と生前整理を並行して進めやすいタイミングでもあります。衣類・食器・本など判断しやすい物の断捨離から始め、慣れてきたら通帳・権利証・保険関連の書類整理、遺言書の検討へと範囲を広げていくと、無理なく両方をこなせます。

70代以降・体力や判断力に不安がある場合

70代以降になると、立ったりしゃがんだりする作業や、長時間の判断作業そのものが負担になってくることがあります。この場合は、一度にすべてを終わらせようとせず、1日1部屋、あるいは1つの引き出しだけといった小さな単位に分けて進める方法が現実的です。判断に迷う物は無理にその場で決めず、家族に相談する、あるいは専門業者に仕分けの手伝いを依頼することも選択肢です。認知機能の低下が心配な場合は、判断力がしっかりしているうちに、財産管理や契約に関する意思をエンディングノートや遺言の形で先に残しておくことが、後々の家族の負担を大きく左右します。

一人暮らし・夫婦二人暮らし・子世代と同居、での違い

世帯構成によっても優先順位は変わります。一人暮らしの場合は、体調不良や急な入院時に誰も物のありかを把握していない状態を避けるため、緊急連絡先や貴重品の在りかを整理しておく優先度が高くなります。夫婦二人暮らしでは、どちらが先に判断力を失っても困らないよう、二人とも把握している状態を作ることが要点です。子世代と同居している場合は、日常的に子どもの目が届くという安心感がある一方、遠慮から本音の希望が伝えられていないケースも見られます。同居していても、財産や希望については言葉にして共有しておくことが大切です。

残すもの・手放すものの判断基準【実務チェックリスト】

生前整理で最も時間がかかるのが、「これは残すべきか、手放していいか」という判断です。ここでは、印刷してそのまま使える形で、カテゴリ別の判断基準をまとめます。

「残す」を先に決めると迷わない

片付けというと「何を捨てるか」から考えがちですが、生前整理では逆に「手放さずに残しておく物」を先に決めておくほうが、後の判断が早くなります。残す物が明確になれば、それ以外の大半は断捨離の基準(今使っているか)で機械的に判断できるようになるためです。

カテゴリ別・残す手放すの判断基準

カテゴリ 基本的な扱い 判断のポイント
権利証・登記関連書類 残す(別途保管) 紛失すると再発行はできず、本人確認情報の作成など代わりの手続きに手間や費用がかかる。保管場所を家族と共有しておく
通帳・印鑑・保険証券 残す(一覧化) 口座数・保険会社をリスト化し、現物は一箇所にまとめる
年金手帳・マイナンバー関連 残す 手続きの際に必要。コピーではなく現物を確保
遺言書・エンディングノート 残す(存在を共有) 書いた事実と保管場所だけでも家族に伝えておく
実用品(衣類・日用品) 今使っているかで判断 1年以上使っていない物は手放す候補
思い出の品・写真 厳選して残す 数量を決めて(例:箱1つ分)その中に収める
着物・骨董・貴金属 要査定 処分前に一度査定に出し、価値を確認してから判断
デジタルデータ・アカウント 一覧化して整理 ID・パスワードの管理方法を決めておく(現物メモは厳重に保管)

判断に迷ったときの3つの質問

表に当てはまらない物や、判断そのものに迷う物が出てきたときは、次の3つを自問してみてください。

  1. 今の生活で実際に使っているか——1年以上手に取っていない物は、手放す候補として考えられます。
  2. 失ったとき、買い直しや再発行ができるか——できるなら断捨離の対象、できない・時間がかかるなら生前整理の「残す」側に分類します。
  3. 家族が見て、それが何かをすぐ理解できるか——専門的な書類や契約関係の物は、家族が扱い方を理解できるよう、メモを添えて残しておくと親切です。

いずれの問いにもすぐ答えが出ない物は、無理にその場で決めず、「保留」として一時的に別の箱にまとめておく方法も有効です。実家全体の片付けを見据えたチェック項目は実家じまいチェックリストでも確認できます。

生前整理・断捨離でよくある失敗と対策

安心実家じまいの窓口でのご相談では、生前整理や断捨離を進める中で似たようなつまずきが繰り返し見られます。着手する前に、次のパターンを知っておくと同じ失敗を避けやすくなります。

よくある失敗 起きやすい原因 対策
思い出の品の仕分けだけで数か月が過ぎてしまう 感情の伴う物から手をつけてしまう 実用品など判断しやすい物から始め、思い出の品は最後にまとめて扱う日を決める
断捨離のつもりで重要書類まで処分してしまう 「今使っていない」の基準だけで判断 権利証・保険証券・通帳などは先に「残す」箱へ分けてから断捨離を始める
家族の誰も通帳やネット銀行の存在を把握していない 情報の共有が後回しになっている 金融機関・契約の一覧だけでも先に作成し、保管場所を家族に伝える
一人で始めたが物量が多く途中で止まってしまう 作業量を過小に見積もっている 部屋・引き出し単位で区切り、進まない場合は早めに家族や業者に相談する
相続放棄を検討中に家財を処分し、選択肢を失う 片付けと法律手続きの順序を考えずに進める 資産価値が低い実家では、処分に着手する前に司法書士や弁護士へ相談する

共通するのは、「今の気持ちの整理」と「将来の家族のための整理」を分けずに一気に進めてしまうことです。断捨離としての判断と、生前整理としての判断を意識的に切り替えることが、これらの失敗を避ける最も基本的な対策になります。

断捨離のやり方を生前整理に活かす具体的な進め方

断捨離の手法は、身近な物から順に手をつけていく点で、生前整理の入り口として扱いやすい特徴があります。対象を「モノ」「情報・デジタル」「人間関係」の3つに分けて、それぞれの進め方を紹介します。

モノの整理

まずは判断しやすい実用品から着手します。衣類、食器、本、季節家電など、今の生活で使っているかどうかがはっきりしている物を優先します。難易度の高い思い出の品や資産価値のある物は後回しにし、判断が簡単な物から数をこなすことで、整理の感覚が身についてから難しい判断に進めます。

情報・デジタル遺品の整理

近年、生前整理で見落とされやすいのがデジタル情報です。スマートフォンやパソコンの中の写真、ネット銀行・証券口座、サブスクリプションの契約、SNSのアカウントなどは、本人が亡くなった後に家族が把握するのが非常に難しい領域です。実務の現場では、通帳や実印は見つかっても、ネット銀行の口座は存在自体に家族が気づかず、解約や相続の手続きが宙に浮いてしまう相談が少なくありません。パスワードそのものを紙に書いて残すのはセキュリティ上の懸念もあるため、「どの金融機関・どのサービスを利用しているか」という一覧だけでも作成し、家族にわかる場所へ保管しておくことをおすすめします。あわせて、使っていないサブスクリプションやアプリの解約も、生きているうちに済ませておけば、家族の手続き負担がひとつ減ります。

人間関係・お付き合いの整理

年賀状のやり取りだけになっている相手、惰性で続けている町内会や趣味の会など、義理や慣習で続いている関わりを見直すことも、断捨離の考え方に含まれます。無理に関係を断つ必要はありませんが、自分にとって負担になっている付き合いがあれば、この機会に距離感を見直してみることも、生前整理を「気持ちの整理」として進める一環になります。

生前整理で押さえておきたい相続税・贈与・遺言の基礎知識

生前整理を進める中で、財産の分け方や渡し方まで考える方は少なくありません。ここでは、判断の土台になる公的な制度と数字を紹介します。実際の適用にあたっては、個々の事情によって扱いが変わるため、司法書士や税理士など専門家への相談を前提としてご覧ください。

生前贈与を活用する場合の注意点

贈与税には、年間110万円までの贈与であれば非課税となる基礎控除(暦年課税)があります。生前のうちに少しずつ財産を渡していく方法として活用されますが、注意したいのが「生前贈与加算」という仕組みです。被相続人から相続や遺贈で財産を取得した人が、亡くなる前の一定期間内に暦年課税で贈与を受けていた場合、その贈与財産は相続税の課税価格に加算されます。加算の対象となる期間は、令和6年(2024年)1月の税制改正により段階的に延長されており、相続開始日に応じて次のように変わります(2026年8月時点・国税庁タックスアンサーNo.4161より)。

被相続人の相続開始日 生前贈与の加算対象期間
〜令和8年12月31日 相続開始前3年以内
令和9年1月1日〜令和12年12月31日 令和6年1月1日から死亡の日までの間
令和13年1月1日〜 相続開始前7年以内

つまり、贈与すればすぐに相続財産から切り離されるわけではなく、一定期間内の贈与は相続税の計算に取り込まれます。早い時期から計画的に贈与を進めるほど、この加算の影響を受けにくくなります。生前整理の一環として財産を家族へ渡すことを考えている場合は、時期と金額を含めて早めに専門家へ相談することをおすすめします。

相続税の基礎控除の考え方

相続税には「3,000万円+600万円×法定相続人の数」という基礎控除があり、相続財産の総額がこの金額以下であれば、相続税の申告・納税は原則不要です。法定相続人の数によって基礎控除額がどう変わるか、代表的な家族構成で計算すると次のとおりです。

家族構成の例 法定相続人の数 基礎控除額の計算 基礎控除額
配偶者のみ 1人 3,000万円+600万円×1 3,600万円
配偶者+子1人 2人 3,000万円+600万円×2 4,200万円
配偶者+子2人 3人 3,000万円+600万円×3 4,800万円
子のみ2人(配偶者なし) 2人 3,000万円+600万円×2 4,200万円

実家の評価額に預貯金などを合わせた財産総額が、この基礎控除額の範囲に収まるかどうかは、生前整理の段階で概算しておくと、相続が発生したときの家族の見通しが立てやすくなります。実家の固定資産評価額は、毎年届く固定資産税の納税通知書か、固定資産評価証明書(東京23区は都税事務所、それ以外は市区町村窓口で取得)で確認できます。基礎控除を超えそうな場合は、生前贈与や不動産の活用方法とあわせて、早めに税理士へ相談することをおすすめします。

遺言書を残す場合の選択肢

財産の分け方について自分の意思をはっきり残したい場合、遺言書の作成も生前整理の一部として検討されます。自分で作成する自筆証書遺言は、これまで自宅保管が一般的でしたが、紛失や改ざん、相続開始後に家庭裁判所での検認が必要になるといった課題がありました。法務局が遺言書を保管する「自筆証書遺言書保管制度」を利用すると、この検認の手続きが不要になり、紛失のリスクも抑えられます。手数料は、遺言書の保管の申請1件(遺言書1通)につき3,900円です(2026年8月時点・法務省「自筆証書遺言書保管制度」より)。公正証書遺言に比べて費用を抑えつつ、一定の安全性を確保できる選択肢として、生前整理を進める中で検討する価値があります。

業者に頼むべきケース・自分たちで進められるケース

生前整理と断捨離のすべてを業者に任せる必要はありません。むしろ、日用品の断捨離のように判断が本人にしかできない作業は、時間をかけてでも自分たちで進めたほうが、後悔の少ない整理になります。一方で、次のような場合は業者への依頼を検討する価値があります。

  • 大型家具・家電の運び出しが体力的に難しい——タンスやベッドなど、一人で動かせない物の搬出は、無理をせず専門業者に依頼したほうが安全です。
  • 物量が多く、自分たちのペースでは終わらない見込みがある——長年住んだ実家では、想定より物量が多いことが珍しくありません。期限がある場合は、仕分けから搬出までを任せられる業者の利用が現実的です。
  • 仏壇・位牌など供養が必要な物の扱いに困っている——処分の前に閉眼供養やお焚き上げが必要な物は、対応可能な業者へ相談したほうが安心です。
  • 貴金属・着物・骨董などの査定を一括で行いたい——古物商許可を持つ業者であれば、査定から買取までをまとめて依頼でき、処分費用の圧縮にもつながります。

依頼する場合も、判断そのものまで業者任せにする必要はありません。「残す物」を先に自分たちで決めておき、それ以外の仕分け・搬出・処分を業者に任せる、という役割分担にすると、自分の意思を保ったまま作業の負担だけを軽くできます。自分たちで進める場合と業者に依頼する場合の違いをまとめると、次のとおりです。

自分たちで進める 業者に依頼する
向いている作業 重要書類の仕分け、財産目録の作成、思い出の品の選別 大型家具・家電の搬出、大量の不用品の処分、査定・買取
費用 ごみ処理手数料程度 物量・間取りに応じた見積もり
かかる時間 ペース次第(数か月かかることも) 訪問見積もり後、数日〜1日程度で完了することが多い
体力面の負担 大きい(特に搬出作業) 小さい(搬出・運搬は業者が担当)

「まず自分たちでできるところまで進め、大型家具の搬出や査定だけ業者に頼む」という部分依頼も可能です。すべてを任せる・すべて自分でやる、の二択で考える必要はありません。

安心実家じまいのサービス案内

安心実家じまいは、生前整理から実家の売却・解体の手配までを一つの窓口でお受けする全国対応のサービスです。断捨離の延長として物量を減らす段階から、財産や重要書類の整理、家族への引き継ぎまで、状況に応じたご相談を承っています。

生前整理のみのご依頼は生前整理サービスで承ります。家の将来的な処分まで見据えている場合は、実家じまい代行パックとあわせたご相談も可能です。貴金属や着物などの買取による費用の相殺にも対応しており、仏壇や位牌の供養が必要な場合も、対応可能な提携業者をご案内します。相続登記や遺言など法律手続きが絡む場合は、提携司法書士と連携して進めます。

お見積もりを確定してからのご契約です。追加の作業が見込まれる場合は作業前に金額を提示し、ご了承をいただいたうえで実施します。生前整理の進め方全体を確認したい場合は生前整理の完全ガイドを、実家全体の片付けの流れは実家じまいチェックリストをご覧ください。

よくある質問

生前整理と断捨離、どちらから始めればいいですか?
多くの場合、まず身近な持ち物の断捨離から手をつけ、その延長で財産や書類まで扱う生前整理に進む流れがスムーズです。いきなり通帳や不動産の整理から始めようとすると気持ちが重くなりやすいため、衣類や食器など判断しやすい物から始めて、整理する感覚をつかんでから重要書類や資産の整理に移ることをおすすめします。
生前整理はいつから始めるのがいいですか?
体力・判断力がしっかりしている60代前後から少しずつ始めるのが現実的です。ただし年齢はあくまで目安で、定年退職・子どもの独立・持病の診断・配偶者との死別など、生活の節目が来たタイミングで始める方も多くいます。早く始めるほど自分の意思で判断できる期間が長く取れるという利点があります。
断捨離で処分したものが、あとで必要になったらどうすればいいですか?
実用品は買い直せる場合が多いため、過度に恐れる必要はありません。不安な場合は、判断に迷う物を「保留ボックス」に一時保管し、半年から1年程度、実際に使わなかったら処分するという猶予期間を設ける方法があります。一方、権利証・保険証券・年金関係の書類など再発行に手間がかかる物は、断捨離の対象からいったん外し、生前整理の「残す」カテゴリで別管理にしておくと安全です。
生前整理で残すもの・手放すものの判断に迷ったらどうすればいいですか?
「今の生活で使っているか」「再発行や買い直しができるか」「家族が困らずに扱えるか」の3つを自問すると判断しやすくなります。いずれも当てはまらない、あるいは判断がつかない物は無理にその場で決めず、一時保管のカテゴリに分けておき、時間をおいてから見直すことをおすすめします。
デジタル遺品はどこまで整理しておくべきですか?
パスワードそのものを紙に書き残すのはセキュリティ上のリスクがあるため、まずは「どの金融機関・どのサービスを利用しているか」という一覧だけでも作成し、家族がわかる場所に保管しておくことをおすすめします。あわせて、使っていないサブスクリプションやアプリは、生きているうちに解約しておくと、家族の手続き負担を一つ減らせます。
生前整理と遺品整理はどう違いますか?
生前整理は本人が元気なうちに自分の意思で行う整理で、遺品整理は本人が亡くなった後に遺族が行う片付けです。生前整理では本人の希望を直接反映できるのに対し、遺品整理では遺族が故人の意思を推し量りながら判断することになります。生前整理を進めておくと、遺品整理での家族の負担や判断の迷いを減らせます。

まとめ

生前整理と断捨離は、似ているようでいて目的の置き方が異なります。要点を振り返ります。

  • 生前整理は「家族のために将来へ備える整理」、断捨離は「今の暮らしを軽くする整理」で、視点の中心が異なる
  • 断捨離の基準(今使っているか)だけで重要書類まで判断すると、家族が後から困ることがある
  • 身近な物の断捨離から始めて、通帳・権利証など重要書類の生前整理へ範囲を広げるのが負担の少ない進め方
  • 年代・世帯構成によって重点を置くべき作業は変わる。70代以降は小さな単位に分けて進める
  • 残す・手放すの判断は「今使っているか」「買い直せるか」「家族が扱えるか」の3つの問いで整理できる
  • デジタル遺品は見落とされやすい領域。金融機関やサービスの一覧だけでも家族と共有しておく
  • 生前贈与の非課税枠は年110万円だが、加算対象期間内の贈与は相続税の計算に取り込まれる
  • 自筆証書遺言書保管制度を使えば、相続開始後の検認が不要になり、手数料は1件3,900円

生前整理と断捨離の違いを理解したうえで進めれば、「とりあえず物を減らす」ことと「家族のために備える」ことを両立させやすくなります。まずは判断しやすい身近な物から手をつけ、慣れてきたら重要書類や財産の整理へと範囲を広げてみてください。全体の進め方は生前整理の完全ガイド、実家全体の片付けの手順は実家じまいチェックリストもあわせてご覧ください。

読むより、聞いたほうが
早いこともあります

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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