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空き家解体費用の補助金|相場・自治体の申請条件・3,000万円特別控除との関係

最終更新日:2026年9月14日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 木造30坪の空き家の解体費用はおおむね90万〜150万円(坪単価3万〜5万円)が相場です。老朽危険家屋の除却補助金は自治体ごとに上限20万〜100万円程度あり、多くは解体費用の3分の1〜2分の1が助成されますが、工事契約前の事前申請が必須で、着工後の申請は原則対象外になります。制度の有無・金額・要件は市区町村ごとに異なるため、必ず物件所在地の窓口で最新の情報を確認してください。
  • 迷ったら、片付けてから解体して更地で売る/片付けだけして古家付きのまま買取に出す/有料で引き取ってもらうの3択を、それぞれの手取り額(売却額または買取額−解体費用や片付け費用)で比べるのが判断の近道です。数百万円かけて解体しても、更地の価格が解体費用ぶん上がるとは限らない土地もあります。空き家買取(片付け不要・複数社査定)で「解体せずいくらで売れるか」を先に確認してから、解体するかどうかを決める順番をおすすめします。
  • 相続した空き家を売って譲渡所得税を減らせる「空き家の3,000万円特別控除」(国税庁タックスアンサーNo.3306)は、耐震基準を満たさない古い家は解体して更地で売ることが要件の一つです。補助金と特例控除を両方使えるかどうかは家の状態と売却時期で変わるため、着手前の確認が欠かせません。
  • 相続登記が済んでいない空き家は、補助金の申請者名義や売却時の名義に不一致が生じます。2024年4月からの相続登記義務化(法務局)により、相続を知ってから3年以内に登記しないと10万円以下の過料の対象になる点も、解体・売却より先に確認しておくべき事項です。
目次

なぜ今「空き家の解体費用」が問題になるのか|全国の空き家数の推移

総務省の令和5年(2023年)住宅・土地統計調査によると、全国の空き家数は899.5万戸で、前回調査(2018年)から50.7万戸増加し、総住宅数に占める空き家率は13.8%と過去最高を更新しました。中でも賃貸・売却用や別荘などを除いた、いわゆる「その他空き家」(相続後そのまま放置されているようなケースが多く含まれる区分)は386万戸にのぼり、1993年からの30年間で2.5倍に増えています。1978年時点では空き家率は7.6%、空き家数は268万戸だったことを踏まえると、実家の空き家化は個々の家庭だけの問題ではなく、全国的に進行している社会的な課題であることがわかります。国と自治体が解体・除却の補助金制度を整備してきた背景にも、この増加傾向への対応という側面があります。相続した実家が「今は使っていないが、まだ手をつけていない」状態のまま放置されるほど、次に紹介する管理不全空家等・特定空家等に該当するリスクや、近隣とのトラブル、税負担の増加につながりやすくなります。

空き家の解体費用の相場|構造別の坪単価と総額の目安

解体費用は建物の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造)と延床面積、立地条件(重機が入れる道幅があるか、隣家との距離)によって大きく変わります。同じ延床面積でも、平屋と2階建てでは基礎の面積が異なるため費用が変わりますし、地下室や離れ、蔵などの付属建物がある場合はさらに加算されます。全国の解体業者の見積もり傾向から、坪単価のおおよその目安は次の通りです。

建物の構造 坪単価の目安 30坪の場合の総額目安
木造 3万〜5万円/坪 90万〜150万円
鉄骨造 4万〜6万円/坪 120万〜180万円
鉄筋コンクリート造(RC) 6万〜8万円/坪 180万〜240万円

この金額は建物本体の解体・撤去費用のみの目安です。実際にはこれに加えて、次のような追加費用が発生することがあります。

  • 付帯工事費:ブロック塀・庭木・カーポート・井戸・浄化槽の撤去(数万〜数十万円)
  • 残置物の処分費:家財が残ったまま解体を依頼すると、産業廃棄物として別途処分費用がかかる(一般的な家財量で10万〜30万円程度が目安)
  • 重機が入れない狭小地の割増:手作業解体が必要な場合は坪単価が1.5〜2倍になることもある
  • アスベスト含有建材の調査・除去費:1981年以前の建物では調査が義務化されており、含有が判明すると数十万円単位の追加費用が生じることがある

見積もりを取る際は「解体費用一式」ではなく、本体解体費・付帯工事費・残置物処分費・諸経費を項目ごとに分けて提示してもらい、複数社で比較することが失敗を避けるポイントです。同じ延床面積・同じ構造の建物でも、業者によって見積額が数十万円単位で変わることは珍しくありません。理由の多くは、産業廃棄物の中間処理施設までの距離、重機の搬入経路の確保にかかる手間、繁忙期かどうかといった、建物そのもの以外の条件の違いにあります。見積もり依頼のタイミングとしては、解体工事が集中しやすい年度末(1〜3月)を避けて相談すると、業者のスケジュールに余裕があり、価格・工期の両面で条件が良くなることがあります。

解体費用を抑えるためにできること

補助金の活用以外にも、解体費用そのものを抑える工夫はいくつかあります。

  • 相見積もりを取る:最低でも2〜3社から見積もりを取り、内訳(本体解体・付帯工事・処分費・諸経費)を項目ごとに比較する。一式表記のみの見積書は内訳の開示を依頼する
  • 家財を先に片付けておく:残置物が多いほど解体業者側の処分費が増えるため、価値のある家財を買取に出したり、遺品整理・生前整理で先に運び出したりすることで、解体費用の見積額そのものを下げられることがある
  • 繁忙期を避ける:解体業者の繁忙期(年度末の3月前後など)を避けて依頼することで、価格交渉の余地が生まれやすい
  • 近隣の解体と時期を合わせる:隣接地でも解体工事が予定されている場合、重機の搬入・仮設工事を共有できることがあり、業者によっては割引が適用されることがある
  • 自治体の空き家バンクへの登録を先に検討する:地域によっては、解体せず「古家付き土地」のまま空き家バンクに登録し、移住・二拠点居住を希望する購入者とマッチングする制度もある。解体前にこうした制度の対象になるか確認することで、解体費用そのものが不要になるケースもある
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空き家解体費用の補助金制度とは|国の予算を自治体が運用

空き家の解体・撤去にかかる費用の一部を補助する制度は、国が直接支給するものではなく、国土交通省の社会資本整備総合交付金などを財源に、市区町村がそれぞれ独自の要綱で運用している点がまず押さえておくべきポイントです。そのため制度の有無・名称・補助額・条件は自治体ごとに異なり、隣接する市区町村でも金額が数十万円変わることも珍しくありません。

制度の名称も「老朽危険家屋解体撤去補助金」「空き家解体補助金」「危険空家等除却補助制度」など自治体によってさまざまです。制度の背景にあるのは、2015年に施行され2023年12月に改正された空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)(国土交通省)で、倒壊のおそれがあるなど周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家を市区町村が「特定空家等」に指定し、指導・勧告・命令・行政代執行までできる仕組みが定められています。2023年の改正では、特定空家に至る前段階の「管理不全空家等」という区分も新設され、より早い段階から自治体が所有者に指導できるようになりました。

補助金の予算には年度ごとの上限があり、多くの自治体で「予算がなくなり次第終了」という運用がされています。年度の早い時期(4月〜6月頃)に申請が集中しやすい一方、年度末に近づくほど予算枠が残っていないケースも見られます。解体を検討し始めた段階で「今年度まだ予算枠があるか」を窓口で確認しておくと、無駄なく手続きを進められます。また、補助対象になる工事は解体業者が自治体の要件を満たす業者であることを求める制度もあるため、見積もりを依頼する解体業者が制度の対象業者に該当するかどうかも、契約前にあわせて確認しておく必要があります。制度によっては、対象となる建物が空家法上の「特定空家等」や「管理不全空家等」に指定されていることを条件にしている場合と、指定を受けていなくても老朽度の調査だけで申請できる場合とがあり、この違いも自治体ごとに大きく異なる部分です。

補助金の対象となる主な要件

自治体ごとに細部は異なりますが、多くの制度に共通する要件は次の通りです。事前に該当するかを自己チェックしてから窓口に相談すると話が早く進みます。

要件項目 一般的な基準
居住・使用実態 概ね1年以上、居住・使用されていないこと
耐震性 新耐震基準(1981年6月1日以降の建築確認)を満たしていないこと
老朽度・危険度 倒壊のおそれ、部材の落下・飛散のおそれなど、自治体の現地調査で危険性が確認されること
空家法上の指定 「特定空家等」または「管理不全空家等」に指定されている、または指定相当と判定されること(自治体により必須の場合と加点要件の場合がある)
解体後の利用 解体後は原則として更地にし、一定期間の管理(雑草除去・柵の設置等)を行うこと
税金の滞納 固定資産税など市税を滞納していないこと
申請のタイミング 解体工事の契約前・着工前に交付申請を行うこと(事後申請は対象外)

特に見落とされやすいのが最後の「申請のタイミング」です。多くの自治体で、解体業者との契約や着工の後に判明した補助金は申請できません。「解体を決めたら、契約前に必ず自治体の空き家対策窓口に確認する」ことを徹底してください。

都市部と地方で補助金の傾向に違いはあるか

補助金の有無・金額は自治体の財政状況や空き家問題の深刻度によっても異なります。傾向として、東京23区や政令指定都市など人口密度の高い都市部では、老朽家屋が倒壊した場合の周辺への被害リスクが大きいことから、再建築不可物件や公共用地への活用を条件に上限額を高く設定している例が見られます(前述の墨田区の上限100万〜200万円など)。一方、地方の市町村では上限額自体は都市部より低めでも、移住促進や空き家バンクとセットにした改修助成など、解体以外の支援策を組み合わせている自治体もあります。また、離島や山間部など、資材や重機の搬入に時間・コストがかかる立地では、解体費用そのものの坪単価が都市部より高くなる傾向がある点も、実際に見積もりを取る前に念頭に置いておくとよいでしょう。いずれにしても金額は自治体ごとの個別事情で大きく変わるため、「近隣の自治体はこうだった」という情報だけで判断せず、対象となる建物が所在する自治体に個別に確認することが欠かせません。同じ都道府県内でも、市区町村が変われば制度の有無自体が変わることも多く、県単位で一括りに考えず、必ず物件所在地の市区町村名で調べ直すことをおすすめします。

自治体別の補助金額の例

制度の規模感をつかむため、公表されている補助金の例を挙げます(金額・条件は改定される場合があるため、実際の申請時は必ず対象自治体の最新の要綱を確認してください)。

自治体(例) 補助率 上限額の目安
東京都墨田区 対象費用の1/2 50万円(再建築不可の場合は100万円、公共用地に活用する場合は200万円)
埼玉県飯能市 対象費用の23%以内 市内業者利用で30万円、市外業者利用で20万円
埼玉県秩父市 対象費用の1/3 市内業者利用で30万円、市外業者利用で20万円
北海道札幌市 対象費用の1/3 50万円
静岡県浜松市 解体費用の1/3 50万円
鹿児島県鹿児島市 解体費用の1/3 30万円

全体としては補助率3分の1〜2分の1、上限20万〜100万円程度のレンジに収まる自治体が多い一方、公共利用や再建築不可物件などの特別なケースでは上限が200万円まで引き上げられる例もあります。神奈川県のように県内市区町村ごとに独自の解体補助制度を設けている地域もあるため、神奈川県の空き家買取を検討する際も、あわせて所在地の役所の空き家対策窓口(建築指導課・住宅課など名称は自治体により異なる)に確認することをおすすめします。

補助金申請の流れとタイミング

自治体によって手順の詳細は異なりますが、標準的な流れは次の通りです。全体で1〜2か月程度かかることが多く、年度予算の上限に達すると受付が打ち切られる制度もあるため、早めの相談が重要です。

  1. 事前相談:役所の空き家対策担当窓口に、建物の所在地・築年数・空き家になった時期を伝えて対象になりそうか確認する
  2. 現地調査:自治体職員が現地を確認し、老朽度・危険度を判定する(特定空家等・管理不全空家等の指定を伴う場合もある)
  3. 交付申請:申請書・建物の登記事項証明書・固定資産税の納税証明書・解体業者の見積書などを提出する
  4. 交付決定:審査を経て交付決定通知が届く。この通知を受け取ってから解体業者と契約するのが原則
  5. 解体工事の実施
  6. 実績報告:工事完了後、写真や領収書などの実績報告書を提出する
  7. 補助金の支払い:審査後、指定口座に振り込まれる(工事費を一度全額立て替える必要がある制度がほとんど)

補助金は工事費を後から補填する「精算払い」の制度が大半で、解体費用そのものを先に用意できることが前提になります。手元資金に不安がある場合は、解体前提で売却先を探すより、片付けだけ済ませて古家付きのまま買取に出す選択肢もあわせて検討する価値があります。

解体すると固定資産税が上がる|住宅用地の特例との関係

解体を検討するうえで見落とされがちなのが、建物を取り壊すと土地の固定資産税が上がる可能性がある点です。住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、200平方メートルまでの部分は固定資産税評価額が6分の1に、それを超える部分は3分の1に軽減されています。建物を解体して更地にすると、この特例の対象から外れ、翌年度以降の固定資産税が最大で6倍程度に上がることがあります。

一方で、空家法の改正により、「特定空家等」または「管理不全空家等」に指定されて自治体の勧告に従わない場合は、建物が建っていても住宅用地の特例が解除される仕組みに変わっています(国土交通省の空家法関連情報を参照)。つまり「解体せず放置すれば税金が上がらない」とは限らず、管理不全のまま放置した場合もかえって税負担が増えるリスクがある点は、解体の判断材料として押さえておく必要があります。

相続した空き家の3,000万円特別控除との関係

相続した空き家を売却する際、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(国税庁タックスアンサーNo.3306)は、2027年12月31日までの売却が対象です。この特例の主な要件には次のようなものがあります。

  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋であること(区分所有建物を除く)
  • 相続開始の直前まで被相続人が一人で居住していたこと(一定の要件下で老人ホーム等への入所も可)
  • 相続開始から譲渡まで、事業・貸付・居住の用に供されていないこと
  • 家屋を解体して更地で売却するか、耐震基準を満たすようにリフォームしてから売却すること
  • 相続開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
  • 売却代金が1億円以下であること

2024年1月1日以降の譲渡分からは、相続人が3人以上の場合の控除上限が1人あたり2,000万円に引き下げられている点にも注意が必要です。また、譲渡所得の計算に使う取得費については、購入時の契約書などが残っていない場合の概算取得費(売却代金の5%)の扱いが国税庁タックスアンサーNo.3302で示されています。空き家特例の適用可否・具体的な税額は個々の事情で変わるため、解体前に税理士または税務署へ確認することを強くおすすめします。

また、解体費用そのものは、譲渡所得の計算上「譲渡費用」として売却代金から差し引ける場合があります。具体的には、家屋を取り壊してから土地を譲渡する目的で解体した場合の取壊し費用は譲渡費用に該当するとされており、この点も含めて譲渡所得の計算方法は国税庁タックスアンサーNo.3302で解説されています。空き家特例の3,000万円控除と、解体費用の譲渡費用への算入は別々の制度ですが、どちらも「解体して売る」という選択肢の税負担を左右する要素であるため、確定申告の段階で慌てないよう、解体前の時点で税理士に一度相談しておくことをおすすめします。

相続登記が済んでいないと解体も売却も進められない

2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記をしないと、10万円以下の過料の対象になります(法務局)。この義務化は2024年4月1日より前に発生した相続にもさかのぼって適用され、経過措置として2027年3月31日までの猶予期間が設けられていますが、猶予があるからといって先送りしてよい理由にはなりません。

解体の補助金申請でも売却でも、建物・土地の名義人が申請者・売主と一致している必要があります。相続人が複数いて遺産分割協議がまとまっていない場合は、暫定的に相続人であることだけを法務局に届け出る「相続人申告登記」という制度も用意されており、これにより過料は回避できますが、あくまで暫定的な届出であり、この登記だけでは正式な所有権の移転にはならないため、解体業者との契約や不動産の売買契約を結ぶ段階では、遺産分割協議を成立させた上での正式な相続登記が必要になります。相続人の数が多い、疎遠な親族がいる、行方が分からない相続人がいるといった事情がある場合は、戸籍の収集だけで数か月かかることもあるため、解体費用の見積もりを取るより前に、まず名義がどうなっているかを法務局で確認することが、遠回りに見えて一番の近道になります。

見積書に含めるべき項目一覧

解体業者から見積書を受け取ったら、次の項目が明記されているかを確認してください。項目が「一式」とまとめて記載されている場合は、内訳を分けて再提示してもらうよう依頼することをおすすめします。

確認項目 チェックポイント
本体解体費 構造・延床面積に見合った坪単価になっているか
付帯工事費 ブロック塀・庭木・カーポート・浄化槽など、撤去対象が漏れなく含まれているか
残置物処分費 家財の量に応じた費用か。事前に片付けた場合は減額されるか
アスベスト調査・除去費 1981年以前の建物では調査費が計上されているか
諸経費・仮設工事費 足場・養生シート・重機回送費などが含まれているか
税込・税抜の別 消費税が含まれた金額か、別途加算されるか
工期 着工から完了までの見込み日数が明記されているか
建設業許可・登録番号 許可番号・登録番号が見積書または契約書に記載されているか

解体業者選びで確認すべきこと|トラブルを避けるために

解体工事は建物の登記事項証明書の内容と実際の建物が異なる(未登記の増築部分があるなど)ケースや、隣地との境界があいまいなまま重機を入れてしまいトラブルになるケースなど、契約前の確認不足がそのままトラブルにつながりやすい工事です。見積もりを依頼する段階で、少なくとも次の点を確認してください。

  • 建設業許可・解体工事業登録の有無:一定規模以上の解体工事は建設業許可、または都道府県への解体工事業登録が必要です。無許可・無登録の業者は避ける
  • 産業廃棄物収集運搬業の許可:解体で生じる廃材を自社で運搬する場合はこの許可が必要です。下請けに丸投げして不法投棄につながる事例も報告されているため、処分先(中間処理施設名)まで確認できると安心です
  • 境界確認の実施状況:隣地との境界標が不明確な場合、解体前に境界確認・立会いを行っておくと、後々の越境トラブルを防げます。境界が未確定のまま売却を進める場合は、測量・境界確定の手続きも並行して検討してください
  • 近隣への事前挨拶の有無:解体工事は騒音・粉じん・振動を伴うため、着工前に業者が近隣へ挨拶を行うかどうかも、後のトラブルの起きやすさに直結します
  • 契約書・見積書の保管:補助金の実績報告や、将来の税務申告(取得費・譲渡費用の計上)で必要になることがあるため、契約書・見積書・領収書は解体後も保管しておくことをおすすめします

空き家を解体せずに放置した場合のリスク

「今はまだ様子を見る」という判断自体は誤りではありませんが、放置期間が長引くほど次のようなリスクが積み重なっていく点は理解しておく必要があります。

リスクの種類 内容
倒壊・部材の落下 老朽化が進むほど倒壊や屋根材・外壁材の落下のおそれが高まり、近隣への損害が生じた場合は所有者が損害賠償責任を問われる可能性がある
特定空家等・管理不全空家等への指定 指導・勧告に従わないと、住宅用地の特例が解除され固定資産税が上がるほか、最終的には行政代執行(自治体が強制的に解体し、費用を所有者に請求する)に至ることもある
害虫・害獣の発生、雑草の繁茂 近隣からの苦情、自治体からの管理指導の対象になりやすい
不法侵入・放火などの防犯リスク 誰も出入りしない期間が長いほど、不審者の侵入や放火のリスクが高まる
相続登記の未了による手続きの複雑化 相続人がさらに亡くなるなどして数次相続が発生すると、名義人の確定に必要な戸籍・書類が増え、解体・売却の手続きがより煩雑になる

放置によるリスクは時間の経過とともに増えていく一方、解体や売却は「今すぐ全部決める」必要はありません。まず相続登記の状況確認、次に自治体窓口への相談、そして買取査定と解体見積もりの取得、という順序で少しずつ進めることが、無理なく判断材料をそろえる現実的な進め方です。

解体して売る・解体せず買取・有料で引き取りの3択比較

「補助金が使えるなら解体した方が得」と単純には言えません。解体費用をかけても、更地価格が解体費用ぶん上がらない立地(再建築不可・市街化調整区域・郊外の需要が乏しいエリアなど)もあるためです。判断は「解体して更地で売った場合の手取り」と「古家付きのまま買取に出した場合の手取り」を並べて比べるのが確実です。

選択肢 費用の目安 向いているケース
解体して更地で売却(仲介) 解体費90万〜240万円(補助金適用で実質20万〜200万円程度減)+残置物処分費 更地の需要が高いエリア/空き家特例など税制優遇を使いたい場合/時間に余裕がある場合
片付けのみ済ませ古家付きのまま買取 解体費0円+片付け費用のみ。買取価格は解体費用相当分が差し引かれることが多い 解体費用を先に用意できない/早期に現金化したい/再建築不可などで更地価格が伸びにくい
有料での引き取り(買主が解体費用を負担する形での譲渡) 売主側の持ち出しはほぼなし。譲渡額はゼロまたはマイナス(解体費相当を売主が負担する契約)になることもある 買い手がつかない老朽家屋で、これ以上の管理コスト・税負担を避けたい場合

安心実家じまい事務局は宅建業者ではないため、当事務局自身が買主として買い取ることはありません。空き家買取や実家の売却では、提携する宅建業者・仲介会社が買取・仲介の査定と契約実務を担い、当事務局は複数社への一括見積もりの窓口と、売却前の片付け・仕分けの手配を担当します。まずは「解体せずに今のままいくらで売れるか」の査定を取ってから、解体費用と補助金の見込み額を差し引いて比較すると、判断がぶれません。

片付け・残置物の処分は解体費用にも影響する

家財が残ったまま解体を依頼すると、解体業者が産業廃棄物として処分することになり、一般的な戸建て1軒分で10万〜30万円程度の追加費用がかかることがあります。逆に、遺品整理・生前整理で先に家財を運び出しておけば、この追加費用を抑えられるだけでなく、解体前に形見や貴重品を確実に取り分けることもできます。仏壇・位牌・思い出の品の扱いに迷う場合や、遠方で立ち会いが難しい場合は、実家じまい代行や遺品整理に片付けの部分だけ先に依頼し、解体はその後で検討する進め方も可能です。

ケース別に見る解体費用・補助金の考え方

ケース1:倒壊のおそれがある古い実家を、補助金を使って解体し更地で売る

築60年以上・新耐震基準を満たさない木造30坪の実家で、自治体から「特定空家等」に近い状態と指摘されているケース。解体費用の見積もりが120万円、居住していた市の補助金が「対象費用の1/2・上限50万円」だった場合、自己負担は70万円程度に圧縮できます。更地にすることで買い手の対象も広がり、耐震基準を満たさない建物のまま売るより早期売却につながりやすくなります。空き家特例の要件(解体して更地で売却)にも合致するため、譲渡所得税の負担軽減も同時に検討できます。ただし補助金の交付決定前に解体業者と契約すると補助が受けられなくなるため、順番を守ることが最優先です。想定される資金の流れは、①解体業者へ120万円を一旦全額支払う→②実績報告後に自治体から50万円が振り込まれる→③実質負担70万円、という順序になるため、一時的にせよ120万円を用意できる資金計画を先に立てておく必要があります。

ケース2:補助金の対象外だが、解体費用をかけずに古家付きのまま買取に出す

築30年で老朽度がそれほど高くなく、補助金の要件(1年以上の空き家・危険度判定など)を満たさないケース。この場合、自己資金で解体するより、家財を片付けたうえで古家付き土地として買取査定に出し、解体費用相当分を差し引いた金額で現金化する方が、資金負担なく早期に手放せることがあります。再建築不可物件や接道条件が悪い土地では、更地にしても価格が大きく伸びないことがあるため、解体前に必ず「そのまま売った場合の査定額」を確認しておくことをおすすめします。仮に更地にした場合の想定売却額が800万円、解体費用が130万円だとすると手取りは670万円ですが、古家付きのまま買取に出した査定額が650万円であれば、解体の手間・資金負担・時間を考慮すると古家付き買取の方が実質的に有利になる場合もあります。数字を並べて比較することが、感覚だけで判断しないための最も確実な方法です。特に、解体には工事期間として2週間〜1か月程度がかかるうえ、近隣挨拶や補助金の交付決定を待つ期間を含めると、決断から現金化までに数か月を要することも珍しくありません。早期の現金化を優先したい場合は、この時間差も比較の材料に加えてください。

ケース3:遠方に住んでおり、管理不全空き家に指定されそうな実家がある

相続後3年以上放置され、庭木や雑草が繁茂し、自治体から管理不全空き家に該当する可能性があると連絡が来ているケース。このまま放置すると住宅用地の特例が解除され固定資産税が上がるリスクがあるため、まず自治体の窓口で現状を伝え、補助金の対象になるか、指定を回避するための最低限の管理(草刈り・簡易な修繕)で足りるかを確認します。相続登記が未了であれば、補助金申請より前にこちらを済ませる必要があります。遠方で現地対応が難しい場合、立ち会い不要で片付け・見積もりを進められる業者を選ぶことが実務上のポイントです。管理不全空家等への指定通知が届いてから対応を検討し始めると、指導・勧告までの猶予期間が限られていることもあるため、通知が届く前の段階、あるいは自分から「空き家になっている」と自治体に相談した段階で動き出す方が、選べる選択肢が多く残ります。

ケース4:解体するか判断がつかず、まず買取査定と補助金の両方を確認したケース

築40年前後で老朽度の判定が微妙なライン、かつ相続人が複数いて意見が割れているケース。このような場合は「解体する・しない」を先に決めずに、①自治体窓口での補助金対象の可否、②古家付きのままの買取査定額、③解体して更地にした場合の想定売却額と解体費用、の3つを並行して調べ、相続人全員が数字を見た上で話し合う進め方が現実的です。感情的な対立が起きやすい相続の場面では、「誰かの意見」ではなく「数字」を土台に話し合う方が合意形成が早く進む傾向があります。具体的には、①自治体の補助金対象可否の回答、②古家付きのままの買取査定書、③更地にした場合の想定売却額と解体見積書、の3点を一枚の紙にまとめて相続人全員で共有すると、感覚論での対立を避けやすくなります。

解体費用×補助率の自己負担額シミュレーション

解体費用の総額と、自治体の補助率・上限額の組み合わせによって、実際の自己負担額がどう変わるかを一覧にしました。自分の家の解体見積額に近い行を探し、居住地の補助制度の補助率・上限額と照らし合わせて概算をつかんでください。

解体費用の総額 補助率1/3(上限30万円)の場合の自己負担 補助率1/2(上限50万円)の場合の自己負担 補助金なしの自己負担
90万円 60万円 45万円 90万円
120万円 90万円 70万円 120万円
150万円 120万円 100万円 150万円
180万円 150万円 130万円 180万円
200万円 170万円 150万円 200万円

上限額に達すると、それ以上解体費用が高くても補助額は変わらない点に注意してください。たとえば補助率1/2・上限50万円の制度では、解体費用が100万円でも200万円でも、補助される金額は50万円で頭打ちになります。延床面積が大きい家や鉄骨造・RC造の建物では、補助金でまかなえる割合が木造の小さな家より相対的に小さくなる傾向があるため、事前にこのシミュレーションで規模感をつかんでおくと、資金計画が立てやすくなります。

建て替え・住宅ローンとの関係で注意したいこと

実家を解体して自分たちが新居を建てる、いわゆる建て替えを目的とする場合は、老朽危険家屋の除却を目的とした補助金の対象外になることがあります。多くの自治体の補助制度は「除却後は更地として管理する(住宅を再建しない)」ことを条件にしているためです。建て替えを前提とする場合は、除却補助金ではなく、耐震改修やブロック塀の安全対策など別の補助メニューが用意されていることもあるため、目的に応じて自治体窓口で該当する制度を確認してください。また、既存の住宅ローンが残っている実家を解体する場合は、抵当権が設定された建物を取り壊すことになるため、事前に金融機関へ相談し、必要な手続き(抵当権の扱いや残債の精算方法)を確認しておくことも欠かせません。無断で解体してしまうと、金融機関との契約条項に抵触し、一括返済を求められるリスクもあるため、住宅ローンが残っている実家の解体は、必ず先に金融機関へ連絡することを徹底してください。

自分の家が対象になるか調べる具体的な方法

「うちの実家は対象になるのか」を確認する最短ルートは、次の3つを順番に行うことです。

  1. 市区町村名+「空き家 解体 補助金」で検索し、公式サイトの要綱・申請様式を確認する(民間サイトの情報は制度改定前の古い内容のこともあるため、必ず自治体の公式ページで最新の要件と上限額を確認する)
  2. 建築指導課・住宅課・空き家対策担当(自治体により名称が異なる)に電話で問い合わせる:築年数・構造・現在の使用状況・空き家になった時期を伝えると、対象になりそうかどうかの一次的な回答をもらえることが多い
  3. 現地調査を依頼する:電話での回答だけでは判定できない場合、職員による現地確認を経て正式に対象可否が決まる

空き家バンクという選択肢|解体せず登録する方法

自治体が運営する「空き家バンク」は、空き家を売りたい・貸したい所有者と、移住や二拠点居住を希望する購入希望者・借主とをマッチングする仕組みです。すべての空き家が登録できるわけではなく、老朽度が高すぎる物件や、権利関係が複雑な物件は対象外とされることもありますが、一定の条件を満たせば解体せずそのまま登録できる点が特徴です。空き家バンクを通じた成約には、自治体独自の改修費補助やリフォーム助成が別途用意されていることもあり、解体費用をかけずに次の使い手に引き継げる可能性があります。ただし成約までの期間は仲介業者による通常の売却より長くなる傾向があるため、「時間をかけてでも建物を活かしたい」という場合に向いている制度です。老朽化が進み危険度が高いと判断される建物は、そもそも空き家バンクの登録基準を満たさないこともあるため、登録の可否も含めて自治体窓口で確認するとよいでしょう。「解体して更地で売る」「古家付きのまま仲介・買取に出す」に加えて、「空き家バンクに登録して気長に買い手・借り手を探す」という第4の選択肢があることも、判断材料の一つとして押さえておいてください。

解体を検討する際によくある失敗パターン

相談の現場でよく見られる、解体の判断でつまずきやすいパターンを3つ紹介します。

失敗パターン1:契約してから補助金の存在を知る

解体業者を先に決めて契約してしまってから、自治体に補助金制度があることを知るケースです。多くの制度で交付決定前の契約は対象外とされているため、この段階では補助金を受けられません。解体を決めたら、業者探しと同時並行で、必ず自治体の空き家対策窓口にも連絡することが失敗を防ぐ唯一の方法です。

失敗パターン2:一社の見積もりだけで契約してしまう

同じ建物・同じ条件でも、解体業者によって見積額が数十万円変わることがあります。特に残置物処分費や付帯工事費の見積もり方法は業者ごとにばらつきが大きいため、最低でも2〜3社から見積もりを取り、内訳を比較したうえで契約することをおすすめします。

失敗パターン3:解体してから「もっと高く売れたかもしれない」と後悔する

更地にすれば必ず高く売れる、という思い込みで解体を先行させ、実際に売り出してみると想定より売却額が伸びず、解体費用ぶんが手取りから目減りしてしまうケースです。特に再建築不可物件や、需要の乏しいエリアではこの傾向が強く出ます。解体前に「古家付きのまま売った場合の査定額」と「更地にした場合の想定売却額」の両方を業者に確認しておくことで、この後悔は避けられます。

解体費用の資金調達方法

補助金だけでは解体費用の全額をまかなえないことが大半のため、自己資金以外の調達手段もあわせて把握しておくと安心です。特に、補助金が「精算払い」である以上、解体業者への支払いは先に自己資金または借入で行い、後から補助金を受け取るという資金の流れになる点を見落とさないようにしてください。

  • 金融機関の空き家解体・除却ローン:一部の地方銀行・信用金庫では、空き家の解体・除却を目的とした専用ローン商品を用意していることがあります。金利や融資限度額は金融機関ごとに異なるため、居住地の金融機関に相談してみる価値があります
  • リフォームローンの解体費用への流用:解体後に建て替えを予定している場合、住宅ローンやリフォームローンに解体費用を含めて借り入れできる商品もあります
  • 相続財産からの支出:相続財産に現金・預貯金がある場合、遺産分割協議で解体費用を相続財産から支出することを取り決めておく方法もあります。相続人間での費用負担割合を事前に書面(簡単なメモやメールで可)で合意しておくと、後から「言った・言わない」のトラブルを避けられます
  • 売却代金からの精算:解体後すぐに売却する予定がある場合、決済時に受け取る売却代金から解体費用を精算する形にできないか、仲介会社・買主側と交渉できることもあります

いずれの方法を選ぶ場合も、解体費用と補助金の見込み額、そして売却・活用による将来の収支をあわせて試算したうえで、無理のない資金計画を立てることが重要です。

解体前に確認すべきことチェックリスト【印刷して使える】

  • □ 建物・土地の名義(相続登記)が済んでいるか、法務局で確認したか
  • □ 建築年月日(新耐震基準の前か後か)を建築確認台帳・登記事項証明書で確認したか
  • □ 居住地の市区町村に解体補助金制度があるか、空き家対策窓口に問い合わせたか
  • □ 補助金の交付決定を受ける前に解体業者と契約していないか
  • □ 解体費用の見積もりを複数社(最低2〜3社)から取ったか
  • □ 見積もりに残置物処分費・付帯工事費・アスベスト調査費が含まれているか確認したか
  • □ 更地にした場合の固定資産税の上昇額を試算したか
  • □ 解体せず古家付きのまま売った場合の査定額と比較したか
  • □ 空き家の3,000万円特別控除(国税庁No.3306)の要件に該当するか確認したか
  • □ 家財・仏壇・思い出の品の片付け先(買取・供養・処分)を決めたか

解体後に必要な手続き|建物滅失登記を忘れない

解体工事が完了したら、忘れてはならないのが「建物滅失登記」です。建物を取り壊した場合、取り壊した日から1か月以内に法務局へ建物滅失登記を申請する義務があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。相続登記と同様、法務局が管轄する手続きです。建物滅失登記が済んでいないと、登記簿上は建物が存在することになっているため、更地としての売却契約や、金融機関への担保設定などの手続きに支障が出ることがあります。解体業者から発行される「取壊し証明書」「工事完了引渡証明書」などの書類は、この登記の添付書類として必要になるため、解体後は必ず受け取り、大切に保管してください。

あわせて、建物の滅失を市区町村の資産税課(固定資産税担当)にも届け出る必要があります。建物滅失登記が完了すると法務局から自治体に通知される仕組みもありますが、自治体によっては別途「家屋滅失届」の提出を求めることがあるため、解体後は法務局への登記と合わせて、自治体の窓口にも確認しておくと安心です。これらの手続きを済ませて初めて、翌年度の固定資産税が更地としての評価額に切り替わります。手続きを忘れたまま数年経過すると、固定資産税の課税明細と実際の状態にずれが生じ、後から自治体に指摘されて過去の税額の是正が必要になることもあるため、解体直後のタイミングでまとめて済ませておくのが安全です。

更地にした後、売らずに活用する選択肢もある

補助金を使って解体したものの、すぐには買い手が見つからない、あるいは家族の意見がまとまらず売却の判断を保留したいという場合、更地のまま一定期間活用する方法もあります。代表的なのは月極駐車場やコインパーキング、トランクルームとしての貸し出しで、初期費用を抑えつつ固定資産税相当分の収入を得られることがあります。ただし前述の通り、住宅用地の特例が外れて固定資産税自体は上がっているため、活用による収入と税負担の増加分を比較したうえで判断する必要があります。将来的に売却する可能性が少しでもあるなら、測量・境界確定を活用開始前に済ませておくと、いざ売却する際の手続きがスムーズになります。

よくある質問

空き家の解体費用の補助金は誰でも使えますか?
誰でも使えるわけではありません。1年以上の未使用、新耐震基準を満たさない、倒壊のおそれがあるなど、自治体ごとに定められた老朽度・危険度の要件を満たす必要があります。制度自体を設けていない自治体もあるため、まずは所在地の役所の空き家対策担当窓口(建築指導課・住宅課など)に確認してください。
解体費用を払った後に補助金を申請することはできますか?
多くの自治体で、解体工事の契約・着工後の申請は対象外とされています。補助金の交付決定を受けてから解体業者と契約するのが原則です。「解体を決めたらまず自治体に相談する」の順番を守らないと、要件を満たしていても補助を受けられなくなる可能性があります。急いで解体を進めたい事情がある場合ほど、先に窓口へ一本連絡を入れる時間を惜しまないことが結果的に費用の節約につながります。
解体して更地にすると固定資産税は本当に上がりますか?
住宅用地の特例(固定資産税評価額の減額措置)は建物がある土地に適用されるため、解体して更地にするとこの特例が外れ、翌年度以降の固定資産税が上がる可能性があります。一方で、特定空家等・管理不全空家等に指定されて自治体の勧告に従わない場合は、建物が残っていても特例が解除されることがあるため、放置すれば税金が上がらないというわけでもありません。
相続登記がまだ済んでいなくても解体の補助金を申請できますか?
自治体によって扱いが異なりますが、申請者と建物・土地の名義が一致している必要があるため、相続登記が済んでいないと申請できない、または相続人全員の同意書の提出を求められることが一般的です。2024年4月からの相続登記義務化にともない、まず名義を整えることが解体・補助金申請・売却いずれの手続きにも共通する前提になります。相続人が多い場合や連絡が取れない親族がいる場合は、司法書士に戸籍収集から依頼すると手続きがスムーズです。
解体せずに空き家をそのまま売ることはできますか?
できます。古家付き土地として買取に出す方法や、家財を片付けたうえで仲介で売却する方法があります。解体して更地にした方が売れやすいエリアもあれば、再建築不可物件のように解体しても価格が大きく伸びないエリアもあるため、解体費用と補助金の見込み額を差し引いた手取り額を、解体せず売った場合の査定額と比較してから判断することをおすすめします。
解体費用に消費税はかかりますか?補助金は課税されますか?
解体工事は建設工事の請負契約にあたるため、通常どおり消費税がかかります。見積もりを比較する際は税込・税抜のどちらで表示されているかを必ず確認してください。一方、自治体から交付される解体補助金自体は、個人が受け取る場合、一時所得として扱われる可能性がありますが、具体的な課税関係は金額や他の所得の状況によって異なるため、確定申告が必要かどうかは税理士または税務署に確認することをおすすめします。
アスベストが使われている家の解体費用はどれくらい高くなりますか?
1981年以前に建築された建物では、屋根材や外壁材にアスベスト(石綿)を含む建材が使われていることがあり、法令に基づく事前調査が義務付けられています。含有が確認された場合は、専用の養生や除去作業が必要になり、通常の解体費用に加えて数十万円単位の追加費用が発生することがあります。正確な追加額は使用箇所と面積によって変わるため、事前調査の結果が出た段階で解体業者から追加見積もりを取ることになります。見積もり金額に納得がいかない場合は、アスベスト調査費・除去費が内訳として明示されているかを業者に確認するとよいでしょう。
解体後に建物滅失登記をしないとどうなりますか?
建物を取り壊した日から1か月以内に、法務局へ建物滅失登記を申請する義務があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります。登記が済んでいないと、登記簿上は建物が存在する扱いのままになり、更地としての売却や担保設定の手続きに支障が出ることがあります。解体業者から発行される取壊し証明書は登記の添付書類として必要になるため、解体後は必ず受け取り、速やかに法務局で手続きしてください。

この記事で参照した一次情報

本記事の制度・金額に関する記載は、次の公的機関が公表している一次情報をもとに確認しています。制度は改正されることがあるため、実際に手続きを行う際は必ず最新の内容をご自身でもご確認ください。

まとめ

空き家の解体費用は木造30坪でおおむね90万〜150万円が目安で、老朽危険家屋を対象にした補助金は自治体ごとに上限20万〜100万円程度、補助率3分の1〜2分の1で設けられていることが多いですが、工事契約前の事前申請が絶対条件です。上限額に達すると解体費用がいくら高くても補助額は変わらないため、まず自分の家の解体見積額と、居住地の制度の補助率・上限額を照らし合わせて自己負担額を試算することが最初の一歩になります。本記事のシミュレーション表を参考に、おおまかな自己負担イメージをつかんだうえで、自治体窓口への相談に進んでください。

解体すべきかどうかは、補助金を使った場合の自己負担額、更地にした場合の固定資産税の変化、空き家の3,000万円特別控除の適用可否、そして「解体せず古家付きのまま売った場合の手取り」までを並べて比較して初めて判断できます。判断を先送りにして放置する期間が長引くほど、倒壊・防犯・特定空家等への指定といったリスクは積み重なっていきますが、だからといって焦って一社だけの見積もりで契約を決めてしまうと、後から「もっと安い業者があった」「補助金の申請時期を逃した」という後悔にもつながりかねません。

まず相続登記の状況を確認し、次に自治体の補助金窓口と複数の解体業者・買取査定に同時に相談することで、遠回りせずに結論にたどり着けます。解体・補助金・税制・売却・片付けはそれぞれ別々の窓口(自治体、税務署、宅建業者、片付け業者)が担当する分野ですが、判断すべき人(相続人)は一人、あるいは相続人全員というケースがほとんどです。バラバラに動くより、片付けの窓口を一本化し、そこから必要な専門家(税理士・司法書士・宅建業者)につないでもらう方が、時間と手間を大きく節約できます。安心実家じまいでは、片付け・仕分けの手配と、提携する宅建業者への買取・仲介の一括見積もりの窓口を担当しています。「解体すべきか、そのまま売れるか」で迷ったら、まずは無料の概算見積もりからご相談ください。

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

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