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故人宛ての郵便は転送できない?実家に届く郵便物の仕分けと手続き完全ガイド

最終更新日:2026年10月7日|監修:司法書士・行政書士 久留慎一郎先生・安心実家じまい事務局

司法書士・行政書士 久留慎一郎
監修者

久留 慎一郎(ひさどめ しんいちろう)/司法書士・行政書士

東京大学法学部を卒業後、日本航空株式会社に26年間勤務(うち法務部に4年間所属)。在職中に司法書士試験に合格し、2018年に独立開業、2021年に司法書士法人を設立。相続登記や不動産の名義変更など、実家じまいに関わる法律手続きを担当する。安心実家じまいの提携司法書士・行政書士。

監修の範囲:相続・登記・法務に関する記述(司法書士・行政書士の業務範囲)。片付け・買取・費用相場などの記述は安心実家じまい事務局が編集しています。監修者プロフィール

税金について:税額の計算や特例を使えるかどうかの判断は税理士の業務で、監修の範囲に含みません。申告の前に、税理士または所轄の税務署でご確認ください。

■経歴

  • 1966年鹿児島県生まれ
  • 1985年鹿児島ラ・サール高校卒業
  • 1989年東京大学法学部卒業/同年、日本航空株式会社入社(2002〜2006年は法務部所属)
  • 2013年司法書士試験合格
  • 2015年簡易裁判所訴訟代理等に関する法務大臣認定/同年、日本航空株式会社退職、司法書士法人コスモ入所
  • 2017年司法書士法人コスモ退職
  • 2018年事務所開設
  • 2021年司法書士法人設立

■得意領域

  • 相続登記・相続手続き
  • 不動産の名義変更
  • 相続放棄
  • 簡易裁判所の訴訟代理

この記事の結論

  • 日本郵便の公式見解では、亡くなった受取人(故人)宛ての郵便物は、家族が転送を申し出ても転送できません。差出人に返還される仕組みになっています。
  • 一方、実家に同居していた家族(存命の方)宛ての郵便は、「転居者氏名」にその方の名前を指定して転居届を出せば、1年間無料で転送できます(再度の手続きでさらに1年ずつ更新可能)。
  • 実家のポストに届く郵便は「宛名が誰になっているか」で対応がまったく変わるため、開封する前に宛名で仕分けてから、窓口ごとに連絡するのが結局いちばん早い進め方です。
  • 公共料金・金融機関・年金・クレジットカードなどは、郵便局の転送サービスに頼らず発信元ごとに直接、死亡の連絡と名義変更・解約の手続きを行う必要があります。
目次

結論:故人宛ての郵便は「転送できない」仕組みになっている

実家の片付けを始めると、必ずと言っていいほど直面するのが「亡くなった親宛ての郵便が実家に届き続ける」という問題です。ダイレクトメール、公共料金のお知らせ、クレジットカードの明細、年金関連の書類、年賀状や季節の挨拶状まで、差出人も内容もさまざまな郵便が、住む人のいなくなった実家のポストに溜まっていきます。

「どこか別の場所にまとめて転送できないか」と考えるのは自然な発想ですが、日本郵便の公式な回答では、この方法は使えないとされています。日本郵便のFAQページには次のように明記されています。

「ご家族の方から転送のお申出があっても、亡くなられたご本人さまの郵便物等を転送することはできません。」(出典:日本郵便公式サイト「死亡した受取人あての郵便物等を家族に転送してもらえますか?」)

受取人が亡くなっている場合、本人宛ての郵便物は転送されず、差出人に返還されるのが原則です。これは「転居・転送サービス」が、あくまで「引っ越した本人が、新しい住所で郵便物を受け取るための制度」であり、本人がすでに亡くなっている場合はこの制度の対象にならないためです。家族が代わりに窓口で手続きをしようとしても、故人宛ての郵便だけは転送対象から外れると考えておきましょう。

つまり、実家の片付けで最初につまずきやすい「とりあえず全部まとめて自宅に転送する」という解決策は、少なくとも故人宛ての郵便に関しては使えません。次の章で、実際にどう仕分けて、どう対応すればよいかを具体的に見ていきます。

実家に届く郵便の「宛名」で仕分ける—対応早見表

実家に届く郵便は、宛名によって転送の可否も、必要な対応もまったく異なります。まずは郵便受けの中身を開封せずに宛名だけ確認し、次の表を目安に仕分けることから始めてください。

宛名・郵便の種類 郵便局の転送 実家での主な対応
故人(本人)宛ての郵便全般 転送不可。差出人に返還される 開封せず保管し、内容が気になる場合は相続人として差出人に直接問い合わせる
実家に同居していた存命の家族宛ての郵便 転送可。「転居者氏名」にその方の名前を指定して届出 通常の転居・転送サービスで新住所に転送手続きができる
公共料金(電気・ガス・水道)の請求書・お知らせ 転送サービスの対象外(契約者に紐づく個別通知) 各事業者に死亡の連絡をし、名義変更または解約の手続きを行う
クレジットカードの明細・利用通知 同上 カード会社に死亡の連絡をし、解約・退会手続きを行う
年金関連の通知・振込通知書 同上 年金事務所(街角の年金相談センター含む)に死亡の届出を行う
金融機関(銀行・証券)からの通知 同上 各金融機関の相続窓口に連絡し、口座の手続きを進める
新聞・雑誌の定期購読 対象外(配達契約の問題) 販売店・出版社に直接連絡して解約
不動産・保険会社からの案内 対象外 各社の相続・名義変更窓口に個別連絡
勧誘DM・チラシ類 対象外(宛名不特定のものも多い) 必要に応じて発行元に配達停止を依頼。郵便受けに「受け取りを希望しない」旨の掲示をする家庭もある
個人からの手紙・年賀状 故人宛てなら転送不可 開封せず保管し、必要があれば差出人に死亡の連絡をする

この表からも分かるとおり、「郵便局に転送を頼めば解決する」のは、実家に住んでいた存命の家族が引っ越す場合に限られます。公共料金や金融機関、年金のように契約者ごとに個別管理されている通知は、郵便の転送とは別に、発信元へ直接連絡する必要があります。

郵便局の転居・転送サービスの使い方【1年間無料・更新可】

実家に住んでいた家族の一部が引っ越す場合(例えば、同居していた親が亡くなり、残された配偶者や子が別の住所に移る場合など)は、通常の転居・転送サービスが利用できます。制度の内容を確認しておきましょう。

申込方法は3つ

日本郵便の転居届は、次の3つの方法のいずれかで提出できます(出典:日本郵便公式サイト「引っ越すので郵便物や荷物を転送したいのですが、どうすればいいですか?」)。

  • 郵便局の窓口で転居届を提出する
  • 転居届用紙をポストに投函する(本人確認書類の写しの添付が必要)
  • e転居(郵便局ウェブサイト・郵便局アプリからのオンライン申請。本人確認済みの「ゆうID」でのログインが必要)

窓口の場合は、提出者と転居者のうち1名の本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)が必要です。転居者本人が窓口に来られない場合は、確認資料の写しでも手続きできます。申込手数料はかからず、転送は無料で行われます。

転送期間は1年、更新すればさらに1年

転送期間は、届出日から1年間です(転送を開始した日からではなく、届け出た日が起点になる点に注意してください)。1年を過ぎても新住所への転送を続けたい場合は、再度手続きをすることで、さらに1年間の更新ができます(出典:日本郵便公式サイト「旧住所あての郵便物等を新住所に転送してもらえる転送期間は?」)。日本郵便としては、転送に頼り続けるのではなく、なるべく早めに差出人へ新住所を連絡するよう案内しています。実家の片付けが長引きそうな場合は、1年ごとに更新を忘れないようカレンダーなどに控えておくと安心です。

「転居者氏名」は同居家族の一部だけでも指定できる

「家族のうち1人だけが引っ越す場合は転送できないのでは」と心配する声もありますが、転居届の「転居者氏名」欄に、引っ越す本人の氏名を記入すれば対応可能です(出典:日本郵便公式サイト「4人家族のうち1人が引越しする場合、転送できますか?」)。つまり、実家に残っていた家族の一人だけが新しい住所に移る場合でも、その方宛ての郵便だけを個別に転送してもらうことができます。ただし、この仕組みはあくまで「存命の、転居者氏名として指定できる人」が対象であり、故人の氏名を転居者として届け出ることはできません。

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故人宛ての郵便が転送できないときの正しい対処法

発信元ごとに「死亡の連絡」と「名義変更・解約」を行う

郵便局の転送サービスで解決できない以上、公共料金・金融機関・年金・クレジットカード・保険・新聞といった定期的に郵便を送ってくる相手には、相続人から直接、死亡の事実を連絡する必要があります。連絡先はそれぞれの契約書や請求書に記載のカスタマーセンター、または金融機関・年金事務所の窓口です。手続きの名称は「解約」「名義変更」「承継」など発信元によって異なりますが、流れとしては共通して次の2段階になります。

  1. 死亡の事実を連絡し、新たな郵便物の発送を一旦止めてもらう、または宛先を相続人に変更してもらう
  2. 契約そのものを解約する、または相続人・同居家族の名義に変更する

連絡先が多く、優先順位に迷う場合は、公共料金(止めないとライフラインに直結する)、金融機関・年金(相続手続きに関わる)、クレジットカード・サブスク(放置すると課金が続く可能性がある)、新聞・DM(生活に直結しないため後回しでよい)の順に進めると、実家の片付け作業と並行して進めやすくなります。

郵便受けへの投函自体を減らす(勧誘DM・新聞など)

勧誘のダイレクトメールや新聞の販売店からの案内など、個別の契約に基づかない郵便物については、発行元に直接、配達停止や送付停止を依頼することで、郵便受けに溜まる量を減らせます。あわせて、空き家になった実家の郵便受けに「郵便物の受け取りについては下記までご連絡ください」といった案内を貼り、相続人の連絡先を示しておくと、差出人側からの個別の問い合わせにも対応しやすくなります。

【印刷して使える】実家の郵便物整理・手続きチェックリスト

実家の郵便物まわりの手続きは、項目が多く抜け漏れが起きやすい作業です。以下は、実家じまいの現場でよく発生する連絡・手続き項目をまとめたチェックリストです。印刷して、実家の片付け作業と並行してチェックしながら進めてください。

チェック 項目 メモ
☐ 実家のポストの郵便物を宛名ごとに仕分ける 故人宛て/存命の家族宛て/公共料金等を分ける
☐ 存命の家族が実家から引っ越す場合、転居届(窓口・ポスト投函・e転居)を提出 転居者氏名の欄を忘れずに記入
☐ 電気・ガス・水道の名義変更または解約の連絡 各事業者のカスタマーセンターへ
☐ クレジットカード会社への死亡連絡・解約 複数枚所持している場合は1社ずつ確認
☐ 年金事務所(街角の年金相談センター)への死亡の届出 年金証書・死亡を証明する書類などが必要になる場合がある
☐ 預貯金口座がある金融機関の相続窓口へ連絡 複数の金融機関がある場合は一覧化しておく
☐ 生命保険・損害保険会社への連絡 契約の有無が分からない場合は郵便物や通帳の履歴から確認
☐ 新聞・雑誌の定期購読の解約 販売店・出版社へ直接連絡
☐ 携帯電話・固定電話・インターネット回線の解約 明細の郵便物から契約会社を特定する
☐ 勧誘DM等の送付停止依頼 発行元ごとに個別対応が必要
☐ 故人宛ての郵便物の保管方法を決める 開封せず一定期間まとめて保管するのが基本

ケース別シミュレーション—あなたの実家はどのパターン?

ケース1:相続人の一人が実家にそのまま住み続ける場合

実家の住所自体は変わらないため、郵便局の転居・転送サービスは不要です。公共料金・固定電話・インターネット回線などは契約者の名義変更の手続きを行い、故人宛ての郵便だけを都度確認・保管する運用で足ります。郵便受けに故人宛てと家族宛てが混在し続けるため、しばらくの間は定期的に宛名を確認する習慣をつけておくと安心です。

ケース2:しばらく空き家にして、後日まとめて片付ける場合

実家に誰も住まなくなるケースです。この場合、新たに実家宛てに届く郵便物の多くは、名義変更・解約の連絡を済ませることで徐々に減っていきますが、連絡が追いつくまでの間は郵便受けに溜まり続けます。空き家の管理を兼ねて、定期的に実家を訪れて郵便物を回収するか、郵便受けに相続人の連絡先を掲示しておく方法があります。転送サービスを使う場合は、実家に住んでいた存命の家族がいれば、その方個人を「転居者」として指定したうえで申請します。

ケース3:相続放棄を検討している場合

相続放棄を考えている場合は、故人宛ての郵便物であっても、中身を確認した上で換金性のある書類(預貯金通帳、有価証券の通知など)を処分してしまうと、相続財産の一部を処分したとみなされ、単純承認(相続を承認したこと)として扱われる可能性があります。郵便物の整理を始める前に、相続放棄を検討していることを司法書士や弁護士に伝え、どの範囲まで作業を進めてよいか確認してから着手してください。この点は、形見分けや遺品整理の作業全般にも共通する注意点です。

注意したいトラブルと個人情報の扱い

実家に届く郵便物の中には、故人以外の家族や、まったくの第三者宛てのものが混じっていることもあります。信書(手紙など、特定の人に宛てた書状)を正当な理由なく開封する行為は、法律上の問題になり得るとされています。相続人であっても、自分以外の人宛ての郵便を安易に開封せず、内容を確認する必要がある場合は、まず差出人や宛名の本人(または家族)に連絡を取ることをおすすめします。

また、公共料金の明細やクレジットカードの利用通知には、口座番号や契約内容など個人情報が記載されています。処分する際は、シュレッダーにかける、個人情報保護シールを使うなど、情報が読み取れない状態にしてから処分することが望ましいです。実家の片付け全体の進め方については実家の片付けは何から始める?優先順位と仕分け基準・実務チェックリストもあわせてご覧ください。

よくある質問

故人宛ての郵便物を、家族の自宅に転送してもらうことはできますか?
できません。日本郵便の公式見解として、亡くなった受取人(本人)宛ての郵便物は、家族からの申出があっても転送できず、差出人に返還される仕組みになっています。実家に同居していた存命の家族が引っ越す場合は、その方個人を「転居者」として指定すれば転送可能です。
実家が空き家になる場合、郵便を止める方法はありますか?
郵便局の転送サービスで「空き家宛ての郵便を一括で止める」ことはできません。公共料金・金融機関・年金・クレジットカード・新聞などは、それぞれの発信元に死亡の連絡をして名義変更または解約の手続きを行う必要があります。勧誘DM等は発行元に個別に送付停止を依頼します。
転居・転送サービスの転送期間はどのくらいですか?
届出日から1年間です。転送を開始した日からではなく、届け出た日が起点になります。1年を過ぎてもさらに転送を続けたい場合は、再度手続きをすることで、もう1年間更新できます。
転居届はどこで、どうやって申し込めますか?
郵便局の窓口、転居届用紙のポスト投函、オンラインの「e転居」(郵便局ウェブサイト・郵便局アプリ)の3つの方法があります。窓口では本人確認書類が必要で、ポスト投函の場合は本人確認書類の写しを添付します。申込手数料は無料です。
実家に届く故人宛ての郵便物は、開封してもいいのでしょうか?
相続放棄を検討している場合、郵便物の内容次第では財産の処分とみなされる可能性があるため、まずは開封せずに保管し、司法書士や弁護士に相談することをおすすめします。相続放棄を考えていない場合でも、信書を無断で開封することは法律上の問題になり得るため、確認が必要な場合は内容証明や差出人への直接連絡など、他の方法を優先してください。
年賀状や個人からの手紙も、転送してもらえませんか?
宛名が故人になっている場合は、他の郵便物と同様に転送の対象外です。差出人への連絡が必要な場合は、郵便物を開封せずに保管したうえで、相続人から差出人へ直接、死亡の連絡をする方法が一般的です。
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この記事を書いた人

安心実家じまい事務局です。実家の片付けや遺品整理、空き家になった家の処分について、はじめての方にも分かるように記事を書いています。提携している現場の業者や司法書士と一緒に、費用の相場・自治体のごみ出しルール・補助金といった、調べてもなかなか分かりにくいところを一つずつ確かめながらまとめています。「誰に頼めばいいか分からない」という段階のご相談も、LINEやお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
運営は株式会社Sora Capital(東京都渋谷区・安心実家じまい事務局)です。相続・登記・法務に関する記述は、提携の司法書士・行政書士 久留慎一郎が監修しています。税額の計算や申告の判断は、税理士にご確認ください。

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