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東京都の実家じまい|費用相場・進め方・空き家解体補助金・業者選び

最終更新日:2026年8月6日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 実家じまいの費用は、遺品整理だけでなく片付け・解体・売却・相続手続きの4項目を合算した総額で捉える必要があります。実家じまい代行パックは2DKまで29.8万円、3LDKまで49.8万円、4LDK以上69.8万円から(税別)が目安です。
  • 東京都には都内共通の「東京都空き家家財整理・解体促進事業」があり、家財整理費用は2分の1(上限5万円)、解体費用は2分の1(上限10万円)が補助されます(2026年8月時点・東京都住宅政策本部より)。
  • 区市町村ごとの制度差が大きいのが東京都の特徴です。八王子市には独自の解体費補助金(未耐震空き家除却支援補助金)がある一方、世田谷区は解体費の直接補助はなく無料相談窓口が中心です。実家がある区市町村ごとの確認が欠かせません。
  • 遠方にお住まいでも、写真見積もりと鍵預かりによる立ち会いなしで、片付けから解体・売却の手配まで進められます。
目次

実家じまいとは何か。遺品整理との違いを整理する

実家じまいとは、親が亡くなった、または施設に入居したことで空き家になった実家について、家財の片付けから家そのものの処分、必要な法律手続きまでを一区切りつける取り組み全体を指します。似た言葉に「遺品整理」がありますが、範囲が異なります。遺品整理は家の中にある家財・遺品を仕分けて搬出する作業を指すのに対して、実家じまいはそのあとに続く「家をどうするか」までを含みます。売却するのか、解体して更地にするのか、当面は空き家のまま維持するのか。この判断と手続きまで含めて初めて、実家じまいは完了します。

東京都内の遺品整理そのものの料金相場や、間取り別の目安、粗大ごみとの区別といった細かい内容は、別コラムで詳しく解説しています。本記事では遺品整理の内訳を繰り返すのではなく、実家じまい全体、つまり片付けのあとに続く解体・売却・相続手続きまでを含めた進め方と費用、そして東京都ならではの空き家対策制度に絞って解説します。

東京都で実家じまいが必要になりやすい場面

東京都は持ち家率がそれほど高くない一方で、戦後から高度成長期にかけて建てられた木造の戸建てが、23区の住宅密集地や多摩地域の住宅団地に数多く残っています。親世代がこうした家に長く住み続け、子世代はマンションや賃貸で別世帯を構えているケースが多いため、相続をきっかけに実家だけが空き家として残る構図が生まれやすい土地柄です。地価が高いぶん、実家じまいを先延ばしにするほど固定資産税や管理の負担が積み上がりやすく、かといって思い出のある家を急いで手放す判断もしづらい。この板挟みが、東京都の実家じまい相談で繰り返し見られる背景です。

典型的なきっかけは、親が施設に入居して自宅が空き家になった場合、親が亡くなり相続が発生した場合、そして子世代が実家の近くに戻る予定がなく管理だけが負担になっている場合の三つです。いずれの場合も、片付けを終えた時点で「その後どうするか」の判断が残るため、片付けの依頼先を選ぶ段階から、解体や売却まで相談できる窓口かどうかを確認しておくと、あとの手続きがスムーズになります。

空き家のまま放置するリスクと維持管理の選択肢

方針が決まらないまま実家を空き家として放置すると、いくつかのリスクが積み重なっていきます。まず、人が住まなくなった家は換気や通水が止まるため、湿気や害虫の影響で建物の傷みが早く進みます。庭木が伸び放題になれば、越境や日照の問題で近隣とのトラブルに発展することもあります。管理が行き届かない状態が長く続くと、区市町村から「特定空家等」に指定されるリスクも高まり、指定されると固定資産税の住宅用地特例が解除されて税負担が増える可能性があります。

すぐに売却や解体の判断がつかない場合でも、放置ではなく「管理」という選択肢を取ることができます。定期的な巡回、通水、郵便物の確認、庭木の手入れといった管理業務を代行するサービスもあり、方針が固まるまでの間、建物の劣化を抑えながら時間を稼ぐことができます。管理費用は巡回頻度や作業範囲によって幅があるため、複数社から見積もりを取り、必要な作業だけを依頼する形にすると無駄がありません。

賃貸活用・古家再生という第三の選択肢

売却でも解体でもなく、建物を活かして賃貸に出す、あるいはリフォームして再生させるという選択肢もあります。東京都内は賃貸需要が全国的に見て底堅いエリアが多く、立地によっては古家のままでも借り手がつくことがあります。ただし、耐震性や設備の古さによってはリフォーム費用がかさみ、賃料収入で回収できるかどうかの見極めが必要です。相続人が複数いる場合、賃貸に出すこと自体が遺産分割協議の対象になるため、活用方針を決める前に相続人間での合意を取っておく必要があります。判断に迷う場合は、不動産会社だけでなく、相続に詳しい司法書士や税理士にも相談し、税金面を含めて比較検討することをおすすめします。

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東京都の実家じまいでかかる費用の全体像

実家じまいの費用は、大きく分けて「片付け」「解体または現況のままの維持」「売却または賃貸活用」「相続手続き」の4つの塊で構成されます。それぞれ発注先も金額の決まり方も異なるため、ひとまとめの「実家じまい費用」として一本の数字で考えようとすると、見積もりの比較がかえって難しくなります。

項目 内容 費用が決まる主な要因
片付け(遺品整理) 家財の仕分け・搬出・供養・買取 間取り・物量・搬出条件
解体 建物を取り壊して更地にする 構造(木造・鉄骨・RC)・延床面積・接道条件
売却 不動産会社への仲介・買取依頼 立地・接道・再建築の可否
相続手続き 相続登記・遺産分割協議 相続人の人数・不動産の評価額

片付けだけで完結させたい場合(賃貸を退去する、家は残して片付けだけ済ませたい場合など)は遺品整理サービスの単体依頼で足りますが、実家を売却または解体まで見据えている場合は、片付けから解体・売却の手配までを一つの窓口でまとめられる実家じまい代行パックのほうが、業者間の調整の手間が少なく、総額でも割安になりやすくなります。

間取り 実家じまい代行パック料金目安
〜2DK 29.8万円(税別)
〜3LDK 49.8万円(税別)
4LDK以上 69.8万円〜(税別)

このパック料金には遺品整理の費用が含まれます。解体費用や不動産の仲介手数料は物件ごとの個別見積もりとなるため、パック料金とは別に計算します。料金の全体は料金表をご覧ください。

ケース別の費用シミュレーション

実際にどの程度の総額になるか、想定しやすいよう3つのケースで試算します。いずれも目安であり、実際の金額は物件の状態や立地によって変わります。

ケース 状況 費用の内訳イメージ
A:2DK・賃貸退去 23区内の賃貸マンション。家は返却するだけで解体・売却の判断は不要 片付けのみ29.8万円前後+原状回復費(管理会社との個別協議)
B:3LDK・戸建て解体売却 多摩地域の持ち家。老朽化が進み、解体して更地で売却する方針 片付け49.8万円前後+解体150万〜250万円程度+仲介手数料(売却額に応じて算出)
C:4LDK・空き家のまま維持 23区内の一戸建て。すぐには手放さず、当面は管理しながら活用方法を検討 片付け69.8万円〜+月次の管理費用(巡回・通水・庭木手入れ等、業者により異なる)

ケースBのように解体を伴う場合は、片付けの見積もりと解体の見積もりを別々に取ったうえで、着工の順番(片付けを終えてから解体業者に引き継ぐ)まで含めて調整すると、二度手間や日程のずれを防げます。

解体費用の目安と、東京都で高くなりやすい理由

解体費用は構造・延床面積・立地条件によって大きく変わります。解体業者が示す目安として、木造住宅は坪当たり3万〜5万円程度、軽量鉄骨造は4万〜6万円程度、鉄筋コンクリート造は6万〜8万円程度とされることが多く、延床30坪の木造住宅であれば総額で100万円台後半〜200万円台前半が一般的な目安になります。ただし、これはあくまで業界で広く示される幅であり、実際の金額は現地調査のうえで確定します。

東京都内、とくに23区の住宅密集地や多摩地域の旧い住宅団地では、この目安の上限を超えることが珍しくありません。理由は主に三つです。

  • 前面道路が狭く重機が入れない——幅員4m未満の道路に接する敷地では、大型の解体重機を使えず、手作業や小型重機での取り壊しになります。作業日数が延びる分、人件費がかさみます。
  • 隣家との距離が近い——飛散防止や騒音・振動への配慮のため、養生や作業速度の調整が必要になり、通常より工期が延びる傾向があります。
  • 搬出経路が限られる——解体で出た廃材をトラックに積み込む場所まで人力で運ぶ距離が長くなると、その分の手間が加算されます。

逆に、多摩地域の郊外で前面道路が広く、隣地との距離に余裕がある敷地であれば、目安の下限に近い金額で収まる余地があります。解体の見積もりを取る際は、坪単価だけでなく「前面道路の幅」「隣家との距離」「搬出経路」を業者に伝えると、見積もりの精度が上がります。

売却するか、解体するか、当面維持するか

実家じまいで最も判断が難しいのが、家をどう扱うかという方針です。東京都内の中古戸建てや土地は、全国的に見れば高値圏にあり、23区内であれば老朽家屋でも土地としての需要が見込めるケースが少なくありません。一方で、多摩地域の郊外や、接道条件を満たさない敷地では買い手がつきにくく、更地にしたほうが売却が早く進むこともあります。相場は地域や接道状況によって大きく変わるため、まずは不動産会社数社に査定を依頼し、建物を残したまま売る場合と、解体して更地で売る場合の両方の見立てを比較することが、実務上の出発点になります。

「再建築不可」の実家に注意する

東京都内、とくに戦前・戦後間もない時期に区画された住宅地では、建築基準法上の道路に2メートル以上接していない「再建築不可」の敷地が一定数残っています。再建築不可の土地は、現在建っている家を解体すると、同じ場所に新しい建物を建てられなくなります。売却前提であれば、解体して更地にするか、建物付きのまま「再建築不可物件」として売却するかで、買い手のつきやすさも価格も変わります。接道状況が曖昧な実家では、解体の契約を結ぶ前に、法務局で登記事項証明書と公図を確認し、必要であれば土地家屋調査士や司法書士に相談しておくことをおすすめします。

私道負担・境界の確認

東京都内の住宅地には、複数の宅地が私道を共同で所有・利用している区画が多く見られます。私道に接する実家を売却・解体する場合、掘削承諾書の有無や、私道の持分割合が問題になることがあります。また、隣地との境界が確定していない、庭木や塀が越境しているといった状態も、売却や解体の前に整理しておいたほうが、後のトラブルを防げます。境界確認や測量には時間がかかることが多いため、実家じまいの方針を決めた段階で早めに着手しておくと安心です。

空き家解体補助金・空き家バンク・相談窓口

東京都内の空き家対策は、法律の定めにより各区市町村が主体となって取り組み、東京都は技術的な助言などを行う役割分担になっています(空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく体制)。そのため、家財整理や解体の補助金は東京都全体の共通制度と、区市町村ごとの独自制度の二段構えになっており、実家がある区市町村ごとに内容を確認する必要があります。

東京都全体の補助金:空き家家財整理・解体促進事業

東京都は、空き家状態の早期解決と利活用を推進するため、「東京都空き家家財整理・解体促進事業」として、都内に所在する空き家の家財整理または解体にかかる費用の一部を補助しています。補助額は、家財整理費用(消費税等を除いた額)の2分の1を乗じた金額で上限5万円、解体費用(消費税等を除いた額)の2分の1を乗じた金額で上限10万円です。1,000円未満の端数は切り捨てられます。本事業は「東京都空き家ワンストップ相談窓口」の相談者が対象で、詳細はこの相談窓口への問い合わせが必要です(2026年8月時点・東京都住宅政策本部より、問い合わせ先:民間住宅部計画課空き家施策企画担当 03-5320-5148)。

この都の制度は、区市町村が独自に設ける補助金と併用できるとは限りません。実家がある区市町村に独自の補助金がある場合は、両制度の重複可否や申請の順番を、着工前に確認しておくことをおすすめします。多くの補助金制度で、申請前に工事を契約・着工すると対象外になる点は東京都でも共通です。

補助金申請の一般的な流れ

東京都・区市町村を問わず、空き家の家財整理・解体補助金は共通して次のような流れで進みます。申請から交付までに数週間から数か月かかることもあるため、片付けや解体の着工スケジュールと逆算して早めに動き出すことが重要です。

  1. 相談窓口への事前相談——東京都空き家ワンストップ相談窓口、または区市町村の空き家相談窓口に、対象になりそうな補助金の有無を確認します。
  2. 交付申請——工事の見積書や登記事項証明書などを添えて、着工前に交付申請を行います。この時点で工事を発注・契約してしまうと対象外になる制度がほとんどです。
  3. 交付決定——自治体の審査を経て、交付決定の通知が届きます。決定前に着工しないよう注意してください。
  4. 工事の実施——交付決定後に、家財整理または解体工事を実施します。
  5. 実績報告・請求——工事完了後、領収書や完了写真などを添えて実績報告を行い、補助金が交付されます。

予算には上限があるため、年度の途中で受付が終了することも珍しくありません。八王子市の未耐震空き家除却支援補助金でも、上限額の高い枠から順に受付を終了してきた経緯があります。利用を検討している場合は、年度の早い時期に窓口へ相談しておくと、予算切れによる機会損失を避けやすくなります。

区市町村ごとの制度差:世田谷区と八王子市の比較

区市町村ごとの制度差がどの程度あるか、23区で人口が最も多い世田谷区と、多摩地域で最大の人口を持つ八王子市を例に比較します。同じ東京都内でも、解体費補助の有無や空き家バンクに相当する制度の形が大きく異なることが分かります。

世田谷区 八王子市
空き家の相談窓口 せたがや空き家活用ナビ(無料・事業者マッチング、空き家活用株式会社が運営) 住まいの活用相談所「住まカツ」(無料、地元不動産団体等が対応)
解体費の独自補助 区の空家等対策ページに解体費補助の記載なし。東京都の家財整理・解体促進事業や、対象地区限定の不燃化特区制度の助成を案内 未耐震空き家除却支援補助金(除却工事費用の3分の2以内、相続発生日から10年以内の除却で上限25万円)
空き家バンクに相当する制度 名称としての「空き家バンク」はなし。世田谷トラストまちづくりによる空き家地域貢献活用等のマッチング 空き家マッチング支援事業(子ども食堂等の地域活動目的に限定。一般の売買仲介とは異なる)
相談窓口の電話 防災街づくり担当部建築安全課 03-6432-7183 住まカツ事務局(東京都宅地建物取引業協会八王子支部 042-548-1251、全日本不動産協会多摩南支部 042-623-7357)

(2026年8月時点・世田谷区公式サイト、八王子市公式サイトより)八王子市の未耐震空き家除却支援補助金は、対象となる住宅が昭和56年5月31日以前に建築された未耐震の木造住宅で、相続により取得した空き家であることが条件です。当初は相続発生から3年以内の除却で上限100万円、5年以内で上限50万円という高い補助枠が設けられていましたが、2026年8月時点ではこの2つの枠は受付を終了しており、相続発生から10年以内の除却で上限25万円の枠のみが利用できます。制度の受付状況は年度や予算の消化状況で変わるため、利用を検討する場合は八王子市まちなみ整備部住宅支援課に直接確認することをおすすめします。

世田谷区のように、区独自の解体費補助を設けていない自治体は東京都内に他にもあります。実家がある区市町村に解体費補助がない場合でも、前述の東京都全体の家財整理・解体促進事業(解体費上限10万円)は利用できる可能性があるため、まずは東京都空き家ワンストップ相談窓口、または実家がある区市町村の空き家相談窓口に問い合わせることが最初の一歩になります。

相談窓口の運営体制にも違いがあります。世田谷区の「せたがや空き家活用ナビ」は、区が公募で選定した民間事業者「空き家活用株式会社」が運営する形で、専門アドバイザーが中立の立場から解決までの道筋を提案し、複数の事業者を比較検討できる点が特徴です。事業者とのやりとりをアドバイザーが代行してくれるため、相談者が直接複数の業者と交渉する負担を減らせます。一方、八王子市の「住まカツ」は、地元の不動産団体(東京都宅地建物取引業協会八王子支部、全日本不動産協会多摩南支部)と市が協定を結ぶ形で運営されており、相談者は事務局に連絡したうえで、地域の実情に詳しい専門家(主に不動産会社)による相談を受けます。どちらも相談自体は無料ですが、相談後に発生する契約や工事の費用は相談者の負担になる点は共通しています。

なお、空家等対策の推進に関する特別措置法は近年改正され、放置すれば特定空家等になるおそれのある段階の空き家を「管理不全空家等」として区分し、早い段階から自治体が指導・勧告できる仕組みが整えられています。東京都内の区市町村でも、この改正を踏まえた実態調査や対策計画の見直しが進められています。管理が行き届いていない実家をお持ちの場合、特定空家等に指定される前の段階で相談窓口に連絡しておくほうが、選べる選択肢が広く残ります。

相続登記と固定資産税の扱いにも注意する

解体を検討する際は、固定資産税の扱いにも注意が必要です。住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、建物を解体して更地にすると、この特例が外れて税額が上がる場合があります。一方で、自治体から「特定空家等」に指定され、そのまま放置すると特例が解除されて税負担が増える可能性もあります。解体するか、修繕して活用するか、売却するかは、税金面も含めて総合的に判断してください。

また、名義が故人や先代のままの実家は、原則として売却や解体の契約主体になれません。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、不動産の取得を知った日から3年以内の申請が必要です。片付けと登記の準備を並行して進めておくと、売却や解体の段になって名義変更を後回しにしてきたことに気づく、という手戻りを防げます。相続登記の期限や過料の詳細は相続登記の義務化とはで解説しています。

相続した実家の売却では、被相続人が住んでいた家屋を売却した際に譲渡所得から一定額を控除できる「空き家の発生を抑制するための特例措置」(被相続人居住用家屋の譲渡所得の特別控除)が使える場合があります。適用には、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、相続開始直前まで被相続人が一人で居住していたことなど、複数の要件を満たす必要があります。適用可否は個別の事情によって変わるため、確定申告の前に税務署または税理士に確認してください。八王子市の除却補助金のように、この特例に該当しないことを条件にしている区市町村の制度もあるため、補助金と特例控除のどちらを使うか、あるいは併用できるかも事前に整理しておく必要があります。

解体後は「滅失登記」を忘れずに

建物を解体したら、それで登記上の手続きが終わるわけではありません。建物を取り壊した場合は、取り壊した日から1か月以内に「建物滅失登記」を法務局に申請する義務があります。滅失登記を怠ると、固定資産税の課税が続いたり、売却の際に登記簿と現況が一致せず手続きが滞ったりすることがあります。解体業者から発行される工事完了引渡証明書などをもとに、土地家屋調査士や自分で法務局に申請します。実家じまいで解体を伴う場合は、片付け・解体・滅失登記までを一連の流れとして把握しておくと安心です。

粗大ごみの出し方と自分でできる片付け

物量を減らせば、業者に依頼する場合の費用も下がります。東京都内の区市町村は、粗大ごみを事前申込制で収集しており、多くの自治体で品目ごとの料金をインターネットの検索ツールや電話で確認する仕組みを採用しています。奈良県や地方の自治体でよく見られる「100kgまで無料」といった重量制の一律料金表とは異なり、東京都内の自治体は品目ごとに個別の処理券料金が設定されているケースが大半です。実家がある区市町村の受付窓口で、事前に対象品目と料金を確認しておくと当日の混乱を防げます。

世田谷区の粗大ごみ

世田谷区の粗大ごみは、有料・事前申込制です。申込みはインターネット、電話(世田谷区粗大ごみ受付センター 03-5715-1133、受付時間は月曜日から土曜日の午前8時から午後7時まで、祝日も受付、日曜・年末年始を除く)、チャットボットのいずれかで行い、収集日と手数料の案内を受けます。品目ごとの処理手数料はインターネットの品目検索ツールで確認できます。収集は自宅前などから区が回収する方式で、持ち込みも可能です。持ち込みの場合は船橋粗大ごみ中継所が窓口で、収集の場合と比べて処理手数料が半額程度になります(2026年8月時点・世田谷区公式サイトより)。

八王子市の粗大ごみ

八王子市の粗大ごみも、収集料金は品目一覧表(インターネット検索ツール)またはチャットボットで確認する方式です。品目一覧表やチャットボットで確認できない品物については、環境部ごみ総合相談センター(0570-550-530、ナビダイヤルが利用できない場合は042-696-5377)へ電話またはメールで問い合わせます。収集料金は粗大ごみ処理券(原則現金払い)またはオンライン決済で支払います。持ち込みも受け付けています(2026年8月時点・八王子市公式サイトより)。

家電4品目・パソコンは粗大ごみに出せない

テレビ、エアコン、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は家電リサイクル法の対象で、東京都内のどの区市町村でも粗大ごみ収集には出せません。買い替え時の販売店引き取りのほか、リサイクル料金と収集運搬料金を払って処分する方法があります。パソコンは資源有効利用促進法に基づき、メーカーや認定リサイクル事業者への引き渡しが基本です。実家じまいでは冷蔵庫と洗濯機がほぼ確実に出るため、処分ルートを先に決めておくと当日の作業が滞りません。

実家じまいを始める前のチェックリスト

東京都で実家じまいを進める場合、片付けだけでなく解体・売却・相続手続きまで見据える必要があるため、確認しておきたい項目が地方の実家より多くなりがちです。着手前に次の項目を確認しておくと、途中での手戻りを防げます。

確認項目 確認先・方法
登記名義が現在の所有者(相続人)になっているか 法務局で登記事項証明書を取得
接道義務を満たしているか(再建築不可でないか) 登記事項証明書・公図、または区市町村の建築指導課
私道の持分・掘削承諾書の有無 登記事項証明書、近隣との書面確認
境界確定・越境の有無 測量図の有無を確認、必要なら土地家屋調査士へ
電気・水道・ガスの契約状況 各事業者への停止・名義変更の連絡
固定資産税の納税通知書の送付先 区市町村の税務課
特定空家等に指定されていないか 区市町村の空き家相談窓口
仏壇・位牌・菩提寺の所在 供養・お焚き上げの依頼先を事前に確認
相続人全員の同意状況 遺産分割協議の進捗を確認
解体・売却それぞれの概算見積もり 解体業者・不動産会社に個別に依頼

とくに東京都内の実家では、接道条件や私道負担の確認が漏れると、片付けを終えたあとに売却や解体の契約が進められないという事態につながりやすいため、早い段階での確認をおすすめします。

実家じまいの進め方

東京都内で実家じまいを進める場合も、基本的な流れは全国共通です。片付けと並行して、家をどう処分するかの方針を固めていくのが実務的な進め方になります。

  1. 現状の把握——登記事項証明書と固定資産評価証明書を取得し、名義・面積・接道状況を確認します。相続人が複数いる場合は、この段階で方針をすり合わせておくと後の手戻りが減ります。
  2. 片付けの見積もり——各部屋・収納の写真を送り、概算見積もりを受け取ります。急ぎの事情があれば、その旨を伝えておくと対応の優先度を調整しやすくなります。
  3. 家の処分方針を決める——不動産会社数社に査定を依頼し、建物を残したまま売却する場合と、解体して更地で売却する場合の両方の見立てを比較します。空き家のまま維持する選択肢も含めて検討します。
  4. 補助金の確認——東京都空き家ワンストップ相談窓口、および実家がある区市町村の空き家相談窓口に、利用できる補助金の有無と申請の順番を確認します。工事契約前の確認が必須です。
  5. 片付け・供養・買取——貴重品と形見を仕分けたうえで搬出し、必要に応じて仏壇の供養や貴金属・着物の買取を手配します。
  6. 解体または売却の実施——片付けが完了した状態で、解体業者または不動産会社に引き継ぎます。
  7. 相続登記・各種手続き——名義変更が済んでいない場合は、片付けと並行して司法書士に相談しながら進めます。

相続人が複数いて方針が固まらない場合は、片付けだけを先に進め、解体・売却の判断は改めて話し合う、という進め方も選択肢です。ただし相続放棄を検討している場合は、家財の一部でも処分すると単純承認とみなされ、後から撤回できなくなることがあります。放棄を迷っている段階では、着手前に司法書士や弁護士へ相談してください。段取りの詳細はご相談の流れでも紹介しています。

おおまかな所要期間の目安

各工程にどの程度の時間がかかるかも、計画を立てるうえで把握しておきたい情報です。片付けそのものは、間取りにもよりますが数日から2週間程度で完了することが多く、解体工事は着工から1〜2か月程度が目安になります。売却は、建物付きのまま仲介で買い手を探す場合、早くても数か月、再建築不可や境界未確定といった条件が絡むと半年以上かかることも珍しくありません。相続登記や補助金の審査といった行政手続きの期間も加わるため、実家じまい全体では半年から1年程度を見込んでおくと、余裕を持った計画になります。売却や解体を急ぐ事情(相続税の申告期限、賃貸契約の関係など)がある場合は、その期限から逆算してスケジュールを組んでください。

業者選びで確認すべきこと

東京都内には数多くの片付け・解体・不動産業者がありますが、確認すべき基準は全国共通です。片付けを依頼する業者については、次の点を確かめてください。

  • 一般廃棄物収集運搬の許可——家庭から出る廃棄物の収集運搬は許可制です。「無料回収」をうたうトラックや突然の訪問営業には応じないでください。
  • 古物商許可——買取で費用を相殺するなら、古物商許可が前提です。許可番号の確認を求めても差し支えありません。
  • 損害保険への加入——搬出時の事故はゼロにできません。壁や床、階段の手すりを傷つけた場合に備え、賠償保険に加入している業者を選びます。
  • 見積内訳の明示——人件費・車両費・処分費・オプションの内訳がある書面をもらいます。「一式◯◯万円」だけの見積書では比較も検証もできません。

解体業者については、建設業の許可またはは建設リサイクル法に基づく登録の有無、近隣への挨拶や養生の対応範囲、追加費用が発生する条件を契約前に確認してください。狭小地や再建築不可の物件では、現地調査を経た正式な見積もりでないと、着工後の追加請求につながりやすくなります。2〜3社の相見積もりを取り、金額だけでなく現地調査の丁寧さも比較材料にすることをおすすめします。

不動産会社を選ぶときの注意点

売却を依頼する不動産会社は、仲介と買取のどちらを主に扱っているかで進め方が変わります。仲介は買い手を探すため時間がかかる代わりに、市場価格に近い金額での売却が期待できます。買取は不動産会社が直接購入するため現金化は早いものの、仲介より価格が下がる傾向があります。急いで手放したいのか、時間をかけてでも高く売りたいのかによって選ぶべき相手が変わるため、最初に希望をはっきり伝えておくことが大切です。また、一社だけに相談すると、他社への紹介を避ける「囲い込み」が起きていないか判断がつきません。複数社に同時に査定を依頼し、提示額の根拠(近隣の成約事例、接道条件の評価など)を説明できるかどうかを比較材料にしてください。

遠方に住みながら東京都の実家を片付ける方法

関西や地方で働きながら、東京都内にある実家に頻繁に通えない相続人の方は少なくありません。新幹線や飛行機での移動が前提になる場合、何度も現地に足を運ぶのは交通費と時間の負担が大きくなります。遠方から進めるなら、次の段取りが現実的です。

  1. 写真で概算見積もりを取る——帰省のタイミングで各部屋・収納の写真を撮影しておきます。写真があれば、離れていても概算が出ます。
  2. 貴重品と残す物を先に指定する——通帳・印鑑・権利証などの貴重品と、形見として残したい物をリストにして伝えます。
  3. 立ち会いなしで作業を進める——鍵を預け、作業前後の写真報告を受ける方法です。電気・水道の停止手続きまで任せられるかも事前に確認しておきます。
  4. 解体・売却の相談も同じ窓口でまとめる——片付けが終わったあとの解体や売却の相談を、片付けとは別の業者に一から探すのではなく、同じ窓口で引き継げるかを確認しておくと、遠方からの調整の手間が減ります。

郵便物の転送や公共料金の停止といった、片付け以外の手続きも並行して進めておくとスムーズです。安心実家じまいは全国対応の窓口で、遠方の場合は立ち会い不要で進められます。ご相談から作業完了までの流れはご相談の流れをご覧ください。

安心実家じまいのサービス案内

安心実家じまいは、遺品整理から家の売却・解体の手配までを一つの窓口でお受けする全国対応のサービスです。東京都内のご依頼も、基準を満たした提携業者が担当します。23区の住宅密集地から多摩地域の郊外まで、地域の事情に応じた見積もりをご案内します。

遺品整理のみのご依頼は遺品整理サービスで承ります。家の処分まで続く場合は、実家じまい代行パックが割安です。お見積もりを確定してからのご契約で、追加の作業が見込まれる場合は作業前に金額を提示し、ご了承をいただいてから実施します。貴金属や着物などの買取による費用の相殺も可能です。相続登記など法律手続きが絡む場合は、提携司法書士と連携して進めます。

提携業者は、一般廃棄物収集運搬の許可や損害保険の加入状況を安心実家じまい事務局が事前に確認したうえで紹介しています。基準の詳細は提携業者の品質基準のページでご案内しています。

よくある質問

東京都の実家じまいはいくらかかりますか?
家財の片付けだけなら間取りに応じて数万円〜数十万円、解体まで行う場合は木造で100万円台後半〜200万円台が目安に加わります。売却するか、解体するか、当面は空き家のまま維持するかによって総額が大きく変わるため、片付け・解体・売却・相続手続きの4項目を分けて見積もることが実務上のコツです。2DKまでの実家じまい代行パックは29.8万円、3LDKまでは49.8万円、4LDK以上は69.8万円からが目安になります(税別)。
東京都には空き家の解体補助金がありますか?
あります。東京都は「東京都空き家家財整理・解体促進事業」として、都内の空き家の家財整理費用の2分の1(上限5万円)、解体費用の2分の1(上限10万円)を補助しています。対象は東京都空き家ワンストップ相談窓口の相談者です(2026年8月時点・東京都住宅政策本部より)。これとは別に区市町村独自の補助金がある場合があり、例えば八王子市には未耐震空き家除却支援補助金があります。世田谷区のように区独自の解体費補助を設けていない自治体もあるため、実家がある区市町村の窓口で個別に確認してください。
東京都に空き家バンクはありますか?
地方でよく見られる「空き家バンク」という名称の制度は、東京都の区市町村では一般的ではありません。世田谷区は「せたがや空き家活用ナビ」という無料相談・事業者マッチングの窓口を、八王子市は地域活動団体向けの「空き家マッチング支援事業」を設けていますが、いずれも不動産会社による売買仲介とは仕組みが異なります。売却を急ぐ場合は、地元の不動産会社への相談と並行して進めるのが実務的です。
解体費用は相続人の誰が払うのですか?
法律上の決まりはなく、相続人間の話し合いで決めるのが基本です。実務上は、相続割合に応じて按分する、実家を引き継ぐ相続人が負担する代わりに他の遺産配分を調整する、といった方法がよく取られます。売却代金から解体費用や諸費用を差し引いたうえで相続人間に分配する形にすれば、立て替えの負担を一人に集中させずに済みます。着手前に負担方法を書面で合意しておくと、後の行き違いを防げます。
遠方に住んでいても東京都の実家じまいを頼めますか?
可能です。安心実家じまいは全国対応の窓口で、遠方の場合は鍵をお預かりし、立ち会いなしで片付けから解体・売却の手配まで進められます。作業前後の写真をご報告し、相続登記など法律手続きが絡む場面は提携司法書士と連携します。まずは写真を送るだけで概算のお見積もりが可能です。

まとめ

東京都の実家じまいは、家財の片付けだけでなく、解体・売却・相続手続きまでを含めた総額で考える必要があります。要点を振り返ります。

  • 実家じまいの費用は片付け・解体・売却・相続手続きの4項目に分けて見積もる。実家じまい代行パックは2DKまで29.8万円、3LDKまで49.8万円、4LDK以上69.8万円から(税別)
  • 解体費用は木造で坪3万〜5万円が目安だが、東京都内は道路幅や隣家との距離の影響で目安の上限を超えやすい
  • 再建築不可・私道負担・境界未確定は、東京都の実家で特に確認しておきたい項目
  • 東京都全体で家財整理上限5万円・解体上限10万円の補助金がある。区市町村ごとの制度差も大きく、八王子市には独自の解体費補助、世田谷区は解体費補助よりも相談窓口が中心
  • 空き家バンクという名称の制度は東京都の区市町村では一般的ではなく、マッチング型の相談窓口が中心
  • 粗大ごみは品目ごとの個別料金制が多く、事前にインターネットの品目検索ツールや電話での確認が必要
  • 遠方在住でも、写真見積もりと立ち会いなしの作業で進められる

実家がある区市町村によって使える補助金や相談窓口の形が異なるのが、東京都の実家じまいの特徴です。まずは実家の状況を写真と登記事項証明書で整理し、区市町村の空き家相談窓口と東京都空き家ワンストップ相談窓口の両方に問い合わせることが、無駄のない進め方への近道です。

読むより、聞いたほうが
早いこともあります

家財の片付けから家の処分のご案内まで。2DKまで29.8万円(税別)〜の定額パックです。ご相談・お見積もりは無料です。

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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

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