
久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士
東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。
監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール
税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。
■経歴
- 1966年鹿児島県生まれ
- 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
- 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
- 2013年司法書士試験合格
- 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
- 2017年司法書士法人コスモ退職
- 2018年事務所開設
- 2021年司法書士法人設立
■得意領域
- 相続登記・相続手続き
- 不動産の名義変更
- 相続放棄
- 簡易裁判所の訴訟代理
この記事の結論
- 特定空家等に指定されただけでは、その場で罰則や増税はありません。指定後の流れは「助言・指導→勧告→命令→行政代執行」の4段階で進み、「勧告」を受けた時点で固定資産税の住宅用地特例が外れ、翌年度から最大約6倍になります(都市計画税は最大3倍)。
- 「命令」に従わないと50万円以下の過料、それでも放置すると自治体による行政代執行(強制解体)に進み、解体費用は所有者に請求されます。
- 老朽化した実家をどうするかは、「片付けてから売るか、そのまま買取に出すか」を手取り額で比べるのが判断の近道です。片付け不要で早く現金化したい場合は空き家買取(片付け不要・複数社査定)、時間をかけて高値を狙うなら仲介という整理になります。
- 安心実家じまい事務局は宅建業者ではないため、当社が直接買い取ることはありません。提携の宅建業者が買取・仲介を担当し、当事務局は窓口の調整と家財の片付けを担当する分業体制です。
特定空き家とは?指定される4つの基準
「特定空家等(とくていあきやとう)」とは、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)第2条第2項に基づき、市区町村長が指定する空き家の区分です。国土交通省・総務省が定める「空家等に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための基本的な指針」(国土交通省・総務省 基本指針)では、次の4つのいずれかに該当する空き家を特定空家等としています。
| 区分 | 判定基準の概要 | 典型的な状態 |
|---|---|---|
| ①倒壊等の危険がある状態 | 建築物が著しく保安上危険となるおそれ | 屋根・外壁の崩落の恐れ、基礎の著しい破損、柱の傾斜 |
| ②衛生上有害な状態 | 著しく衛生上有害となるおそれ | 浄化槽の破損による汚水流出、ごみの放置による悪臭・害虫発生 |
| ③景観を著しく損なう状態 | 適切な管理が行われていないことにより景観を著しく損なっている状態 | ごみの散乱・山積み、外壁の落書き、看板等の破損放置 |
| ④放置が不適切な状態 | その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態 | 不特定者の侵入が容易、動物の棲みつきによる被害、立木の枯損による道路への倒木の恐れ |
これらの基準に該当するかどうかは、自治体が現地調査を行い、国のガイドライン「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(国土交通省・総務省)に沿って総合的に判断します。一つの項目に軽く該当する程度では指定されないことが多く、複数の要素が重なり「放置すれば周辺に深刻な悪影響が及ぶ」と自治体が判断した場合に指定に至るのが一般的です。なお、2023年12月の改正空家法では、特定空家等になる手前の「予備軍」段階を捕捉する「管理不全空家等」という区分も新設されました。管理不全空家等と特定空家等の違いや、管理不全の段階での対策については管理不全空き家は固定資産税が6倍に?勧告の仕組みと今からできる対策で詳しく解説しています。
特定空き家に指定されたら何が起きるか|4段階の流れ
特定空家等に指定されたからといって、その場で罰則や増税が発生するわけではありません。空家法に基づき、自治体の対応はおおむね次の4段階で進みます。この「段階を踏む」という仕組みを理解しておくことが、慌てずに対処するための第一歩です。
- 第1段階:助言・指導 自治体が現地調査のうえ特定空家等と判断すると、まず所有者に対して「助言」または「指導」の通知が届きます。この時点では固定資産税への影響はなく、改善すれば次の段階には進みません。
- 第2段階:勧告 助言・指導に応じず改善が見られない場合、自治体は「勧告」を行います。この勧告を受けた土地は、翌年度の賦課期日(1月1日)までに改善しなければ、住宅用地特例の対象から除外され、固定資産税が最大約6倍になります(東京都主税局「特定空家等・管理不全空家等に該当すると土地に対する固定資産税・都市計画税の税額が高くなる場合があります」東京都主税局)。
- 第3段階:命令 勧告後もなお改善されない場合、自治体は「命令」を発します。命令に正当な理由なく従わない場合、50万円以下の過料が科される可能性があります(空家法第16条)。
- 第4段階:行政代執行 命令にも従わない場合、自治体が所有者に代わって除却・修繕等を行う「行政代執行」に進むことがあります。代執行にかかった費用は所有者に請求され、支払わない場合は財産の差し押さえに至ることもあります。
つまり、特定空家等に指定された通知が届いた段階では、まだ増税も罰則も発生していません。「指定」ではなく「勧告」を受けた時点が固定資産税アップの分岐点であり、勧告前に改善すれば税額は変わりません。逆に言えば、通知を放置し続けることが最大のリスクです。仙台市の案内資料でも「勧告がなされた管理不全空家等・特定空家等の敷地について、固定資産税・都市計画税の住宅用地特例が解除される」と明記されています(仙台市)。
【シミュレーション】評価額別・固定資産税の増加額
勧告を受けて住宅用地特例が外れた場合、実際にどのくらい税額が変わるのか、土地の固定資産税評価額別に、小規模住宅用地(200㎡以下、税率1.4%と仮定)でシミュレーションしました。都市計画税は自治体によって課税の有無・税率(上限0.3%)が異なるため、ここでは固定資産税のみを試算しています。
| 土地の評価額 | 特例あり(現状)の固定資産税/年 | 特例なし(勧告後)の固定資産税/年 | 年間の増加額 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 約1万1,700円 | 約7万円 | 約5万8,300円 |
| 1,000万円 | 約2万3,300円 | 約14万円 | 約11万6,700円 |
| 1,500万円 | 約3万5,000円 | 約21万円 | 約17万5,000円 |
| 2,000万円 | 約4万6,700円 | 約28万円 | 約23万3,300円 |
評価額1,000万円の実家であれば、年間の増加額は約11万7,000円。これが1年で終わらず、改善しない限り毎年継続してかかり続ける点が最大のリスクです。5年間放置すれば単純計算で60万円近い負担増になります。なお、更地にするために解体しても、更地は住宅用地特例の対象外(建物がある土地にしか適用されない制度)のため、「解体すれば税金が下がる」というのは誤解です。むしろ勧告前の段階で解体すると、特例の対象から外れて税負担が増えるケースがある点に注意してください。
写真を送るだけで、片付け・売却・買取のどれが向いているか概算のお見積もりをお出しします。相談は無料です。
指定を解除するには|改善の具体例と費用目安
特定空家等の指定は、状態が改善されれば解除されます。指定の理由になった項目に応じて、次のような改善を行うことで、勧告や命令への進行を止められる可能性があります。費用はあくまで目安で、業者や地域、建物の規模によって差があります。
| 指定理由 | 改善の例 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 倒壊等の危険 | 屋根・外壁の応急補修、危険箇所の撤去 | 数万円〜数十万円(範囲による) |
| 衛生上の問題 | ごみの搬出・清掃、浄化槽の修繕 | 数万円〜(搬出量による) |
| 景観の悪化 | 庭木の剪定・草刈り、散乱物の撤去 | 1〜5万円程度(業者依頼の場合) |
| 放置による周辺被害 | 侵入防止の施錠・塀の補修、動物対策 | 数万円〜 |
| 全体的な老朽化 | 解体して更地にする | 木造30坪程度で概ね100万〜150万円が相場 |
改善が完了したら、自治体の空き家対策担当課へ報告し、現地確認を受けることで指定解除の判断がなされます。改善の見込みが立たない、または費用対効果が見合わない老朽物件の場合は、無理に維持・修繕するより、売却によって根本的に解決する方が総支出を抑えられるケースが多く見られます。
売却の判断|そのまま持つ・仲介・買取を手取りで比較
特定空家等の通知を受けた、あるいは受けそうな状態の実家について、多くの方が悩むのが「このまま持ち続けるか、売るか」です。判断基準は難しく考える必要はなく、改善費用・今後の税負担・管理コストの合計と、今売った場合の手取り額を比べるだけで、ほとんどのケースで方向性が見えます。
売却する場合も「仲介」と「買取」では性質が異なります。仲介は個人の買主を探すため時間がかかりますが高値が狙えます。買取は不動産会社が直接購入するため早く現金化できますが、価格は仲介相場の7〜8割程度になるのが一般的です。老朽化して特定空家等に指定されるような実家や、家財が残ったままの実家は、内覧希望者が集まりにくく仲介が長期化しやすいため、空き家買取や実家の売却の相談から始める方が結果的に早く負担を減らせるケースが多く見られます。なお、安心実家じまい事務局は宅建業者ではないため、当社が直接買い取ることはありません。売買契約や重要事項説明は提携の宅建業者が担当し、当事務局は複数社への窓口取次と、売却前の家財片付けを担当します。
買取・仲介・有料引き取りの3択比較表
| 方法 | 売却までの期間目安 | 価格水準 | 片付けの要否 | 向いているケース |
|---|---|---|---|---|
| 仲介(一般の買主を探す) | 半年〜1年以上 | 相場どおり〜やや高値 | 基本は片付けてからの内覧が有利 | 立地・状態がよく時間に余裕がある |
| 不動産会社の買取 | 最短2〜4週間 | 相場の7〜8割程度 | 片付け不要(残置物ありでも査定可)が多い | 命令・過料が迫っていて早く現金化したい |
| 有料での引き取り・寄付(再建築不可等) | 数か月〜 | 逆に費用がかかる場合あり | 片付け必要 | 資産価値がほぼなく、手放すこと自体が目的 |
「有料での引き取り」は、再建築不可物件や、遠方の山間部にある売却困難な土地建物で使われる方法で、所有者側が引き取り手に費用を支払って手放すケースを指します。特定空家等に指定されるような老朽物件でも、立地によっては買取業者が値をつけられる場合が多いため、まずは買取査定から検討するのが現実的です。
【シミュレーション】5年間の手取り比較|勧告後に維持した場合 vs 今売却した場合
「今すぐ結論を出すのが難しい」という方のために、評価額1,000万円・築45年の木造実家(小規模住宅用地・すでに勧告を受けている想定)を例に、5年間の収支を比較しました。金額はあくまで一般的な相場をもとにした概算です。
| 項目 | 維持し続けた場合(5年間) | 今、買取で売却した場合 |
|---|---|---|
| 固定資産税(特例なし) | 約14万円×5年=約70万円 | 0円(売却後は発生しない) |
| 管理費用(交通費・空き家管理サービス等) | 年5〜10万円×5年=約25〜50万円 | 0円 |
| 過料・行政代執行のリスク | 命令に従わなければ最大50万円の過料。放置が続けば代執行費用を請求される可能性 | 発生しない |
| 売却による収入 | まだ得られない | 買取価格(相場の7〜8割)を得られる |
この例では、5年間維持するだけで税金と管理費の合計が100万円前後に達するうえ、命令・過料のリスクまで抱え続けることになります。一方で今売却すればこれらの支出とリスクがなくなり、買取価格をそのまま手元に残せます。もちろん「将来住む予定がある」「思い入れが強い」といった事情がある場合は維持する選択も尊重されるべきですが、純粋にコストとリスクだけで比較すると、特定空家等に指定された実家ほど早期の方針決定が有利になりやすいという傾向は押さえておくとよいでしょう。
片付けと売却、どちらを先にすべきか
実家に家財や仏壇、故人の遺品が残ったままだと、「まず片付けてから売却すべきか」で悩む方も多くいます。結論としては、買取査定は残置物があっても受けられることが多いため、先に査定を取ってから、必要な範囲だけ片付けるという順番が無駄がありません。仲介で売却する場合は、内覧のしやすさや印象を考えると、事前の片付けが成約スピードに影響します。
片付け自体を自分で行う時間や体力がない、遠方に住んでいて頻繁に通えないという場合は、実家じまい代行や遺品整理のサービスを使うことで、仕分け・搬出・供養までを一括して依頼できます。片付けと並行して売却の相談を進めることで、特定空家等の指定・勧告の通知が来てから半年〜1年程度で「命令が来る前に売却完了」というスケジュールも十分に間に合います。
ケース別シミュレーション
ケース1:市区町村から「助言」の通知が届いた(神奈川県の実家)
親から相続した神奈川県内の実家に、屋根の破損を理由に自治体から「助言」の文書が届いたケース。この段階ではまだ勧告ではないため、特例は外れていません。応急補修を行えば、次のステップである「勧告」には進みません。改善する時間や人手がない場合は、片付けと合わせて神奈川県の空き家買取の査定を並行して取り、売却で根本的に解決する選択肢もあります。
ケース2:すでに「勧告」を受けている(評価額1,200万円の実家)
すでに勧告を受け、翌年度から特例が外れることが確定している場合、年間の固定資産税は約28万円→約14万円の差、つまり年約14万円の増加が見込まれます(評価額1,200万円・小規模住宅用地の場合の概算)。改善命令に従って修繕する費用と、売却してしまった場合の手取り額を比較し、修繕費が数十万円以上かかる老朽物件であれば、売却(買取)の方が総支出を抑えられるケースが多く見られます。
ケース3:「命令」まで進み、過料の通知が届いた
勧告を放置し「命令」の段階まで進んでしまった場合、正当な理由なく従わなければ50万円以下の過料の対象になります。この段階まで来ると、行政代執行(強制解体、費用は所有者請求)に進むリスクも現実的になるため、自力での修繕が難しい場合は、すぐに自治体の担当課へ現状を報告したうえで、並行して買取査定を進めることをおすすめします。命令後でも売却自体は可能です。
ケース4:遠方に住んでいて年1回しか帰省できない
実家が遠方にあり、管理のために頻繁に通えない場合は、そもそも特定空家等に指定されやすい典型パターンです。この場合は「今は通知が来ていないが、いずれ来る可能性が高い」と考え、家財の片付けと売却査定を早めに進めておくことで、通知が来る前に売却を完了させ、指定・増税リスクそのものを避けることができます。
ケース5:家財が多く残っていて片付けの見通しが立たない
実家に家財・仏壇・大量の物品が残っている場合、「片付けが終わらないと何も進められない」と考えて先送りしてしまいがちです。実際には、片付け業者と買取業者の両方に早い段階で相談し、片付けと売却査定を並行して進めることで、特定空家等の状態を解消しながら売却までのスケジュールを大幅に短縮できます。
特定空き家を放置する隠れたリスク|税金・罰則以外の負担
固定資産税の増税や過料は分かりやすいリスクですが、特定空家等の状態を放置すると、税金・罰則以外にも次のようなリスクが積み重なります。
- 倒壊・落下事故のリスク 老朽化した屋根や外壁が崩落し、通行人や隣家に被害が出た場合、空き家の所有者が損害賠償責任を問われる可能性があります。
- 火災のリスク 放置された空き家は不審火・放火の対象になりやすく、近隣への延焼リスクも高まります。
- 犯罪・不法侵入のリスク 人の出入りがない空き家は不法侵入や不法投棄の場所として狙われやすく、近隣の治安低下につながります。
- 近隣トラブルのリスク 悪臭・害虫・景観の悪化などは近隣住民との関係悪化やクレームの原因になります。
- 資産価値の下落 老朽化が進むほど買い手が見つかりにくくなり、売却時の価格が下がりやすくなります。
これらのリスクは、勧告・命令の有無にかかわらず発生し得るものです。税額の増加だけでなく、こうした実質的な負担やリスクも合わせて考えると、早めに方針を決めておくメリットは大きいといえます。
特定空き家の指定件数は増えている|国のフォローアップ調査から
国土交通省が公表している空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況フォローアップ調査(国土交通省)では、全国の市区町村における特定空家等の措置状況が定期的に集計・公表されています。年を追うごとに助言・指導、勧告、命令、行政代執行の件数はいずれも増加傾向にあり、空き家対策特別措置法の運用が全国の自治体でより積極的に行われるようになってきていることがうかがえます。相続した実家を「まだ通知が来ていないから大丈夫」と考えて放置し続けると、近隣からの通報や自治体の巡回調査をきっかけに、ある日突然「助言」の通知が届くという事態は今後さらに起こりやすくなると見込まれます。自分の実家がある自治体の空き家対策担当課に、現時点での状態について事前に相談しておくことも、指定を未然に防ぐ有効な方法の一つです。
相続放棄をした実家でも特定空き家の対象になるか
「相続放棄をすれば実家に関わらなくてよくなる」と考える方もいますが、注意が必要です。2023年4月に施行された改正民法940条により、相続放棄をした人が放棄の時点でその財産を「現に占有」していた場合、次の相続人または相続財産清算人に財産を引き渡すまでの間、財産を滅失・損傷させないための「保存義務」を負うとされています。改正前の「管理義務」よりは範囲が限定され、実際に住んでいない・管理していない遠方の実家であれば保存義務を負わないケースが増えましたが、実際にその家に住んでいた、鍵を管理していたなど「現に占有」と評価される場合は、放棄後も一定の責任が残る可能性があります。相続放棄を検討している場合は、着手前に司法書士や弁護士へ相談し、自分のケースで保存義務が生じるかどうかを確認することをおすすめします。
相談先の役割分担|誰に何を相談すればよいか
特定空き家の対応には複数の専門家・窓口が関わります。どこに何を相談すればよいか迷わないよう、役割を整理しました。
| 相談先 | 担当する内容 |
|---|---|
| 市区町村の空き家対策担当課 | 指定・助言・指導・勧告・命令の状況確認、改善報告の受付 |
| 司法書士・行政書士 | 相続登記、名義変更、相続放棄の相談 |
| 税理士・税務署 | 譲渡所得税、3,000万円特別控除の適用可否、確定申告 |
| 宅地建物取引業者(提携の不動産会社) | 買取・仲介の査定、売買契約、重要事項説明 |
| 解体業者 | 解体費用の見積もり、アスベスト調査 |
| 実家じまい代行・遺品整理業者 | 家財の仕分け・搬出・供養、片付け全般 |
安心実家じまい事務局は、これらの専門家・業者への窓口取次と、片付け・遺品整理の実務を担当しています。宅建業者ではないため売買契約自体は提携の宅建業者が行いますが、「まずどこに相談すればいいか分からない」という段階から、複数の専門家に個別に連絡する手間を省くための入口としてご利用いただけます。
実務チェックリスト|印刷して使える確認項目
- □ 自治体からの通知が「助言・指導」「勧告」「命令」のどの段階か確認した
- □ 固定資産税の課税明細書で「住宅用地」の特例区分を確認した
- □ 特定空家等の指定理由(倒壊危険・衛生・景観・放置不適切のどれか)を確認した
- □ 改善にかかる概算費用を見積もった
- □ 解体する場合の費用と、更地にした場合の税負担を見積もった
- □ 売却する場合の買取・仲介それぞれの概算価格を査定した
- □ 家財・遺品の片付けが必要な範囲を確認した
- □ 相続登記が完了しているか確認した(未登記だと売却できない)
- □ 相続放棄を検討している場合、保存義務の対象になるか確認した
- □ 被相続人居住用財産の3,000万円特別控除の要件に該当するか確認した
- □ 命令・過料の期限が迫っていないか確認した
売却時にかかる税金の基礎知識
実家を売却する際は、譲渡所得(売却益)に対して所得税・住民税がかかります。相続した空き家を売却する場合、一定の要件を満たせば「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」により、譲渡所得から最高3,000万円(相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除できます(国税庁タックスアンサーNo.3306)。主な要件は、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、区分所有登記がされた建物でないこと、相続開始の直前に被相続人以外が居住していなかったことです。特定空家等に該当するような老朽家屋は、この要件に当てはまるケースが多く見られます。
また、売却額から差し引ける「取得費」が分からない場合の取り扱いについては国税庁タックスアンサーNo.3302(概算取得費)も参考になります。取得費が不明な古い実家を売却するケースは多いため、確定申告の際は税理士または最寄りの税務署に確認することをおすすめします。
相続登記がまだ完了していない場合、売却そのものができません。相続登記の義務化(2024年4月開始)により、相続を知ってから3年以内の登記が義務付けられているため、登記状況が不明な場合は法務局または司法書士に確認してください(法務局「相続登記の申請義務化」)。
全国の空き家は900万戸超|特定空家等予備軍は他人事ではない
総務省「令和5年住宅・土地統計調査」によれば、全国の空き家数は900万2千戸(2023年10月1日時点)で、2018年の849万戸から51万3千戸増加し、過去最多を更新しています(総務省統計局)。このうち、賃貸用でも売却用でも別荘等の二次的住宅でもない、いわゆる「その他空き家」(特定空家等に発展しやすいとされる区分)は約385万戸にのぼり、2018年比で36万9千戸増加しています。戸建てに限ると、この「その他空き家」の割合は8割を超えており、相続後に活用されないまま放置されている実家がこの区分の増加を押し上げていると考えられます。相続した実家が空き家のまま放置され、特定空家等の指定件数も増加傾向にあります。「うちだけ」ではなく、多くの家庭が同じ課題を抱えていることを踏まえ、通知が来る前に方針を決めておくことが安心につながります。
実家の処分方法5つを比較|維持・活用・売却・解体・寄付
特定空家等のリスクを踏まえたうえで、実家をどう扱うかは大きく5つの選択肢に整理できます。それぞれの特徴を一覧にまとめました。
| 選択肢 | 初期費用 | 継続コスト | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| そのまま維持・管理する | ほぼなし | 固定資産税+管理費用(交通費・修繕費)が継続 | 将来住む予定がある、思い入れが強い |
| 賃貸・駐車場等に活用する | リフォーム・整地費用 | 管理費用は下がるが空室リスクあり | 立地がよく需要が見込める |
| そのまま売却(仲介・買取) | 片付け費用のみ | 売却後は発生しない | 早期に負担をなくしたい |
| 解体して更地で売却・活用 | 解体費100万円〜 | 更地の固定資産税(特例なし) | 老朽化が激しく買い手がつきにくい |
| 相続土地国庫帰属制度で手放す | 負担金(原則20万円〜) | 手放した後は発生しない | 売却が難しい山林・農地等 |
相続した土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」は、建物がある土地は対象外で、更地であることや境界が明確であることなど審査要件があるため、老朽家屋がある実家をそのまま国に帰属させることはできません。制度の詳細は法務局に確認が必要です。実務上は、多くの実家で「そのまま売却」または「解体して更地で売却」のいずれかが現実的な選択肢になります。
よくある質問
特定空き家に指定されたら、すぐに固定資産税が6倍になりますか?
特定空き家の指定を解除することはできますか?
命令や行政代執行はどのくらいの割合で実際に行われますか?
片付けをせずに買取してもらうことはできますか?
安心実家じまいが直接買い取ってくれるのですか?
解体すれば固定資産税は必ず下がりますか?
まとめ
特定空家等に指定されても、その場で増税や罰則が発生するわけではなく、「助言・指導→勧告→命令→行政代執行」という段階を踏みます。分岐点は「勧告」で、ここで改善しなければ固定資産税が最大約6倍になり、その後「命令」に従わなければ50万円以下の過料、最終的には行政代執行(強制解体・費用請求)に至る可能性があります。すでに通知が届いている、あるいは遠方で管理が難しい実家をお持ちの場合は、改善・売却・買取のどれが総支出とリスクを抑えられるかを手取りベースで比較し、片付けと並行して動くことが結果的に一番の近道です。判断に迷う場合は、無料の見積もりから気軽に相談してください。
早いこともあります
片付け・査定・売却まで、写真を送るだけで概算のお見積もりをお出しします。ご相談・お見積もりは無料です。


コメント