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解体業者の選び方|見積もり比較のポイントと注意点【司法書士監修】

最終更新日:2026年9月23日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 解体業者を選ぶ前に、まず「片付けてから売るか、解体して更地で売るか、そのまま買取に出すか」を手取り額で比べるのが最初の一歩です。老朽家屋でも解体せずに売却できる場合があり、無駄な解体費用を払わずに済むことがあります。空き家買取(解体して売るか、そのまま買取かを手取りで比較)なら、現況のまま複数社の査定を受けられます。
  • 解体工事の依頼先は、建設業許可(土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれか)または解体工事業登録(工事現場のある都道府県ごと)を受けているかを必ず確認してください。無登録での解体工事は建設リサイクル法違反です(国土交通省)。
  • 見積もりは最低2社、できれば3社から「内訳付き」で取り、「解体工事一式〇〇円」としか書かれていない見積書は追加請求のリスクが高いため注意が必要です。
  • 床面積80㎡以上の建物を解体する場合、工事着手の7日前までに都道府県・市区町村への事前届出が必要です(建設リサイクル法・国土交通省)。届出の有無は業者に確認しましょう。
目次

解体業者を選ぶ前に確認したいこと|そもそも解体は必要か

解体業者選びの相談を受けていると、「見積もりを何社か取ったが、そもそも解体すべきかどうかで迷っている」という声を多く聞きます。結論から言えば、解体業者探しを始める前に、一度立ち止まって「解体してから売るか」「解体せずそのまま買取に出すか」を比較しておくことをおすすめします。木造住宅の解体費用は延床面積30坪程度で100万〜200万円程度が目安とされ、まとまった現金を先に用意する必要があります。老朽化した建物であっても解体せずそのまま買取業者に売却できるケースは少なくなく、その場合は解体費用そのものが不要になります。

売却の判断で迷ったときは、空き家買取(現況のまま複数社に査定を依頼する方法)と、実家の売却(片付け・解体をしたうえで仲介に出す方法)を、金額だけでなく「かかる時間」「かかる手間」まで含めて比較してから決めるのが実務的です。買取は数日〜数週間で現金化できる一方、査定額は仲介より低めになりやすく、仲介は高く売れる可能性がある一方で数か月〜半年以上かかることもあります。解体費用を差し引いた「手取り額」で比べて初めて、自分の状況にとってどちらが有利かが分かります。

相続空き家の3,000万円特別控除は「取壊しの時期」が要件になる

相続した空き家を売却する際に使える「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(相続空き家の3,000万円特別控除)は、建物を取り壊してから土地を売るケースを主な対象としています。相続の時から取壊しの時まで、建物が事業・貸付け・居住のいずれにも使われていないことなどが要件です。令和6年1月1日以後の譲渡からは、譲渡した年の翌年2月15日までに取り壊せば特例の対象に含まれるよう改正されており、適用期限は2027年(令和9年)12月31日までとされています(国税庁タックスアンサーNo.3306)。取壊しのタイミングは特例の適用可否に直結するため、解体業者に依頼する前に、この特例を使う予定があるかどうかを税理士または税務署に確認しておくことをおすすめします。

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優良な解体業者の条件|許可・登録の確認方法

解体工事を行うには、原則として次のいずれかの資格が必要です。税込み工事金額が500万円未満の解体工事は、工事を行う都道府県ごとの「解体工事業登録」(登録有効期間は5年、更新制)で対応でき、500万円以上の解体工事、または解体を含む建設工事は「建設業許可」(土木工事業・建築工事業・解体工事業のいずれか)が必要です。どちらの資格も無い業者が解体工事を請け負うことは、建設リサイクル法・建設業法違反にあたります。

資格の有無は、業者が提示する登録票・許可票(現場に掲示する義務があります)で確認できるほか、都道府県のホームページで公開されている登録業者名簿・建設業許可業者検索でも照会できます。見積もりを依頼する段階で、「解体工事業登録または建設業許可の番号を教えてください」と一言尋ねるだけで、誠実に対応する業者かどうかがある程度見分けられます。番号の提示を渋る、はぐらかす業者は避けたほうが安全です。

マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行有無

解体工事で発生する木くず・コンクリートがら・金属くずなどは産業廃棄物にあたり、排出事業者(解体業者)には処理を委託した産業廃棄物の種類・数量・処分方法を記録した管理票(マニフェスト)の発行・保管が産業廃棄物処理法で義務付けられています。マニフェストを発行しない、または「発行できるか」の質問に曖昧な返答をする業者は、不法投棄や不適正処理のリスクがあるため注意が必要です。工事完了後にマニフェストの写しを提出してもらえるかを、契約前に確認しておくとトラブルを防げます。

損害賠償保険への加入

解体工事中に、隣家の外壁を傷つけたり、通行人にケガをさせたりする事故が起きる可能性はゼロではありません。工事中の第三者への損害を補償する損害賠償責任保険に加入しているかどうかも、契約前に確認しておきたいポイントです。保険未加入の業者で万が一事故が起きた場合、補償を巡って施主とのトラブルに発展することがあります。あわせて、作業員に対する労災保険への加入状況も、下請け構造が多重になっている業者ほど確認しておくと安心です。

アスベスト(石綿)事前調査の資格者が対応するか

解体部分の床面積が80㎡以上の建築物を解体する場合、アスベスト(石綿)の事前調査結果を都道府県・労働基準監督署へ報告することが2022年4月から義務付けられています。報告義務の対象にならない小規模な工事であっても、事前調査自体はすべての解体工事で必要です。さらに2023年10月からは、この事前調査を「特定建築物石綿含有建材調査者」などの有資格者が行うことが義務化されています。見積もり段階で、事前調査を誰が行うか、調査費用が見積もりに含まれているかを確認しておくと、着工後に「アスベストが見つかったため追加費用が必要」という想定外の請求を避けやすくなります。

見積もりの取り方と比較のポイント

解体工事の見積もりは、必ず現地調査(下見)をしたうえで出してもらうのが基本です。建物の構造・立地条件・接道状況(重機が入れるかどうか)・近隣との距離などによって金額は大きく変わるため、写真や図面だけで金額を出す業者、電話やメールだけで概算金額を即答する業者は注意が必要です。相場観をつかむためにも、最低2社、できれば3社から現地調査付きの見積もりを取ることをおすすめします。

見積書を比較する際は、金額の総額だけでなく「内訳が明記されているか」を必ず確認してください。「解体工事一式〇〇円」とだけ書かれた見積書は、後から追加費用を請求されるリスクが高くなります。建設リサイクル法では、コンクリート・木材・アスファルトなどを現場で種類ごとに分別して解体する「分別解体」が義務付けられており、内訳のない一式見積もりは、この分別解体の手間を反映していない可能性もあります。以下の項目が内訳として記載されているかを目安にしてください。

内訳項目 確認するポイント
本体解体工事費 建物の構造(木造・鉄骨・RC)別の坪単価が明記されているか
付帯工事費 ブロック塀・庭木・物置・カーポートなど本体以外の撤去費が別記されているか
廃材処分費 木くず・コンクリートがら・金属くずなど廃棄物の種類ごとの処分費が明記されているか
仮設工事費 足場・養生シート・防音パネルなど近隣対策の費用が含まれているか
諸経費・届出費用 建設リサイクル法の届出代行費用、近隣挨拶の費用などが含まれているか
残置物処分費 家財が残っている場合、その処分費が本体工事と別枠になっているか

整地・残土処理の範囲も見積もりで確認する

解体工事の見積もりでもう一つ見落とされやすいのが、工事後の「整地」の範囲です。整地には、地面を平らにならす簡易な整地と、土を入れ替えて転圧まで行う本格的な整地があり、どこまでの状態で引き渡されるかによって、売却時の印象や追加費用の有無が変わります。売却後にすぐ建築を予定している買主であれば簡易整地で十分なこともありますが、更地として見栄えを重視したい場合は、整地の仕上がりレベルを事前にすり合わせておくことをおすすめします。また、基礎の下に不要な残土やコンクリートくずが埋まっている場合、その撤去・処分費用が別途発生することがあるため、「整地費用に何が含まれるか」を見積もり段階で確認しておくと、工事後の想定外の請求を防げます。

相見積もりを取る際、相場より明らかに安い金額を提示する業者には注意してください。極端な安値は、廃材の不法投棄でコストを浮かせていたり、契約後に「地中埋設物が出た」「アスベストが見つかった」などの理由で高額な追加費用を請求したりする手口につながることがあります。逆に、極端に高い見積もりも、内訳を精査せず言い値で出している可能性があるため、必ず内訳の中身を比較してください。

一括見積もりサービスを利用する場合の注意点

複数の解体業者を一度に探す方法として、解体工事専門の一括見積もりサービス(相見積もりのマッチングサイト)を利用する選択肢もあります。自分で1社ずつ探す手間を省けるメリットがある一方、紹介された業者がすべて優良とは限らないため、紹介を受けた後も、本記事で挙げた許可・登録番号の確認、内訳付き見積もりの比較、マニフェスト発行の可否といったチェックは自分で行う必要があります。一括見積もりサービスを使う場合でも、最終的に契約する業者を決めるのは施主自身であるという意識を持っておくことが大切です。

相見積もりを取るときのマナーと伝え方

複数社に見積もりを依頼すること自体は、施主として当然の権利であり、マナー違反ではありません。ただし、他社の見積金額をそのまま伝えて値下げ交渉の材料にする進め方は、業者側の誠実な対応を歪める原因にもなります。「他社にも依頼しています」と伝えたうえで、それぞれの内訳の違いを丁寧に比較する姿勢のほうが、結果として信頼できる業者を見極めやすくなります。

契約前・工事中に確認しておきたい注意点

見積もり内容に納得しても、契約前後で確認しておくべき点がいくつかあります。ここを飛ばしてしまうと、工事後にトラブルになりやすい項目です。

確認項目 チェックのポイント
建設リサイクル法の事前届出 床面積80㎡以上の建物は、工事着手の7日前までに都道府県・市区町村への届出が必要。業者が代行するか、施主が届出するかを確認する
近隣への挨拶 工事前に業者が近隣へ挨拶に回るか、施主が同行する必要があるかを確認する
アスベスト(石綿)の事前調査 2022年4月から一定規模以上の解体で事前調査結果の報告が義務化。調査費用が見積もりに含まれているか確認する
地中埋設物・地盤改良の扱い 基礎の残骸や浄化槽など、着工後に見つかった場合の追加費用の算定方法を事前に契約書で確認する
ライフラインの停止手続き 電気・ガス・水道の停止・撤去手続きを誰が行うかを確認する(水道は残置する場合もある)
工事完了後の書類 マニフェストの写し、建物滅失登記に必要な「解体工事証明書」「工事完了引渡証明書」等を発行してもらえるか確認する
支払い条件 着工前の全額前払いを求める業者は要注意。着工時・完了時の分割払いが一般的
契約の急かし 「今日契約すれば割引」など即断を迫る営業は、内容を精査する時間を与えない手口であることが多い

このうち特に見落とされやすいのが「建物滅失登記」に必要な書類の発行です。解体工事が終わったら、法務局に建物滅失登記の申請が必要になりますが、その際に解体業者が発行する証明書と印鑑証明書が必要です。工事契約の段階で、この書類を発行してもらえるかを確認しておかないと、登記の段階になって業者と連絡が取れなくなるなどのトラブルにつながることがあります。滅失登記を自分で行う場合の手続きは法務局の窓口でも確認できます。

ケース別に見る解体業者選びの進め方

解体業者選びの進め方は、置かれている状況によって優先すべきポイントが変わります。よくあるパターンを三つ挙げて整理します。

ケースA:とにかく費用を抑えたい

費用を優先する場合でも、極端な安値だけを基準に選ぶのは避けてください。まず内訳付きの見積もりを3社から取り、坪単価・廃材処分費・付帯工事費を横並びで比較したうえで、その中で最も安い業者を選ぶという順序が安全です。自治体によっては老朽危険家屋の解体費用に対する補助金制度があり、条件を満たせば数十万円規模の補助を受けられる場合があります。制度の有無は解体予定地の市区町村役場に確認してください。

ケースB:相続登記や3,000万円特別控除の期限が迫っている

前述のとおり、相続空き家の3,000万円特別控除は取壊しの時期が要件に関わります。また2024年4月1日からは相続登記も義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内の登記申請が必要です(正当な理由なく放置すると10万円以下の過料の対象になり得ます。法務省・法務局)。期限が迫っている場合は、解体業者選びと並行して、相続登記が済んでいるかを司法書士に確認しておくことをおすすめします。名義変更が終わっていないと、解体後の土地売却の契約自体が進められないためです。

ケースC:家財が残ったまま解体を検討している

「片付けが終わっていないが、解体まで進めたい」という場合、家財の仕分け・供養・搬出を先に済ませてから解体に進む方法と、残置物ありの状態で解体業者に一括で処分を依頼する方法があります。仏壇・位牌など供養が必要な物、思い出の品として残したい物がある場合は、解体前に実家じまい代行や遺品整理で仕分け・搬出を済ませておくと、解体業者側の残置物処分費用を抑えられるだけでなく、大切な品を誤って処分してしまうリスクも避けられます。解体業者による残置物の一括処分は、選別なしで廃棄される前提のサービスであることが多い点には注意してください。

ケースD:自治体から「特定空家等」の指摘を受けている

空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)に基づき、周囲に著しい悪影響を及ぼすおそれがあると判断された空き家は「特定空家等」に指定されることがあり、助言・指導、勧告、命令の順に自治体からの対応が進みます。勧告を受けると住宅用地特例が解除されて固定資産税が上がる場合があり、命令に従わないまま放置すると、自治体が所有者に代わって解体する「行政代執行」に至り、その費用を所有者が請求されるケースもあります。すでに自治体から指摘を受けている場合は、通常の見積もり比較の手順を踏む時間的な余裕がないこともあるため、まず自治体の窓口に相談し、対応期限を確認したうえで解体業者選びを急ぐ必要があります。

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解体して売る?そのまま買取に出す?手取り額で比較する

解体業者を探し始める前の最終確認として、実家を手放す3つの選択肢を「手取り額」で比較しておきましょう。当事務局は宅地建物取引業者ではないため、買取・仲介の売買契約そのものは提携の宅建業者が担当し、当事務局は片付け・解体の窓口調整を担います。

選択肢 かかる期間 解体の要否 価格の傾向 向いている人
買取
空き家買取(提携宅建業者)
早い(数日〜数週間程度が目安) 不要な場合が多い(老朽家屋のまま査定可) 仲介より低めになりやすい 解体費用を先に用意できない・急いで手放したい
仲介
実家の売却(提携宅建業者)
数か月〜半年以上かかることもある 更地の方が需要が高まりやすい 買取より高くなりやすい 時間に余裕があり、解体費用を用意できる
有料引き取り 個別に相談 状況による 所有者が費用を負担する場合がある 買取・仲介いずれも値がつかない立地・状態

試算例として、延床面積30坪の木造住宅(解体費用150万円と仮定)を、解体して更地で仲介売却した場合と、解体せずそのまま買取に出した場合を比較します。

項目 解体して仲介売却 解体せず買取
想定売却・買取価格 1,000万円(更地・相場想定) 750万円(相場の7〜8割程度が目安とされる)
解体費用 150万円 0円(買取業者が解体費用込みで査定する場合が多い)
仲介手数料の目安 売却価格×3%+6万円+消費税が上限(宅地建物取引業法) 0円(直接取引のため発生しないことが多い)
売却までの期間 解体1〜2か月+売却活動数か月〜半年 数日〜数週間程度が目安

金額だけを比べると仲介の方が手取りは多くなる傾向がありますが、その差額は、解体費用を先に用意する負担と、売却までの期間の長さという「見えないコスト」と引き換えになっています。固定資産税や管理の手間を一日でも早く終わらせたい場合、あるいは解体費用の持ち出しが難しい場合は、金額の差より早さを優先して買取を選ぶ判断も十分に合理的です。まずは解体前の現況のまま買取査定を受けたうえで、解体して仲介に出した場合との差額を具体的に比べてから、解体業者を探すかどうかを決めることをおすすめします。

解体費用を少しでも抑える方法

解体費用そのものを抑える方法もいくつかあります。まず、自治体の老朽危険家屋解体補助金や、空き家対策としての解体費用補助制度は、市区町村単位で用意されていることが多く、金額や要件は地域によって異なります。制度の有無・申請時期・工事着工前の申請が必須かどうかは、必ず解体前に確認してください。着工後に申請しても対象外になるケースが一般的です。次に、家財の量を減らしてから解体に入ると、残置物処分費用を抑えられます。形見分け・供養が必要な品を先に仕分けておき、それ以外の家財を処分してから解体業者に依頼すると、残置物処分費が本体工事に上乗せされずに済みます。さらに、繁忙期(年度末の1〜3月など)を避けて依頼すると、業者のスケジュールに余裕があり、価格交渉の余地が生まれやすい傾向もあります。

地域によって異なる解体・売却事情

解体費用の相場や、解体後の土地の売れやすさは、地域によって差があります。人口が多く不動産需要が安定している地域では、解体して更地にすることで買い手が見つかりやすくなる一方、地方部や過疎が進む地域では、解体費用をかけても買い手がつかず、有料引き取りや空き家バンクの検討が必要になる場合もあります。神奈川県内に実家がある場合は神奈川県の空き家買取、埼玉県内に実家がある場合は埼玉県の空き家買取のページもあわせてご確認ください。自治体によっては老朽危険家屋の解体補助金や、空き家バンク登録時のリフォーム補助金が用意されていることもあるため、解体業者に相談する前に、実家がある市区町村の空き家関連の窓口に一度問い合わせておくと、使える制度を見落とさずに済みます。

解体すると固定資産税が上がる点も踏まえて時期を検討する

解体業者を決める前に、もう一つ押さえておきたいのが固定資産税への影響です。住宅が建っている土地には「住宅用地特例」が適用され、200㎡までの部分は固定資産税が最大1/6に軽減されています。建物を解体して更地にすると、この特例が外れ、翌年以降の固定資産税・都市計画税が数倍に上がる場合があります。解体後すぐに売却できる見込みが立っていない場合は、解体のタイミングを売却活動の開始時期と合わせて検討することをおすすめします。固定資産税の仕組みや軽減の詳細は空き家の固定資産税はいくら?計算方法・6倍になる条件・売却との比較で解説しています。

また、仲介での売却を進める場合、買主から「更地渡し」(解体・整地を終えた状態での引き渡し)を条件に求められることがあります。更地渡しの条件や、誰が解体費用を負担するかの契約上の取り決め方については更地渡しとは|費用負担・契約の注意点・解体のタイミングもあわせてご確認ください。売買契約のタイミングと解体工事のスケジュールがずれると、固定資産税の負担期間が延びたり、引き渡し期限に間に合わなくなったりすることがあるため、不動産会社・解体業者の双方とスケジュールをすり合わせておくことが重要です。

解体業者選びの実務チェックリスト

ここまでの内容を、着手前に確認する順番でチェックリストにまとめました。印刷して、業者選びの確認用にご活用ください。

確認項目 チェックのポイント
①そもそも解体が必要か 解体せず買取に出す選択肢と手取り額を比較したか
②特例・登記の期限確認 3,000万円特別控除を使う予定があるか、相続登記は済んでいるか
③許可・登録の確認 解体工事業登録または建設業許可の番号を提示してもらったか
④相見積もりの取得 最低2社、できれば3社から内訳付きの見積もりを取ったか
⑤内訳の比較 本体・付帯・廃材処分・仮設・諸経費が個別に明記されているか
⑥保険・マニフェストの確認 損害賠償保険に加入しているか、マニフェストを発行してもらえるか
⑦届出・調査の確認 建設リサイクル法の事前届出、アスベスト事前調査を業者が行うか
⑧残置物・家財の扱い 形見分け・供養が必要な品を先に取り分けたか
⑨契約書の確認 追加費用が発生する条件と算定方法が契約書に明記されているか
⑩完了後の書類 建物滅失登記に必要な証明書を発行してもらえるか

よくある質問

解体業者の見積もりは何社から取ればいいですか?
最低2社、できれば3社から、現地調査をしたうえでの内訳付き見積もりを取ることをおすすめします。金額の総額だけでなく、本体解体工事費・付帯工事費・廃材処分費・仮設工事費が個別に明記されているかを比較すると、相場観と業者の誠実さの両方が見えてきます。「解体工事一式〇〇円」としか書かれていない見積書は、後から追加費用を請求されるリスクが比較的高いため注意してください。
解体費用が相場より安い業者を選んでも問題ありませんか?
金額だけで判断するのは避けたほうが安全です。相場より明らかに安い見積もりは、廃材の不法投棄でコストを浮かせていたり、契約後に地中埋設物やアスベストの発見を理由に高額な追加費用を請求したりする手口につながることがあります。安さの理由が内訳から説明できるかどうかを確認し、不明な場合は他社にも同条件で見積もりを依頼して比較することをおすすめします。
解体せずに実家を売ることはできますか?
可能です。老朽化した建物であっても、そのまま買取業者に売却できる場合があります。買取価格は更地にして仲介で売却する場合より低めになりやすい一方、解体費用(延床面積30坪程度で100万〜200万円程度が目安)を先に用意する必要がなく、数日〜数週間程度で現金化できることが多いというメリットがあります。解体費用を差し引いた手取り額で、仲介との差を比較してから判断することをおすすめします。
解体工事の届出はいつまでに、どこに出す必要がありますか?
床面積80㎡以上の建物の解体工事は、建設リサイクル法により、工事に着手する7日前までに、工事を行う都道府県または市区町村(特定行政庁)への事前届出が必要です。届出は発注者(施主)に義務がありますが、実務上は解体業者が代行することが一般的です。契約前に、届出を業者が代行してくれるかどうかを確認しておくとスムーズです。
解体後に固定資産税が上がるというのは本当ですか?
本当です。住宅が建っている土地には「住宅用地特例」があり、200㎡までの部分は固定資産税が最大1/6に軽減されています。建物を解体して更地にすると、この特例が外れるため、翌年以降の税額が数倍になる場合があります。解体後すぐに売却できる見込みが立っていない場合は、解体のタイミングを売却活動の開始時期に合わせて検討することをおすすめします。
近隣への挨拶は誰が行うのが一般的ですか?
多くの場合、解体業者が着工前に近隣へ挨拶に回りますが、施主が同行する、または事前に施主から一言連絡しておくと、近隣との関係がより円滑になります。工事期間・作業時間帯・騒音や粉じんへの配慮事項などを、業者と一緒に近隣へ伝えておくと、工事中の苦情やトラブルを減らせます。誰が挨拶を担当するかは、契約前に業者に確認しておくとよいでしょう。

まとめ

解体業者選びで失敗しないためのポイントを振り返ります。

  • 解体業者を探す前に、解体せず買取に出す選択肢と「手取り額」で比較する
  • 相続空き家の3,000万円特別控除は取壊しの時期が要件に関わるため、期限を先に確認する
  • 解体工事業登録または建設業許可の番号を必ず確認する
  • 見積もりは最低2社、できれば3社から内訳付きで取る。「一式〇〇円」の見積もりは要注意
  • マニフェストの発行、損害賠償保険への加入、建設リサイクル法の事前届出(80㎡以上・7日前まで)を確認する
  • 家財が残っている場合は、解体前に形見分け・供養が必要な品を先に取り分けておく

解体は一度着手すると後戻りができない工事です。金額の安さだけで業者を決めず、許可・登録の有無、見積もりの内訳、届出や保険の対応まで含めて比較したうえで進めることが、結果的にトラブルを避ける一番の近道になります。あわせて、解体後は固定資産税の住宅用地特例が外れて税額が上がる点、相続空き家の3,000万円特別控除は取壊しの時期が要件に関わる点など、税金・特例のスケジュールも解体のタイミングに影響します。判断に迷う場合や、解体前に片付け・査定を同時に相談したい場合は、一人で抱え込まず、司法書士・税理士・自治体の窓口など専門家に相談してください。

解体するかどうかも、まずはご相談ください

解体前の現況のまま買取査定、片付け・供養、提携解体業者のご紹介まで。写真を送るだけで概算のお見積もりをお出しします。ご相談・お見積もりは無料です。

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

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