
久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士
東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。
■経歴
- 1966年鹿児島県生まれ
- 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
- 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
- 2013年司法書士試験合格
- 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
- 2017年司法書士法人コスモ退職
- 2018年事務所開設
- 2021年司法書士法人設立
■得意領域
- 相続登記・相続手続き
- 不動産の名義変更
- 相続放棄
- 簡易裁判所の訴訟代理
この記事の結論
- 同時に進める場合は、新しい供養先の確保→改葬許可の取得→閉眼供養・墓石撤去→実家の片付け・解体や売却の順に動くと、帰省の回数を抑えて手続きを進めやすくなります。
- 墓じまいの費用目安は離檀料3万〜20万円、墓石撤去・整地20万〜50万円、新しい供養先5万〜80万円程度で、選ぶ供養先のタイプによって総額が大きく変わります。実家の片付け費用と合わせた総額の考え方は、本文のケース別シミュレーションで確認できます。
- 散骨は墓地埋葬法の直接の規制対象ではありませんが、節度をもって行うことが前提です。厚生労働省の散骨に関するガイドラインに沿った配慮が必要になります。
- お墓は民法上、通常の遺産分割の対象にならない「祭祀財産」として扱われます。実家の相続登記や名義整理と並行して、祭祀を誰が引き継ぐかも早めに家族で話し合っておくと、後の手続きがスムーズになります。
実家じまいと墓じまいを同時に検討する人が増えている理由
親が亡くなった、あるいは施設に入所したことをきっかけに実家の片付けを考え始めたとき、同じタイミングで頭をよぎるのがお墓の問題です。実家からお墓まで距離があり、お盆や彼岸のたびに通うのが難しくなっている家庭は少なくありません。実家の片付けと墓じまいは一見別々の作業に見えますが、どちらも「先祖から受け継いだものを、次の世代がどう管理するか」という同じ課題から生じている点で、根っこはつながっています。
実家を離れて暮らす子世代が増え、親が亡くなったあとに実家だけが残る、あるいはお墓の管理者が誰もいなくなるというケースは、都市部・地方を問わず全国で起きています。実家の売却や解体を決めたタイミングで「このままではお墓も無縁になってしまう」と気づき、あわせて墓じまいを検討する相談は、安心実家じまいの窓口でも珍しくありません。
別々に進めると起きやすい不都合
実家じまいと墓じまいをまったく別のタイミングで進めると、次のような不都合が起きやすくなります。
- 帰省の回数が増える——遠方に住んでいる場合、実家の片付けとお墓の相談とで別々に帰省することになり、交通費と時間の負担が二重にかかります。
- 菩提寺への挨拶のタイミングを逃す——実家の解体や売却が先に進んでしまうと、お墓や仏壇の相談を後回しにしたまま時間が経ち、菩提寺との関係を整理する機会を逃しやすくなります。
- 費用の全体像が見えないまま契約してしまう——実家の片付け業者と墓じまいの業者をそれぞれ別に探すと、総額でいくらかかるのかが最後まで分からず、資金計画が立てにくくなります。
- 相続人間の合意形成を二度行うことになる——きょうだいで実家の処分方針を話し合った後、改めてお墓の話し合いの場を設けることになり、意見調整の負担が増えます。
逆に言えば、最初の段階で実家とお墓の両方を視野に入れて計画を立てておけば、これらの負担の多くは避けられます。次の章で、同時に進める場合の具体的な順番を整理します。
実家じまいと墓じまい、同時に進める場合の順番
実家じまいと墓じまいのどちらを先に進めるべきかについて、法律上決まったルールはありません。ただし、それぞれの手続きにかかる時間を踏まえると、次の順番で動くと帰省の回数を抑えやすく、手戻りも少なくなります。
| 順番 | やること | 主な窓口・相手 | 目安の期間 |
|---|---|---|---|
| 1 | 家族で方針を話し合う(実家をどうするか、お墓をどうするか) | 相続人間 | 随時 |
| 2 | 実家の名義(相続登記の状況)とお墓の名義(使用者)を確認する | 法務局・霊園管理者 | 1〜2週間 |
| 3 | 新しい供養先を決め、受入証明書を発行してもらう | 永代供養墓・樹木葬霊園・散骨事業者など | 2週間〜1カ月 |
| 4 | 現在の墓地管理者から埋蔵証明書を発行してもらう | 菩提寺・霊園管理者 | 数日〜2週間 |
| 5 | 市区町村へ改葬許可を申請し、許可証を受け取る | 現在のお墓がある市区町村役場 | 数日〜2週間 |
| 6 | 閉眼供養(魂抜き)を行い、遺骨を取り出す | 菩提寺・僧侶 | 半日〜1日 |
| 7 | 墓石を撤去し、区画を更地にして管理者へ返還する | 石材店 | 1〜2週間 |
| 8 | 新しい供養先へ改葬許可証を提示し、納骨または散骨を行う | 新しい供養先 | 半日〜1日 |
| 9 | 実家の仏壇・位牌の供養、家財の遺品整理を行う | 遺品整理業者・僧侶 | 1日〜数日 |
| 10 | 実家の売却または解体を進める | 不動産会社・解体業者 | 1〜3カ月以上 |
実家の解体や売却は、名義(相続登記)が済んでいないと契約主体になれず、着手できません。相続登記についての詳しい期限や手続きは相続登記の義務化とは|期限・過料・実家を相続したらやることで解説しています。お墓についても、使用者の名義変更や承継の手続きが必要な霊園があるため、動き出す前に確認しておくと二度手間になりません。
どちらを先に着手すべきか
実家の売却や解体を急いでいる場合は、お墓の側から先に着手するのが現実的です。改葬許可の取得には、新しい供養先探しから許可証の交付まで通算で数週間〜1カ月程度かかることが多く、実家の片付けよりも先に動き出しておかないと、全体のスケジュールがお墓の手続きに引きずられてしまうためです。逆に、実家の片付けを急ぐ事情がなく、お墓の相談先や供養方法にまだ迷いがある場合は、実家の仕分け作業を進めながら、時間をかけて供養先を検討するという進め方も選べます。
いずれの場合も、帰省のタイミングを合わせて「実家の現地確認」と「菩提寺・霊園への挨拶」を同じ日程にまとめられないかを、最初に検討する価値があります。遠方から進める場合の具体的な段取りは、後述の章で詳しく説明します。
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墓じまいの手続きと必要書類(改葬許可の取り方)
お墓を別の場所へ移す、あるいはお墓自体をなくして別の方法で供養することを「改葬」と呼びます。改葬には市区町村長の許可(改葬許可証)が必要で、無許可のまま遺骨を取り出すことは避けなければなりません。手続きの流れと必要書類を整理します。
| 書類 | 発行元 | 役割 |
|---|---|---|
| 受入証明書(墓地使用許可証) | 新しい供養先(霊園・寺院・散骨事業者など) | 遺骨の受け入れ先が決まっていることを証明する |
| 埋蔵証明書(埋葬証明書) | 現在の墓地管理者(菩提寺・霊園) | その遺骨が現在どこに埋蔵されているかを証明する |
| 改葬許可申請書 | 現在のお墓がある市区町村(所定の様式) | 改葬の許可を求める申請書。遺骨1体につき1枚が基本 |
| 改葬許可証 | 市区町村(申請の審査後に交付) | 新しい供養先へ提示し、納骨や散骨を行うための許可証 |
申請の窓口は、新しい供養先の市区町村ではなく、現在お墓がある市区町村です。遺骨が複数体ある場合は、原則として遺骨ごとに申請書が必要になります。手数料は無料としている自治体が多く、有料の場合も数百円程度が目安ですが、詳しい書式や必要部数は自治体によって異なるため、申請前に窓口へ確認してください。オンライン申請や郵送での受付に対応している自治体も増えていますが、対応状況はそれぞれ異なります。
閉眼供養と墓石の撤去
改葬許可証を受け取ったら、遺骨を取り出す前に、僧侶による閉眼供養(魂抜き・お性根抜きとも呼ばれます)を行うのが一般的です。閉眼供養を終えた後、石材店が墓石を撤去し、区画を更地にして管理者へ返還します。墓石の撤去は改葬許可証の交付が前提となるため、順番を誤って先に着手してしまわないよう注意してください。石材店は霊園の指定業者制になっている場合もあるため、事前に確認が必要です。
宗派・寺院や神社による違い
閉眼供養の呼び方や進め方は、宗派や寺院・神社によって違いがあります。仏教では「閉眼供養」「魂抜き」「お性根抜き」などと呼ばれ、新しい供養先での納骨時には「開眼供養」を行うのが一般的です。神道では、お墓を「奥都城(おくつき)」と呼ぶことがあり、神主による「御霊抜き(みたまぬき)」の儀式を経て改葬を進めます。キリスト教では、教派や教会によって考え方に幅があり、特別な儀式を伴わないことも多いものの、教会や霊園の管理者への事前相談は欠かせません。公営霊園や特定の宗教色のない墓地では、宗教的な儀式を行わずに手続きだけで進められる場合もあります。いずれの場合も、まずは今の墓地の管理者(菩提寺・神社・霊園事務所)に率直に相談することが、手続きを円滑に進める第一歩です。
| 宗教・宗派 | お墓を移す際の儀式の呼び方 | 相談先 |
|---|---|---|
| 仏教 | 閉眼供養(魂抜き・お性根抜き)/新しい供養先で開眼供養 | 菩提寺の住職 |
| 神道 | 御霊抜き(みたまぬき) | 神社の神主 |
| キリスト教 | 教派・教会によって異なる(儀式を伴わない場合もある) | 教会・霊園の管理者 |
| 無宗教・公営霊園 | 特に定めがない場合が多い | 霊園事務所 |
墓じまいの費用相場と供養先タイプ別の比較
墓じまいの費用は、大きく「今のお墓を閉じる費用」と「新しい供養先の費用」の2つに分かれます。それぞれの目安を見ていきます。
今のお墓を閉じる費用の内訳
| 費目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 離檀料 | 3万〜20万円程度 | 決まった相場はなく、寺院への感謝を示すお布施という性質。関係性により幅がある |
| 閉眼供養のお布施 | 1万〜5万円程度 | 離檀料と別に包む場合が多い |
| 墓石の撤去・区画の整地 | 20万〜50万円程度 | 区画の広さ・立地・重機の搬入のしやすさで変動 |
| 改葬許可の行政手数料 | 無料〜数百円程度 | 自治体により異なる |
| 遺骨の取り出し・洗浄 | 数千円〜/体 | 石材店や散骨事業者が対応する場合がある |
離檀料は、法要への協力の度合いや寺院との関係性によって幅が大きく、金額の目安が一律に決まっているものではありません。事前に率直に相談し、金額や進め方を確認しておくことが、後のトラブルを避ける最も確実な方法です。
新しい供養先タイプ別の費用と特徴(独自比較表)
改葬先として選ばれることが多い供養方法を、費用目安と特徴で比較しました。どれを選ぶかによって、墓じまい全体の総額は大きく変わります。
| 供養方法 | 費用目安 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 永代供養墓(合祀) | 5万〜30万円程度 | 他の方の遺骨とまとめて供養される。年間管理料が不要な場合が多い | 今後お墓参りに通う人がいない、費用を抑えたい |
| 永代供養墓(個別安置) | 20万〜80万円程度 | 一定期間は個別に安置され、その後合祀されることが多い | 当面は個別に手を合わせたいが、将来の管理は不要にしたい |
| 樹木葬 | 20万〜80万円程度 | 樹木や草花のもとに埋葬。屋外型・庭園型など様式が幅広い | 自然な形での供養を希望する |
| 納骨堂 | 20万〜100万円程度 | 屋内施設に遺骨を安置。ロッカー式・仏壇式・自動搬送式など様式差が大きい | 天候に左右されずお参りしたい、都市部で通いやすい場所を希望する |
| 散骨(委託・代行) | 3万〜10万円程度 | 事業者に粉骨と散骨を依頼する。立ち会わない形式 | 費用を抑えたい、遠方で立ち会いが難しい |
| 散骨(合同乗船) | 10万〜15万円程度 | 他の家族とまとめて船に乗り、海洋散骨に立ち会う | 散骨に立ち会いたいが費用も抑えたい |
| 散骨(個別チャーター) | 20万〜30万円程度 | 家族だけで船をチャーターして散骨する | 親族だけで見送りたい |
| 手元供養 | 数千円〜数万円程度 | ミニ骨壺やアクセサリーに遺骨の一部を納めて自宅で供養する | お墓を持たず、当面は手元に置いておきたい |
(費用は一般的に紹介される目安の範囲です。実際の金額は事業者や地域、遺骨の量によって変わるため、複数の見積もりで確認してください)永代供養墓や樹木葬、納骨堂は、初期費用に加えて年間管理料がかかる施設もあります。契約前に、管理料の有無と金額を確認しておくと、後年の負担を見誤らずに済みます。
参考:墓じまいの面倒な手続きを一括でお任せできる代行サービス「株式会社あかり保証」
散骨を選ぶ場合に知っておきたい法律上のルール
近年は、お墓を持たない選択として散骨を検討する家庭も増えています。散骨を選ぶ場合は、法律上の位置づけと守るべきマナーを理解しておくことが欠かせません。
墓地埋葬法との関係
「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)は、土地に焼骨を埋蔵する行為を対象とする法律で、埋蔵は都道府県知事等の許可を受けた墓地以外で行ってはならないと定めています。一方、粉状にした遺骨を海や山にまく「散骨」は、土に埋める「埋蔵」には当たらないと解釈されており、墓埋法の直接の規制対象にはなっていないという考え方が一般的です。ただし、これは散骨であれば何をしてもよいという意味ではありません。
刑法との関係と「節度」という考え方
刑法190条は、死体や遺骨を損壊・遺棄することを禁じています。散骨についても、かつては遺骨遺棄罪との関係が議論されましたが、社会通念上相当と認められる方法・場所で、節度をもって行われる限りは問題にならないという考え方が広く紹介されるようになり、現在では散骨を扱う事業者も一定数存在しています。「節度をもって行う」とは、遺骨をそのままの形でまくのではなく、目に見えないほど細かく砕く「粉骨」を行うことや、周辺住民の生活環境・心情に配慮した場所とタイミングを選ぶことなどを指します。
厚生労働省のガイドラインと私有地での注意点
厚生労働省は、散骨を行う事業者向けに、遺骨を粉骨したうえで行うこと、居住地域や水源地の近くを避けること、周辺住民への配慮を欠かさないことなど、節度をもって散骨を行うための考え方を示すガイドラインを公表しています。個人が自身で散骨を行う場合も、このガイドラインの考え方に沿って進めることが望ましいとされています。私有地(山林や田畑など)で散骨を行う場合は、土地所有者の同意が前提です。無断で他人の土地に散骨することは、所有者との間でトラブルになるだけでなく、法律上の問題に発展する可能性もあります。自治体によっては、散骨に関する独自の要綱やルールを定めている場合もあるため、散骨を予定している地域の自治体に事前確認しておくと安心です。
個人で船をチャーターして散骨する方法もありますが、粉骨の設備や海域の知識がない状態で進めるのはハードルが高く、実際には散骨を専門に扱う事業者へ依頼するケースがほとんどです。事業者を選ぶ際は、粉骨の工程を自社で行っているか、散骨を行う海域について自治体や漁業関係者への配慮を説明できるかを確認してください。
実家じまいと墓じまいをまとめて進めたときの費用シミュレーション
実家の片付けと墓じまいをあわせて行うと、総額はどの程度になるのでしょうか。間取りと供養先の選び方が異なる3つのケースで試算しました。いずれも一般的な目安による概算で、実際の金額は物量や区画の広さ、寺院との関係などによって変わります。
ケースA:3LDKの実家+先祖代々墓を永代供養墓へ改葬
親世代が長く住んでいた3LDKの戸建てを片付け、菩提寺にある先祖代々墓を近隣の永代供養墓(合祀)へ移すケースです。
| 項目 | 目安金額 |
|---|---|
| 実家じまい代行パック(3LDKまで) | 49.8万円 |
| 離檀料 | 10万円 |
| 墓石撤去・整地(区画約3㎡) | 30万円 |
| 永代供養墓(合祀) | 15万円 |
| 改葬手続きの諸費用 | 1万円 |
| 合計目安 | 約105.8万円 |
ケースB:2DKの賃貸退去にあわせて散骨(合同乗船)を選択
実家がすでに賃貸に住み替えていた親の部屋(2DK)を退去にあわせて片付け、公営霊園のお墓を散骨で墓じまいするケースです。公営霊園のため離檀料はかかりません。
| 項目 | 目安金額 |
|---|---|
| 遺品整理サービス(2DK目安) | 20万円 |
| 離檀料 | 0円(公営霊園のため不要) |
| 墓石撤去・整地(区画約2㎡) | 20万円 |
| 散骨(合同乗船) | 12万円 |
| 改葬手続きの諸費用 | 1万円 |
| 合計目安 | 約53万円 |
ケースC:納屋つき4LDKの実家+菩提寺の墓を樹木葬霊園へ改葬
納屋や仏間のある4LDKの実家を片付け、菩提寺にあるお墓を近隣の樹木葬霊園へ移すケースです。物量が多く、離檀料や墓石撤去の区画も大きくなります。
| 項目 | 目安金額 |
|---|---|
| 実家じまい代行パック(4LDK以上) | 69.8万円〜 |
| 離檀料 | 20万円 |
| 墓石撤去・整地(区画約4㎡) | 40万円 |
| 樹木葬 | 50万円 |
| 改葬手続きの諸費用 | 1万円 |
| 合計目安 | 約180.8万円〜 |
3つのケースを比べると分かるように、総額の差を大きく左右するのは実家の間取りよりも、むしろ選ぶ供養先のタイプです。永代供養墓の合祀や散骨は費用を抑えやすく、樹木葬や個別安置型の永代供養墓は費用が高くなる傾向があります。予算に応じて、どこまでを個別に残し、どこから合祀・散骨に切り替えるかを検討する余地があります。実家の片付け単体の料金の詳細は料金表をご覧ください。
同時進行で失敗しないための実務チェックリスト
実家じまいと墓じまいを同時に進める場合、帰省1回でどこまで済ませるかを事前に決めておくと、動きが無駄になりません。次のチェックリストは、そのまま印刷して帰省時の確認用にご活用いただけます。
| タイミング | 確認・実施すること | 済 |
|---|---|---|
| 帰省前 | 実家の名義(相続登記の状況)とお墓の使用者名義を確認する | |
| 帰省前 | 相続人・親族で実家とお墓の方針をすり合わせる | |
| 帰省前 | 新しい供養先の候補を2〜3件リストアップし、資料を取り寄せる | |
| 帰省1日目 | 実家の各部屋・仏壇・位牌を撮影し、貴重品と残す物を仕分ける | |
| 帰省1日目 | 菩提寺・霊園に連絡し、改葬の意向を伝えて埋蔵証明書の発行を依頼する | |
| 帰省2日目 | 新しい供養先を確定し、受入証明書の発行を依頼する | |
| 帰省2日目 | 市区町村役場で改葬許可申請書を提出する(郵送・オンライン対応の自治体もある) | |
| 帰省後 | 改葬許可証の到着を待ち、閉眼供養・墓石撤去の日程を石材店・寺院と調整する | |
| 帰省後 | 実家の片付け業者・解体業者・不動産会社へ見積もりを依頼する | |
| 次回帰省時 | 納骨・散骨の立ち会いと、実家の作業立ち会いを同じ日程にまとめる |
すべてを1回の帰省で終わらせる必要はありません。改葬許可証の交付を待つ期間は、実家の遺品整理や見積もり取得を進める時間に充てられます。埋蔵証明書と受入証明書の発行を先に依頼しておけば、次の帰省では申請と現地確認をまとめて済ませやすくなります。
離檀・寺院とのやり取りで気をつけたいポイント
墓じまいの相談で実務上つまずきやすいのが、菩提寺との関係整理です。事務局に寄せられる相談の中で、繰り返し見られるパターンを紹介します。
- 改葬の意向をいきなり切り出してしまう——長年の付き合いへの感謝を伝えないまま「お墓を移したい」と用件だけを伝えると、話がこじれることがあります。これまでの法要へのお礼を先に伝え、実家の事情(相続・遠方居住・後継者不在など)を丁寧に説明すると、話し合いがスムーズに進みやすくなります。
- 離檀料の金額で認識のずれが生じる——離檀料には決まった相場がないため、寺院側の想定と遺族側の想定に差が出ることがあります。金額を提示された場合は、その場で即答せず、いったん持ち帰って親族と相談する時間を確保してください。
- 埋蔵証明書の発行を後回しにされる——寺院によっては、離檀の話がまとまるまで埋蔵証明書の発行に応じてもらえない場合があります。改葬許可の申請にはこの証明書が必須のため、発行のタイミングを早い段階で確認しておくと、スケジュールのずれを防げます。
- 親族間で改葬の合意が取れていないまま進めてしまう——祭祀を主宰する立場の人(お墓や仏壇を引き継いできた人)だけで話を進めると、後になって他の親族から異論が出ることがあります。お墓は民法上、通常の遺産分割とは別に「祭祀財産」として扱われ、慣習に従って祭祀主宰者が承継するとされていますが、実務上は関係者全員への事前共有が、後々のトラブルを避ける一番の近道です。
寺院との関係整理に不安がある場合は、菩提寺への相談に先立って、行政書士や司法書士に進め方を相談しておくという方法もあります。実家の相続登記とあわせて専門家へ相談したい場合は、実家じまい代行サービスから提携司法書士へつなぐことも可能です。
遠方に住みながら実家じまいと墓じまいを同時に進める方法
実家からもお墓からも離れて暮らしている相続人にとって、片付けと改葬の両方を別々に進めるのは大きな負担です。帰省のたびに交通費と時間がかかるうえ、平日しか対応していない役場や寺院とのやり取りは、休暇の日程に合わせる必要があります。遠方から進める場合は、次の段取りが現実的です。
- 電話・メールで事前調整を済ませておく——菩提寺への改葬の意向表明、新しい供養先への資料請求、改葬許可申請書の様式の取り寄せは、帰省前に電話やメールで済ませておきます。オンラインで申請書を取り寄せられる自治体も増えています。
- 1回の帰省で「見る・話す・出す」をまとめて行う——実家の写真撮影、菩提寺への挨拶、役場への書類提出を、同じ帰省日程にまとめます。曜日によって役場や石材店の窓口が休みの場合があるため、事前に開庁日・営業日を確認しておくと無駄足を防げます。
- 閉眼供養と墓石撤去の日程は現地の業者に任せる——改葬許可証が交付された後の閉眼供養・墓石撤去は、本人が立ち会わない形でも、石材店や寺院と日程調整のうえで進められる場合があります。立ち会いが必要かどうかは、事前に確認しておいてください。
- 実家の片付けは写真見積もりと立ち会いなしで進める——鍵を預け、作業前後の写真報告を受ける形にすれば、実家の片付けと墓じまいの手続きを並行して進められます。仏壇や位牌の供養についても、写真と電話でのやり取りをもとに手配できるかを確認しておくと安心です。
実家の片付けを遠方から進める際の具体的な流れはご相談の流れで紹介しています。仏壇や位牌をどう扱うかで迷う場合は仏壇じまいの進め方、位牌の処分や供養の選択肢は位牌の処分方法もあわせてご覧ください。
安心実家じまいのサービス案内
安心実家じまいは、実家の遺品整理・生前整理から家の売却・解体の手配までを一つの窓口でお受けする全国対応のサービスです。あわせて、墓じまいのご相談を受けた際には、改葬先の探し方や必要書類の整理について事務局がご案内し、対応可能な提携業者をご紹介することも行っています。実家の片付けとお墓の相談を、別々の窓口に問い合わせずまとめてご相談いただける点が、遠方にお住まいの方から選ばれる理由の一つです。
遺品整理のみのご依頼は遺品整理サービスで承ります。家の処分まで含める場合は実家じまい代行パックが割安です。料金の全体像は次のとおりです。
| 遺品整理サービス | 実家じまい代行パック | |
|---|---|---|
| 対象範囲 | 家財の片付けのみ | 片付けに加え、家の売却・解体の手配まで |
| 料金目安 | 間取り・物量に応じた個別見積もり | 2DKまで29.8万円/3LDKまで49.8万円/4LDK以上69.8万円〜(税別) |
| 向いているケース | 賃貸の退去や、家は残して片付けだけ済ませたい場合 | 実家の売却・解体まで見据えている場合 |
相続登記や墓地使用権の承継など法律手続きが絡む場合は、提携司法書士と連携して進めます。仏壇・位牌の供養についても、閉眼供養やお焚き上げの手配まで対応する提携業者をご案内しており、実家の片付けとあわせてご相談いただけます。提携業者は、一般廃棄物収集運搬の許可や損害保険の加入状況を安心実家じまい事務局が事前に確認したうえで紹介しています。基準の詳細は提携業者の品質基準のページでご案内しています。
よくある質問
実家じまいと墓じまいはどちらを先に進めればいいですか?
実家じまいと墓じまいを同時に進める場合の費用はどれくらいですか?
改葬許可はどこで取得できますか?必要な書類は?
散骨は法律的に問題ありませんか?
お墓のご住職・寺院との関係を整理する「離檀」で気をつけることはありますか?
まとめ
実家じまいと墓じまいは、別々の手続きに見えて、進め方次第で帰省の回数や費用の見通しが大きく変わってきます。要点を振り返ります。
- 同時に進める場合は、新しい供養先の確保→改葬許可の取得→閉眼供養・墓石撤去→実家の片付けの順に動くと手戻りが少ない
- 改葬許可には受入証明書・埋蔵証明書・改葬許可申請書が必要。窓口は現在お墓がある市区町村
- 墓じまいの費用は離檀料3万〜20万円、墓石撤去20万〜50万円が目安。新しい供養先は合祀の永代供養墓や散骨で費用を抑えられる
- 散骨は墓埋法の直接の規制対象外だが、厚労省ガイドラインに沿った節度(粉骨・場所への配慮)が前提
- お墓は祭祀財産として扱われ、承継の話し合いは実家の相続登記と並行して進めておく
- 離檀の相談は、これまでの感謝を伝えたうえで事情を率直に説明し、金額はその場で即答しない
- 遠方からでも、事前調整と1回の帰省でのまとめ対応、写真見積もりの活用で進められる
実家の片付けとお墓の整理を別々の窓口で進めると、費用の全体像も帰省の段取りも見えにくくなります。まずは実家とお墓、それぞれの現状(名義・物量・供養先の希望)を整理したうえで、まとめて相談できる窓口に問い合わせることが、結果的に一番の近道になることが多いです。実家じまい全体の進め方は実家じまい代行サービスを、相続登記の期限については相続登記の義務化とは|期限・過料・実家を相続したらやることをご覧ください。
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